説明

硬貨処理装置

【課題】回転部材により搬送される硬貨の直径を高精度に検出することが可能な硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】硬貨を受容する硬貨受容部を有し、回転することにより前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を搬送する回転部材と、前記回転部材の回転中に、前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を検出する光学センサと、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に、前記硬貨に接触して前記硬貨受容部における前記硬貨の姿勢を矯正する姿勢矯正部と、前記硬貨受容部及び前記姿勢矯正部のうちの少なくとも一方の、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に前記硬貨を接触する部分に形成された凹部と、を備え、前記光学センサは、前記硬貨と前記凹部の両方を検出することで、前記硬貨の直径を取得することを特徴とする、硬貨処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関し、より詳細には、硬貨受容部に受容された硬貨を搬送する際に硬貨の直径を検出する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨処理装置は、例えば店舗等に設置されたレジスターの硬貨を管理する装置である。この硬貨処理装置は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて硬貨を振り分けて出金する。
【0003】
上記の硬貨処理装置は、例えば硬貨の認識を行うために、硬貨を受容する硬貨受容部を有し、回転することにより硬貨受容部に受容された硬貨を搬送する回転部材と、回転部材の回転中に硬貨受容部に受容された硬貨を検出するセンサと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−108100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、硬貨受容部は、様々な直径の硬貨を受容するように、硬貨よりも大きく設計されている。このため、回転部材の回転中に硬貨受容部内の硬貨の挙動が安定せず、センサが硬貨の直径を精度良く検出できない。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、回転部材により搬送される硬貨の直径を高精度に検出することが可能な、新規かつ改良された硬貨処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨を受容する硬貨受容部を有し、回転することにより前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を搬送する回転部材と、前記回転部材の回転中に、前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を検出する光学センサと、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に、前記硬貨に接触して前記硬貨受容部における前記硬貨の姿勢を矯正する姿勢矯正部と、前記硬貨受容部及び前記姿勢矯正部のうちの少なくとも一方の、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に前記硬貨を接触する部分に形成された凹部と、を備え、前記光学センサは、前記硬貨と前記凹部の両方を検出することで、前記硬貨の直径を取得することを特徴とする、硬貨処理装置が提供される。
【0008】
かかる硬貨処理装置によれば、押圧部材によって硬貨受容部での硬貨の挙動が安定し、硬貨と凹部が形成された部材との境界が明確になるので、硬貨の直径を高精度に検出できる。
【0009】
また、前記姿勢矯正部は、前記回転部材の半径方向において前記硬貨受容部よりも外方に設けられ、前記硬貨の側面に接触して前記硬貨を前記硬貨受容部側へ向けて押圧する押圧部材を有することとしても良い。
【0010】
また、前記凹部は、前記硬貨受容部及び前記押圧部材の、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に前記硬貨を挟持する部分に、それぞれ形成されていることとしても良い。
【0011】
また、前記光学センサは、前記硬貨、前記硬貨受容部の前記凹部、及び前記押圧部材の前記凹部を同時に検出することで、前記硬貨の直径を取得することとしても良い。
【0012】
また、前記硬貨受容部の前記凹部の幅は、前記押圧部材の前記凹部の幅よりも大きいこととしても良い。
【0013】
また、前記姿勢矯正部は、前記回転部材の上方から前記硬貨の上面に接触して前記硬貨を下方へ押圧する押圧部材を有することとしても良い。
【0014】
また、前記光学センサは、光を発する発光部と、前記発光部が発した光を受光する受光部と、を有し、前記発光部及び前記受光部は、前記回転部材の上方に位置することとしても良い。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、回転部材により搬送される硬貨の直径を高精度に検出することが可能な硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る硬貨処理装置を示す概略平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る硬貨処理装置を示す概略断面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】光学センサで検出される硬貨、レバ凹部、及びディスク凹部の位置関係を説明するための図である。
【図5】硬貨が光学センサを通過する際の硬貨の挙動を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態に係る硬貨処理装置を示す概略平面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る硬貨処理装置を示す概略平面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1及び図2を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置100の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置100を示す概略平面図である。図2は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置100を示す概略断面図である。図3は、図1のA−A断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、硬貨処理装置100は、硬貨を一括で受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて金種毎に硬貨を振り分ける装置である。
【0020】
硬貨処理装置100は、硬貨繰り出しユニット200と、硬貨搬送ユニット300と、硬貨選別ユニット400とを有する。なお、硬貨処理装置100は、硬貨繰り出しユニット200、硬貨搬送ユニット300、硬貨選別ユニット400以外の他のユニット(不図示)も有している。
【0021】
(1−1−1.硬貨繰り出しユニット)
硬貨繰り出しユニット200は、投入された硬貨を次の工程へ繰り出す硬貨繰り出す。図1、図2に示すように、硬貨繰り出しユニット200は、硬貨受領部210と、収容部220と、回転円盤230と、円盤駆動部240とを有する。
【0022】
硬貨受領部210は、投入される硬貨を受ける部分である。硬貨受領部210は、硬貨が投入される投入口212と、硬貨を落下させる落下口214とを有する。落下口214は、投入口212の鉛直方向に下方に位置する。投入口212から投入された硬貨は、自重により落下口214へ移動し、収容部220に落下する。投入口212は、大量の硬貨を一括して投入し易いように、広く開口している。落下口214の開口は、一括して投入された硬貨がそのまま収容部220へ落下することを防止するために、投入口212の開口よりも小さく形成されている。
【0023】
収容部220は、硬貨受領部210の落下口214から落下した硬貨を収容する部材である。収容部220内(収容空間)には回転円盤230が設けられており、収容部220の内周面は、回転円盤230が回転可能なように、回転円盤230の外周に沿った形状に形成されている。収容部220は、硬貨を所定量(例えば100枚)収容可能である。収容部220の側面には、硬貨搬送ユニット300へ硬貨を放出するための放出口222が設けられている。放出口222の幅及び高さは、硬貨が一枚ずつ通過できるように、形成されている。
【0024】
回転円盤230は、回転することにより、収容部220に収容された硬貨を硬貨搬送ユニット300へ導く部材である。回転円盤230は、硬貨受領部210の落下口214の真下に位置しており、硬貨受領部210の硬貨は回転円盤230上に落下する。回転円盤230は、円盤駆動部240の回転駆動力を受けて、回転円盤230に固定された回転軸232を回転中心として所定の回転方向に回転する。回転円盤230の回転により生じる遠心力を受けて、収容部220内の硬貨(回転円盤230上の硬貨)は、収容部220の側面側(回転円盤230の外周側)へ移動し、放出口222から1枚ずつ硬貨搬送ユニット300へ放出される。
【0025】
円盤駆動部240は、回転円盤230を回転駆動させる駆動部である。円盤駆動部240は、円盤モータ242と、ギア列244とを有する。円盤モータ242は、ギア列244を介して回転駆動力を伝達し、回転軸232を回転させる。これにより、回転軸232が固定された回転円盤230も、回転軸232の回転方向と同一方向に回転する。
【0026】
(1−1−2.硬貨搬送ユニット)
硬貨搬送ユニット300は、硬貨繰り出しユニット200と硬貨選別ユニット400とを連結し、硬貨繰り出しユニット200から硬貨選別ユニット400へ硬貨を搬送する。図1、図2に示すように、硬貨搬送ユニット300は、硬貨通路310と、搬送ローラ320と、搬送駆動部330と、検出センサ340とを有する。
【0027】
硬貨通路310は、収容部220の放出口222から放出された硬貨が硬貨選別ユニット400へ搬送される通路である。硬貨通路310は、放出口222と硬貨選別ユニット400の搬入口415(後述)とを連結する。
【0028】
搬送ローラ320は、硬貨通路310内に設けられ、回転することにより硬貨通路310内の硬貨を搬送する一対のローラである。搬送ローラ320は、搬送駆動部330の駆動力を受けて、硬貨通路310内の硬貨を一枚ずつ挟持しながら搬送する。
【0029】
搬送駆動部330は、搬送ローラ320を回転駆動させる駆動部である。搬送駆動部330は、搬送モータ332と、ギア列334とを有する。搬送モータ332は、ギア列334を介して回転駆動力を伝達し、搬送ローラ320を回転させる。
【0030】
検出センサ340は、搬送ローラ320の近傍(具体的には、搬送ローラ320の搬送方向下流側)に設けられ、一対の搬送ローラ320に挟持された硬貨を検出する光学式センサである。
【0031】
(1−1−3.硬貨選別ユニット)
硬貨選別ユニット400は、硬貨搬送ユニット300を介して硬貨繰り出しユニット200から搬送された硬貨を、選別する。図1〜図3に示すように、硬貨選別ユニット400は、選別ハウジング410と、回転部材の一例である搬送ディスク420と、ディスク駆動部430と、位置検出部440と、搬入検出部450と、姿勢矯正部460と、識別部470と、リジェクト硬貨排出口480と、正常硬貨排出口484とを備える。
【0032】
(選別ハウジング)
選別ハウジング410は、円筒状の部材であり、ハウジング底面412と側壁414とにより構成されている。ハウジング底面412は、硬貨通路310の底面よりもわずかに低く設定されている。これにより、硬貨通路310を搬送された硬貨が、選別ハウジング410内に搬入されやすくなる。側壁414には、搬送ローラ310によって搬送された硬貨が搬入される搬入口415が形成されている。
【0033】
(搬送ディスク)
搬送ディスク420は、樹脂製の円板形状の部材である。搬送ディスク420は、選別ハウジング410内に設けられ、ハウジング底面412上で水平に回転する。搬送ディスク420は、ディスク駆動部430の回転駆動力を受けて、搬送ディスク420に固定された回転軸422を回転中心として所定の回転方向に回転する。
【0034】
搬送ディスク420には、硬貨を一枚だけ受容可能な硬貨受容部424が等ピッチ角度で複数形成されている。硬貨受容部424は、搬送ディスク420の外周縁部に形成された切り欠き部である。硬貨受容部424は、搬入口415から搬入された硬貨を受容する。搬送ディスク420は、回転することにより、硬貨受容部424に受容された硬貨を搬送ディスク420の回転方向(硬貨の搬送方向)に沿って搬送する。搬送ディスク420は、硬貨が硬貨受容部424と接触した状態で、硬貨を搬送する。また、硬貨は、選別ハウジング410の側壁414によってガイドされて搬送される。
【0035】
硬貨受容部424は、U字状の切り欠かれており、切り欠き部の搬送ディスク420の中心側にディスク凹部425が形成されている。ディスク凹部425は、互いに接触した硬貨受容部424と硬貨の境界を成す機能を有する。
【0036】
(ディスク駆動部)
ディスク駆動部430は、搬送ディスク420を回転駆動させる駆動部である。ディスク駆動部430は、ディスクモータ432と、ギア列434とを有する。ディスクモータ432は、ギア列434を介して回転駆動力を伝達し、回転軸422を回転させる。これにより、回転軸が固定された搬送ディスク420も、回転軸422の回転方向と同一方向に回転する。なお、ディスク駆動部430は、搬送ディスク420を間欠回転するように、回転駆動力を伝達する。
【0037】
(位置検出部)
位置検出部440は、硬貨受容部424の位置(搬送ディスク420の一の硬貨受容部424が搬入口415に対向する位置)を検出するため部材である。位置検出部440は、位置決め部材442と、検出センサ444とを有する。
【0038】
位置決め部材442は、搬送ディスク420上に同軸で設けられた円筒部材である。位置決め部材442の円筒壁には、硬貨受容部424のピッチ角度と同じピッチ角度でスリット442aが複数形成されている。なお、スリット442aは、硬貨受容部424に対して所定の位相だけずれている。
【0039】
検出センサ444は、位置決め部材442を挟むように対向配置された発光部と受光部とを有する光学式センサである。検出センサ444は、発光部からの光が位置決め部材442に遮断され受光部に達しないときに「ON」を出力し、発光部からの光がスリット442aを通過して受光部に達したときに「OFF」を出力する。なお、本実施形態では、「OFF」が出力される際に、一の硬貨受容部424が搬入口415に対向する位置となる。
【0040】
(搬入検出部)
搬入検出部450は、搬入口415の近傍(搬入口415の搬送方向下流側)に設けられた磁気センサを有し、搬入口415に対向する硬貨受容部424に搬入される硬貨の有無を検出する。
【0041】
(姿勢矯正部)
姿勢矯正部460は、搬入検出部450の搬送方向下流側に位置し、硬貨受容部424に受容された硬貨に接触して硬貨受容部424における硬貨の姿勢を矯正する。姿勢矯正部460は、搬送ディスク420の半径方向において硬貨受容部424よりも外方に設けられ、軸461周りに回動可能なレバ部材462を有する。
【0042】
レバ部材462は、硬貨の側面に接触して硬貨を硬貨受容部424側へ向けて押圧する押圧部材である。レバ部材462は、不図示のスプリングによって図1の矢印方向に押圧されることで、硬貨受容部424に受容された硬貨に接触する。これにより、直径が異なる硬貨が硬貨受容部424に受容されても、硬貨に接触可能である。レバ部材462は、搬送ディスク420の回転中に、硬貨に接触して硬貨を硬貨受容部424に奥側に寄らせる。そして、レバ部材462は、硬貨受容部424と共に硬貨を挟持することで、硬貨受容部424における硬貨の挙動を安定させる。
【0043】
レバ部材462には、レバ部材462の回動を規制する規制部(不図示)が設けられている。この規制部によって、レバ部材462は、硬貨受容部424に受容された硬貨に対して接触可能であるのに対して、搬送ディスク420には接触しない。
【0044】
レバ部材462の、硬貨受容部424と共に硬貨を挟持(接触)する部分に、レバ凹部464が形成されている。搬送ディスク420のディスク凹部425も、硬貨を挟持する部分に形成されている。このため、図4に示すように、レバ凹部464とディスク凹部425は、レバ部材462と硬貨受容部424が硬貨を挟持した際に、硬貨に対するレバ部材462及び硬貨受容部424の境界を成す機能を有する。図4は、硬貨、レバ凹部464、及びディスク凹部425の位置関係を説明するための図である。
【0045】
なお、レバ凹部464の幅は、ディスク凹部425の幅よりも小さく形成されても良い。これは、ディスク凹部425は、様々な直径の硬貨を硬貨受容部424で安定した姿勢に保つには、凹部の幅を大きくする必要があるのに対して、レバ部材462は硬貨に合わせて回動するので、レバ凹部464の幅が小さくても硬貨を挟持できるからである。
【0046】
(識別部)
識別部470は、搬送ディスク420により搬送される硬貨の真偽、金種等を識別する。識別部470は、搬送ディスク420の回転方向において、搬入検出部450の下流側に位置する。識別部470は、光学センサ472と、磁気センサ474、476とを有する。
【0047】
光学センサ472は、搬送ディスク420の回転中に、硬貨受容部424に受容された硬貨を検出する。光学センサ472は、光を発する発光部の一例である光源472aと、光源472aが発した光を受光する受光部の一例であるラインセンサ472bとを有する。光源472aとラインセンサ472は、レバ部材462を挟んで互いに対向するように配置されている。光源472aは鉛直方向においてレバ部材462の上方に位置し、ラインセンサ472bはレバ部材462の下方に位置する。
【0048】
光学センサ472は、搬送ディスク420の回転中に、レバ部材462と硬貨受容部424によって挟まれた状態の硬貨の直径を取得する。ここで、レバ部材462は、光学センサ472が検出する際に硬貨の姿勢を矯正する。これにより、光学センサ472による硬貨の直径の測定中に硬貨の挙動が安定するので、硬貨の直径を高精度に測定できる。
【0049】
光学センサ472は、硬貨、レバ部材462のレバ凹部464、及び硬貨受容部424のディスク凹部425を検出することで、硬貨の直径を取得する。これにより、光学センサ472は、硬貨に対するレバ部材462及び硬貨受容部424の境界を容易に検出できるので、硬貨の直径をより高精度に測定できる。なお、光学センサ472は、搬送ディスク420の半径方向において、硬貨、レバ凹部464、及びディスク凹部425が一列に並んだ際に、硬貨、レバ凹部464、及びディスク凹部425を同時に検出する。これにより、硬貨に対するレバ部材462及び硬貨受容部424の境界を容易に検出できるので、硬貨の直径を高精度かつ容易に測定できる。
【0050】
磁気センサ474、476は、光学センサ472の搬送方向下流側に位置し、硬貨受容部424に受容されて搬送中の硬貨を検出する。
【0051】
光学センサ472、磁気センサ474、476の検出結果に基づいて、硬貨の各種の特性値が取得される。取得された特性値に基づいて、硬貨の真偽、金種等が識別される。なお、上記では、硬貨の搬送方向に沿って光学センサ、磁気センサの順に配置させているが、これに限定されず、搬送方向に沿って磁気センサ、光学センサの順に配置させても良い。
【0052】
(リジェクト硬貨排出口)
リジェクト硬貨排出口480は、識別部470の搬送方向下流側において、選別ハウジング410の底面412に形成された排出口である。リジェクト硬貨排出口480は、識別部470で偽硬貨や外国硬貨等と識別されたリジェクト硬貨(硬貨受容部424に受容された硬貨)を落下させて排出する。リジェクト硬貨排出口480には、リジェクト硬貨がリジェクト硬貨排出口480に搬送された時に開動作する開閉シャッタ(不図示)が設けられている。
【0053】
(正常硬貨排出口)
正常硬貨排出口484は、リジェクト硬貨排出口480の搬送方向下流側において、選別ハウジング410の底面412に形成された排出口である。正常硬貨排出口484は、識別部470で真性硬貨と識別された各金種の正常硬貨(硬貨受容部424に受容された硬貨)を落下させて排出する。
【0054】
硬貨処理装置100は、硬貨処理装置100の全体動作を制御するための制御ユニット(不図示)を有する。制御ユニットは、上述したユニットの各構成要素の動作を制御する制御部(不図示)と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部(不図示)と、を有する。
【0055】
(1−2.硬貨処理装置の動作)
次に、上述した構成を有する硬貨処理装置100の動作例について説明する。なお、硬貨処理装置100の動作は、制御ユニットの制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0056】
硬貨繰り出しユニット200の硬貨受領部210に硬貨が一括して投入されると、投入された硬貨は回転円盤230上に集積される。その後、回転円盤230が円盤モータ242によって回転すると、回転円盤230上の硬貨は、回転による遠心力を受けて収容部220の内周面に沿って移動し、放出口222より硬貨通路310へ一枚ずつ押し出される。
【0057】
押し出された硬貨は、硬貨搬送ユニット300の搬送ローラ320が停止中は硬貨通路310上に滞留し、搬送ローラ320の回転中は挟持されて搬送される。搬送中の硬貨が検出センサ340に検出されると、搬送ローラ320は、回転が停止して硬貨を挟持した状態を維持する。
【0058】
一方、硬貨選別ユニット400の搬送ディスク420は、ディスクモータ432によって回転し、位置検出部440によって硬貨受容部424が搬入口415に対向すると検出されると、一旦停止する。すなわち、位置検出部440の出力が「ON」から「OFF」に出力が切り替わると、搬送ディスク420の回転が一時停止する。
【0059】
検出センサ340は位置検出部440と同期をとっており、搬送ディスク420が一時停止した際に搬送ローラ320が回転することで、搬送ローラ320に挟持された硬貨が搬入口415を通過して硬貨受容部424に搬送される。なお、搬送ローラ320による硬貨の搬入方向は、搬送ディスク420の回転中心より搬送方向の前方側に位置するように設定されているので、搬送される硬貨は硬貨受容部424に対して斜めに進入する。硬貨受容部424に搬入された硬貨が搬入検出部450によって検出されると、搬送ローラ320の回転が停止する。
【0060】
搬送ディスク420は、硬貨が硬貨受容部424に搬送された後(所定時間停止した後)に、再度回転を行う。すなわち、搬送ディスク420は、間欠回転を行う。そして、上記の動作を連続的に行うことで、投入された硬貨が硬貨受容部424に順次搬送される。
【0061】
硬貨受容部424に硬貨が搬送された後に搬送ディスク420が更に間欠回転すると、硬貨は、選別ハウジング410の側壁414に沿って選別ハウジング410内の搬送方向に搬送される。なお、搬送ローラ320により硬貨が硬貨受容部424に斜めに進入しており、搬送ディスク420が搬送ローラ320から逃げる方向に回転するので、搬送ディスク420の回転に伴う硬貨のロックを防止できる。
【0062】
硬貨受容部424に受容された硬貨は、搬送ディスク420の間欠回転(間欠搬送)中に、識別部470(光学センサ472、磁気センサ474、476)を通過する。
【0063】
図5は、硬貨が光学センサ472を通過する際の姿勢の矯正を説明するための図である。一の硬貨受容部424に受容された硬貨Cが図5(a)に示すように光学センサ472を通過する前に、硬貨Cは、図5(b)に示すようにレバ部材462に接触する。その後、硬貨Cは、レバ部材462に押圧されて、図5(c)に示すように硬貨受容部424の奥側に寄せられる。すなわち、硬貨Cの姿勢が矯正される。
【0064】
そして、硬貨Cが硬貨受容部424の奥側に完全に寄せられた状態で搬送ディスク420が更に回転すると、硬貨Cは、図5(d)に示すようにレバ部材462と硬貨受容部424に挟持された状態で搬送され、光学センサ472を通過する。硬貨Cがレバ部材462と硬貨受容部424に挟持されているので、光学センサ472を通過する硬貨Cの挙動は安定する。
【0065】
硬貨が光学センサ427を通過時、光学センサ427は、硬貨だけでなく、レバ部材462のレバ凹部464と、硬貨受容部424のディスク凹部425とを検出する。これにより、硬貨に対するレバ部材462及び硬貨受容部424の境界を判別できるので、硬貨の直径が正確に測定される。
【0066】
搬送ディスク420の間欠搬送1回につき、識別部470の各センサは、一つの硬貨受容部424に受容された硬貨の各種特性値を取得する。そして、各センサのセンサ取得値を用いて、硬貨の真偽、金種等が判別される。すなわち、リジェクト硬貨と、真性硬貨に選別される。
【0067】
その後、識別部470による判別結果に基づいて、リジェクト硬貨は、リジェクト硬貨排出口480から排出され、真性硬貨は、正常硬貨排出口484から排出される。投入された全ての硬貨が排出されると、本動作は終了する。
【0068】
第1の実施形態においては、レバ部材462が、硬貨受容部424に受容された硬貨の姿勢を矯正し、光学センサ472が、硬貨と、硬貨を挟持するレバ部材462及び硬貨受容部424の凹部(レバ凹部464、及びディスク凹部425)とを検出して、硬貨の直径を取得する。かかる構成によれば、レバ部材462によって硬貨受容部424での硬貨の挙動が安定し、硬貨に対するレバ部材462及び硬貨受容部424の境界が明確になるので、硬貨の直径を高精度に検出できる。
【0069】
なお、上記では、レバ部材462及び硬貨受容部424のそれぞれに、凹部(レバ凹部464、ディスク凹部425)を設けることとしたが、これに限定されない。例えば、レバ部材462及び硬貨受容部424のいずれか一方のみに凹部を設けることとしても良い。このような凹部を設けることで、硬貨の直径を精度良く測定できる。
【0070】
また、上記では、硬貨の姿勢を矯正する押圧部材は、軸を中心に回動可能なレバ部材462であることとしたが、これに限定されない。例えば、押圧部材は、直進移動可能な板状部材であり、板状部材がスプリング等で付勢されて硬貨を押圧しても良い。
【0071】
<2.第2の実施形態>
図6、図7を参照しながら、第2の実施形態に係る硬貨処理装置100の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る硬貨処理装置100を示す概略平面図である。図7は、図6のB−B断面図である。
【0072】
第2の実施形態の姿勢矯正部材の構成は、第1の実施形態の姿勢矯正部材460の構成と異なる。以下では、主に、第2の実施形態の姿勢矯正部の構成について説明する。なお、第2の実施形態の姿勢矯正部以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
第1の実施形態においては、姿勢矯正部460のレバ部材462が、硬貨の側面に接触して、硬貨を硬貨受容部424に寄せることで、光学センサ472が硬貨を検出する際の硬貨の姿勢を矯正することとした。これに対して、第2の実施形態に係る姿勢矯正部560は、図6及び図7に示すように、搬送ディスク420の上方から硬貨の上面に接触して硬貨を下方へ押圧する押圧部材562を有する。
【0074】
押圧部材562は、断面が台形形状を成すように形成され、底面563が硬貨の上面に接触する。また、押圧部材562は、軸564に回動可能に支持され、スプリング(不図示)によって硬貨側に押圧される。これにより、厚みが異なる硬貨であっても、押圧部材562が硬貨に接触することで、硬貨の変動を抑制できる。
【0075】
押圧部材562は、光学センサ472の光源472aとラインセンサ472bの間に位置する。このため、押圧部材562は、光学センサ472が検出する際に、硬貨を押圧して硬貨の姿勢を矯正する。この結果、第1の実施形態と同様に、光学センサ472が硬貨を検出する際に、硬貨受容部424での硬貨の挙動が安定し、硬貨の直径が高精度に取得される。
【0076】
また、第2の実施形態においては、押圧部材562が硬貨の上面に接触するので、硬貨の直径を取得する上で、押圧部材562と硬貨の境界を識別するための凹部を押圧部材562に設けなくても良い。
【0077】
<3.第3の実施形態>
図8、図9を参照しながら、第3の実施形態に係る硬貨処理装置100の構成について説明する。図8は、第3の実施形態に係る硬貨処理装置100を示す概略平面図である。図9は、図8のC−C断面図である。
【0078】
第3の実施形態の光学センサの構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態の光学センサ472の構成と異なる。以下では、主に、第3の実施形態の光学センサの構成について説明する。なお、第3の実施形態の光学センサ以外の構成は、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
第1の実施形態及び第2の実施形態の光学センサ472の光源472aは、鉛直方向において搬送ディスク420の上方に位置し、ラインセンサ472bは、搬送ディスク420の下方に位置する。
【0080】
これに対して、第3の実施形態に係る光学センサ572の光源572a及びラインセンサ572bは、図8及び図9に示すように、搬送ディスク420の上方に位置する。このため、光学センサ572は、いわゆる反射式センサであり、ラインセンサ572bは、硬貨で反射された光を受光する。
【0081】
上述した光学センサ572の構成によれば、光源572a及びラインセンサ572bを1箇所に集約して配置させることで、光学センサ572の配線も集約されるので、配置スペースの効率的が図れる。また、第3の実施形態でも、レバ部材462によって硬貨受容部424での硬貨の挙動が安定するので、硬貨の直径が高精度に取得される。
【0082】
<4.まとめ>
上述したように、硬貨処理装置100は、押圧部材(レバ部材462)及び硬貨受容部424の少なくともいずれか一方に凹部を有し、光学センサが、硬貨受容部に受容された硬貨と凹部を検出する。かかる構成によれば、押圧部材によって硬貨受容部での硬貨の挙動が安定し、硬貨と凹部が形成された部材との境界が明確になるので、硬貨の直径を高精度に検出できる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
上記では、硬貨受容部は、搬送ディスクの外周縁部に形成された切り欠き部であることとしたが、これに限定されない。例えば、硬貨受容部は、搬送ディスクの上面から下面まで貫通した貫通穴であっても良い。
【符号の説明】
【0085】
100 硬貨処理装置
400 硬貨選別ユニット
410 選別ハウジング
420 搬送ディスク
424 硬貨受容部
424 ディスク凹部
430 ディスク駆動部
440 位置検出部
450 搬入検出部
460 姿勢矯正部
462 レバ部材
464 レバ凹部
470 識別部
472 光学センサ
472a 光源
472b ラインセンサ
474、476 磁気センサ
480 リジェクト硬貨排出口
484 正常硬貨排出口
560 姿勢矯正部
562 押圧部材
572 光学センサ
572a 光源
572b ラインセンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を受容する硬貨受容部を有し、回転することにより前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を搬送する回転部材と、
前記回転部材の回転中に、前記硬貨受容部に受容された前記硬貨を検出する光学センサと、
前記光学センサが前記硬貨を検出する際に、前記硬貨に接触して前記硬貨受容部における前記硬貨の姿勢を矯正する姿勢矯正部と、
前記硬貨受容部及び前記姿勢矯正部のうちの少なくとも一方の、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に前記硬貨を接触する部分に形成された凹部と、
を備え、
前記光学センサは、前記硬貨と前記凹部の両方を検出することで、前記硬貨の直径を取得することを特徴とする、硬貨処理装置。
【請求項2】
前記姿勢矯正部は、前記回転部材の半径方向において前記硬貨受容部よりも外方に設けられ、前記硬貨の側面に接触して前記硬貨を前記硬貨受容部側へ向けて押圧する押圧部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記硬貨受容部及び前記押圧部材の、前記光学センサが前記硬貨を検出する際に前記硬貨を挟持する部分に、それぞれ形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記光学センサは、前記硬貨、前記硬貨受容部の前記凹部、及び前記押圧部材の前記凹部を同時に検出することで、前記硬貨の直径を取得することを特徴とする、請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記硬貨受容部の前記凹部の幅は、前記押圧部材の前記凹部の幅よりも大きいことを特徴とする、請求項3又は4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記姿勢矯正部は、前記回転部材の上方から前記硬貨の上面に接触して前記硬貨を下方へ押圧する押圧部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記光学センサは、光を発する発光部と、前記発光部が発した光を受光する受光部と、を有し、
前記発光部及び前記受光部は、前記回転部材の上方に位置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−69134(P2013−69134A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207399(P2011−207399)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】