説明

硬貨処理装置

【課題】 小型でかつ大径硬貨と小径硬貨との2種類に効率よく速く選別することができ、さらに硬貨を複数枚連続して投入された場合であっても誤選別することがない硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】 一方の通路側壁に設けた凸形状の第1のガイド21aを含み通路全体が湾曲した第1の硬貨通路41と、下流に対して下方に傾斜して設けたレール13を含みかつ第1のガイド21aと対向する通路側壁にレール13とレール13の硬貨転動面より上方に形成した第2のガイド14との間に形成した空間12を有する第2の硬貨通路42とを具え、第1の硬貨通路41内を落下する硬貨を受ける第1のガイド21a上部の傾斜面21bを利用して傾斜面21bを摺動しながら落下する硬貨を選別する第1の選別手段と、レール13と空間12を利用してレール13上を転動する硬貨を選別する第2の選別手段とを組み合わせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨(代用硬貨(トークン)、遊戯用メダル等を含む)の選別に関し、特に硬貨の外径の差異に基づいて硬貨を選別する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、硬貨処理装置には、少なくとも2種類の外径の硬貨を選別する外径選別部が配設されており、従来では、大径硬貨と小径硬貨との2種類の外径の硬貨を、落下させて選別するものと、傾いた姿勢でレール上を転動させて選別するものとがある。
【0003】
前者の硬貨を落下させて選別するものは、例えば、特開昭48−57697号公報に開示されているように、前記大径硬貨と小径硬貨との硬貨のうち、いずれかの硬貨が落下すると、その硬貨を斜面で受け、硬貨がその斜面に沿って滑り落ちることで硬貨の姿勢を変化させ、更に滑り落ちた硬貨が着地点に到達した際に、小径硬貨の外径よりも大きく大径硬貨の外径よりも小さい幅の空間に前記小径硬貨のみを下方の小径硬貨選別空間へ導き、大径硬貨を前記着地点を延長した通路で転動させるようにしている。
【0004】
また、後者の硬貨を傾いた姿勢でレール上を転動させて選別するものは、例えば特開2006−173913号公報に開示されているように、傾いた硬貨が接する側の壁面に前記小径硬貨の外径よりも若干大きく、前記大径硬貨の外径よりも小さい幅の凹部を形成し、前記2種類の硬貨が転動して前記凹部に到達した際に、小径硬貨のみが前記凹部においてさらに傾くことで前記レールから脱落して落下させ、大径硬貨はそのまま姿勢を変えずに前記レール上を転動させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭48−57697号公報
【特許文献2】特開2006−173913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、硬貨を落下させて選別するものは、着地点で小径硬貨が跳ね返り、小径硬貨選別空間に落下せずに大径硬貨が転動するレール上を転動するという誤選別をする虞があり、これを防止するために、着地点に工夫が必要で、装置の構成が複雑化するという問題があった。
【0007】
また、硬貨を傾いた姿勢でレール上を転動させて選別するものは、複数の硬貨が連続して投入された場合、小径硬貨が凹部に落下せずに大径硬貨と同様にレール上を転動するという誤選別をする虞があり、これを解消するために、硬貨を転動させるレールを長くすることが必要で、装置が大型化したり、これにより硬貨の選別時間が長くかかったりするという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、小型でかつ大径硬貨と小径硬貨との2種類に効率よく速く選別することができ、さらに硬貨を複数枚連続して投入された場合であっても誤選別することがない硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の硬貨処理装置は、硬貨受入口と、該硬貨受入口に連通しかつ通路を構成する一方の通路側壁に設けた凸形状の第1のガイドを含んで通路全体が湾曲した第1の硬貨通路と、該第1の硬貨通路に連通しかつ硬貨を転動させるため下流に対して下方に傾斜して設けた傾斜レールを含みかつ通路を構成する通路側壁のうち前記第1のガイドに連通する通路側壁と対向する通路側壁に前記傾斜レールと該傾斜レールの転動面より上方に形成した第2のガイドとの間に形成した空間を有する第2の硬貨通路と、前記第1の硬貨通路の下流端に連通しかつ前記空間の下方に連通する小径硬貨出口と、前記第2の硬貨通路の下流端に連通する大径硬貨出口とを具え、前記硬貨受入口から垂直方向に落下する硬貨を受ける前記第1のガイド上部の傾斜面を摺動しながら落下する硬貨のうち、前記傾斜レールの転動面と第2のガイドとの距離より外径が小さい小径硬貨を小径硬貨出口へ落下させ、前記傾斜レールの転動面と第2のガイドとの距離より外径が大きい大径硬貨を第2の硬貨通路へ案内する第1の選別手段と、前記硬貨レールを転動する硬貨のうち、前記第1のガイドと前記第2のガイドとによって支持される前記大径硬貨を大径硬貨出口に案内し、前記第2のガイドに支持されずに前記第1のガイドによって前記空間へ倒される前記小径硬貨を小径硬貨出口に案内する第2の選別手段とを組み合わせるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬貨受入口から硬貨通路内へ受け入れた硬貨のうち、小径硬貨を落下させながら小径硬貨出口へと振り分け、たとえ小径硬貨が落下中に振り分けられずに傾斜レール上を下流へ侵入しても、大径硬貨のみを第1のガイドと第2のガイドと傾斜レールとによって所定の傾斜姿勢を保持して大径硬貨出口へ案内し、前記所定の傾斜姿勢を保持しない小径硬貨を確実に小径硬貨出口へと案内するあるいは装置外部に排出することによって、小径硬貨の大径硬貨出口への侵入を防ぐようにしたから、短い硬貨通路内であっても確実に大径硬貨と小径硬貨との2種類に選別することができるので、従来よりも小型でかつ選別速度が向上し、さらに硬貨を複数枚連続して投入された場合であっても誤選別することがない硬貨処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の硬貨処理装置100の概略斜視図。
【図2】本発明の一実施例の硬貨処理装置100の本体10を示す概略正面図。
【図3A】図2におけるA−A切断部端面図。
【図3B】図3Aにおいて、本体10からカバー20を外した状態を示す分解図。
【図4A】小径硬貨Sが垂直通路41を通過する様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【図4B】小径硬貨Sが垂直通路41を通過する様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【図4C】小径硬貨Sが小径硬貨出口50に落下する様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【図5A】小径硬貨Sが傾斜通路42から落下する様子を示す、本体10の概略正面図。
【図5B】小径硬貨Sが傾斜通路42から落下する様子を示す、本体10の概略正面図。
【図5C】小径硬貨Sが傾斜通路42に停止する様子を示す、本体10の概略正面図。
【図6A】大径硬貨Lが垂直通路41を通過する様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【図6B】大径硬貨Lが垂直通路41を通過する様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【図6C】大径硬貨Lがレール13に到達した様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の硬貨処理装置の一実施例の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に示す硬貨処理装置100は、大径硬貨Lと小径硬貨Sとの2種類の径の硬貨(図2等参照)を選別する装置であって、本体10と、該本体10正面の略全面を開閉自在に覆いかつ図示せぬ軸を介して本体10に対して回動自在に支承されるカバー20とを主として構成される。このカバー20は、装置外部の図示せぬ返却レバー等の操作等によって拡開するようにしており、図1は、カバー20を本体10から拡開した状態を示している。
【0014】
また、硬貨処理装置100は、円板受入口30と、硬貨受入口30から投入された硬貨を下流に案内する硬貨通路40と、硬貨通路40の途中の下方に設けられた小径硬貨出口50と、硬貨通路40の下流端に設けられた大径硬貨出口60とを有する。
【0015】
硬貨受入口30は、本体10に対してカバー20を閉じた状態において、本体10側の通路壁面10a、10b、10cと、カバー20側の通路壁面20aとに囲まれ、硬貨処理装置100の上方で硬貨通路40の上流端に形成された孔である。
【0016】
硬貨通路40は、硬貨受入口30から投入された硬貨を垂直下方に案内する垂直通路41と、垂直通路41の下流に連通して前記硬貨を下流へ転動させるよう傾斜する傾斜通路42とから構成されるものであり、小径硬貨出口50へ小径硬貨Sを案内し、大径硬貨出口60に大径硬貨Lを案内することで硬貨を選別するものである。
なお、この垂直通路41および傾斜通路42の構成については後に詳述する。
【0017】
小径硬貨出口50は、垂直通路41の下方から傾斜通路42の下方にかけて設けられ、本体10に対してカバー20を閉じた状態において、本体10側の通路壁面10c、10eと、小径硬貨出口50と大径硬貨出口60とを隔てる仕切板11と、カバー20側の通路壁面20bとによって囲まれ、硬貨処理装置100の下方に形成された孔である。
【0018】
大径硬貨出口60は、傾斜通路42の下流端に設けられ、本体10に対してカバー20を閉じた状態において、本体10側の通路壁面10f、10gと、仕切板11と、カバー20側の通路壁面20bとによって囲まれ、硬貨処理装置100の下方で傾斜通路42の下流端に形成された孔である。
【0019】
このように、硬貨受入口30と硬貨通路40と小径硬貨出口50と大径硬貨出口60とは、本体10とカバー20との間に設けられた空間によって形成されている。
【0020】
次に、硬貨処理装置100の外径選別部である垂直通路41および傾斜通路42の構成について詳述する。
【0021】
図2は、硬貨処理装置100の本体10を示す概略正面図であって、カバー20を取り外した状態を示している。なお、図2中の円Lおよび円Sは、それぞれ硬貨通路を転動する大径硬貨Lおよび小径硬貨Sの輪郭を示すものである。
【0022】
また、図3Aは、装置本体10に対してカバー20を閉じた状態における図2のA−A切断部端面図であり、図3Bは、図3Aを本体10とカバー20とを分解した状態を示している。
【0023】
垂直通路41は、本体10側の側面(垂直通路41内を落下する硬貨の一方の平面と対向する面)に凹設された凹形状壁面12と、カバー20側の側面(垂直通路41内を落下する硬貨の他方の平面と対向する面)に凸設された凸部21とによって、通路側面方向に湾曲した通路を構成している。
なお、この湾曲した通路とは、弓なりの曲線形状のものに限定されず、折れを含む連続した直線や、曲線と直線とを組み合わせた形状であってもよい。
【0024】
この垂直通路41の最下部と、傾斜通路42の下面とを構成するレール13が、本体10に形成され、傾斜通路42の下流に対して下方に傾斜して設けられており、垂直通路41を落下してきた硬貨を、傾斜通路42の下流へと転動させるようにしている。
【0025】
凹形状壁面12の下部には、レール13にかけて傾斜壁面12aが形成されており、硬貨受入口30より落下する硬貨の下端が、凸部21の上部である傾斜部21bに当接して、硬貨の下方から本体10側に移動して姿勢を変えた後、さらに傾斜壁面12aに当接して、硬貨の下方をカバー20側へ移動させてレール13の転動面に乗せるようにしている。
【0026】
また、図1に示すように、凹形状壁面12と、凸部21の頭頂部から延設される第1のガイド21aとは、傾斜通路42の下流に向かって設けられており、このうち凹型形状壁面12の上部には、第2のガイド14を形成している。
【0027】
第1のガイド21aおよび第2のガイド14は、傾斜通路42の終端から先の下流まで形成され、他方、凹形状壁面12は、壁面15を終端として、この終端部より下流の傾斜通路42の壁面は平面からなる平面壁16が形成されている。
【0028】
第2のガイド14と、レール13の転動面との距離は、垂直通路41から壁面15までにおいては、図2の矢印Xに示すように、大径硬貨Lの外径よりも若干小さい値かつ小径硬貨Sよりも大きい値となるよう一定の距離を保って配置されており、壁面15の位置より下流においては、図2の矢印Yに示すように、小径硬貨Sの外径よりもさらに小さい値となるようにしている。
【0029】
さらに、傾斜通路42のカバー20側の通路壁面には、軸を介して回転自在に支承され、凹形状壁面12側へ付勢されて、傾斜通路42内に進退可能であるレバー22が設けられており、このレバー22は、傾斜通路42内を通過する硬貨を凹形状壁面12へと押動するようにしている。
【0030】
次に、上述した硬貨処理装置100により、大径硬貨Lと小径硬貨Sとを選別する方法について説明し、合わせて構成をより詳細に説明する。
【0031】
まず、硬貨通路40を通過する小径硬貨Sを、小径硬貨出口50に振り分ける方法を説明する。
【0032】
図4A、図4Bおよび図4Cは、硬貨受入口30から投入された小径硬貨Sが、垂直通路41を落下してレール13から脱落し、小径硬貨出口50に落下するまでの様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図である。
【0033】
また、図5A、図5Bおよび図5Cは、小径硬貨Sが、垂直通路41の終端部から小径硬貨出口50に落下せずに傾斜通路42に侵入した場合、傾斜通路42内から小径硬貨出口50に落下するあるいは傾斜通路42内に停止する様子を示す、本体10の概略正面図である。
【0034】
硬貨受入口30に小径硬貨Sが投入されると、傾斜部21bにおいて、その下端が当接して、図4Aに示すように、傾斜部21b上を摺動しながら姿勢を変える。
【0035】
そして、図4Bに示すように、この姿勢を変えた小径硬貨Sの下端が傾斜壁面12aに当接して傾斜壁面12a上を摺動するとともに、小径硬貨Sのカバー20側の平面が傾斜部21bあるいは第1のガイド21aに接触しながら落下する。
【0036】
さらに、図4Cに示すように、小径硬貨Sの下端がレール13に到達すると、小径硬貨S上部のカバー20側の平面が第1のガイド21に当接して、凹形状壁面12側へと倒れて傾斜する。この際、小径硬貨Sの径は、図2に示す矢印Xの距離よりも小さいので、小径硬貨S上部の本体10側の平面は第2のガイド14に支承されず、さらに凹形状壁面12側へ姿勢を傾かせてレール13から逸脱し、小径硬貨出口50へと落下する。
【0037】
小径硬貨Sが傾斜通路42に侵入した場合は、第1のガイド21aによって小径硬貨Sが凹形状壁面12側に倒されるので、傾斜姿勢の状態のままレール13上を転動することになり、図5Aに示すように、傾斜壁面12aおよびレール13から滑り落ちて小径硬貨出口50へと落下する。
【0038】
また、たとえ傾斜姿勢の状態を保ったまま、傾斜通路42を移動したとしても、図1等に示すレバー22が凹形状通路12側へと押動するので、小径硬貨Sは傾斜姿勢を維持されながら下流方向へ移動することになる。すると、図5Bに示すように、小径硬貨Sは壁面15に衝突して、下方の小径硬貨通路50に落下する。
【0039】
さらに、衝突面15に衝突せずに傾斜通路42をさらに下流に侵入しようとしても、図5Cに示すように、図2に示す矢印Yの位置において、第2のガイド14から延設される下部14aに衝突して、下部14aとレール13の下流端あるいは仕切板11とによって挟持され、傾斜通路42内に停止する。この傾斜通路42内に停止した小径硬貨Sは、前記装置外部の図示せぬ返却レバー等からの操作等により、カバー20を拡開させることによって、下方に落下し装置外部に排出される。
【0040】
したがって、硬貨処理装置100において、連続して小径硬貨Sが投入された場合に、前後の硬貨同士が衝突することで小径硬貨Sが傾斜通路42へと進行方向を変えられて傾斜通路42下流方向へと移動したとしても、確実に小径硬貨Sを小径硬貨出口50へと落下させるあるいは装置外部に排出させて、大径硬貨出口60への侵入を防ぐことができる。
【0041】
次に、硬貨通路40を通過する大径硬貨Lを、大径硬貨出口60に振り分ける方法を説明する。
【0042】
図6A、図6Bおよび図6Cは、硬貨受入口30から投入された大径硬貨Lが、垂直通路を落下してレール13に到達するまでの様子を示す、図2におけるA−A切断部端面図である。
【0043】
硬貨受入口30に大径硬貨Lが投入されると、傾斜部21bにおいて、その下端が当接して、図6Aに示すように、傾斜部21b上を摺動しながら姿勢を変える。
【0044】
そして、図6Bに示すように、この姿勢を変えた大径硬貨Lの下端が傾斜壁面12aに当接して傾斜壁面12a上を摺動するとともに、大径硬貨Lのカバー20側の平面が傾斜部21bあるいは第1のガイド21aに接触しながら落下する。
【0045】
さらに、図6Cに示すように、大径硬貨Lの下端がレール13に到達すると、大径硬貨L上部のカバー20側の平面が第1のガイド21に当接して、凹形状壁面12側へと倒れて傾斜する。この際、大径硬貨Lの径は、図2に示す矢印Xよりも若干大きいので、大径硬貨L上部の本体10側の平面が第2のガイド14に当接して、レール13と第1のガイド21と第2のガイド14とによって傾斜姿勢に状態を規制されたまま、傾斜通路42内に転動する。
【0046】
傾斜通路42に案内された大径硬貨Lは、図1に示すレバー22によって、凹形状壁面12側へ押圧されるが、レール13と第1のガイド21と第2のガイド14とによって支承されたまま、レール13上を下流へ転動して、大径硬貨出口60に落下する。
【0047】
このように、本発明では、硬貨受入口から硬貨通路内へ受け入れた硬貨のうち、小径硬貨を落下させながら小径硬貨出口へと振り分け、たとえ小径硬貨が落下中に振り分けられずに傾斜レール上を下流へ侵入しても、大径硬貨のみを第1のガイドと第2のガイドと傾斜レールとによって所定の傾斜姿勢を保持して大径硬貨出口へ案内し、前記所定の傾斜姿勢を保持しない小径硬貨を確実に小径硬貨出口へと案内するあるいは装置外部に排出することによって、小径硬貨の大径硬貨出口への侵入を防ぐようにしている。
【0048】
したがって、短い硬貨通路内であっても確実に大径硬貨と小径硬貨との2種類に選別することができるので、従来よりも小型でかつ選別速度が向上し、さらに硬貨を複数枚連続して投入された場合であっても誤選別することがない硬貨処理装置を提供できる。
【0049】
なお、上記実施例においては、大径硬貨Lと小径硬貨Sとの2種類の硬貨に振り分けるものと記載しているが、実際には、硬貨受入口30の幅を上限とし、レール13と第2のガイド14との距離Xより若干大きい値を下限とする外径の硬貨は全て大径硬貨出口60に振り分けられるものであり、他方、レール13と第2のガイド14との距離Xの値を上限とし、傾斜通路42の下流端におけるレール13と第2のガイド14の上部14aとの距離Yの値を下限とする外径の硬貨は全て小径硬貨出口50に振り分けられるものである。
【0050】
よって、例えば、500円硬貨と10円硬貨とを大径硬貨出口60に振り分け、100硬貨と50円硬貨とを小径硬貨出口50に振り分けるよう設計することが可能である。
【0051】
さらなる選別を行う場合、上記のような硬貨処理装置の各硬貨出口に別の硬貨処理装置の硬貨受入口を連通させて、第2のガイド14とレール13の転動面との距離を適宜設定することで、次々に選別することが可能である。
【0052】
また、上記実施例における、硬貨処理装置は、上記形状に限定したものではなく、本発明の技術的な範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。
【0053】
例えば、上記実施例においては、レール13と第2のガイド14との間の本体10側の通路側壁に凹形状壁面12を設けたが、この凹形状壁面12は、凹形状に限らず、穴や空間にしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 硬貨処理装置
10 本体
11 仕切板
12 凹形状壁面
12a 傾斜壁面
13 レール
14 第2のガイド
14a 第2のガイドの下部
15 壁面(衝突面)
16 平面壁
20 カバー
21 凸部
21a 第1のガイド
21b 傾斜部
22 レバー
30 硬貨受入口
40 硬貨通路
41 垂直通路
42 傾斜通路
50 小径硬貨出口
60 大径硬貨出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の硬貨を外径の差異を利用して選別する硬貨処理装置であって、
硬貨受入口と、
該硬貨受入口に連通しかつ通路を構成する一方の通路側壁に設けた凸形状の第1のガイドを含んで通路全体が湾曲した第1の硬貨通路と、
該第1の硬貨通路に連通しかつ硬貨を転動させるため下流に対して下方に傾斜して設けた傾斜レールを含みかつ通路を構成する通路側壁のうち前記第1のガイドに連通する通路側壁と対向する通路側壁に前記傾斜レールと該傾斜レールの転動面より上方に形成した第2のガイドとの間に形成した空間を有する第2の硬貨通路と、
前記第1の硬貨通路の下流端に連通しかつ前記空間の下方に連通する小径硬貨出口と、
前記第2の硬貨通路の下流端に連通する大径硬貨出口とを具え、
前記硬貨受入口から垂直方向に落下する硬貨を受ける前記第1のガイド上部の傾斜面を摺動しながら落下する硬貨のうち、前記傾斜レールの転動面と第2のガイドとの距離より外径が小さい小径硬貨を小径硬貨出口へ落下させ、前記傾斜レールの転動面と第2のガイドとの距離より外径が大きい大径硬貨を第2の硬貨通路へ案内する第1の選別手段と、
前記硬貨レールを転動する硬貨のうち、前記第1のガイドと前記第2のガイドとによって支持される前記大径硬貨を大径硬貨出口に案内し、前記第2のガイドに支持されずに前記第1のガイドによって前記空間へ倒される前記小径硬貨を小径硬貨出口に案内する第2の選別手段と
を組み合わせたことを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−43339(P2012−43339A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186052(P2010−186052)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】