説明

硬貨処理装置

【課題】搬送回転ディスクによって硬貨を搬送する方式の硬貨処理装置の小型化を図るための手段を提供する。
【解決手段】複数の硬貨受容部17を配した搬送回転ディスク16と、硬貨鑑別部25a、25b、25cと、正常硬貨を落下させる正常硬貨排出口27を配した搬送ガイド底面15とを有する搬送ディスクユニット13を備え、搬送ディスクユニット13の下方に搬送回転ディスク16と同形で硬貨受容部32を複数配した選別ディスク30と、選別ディスク30による硬貨の搬送経路に沿って複数の金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fを配した選別ガイド底面29とを有する金種選別ユニット28を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一括して投入された複数枚の硬貨を1枚ずつ繰出して搬送する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨処理装置は、複数枚の硬貨の投入を一括して受け入れて各硬貨についての真偽、金種を鑑別し、その結果に応じて硬貨を振分けており、硬貨を選別するための部位として円盤状のハウジングを形成し、そのハウジングにリジェクト硬貨を落とす孔および正常な硬貨を落とす孔とを設けた円底面と、その円底面上に硬貨を1枚ずつすくい上げるための複数の切欠きを有しすくい上げた硬貨を搬送する搬送回転ディスクとを設け、ハウジングに搬送した硬貨を上記の2つの孔の何れかに落としてリジェクト硬貨と正常硬貨とに分けている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、他の態様の硬貨処理装置として、所定のピッチでピンを突設したチェーンをループ状にスプロケットに巻きつけ、ピンの間で硬貨を保持した状態でチェーンを回転させ硬貨を搬送するものもあり、このような搬送方法の場合、硬貨の金種分だけ設けた複数のシュータ区画と、搬送されてくる硬貨を各シュータ区画側に押出す複数の押出ピンを配置し、チェーンの回転によって搬送する硬貨をその金種に応じたシュータ区画に落下させるように対応する押出ピンの突出を制御している(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−229513号公報(段落「0010」−段落「0011」)
【特許文献2】特開2006−252357号公報(段落「0012」−段落「0013」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、円盤状のハウジングを設けた場合に、その円底面の孔に落とした正常硬貨を金種別に振り分けるために特許文献2に示すような態様の搬送路を配し、硬貨を該当する金種のシュータ区画に落とすようにしているが、ハウジングの下方に搬送路を配する空間を確保し、押出ピン等の機構を設ける必要があるために装置が大型化する問題がある。
【0006】
また正常硬貨を落とす孔を円底面に設ける代わりに、硬貨を金種ごとに落下させるための複数の孔を設ける方法が考えられるが、円底面は孔の数が増えるとその面積を大きくしなければならず、さらにそれに合わせて搬送回転ディスクを大きくしそこに設ける切欠きの数を増やさなければならないので、ハウジング自体が大きくなってやはり装置が大型化してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、水平に回転し外周に硬貨を1枚ずつ保持する受容部を複数配した回転ディスクと、前記受容部に保持された硬貨の搬送経路上に配されて搬送されてきた硬貨を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部が鑑別した正常硬貨を落下させる正常硬貨排出口を配したガイド底面とを有する搬送ディスクユニットを備えた硬貨処理装置であって、前記搬送ディスクユニットの下方に、回転ディスクと同形で前記正常硬貨排出口から落下した硬貨を保持する第2の受容部を複数配した選別ディスクと、前記第2の受容部によって保持された硬貨の搬送経路に沿って複数の落下穴を配した選別ガイド底面とを有する金種選別ユニットを設け、前記金種選別ユニットに落下し、前記第2の受容部で保持した硬貨を前記選別ディスクの回転によって搬送し、各落下穴に所定の金種の硬貨のみを落下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、金種選別ユニットを新たに設けたので、金種別に硬貨を振り分けるための搬送路を形成する場合や、搬送回転ディスクおよび円底面を大きくすることで硬貨を金種別に振り分ける場合と比較し、装置内を占有する空間を小さく抑えて装置の小型化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の硬貨処理装置を示す説明図
【図2】搬送回転ディスクを上方から見た様子を示す説明図
【図3】実施例1の金種選別ユニットを示す上面図
【図4】実施例2の金種選別ユニットを示す説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による硬貨処理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の硬貨処理装置を示す説明図である。
図1において、1は硬貨処理装置である。
2は入金ホッパであり、上部に大きく開口した投入口2aを有し、該投入口2aの開口縁から下方に向かって徐々に径が縮小する逆円錐状や逆角錐状の斜面が形成されている。
【0012】
3は回転円盤であり、入金ホッパ2の下方に配置されており、中心部に挿通する回転軸4に固定され支持されている。
回転軸4は、入金ホッパ2に対向する端部と反対側となる下端部にギア5aを取り付けている。ギア5aに、繰出しモータ6の駆動を伝達させるギア5bを噛み合わせたことによって繰出しモータ6の駆動がギア5b、ギア5aを介して回転軸4に伝達し、回転円盤3が回転する。
【0013】
7は円盤ガイド部材であり、回転円盤3の回転による遠心力で硬貨が外側に飛び出すのを規制するための回転円盤3の外周を囲む円筒状の周壁である。
8は放出部であり、回転円盤3の上面から硬貨一枚分の厚さを超えて2枚分の厚さ未満の隙間が空くように円盤ガイド部材7の一部を切り欠いて設けられ、回転円盤3に集積された硬貨を1枚ずつ通過させて分離する機能を有する。
【0014】
9は硬貨通路であり、放出部8を通過した硬貨を搬送する部位であり、上下一対の搬送ローラ10を配し、そのローラ間で硬貨を狭持搬送する。
一対である搬送ローラ10は、一の側の搬送ローラ10が後述の図2に示すモータ10aからの駆動力を伝達するための図2で示す伝達機構10bと接続して回転し、他の側の搬送ローラ10は図示しない付勢部材によって一の側のローラ側に押し付けられることで、従動して回転する。
【0015】
12は繰出し前段センサであり、放出部8によって分離され搬送ローラ10間に狭持された硬貨を検知する機能を有する。
13は搬送ディスクユニットであり、外周壁面14や搬送ガイド底面15、搬送回転ディスク16等によって構成されている。
外周壁面14は、円筒状に形成された壁面であって硬貨通路9から続く部分に開口が設けられ、その開口を通して搬送ローラ10によって狭持搬送されてきた硬貨が搬送ディスクユニット13に進入する。
【0016】
搬送ガイド底面15は、搬送ローラ10によって硬貨を狭持したときの硬貨下面よりもわずかに低い位置で形成され、搬送ディスクユニット13に搬送されてきた硬貨の下面を支える。
搬送回転ディスク16は、搬送ガイド底面15上に配置され、ディスク回転モータ19からの回転駆動がギア列20を介して中心部の回転軸18に伝達することによって回転する。
【0017】
ここで、図2は搬送回転ディスクを上方から見た様子を示す説明図である。
図2に示すように、搬送回転ディスク16の外周部には、硬貨を一枚だけ保持可能なU字状に切欠いた硬貨受容部(第1の受容部)17が等間隔で複数(本実施例では8箇所)形成されている。
図2に示すように搬送ローラ10による硬貨の搬送方向を直線的に延ばしたときに、その方向は搬送回転ディスク16の回転中心よりもわずかに上方にずれるように搬送ローラ10の向きや搬送ディスクユニット13の配置が決められている。
【0018】
これにより、図2において搬送回転ディスク16に重ねて表示した太線の矢印で示す搬送回転ディスク16の回転方向に沿うように硬貨を搬送ディスクユニット13に進入させることができ、硬貨が外周壁面14と硬貨受容部17との間で引っ掛かる等の搬送エラーの発生を防いでいる。
【0019】
図1、図2において、22は位置決め部材であり、搬送回転ディスク16上に同軸で立設された円筒部材であってその円筒壁の上端部にスリットを複数形成する。
位置決め部材22のスリットは、硬貨受容部17と所定の位相ずれた状態で並ぶように所定の間隔で形成されている。
【0020】
23は位置検知センサであり、発光部と受光部とからなる光学式のセンサであって、位置決め部材22の上方で、かつ硬貨通路9の近傍に位置しており、発光部と受光部間で位置決め部材22の円筒壁を挟み込むように配置されている。
位置検知センサ23は、位置決め部材22の上端が凸状になっている部分が発光部と受光部の間にあるときは発光部から受光部へ向かう光が遮られ、この状態をON状態と認識し、位置決め部材22のスリットが形成された部分が発光部と受光部の間にあるときには発光部からの光が受光部に到達しこの状態をOFF状態と認識する。
【0021】
なお、位置決め部材22のスリットが硬貨受容部17の位置から所定の位相ずらした配置としていることから、位置検知センサ23によるON、OFF状態を監視しながら搬送回転ディスク16を回転させることで、硬貨受容部17の位置決めが可能となる。
本実施例ではOFF状態で搬送回転ディスク16を停止させたときに硬貨通路9から進入してくる硬貨が硬貨受容部17に搬入され、硬貨受容部17に保持される状態となる。
【0022】
図2において、25a、25b、25cは硬貨鑑別部(鑑別部)であり、例えば搬送回転ディスク16上に配された磁気センサ等であって硬貨の外径や孔の有無等の硬貨の特性値を取得し、硬貨の正損、真偽、金種等を鑑別すると共に、硬貨の金種ごとの枚数を計数する機能を有する。
硬貨鑑別部25a、25b、25cは、搬送回転ディスク16による硬貨の移動経路上で、かつ上記の硬貨受容部17と略同様の間隔で配置される。
【0023】
26はリジェクト硬貨排出口であり、硬貨の搬送方向の最下流に位置する硬貨鑑別部25cよりも更に下流側で搬送ガイド底面15に設けられ、硬貨鑑別部25a、25b、25cによって偽硬貨や外国硬貨等と鑑別されたリジェクト硬貨を落下させて排出する穴であって、リジェクト硬貨が搬送されてきたときに開作動するスライド式等のリジェクト硬貨排出口シャッタ26aが設けられている。
なお、リジェクト硬貨排出口26の下方には図示しないシュータが取り付けられており、リジェクト硬貨はそのシュータを介して硬貨返却口へと送られて返却される。
【0024】
27は正常硬貨排出口であり、搬送方向に沿ったリジェクト硬貨排出口26よりも下流側の搬送ガイド底面に設けられた穴であり、全金種の硬貨を落下させることが出来る大きさの開口となっている。
なお、搬送ディスクユニット13には、硬貨を検知する図示しないセンサを複数配置しており、その図示しないセンサによって搬送回転ディスク16によって移動する硬貨の位置を検知している。
【0025】
図1において、28は金種選別ユニットであり、搬送ディスクユニット13の下方に配置され、搬送回転ディスク16と同一の回転軸18に中心が固定された選別ディスク30や、その選別ディスク30を回転可能な状態で支持する選別ガイド底面29、さらに上記搬送ディスクユニット13と共通する外周壁面14が側壁となり、これらの要素で構成され、正常硬貨排出口27からの硬貨の落下先となる。
【0026】
図3は実施例1の金種選別ユニットを示す上面図である。
図3に示すように、選別ディスク30は、搬送回転ディスク16と略同一の大きさと形状で、上述した硬貨受容部17と同様の硬貨受容部(第2の受容部)32を等間隔で複数形成し、その硬貨受容部32が搬送回転ディスク16に設けた硬貨受容部17と同期した箇所に位置する。
【0027】
選別ディスク30は、回転軸18に固定されていることから、搬送回転ディスク16と同様にディスク回転モータ19からギア列20を介して回転軸18に伝達した回転駆動に従って回転する。
選別ガイド底面29は、上記搬送ガイド底面15と略同一の大きさと形状に形成され、硬貨を金種別に落下させるための複数の金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fを有する。
【0028】
金種選別落下口は、前記正常硬貨排出口27から落下した硬貨を載置する所定の場所を始点に、図3の矢印で示す選別ガイド底面29の回転方向に沿って金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fの順に並び、金種選別落下口31aが最も開口が小さく、31b、31c、31d、31e、31fの順に徐々に開口が大きくなる。
【0029】
これによって、選別ガイド底面29に落下した硬貨は、選別ディスク30の硬貨受容部32に入り込んだ状態になり、その後選別ディスク30の回転によって搬送されてその外径の大きさに応じた金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fに落下する。
落下した硬貨は、選別ガイド底面29よりも更に下方に設けられた図示しない金種別硬貨収納部等へと送られて金種別に収納される。
【0030】
上述した構成の作用について説明する。
投入口2aに一括して投入された硬貨は、入金ホッパ2の斜面を滑り落ちて回転円盤3上に集積する。
回転円盤3は、繰出しモータ6の駆動によって回転し、遠心力により硬貨を円盤ガイド部材7側に寄せていく。円盤ガイド部材7側に寄せられた硬貨は、放出口8から1枚ずつ硬貨通路9に放出される。硬貨通路9に放出された硬貨は、搬送ローラ10間で狭持搬送されて搬送ディスクユニット13側へと搬送される。
【0031】
このとき繰出し前段センサ12が硬貨を検知したタイミングで、位置検知センサ23がOFF状態になる位置まで搬送回転ディスク16を回転させて停止させ、硬貨通路9から搬送されてくる硬貨が硬貨受容部17に確実に搬入される状態にしておく。
そして、搬送回転ディスク16の回転を停止させてから、予め設定された時間停止した後、位置検知センサ23がON状態になって再びOFF状態になるように搬送回転ディスク16を回転させる。
【0032】
このような搬送回転ディスク16の回転制御を連続的に行っていくことで、硬貨通路9から1枚ずつ搬送されてくる硬貨を確実に硬貨受容部17に搬入させていき、既に硬貨受容部17に保持された硬貨については、搬送回転ディスク16の回転によって硬貨鑑別部25a、25b、25cに向けて移動し、硬貨鑑別部25a、25b、25cを通過していく。
【0033】
硬貨が硬貨鑑別部25a、25b、25cを通過する際に、各硬貨鑑別部25a、25b、25cが硬貨の特性値を取得すると共に、その硬貨の真偽や金種を鑑別する。そして、鑑別結果からリジェクト硬貨と鑑別した硬貨については、その硬貨が搬送されてくるタイミングに合わせてリジェクト硬貨排出口シャッタ26aを開放し、リジェクト硬貨排出口26に落下させる。
【0034】
一方、鑑別結果から正常な硬貨であると鑑別した硬貨については、リジェクト硬貨排出口シャッタ26aを閉じておくことで、リジェクト硬貨排出口26上を通過させて更にその先に配した正常硬貨排出口27へと移動させていく。正常硬貨排出口27から落下した硬貨は、下方に配されている金種選別ユニット28内の選別ガイド底面29上に落下する。
【0035】
選別ガイド底面29に落下した硬貨は、選別ディスク30の硬貨受容部32に落ち、その状態で選別ディスク30の回転によって硬貨受容部32に落ちた硬貨を移動させ、金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fへと搬送していく。
【0036】
そして、開口の大きさが異なる金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fのいずれかに硬貨が落下し、図示しない金種別硬貨収納部に硬貨が搬送されて金種別に収納される。
【0037】
以上説明したように、本実施例では、搬送ディスクユニットの下方に金種選別ユニットを配置し、搬送ディスクユニットで正常と鑑別した硬貨を金種選別ユニットに落下させ、その金種選別ユニットに落下した硬貨をその外形に応じた所定の金種選別落下口に落下させて金種別に硬貨を収納するようにしたことにより、搬送ディスクユニットと金種選別ユニットとを縦に並べればよく、この2つのユニットが装置内で占有する空間を小さく抑えることができるので、装置自体の小型化を図ることが出来る。
【実施例2】
【0038】
図4は実施例2の金種選別ユニットを示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、図4に示すように金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fの上方を覆う複数の上蓋部40を設け、上蓋部40を図示しない移動機構によって金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31f上を覆う位置とその覆う位置から選別ガイド底面29の外側まで退避した位置の間をスライド移動によって往復可能に構成した点が上記実施例1と相違する。
【0039】
そのため、選別ガイド底面29および金種選別ユニット28の側壁になっている外周壁面14は、各上蓋部40のスライド移動を妨げないように一部が切欠かれている。
また、上蓋部40は覆う位置にあるときにはその上を硬貨が通過するように、上面高さが選別ガイド底面29の上面と略同一の高さになっている。
【0040】
本実施例では金種選別ユニット28内で搬送される硬貨を検知するための図示しない搬送検知センサを複数設け、これによって選別ディスク30の回転によって搬送される硬貨の位置を検知している。
【0041】
上述した構成の作用について、金種選別ユニット28に落下して選別ガイド底面29に載置された硬貨を金種選別落下口31aから落下させる場合について説明する。
上記実施例1と同様に、投入口2aに一括して投入された硬貨は、入金ホッパ2の斜面を滑り落ちて回転円盤3上に集積し、回転円盤3の回転の遠心力により円盤ガイド部材7側に寄せられる。
【0042】
円盤ガイド部材7側に寄せられた硬貨は、放出口8から1枚ずつ硬貨通路9に放出され、搬送ローラ10間に狭持され、搬送ローラ10の回転により搬送ディスクユニット13側へと搬送される。このとき繰出し前段センサ12が硬貨を検知したタイミングで、位置検知センサ23がOFF状態になる位置まで搬送回転ディスク16を回転させて停止させ、硬貨通路9から搬送されてくる硬貨が確実に硬貨受容部17に搬入される状態にしておく。
【0043】
そして、搬送回転ディスク16の回転を停止させてから、予め設定された時間停止した後、位置検知センサ23がON状態になって再びOFF状態になるように搬送回転ディスク16を回転させる。
このような搬送回転ディスク16の回転制御を連続的に行っていくことで、硬貨通路9から1枚ずつ搬送されてくる硬貨を確実に硬貨受容部17に保持していき、既に硬貨受容部17に保持された硬貨については、搬送回転ディスク16の回転によって硬貨鑑別部25a、25b、25cに向けて移動し、硬貨鑑別部25a、25b、25cを通過する。
【0044】
硬貨が硬貨鑑別部25a、25b、25cを通過する際に、各硬貨鑑別部25a、25b、25cは硬貨の特性値を取得すると共に、その硬貨の真偽や金種を鑑別する。
そして、鑑別結果からリジェクト硬貨と鑑別した硬貨については、その硬貨が搬送されてくるタイミングに合わせてリジェクト硬貨排出口シャッタ26aを開放し、リジェクト硬貨排出口26に落下させる。
【0045】
一方、鑑別結果から正常な硬貨であると鑑別した硬貨については、リジェクト硬貨排出口シャッタ26aを閉じておくことで、リジェクト硬貨排出口26上を通過させて更にその先に配した正常硬貨排出口27へと移動させていく。
正常硬貨排出口27から落下した硬貨は、下方に配されている金種選別ユニット28内の選別ガイド底面29上に落下する。
【0046】
そして選別ガイド底面29に落下してきた硬貨を搬送する際に、前記したように硬貨鑑別部25a、25b、25cが当該硬貨の金種を鑑別しているので、その鑑別した金種を落下させる穴を金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31e、31fから特定する。
【0047】
ここで、仮に金種選別落下口31aに落下させる場合は、金種選別落下口31aの上方を覆っている上蓋部40を図4の点線で示す金種選別落下口31aの上方から完全に退避した位置にまで移動させ、金種選別落下口31aを開放した開状態にしておく。
【0048】
そして、選別ディスク30の硬貨受容部32に入り込んだ当該硬貨を、選別ディスク30の回転によって搬送して金種選別落下口31aで落下させ、その硬貨の落下を図示しない落下検知センサによって検知したタイミングで開状態となっている金種選別落下口31aの上蓋部40を金種選別落下口31a上にスライド移動させて閉状態にする。
【0049】
また、先行する硬貨を金種選別落下口31fに落下させ、その後続の硬貨を金種選別落下口31dに落下させる場合、少なくとも先行する硬貨の搬送経路上において金種選別落下口31fに到達する途中に配された他の金種選別落下口31a、31b、31c、31d、31eを閉状態にするように各上蓋部40を位置させる。
また、落下先となる金種選別落下口31fを開状態とするように該当する上蓋部40をスライド移動させて退避させる。
【0050】
そのような状態で選別ディスク30によって各硬貨を搬送し、先行する硬貨が、後続の硬貨を落下させる金種選別落下口31dを通過したことを図示しない搬送検知センサによって検知したタイミングで金種選別落下口31dの上方を覆う上蓋部40をスライド移動させて金種選別落下口31dを開状態にする。
そのまま、選別ディスク30によって各硬貨を搬送することで、先行する硬貨を金種選別落下口31fに落下させ、後続の硬貨を金種選別落下口31dに落下させる。
【0051】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1の効果に加えて、選別ガイド底面と略同一面をなし金種選別落下口の上方を覆う上蓋部を配し、硬貨を搬送しているときに、該硬貨の金種に対応した落下先となる金種選別落下口を開状態にし、かつ該硬貨が落下先の金種選別落下口に到達する途中に配した他の金種選別落下口を閉状態にするように各上蓋部の位置を決定するため、搬送している硬貨が異なる金種選別落下口に落ちてしまう誤落下を防止することができる。
【0052】
なお、上記実施例2においてはそれぞれの金種選別落下口の大きさを落下させる金種の硬貨の外径に合わせた大きさにするものとして説明したが、上蓋部で上方を覆っていることからそれぞれが異なる大きさの穴に限るものではなく、統一した大きさの穴であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 硬貨処理装置
2 入金ホッパ
2a 投入口
3 回転円盤
4 回転軸
5a、5b ギア
6 繰出しモータ
7 円盤ガイド部材
8 放出部
9 硬貨通路
10 搬送ローラ
12 繰出し前段センサ
13 搬送ディスクユニット
14 外周壁面
15 搬送ガイド底面
16 搬送回転ディスク
17、32 硬貨受容部
19 ディスク回転モータ
20 ギア列
22 位置決め部材
23 位置検知センサ
25a、25b、25c 硬貨鑑別部
26 リジェクト硬貨排出口
26a リジェクト硬貨排出口シャッタ
27 正常硬貨排出口
28 金種選別ユニット
29 選別ガイド底面
30 選別ディスク
31a、31b、31c、31d、31e、31f 金種選別落下口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に回転し外周に硬貨を1枚ずつ保持する第1の受容部を複数配した搬送回転ディスクと、前記第1の受容部に保持された硬貨の搬送経路上に配されて搬送されてきた硬貨を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部が鑑別した正常硬貨を落下させる正常硬貨排出口を配した搬送ガイド底面とを有する搬送ディスクユニットを備えた硬貨処理装置であって、
前記搬送ディスクユニットの下方に、前記回転ディスクと同形で前記正常硬貨排出口から落下した硬貨を保持する第2の受容部を複数配した選別ディスクと、前記第2の受容部によって保持された硬貨の搬送経路に沿って複数の落下口を配した選別ガイド底面とを有する金種選別ユニットを設け、
前記金種選別ユニットに落下し、前記第2の受容部で保持した硬貨を前記選別ディスクの回転によって搬送し、搬送している硬貨をその金種に対応する落下口から落下させることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の硬貨処理装置において、
複数の前記落下口は、それぞれ開口の大きさが異なり、硬貨の搬送方向に沿う上流側から下流側にかけて徐々に開口が大きくなる順番に並べたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の硬貨処理装置において、
前記落下口の上方とそこから退避した位置との間を往復移動する上蓋部を前記各落下口に設け、
搬送する硬貨の金種に対応した落下口を開放し、該硬貨がその落下口に到達する途中に配した他の落下口を閉じておくように、各上蓋部の位置を決定することを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−113374(P2012−113374A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259609(P2010−259609)
【出願日】平成22年11月20日(2010.11.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】