説明

硬貨繰出装置、硬貨入出金機および硬貨繰出方法

【課題】シンプルな構成で予め設定された所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる硬貨繰出装置、硬貨入出金機および硬貨繰出方法を提供する。
【解決手段】回転円盤52における硬貨収納空間53側の表面には、当該回転円盤52の表面上で硬貨を引っ掛けることにより、回転円盤52の下部領域にある硬貨を当該回転円盤52の回転によってこの回転円盤52の上部領域に搬送する複数の突起部材56が設けられている。予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときに、突起部材56が硬貨出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を収納するとともに収納された硬貨の繰り出しを行う硬貨繰出装置、このような硬貨繰出装置を備えた硬貨入出金機、ならびに硬貨繰出方法に関し、とりわけ、シンプルな構成で予め設定された所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる硬貨繰出装置、硬貨入出金機および硬貨繰出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬貨の入金や出金が可能な硬貨入出金機として、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。特許文献1に開示される硬貨入出金機においては、硬貨受入口により機体内に投入された硬貨が収納されるとともに収納された硬貨の繰り出しを行う硬貨繰出装置が機体内に設けられており、このような硬貨繰出装置として、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤を有するものが用いられるようになっている。より詳細に説明すると、特許文献1に開示される硬貨入出金機の硬貨繰出装置において、回転円盤の表面における縁部近傍の位置には複数の突起部材が設けられており、回転円盤の下部領域にある硬貨が各突起部材により引っ掛けられることにより、回転円盤の回転によってこの回転円盤の下部領域から上部領域に硬貨が搬送されるようになっている。また、回転円盤の上方には当該回転円盤よりも径が小さい受渡円盤が設けられており、各突起部材により回転円盤の上部領域に搬送された硬貨はこの受渡円盤により硬貨繰出装置の外部へ繰り出されるようになっている。
【0003】
また、特許文献1に開示される硬貨入出金機の硬貨繰出装置において、小径の受渡円盤は大径の回転円盤よりも高速で回転するようになっており、硬貨が回転円盤から受渡円盤に受け渡されることにより、後続の硬貨との間の間隔を大きくしている。そして、予め設定された所定枚数の硬貨が受渡円盤により硬貨繰出装置から繰り出されると、所定枚数目の硬貨と後続の硬貨との間の間隔にストップピンを突出させることにより、硬貨がそれ以上硬貨繰出装置から繰り出さないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開公報WO2007/034699A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来の硬貨繰出装置では、回転円盤の上方に受渡円盤を設けなければならず、このような受渡円盤の設置スペースが必要となるため装置全体の設置スペースが大きくなってしまい、また受渡円盤の設置分だけコストアップにつながるという問題がある。一方、受渡円盤の設置を省略した場合には、予め設定された所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨繰出装置から繰り出されないようにするためには、ストップピンに代わる手段を用いて硬貨の繰出動作を精度良く制御しなければならない。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して外部に投出されたときに、回転円盤に設けられた突起部材が硬貨出口を塞ぐような位置で当該回転円盤を停止させることにより、所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨出口から外部に投出されることを確実に防止することができ、受渡円盤等の追加の部材を設けることなくシンプルな構成で余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる硬貨繰出装置、硬貨入出金機および硬貨繰出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬貨繰出装置は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材と、前記回転円盤における前記硬貨収納空間側の表面に設けられた複数の突起部材であって、各突起部材が前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより前記回転円盤の下部領域にある硬貨を当該回転円盤の回転によってこの回転円盤の上部領域に搬送する複数の突起部材と、前記回転円盤の上部領域の近傍に設けられ、前記突起部材により前記回転円盤の上部領域に搬送された硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、前記回転円盤駆動部を制御する制御部であって、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような硬貨繰出装置によれば、回転円盤駆動部を制御する制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して硬貨収納空間から外部に投出されたときに、突起部材が硬貨出口を塞ぐような位置で回転円盤を停止させるよう回転円盤駆動部を制御するようになっている。このように、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して外部に投出されたときに、回転円盤に設けられた突起部材が硬貨出口を塞ぐような位置で当該回転円盤を停止させることにより、硬貨収納空間から硬貨が硬貨出口に送られることがこの突起部材によって遮られるため、所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨出口から外部に投出されることを確実に防止することができる。このため、受渡円盤等の追加の部材を設けることなくシンプルな構成で余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる。
【0009】
本発明の硬貨繰出装置においては、前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、当該所定枚数目の硬貨を搬送した突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0010】
本発明の硬貨繰出装置においては、前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨が搬送される硬貨通路を更に備え、前記硬貨通路には、前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨を検出する第1の硬貨検出部が設けられており、前記制御部は、予め設定された所定枚数目の硬貨が前記第1の硬貨検出部により検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0011】
あるいは、前記硬貨出口の近傍には、当該硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨を案内する案内レバーが移動可能に設けられており、前記案内レバーは、前記硬貨出口を介して硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに当該硬貨が当接して移動するようになっており、前記案内レバーが移動したときにこのことを検出する案内レバー検出部が更に設けられており、前記制御部は、前記案内レバー検出部による前記案内レバーの移動の検出に基づいて、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたことが検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0012】
あるいは、前記回転円盤上の硬貨が前記突起部材により搬送されて前記回転円盤上における所定の位置に達したときにこのことを検知する第2の硬貨検出部が設けられており、前記制御部は、予め設定された所定枚数目の硬貨が前記第2の硬貨検出部により検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0013】
あるいは、前記回転円盤の回転位置を検出する回転円盤位置検出部を更に備え、前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記回転円盤が所定の回転位置に達したことが前記回転円盤位置検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0014】
あるいは、前記回転円盤と同期して回転する回転部材および当該回転部材の回転位置を検出する回転部材位置検出部を更に備え、前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記回転部材が所定の回転位置に達したことが前記回転部材位置検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0015】
あるいは、前記回転円盤に設けられた突起部材を検出する突起部材検出部を更に備え、前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記突起部材が所定の位置に達したことが前記突起部材検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0016】
本発明の硬貨繰出装置においては、前記各突起部材は、前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより当該硬貨の搬送を行う搬送用突起部分と、前記硬貨出口を塞ぐ閉塞用突起部分とを有していてもよい。
【0017】
この際に、前記各突起部材における前記搬送用突起部分および前記閉塞用突起部分は一体的に設けられていてもよい。
【0018】
あるいは、前記各突起部材における前記搬送用突起部分および前記閉塞用突起部分は互いに離間して設けられていてもよい。
【0019】
本発明の硬貨繰出装置においては、前記回転円盤駆動部はステッピングモータから構成されていてもよい。
【0020】
本発明の硬貨繰出装置においては、前記制御部は、前記回転円盤が一旦停止した後、前記回転円盤を硬貨の繰出方向とは逆方向に回転させ、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を再び停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御するようになっていてもよい。
【0021】
本発明の他の硬貨繰出装置は、硬貨を収納する硬貨収納空間が上方に形成された回転円盤と、前記回転円盤に設けられたガイド部材と、前記回転円盤の近傍に設けられ、前記回転円盤上の硬貨が前記ガイド部材により案内されて前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、前記回転円盤駆動部を制御する制御部であって、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記ガイド部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
このような硬貨繰出装置によれば、回転円盤駆動部を制御する制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して硬貨収納空間から外部に投出されたときに、ガイド部材が硬貨出口を塞ぐような位置で回転円盤を停止させるよう回転円盤駆動部を制御するようになっている。このように、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して外部に投出されたときに、回転円盤に設けられたガイド部材が硬貨出口を塞ぐような位置で当該回転円盤を停止させることにより、硬貨収納空間から硬貨が硬貨出口に送られることがこの突起部材によって遮られるため、所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨出口から外部に投出されることを確実に防止することができる。このため、受渡円盤等の追加の部材を設けることなくシンプルな構成で余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる。
【0023】
本発明の硬貨入出金機は、機体外から硬貨を受け入れる硬貨受入口と、前記硬貨受入口に受け入れられた硬貨が送られて収納される硬貨繰出装置と、前記機体外へ硬貨を投出する硬貨投出口と、前記硬貨繰出装置を制御する制御装置と、を備えた硬貨入出金機であって、前記硬貨繰出装置は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材と、前記回転円盤における前記硬貨収納空間側の表面に設けられた複数の突起部材であって、各突起部材が前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより前記回転円盤の下部領域にある硬貨を当該回転円盤の回転によってこの回転円盤の上部領域に搬送する複数の突起部材と、前記回転円盤の上部領域の近傍に設けられ、前記突起部材により前記回転円盤の上部領域に搬送された硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、を有し、前記硬貨繰出装置から繰り出された硬貨が前記硬貨投出口に送られるようになっており、前記制御装置は、前記硬貨繰出装置において予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記硬貨繰出装置の前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする。
【0024】
本発明の硬貨繰出方法は、回転円盤を回転させ、回転円盤の表面に設けられた突起部材に硬貨を引っ掛けることにより回転円盤上の硬貨を搬送し、前記突起部材により搬送された硬貨を硬貨出口により外部に投出する工程と、予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の硬貨繰出装置、硬貨入出金機および硬貨繰出方法によれば、シンプルな構成で予め設定された所定枚数を超える余分な硬貨が硬貨繰出装置から外部に繰り出されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一の実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す硬貨入出金機の内部構成の概略を示す正面図である。
【図3】図1等に示す硬貨入出金機の機能ブロック図である。
【図4】図1等に示す硬貨入出金機における収納繰出装置の構成を示す構成図である。
【図5】図4に示す収納繰出装置において、一の搬送突起部材に2枚の硬貨が引っ掛けられたときの状態を示す図である。
【図6】図5におけるA方向からの矢視による排除突起部材等の構成を示す縦断面図である。
【図7】図4等に示す収納繰出装置の機能ブロック図である。
【図8】第1の通過センサ、回転部材位置検出センサ、カウントセンサの各々による検出状況、および回転円盤駆動部による回転円盤の回転駆動の動作を示すシーケンス図である。
【図9】収納繰出装置の回転円盤が停止し、収納繰出装置の出口を塞ぐような位置に搬送突起部材が位置したときの状態を示す。
【図10】(a)は、硬貨の径が比較的大きい場合において、所定枚数目(N枚目)の硬貨が第1の通過センサにより検出されたときの状態を示す図であり、(b)は、硬貨の径が比較的小さい場合において、所定枚数目(N枚目)の硬貨が第1の通過センサにより検出されたときの状態を示す図である。
【図11】収納繰出装置に設けられた搬送突起部材の他の構成を示す構成図である。
【図12】図1等に示す硬貨入出金機における受渡円盤および入金搬送部の構成を示す構成図である。
【図13】図12に示す受渡円盤や入金搬送部の動作を示すシーケンス図である。
【図14】比較例として、従来の方法における受渡円盤や入金搬送部の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態に係る硬貨入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における硬貨入出金機の内部構成の概略を示す側面図であり、図2は、図1に示す硬貨入出金機の内部構成の概略を示す正面図である。また、図3は、図1等に示す硬貨入出金機の機能ブロック図である。また、図4乃至図6は、図1等に示す硬貨入出金機における収納繰出装置の構成を示す構成図であり、図7は、図4等に示す収納繰出装置の機能ブロック図である。
【0028】
図1および図2に示すように、硬貨入出金機10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12外から硬貨を受け入れる硬貨受入口14と、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出装置30とを備えている。また、筐体12内において、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部20が設けられており、この入金搬送部20には、当該入金搬送部20により搬送される硬貨の識別を行う識別部22が設けられている。
【0029】
また、筐体12内において入金搬送部20の下方には複数(具体的には8つ)の収納繰出装置50が設けられている。各収納繰出装置50は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、入金搬送部20に設けられた選別部24(後述)により当該入金搬送部20から硬貨が金種別に送られて収納されるようになっている。また、各収納繰出装置50は、当該収納繰出装置50に収納された硬貨を1枚ずつ収納繰出装置50の外部に繰り出すようになっている。
【0030】
また、硬貨入出金機10には、筐体12外へ硬貨を投出する硬貨投出口18が設けられており、筐体12内には、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送する出金搬送部70が設けられている。また、筐体12内において、出金搬送部70の下方には回収ボックス80が設けられている。
【0031】
以下、このような構成からなる硬貨入出金機10の各構成要素の詳細について説明する。
【0032】
図2に示すように、筐体12外から内部に投入された硬貨を受け入れる硬貨受入口14が筐体12の上部に設けられており、硬貨受入口14に受け入れられた硬貨は自重により貯留繰出装置30に送られるようになっている。硬貨受入口14から貯留繰出装置30に送られた硬貨は、当該貯留繰出装置30に一時的に貯留されるようになっている。
【0033】
図2に示すように、貯留繰出装置30は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤32と、この回転円盤32の表面32bとの間に硬貨を貯留する硬貨貯留空間33を形成するカバー部材34と、を備えている。また、図1に示すように、貯留繰出装置30において回転円盤32の上方には当該回転円盤32よりも径が小さい受渡円盤36が設けられている。そして、回転円盤32の下部領域から上部領域に搬送された硬貨はこの受渡円盤36により入金搬送部20へ繰り出されるようになっている。
【0034】
図1に示すように、入金搬送部20は、第1の入金搬送部分20aと、折り返し入金搬送部分20bと、第2の入金搬送部分20cとを有している。第1の入金搬送部分20aは、略水平方向に沿って延び、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨を搬送するようになっている。折り返し入金搬送部分20bは、第1の入金搬送部分20aから送られた硬貨を搬送し、この際に硬貨の搬送方向を逆方向に変えるようになっている。第2の入金搬送部分20cは、略水平方向に沿って延び、折り返し入金搬送部分20bから送られた硬貨を搬送するようになっている。ここで、第1の入金搬送部分20aは、図1における右方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっており、第2の入金搬送部分20cは、図1における左方向に硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。また、折り返し入金搬送部分20bは、半円に沿って延びるような湾曲形状となっており、硬貨の搬送方向を図1における右方向から左方向に変えるようになっている。
【0035】
また、図1に示すように、第1の入金搬送部分20a、折り返し入金搬送部分20bおよび第2の入金搬送部分20cから構成される入金搬送部20は、複数のプーリに張架された無端状ベルト20pを有している。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト20pは図1における反時計回りの方向(図1における矢印方向)に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト20pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚引っ掛けられることにより、搬送面上で硬貨が1枚ずつ搬送させられるようになっている。
【0036】
図1および図2に示すように、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cにはそれぞれ複数の選別部24が設けられている。より具体的には、第1の入金搬送部分20aには4つの選別部24が設けられており、第2の入金搬送部分20cには5つの選別部24が設けられている。また、図1に示すように、第1の入金搬送部分20aにおける各選別部24の上流側には識別部22が設けられており、この識別部22は、貯留繰出装置30から繰り出された硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行うようになっている。そして、第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cに設けられた各選別部24は、識別部22による硬貨の識別結果に基づいて、これらの第1の入金搬送部分20aや第2の入金搬送部分20cにより搬送される硬貨を選別して硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送ったりするようになっている。具体的には、第1の入金搬送部分20aおよび第2の入金搬送部分20cに設けられた合計9つの選別部24のうち、1つの選別部24はリジェクト選別部として機能するようになっており、この選別部24によりリジェクト硬貨が選別されて硬貨投出口18に送られるようになっている。一方、リジェクト選別部として機能する選別部24以外の8つの選別部24は、各収納繰出装置50に対応するようになっている。また、各選別部24には、それぞれ対応するシュート26が設けられている。そして、選別部24により選別された硬貨は、この選別部24に設けられたシュート26を介して、硬貨投出口18や、対応する収納繰出装置50に送られたりするようになる。
【0037】
より詳細に説明すると、9つの選別部24のうち、第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた選別部24(すなわち、図1における第1の入金搬送部分20aに設けられた4つの選別部24のうち最も左側に配置された選別部24)は、リジェクト硬貨の選別を行うリジェクト選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨のうちリジェクト硬貨と識別された硬貨はこのリジェクト選別部により選別されて硬貨投出口18に送られるようになる。一方、9つの選別部24のうち、上述のようなリジェクト選別部として機能する選別部24以外の8つの選別部24は、それぞれ、金種別に硬貨を選別する金種別選別部として機能するようになっている。すなわち、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各選別部24により硬貨は金種別に各収納繰出装置50に送られるようになる。
【0038】
図1に示すように、入金搬送部20の下方には複数、具体的には8つの収納繰出装置50が設けられている。各収納繰出装置50は、入金搬送部20から選別部24により選別されて送られた硬貨を収納するとともに、収納された硬貨を1枚ずつ収納繰出装置50の外部に繰り出すようになっている。図1等に示すように、各収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、この回転円盤52の表面52bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54と、を備えている。このような収納繰出装置50の構成の詳細については後述する。
【0039】
前述のように、筐体12内には出金搬送部70が設けられており、この出金搬送部70は、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨を硬貨投出口18に搬送するようになっている。ここで、出金搬送部70は、各収納繰出装置50の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分70aと、第1の出金搬送部分70aから送られた硬貨を硬貨投出口18に搬送する第2の出金搬送部分70bとを有している。
【0040】
第1の出金搬送部分70aおよび第2の出金搬送部分70bから構成される出金搬送部70は、複数のプーリに張架された無端状ベルト70pを有している。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト70pは図1における時計回りおよび反時計回りの両方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト70pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚以上引っ掛けられることにより、無端状ベルト70pにより硬貨が1枚以上ずつ搬送させられるようになっている。また、図2に示すように、各収納繰出装置50の一方の側の側方(図2における右方)には硬貨出金空間72が形成されており、この硬貨出金空間72において、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が出金搬送部70の第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するようになっている。また、各収納繰出装置50の他方の側の側方(図2における左方)には、入金搬送部20に設けられた選別部24から各収納繰出装置50に硬貨を搬送するシュート26が設けられている。
【0041】
このような出金搬送部70において、無端状ベルト70pが図1における反時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られるようになる。一方、無端状ベルト70pが図1における時計回りの方向に循環移動させられるときには、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨は自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下するが、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから後述する回収ボックス80に送られ、最終的に回収ボックス80に収納されるようになる。
【0042】
前述のように、筐体12内において、各収納繰出装置50の下方には回収ボックス80が設けられている。この回収ボックス80は筐体12に対して着脱自在に設けられている。また、前述のように、回収ボックス80には出金搬送部70における第1の出金搬送部分70aから回収用の硬貨が送られるようになっている。そして、回収ボックス80に硬貨が収納された後、操作者が筐体12から回収ボックス80を取り出すことにより、硬貨を回収ボックス80ごと回収することができるようになっている。
【0043】
また、硬貨入出金機10内には、当該硬貨入出金機10の各構成要素の制御を行う制御装置90が設けられている。制御装置90の構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、制御装置90は、入金搬送部20、貯留繰出装置30、識別部22、選別部24、収納繰出装置50、出金搬送部70等にそれぞれ接続されている。そして、識別部22による硬貨の識別結果が制御装置90に送られるようになっており、また、制御装置90から入金搬送部20、貯留繰出装置30、選別部24、収納繰出装置50、出金搬送部70等にそれぞれ指令を送ることにより制御装置90はこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0044】
また、硬貨入出金機10の筐体12の上面または前面には操作表示部92(図1および図2では図示せず)が設けられており、この操作表示部92は制御装置90に接続されている。操作表示部92は、例えばタッチパネル式のディスプレイ等からなる。そして、操作表示部92によって操作者により入力された情報は制御装置90に送られるようになっており、また、制御装置90から操作表示部92に情報を送ることによりこの操作表示部92で様々な表示を行わせるようになっている。また、硬貨入出金機10の筐体12の上面または前面にはカードリーダ95(図1および図2では図示せず)が設けられており、このカードリーダ95により操作者が携帯するIDカードのID情報を読み取るようになっている。カードリーダ95は制御装置90に接続されており、カードリーダ95により読み取られた操作者のID情報は制御装置90に送られるようになっている。また、制御装置90には記憶部96が接続されており、この記憶部96には硬貨入出金機10の様々な設定情報や、各収納繰出装置50に収納された硬貨の金種毎の枚数等の収納情報が記憶されるようになっている。また、制御装置90にはインターフェース98が接続されており、このインターフェース98を介して制御装置90は硬貨入出金機10以外の外部装置(例えば上位装置)と情報の送受信を行うことができるようになっている。
【0045】
次に、収納繰出装置50の構成の詳細について図1および図4乃至図6を用いて以下に説明する。
【0046】
図1に示すように、収納繰出装置50は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤52と、この回転円盤52の表面52bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間53を形成するカバー部材54と、を備えている。図4に示すように、回転円盤52には回転軸52aが取り付けられており、この回転軸52aにより回転円盤52は鉛直方向に対して所定角度で傾斜した状態で図4における時計回りの方向(図4における矢印方向)に回転するようになっている。また、回転軸52aには、例えばステッピングモータ等からなる回転円盤駆動部52c(図4では図示せず)が接続されており、当該回転円盤駆動部52cにより回転軸52aが回転駆動させられることによって回転円盤52が回転するようになっている。
【0047】
回転円盤52の表面には、中央域に円形の高位部52mが形成され、この高位部52mの外周縁に環状の低位部52nが形成されている。そして、回転円盤52の高位部52mと低位部52nとの間には、処理されるべき硬貨のうち最小硬貨厚みより少し小さい寸法で、硬貨の周縁が厚み方向に1枚載る段差状の硬貨周縁保持部57が形成されている。
【0048】
回転円盤52の低位部52nには、当該回転円盤52の表面52bから突出する複数の搬送突起部材56が設けられている。これらの搬送突起部材56は、内周側の円周方向と外周側の円周方向との2列の円周方向に沿って所定ピッチで配置されている。外周側の各搬送突起部材56は、内周側の各搬送突起部材56より回転円盤52の回転方向(図4における時計回りの方向)の上流側に配置されている。そして、回転円盤52の回転時において、内周側の搬送突起部材56がカバー部材54との間で硬貨を1枚ずつ保持して回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げ(図4における硬貨C1参照)、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部57とに硬貨を受け渡し、内周側の搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げた硬貨(図4における硬貨C2参照)を、外周側の搬送突起部材56により収納繰出装置50の出口50aへ向けて押し出す(図4における硬貨C3参照)ようになっている。
【0049】
硬貨周縁保持部57は、内周側の各搬送突起部材56との間で硬貨を1枚ずつ保持可能とする各位置に設けられている(図4における硬貨C1参照)。具体的には、円周方向に複数の硬貨周縁保持部57が等間隔で設けられている。このような複数の硬貨周縁保持部57の間には、高位部52mと低位部52nとの間の段差を傾斜面として、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部57とで保持されない硬貨を自重により下方に滑落させる滑落部58が形成されている。
【0050】
収納繰出装置50における回転円盤52の上部領域には、搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げられた硬貨(図4における硬貨C2参照)を収納繰出装置50の出口50aへ向けて繰り出す案内通路62が形成されている。この案内通路62は、回転円盤52の表面52bよりもわずかに低い位置に(例えば、回転円盤52の表面52bよりも0.5mm低い位置に)設けられている。また、収納繰出装置50における回転円盤52の上部領域の近傍に片寄せレバー63およびガイド部材64がそれぞれ設けられており、案内通路62はこれらの片寄せレバー63およびガイド部材64の間に形成されている。
【0051】
片寄せレバー63は、収納繰出装置50の出口50aの一方の縁部側に配置されている。ここで、片寄せレバー63は軸63aを中心として揺動するようになっており、この片寄せレバー63に何ら力が加えられていないときには軸63aに設けられたねじりバネ(図示せず)により軸63aを中心として時計回りの方向に片寄せレバー63に力が付勢されるようになっており、このときに片寄せレバー63は図5に示す位置に維持されるようになっている。一方、硬貨が案内通路62を通過する際には、片寄せレバー63はこの硬貨によりねじりバネによる力に抗して軸63aを中心として反時計回りの方向に押されるようになっている(図4における硬貨C3参照)。また、図5に示すように、片寄せレバー63の近傍には、当該片寄せレバー63が硬貨に押されることによって図5に示す位置から移動したときにこのことを検出する片寄せレバー検出センサ63bが設けられている。
【0052】
ガイド部材64は、当該ガイド部材64と回転円盤52の低位部52nの表面との間に硬貨が入り込まないよう回転円盤52の表面52bからわずかに間隔をあけて、硬貨周縁保持部57側から収納繰出装置50の出口50aの他方の縁部側にわたって設けられている。また、ガイド部材64における回転円盤52の低位部52nに対向する面には、回転移動する各搬送突起部材56および後述する排除突起部材59が通過するような溝部64bが形成されている。そして、ガイド部材64により、搬送突起部材56によって回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられた硬貨を硬貨周縁保持部57から受け取って収納繰出装置50の出口50aへ案内するようになっている。このガイド部材64の先端部分64cの厚さは、処理されるべき硬貨のうち最小硬貨厚みより少し小さい寸法となっているが、ガイド部材64の先端部分64cの厚さの詳細については後述する。
【0053】
収納繰出装置50の出口50aには、第1の通過センサ66および一対のカウントセンサ68がそれぞれ設けられている。第1の通過センサ66は、回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられて収納繰出装置50の出口50aに送られた硬貨が当該第1の通過センサ66を通過したときにこのことを検知するようになっている。また、一対のカウントセンサ68は、収納繰出装置50の出口50aから繰り出される硬貨の計数を行うようになっている。
【0054】
また、回転円盤52の近傍には、当該回転円盤52上で搬送される硬貨を検出する第2の通過センサ67が設けられている。この第2の通過センサ67は回転円盤52から離間して設けられており、回転円盤52が回転した場合でも第2の通過センサ67が移動することはない。この第2の通過センサ67は、回転円盤52上の硬貨が搬送突起部材56により搬送されて第2の通過センサ67の位置に達したときにこのことを検出するようになっている。
【0055】
また、図4乃至図6に示すように、収納繰出装置50において回転円盤52に排除突起部材59が設けられている。排除突起部材59は、一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときに、回転円盤52の上部領域においてガイド部材64により硬貨が案内される際にこの搬送突起部材56に引っ掛けられた硬貨のうち1枚の硬貨のみを回転円盤52の表面から浮かせずそれ以外の硬貨を回転円盤52の表面から浮かせるようになっている。そして、回転円盤52の表面から浮いた2枚目以降の硬貨は、ガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって回転円盤52の下部領域に落下するようになっている。以下、このような排除突起部材59の構成の詳細について説明する。
【0056】
図4および図5に示すように、排除突起部材59は、各搬送突起部材56よりも回転円盤52の中心側において、円周方向に沿って所定ピッチで複数配置されている。より詳細に説明すると、内周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、この内周側の搬送突起部材56に対応する、外周側の円周方向に沿って配置された一つの搬送突起部材56と、前述の内周側の搬送突起部材56に対応する、一つの排除突起部材59とにより一組の突起集合体が形成されており、このような突起集合体が回転円盤52の円周方向に沿って複数組(図4等に示す例では7組)配置されている。
【0057】
ここで、内周側の一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨が引っ掛けられた場合について図5および図6を用いて説明する。図5は、図4に示す収納繰出装置において、内周側の一の搬送突起部材56に2枚の硬貨が引っ掛けられたときの状態を示す図であり、図6は、図5におけるA方向からの矢視による排除突起部材59等の構成を示す縦断面図である。図5に示すように、一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨C4、C5が引っ掛けられて回転円盤52の上部領域まで持ち上げられたときに、この搬送突起部材56に対応する排除突起部材59は、図6に示すように、1枚の硬貨C4のみを回転円盤52の表面52bから浮かせず、それ以外の硬貨C5を回転円盤52の表面52bから浮かせるようになっている。具体的には、2枚目以降の硬貨C5については、回転円盤52の回転方向における前側の部分(図6における右側の部分)が回転円盤52の表面52bから浮くようになっている。そして、回転円盤52の上部領域において一つの搬送突起部材56に引っ掛けられた2枚の硬貨C4、C5がガイド部材64に達したときに、回転円盤52の表面52bから浮いていない硬貨C4はガイド部材64の上縁部64aに沿って収納繰出装置50の出口50aまで案内されるが、回転円盤52の表面52bから浮いている硬貨C5はガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられて、この硬貨C5はガイド部材64により案内されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下してしまう。より詳細には、2枚目以降の硬貨C5における回転円盤52の表面52bから浮いた前側の部分がガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって、当該硬貨C5はガイド部材64により回転円盤52の外部へ繰り出されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下させられるようになる。
【0058】
ここで、一つの搬送突起部材56に2枚の硬貨C4、C5が引っ掛けられたときに、2枚目以降の硬貨C5の前側の部分が排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮く高さは、ガイド部材64における2枚目以降の硬貨C5をすくい上げるべき箇所の高さ、具体的にはガイド部材64の先端部分64cの厚さよりも大きくなっている。具体的には、2枚目以降の硬貨C5の前側の部分が排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮く高さは例えば1mmとなっており、ガイド部材64における2枚目以降の硬貨C5をすくい上げるべき箇所の高さ(ガイド部材64の先端部分64cの厚さ)は例えば0.8mmとなっている。このことにより、ガイド部材64の先端部分64cにより2枚目以降の硬貨C5を確実にすくい上げることができるようになる。
【0059】
また、図5において、処理されるべき硬貨のうち直径が最も大きい硬貨を参照符号C6で示す。図5に示すように、各排除突起部材59は、このような直径が最も大きい硬貨C6が回転円盤52の回転によって搬送突起部材56により搬送される際に、この硬貨C6を回転円盤52の表面から浮かせないような位置、形状および大きさで構成されている。
【0060】
また、図4に示すように、収納繰出装置50における回転円盤52の近傍には、当該回転円盤52と同期して図4における反時計回りの方向に回転する回転部材69が設けられている(図4では点線で表示)。より詳細には、回転円盤52が、隣接する2つの突起集合体(各突起集合体は、前述のように一対の搬送突起部材56および一つの排除突起部材59の組合せ体である)の間の距離分だけ回転したときに、この回転部材69は半周分回転するようになっている。すなわち、回転円盤52の各突起集合体により硬貨が収納繰出装置50の出口50aから繰り出される度に、回転部材69は半周分回転するようになっている。また、この回転部材69の外周縁には、一対の回転検知遮光板69aが取り付けられている。また、回転部材69の近傍には回転部材位置検出センサ69bが設けられている。この回転部材位置検出センサ69bは例えば光センサからなり、回転部材69に取り付けられた回転検知遮光板69aが回転部材位置検出センサ69bに到達したときに、回転部材位置検出センサ69bはこの回転検知遮光板69aを検出するようになっている。このようにして、回転部材位置検出センサ69bは回転部材69の回転位置を検出するようになっている。
【0061】
また、収納繰出装置50には、当該収納繰出装置50の各構成要素の制御を行う制御部51が設けられている。制御部51の構成について図7を用いて説明する。図7に示すように、収納繰出装置50の制御部51は、回転円盤駆動部52c、片寄せレバー検出センサ63b、第1の通過センサ66、第2の通過センサ67、カウントセンサ68、回転部材位置検出センサ69b等にそれぞれ接続されている。また、制御部51は制御装置90に接続されており、当該制御部51は制御装置90に対して信号の送受信を行うようになっている。制御部51は、制御装置90から送られた指令に基づいて回転円盤駆動部52cの制御を行うようになっている。また、各センサ63b、66、67、68、69bによる検出結果は、制御部51から制御装置90に送られるようになっている。なお、他の態様として、収納繰出装置50に制御部51が設けられておらず、回転円盤駆動部52cや各センサ63b、66、67、68、69bが制御装置90に直接接続されるようになっていてもよい。
【0062】
次に、このような構成からなる硬貨入出金機10の動作について説明する。なお、以下に示す硬貨入出金機10の動作は、制御装置90が硬貨入出金機10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
【0063】
操作者が硬貨入出金機10の硬貨受入口14に硬貨を投入すると、この硬貨は自重により落下して貯留繰出装置30に送られる。そして、そして、貯留繰出装置30において回転円盤32が図1における反時計回りの方向に回転することにより、硬貨貯留空間33内で貯留され回転円盤32の下部領域にある硬貨は、回転円盤32の下部領域から上部領域に拾い上げられる。その後、回転円盤32の上部領域に拾い上げられた硬貨は貯留繰出装置30の出口へ向けて押し出され、最終的に受渡円盤36により入金搬送部20の無端状ベルト20pに送られる。このようにして、貯留繰出装置30に貯留された硬貨が1枚ずつ入金搬送部20に繰り出される。
【0064】
貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出された硬貨は当該入金搬送部20の無端状ベルト20pにより搬送される。具体的には、まず識別部22により硬貨の識別が行われる。ここで、リジェクト硬貨であると識別された硬貨は、第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた、リジェクト選別部として機能する選別部24により選別されて硬貨投出口18に送られる。一方、リジェクト硬貨ではない正常な硬貨は、識別部22により識別された硬貨の金種に基づいて、各選別部24により金種別に選別され、各選別部24に対応する収納繰出装置50に送られて収納される。
【0065】
硬貨入出金機10から硬貨を出金または回収する際には、出金または回収すべき硬貨の金種に対応する収納繰出装置50から、収納された硬貨を繰り出して出金搬送部70に送る。具体的には、収納繰出装置50において回転円盤52が図4における時計回りの方向に回転することにより、硬貨収納空間53で収納され回転円盤52の下部領域にある硬貨は、内周側の搬送突起部材56とカバー部材54との間で1枚ずつ保持されて回転円盤52の下部領域から上部領域に拾い上げられる。その後、内周側の搬送突起部材56と硬貨周縁保持部57とにこの硬貨が受け渡される。内周側の搬送突起部材56で回転円盤52の上部領域に拾い上げた硬貨は、外周側の搬送突起部材56により収納繰出装置50の出口50aへ向けて押し出され(図4における硬貨C3参照)、案内通路62に送られる。この際に、回転円盤52の表面52b上にある硬貨は、ガイド部材64により案内されて回転円盤52の外部へ繰り出されるようになる。そして、案内通路62から収納繰出装置50の出口50aに送られた硬貨は、自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下する。この際に、収納繰出装置50からは図2における右方向に硬貨が繰り出されるようになる。
【0066】
また、収納繰出装置50から硬貨が繰り出される際に、内周側の一つの搬送突起部材56に2枚以上の硬貨が引っ掛けられたときには、この搬送突起部材56に引っ掛けられた複数の硬貨のうち1枚の硬貨のみ(図5および図6における硬貨C4参照)が回転円盤52の表面52bから浮かない状態となり、それ以外の硬貨(図5および図6における硬貨C5参照)は排除突起部材59により回転円盤52の表面52bから浮いた状態となる。そして、このような状態で内周側の一つの搬送突起部材56に引っ掛けられた2枚以上の硬貨がガイド部材64に達したときに、回転円盤52の表面52bから浮いていない硬貨(図5および図6における硬貨C4)はガイド部材64の上縁部64aに沿って収納繰出装置50の出口50aまで案内される。一方、2枚目以降の硬貨(図5および図6における硬貨C5)は、当該硬貨における回転円盤52の表面52bから浮いた前側の部分がガイド部材64の先端部分64cによりすくい上げられることによって、この硬貨はガイド部材64により回転円盤52の外部へ繰り出されずに回転円盤52の下部領域に自重により落下する。このようにして、ガイド部材64により回転円盤52から案内通路62を介して収納繰出装置50の出口50aに2枚以上の硬貨が一度に繰り出されてしまうことを防止することができる。
【0067】
硬貨入出金機10から硬貨を出金する際には、出金搬送部70の無端状ベルト70pを図1における反時計回りの方向に循環移動させる。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから第2の出金搬送部分70bに送られる。そして、第2の出金搬送部分70bにおいて無端状ベルト70pの突起部材に引っ掛けられた硬貨は図1における上方に移動させられ、最終的に第2の出金搬送部分70bの上端部から硬貨投出口18に送られる。
【0068】
一方、硬貨入出金機10から硬貨を回収する際には、出金搬送部70の無端状ベルト70pを図1における時計回りの方向に循環移動させる。このことにより、各収納繰出装置50から繰り出された硬貨が自重により硬貨出金空間72を通過して第1の出金搬送部分70aにおける無端状ベルト70p上に落下した後、無端状ベルト70p上の硬貨は第1の出金搬送部分70aから回収ボックス80に送られ、この回収ボックス80に収納されるようになる。そして、回収ボックス80に硬貨が収納された後、操作者が筐体12から回収ボックス80を取り出すことにより、回収ボックス80ごと硬貨が回収される。
【0069】
また、本実施の形態の収納繰出装置50では、当該収納繰出装置50から硬貨を外部に繰り出す際に、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときに、搬送突起部材56がこの出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52が停止するようになっている。より詳細には、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときに、この所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材56が出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52が停止するようになっている。
【0070】
以下、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときの、回転円盤駆動部52cによる回転円盤52の回転駆動の動作について図8を用いて説明する。図8は、第1の通過センサ66、回転部材位置検出センサ69b、カウントセンサ68の各々による検出状況、および回転円盤駆動部52cによる回転円盤52の回転駆動の動作を示すシーケンス図である。
【0071】
収納繰出装置50から硬貨を外部に繰り出す際に、まず、ステッピングモータ等からなる回転円盤駆動部52cにより回転円盤52を正転させる(図8参照)。具体的には、回転円盤52を図4における時計回りの方向に回転させる。そして、回転円盤52が正転しているときに、回転部材69も回転円盤52に同期して回転するようになる。より詳細には、回転円盤52が、隣接する2つの突起集合体の間の距離分だけ回転したときに、回転部材69は半周分回転する。そして、回転部材69が半周分回転する度に、光センサ等からなる回転部材位置検出センサ69bは回転部材69の回転検知遮光板69aにより遮光される。このことにより、回転部材位置検出センサ69bは回転部材69の回転検知遮光板69aを検出するようになる。なお、他の態様として、回転円盤駆動部52cによって回転部材69が回転し、回転円盤52が回転部材69に従動して回転するようになっていてもよい。この場合でも、回転部材69が半周分回転したときに、回転円盤52は、隣接する2つの突起集合体の間の距離分だけ回転する。
【0072】
また、前述したように、収納繰出装置50の出口50aから繰り出された硬貨は、第1の通過センサ66により検出された後、カウントセンサ68により計数されるようになっている。
【0073】
そして、図8に示すシーケンス図において、収納繰出装置50から外部に繰り出されるべき硬貨の枚数が例えば4枚である場合には、この4枚という数字が予め設定された所定枚数となる。そして、4枚目の硬貨が第1の通過センサ66により検出された後(図8の状態(a)参照)、回転部材位置検出センサ69bが回転部材69の回転検知遮光板69aを検出すると(図8の状態(b)参照)、回転円盤駆動部52cにより回転円盤52は減速し始める。このようにして、回転部材位置検出センサ69bが回転部材69の回転検知遮光板69aを検出してから所定の時間が経過した後に、回転円盤52は停止するようになる(図8の状態(c)参照)。回転円盤52が停止すると、4枚目の硬貨を搬送した搬送突起部材56は、収納繰出装置50の出口50aを塞ぐような位置に位置するようになり、この出口50aから硬貨がこれ以上外部に投出されることはなくなる。
【0074】
図9に、回転円盤52が停止し、所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材56が、収納繰出装置50の出口50aを塞ぐような位置に位置したときの状態を示す。図9において、所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材を参照符号56aで示す。また、所定枚数目の硬貨の次の硬貨(すなわち、収納繰出装置50の出口50aから繰り出されるべきではない硬貨)を参照符号C7で示す。
【0075】
図9に示すように、所定枚数目の硬貨の次の硬貨C7が搬送突起部材56により搬送されて出口50aの近傍に到達したときに、この硬貨C7は、所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材56aが出口50aを塞ぐことにより、収納繰出装置50の出口50aに入ることができない。このように、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されると、所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材56aが出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52が停止するので、硬貨がそれ以上収納繰出装置50の出口50aから外部に繰り出されることが防止される。
【0076】
また、本実施の形態の収納繰出装置50では、回転部材位置検出センサ69bが回転部材69の回転検知遮光板69aを検出してから所定の時間(図8における状態(b)と(c)との間の時間)が経過した後に、回転円盤52が停止するようになっているため、硬貨の径の大小に関わらず、回転円盤52は同じ回転位置で停止するようになる。このことについて、図10を用いてより詳細に説明する。
【0077】
図10(a)は、硬貨の径が比較的大きい場合(具体的には、硬貨の直径が26.5mmである場合)において、所定枚数目(N枚目)の硬貨が第1の通過センサ66により検出されたときの状態を示す図であり、図10(b)は、硬貨の径が比較的小さい場合(具体的には、硬貨の直径が16.25mmである場合)において、所定枚数目(N枚目)の硬貨が第1の通過センサ66により検出されたときの状態を示す図である。図10(a)(b)に示すように、硬貨の径の大きさが異なる場合には、所定枚数目(N枚目)の硬貨が検出されたときの搬送突起部材56の位置は異なるようになる。このため、もし仮に、所定枚数目の硬貨が第1の通過センサ66により検出されたときに回転円盤駆動部52cにより回転円盤52を減速させ始めた場合には、回転円盤52が停止したときの回転位置も硬貨の径の大きさによって異なるようになってしまう。このため、搬送突起部材56が収納繰出装置50の出口50aを塞ぐ位置も異なるようになってしまい、硬貨の径の大きさによっては搬送突起部材56が当該出口50aを完全に塞ぐことができず、N+1枚目の硬貨が収納繰出装置50の出口50aから外部に繰り出されてしまうおそれがある。これに対し、所定枚数目の硬貨が第1の通過センサ66により検出された後において、回転部材位置検出センサ69bが回転部材69の回転検知遮光板69aを検出してから所定の時間が経過した後に、回転円盤52を停止させた場合には、回転円盤52が停止する回転位置は硬貨の径の大きさに関わらず同じ位置となり、搬送突起部材56が当該出口50aを硬貨の径の大きさにかかわらず確実に塞ぐことができるようになる。
【0078】
以上のように、本実施の形態の収納繰出装置50によれば、回転円盤駆動部52cを制御する制御部51は、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときに、図9に示すように搬送突起部材56が出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっている。このように、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して外部に投出されたときに、回転円盤52に設けられた搬送突起部材56が出口50aを塞ぐような位置で当該回転円盤52を停止させることにより、硬貨収納空間53から硬貨が出口50aに送られることがこの搬送突起部材56によって遮られるため、所定枚数を超える余分な硬貨が出口50aから外部に投出されることを確実に防止することができる。このため、収納繰出装置50に受渡円盤等の追加の部材を設けることなくシンプルな構成で、余分な硬貨が収納繰出装置50から外部に繰り出されないようにすることができる。
【0079】
また、本実施の形態の収納繰出装置50においては、前述したように、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出されたときに、所定枚数目の硬貨を搬送した搬送突起部材56が出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52は停止させられるようになっている。
【0080】
また、本実施の形態の収納繰出装置50においては、回転円盤52と同期して回転する回転部材69およびこの回転部材69の回転位置を検出する回転部材位置検出センサ69bが設けられており、制御部51は、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出された後、回転部材69が所定の回転位置に達したことが回転部材位置検出センサ69bにより検出されたときに、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっている。この場合には、回転円盤52は停止する回転位置は硬貨の径の大きさに関わらず同じ位置となり、搬送突起部材56が当該出口50aを硬貨の径の大きさにかかわらず確実に塞ぐことができるようになる。
【0081】
また、図4に示すように、各搬送突起部材56の先端部分56mは、回転円盤52の表面52b上で硬貨を引っ掛けることにより当該硬貨の搬送を行う搬送用突起部分として機能し、各搬送突起部材56の後端部分56nは、収納繰出装置50の出口50aを塞ぐ閉塞用突起部分として機能するようになっている。図4に示す例では、搬送用突起部分として機能する先端部分56mおよび閉塞用突起部分として機能する後端部分56nは一体的に設けられているが、図11に示すように、各搬送突起部材56における搬送用突起部分56pおよび閉塞用突起部分56qが互いに離間して設けられていてもよい。
【0082】
また、前述したように、回転円盤駆動部52cはステッピングモータから構成されているが、このような態様に限定されることはない。回転円盤駆動部52cは例えばDCモータ等の他の種類のモータから構成されていてもよい。
【0083】
なお、本実施の形態による硬貨入出金機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0084】
例えば、回転円盤52を回転駆動させる回転円盤駆動部52cは、収納繰出装置50の制御部51ではなく制御装置90により直接的に制御されるようになっていてもよい。
【0085】
また、各収納繰出装置50から繰り出される硬貨が単一金種の場合には、片寄せレバー63の設置を省略することができる。この場合には、片寄せレバー63を設置しなくても、回転円盤52の上部領域から収納繰出装置50の出口50aへ向けて硬貨を案内するための案内通路62の通路幅を硬貨の金種に応じて調整すればよい。
【0086】
また、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出され、回転円盤52が停止したときに、収納繰出装置50の出口50aを塞いでいる搬送突起部材56は、所定枚数目の硬貨を搬送したものに限定されることはない。
【0087】
また、変形例において、収納繰出装置50の制御部51は、予め設定された所定枚数目の硬貨が第1の通過センサ66により検出された後、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。
【0088】
あるいは、収納繰出装置50の制御部51は、予め設定された所定枚数目の硬貨が片寄せレバー63に当接することにより当該片寄せレバー63が移動したことが片寄せレバー検出センサ63bにより検出された後、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。
【0089】
あるいは、収納繰出装置50の制御部51は、予め設定された所定枚数目の硬貨が第2の通過センサ67により検出された後、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。
【0090】
また、更に他の変形例では、収納繰出装置50において、回転円盤52の回転位置を検出する回転円盤位置検出センサ52pが設けられていてもよい(図7参照)。そして、制御部51は、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出された後、回転円盤52が所定の回転位置に達したことが回転円盤位置検出センサ52pにより検出されたときに、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。この場合には、回転円盤52は停止する回転位置は硬貨の径の大きさに関わらず同じ位置となり、搬送突起部材56が当該出口50aを硬貨の径の大きさにかかわらず確実に塞ぐことができるようになる。
【0091】
また、更に他の変形例では、収納繰出装置50において、回転円盤52に設けられた搬送突起部材56を検出する突起部材検出センサ56bが設けられていてもよい(図7参照)。そして、制御部51は、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置50の出口50aを介して硬貨収納空間53から外部に投出された後、搬送突起部材56が所定の位置に達したことが突起部材検出センサ56bにより検出されたときに、所定の時間後に回転円盤52を停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。この場合にも、回転円盤52は停止する回転位置は硬貨の径の大きさに関わらず同じ位置となり、搬送突起部材56が当該出口50aを硬貨の径の大きさにかかわらず確実に塞ぐことができるようになる。
【0092】
また、更に他の変形例では、収納繰出装置50の制御部51は、回転円盤52が一旦停止した後、この回転円盤52を硬貨の繰出方向とは逆方向に回転させ、搬送突起部材56が収納繰出装置50の出口50aを塞ぐような位置で回転円盤52を再び停止させるよう回転円盤駆動部52cを制御するようになっていてもよい。この場合には、回転円盤駆動部52cは、回転円盤52を一旦停止させた後、この回転円盤52を反転させることにより、搬送突起部材56が収納繰出装置50の出口50aを塞ぐような位置に回転円盤52を移動させるようになる。
【0093】
また、本発明においては、収納繰出装置の回転円盤は、必ずしも鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられるものに限定されることはない。回転円盤として、水平面に延びるよう設置され、水平面に沿って回転させられるものを用いてもよい。この場合には、回転円盤の上方に、硬貨を収納する硬貨収納空間が形成されるようになる。また、回転円盤上で硬貨を移動させる部材は、突起部材に限定されることはなく、単なるガイド部材により回転円盤上で硬貨を案内するようになっていてもよい。そして、この場合には、回転円盤駆動部を制御する制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が収納繰出装置の出口を介して硬貨収納空間から外部に投出されたときに、ガイド部材が出口を塞ぐような位置で回転円盤を停止させるよう回転円盤駆動部を制御するようになる。
【0094】
また、図1に示すような硬貨入出金機10では、透明または半透明の樹脂硬貨が硬貨受入口14により受け入れられて貯留繰出装置30で一時的に貯留される場合がある。具体的には、例えば欧州諸国等ではショッピングセンターのカート管理のために透明なコインを使用しており、このような透明なコインが硬貨入出金機10に投入される場合がある。そして、このような透明または半透明の樹脂硬貨が貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出されたときには、この樹脂硬貨が無端状ベルト20pにより搬送される際に識別部22によりその存在すら検出されない場合がある。この場合には、透明または半透明の樹脂硬貨は、選別部24により選別されて硬貨投出口18や各収納繰出装置50に送られることはなく、代わりに入金搬送部20の下流側端部まで搬送されてしまい、この下流側端部で詰まってしまい、ジャム等の搬送トラブルが発生してしまうおそれがある。
【0095】
このような問題を解消するために、以下に示すような方法が新たに発明された。以下、図12および図13を用いて、硬貨入出金機10における新たな構成および動作について説明する。
【0096】
前述したように、貯留繰出装置30において回転円盤32の上方には当該回転円盤32よりも径が小さい受渡円盤36が設けられており、回転円盤32の下部領域から上部領域に搬送された硬貨はこの受渡円盤36により入金搬送部20へ繰り出されるようになっている。図12に示すように、受渡円盤36の外縁部分には突起部36aが形成されており、この突起部36aに硬貨が係合しながら受渡円盤36が図12における時計回りの方向に回転することにより、回転円盤32の上部領域にある硬貨が入金搬送部20に送られるようになっている。このようにして、受渡円盤36が一回転すると硬貨が回転円盤32から入金搬送部20に1枚繰り出されるようになる。
【0097】
図12に示すように、受渡円盤36には回転検知遮光板38が取り付けられている。また、受渡円盤36の近傍には受渡円盤位置検出センサ39が設けられている。この受渡円盤位置検出センサ39は例えば光センサからなり、受渡円盤36に取り付けられた回転検知遮光板38が受渡円盤位置検出センサ39に到達したときに、受渡円盤位置検出センサ39はこの回転検知遮光板38を検出するようになっている。このようにして、受渡円盤位置検出センサ39は受渡円盤36の回転位置を検出するようになっている。
【0098】
また、図12に示すように、入金搬送部20の無端状ベルト20pによる硬貨の搬送路において、受渡円盤36と識別部22との間には片寄せレバー28が設けられている。片寄せレバー28は軸28aを中心として揺動するようになっており、この片寄せレバー28に何ら力が加えられていないときには軸28aに設けられたねじりバネ(図示せず)により軸28aを中心として時計回りの方向に片寄せレバー28に力が付勢されるようになっており、このときに片寄せレバー28は図12に示す位置に維持されるようになっている。一方、硬貨が片寄せレバー28の下方の領域を通過する際には、片寄せレバー28はこの硬貨によりねじりバネによる力に抗して軸28aを中心として図12における反時計回りの方向に押されるようになっている。また、図12に示すように、片寄せレバー28の近傍には、当該片寄せレバー28が硬貨に押されることによって図12に示す位置から軸28aを中心として反時計回りの方向に揺動したときにこのことを検出する片寄せレバー検出センサ28bが設けられている。
【0099】
また、識別部22における入口側部分にはタイミングセンサ29が設けられている。このタイミングセンサ29は例えば光センサから構成されており、硬貨がタイミングセンサ29を通過したときに当該硬貨により遮光されるようになっている。
【0100】
また、前述のように、入金搬送部20の第1の入金搬送部分20aにおける最も上流側の位置に設けられた選別部24は、リジェクト硬貨を硬貨投出口18に送るためのリジェクト選別部24aとして機能するようになっている。また、それ以外の選別部24(例えば、図12における選別部24b等)は、シュート26を介して各収納繰出装置50に硬貨を金種別に送る金種別選別部24bとして機能するようになっている。
【0101】
また、図12に示すように、硬貨の搬送方向における各選別部24の上流側には、通過センサ25a、25bがそれぞれ設けられている。
【0102】
次に、このような構成からなる受渡円盤36や入金搬送部20の動作について図13に示すシーケンス図を用いて以下に説明する。以下に示す動作は、硬貨入出金機10の制御装置90が各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
【0103】
貯留繰出装置30から繰り出された硬貨が受渡円盤36を介して入金搬送部20に繰り出される際に、受渡円盤36は常に一定の速度で図12における時計回りの方向に回転するようになっている。このことにより、貯留繰出装置30において回転円盤32の下部領域から上部領域に搬送された硬貨は受渡円盤36の突起部36aに係合し、この突起部36aに硬貨が係合した状態で受渡円盤36が回転することにより、回転円盤32の上部領域から入金搬送部20の無端状ベルト20pに硬貨が受け渡される。また、図13に示すように、受渡円盤36の回転に伴って、この受渡円盤36に取り付けられた回転検知遮光板38により受渡円盤位置検出センサ39が遮られることによって、受渡円盤位置検出センサ39は遮光状態および透光状態を交互に繰り返すようになる。
【0104】
受渡円盤36により入金搬送部20の無端状ベルト20pに受け渡された硬貨は当該無端状ベルト20pにより図12における右方向に搬送され、タイミングセンサ29により検出される。この際に、図13に示すように、タイミングセンサ29は透光状態から遮光状態に切り替わる。その後、タイミングセンサ29を通過した硬貨は識別部22により識別される。
【0105】
識別部22により識別された硬貨が正常な硬貨(以下、正常貨ともいう)である場合には、この硬貨は各選別部24のうちリジェクト選別部24a以外の金種別選別部24bにより選別されて各収納繰出装置50に送られる。より詳細には、正常貨が識別部22により識別された後、リジェクト選別部24aの上流側に設けられた通過センサ25aにより当該正常貨が検出されたときに、リジェクト選別部24aの開口が閉じられることによりこのリジェクト選別部24aの開口に入ることはない。一方、識別部22により識別された硬貨がリジェクト硬貨(以下、RJ貨ともいう)である場合には、この硬貨は各選別部24のうちリジェクト選別部24aにより選別されて硬貨投出口18に送られる。より詳細には、RJ貨が識別部22により識別された後、リジェクト選別部24aの上流側に設けられた通過センサ25aにより当該RJ貨が検出されたときに、リジェクト選別部24aの開口が開かれることによりこのリジェクト選別部24aの開口にRJ貨が入るようになる。
【0106】
また、今回の新たな発明では、受渡円盤位置検出センサ39が遮光状態から透光状態となった後、所定の期間A(図13参照)が経過したときにタイミングセンサ29により硬貨が検出されていない場合には、リジェクト選別部24aの開口が開かれるようになっている(図13参照)。すなわち、受渡円盤位置検出センサ39が遮光状態から透光状態となった後、所定の期間A内においてタイミングセンサ29により硬貨が検出された場合には、リジェクト選別部24aの開口は識別部22による硬貨の識別結果に応じて開閉される。一方、受渡円盤位置検出センサ39が遮光状態から透光状態となった後、所定の期間A内においてタイミングセンサ29により硬貨が検出されなかった場合には、リジェクト選別部24aの開口が強制的に開かれるようになる。このことにより、透明または半透明の硬貨が貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出され、タイミングセンサ29や識別部22によりこのような透明または半透明の硬貨が検出されなかった場合でも、リジェクト選別部24aの開口が開かれることによりこのリジェクト選別部24aの開口に透明または半透明の硬貨が入り、硬貨投出口18に送られるようになる。
【0107】
また、このような発明では、片寄せレバー28により透明または半透明の硬貨が検出されるようになっていてもよい。すなわち、片寄せレバー28が軸28aを中心として図12における反時計回りの方向に揺動したことが片寄せレバー検出センサ28bにより検出され、その後タイミングセンサ29により硬貨が検出されなった場合に、リジェクト選別部24aの開口が開かれるようになっていてもよい。このような方法でも、貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出された透明または半透明の硬貨について、リジェクト選別部24aの開口が開かれることによりこのリジェクト選別部24aの開口に透明または半透明の硬貨が入り、硬貨投出口18に送られるようになる。また、他の変形例として、硬貨の片寄せ面側にスイッチ(図示せず)が突出しており、タイミングセンサ29により硬貨が検出されなった場合に、当該スイッチにより透明または半透明の硬貨の通過を検出すると、リジェクト選別部24aの開口を開くことによりこの透明または半透明の硬貨を排除するようにしてもよい。
【0108】
なお、比較例として、従来の方法について図14に示すシーケンス図を用いて説明する。従来の方法では、リジェクト選別部24aの開口の開閉動作は、識別部22による硬貨の識別結果のみに基づいて行われるようになっている。このため、貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出された硬貨が透明または半透明ではなく識別部22により識別することができるものであれば、この硬貨の識別結果(正常貨またはRJ貨)に応じてリジェクト選別部24aの開口の開閉を行うことができる。しかし、貯留繰出装置30から入金搬送部20に繰り出された硬貨が透明または半透明の硬貨である場合には、このような硬貨はタイミングセンサ29や識別部22により検出されることはない。このため、例えば透明または半透明の硬貨の一つ前に識別部22により識別された硬貨が正常貨である場合には、リジェクト選別部24aの開口は閉じた状態となり、透明または半透明の硬貨がリジェクト選別部24aに到達してもこのリジェクト選別部24aの開口は閉じたままとなる。このため、透明または半透明の硬貨はリジェクト選別部24aにより硬貨投出口18に送られることはなく、代わりに入金搬送部20の下流側端部まで搬送されてしまい、この下流側端部で詰まってしまい、ジャム等の搬送トラブルが発生してしまうおそれがある。
【0109】
以上のように図12および図13に示すような新たな方法によれば、硬貨を搬送する搬送部(例えば、入金搬送部20)と、搬送部に送られるべき硬貨や搬送部により搬送される硬貨に当接する部材(例えば、受渡円盤36や片寄せレバー28)を検出する第1の硬貨検出部(例えば、受渡円盤位置検出センサ39や片寄せレバー検出センサ28b)と、第1の硬貨検出部の下流側に設けられ、硬貨を光学的に検出する第2の硬貨検出部(例えば、光センサ等からなるタイミングセンサ29)と、搬送部に設けられ、硬貨の識別を行う識別部(例えば、識別部22)と、硬貨の搬送方向における識別部の下流側に設けられ、リジェクト硬貨を選別して排出するためのリジェクト選別部(例えば、リジェクト選別部24a)と、リジェクト選別部を制御する制御部(例えば、制御装置90)とを備えた硬貨処理装置において、制御部は、第1の硬貨検出部により、硬貨に当接する部材が検出された後、所定の期間(例えば、図13における参照符号Aで示される期間)において第2の硬貨検出部により硬貨が検出されなかった場合には、搬送部により搬送される硬貨をリジェクト選別部で選別して排出するようリジェクト選別部を制御するようになっている。このことにより、搬送部により搬送される硬貨が透明または半透明の硬貨であり、当該硬貨が第2の硬貨検出部や識別部により検出されなかった場合でも、このような透明または半透明の硬貨をリジェクト選別部で選別して排出することができるようになる。
【符号の説明】
【0110】
10 硬貨入出金機
12 筐体
14 硬貨受入口
18 硬貨投出口
20 入金搬送部
20a 第1の入金搬送部分
20b 折り返し入金搬送部分
20c 第2の入金搬送部分
20p 無端状ベルト
22 識別部
24 選別部
24a リジェクト選別部
24b 金種別選別部
25a、25b 通過センサ
26 シュート
28 片寄せレバー
28a 軸
28b 片寄せレバー検出センサ
29 タイミングセンサ
30 貯留繰出装置
32 回転円盤
32b 表面
33 硬貨貯留空間
34 カバー部材
36 受渡円盤
36a 突起部
38 回転検知遮光板
39 受渡円盤位置検出センサ
50 収納繰出装置
50a 出口
51 制御部
52 回転円盤
52a 回転軸
52b 表面
52c 回転円盤駆動部
52m 高位部
52n 低位部
52p 回転円盤位置検出センサ
53 硬貨収納空間
54 カバー部材
56、56a 搬送突起部材
56b 突起部材検出センサ
56m 先端部分
56n 後端部分
56p 搬送用突起部分
56q 閉塞用突起部分
57 硬貨周縁保持部
58 滑落部
59 排除突起部材
62 案内通路
63 片寄せレバー
63a 軸
63b 片寄せレバー検出センサ
64 ガイド部材
64a 上縁部
64b 溝部
64c 先端部分
66 第1の通過センサ
67 第2の通過センサ
68 カウントセンサ
69 回転部材
69a 回転検知遮光板
69b 回転部材位置検出センサ
70 出金搬送部
70a 第1の出金搬送部分
70b 第2の出金搬送部分
70p 無端状ベルト
72 硬貨出金空間
80 回収ボックス
90 制御装置
92 操作表示部
95 カードリーダ
96 記憶部
98 インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、
前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材と、
前記回転円盤における前記硬貨収納空間側の表面に設けられた複数の突起部材であって、各突起部材が前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより前記回転円盤の下部領域にある硬貨を当該回転円盤の回転によってこの回転円盤の上部領域に搬送する複数の突起部材と、
前記回転円盤の上部領域の近傍に設けられ、前記突起部材により前記回転円盤の上部領域に搬送された硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、
前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、
前記回転円盤駆動部を制御する制御部であって、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする硬貨繰出装置。
【請求項2】
前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、当該所定枚数目の硬貨を搬送した突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨繰出装置。
【請求項3】
前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨が搬送される硬貨通路を更に備え、前記硬貨通路には、前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨を検出する第1の硬貨検出部が設けられており、
前記制御部は、予め設定された所定枚数目の硬貨が前記第1の硬貨検出部により検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項4】
前記硬貨出口の近傍には、当該硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された硬貨を案内する案内レバーが移動可能に設けられており、前記案内レバーは、前記硬貨出口を介して硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに当該硬貨が当接して移動するようになっており、前記案内レバーが移動したときにこのことを検出する案内レバー検出部が更に設けられており、
前記制御部は、前記案内レバー検出部による前記案内レバーの移動の検出に基づいて、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたことが検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項5】
前記回転円盤上の硬貨が前記突起部材により搬送されて前記回転円盤上における所定の位置に達したときにこのことを検知する第2の硬貨検出部が設けられており、
前記制御部は、予め設定された所定枚数目の硬貨が前記第2の硬貨検出部により検出された後に、前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項6】
前記回転円盤の回転位置を検出する回転円盤位置検出部を更に備え、
前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記回転円盤が所定の回転位置に達したことが前記回転円盤位置検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項7】
前記回転円盤と同期して回転する回転部材および当該回転部材の回転位置を検出する回転部材位置検出部を更に備え、
前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記回転部材が所定の回転位置に達したことが前記回転部材位置検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項8】
前記回転円盤に設けられた突起部材を検出する突起部材検出部を更に備え、
前記制御部は、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出された後、前記突起部材が所定の位置に達したことが前記突起部材検出部により検出されたときに、所定の時間後に前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の硬貨繰出装置。
【請求項9】
前記各突起部材は、前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより当該硬貨の搬送を行う搬送用突起部分と、前記硬貨出口を塞ぐ閉塞用突起部分とを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置。
【請求項10】
前記各突起部材における前記搬送用突起部分および前記閉塞用突起部分は一体的に設けられていることを特徴とする請求項9記載の硬貨繰出装置。
【請求項11】
前記各突起部材における前記搬送用突起部分および前記閉塞用突起部分は互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項9記載の硬貨繰出装置。
【請求項12】
前記回転円盤駆動部はステッピングモータからなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記回転円盤が一旦停止した後、前記回転円盤を硬貨の繰出方向とは逆方向に回転させ、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を再び停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の硬貨繰出装置。
【請求項14】
硬貨を収納する硬貨収納空間が上方に形成された回転円盤と、
前記回転円盤に設けられたガイド部材と、
前記回転円盤の近傍に設けられ、前記回転円盤上の硬貨が前記ガイド部材により案内されて前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、
前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、
前記回転円盤駆動部を制御する制御部であって、予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記ガイド部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記回転円盤駆動部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする硬貨繰出装置。
【請求項15】
機体外から硬貨を受け入れる硬貨受入口と、
前記硬貨受入口に受け入れられた硬貨が送られて収納される硬貨繰出装置と、
前記機体外へ硬貨を投出する硬貨投出口と、
前記硬貨繰出装置を制御する制御装置と、
を備えた硬貨入出金機であって、
前記硬貨繰出装置は、
鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤と、
前記回転円盤の表面との間に硬貨を収納する硬貨収納空間を形成するカバー部材と、
前記回転円盤における前記硬貨収納空間側の表面に設けられた複数の突起部材であって、各突起部材が前記回転円盤の表面上で硬貨を引っ掛けることにより前記回転円盤の下部領域にある硬貨を当該回転円盤の回転によってこの回転円盤の上部領域に搬送する複数の突起部材と、
前記回転円盤の上部領域の近傍に設けられ、前記突起部材により前記回転円盤の上部領域に搬送された硬貨が前記硬貨収納空間から外部に投出される硬貨出口と、
前記回転円盤を回転駆動させる回転円盤駆動部と、
を有し、
前記硬貨繰出装置から繰り出された硬貨が前記硬貨投出口に送られるようになっており、
前記制御装置は、前記硬貨繰出装置において予め設定された所定枚数の硬貨が前記硬貨出口を介して前記硬貨収納空間から外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させるよう前記硬貨繰出装置の前記回転円盤駆動部を制御することを特徴とする硬貨入出金機。
【請求項16】
回転円盤を回転させ、回転円盤の表面に設けられた突起部材に硬貨を引っ掛けることにより回転円盤上の硬貨を搬送し、前記突起部材により搬送された硬貨を硬貨出口により外部に投出する工程と、
予め設定された所定枚数の硬貨が硬貨出口を介して外部に投出されたときに、前記突起部材が前記硬貨出口を塞ぐような位置で前記回転円盤を停止させる工程と、
を備えたことを特徴とする硬貨繰出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−73468(P2013−73468A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212868(P2011−212868)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】