説明

硬貨処理装置

【課題】硬貨の搬送手段を短くし、装置の小型化を図ることが可能になる。
【解決手段】繰出しユニット1から繰出される硬貨Cを搬送ユニット13の第1の搬送ディスク16に設けた複数の硬貨受容部17に1枚ずつ送込み、第1の搬送ディスク16の回転により搬送される硬貨Cの真偽、金種判別した後、硬貨Cを選別ユニット32の第2の搬送ディスク33に設けた複数の硬貨受容部38に移し、第2の搬送ディスク33の回転により硬貨Cをその金種に該当する選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fのいずれかに搬送して落下させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の鑑別、計数を行って金種別に収納部に収納する硬貨処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の硬貨処理装置として、例えば、特許文献1に示される装置がある。この特許文献1に示される装置は、ホッパに投入された硬貨を1枚ずつ繰出して、エンドレスチェーンをスプロケット(プーリ)に所定の経路で配回させた硬貨搬送手段により搬送し、その搬送経路上に設けられたセンサによる硬貨判別手段で金種、真偽を判別したした後、搬送方向に沿って直線的に配列された金種別の硬貨シュータに押出しピンにより落下させ、金種別に収納部に収納するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−252357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、硬貨搬送手段により搬送される硬貨の搬送経路上あるいは搬送方向に沿って硬貨判別手段及び金種別の硬貨シュータが直線的に配列されているため、硬貨搬送手段が長くなってしまい、装置が大型化するという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の硬貨処理装置は、外周部に複数の硬貨受容部を設けた回転可能な第1の搬送ディスクを有する搬送ユニットと、外周部に複数の硬貨受容部を設けた回転可能な第2の搬送ディスクを有しかつ硬貨の各金種に対応した複数の選別孔を有する選別ユニット32を設け、繰出しユニットから繰出される硬貨を前記搬送ユニットの第1の搬送ディスクに設けた硬貨受容部に1枚ずつ送込み、前記第1の搬送ディスクの回転により搬送される硬貨の真偽、金種を判別した後、前記硬貨を前記選別ユニットの第2の搬送ディスクに設けた硬貨受容部に受渡し、前記第2の搬送ディスクの回転により硬貨をその金種に該当する選別孔に搬送して落下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、硬貨の搬送を回転する第1の搬送ディスクと第2の搬送ディスクで行うため、硬貨の搬送手段を、硬貨判別手段及び金種別の硬貨シュータが直線的に配列される構造より短くすることができ、装置の小型化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例を示す平面図
【図2】第1の実施例を示す側面図
【図3】第2の実施例を示す選別ユニットの平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による硬貨処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例を示す平面図、図2はその側面図である。図において1は硬貨繰出しユニットで、この硬貨繰出しユニット1は、上面側の開口を硬貨投入口とした漏斗状のホッパ2の直下に、水平に回転する繰出しディスク(繰出し円板)3を配置し、繰出しディスク3の外周側に、硬貨Cが1枚挟まらない程度の隙間を開けて円筒状の円板ガイド部材7を設けたものとなっている。
【0010】
該繰出しディスク3には中心軸4が設けられていて、この中心軸4には繰出しモータ5の回転軸に取付けたギア6aと噛合うギア6bが固定され、これにより繰出しディスク3は繰出しモータ5によりギア6a、6bを介して回転するようになっている。
繰出しディスク3の外周側に設けられた円板ガイド部材7は、繰出しディスク3を底面として、例えば100以上の硬貨を収容できる空間を確保できる高さを有し、その一部には、硬貨が1枚だけ通過できるように開口した繰出し口8が設けられている。この繰出し口8の幅及び高さは円板ガイド部材7とは別部材により形成してもよい。
【0011】
9は繰出し口8に続くように設けられた硬貨通路で、この硬貨通路9には硬貨Cを上下から挟持して搬送する搬送ローラ10a、10bが設けられ、搬送ローラ10aは搬送モータ11によりギア12a、12bを介して回転するものとなっており、ここで、ギア12aは搬送モータ11の回転軸に取り付けられ、ギア12bは搬送ローラ10aの中心軸に取付けられていて、互いに噛合っている。
28は搬送ローラ10の近傍に設けられた繰出し前段センサである。
【0012】
13は硬貨通路9の終端側に配置された搬送ユニットで、この搬送ユニット13は円形で硬貨通路9に続く部分に開口部21が設けられた短円筒形の外周壁面14と、この外周壁面14の底部を閉塞する円板状の水平な底面15で周囲が構成されており、その底面15は搬送ローラ10a、10bによって挟持された硬貨Cの底面よりわずかに低くなるように設定されている。
【0013】
外周壁面14の内部には第1の搬送ディスク(第1の搬送円板)16が設けられており、この第1の搬送ディスク16は底面15上で水平に回転するようになっている。第1の搬送ディスク16の外周部には、U字状に切欠いた複数の硬貨受容部17が等間隔で設けられており、各硬貨受容部17は最大径の硬貨である500円硬貨を受容できる幅を有し、それぞれ硬貨が1枚だけ保持可能なように形成されている。
【0014】
第1の搬送ディスク16には中心軸18が設けられていて、搬送ローラ10a、10bによる硬貨Cの搬送方向は、この中心軸18に対して少しずらして設定されている。また中心軸18には搬送モータ19の回転軸に取付けたギア20aと噛合うギア20bが固定され、これにより第1の搬送ディスク16は搬送モータ19によりギア20a、20bを介して回転し、硬貨受容部17に入った硬貨を外周壁面14に沿って搬送するようになっている。
【0015】
第1の搬送ディスク16上には硬貨受容部17の列の内側に位置するようにリング状の遮蔽部材23が取付けられていて、この遮蔽部材23を挟んで対向する発光素子と受光素子からなる位置検知センサ22が設けられており、そして遮蔽部材23には硬貨受容部17に対応して位置検知センサ22をオン、オフするように円周上に等間隔にスリットが形成されている。
【0016】
また、搬送ユニット13には、硬貨通路9と対向した硬貨受容部17内の硬貨Cの有無を検知する第1の硬貨検知センサ24が設けられ、かつ第1の搬送ディスク16の回転により搬送される硬貨Cの搬送軌跡上に臨む位置に判別センサ25a、25b、25cが設けられていて、これら判別センサ25a、25b、25cは、第1の搬送ディスク16のいずれかの硬貨受容部17が硬貨通路9と対向したときに、それぞれが他の硬貨受容部17間に位置(図1で示す位置)するように配置されている。
【0017】
硬貨Cの搬送方向における判別センサ25cの下流側には硬貨受渡しエリア26が設けられ、更に硬貨受渡しエリア26の下流側にはリジェクト硬貨排出口27が設けられている。このリジェクト硬貨排出口27は底面15にあけられた穴であるが、通常は図示しない遮蔽部材で塞がれており、リジェクト硬貨発生時に遮蔽部材をスライド移動させることによって、そのリジェクト硬貨が下方へ落下して図示しない硬貨返却口に導かれるようになっている。
【0018】
このリジェクト硬貨排出口27は、第1の搬送ディスク16の1つの硬貨受容部17が図1に示したように硬貨通路9と対向したときに、別の硬貨受容部17が止まる位置になっているが、これ以外の位置に設けることも可能である。
【0019】
32は搬送ユニット13と隣接するように配置された選別ユニットで、搬送ユニット13の外周壁面14と底面15及び第1の搬送ディスク16と同様の外周壁面29と底面30及び第2の搬送ディスク(第2の搬送円板)33を備えており、硬貨受渡しエリア26はこの選別ユニット32と搬送ユニット13の互いの外周壁面14、29を切欠いた部分に設けられていて、硬貨受渡しエリア26には、搬送ローラ35が搬送ユニット13の底面15と選別ユニット32の底面30に跨るように設けられている。
【0020】
この搬送ローラ35は搬送モータ36によりギア37a、37bを介して回転して、底面15、30との間に硬貨Cを挟持して搬送するものとなっており、ここで、ギア37aは搬送モータ36の回転軸に取り付けられ、ギア37bは搬送ローラ35の中心軸に取付けられていて、互いに噛合っている。
【0021】
第2の搬送ディスク33の外周部には、第1の搬送ディスク16の硬貨受容部17と同様の硬貨受容部38が設けられており、第2の搬送ディスク33には中心軸39が設けられていて、中心軸39には搬送モータ19の回転軸に取付けたギア20aとギア20cを介して噛合うギア20dが固定され、これにより第2の搬送ディスク33は第1の搬送ディスク16を回転させる搬送モータ19によりギア20a、20c、20dを介して第1の搬送ディスク16の回転方向(図1では時計回り方向)と逆の方向(図1では反時計回り方向)に回転し、硬貨受容部38に入った硬貨を外周壁面14に沿って搬送するようになっている。
【0022】
つまり、第2の搬送ディスク33は第1の搬送ディスク16と搬送モータ19を共用し、搬送モータ19の駆動により第1の搬送ディスク16と同期して後述するように間欠回転するものとなっており、各々の硬貨受容部38と17の位置は位置検知センサ22のオン、オフに基づいて管理されるものとなっている。
【0023】
尚、搬送ローラ35による硬貨Cの搬送方向は、第2の搬送ディスク33の中心軸39に対してずらして設定され、また第1の搬送ディスク16の中心軸18に対してもずらして設定されている。
また、選別ユニット32には、硬貨受渡しエリア26と対向した硬貨受容部38内の硬貨Cの有無を検知する第2の硬貨検知センサ31が設けられている。
【0024】
一方、搬送ユニット13の底面15には各金種の硬貨Cを選別して落下させる選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fが設けられており、これらの選別孔34a〜34fは各金種の硬貨に対応し、各金種の硬貨Cの直径に応じた大きさに設けられるが、搬送方向と直交する方向の長さが搬送方向の長さより若干長い楕円形になっている。これらの選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fは、硬貨Cの直径が小さい方から順に配置されている。つまり選別孔34aは1円硬貨、選別孔34bは50円硬貨、選別孔34cは5円硬貨、選別孔34dは100円硬貨、選別孔34eは10円硬貨、選別孔34fは500円硬貨に対応するものとなっている。
【0025】
上述した構成の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
【0026】
まず、硬貨繰出しユニット1のホッパ2上面の硬貨投入口から硬貨を一括投入すると、それらの硬貨2はホッパ2により繰出しディスク3上に導かれて集積される。この硬貨Cの投入が図示しないセンサにより検知されると、繰出しモータ5が駆動され、繰出しディスクが図1に矢印で示したように反時計方向に回転し、その遠心力により硬貨Cを外側へ押出すが、円板ガイド部材7に開口された繰出し口8により硬貨Cは規制されて1枚ずつ硬貨通路9に繰出される。
【0027】
繰出された硬貨Cは搬送ローラ10aが回転していないときはそのまま滞留し、搬送モータ11が駆動されて搬送ローラ10aが回転すると、硬貨Cは搬送ローラ10a、10bにより挟持されて搬送ユニット13側に搬送される。
【0028】
また、搬送ユニット13の第1の搬送ディスク16は搬送モータ19により回転するが、遮蔽部材23によって位置検知センサ22のオンからオフへの変化をトリガとして硬貨受容部17が硬貨通路9と対向する位置で一旦停止させ、予め設定した時間だけ停止した後、再度回転するように制御する。この場合、遮蔽部材23のスリットは等間隔配置のため、一定の間隔で間欠的に第1の搬送ディスク16は回転する。
【0029】
搬送ローラ10a、10bにより挟持された硬貨Cを繰出し前段センサ28が検知すると、位置検知センサ22と同期を取って硬貨受容部17が硬貨通路9に対向する位置、つまり硬貨Cを受入れ可能な位置になる状態で第1の搬送ディスク16が停止するよう搬送モータ19の駆動を止め、その後、搬送モータ11を駆動することで搬送ローラ10a、10bを回転して硬貨受容部17に硬貨Cを送込む。
【0030】
尚、搬送ユニット13の底面15は搬送ローラ10a、10bによって挟持された硬貨Cの底面よりわずかに低くなるように設定されているため、引掛りなくスムーズに送込むことができる。
硬貨Cが硬貨受容部17に送込まれ、その硬貨Cが第1の硬貨検知センサ24により検知されると、搬送モータ11の駆動が一時的に停止され、搬送ユニット13への硬貨Cの受渡しが終了する。その後、搬送モータ19の駆動が再開されて第1の搬送ディスク16が回転する。
【0031】
以上の動作を連続的に行うことで、繰出しユニット1に投入された硬貨Cを順次搬送ユニット13に搬送し、第1の搬送ディスク16の各硬貨受容部17に硬貨Cを1枚ずつ送込んでゆく。
尚、繰出し前段センサ28による硬貨Cの検知(オン)と位置検知センサ22の遮蔽部材23によるオンの条件が合わない場合、つまり受入れ可能な位置に硬貨受容部17が無い場合、搬送モータ11は次の硬貨受容部が受け入れ可能な位置に来るまで停止するようにする。
【0032】
また、搬送ローラ10a、10bによる硬貨Cの搬送方向は、第1の搬送ディスク16の回転軸18に対して少しずれて設定されているため、硬貨受容部17に対して硬貨Cは斜めに進入することになり、そして第1の搬送ディスク16は搬送ローラ10a、10bから逃げる方向に回転するので硬貨Cが搬送ローラ10a、10bと第1の搬送ディスク16の間に挟まってロックされることを防止することができる。
【0033】
第1の搬送ディスク16の硬貨受容部17に送込まれた硬貨Cは、第1の搬送ディスク16の間欠回転により外周壁14に沿って間欠搬送され、その搬送途中でこれにより硬貨Cは判別センサ25a、25b、25cの位置を通過する。このとき認識センサ25a、25b、25cは、間欠搬送1回に付き1センサ上を通過する硬貨Cの各種特性値(大きさ、孔の有無、材質等)を取得し、すべてのセンサ取得値を用いて判別手段(制御部)が硬貨Cの真偽、金種を判別する。
【0034】
その結果、硬貨Cが真で金種が判明した正常硬貨であれば、その硬貨Cは硬貨受渡しエリア26に搬送した後、搬送モータ36を駆動することで搬送ローラ35を回転させ、搬送ローラ35と底面15、30で硬貨Cを挟持して選別ユニット32に搬送し、第2の搬送ディスク33の硬貨受容部38に硬貨Cを送込む。
【0035】
この場合も搬送ローラ35による硬貨Cの搬送方向は、第2の搬送ディスク33の回転軸39に対して少しずれて設定されているため、硬貨受容部38に対して硬貨Cは斜めに進入することになり、そして第2の搬送ディスク33は搬送ローラ35から逃げる方向に回転するので硬貨Cが搬送ローラ35と第2の搬送ディスク33の間に挟まってロックされることを防止することができる。硬貨受容部38に送込まれた硬貨Cは、第2の硬貨検知センサ31により検知される。
【0036】
尚、本実施例では図示していないが、搬送ローラ35の下に同様の搬送ローラを設け、搬送ローラ10a、10bのようにローラ同士で硬貨Cを挟持して搬送するようにしてもよい。
【0037】
選別ユニット32の第2の搬送ディスク33は、第1の搬送ディスク16と搬送モータ19を共用しており、従って第2の搬送ディスク33は、搬送モータ19の駆動により第1の搬送ディスク16と共に間欠回転し、その回転にともなって各硬貨受容部38に硬貨Cが送込まれ、そして硬貨受容部38に送込まれた硬貨Cは第2の搬送ディスク33の回転により搬送されて金種に該当する選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fのいずれかに搬送されたとき、該当選別孔に落下する。落下した硬貨が目的の選別孔に落下したかの成否については、各孔に設けられた図示しない落下検知用のセンサにより確認する。
【0038】
また、落下した硬貨は金種別に一時集積部に集積され、投入されたすべての硬貨Cの判別、計数後、計数結果を図示しない表示部に表示して、硬貨投入者が入金を指示する入力を行うと、一時集積部に集積された硬貨Cを金種別に収納部に収納する。
以上は正常硬貨の場合の動作であるが、前記の判別により偽あるいは金種不明等の異常のあるリジェクト硬貨と判別された場合、その硬貨Cが第1の搬送ディスク16の回転により硬貨受渡しエリア26に搬送された際、搬送ローラ35は回転しないように保たれる。
【0039】
この搬送ローラ35の向きは第1の搬送ディスク16の中心軸18に対してずらして設定されているため、硬貨受容部17に対して斜めに位置していることになり、そして第1の搬送ディスク16は搬送ローラ35から逃げる方向に回転するので、リジェクト硬貨である硬貨Cが第1の搬送ディスク16と搬送ローラ35の間に挟まってロックされることを防止することができる。その後、リジェクト硬貨はリジェクト硬貨排出口27に搬送され、リジェクト硬貨排出口27から図示しない返却部に導かれて硬貨投入者に返却される。
【0040】
以上説明したように、第1の実施例では、外周部にU字状に切欠いた複数の硬貨受容部17を設けた回転可能な第1の搬送ディスク16を有する搬送ユニット13と、外周部に硬貨受容部17と同様に硬貨受容部38を設けた回転可能な第2の搬送ディスク33を有する選別ユニット32を隣接させて設け、搬送ユニット13の第1の搬送ディスク16の回転により、該第1の搬送ディスク16の硬貨受容部17に収納した硬貨Cを搬送する際、硬貨の真偽、金種を判別し、その硬貨Cを選別ユニット32の第2の搬送ディスク33に設けた硬貨受容部38に移して、第2の搬送ディスク33の回転により硬貨Cをその金種に該当する選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fのいずれかに搬送して落下させるようにしているため、硬貨の搬送路長を、硬貨判別手段及び金種別の硬貨シュータを直線的に配列する構造より短くすることができ、装置の小型化を図ることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0041】
図3は本発明の第2の実施例を示す選別ユニットの平面図である。
この第2の実施例は、搬送金種選別ディスクユニット32の選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fに、開閉動作するガイド40a、40b、40c、40d、40e、40fを配置したもので、各ガイドは図示しないモータとギア、あるいはソレノイド等の駆動機構により個々に動作するものとなっている。
【0042】
ここで、例えばガイド40aは、破線で示したように外周壁面29よりも外側につまり選別孔34aに完全に掛からない位置まで水平移動したときを開状態とし、実線で示したように外周壁面29内側で選別孔34aを覆う位置に移動したときを閉状態として、落下させるべき金種以外の硬貨Cが搬送されてきたときは、その硬貨Cが選別孔34aに落下しないように閉状態を保つように判別金種に応じて開閉が制御されるものなっている。
【0043】
ガイド40b、40c、40d、40e、40fも同様になっており、このようにすることで選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fの大きさ(直径)を同一にすることができので、選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fに任意の金種を割当てている。
尚、図3では図示していないが、硬貨繰出しユニット1及び搬送ユニット13等は第1の実施例と同様であり、したがって以下の動作について硬貨繰出しユニット1及び搬送ユニット13等は図1、図2のものを参照する。
【0044】
上述した構成の作用について説明する。
硬貨繰出しユニット1、搬送ユニット13の動作は第1の実施例と同様で、硬貨Cの真偽、金種の判別を実施した後、硬貨受渡しエリア26から選別ユニット32に硬貨Cの受渡しを行い、第2の搬送ディスク33の硬貨受容部38に硬貨Cを送込む。硬貨受容部38に送込まれた硬貨Cは、第2の硬貨検知センサ31により検知される。
【0045】
硬貨受容部38に送込まれた硬貨Cは、搬送ユニット13での金種の判別結果に基づいて選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fのいずれかに搬送される。例えば、硬貨受容部38に送込まれた硬貨Cが100円硬貨であって、その金種に選別孔34eが割当てられている場合、硬貨Cは第2の搬送ディスク33の回転により目標の選別孔34eに搬送される。
【0046】
こうして硬貨Cが選別孔34eに搬送されると、図示しない駆動機構によってガイド40eを開状態まで水平移動し、これにより硬貨Cは選別孔34eに落下してゆき、このときの硬貨Cの落下は図示しないセンサにより検知され、落下確認後、前記駆動機構によってガイド40eを閉状態にする。落下した硬貨は金種別に一時集積部に集積される。
【0047】
他の金種の硬貨についても同様の処理が行われ、投入されたすべての硬貨Cの判別、計数後、計数結果を図示しない表示部に表示して、硬貨投入者が入金を指示する入力を行うと、一時集積部に集積された硬貨Cを金種別に収納部に収納する。
【0048】
以上説明した第2の実施例では、選別ユニット32の選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fにガイド40a、40b、40c、40d、40e、40fを設け、このガイド40a、40b、40c、40d、40e、40fの開閉動作を制御することで選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fから該当金種の硬貨Cを落下させるようにしているため、第1の実施例と同様の効果が得られると共に、選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fの直径を同一にして、これにより選別孔34a、34b、34c、34d、34e、34fに任意の金種を割当てることが可能となり、利便性が向上する効果が得られ、またガイド40a、40b、40c、40d、40e、40fの開閉動作により硬貨Cを該当する選別孔に確実に落下させることができるので、硬貨Cの誤落下を防止することができるという効果が得られる。
【0049】
尚、上述した各実施例では、搬送ユニット13の硬貨受渡しエリア26とリジェクト硬貨排出口27について、リジェクト硬貨排出口27を硬貨搬送方向における硬貨受渡しエリア26の下流側に設けるものとしたが、逆の配置にすることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 硬貨繰出しユニット
2 ホッパ
3 繰出しディスク
7 円板ガイド部材
8 繰出し口
9 硬貨通路
10a、10b 搬送ローラ
13 搬送ユニット
14 外周壁面
15 底面
16 第1の搬送ディスク
17 硬貨受容部
21 開口部
22 位置検知センサ
23 遮蔽部材
24 第1の硬貨検知センサ
25a、25b、25c 判別センサ
26 硬貨受渡しエリア
27 リジェクト硬貨排出口
29 外周壁面
30 底面
31 第2の硬貨検知センサ
32 選別ユニット
33 第2の搬送ディスク
34a、34b、34c、34d、34e、34f 選別孔
35 搬送ローラ
38 硬貨受容部
40a、40b、40c、40d、40e、40f ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に複数の硬貨受容部を設けた回転可能な第1の搬送ディスクを有する搬送ユニットと、外周部に複数の硬貨受容部を設けた回転可能な第2の搬送ディスクを有しかつ硬貨の各金種に対応した複数の選別孔を有する選別ユニット32を設け、
繰出しユニットから繰出される硬貨を前記搬送ユニットの第1の搬送ディスクに設けた硬貨受容部に1枚ずつ送込み、前記第1の搬送ディスクの回転により搬送される硬貨の真偽、金種を判別した後、前記硬貨を前記選別ユニットの第2の搬送ディスクに設けた硬貨受容部に受渡し、前記第2の搬送ディスクの回転により硬貨をその金種に該当する選別孔に搬送して落下させることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の硬貨処理装置において、
前記搬送ユニットと前記選別ユニット32を隣接させて設けたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の硬貨処理装置において、
前記複数の選別孔は該当金種の直径に応じた大きさに設けられていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の硬貨処理装置において、
前記複数の選別孔は同じ大きさに設けられ、各選別孔に個々に開閉するガイドを設けて、各選別孔に任意の金種を割当て、金種の判別結果に応じて前記ガイドの開閉を制御することを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の硬貨処理装置において、
前記搬送ユニットに、リジェクトと判別された硬貨を落下させるリジェクト硬貨排出口を備えたことを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−104033(P2012−104033A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253960(P2010−253960)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】