硬質ゾーンを持つカバーを有するゴルフボール
【課題】高いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(長い距離)を実現し、同時に、低いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(優れた感触)を実現するゴルフボールを提供する。
【解決手段】全体として開示されるのは、コア及びカバー層を含むゴルフボールである。カバー層は、硬い区域102及び軟らかい区域104を含む。硬い区域102は、カバー層の全表面積の20%から60%、好ましくは30%から50%を構成する。硬区域102は、軟区域104よりもショアDスケール上で少なくとも約3単位、好ましくは少なくとも約5単位硬い。硬区域102は、様々な幾何学形状として、又はグラフィック又はロゴ形状として形成され、視認可能となるように着色されてもよい。硬区域102及び軟区域104のこの配置の結果、ゴルフボールは、優れた飛距離及び優れた感触を同時に実現する。
【解決手段】全体として開示されるのは、コア及びカバー層を含むゴルフボールである。カバー層は、硬い区域102及び軟らかい区域104を含む。硬い区域102は、カバー層の全表面積の20%から60%、好ましくは30%から50%を構成する。硬区域102は、軟区域104よりもショアDスケール上で少なくとも約3単位、好ましくは少なくとも約5単位硬い。硬区域102は、様々な幾何学形状として、又はグラフィック又はロゴ形状として形成され、視認可能となるように着色されてもよい。硬区域102及び軟区域104のこの配置の結果、ゴルフボールは、優れた飛距離及び優れた感触を同時に実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ゴルフボール、及び、該ゴルフボールを製造する方法に関する。特に、このゴルフボールのカバー層は、比較的高い硬度を有する区域、及び比較的低い硬度を有する区域を含む。
【背景技術】
【0002】
ゴルフゲームは、アマチュアレベルでもプロレベルでも人気度が増しているスポーツである。当該技術分野では、ゴルフボールの製造及び設計に関連して広範な技術が知られる。このような技術は、種々のプレイ特徴を有するゴルフボールを生みだしてきた。例えば、様々のスウィングスピードなど種々のゴルフプレイ能力を有するプレイヤーに対し、様々なゴルフボールが製造され、市場に供給されている。
【0003】
同様に、ゴルファーは、該ゴルファーの好みにしたがって、種々のプレイ特徴を有する、様々なゴルフボールを使用する場合がある。例えば、様々なディンプルパターンは、飛行中、ゴルフボールの航空力学的特性に影響を及ぼす可能性があり、或いは、カバー層の硬度における違いは、バックスピン率に影響を及ぼす可能性がある。特に硬度に関しては、ゴルファーは、比較的硬いか、又は軟らかいカバー層及び/又はコアを持つゴルフボールを使用することを選ぶ場合がある。比較的硬いカバー層を有するゴルフボールの実現するドライバースピンは低く、距離は比較的長くなる。しかしながら、比較的硬いカバー層のもたらすスピン率は比較的低く、したがって、ドライバーショットにはより優れるが、比較的短いショットではコントロールがより難しくなる。一方、比較的軟らかいカバー層を有するゴルフボールは、一般に、比較的多数のスピンを受け、したがって、コントロールはより易しく、グリーンでは止まるが、ティーからの距離には不足する。軟らかいカバー層は、一般によい「感触」を持つとされる。
【0004】
当該技術分野では、種々の硬度特徴を有する、様々なゴルフボールが知られる。一般に、ゴルフボールの硬度は、ゴルフボールを構成する種々層の化学的組成及び物理的配置によって決定される。したがって、様々な硬度値及び様々な硬度プロフィールを有するゴルフボールを生みだすために、いくつかの異なるゴルフボール材料が混ぜ合わされ、種々の組み合わせ及び配置において適合される。
【0005】
しかしながら、所望の硬度特徴を実現するようにゴルフボールをデザインすることは、少なくともいくつかの困難に悩まされる。一般に、公知のゴルフボールの構築は、様々な設計変数、例えば、層配置、各層に使用される材料、及び、層厚が、それぞれに対してバランスされることを要求する。したがって、これらの変数のいずれものであれ、それの変化による所望の硬度の向上は、必ず他のプレイ特徴の犠牲を伴う。
【0006】
例えば、カバー層の硬度は、該カバー層を、二つ以上のポリマー材料の混合物から形成することによって調整することが可能である。しかしながら、カバー層が、一つを超えるポリマー材料から製造される場合、これらのポリマーは、通例では、混ぜ合わされ、混和される。このような混合が必要とされるのは、これらの材料を、カバー層を形成するために圧縮成形又は射出成形プロセスにおいて使用可能とするためである。すなわち、二つのアイオノマー樹脂(例えば、一樹脂は、60のショアD硬度を有し、もう一方は40のショアD硬度を有するなど)をカバー層のために射出するためには、公知のプロセスは、先ず、二つのアイオノマー樹脂を混合すること、次いで、射出のために、この二つのアイオノマー樹脂を融解することを必要とする。融解プロセス時、二つのアイオノマー樹脂は十分に混ぜ合わされ、そのため、カバー層の完成品は単一材料と見なされる。したがって、カバー層のプレイ特徴は、このカバー層の単一性構築によって限定される。
【0007】
さらに、公知のゴルフボール構築に関連する材料コスト及び設計コストは、不当にも、末端消費者にとってゴルフボールコストの上昇を招く可能性がある。恐らくもっとも重要なことは、公知のゴルフボールは、高いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(比較的長い距離)と、一方ではさらに、低いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(優れた感触)とを同時に実現することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上述の従来技術の欠点に対処するシステム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一局面では、本発明は、コア、及び該コアを事実上包囲するカバー層を含むゴルフボールにおいて、カバー層は、その上に、複数のディンプル、ディンプル同士を隔てる少なくとも一つの平地区域、全体表面積、第1部分(カバー層の第1部分は第1硬度を有する)、第2部分(カバー層の第2部分は第2硬度を有する)を含み、第2硬度は第1硬度と異なり;第1部分は、それぞれ、第2部分によって包囲される、複数の非連続ゾーンから成り、第1部分は、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第1部分は、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含することを特徴とする、ゴルフボールを提供する。
【0010】
別局面では、本開示は、上述のゴルフボールにおいて、複数ゾーンが、それぞれ、複数のディンプルの一つと関連するゴルフボールを提供する。
【0011】
さらに、本開示は、上述のゴルフボールにおいて、前記第1硬度が、ショアDスケール上で第2硬度とは少なくとも約5単位異なるゴルフボールを提供する。
【0012】
最後に、本開示はさらに、ゴルフボールの製造法であって、下記の工程:(1)コア、及び、該コアを事実上包囲するプレカバー層を有するゴルフボールを受容すること、ここに、プレカバー層は、第1材料から形成され、ゾーンの所望パターンに一致するパターンに配置される複数の非連続的陥凹部を有し;(2)プレカバー層上に第2材料を成形にすること、ここに、成形は、第2材料が、プレカバー層を事実上包囲し、陥凹部を充填するように行われ;(3)第2材料を研磨除去すること、ここに、研磨は、第2材料が、陥凹部においてのみプレカバー層と重複するように行われ、これによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層を形成する、を含み、ここで、第1材料は第1硬度を有し、第2材料は第2硬度を有し、第2硬度は第1硬度と異なり、且つ、ここで、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含することを特徴とする、方法を提供する。
【0013】
本発明の他のシステム、方法、特色、及び利点は、当業者には明白であろうし、或いは、下記の図面及び詳細な説明を精査することによって明白となろう。そのような追加のシステム、方法、特色、及び利点は全て、本明細書及び本概要の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ、下記の特許請求項によって保護されることが意図される。
【0014】
本発明は、下記の図面及び説明を参照することによってさらによく理解することが可能である。図面の成分は必ずしも実尺に合致するものではなく、強調はむしろ本発明の原理の具体的説明に置かれる。さらに、図面において、同じ参照数字は、種々の投影図を通じて対応する部品を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異なる硬度を持ついくつかの円形ゾーンを有する例示ゴルフボールを示す。
【図2】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、三角形断面を有する。
【図3】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、半球形断面を有する。
【図4】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、長方形断面を有する。
【図5】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、上り階段型三角形断面を有する。
【図6】グラフィック形で表した、異なる硬度のいくつかのゾーンを有する例示ゴルフボールを示す。
【図7】例示ゴルフボールにおいて、異なる硬度を持ついくつかのゾーンが、ある複数のディンプルと関連するゴルフボールを示す。
【図8】例示ゴルフボールにおいて、複数のディンプルのそれぞれが、異なる硬度のゾーンと関連するゴルフボールを示す。
【図9】カバー層のゾーンを創出するために使用されてもよい加熱デバイスを示す。
【図10】加熱プロセス中の、図8のゴルフボールの一部の拡大断面図を示す。
【図11】二つの異なる材料から硬度ゾーンを創出するためのプロセスを示す。
【図12】ゴルフボールをドライバーによって打たんとするゴルファー、及び、ドライバーによって打たれる際のゴルフボールの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に本開示は、1硬度値(例えば、比較的硬い)を有する、カバー層上の第1区域、及び、別の硬度値(例えば、比較的軟らかい)を有する、カバー層上の第2区域を有するゴルフボールに関する。第1区域は、それぞれが、第2区域によって包囲される非連続ゾーンであり、全体として、カバー層の全表面積の20%から60%を包含する。比較的硬い区域は、カバー層上のディンプルの少なくともいくつかに一致してよく、比較的軟らかい区域は、ディンプルの間の、少なくとも一つの平地の少なくとも一部に一致してもよい。この配置のために、このゴルフボールのカバー層は、該ゴルフボールの、長い飛距離と優れた感触の両方の実現を確実にする。
【0017】
本開示はさらに、そのようなゴルフボールの製造法に関する。
【0018】
図1は、本開示による例示ゴルフボール100を示す。ゴルフボール100は、第1部分102及び第2部分104から構成されるカバー層を含む。第1部分102は、複数の非連続ゾーン、例えば、代表ゾーン120及び代表ゾーン122などから成る。ゾーン120又はゾーン122などの、第1部分102を構成する各ゾーンは、第2部分104によって包囲される。カバー層はさらに、その上に複数のディンプル、及び、ディンプル同士を隔てる少なくとも一つの平地区域を含む。具体的には、第1部分102は、その上にディンプル106の他、ディンプル106同士を隔てる平地区域108をも含む。同様に、第2部分104は、その上にディンプル110の他、ディンプル110同士を隔てる平地区域112をも含む。
【0019】
ゴルフボール100は、コア、及び、該コアを事実上包囲するカバー層を含むものであればいずれのタイプのゴルフボールであってもよい。例えば、ゴルフボール100は、コアとカバー層の間に、一つ以上の中間層を配置させてもよい。いくつかの図面を通じて、ゴルフボール100は、スリーピース構造として示される。しかしながら、本開示の範囲内のゴルフボールは、ツーピース構造を有していてもよいし、又は、コアとカバー層の間にさらに別の中間層を有していてもよい。
【0020】
上記複数のディンプルは、一般に、ゴルフボール技術分野で公知のものと同様の任意のパターンとしてカバー層上に配置されてよい。種々の公知の、高密度ディンプルパターンが当該技術分野で知られる。ディンプル106及びディンプル110は、一般に、円形、三角形、又は多辺形など、任意の形状を取ってもよい。ディンプル106及びディンプル110は、均一の形状及びサイズを持ってもよいし、或いは、ディンプルパターンは、(例えば)異なるサイズ又は異なる形状を持つ、二つ以上の異なるタイプのディンプルから構成されてもよい。
【0021】
一般に、平地区域とは、少なくとも二つのディンプルを隔て、凹んでいなかったり、又はその他のやり方でディンプルの一部となっていない、カバー層の部分である。一般に、平地区域108は、隣接ディンプル106の間の「隆起」又は「フレット」である。平地区域108及び平地区域112は、図1に示すように、カバー層全体に亘る一つの連続的平地区域の部分となっていてもよい。それとは別に、二つ以上のディンプルを隔てる各平地区域は、個別平地区域となってもよい。例えば、第1部分102を構成する各ゾーンの平地区域108は、それぞれが二つ以上のディンプル106を分割する、いくつかの不連続な平地区域から構成されていてもよい。
【0022】
図2は、事実上球形のゴルフボール100の四分割部分の断面を示す。図示の実施態様では、ゴルフボール100は、一般に、カバー層200、中間層202、及びコア204から構成される。しかしながら、別の実施態様では、中間層204は存在していなくともよく、又は、追加中間層を加えてもよい。図2は、代表ゾーン120及び代表ゾーン122を特に詳細に示す。ゾーン120及びゾーン122は、第1部分102の部分であり、一方、部分104は、それらを包囲するところが示される。図1に関連して上述したように、第1部分102は、その上にディンプル106及び平地区域108を含み、一方、断面部分104は、その上にディンプル110及び平地区域112を含む。図2では、ゾーン120のディンプルパターン106は、ゾーン122のディンプルパターン106と同じであるが、別の実施態様では、異なるゾーンは、その上に異なるディンプルパターンを有していてもよい。
【0023】
第1部分102を構成するゾーンは、それぞれ、様々な形状の内のいずれの形状を有していてもよい。図2は、ゾーン120が直径212、ゾーン122が直径214を有する実施態様を示す。この実施態様では、直径214は直径212よりも小さい。説明の都合上、図2に示す断面の「薄片」は、この実施態様では、各ゾーンの中心を横切ると見なされる。しかしながら、別の実施態様では、第1部分102を構成する各ゾーンは、同じ直径を有していてもよいし、又は、ゾーン達は、その直径の間に任意の関係を有していてもよい。
【0024】
第1部分102を構成する各ゾーンはさらに、断面形状206を有する。この断面形状は、垂直断面、すなわち、ゴルフボール100の中心から垂直に外方カバー層200に向かう断面である。図2に示す実施態様では、断面形状206は三角形である。三角形断面形状206は、第1部分の区域208、及び第2部分の区域210の間の境界を定める。第1部分102を構成する複数ゾーンは全て、ゾーン120及びゾーン122の両方が三角形状断面形206を持つところが示されるように、同じ断面形状を持っていてもよい。それとは別に、第1部分102を構成する複数ゾーンは、それぞれ独立に異なる形状を持ってもよいし、若しくは、それらの任意のサブセットが、断面形状の任意の組み合わせを持ってもよい。
【0025】
図3は、断面形状306の別態様を示す。この実施態様では、ゴルフボール100は、カバー層300の他、中間層202及びコア204から構成される。この実施態様では、断面形状306は、全体として半球状である。断面形状306はさらに、曲線、懸垂線、又は放物線として特徴づけられてもよい。半球状断面形306は、第1部分の区域308と、第2部分の区域310の間の境界を定める。図3に示すように、区域310の形状は、当然のことながら、半球断面形状306に合致するよう曲線的となる。
【0026】
断面形状のさらに別の実施態様を図4及び5に示す。具体的には、図4は、長方形断面形状406を有する実施態様を示す。長方形断面形状406はさらに、ゾーンの直径が、カバー層400の厚みとほぼ等しい場合には、正方形断面形状として特徴づけられてもよい。他の様々の実施態様では(図2、3、及び5に見られるように)、第1部分102に関連する区域の部分は、第2部分104に関連する区域の部分と重複してもよい。例えば、区域208は、区域210と重複し、区域308は、区域310と重複する。しかしながら、長方形断面406を有する実施態様では、区域408のどの部分も区域410と重複しない。
【0027】
断面形状に関する最後の例示実施態様において、図5は、上り階段型三角形の断面形状506を示す。断面形状506はさらに、反転ピラミッド型として特徴づけられてもよい。一般に、断面形状506は、一緒に一連の「階段」を形成する、垂直上昇セクション550及び水平上昇セクション552を含む。上り階段型三角断面形状506は、カバー層500において、第1部分102の区域508を、第2部分104の区域510から分離する。この実施態様は、区域508と区域510の間に上昇表面区域を生みだすが、これは、第1部分が第2部分とは別の材料から形成される場合、ゴルフボール100の製造時有利となる可能性がある(後述するように)。
【0028】
断面形の他に、第1部分102を構成する各ゾーンはさらに、外縁形状を有していてもよい。図1は、全体として円形の外縁形を持つ各ゾーンを示す。具体的には、ゾーン120は、円周130を含み、ゾーン122は、円周132を含む。すなわち、図2に関連して上述したように、ゾーン120は、外周130によって定められる直径212を有し、ゾーン122は、外周132によって定められる直径214を有する。図1-5は、ゾーン120及び122が異なる直径を有するものとして示しているけれども、第1部分102を構成する複数のゾーンはそれぞれ、全体として同じ直径を有していてもよく、又は、第1部分102を構成するゾーンの任意のサブセットが、異なる直径の任意の組み合わせを有していてもよい。
【0029】
図6は、外縁形状の第2実施態様を示す。図6では、ゴルフボール600は、第1部分602及び第2部分604を含み、ここで、第1部分602は、複数の非連続ゾーンから構成される。具体的には、第1部分602は、例示ゾーン620及び例示ゾーン622を含んでもよい。図1の場合と同様、第1部分602は、その上にディンプル606及び平地区域608を含み、一方、第2部分602は、その上にディンプル610及び平地区域612を含む。
【0030】
一般に、外縁形状は、いずれの幾何学的形状であってもよく、例えば、円形、三角形、四角形、又は、五つ以上の辺を持つ多角形であってもよい。さらに、外縁形状は、グラフィック形状であってもよい。グラフィックとは、一般に、概念又は事物の絵画的表現を意味するものと理解される。図6に示す実施態様では、外縁形状はハート形である。具体的には、ゾーン620は、ハート形の外縁形状630を含み、ゾーン622は、ハート形の外縁形状632を含む。この外縁形状は、例えば、装飾的であってもよいし、又は特異的であってもよい。例えば、外縁形状は、商標ロゴの形を取ってもよいし、又は、ゴルファーのイニシャルなど特注グラフィックの形を取ってもよい。
【0031】
ゴルフボール600の第1部分602を構成するゾーンは全て、図6では、ハート形状として示されるが、別の実施態様では、複数のゾーンは、それぞれ、異なる外縁形状を有していてもよい。例えば、ゴルフボールは、複数のゾーンのあるものは円形外縁形状を有し、他のものは、新奇グラフィックの外縁形状を有し、さらに別のものは、ロゴ形状、又は、それらの組み合わせ形を取ってもよい。
【0032】
この実施態様では、上述の様々の外縁形状が視認可能となるように、第1部分602は、第2部分とは違って着色されてもよい。ある実施態様では、この着色は、後述するように、第1部分602に対し、第2部分604に対するものとは異なる材料を用いて実現してもよい。それとは別に、着色の違いは、外縁形状に従った第1部分602、もしくは、断面部分604の選択的ペインティング、もしくは染色によって実現してもよい。
【0033】
図7は、第1部分702が、ゴルフボール700のカバー層上の複数のディンプルの少なくともいくつかと関連する実施態様を示す。具体的には、第1部分702を構成するゾーンは、それぞれ、複数のディンプルの内の一つと関連する。言い換えると、各ゾーンの広がりは、単一ディンプルの境界と一致する。したがって、図7に示すように、第1部分702は、その上にディンプルしか含まず、一方、第2部分704は、その上に他のディンプル710の他、平地区域712も含む。第1部分702は、一般に、複数のディンプルの内任意の数を含んでよい。ただし、後述の例外は除く。
【0034】
特定実施態様では、第1部分は、その上の複数のディンプルの全てを含んでもよい。図8は、そのような実施態様の例を示す。ゴルフボール800は、そのカバー層に複数のディンプルを有するディンプルパターンを含む。第1部分802は、完全にディンプルと関連するが、一方、第2部分804は、完全に、ディンプルを隔てる平地区域と関連する。
【0035】
図1、6、7、及び8に示す実施態様のいずれにおいても、第1部分及び第2部分は、カバー層において、様々なパターンの内のどのパターンとして配置されてもよい。一般に、ゾーンは、カバー層において、任意のサイズ及び場所を取ってもよい。ある実施態様では、ゾーンは、カバー層においてランダムパターンとして配置される。別の実施態様では、ゾーンは、サイズ及び場所が、カバー層においてあるパターンとして、すなわち、カバー層が、USGA規制にしたがって球面対称となるように配置される。
【0036】
重要なことは、上述の実施態様のいずれにおいても、第1部分は第1硬度を有し、第2部分は第2硬度を有することである。第1硬度と第2硬度は互いに異なる。第1部分と第2部分の間の硬度差は、一般に、硬度差として僅少でなければ、いずれの程度であってもよい。本明細書で論じるように、ショアDスケールには全ての硬度値が与えられており、(別言しない限り)ゴルフボールにおいて測定される。第1硬度及び第2硬度の間の硬度差は、有利なプレイ特徴を生みだす硬度ゾーンを創出する。
【0037】
ある実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも3単位である。別の実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも5単位である。さらに別の実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも10単位である。第1硬度は、第2硬度よりも硬くてもよいが、若しくは、それとは別に、第2硬度の方が第1硬度よりも硬くてもよい。
【0038】
第1硬度及び第2硬度は、それぞれ独立に、ショアDスケールにおいて少なくとも約30から、たかだか約75までの範囲にある。ある実施態様では、第1硬度及び第2硬度は、それぞれ独立に、ショアDスケールにおいて少なくとも約40から、たかだか約75までの範囲にある。
【0039】
硬いカバー層は、一般に、比較的長い飛距離と相関し、そのため、硬いカバー層は、ティーからの長いショットの成績は優れる。逆に、比較的軟らかいカバー層は、一般に、ボールのスピンが増すために、優れた「感触」、すなわち、飛行中及び着陸後のボールに対する優れたコントロールと相関する。本開示は、これらの、他のやり方では互いに排除的なプレイ特徴の間に、比較的軟らかい部分と比較的硬い部分とをカバー層の中に取り込むことによって、バランスを実現するものである。例えば、第1部分が比較的硬く、第2部分が比較的軟らかい実施態様では、ゴルフクラブのフェースは、第1部分の比較的硬いゾーンと、比較的軟らかい連続的第2部分の両方を叩く。したがって、ボールは、硬いカバー層と軟らかいカバー層の両方に関連するプレイ特徴を発揮する。
【0040】
さらに重要なことは、上述の実施態様のそれぞれにおいて、ゴルフボールは、カバー層の全表面積を有することである。第1部分及び第2部分は、ゴルフボールカバー層の全表面積の特定量を示す。カバー層の全表面積は、第1部分の表面積、及び第2部分の表面積の和に等しい。第1部分は、ある実施態様では、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含してもよい。第1部分はさらに、ある実施態様では、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含してもよい。言い換えると、第1部分は、カバー層の全表面積の20%から60%まで(60%を含む)を占めてもよく、一方、第2部分は、カバー層の全表面積の80%から40%まで占めてもよい。
【0041】
他の実施態様では、第1部分は、カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含してもよい。最後に、さらに別の実施態様では、第1部分は、カバー層の全表面積のたかだか50%を包含してもよい。言い換えると、第1部分は、カバー層の全表面積の30%から50%まで(50%を含む)占めてもよく、一方、第2部分は、カバー層の全表面積の70%から50%まで占めてもよい。
【0042】
活動又は特定作用に関する何らかの理論に拘束されることを望むものではないが、全表面の20%から60%のこの範囲によって、ゴルフボールは、長い飛距離と優れた感触の間のバランスを実現することが可能とされると考えられる。すなわち、第1部分と第2部分が上述の表面積比を占め、カバー層の上に、ゴルフクラブのフェースが、ゴルフボールとのインパクト時、第1部分と第2部分の両方に衝突するように配置されると、ゴルフボールは、あたかもそれが比較的軟らかいカバーと、比較的硬いカバーの両方を兼ね備えるように振る舞う。もしも第1硬度を持つ第1部分の占める面積が、全表面積の20%よりも小さく、第2硬度を持つ第2部分の占める面積が、全表面積の80%よりも大きい場合、ゴルフボールは、単に、第2硬度に相関するプレイ特徴だけを示し、一方、第1硬度と相関するプレイ特徴は全く示さなくなるのであろう。同様に、もしも第1硬度を持つ第1部分の占める面積が、全表面積の60%よりも大きい場合、ゴルフボールは、単に、第1硬度に相関するプレイ特徴だけを示し、一方、第2硬度と相関するプレイ特徴は全く示さなくなるのであろう。この配置によって、クラブフェースは、軟らかい部分を、ゴルフボールの内方層及びコアに向かって圧縮することが可能とされ、そのためスピンの増大が誘起され、一方、運動エネルギーは硬い部分を介してコアに転送され、そのため、ティーからの距離の延長が誘起されると考えられる。
【0043】
ゴルフボール100は、他にも、所望のプレイ特徴をもたらす可能性のある物理的特性を有すると考えられる。例えば、ゴルフボール100は、毎秒40メートルのボールスピード(m/s)において0.770よりも高い反撥係数(COR)を有していてもよい。
【0044】
第1部分及び第2部分を含む材料(本明細書において別様に注記しない限り)は、ゴルフボール製造における使用が周知される各種材料の内いずれのものから製造されてもよい。一般に、本開示、又はその任意のサブセクションに一致する、ゴルフボールのいずれの部分も、別様に注記しない限り、ゴルフボール製造での使用が周知される各種材料の内いずれのものから製造されてもよい。
【0045】
例えば、ゴルフボール100の各部分(又は、そのいずれの割分でも)は、熱硬化性材料、熱可塑性材料、又は、それらの組み合わせから製造されてもよい。ある実施態様では、ゴルフボール100に使用される材料は、ゴム様化合物などの熱硬化性材料から製造されてもよい。基礎ゴムとしては、1,4-シス-ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンコポリマー、天然ゴム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。比較的大きな反撥弾性が所望ならば、1,4-シス-ポリブタジエンを基礎材料として使用し、他の成分と混ぜ合わせてもよい。1,4-シス-ポリブタジエンの量は、ゴム化合物の100重量部に対し、少なくとも50重量部であってもよい。
【0046】
さらに、基礎ゴム材料は、比重を増すために、添加物、例えば、架橋結合剤及び充填剤などを含んでもよい。例えば、架橋結合剤としては、二アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛、及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられ、特に、二アクリル酸亜鉛は、より大きな反撥弾性が得られるために使用が可能である。
【0047】
さらに、より大きな比重を実現するためには、ゴム化合物は、充填剤、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムを含んでもよく、中でも酸化亜鉛が好ましい。高い比重を持つ、タングステンなどの金属粉末を、所望の比重に到達するために含めてもよい。ポリマー化学及びゴルフボール製造の当該技術分野で公知の他の添加物を含めることも可能である。
【0048】
ゴルフボールのある部分又は各部分の材料は、熱可塑性材料から製造することも可能である。例えば、材料は、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、それらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
ある実施態様では、第1部分及び第2部分は、同じ材料から製造されてもよい。例えば、単一のポリマー材料は、色々と上述されたように、ポリマーの結晶構造を変えることによって(ある種の熱可塑性材料を使用する場合)、様々な硬度値を持つようにすることが可能である。
【0050】
ある実施態様では、図8に示すゴルフボール800を参照すると、カバー層は、米国特許出願公開第2008/0081710号(以後、「710公開」と呼ぶ)に記載される相転移材料を含んでもよい。なお、上記特許文書の開示全体を引用により本明細書に含める。具体的には、「710公開」に記載される相転移材料は、2から6個の炭素原子を有する少なくとも一つのアルファオレフィンのコポリマー残基、及び、3から8個の炭素原子を有する少なくとも一つのα,β-エチレン不飽和カルボン酸のコポリマー残基を含む酸性コポリマーである。
【0051】
「710公開」に記載されるように、この相転移材料は加熱に反応して硬度を変える。具体的には、熱エネルギーは、材料の二次結晶構造を破壊することによって硬度を下げる。ポリマー科学において周知のように、半結晶性ポリマー材料の硬度は、該ポリマー材料の結晶度に比例することが可能である。結晶度とは、非晶相にある材料の量と比較した場合の、結晶相にある材料の量である。結晶相は、一般に、非晶相よりも硬く、これは、結晶相では、ポリマー分子が緊密にパックされた結晶構造となっているためである。
【0052】
したがって、ゴルフボール800は、所望の硬度差を実現するために、図9に示すような加熱デバイス900において選択的に加熱されてもよい。加熱デバイス900は、米国特許第___号に完全に記載され、最近では、2009年10月23日出願、ゴルフボールの加熱用デバイスという表題の、米国特許出願第12/604,830号(以後、「加熱特許」)に記載される。なお、これらの開示の全体を引用により本明細書に含める。加熱デバイス900は、ユーザーの手902によって把持され、図示のように、上方加熱面908と下方加熱面910が、ゴルフボール800に接触させられる。
【0053】
具体的には、図10に示すように、加熱要素908は、ディンプルに関連する、カバー層850のセクション802を加熱するように使用されてもよい。加熱要素908は、一般に、カバー層の所望部分を選択的に加熱することが可能であるならば、いずれの加熱機構であってもよい。特定実施態様では、前述し、図9で示したように、加熱要素は、「加熱特許」中に詳細に記載される加熱装置の成分であってもよい。この実施態様では、加熱要素908は、「加熱特許」中に記載されるものと同じ内部加熱面であってもよい。同様に、図9及び10に示す加熱要素バッキング904は、「加熱特許」に記載される外部筐体であってもよい。「加熱特許」に記載されるデバイスによって、消費者は、内部加熱面上の特定パターンを用いることによって、本開示に一致する所望の硬度差を創出することが可能となる。
【0054】
図10は、選択的加熱プロセスが、カバー層850の特定断面に印加されるところだけを示すが、この選択的加熱プロセスは、全てのディンプル区域802が加熱されるように、ゴルフボール800の全表面に印加されてもよい。それとは別に、図7に示す実施態様と一致して、選択的加熱プロセスは、所望のままに、ゴルフボール700の種々の場所の内、あるディンプル区域702には印加されるが、他のものには印加されないように実施されてもよい。カバー層850が、「710公開」に記載されるような相転移材料を含む実施態様では、加熱は、該相転移材料の硬度の低下を招く。したがって、第1部分802と関連する第1硬度は、第2部分804と関連する第2硬度よりも軟らかくなる。
【0055】
第1部分と第2部分が同じ材料から製造される別の実施態様では、カバー層850は、一般に、半結晶熱可塑性材料を含んでもよい。半結晶熱可塑性材料の硬度を変える方法は、米国特許第___号に完全に記載され、最近では、2010年1月20日出願、ゴルフボールをカスタマイズするための方法及びシステムという表題の、米国特許出願第12/690,493号に記載される。なお、これらの開示の全体を引用により本明細書に含める。
【0056】
「493出願」に記載される方法によれば、セクション802は、半結晶熱可塑性材料中のポリマー分子の運動を増すように加熱され、その後、これらのセクション802の結晶度を上げるために、ゆっくりと冷却されてもよい。したがって、セクション802は、全体として、上述のように、カバー層850の第1部分802を構成し、全体として第2部分を構成する非加熱セクション804とは異なる硬度を有する。このような実施態様では、再び、カバー層850の第1部分802の結晶度は、第2部分804の結晶度とは異なる。言い換えると、第1部分は第1結晶度を有し、第2部分は第2結晶度を有し、ここで、第1結晶度は第2結晶度よりも高い。したがって、これらの実施態様では、第1部分802に関連する第1硬度は、第2部分804に関連する第2硬度よりも硬い。
【0057】
上に色々と論じてきたものとは異なる実施態様では、第1部分と第2部分の間の硬度差は、二つの異なる材料の使用によって実現することが可能である。具体的には、第1部分は、第1硬度を有する第1ポリマー材料から製造されてもよく、第2部分は、第2硬度を有する第2ポリマー材料から製造されてもよい。
【0058】
例えば、当該技術分野では様々な硬度値を持つ広範なポリマーが知られる。ポリマー材料の硬度は、一般に、例えば、架橋結合の程度、結晶度、及び鎖長によって調節することが可能である。一般に、ポリマーコーティング材料は、任意の熱可塑性、熱硬化性、アイオノマー、コポリマーであってよく、又は、上述のように、ゴルフボール技術分野で知られ、使用される他のポリマー材料であってもよい。
【0059】
二つの異なる材料は、ポリウレタン及びビニールポリマーのように、完全に異なるタイプの材料であってもよい。それとは別に、二つの異なる材料は、全体として同じタイプの化学材料ではあるが、異なるポリマー構造(例えば、架橋結合の程度、又はポリマーを構成するモノマーのタイプ及び比率など)を持つものであってもよい。例えば、第1部分は、ショアDスケールにおいて約55の硬度を有する熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、第2部分は、ショアDスケールにおいて約65の硬度を有する熱可塑性ポリウレタンであってもよい。したがって、第1部分を構成する第1材料及び第2部分を構成する第2部分は共にTPUであってもよい。
【0060】
図11は、二つの異なるカバー層材料からゴルフボール100を製造する方法を示す。一般に、ゴルフボールを製造する方法は、コア204、及び、コア204を事実上包囲するプレカバー層210を有するゴルフボールを受容する第1ステップ1000を含む。プレカバー層210は、第1硬度を有する第1材料から形成されてもよく、ゾーンの所望パターンに一致するパターンとして複数の非連続的陥凹部1002を配置させてもよい。陥凹部1002は、ドリル掘削又は成形によって形成してもよい。このステップで使用される金型は、例えば、通例のホットプレス金型、又は射出成形金型であってもよい。
【0061】
次に、ステップ1002において、第2材料1004が、プレカバー層210の上に成形されるが、成形は、第2材料1004が、プレカバー層210を事実上包囲し、陥凹部1002を充填するように行われる。第2材料1004は、第1硬度とは異なる第2硬度を有する。再び、成形は、圧縮成形によってもよいし、又は、射出成形によって行われてもよい。このステップで使用される金型は、一般に、陥凹部1002が材料1004によって充填される限り、いずれの形状を取ってもよい。
【0062】
最後に、第2材料は、各種公知の物理的又は化学的除去プロセスの内のいずれかによって部分的に除去されてもよい。例えば、第2材料は、研磨によって部分的に除去されてもよい。研磨は、十分な量の第2材料1004を取り除き、そのため、第2材料1004は、陥凹部1004においてのみプレカバー210層と重複し、それによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層が形成されるように行われなければならない。
【0063】
研磨プロセスの後、ゴルフボール100の表面は、清潔にし、次いで、圧縮成形によって、その表面にディンプルを創出してもよい。ディンプルが形成された後、ボールは、通例の仕上げステップ、例えば、基礎コーティング、印字、及び表面コーティングを経過してもよい。
【0064】
したがって、得られるゴルフボール100は、第2部分(第1材料から形成される)によって包囲される、複数の非連続ゾーンの形状を持つ第1部分(第2材料から形成される)を実現する。上で論じたように、第2材料から成る複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも約20%を包含してもよく、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか約60%を包含してもよい。
【0065】
図12は、使用時のゴルフボール100を示す。ゴルファー1100は、ゴルフクラブ1102を、ゴルフボール100に向かって振り下ろす。ゴルフクラブ1102はドライバーである。すなわち、大きなクラブヘッド1104、及び広いクラブフェース1106を持ち、低いロフト角を有する。図12の拡大セクションにおいて見られるように、ゴルフボール100は、第1部分102及び第2部分104を含む(図1の場合と同様)。
【0066】
図12の拡大部分において見られるように、クラブフェース1106は、ドライバーに合致する大きな力でゴルフボール100を打つ。したがって、ゴルフボール100は変形する。具体的には、ゴルフボール100は、ゴルフボールカバー層の第1区域1108が、クラブフェース1106に対して平坦となるように変形する。第1区域1108では、クラブフェース1106は、第1部分102と第2部分104の両方の少なくとも一部に衝突し、それらをコア204(及び、中間層202)に対して圧縮する。第1部分102及び第2部分104の両方の少なくとも一部がクラブフェースに対して平坦となる、この第1区域1108では、カバー層は、「見かけ上」、軟らかいものと硬いものの両方の硬度を持つように見える。「見かけ上」とは、クラブフェース1106が、この区域でカバー層とどのような相互作用を持つかを意味する。
【0067】
したがって、第1部分及び第2部分の間の硬度差のために、当該ゴルフボールは、比較的硬いカバー層と関連するプレイ特徴(例えば、飛距離の延長)、及び、比較的軟らかいカバー層と関連するプレイ特徴(例えば、より優れた感触とコントロール)を発揮する。
【0068】
これまで本発明の各種実施態様が説明されてきたわけであるが、この説明は、限定的であるよりはむしろ例示的であることを意図するものであり、本発明の範囲内において、さらに多くの実施態様及び実行例が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項及びその等価物に徴することを除き、限定されてはならない。さらに、種々の改変及び変更が、添付の特許請求項の範囲内において実行することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 ゴルフボール
102 第1部分
104 第2部分
106 ディンプル
108 平地区域
110 ディンプル
112 平地区域
120 ゾーン
122 ゾーン
130 円周(外周)
132 円周(外周)
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ゴルフボール、及び、該ゴルフボールを製造する方法に関する。特に、このゴルフボールのカバー層は、比較的高い硬度を有する区域、及び比較的低い硬度を有する区域を含む。
【背景技術】
【0002】
ゴルフゲームは、アマチュアレベルでもプロレベルでも人気度が増しているスポーツである。当該技術分野では、ゴルフボールの製造及び設計に関連して広範な技術が知られる。このような技術は、種々のプレイ特徴を有するゴルフボールを生みだしてきた。例えば、様々のスウィングスピードなど種々のゴルフプレイ能力を有するプレイヤーに対し、様々なゴルフボールが製造され、市場に供給されている。
【0003】
同様に、ゴルファーは、該ゴルファーの好みにしたがって、種々のプレイ特徴を有する、様々なゴルフボールを使用する場合がある。例えば、様々なディンプルパターンは、飛行中、ゴルフボールの航空力学的特性に影響を及ぼす可能性があり、或いは、カバー層の硬度における違いは、バックスピン率に影響を及ぼす可能性がある。特に硬度に関しては、ゴルファーは、比較的硬いか、又は軟らかいカバー層及び/又はコアを持つゴルフボールを使用することを選ぶ場合がある。比較的硬いカバー層を有するゴルフボールの実現するドライバースピンは低く、距離は比較的長くなる。しかしながら、比較的硬いカバー層のもたらすスピン率は比較的低く、したがって、ドライバーショットにはより優れるが、比較的短いショットではコントロールがより難しくなる。一方、比較的軟らかいカバー層を有するゴルフボールは、一般に、比較的多数のスピンを受け、したがって、コントロールはより易しく、グリーンでは止まるが、ティーからの距離には不足する。軟らかいカバー層は、一般によい「感触」を持つとされる。
【0004】
当該技術分野では、種々の硬度特徴を有する、様々なゴルフボールが知られる。一般に、ゴルフボールの硬度は、ゴルフボールを構成する種々層の化学的組成及び物理的配置によって決定される。したがって、様々な硬度値及び様々な硬度プロフィールを有するゴルフボールを生みだすために、いくつかの異なるゴルフボール材料が混ぜ合わされ、種々の組み合わせ及び配置において適合される。
【0005】
しかしながら、所望の硬度特徴を実現するようにゴルフボールをデザインすることは、少なくともいくつかの困難に悩まされる。一般に、公知のゴルフボールの構築は、様々な設計変数、例えば、層配置、各層に使用される材料、及び、層厚が、それぞれに対してバランスされることを要求する。したがって、これらの変数のいずれものであれ、それの変化による所望の硬度の向上は、必ず他のプレイ特徴の犠牲を伴う。
【0006】
例えば、カバー層の硬度は、該カバー層を、二つ以上のポリマー材料の混合物から形成することによって調整することが可能である。しかしながら、カバー層が、一つを超えるポリマー材料から製造される場合、これらのポリマーは、通例では、混ぜ合わされ、混和される。このような混合が必要とされるのは、これらの材料を、カバー層を形成するために圧縮成形又は射出成形プロセスにおいて使用可能とするためである。すなわち、二つのアイオノマー樹脂(例えば、一樹脂は、60のショアD硬度を有し、もう一方は40のショアD硬度を有するなど)をカバー層のために射出するためには、公知のプロセスは、先ず、二つのアイオノマー樹脂を混合すること、次いで、射出のために、この二つのアイオノマー樹脂を融解することを必要とする。融解プロセス時、二つのアイオノマー樹脂は十分に混ぜ合わされ、そのため、カバー層の完成品は単一材料と見なされる。したがって、カバー層のプレイ特徴は、このカバー層の単一性構築によって限定される。
【0007】
さらに、公知のゴルフボール構築に関連する材料コスト及び設計コストは、不当にも、末端消費者にとってゴルフボールコストの上昇を招く可能性がある。恐らくもっとも重要なことは、公知のゴルフボールは、高いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(比較的長い距離)と、一方ではさらに、低いカバー硬度と関連する有利なプレイ特徴(優れた感触)とを同時に実現することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上述の従来技術の欠点に対処するシステム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一局面では、本発明は、コア、及び該コアを事実上包囲するカバー層を含むゴルフボールにおいて、カバー層は、その上に、複数のディンプル、ディンプル同士を隔てる少なくとも一つの平地区域、全体表面積、第1部分(カバー層の第1部分は第1硬度を有する)、第2部分(カバー層の第2部分は第2硬度を有する)を含み、第2硬度は第1硬度と異なり;第1部分は、それぞれ、第2部分によって包囲される、複数の非連続ゾーンから成り、第1部分は、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第1部分は、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含することを特徴とする、ゴルフボールを提供する。
【0010】
別局面では、本開示は、上述のゴルフボールにおいて、複数ゾーンが、それぞれ、複数のディンプルの一つと関連するゴルフボールを提供する。
【0011】
さらに、本開示は、上述のゴルフボールにおいて、前記第1硬度が、ショアDスケール上で第2硬度とは少なくとも約5単位異なるゴルフボールを提供する。
【0012】
最後に、本開示はさらに、ゴルフボールの製造法であって、下記の工程:(1)コア、及び、該コアを事実上包囲するプレカバー層を有するゴルフボールを受容すること、ここに、プレカバー層は、第1材料から形成され、ゾーンの所望パターンに一致するパターンに配置される複数の非連続的陥凹部を有し;(2)プレカバー層上に第2材料を成形にすること、ここに、成形は、第2材料が、プレカバー層を事実上包囲し、陥凹部を充填するように行われ;(3)第2材料を研磨除去すること、ここに、研磨は、第2材料が、陥凹部においてのみプレカバー層と重複するように行われ、これによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層を形成する、を含み、ここで、第1材料は第1硬度を有し、第2材料は第2硬度を有し、第2硬度は第1硬度と異なり、且つ、ここで、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含することを特徴とする、方法を提供する。
【0013】
本発明の他のシステム、方法、特色、及び利点は、当業者には明白であろうし、或いは、下記の図面及び詳細な説明を精査することによって明白となろう。そのような追加のシステム、方法、特色、及び利点は全て、本明細書及び本概要の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ、下記の特許請求項によって保護されることが意図される。
【0014】
本発明は、下記の図面及び説明を参照することによってさらによく理解することが可能である。図面の成分は必ずしも実尺に合致するものではなく、強調はむしろ本発明の原理の具体的説明に置かれる。さらに、図面において、同じ参照数字は、種々の投影図を通じて対応する部品を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異なる硬度を持ついくつかの円形ゾーンを有する例示ゴルフボールを示す。
【図2】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、三角形断面を有する。
【図3】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、半球形断面を有する。
【図4】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、長方形断面を有する。
【図5】ゴルフボールの断面図を示し、ここで、各ゾーンは、上り階段型三角形断面を有する。
【図6】グラフィック形で表した、異なる硬度のいくつかのゾーンを有する例示ゴルフボールを示す。
【図7】例示ゴルフボールにおいて、異なる硬度を持ついくつかのゾーンが、ある複数のディンプルと関連するゴルフボールを示す。
【図8】例示ゴルフボールにおいて、複数のディンプルのそれぞれが、異なる硬度のゾーンと関連するゴルフボールを示す。
【図9】カバー層のゾーンを創出するために使用されてもよい加熱デバイスを示す。
【図10】加熱プロセス中の、図8のゴルフボールの一部の拡大断面図を示す。
【図11】二つの異なる材料から硬度ゾーンを創出するためのプロセスを示す。
【図12】ゴルフボールをドライバーによって打たんとするゴルファー、及び、ドライバーによって打たれる際のゴルフボールの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に本開示は、1硬度値(例えば、比較的硬い)を有する、カバー層上の第1区域、及び、別の硬度値(例えば、比較的軟らかい)を有する、カバー層上の第2区域を有するゴルフボールに関する。第1区域は、それぞれが、第2区域によって包囲される非連続ゾーンであり、全体として、カバー層の全表面積の20%から60%を包含する。比較的硬い区域は、カバー層上のディンプルの少なくともいくつかに一致してよく、比較的軟らかい区域は、ディンプルの間の、少なくとも一つの平地の少なくとも一部に一致してもよい。この配置のために、このゴルフボールのカバー層は、該ゴルフボールの、長い飛距離と優れた感触の両方の実現を確実にする。
【0017】
本開示はさらに、そのようなゴルフボールの製造法に関する。
【0018】
図1は、本開示による例示ゴルフボール100を示す。ゴルフボール100は、第1部分102及び第2部分104から構成されるカバー層を含む。第1部分102は、複数の非連続ゾーン、例えば、代表ゾーン120及び代表ゾーン122などから成る。ゾーン120又はゾーン122などの、第1部分102を構成する各ゾーンは、第2部分104によって包囲される。カバー層はさらに、その上に複数のディンプル、及び、ディンプル同士を隔てる少なくとも一つの平地区域を含む。具体的には、第1部分102は、その上にディンプル106の他、ディンプル106同士を隔てる平地区域108をも含む。同様に、第2部分104は、その上にディンプル110の他、ディンプル110同士を隔てる平地区域112をも含む。
【0019】
ゴルフボール100は、コア、及び、該コアを事実上包囲するカバー層を含むものであればいずれのタイプのゴルフボールであってもよい。例えば、ゴルフボール100は、コアとカバー層の間に、一つ以上の中間層を配置させてもよい。いくつかの図面を通じて、ゴルフボール100は、スリーピース構造として示される。しかしながら、本開示の範囲内のゴルフボールは、ツーピース構造を有していてもよいし、又は、コアとカバー層の間にさらに別の中間層を有していてもよい。
【0020】
上記複数のディンプルは、一般に、ゴルフボール技術分野で公知のものと同様の任意のパターンとしてカバー層上に配置されてよい。種々の公知の、高密度ディンプルパターンが当該技術分野で知られる。ディンプル106及びディンプル110は、一般に、円形、三角形、又は多辺形など、任意の形状を取ってもよい。ディンプル106及びディンプル110は、均一の形状及びサイズを持ってもよいし、或いは、ディンプルパターンは、(例えば)異なるサイズ又は異なる形状を持つ、二つ以上の異なるタイプのディンプルから構成されてもよい。
【0021】
一般に、平地区域とは、少なくとも二つのディンプルを隔て、凹んでいなかったり、又はその他のやり方でディンプルの一部となっていない、カバー層の部分である。一般に、平地区域108は、隣接ディンプル106の間の「隆起」又は「フレット」である。平地区域108及び平地区域112は、図1に示すように、カバー層全体に亘る一つの連続的平地区域の部分となっていてもよい。それとは別に、二つ以上のディンプルを隔てる各平地区域は、個別平地区域となってもよい。例えば、第1部分102を構成する各ゾーンの平地区域108は、それぞれが二つ以上のディンプル106を分割する、いくつかの不連続な平地区域から構成されていてもよい。
【0022】
図2は、事実上球形のゴルフボール100の四分割部分の断面を示す。図示の実施態様では、ゴルフボール100は、一般に、カバー層200、中間層202、及びコア204から構成される。しかしながら、別の実施態様では、中間層204は存在していなくともよく、又は、追加中間層を加えてもよい。図2は、代表ゾーン120及び代表ゾーン122を特に詳細に示す。ゾーン120及びゾーン122は、第1部分102の部分であり、一方、部分104は、それらを包囲するところが示される。図1に関連して上述したように、第1部分102は、その上にディンプル106及び平地区域108を含み、一方、断面部分104は、その上にディンプル110及び平地区域112を含む。図2では、ゾーン120のディンプルパターン106は、ゾーン122のディンプルパターン106と同じであるが、別の実施態様では、異なるゾーンは、その上に異なるディンプルパターンを有していてもよい。
【0023】
第1部分102を構成するゾーンは、それぞれ、様々な形状の内のいずれの形状を有していてもよい。図2は、ゾーン120が直径212、ゾーン122が直径214を有する実施態様を示す。この実施態様では、直径214は直径212よりも小さい。説明の都合上、図2に示す断面の「薄片」は、この実施態様では、各ゾーンの中心を横切ると見なされる。しかしながら、別の実施態様では、第1部分102を構成する各ゾーンは、同じ直径を有していてもよいし、又は、ゾーン達は、その直径の間に任意の関係を有していてもよい。
【0024】
第1部分102を構成する各ゾーンはさらに、断面形状206を有する。この断面形状は、垂直断面、すなわち、ゴルフボール100の中心から垂直に外方カバー層200に向かう断面である。図2に示す実施態様では、断面形状206は三角形である。三角形断面形状206は、第1部分の区域208、及び第2部分の区域210の間の境界を定める。第1部分102を構成する複数ゾーンは全て、ゾーン120及びゾーン122の両方が三角形状断面形206を持つところが示されるように、同じ断面形状を持っていてもよい。それとは別に、第1部分102を構成する複数ゾーンは、それぞれ独立に異なる形状を持ってもよいし、若しくは、それらの任意のサブセットが、断面形状の任意の組み合わせを持ってもよい。
【0025】
図3は、断面形状306の別態様を示す。この実施態様では、ゴルフボール100は、カバー層300の他、中間層202及びコア204から構成される。この実施態様では、断面形状306は、全体として半球状である。断面形状306はさらに、曲線、懸垂線、又は放物線として特徴づけられてもよい。半球状断面形306は、第1部分の区域308と、第2部分の区域310の間の境界を定める。図3に示すように、区域310の形状は、当然のことながら、半球断面形状306に合致するよう曲線的となる。
【0026】
断面形状のさらに別の実施態様を図4及び5に示す。具体的には、図4は、長方形断面形状406を有する実施態様を示す。長方形断面形状406はさらに、ゾーンの直径が、カバー層400の厚みとほぼ等しい場合には、正方形断面形状として特徴づけられてもよい。他の様々の実施態様では(図2、3、及び5に見られるように)、第1部分102に関連する区域の部分は、第2部分104に関連する区域の部分と重複してもよい。例えば、区域208は、区域210と重複し、区域308は、区域310と重複する。しかしながら、長方形断面406を有する実施態様では、区域408のどの部分も区域410と重複しない。
【0027】
断面形状に関する最後の例示実施態様において、図5は、上り階段型三角形の断面形状506を示す。断面形状506はさらに、反転ピラミッド型として特徴づけられてもよい。一般に、断面形状506は、一緒に一連の「階段」を形成する、垂直上昇セクション550及び水平上昇セクション552を含む。上り階段型三角断面形状506は、カバー層500において、第1部分102の区域508を、第2部分104の区域510から分離する。この実施態様は、区域508と区域510の間に上昇表面区域を生みだすが、これは、第1部分が第2部分とは別の材料から形成される場合、ゴルフボール100の製造時有利となる可能性がある(後述するように)。
【0028】
断面形の他に、第1部分102を構成する各ゾーンはさらに、外縁形状を有していてもよい。図1は、全体として円形の外縁形を持つ各ゾーンを示す。具体的には、ゾーン120は、円周130を含み、ゾーン122は、円周132を含む。すなわち、図2に関連して上述したように、ゾーン120は、外周130によって定められる直径212を有し、ゾーン122は、外周132によって定められる直径214を有する。図1-5は、ゾーン120及び122が異なる直径を有するものとして示しているけれども、第1部分102を構成する複数のゾーンはそれぞれ、全体として同じ直径を有していてもよく、又は、第1部分102を構成するゾーンの任意のサブセットが、異なる直径の任意の組み合わせを有していてもよい。
【0029】
図6は、外縁形状の第2実施態様を示す。図6では、ゴルフボール600は、第1部分602及び第2部分604を含み、ここで、第1部分602は、複数の非連続ゾーンから構成される。具体的には、第1部分602は、例示ゾーン620及び例示ゾーン622を含んでもよい。図1の場合と同様、第1部分602は、その上にディンプル606及び平地区域608を含み、一方、第2部分602は、その上にディンプル610及び平地区域612を含む。
【0030】
一般に、外縁形状は、いずれの幾何学的形状であってもよく、例えば、円形、三角形、四角形、又は、五つ以上の辺を持つ多角形であってもよい。さらに、外縁形状は、グラフィック形状であってもよい。グラフィックとは、一般に、概念又は事物の絵画的表現を意味するものと理解される。図6に示す実施態様では、外縁形状はハート形である。具体的には、ゾーン620は、ハート形の外縁形状630を含み、ゾーン622は、ハート形の外縁形状632を含む。この外縁形状は、例えば、装飾的であってもよいし、又は特異的であってもよい。例えば、外縁形状は、商標ロゴの形を取ってもよいし、又は、ゴルファーのイニシャルなど特注グラフィックの形を取ってもよい。
【0031】
ゴルフボール600の第1部分602を構成するゾーンは全て、図6では、ハート形状として示されるが、別の実施態様では、複数のゾーンは、それぞれ、異なる外縁形状を有していてもよい。例えば、ゴルフボールは、複数のゾーンのあるものは円形外縁形状を有し、他のものは、新奇グラフィックの外縁形状を有し、さらに別のものは、ロゴ形状、又は、それらの組み合わせ形を取ってもよい。
【0032】
この実施態様では、上述の様々の外縁形状が視認可能となるように、第1部分602は、第2部分とは違って着色されてもよい。ある実施態様では、この着色は、後述するように、第1部分602に対し、第2部分604に対するものとは異なる材料を用いて実現してもよい。それとは別に、着色の違いは、外縁形状に従った第1部分602、もしくは、断面部分604の選択的ペインティング、もしくは染色によって実現してもよい。
【0033】
図7は、第1部分702が、ゴルフボール700のカバー層上の複数のディンプルの少なくともいくつかと関連する実施態様を示す。具体的には、第1部分702を構成するゾーンは、それぞれ、複数のディンプルの内の一つと関連する。言い換えると、各ゾーンの広がりは、単一ディンプルの境界と一致する。したがって、図7に示すように、第1部分702は、その上にディンプルしか含まず、一方、第2部分704は、その上に他のディンプル710の他、平地区域712も含む。第1部分702は、一般に、複数のディンプルの内任意の数を含んでよい。ただし、後述の例外は除く。
【0034】
特定実施態様では、第1部分は、その上の複数のディンプルの全てを含んでもよい。図8は、そのような実施態様の例を示す。ゴルフボール800は、そのカバー層に複数のディンプルを有するディンプルパターンを含む。第1部分802は、完全にディンプルと関連するが、一方、第2部分804は、完全に、ディンプルを隔てる平地区域と関連する。
【0035】
図1、6、7、及び8に示す実施態様のいずれにおいても、第1部分及び第2部分は、カバー層において、様々なパターンの内のどのパターンとして配置されてもよい。一般に、ゾーンは、カバー層において、任意のサイズ及び場所を取ってもよい。ある実施態様では、ゾーンは、カバー層においてランダムパターンとして配置される。別の実施態様では、ゾーンは、サイズ及び場所が、カバー層においてあるパターンとして、すなわち、カバー層が、USGA規制にしたがって球面対称となるように配置される。
【0036】
重要なことは、上述の実施態様のいずれにおいても、第1部分は第1硬度を有し、第2部分は第2硬度を有することである。第1硬度と第2硬度は互いに異なる。第1部分と第2部分の間の硬度差は、一般に、硬度差として僅少でなければ、いずれの程度であってもよい。本明細書で論じるように、ショアDスケールには全ての硬度値が与えられており、(別言しない限り)ゴルフボールにおいて測定される。第1硬度及び第2硬度の間の硬度差は、有利なプレイ特徴を生みだす硬度ゾーンを創出する。
【0037】
ある実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも3単位である。別の実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも5単位である。さらに別の実施態様では、第1硬度と第2硬度の差は、ショアDスケールにおいて少なくとも10単位である。第1硬度は、第2硬度よりも硬くてもよいが、若しくは、それとは別に、第2硬度の方が第1硬度よりも硬くてもよい。
【0038】
第1硬度及び第2硬度は、それぞれ独立に、ショアDスケールにおいて少なくとも約30から、たかだか約75までの範囲にある。ある実施態様では、第1硬度及び第2硬度は、それぞれ独立に、ショアDスケールにおいて少なくとも約40から、たかだか約75までの範囲にある。
【0039】
硬いカバー層は、一般に、比較的長い飛距離と相関し、そのため、硬いカバー層は、ティーからの長いショットの成績は優れる。逆に、比較的軟らかいカバー層は、一般に、ボールのスピンが増すために、優れた「感触」、すなわち、飛行中及び着陸後のボールに対する優れたコントロールと相関する。本開示は、これらの、他のやり方では互いに排除的なプレイ特徴の間に、比較的軟らかい部分と比較的硬い部分とをカバー層の中に取り込むことによって、バランスを実現するものである。例えば、第1部分が比較的硬く、第2部分が比較的軟らかい実施態様では、ゴルフクラブのフェースは、第1部分の比較的硬いゾーンと、比較的軟らかい連続的第2部分の両方を叩く。したがって、ボールは、硬いカバー層と軟らかいカバー層の両方に関連するプレイ特徴を発揮する。
【0040】
さらに重要なことは、上述の実施態様のそれぞれにおいて、ゴルフボールは、カバー層の全表面積を有することである。第1部分及び第2部分は、ゴルフボールカバー層の全表面積の特定量を示す。カバー層の全表面積は、第1部分の表面積、及び第2部分の表面積の和に等しい。第1部分は、ある実施態様では、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含してもよい。第1部分はさらに、ある実施態様では、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含してもよい。言い換えると、第1部分は、カバー層の全表面積の20%から60%まで(60%を含む)を占めてもよく、一方、第2部分は、カバー層の全表面積の80%から40%まで占めてもよい。
【0041】
他の実施態様では、第1部分は、カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含してもよい。最後に、さらに別の実施態様では、第1部分は、カバー層の全表面積のたかだか50%を包含してもよい。言い換えると、第1部分は、カバー層の全表面積の30%から50%まで(50%を含む)占めてもよく、一方、第2部分は、カバー層の全表面積の70%から50%まで占めてもよい。
【0042】
活動又は特定作用に関する何らかの理論に拘束されることを望むものではないが、全表面の20%から60%のこの範囲によって、ゴルフボールは、長い飛距離と優れた感触の間のバランスを実現することが可能とされると考えられる。すなわち、第1部分と第2部分が上述の表面積比を占め、カバー層の上に、ゴルフクラブのフェースが、ゴルフボールとのインパクト時、第1部分と第2部分の両方に衝突するように配置されると、ゴルフボールは、あたかもそれが比較的軟らかいカバーと、比較的硬いカバーの両方を兼ね備えるように振る舞う。もしも第1硬度を持つ第1部分の占める面積が、全表面積の20%よりも小さく、第2硬度を持つ第2部分の占める面積が、全表面積の80%よりも大きい場合、ゴルフボールは、単に、第2硬度に相関するプレイ特徴だけを示し、一方、第1硬度と相関するプレイ特徴は全く示さなくなるのであろう。同様に、もしも第1硬度を持つ第1部分の占める面積が、全表面積の60%よりも大きい場合、ゴルフボールは、単に、第1硬度に相関するプレイ特徴だけを示し、一方、第2硬度と相関するプレイ特徴は全く示さなくなるのであろう。この配置によって、クラブフェースは、軟らかい部分を、ゴルフボールの内方層及びコアに向かって圧縮することが可能とされ、そのためスピンの増大が誘起され、一方、運動エネルギーは硬い部分を介してコアに転送され、そのため、ティーからの距離の延長が誘起されると考えられる。
【0043】
ゴルフボール100は、他にも、所望のプレイ特徴をもたらす可能性のある物理的特性を有すると考えられる。例えば、ゴルフボール100は、毎秒40メートルのボールスピード(m/s)において0.770よりも高い反撥係数(COR)を有していてもよい。
【0044】
第1部分及び第2部分を含む材料(本明細書において別様に注記しない限り)は、ゴルフボール製造における使用が周知される各種材料の内いずれのものから製造されてもよい。一般に、本開示、又はその任意のサブセクションに一致する、ゴルフボールのいずれの部分も、別様に注記しない限り、ゴルフボール製造での使用が周知される各種材料の内いずれのものから製造されてもよい。
【0045】
例えば、ゴルフボール100の各部分(又は、そのいずれの割分でも)は、熱硬化性材料、熱可塑性材料、又は、それらの組み合わせから製造されてもよい。ある実施態様では、ゴルフボール100に使用される材料は、ゴム様化合物などの熱硬化性材料から製造されてもよい。基礎ゴムとしては、1,4-シス-ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンコポリマー、天然ゴム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。比較的大きな反撥弾性が所望ならば、1,4-シス-ポリブタジエンを基礎材料として使用し、他の成分と混ぜ合わせてもよい。1,4-シス-ポリブタジエンの量は、ゴム化合物の100重量部に対し、少なくとも50重量部であってもよい。
【0046】
さらに、基礎ゴム材料は、比重を増すために、添加物、例えば、架橋結合剤及び充填剤などを含んでもよい。例えば、架橋結合剤としては、二アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛、及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられ、特に、二アクリル酸亜鉛は、より大きな反撥弾性が得られるために使用が可能である。
【0047】
さらに、より大きな比重を実現するためには、ゴム化合物は、充填剤、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムを含んでもよく、中でも酸化亜鉛が好ましい。高い比重を持つ、タングステンなどの金属粉末を、所望の比重に到達するために含めてもよい。ポリマー化学及びゴルフボール製造の当該技術分野で公知の他の添加物を含めることも可能である。
【0048】
ゴルフボールのある部分又は各部分の材料は、熱可塑性材料から製造することも可能である。例えば、材料は、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、それらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
ある実施態様では、第1部分及び第2部分は、同じ材料から製造されてもよい。例えば、単一のポリマー材料は、色々と上述されたように、ポリマーの結晶構造を変えることによって(ある種の熱可塑性材料を使用する場合)、様々な硬度値を持つようにすることが可能である。
【0050】
ある実施態様では、図8に示すゴルフボール800を参照すると、カバー層は、米国特許出願公開第2008/0081710号(以後、「710公開」と呼ぶ)に記載される相転移材料を含んでもよい。なお、上記特許文書の開示全体を引用により本明細書に含める。具体的には、「710公開」に記載される相転移材料は、2から6個の炭素原子を有する少なくとも一つのアルファオレフィンのコポリマー残基、及び、3から8個の炭素原子を有する少なくとも一つのα,β-エチレン不飽和カルボン酸のコポリマー残基を含む酸性コポリマーである。
【0051】
「710公開」に記載されるように、この相転移材料は加熱に反応して硬度を変える。具体的には、熱エネルギーは、材料の二次結晶構造を破壊することによって硬度を下げる。ポリマー科学において周知のように、半結晶性ポリマー材料の硬度は、該ポリマー材料の結晶度に比例することが可能である。結晶度とは、非晶相にある材料の量と比較した場合の、結晶相にある材料の量である。結晶相は、一般に、非晶相よりも硬く、これは、結晶相では、ポリマー分子が緊密にパックされた結晶構造となっているためである。
【0052】
したがって、ゴルフボール800は、所望の硬度差を実現するために、図9に示すような加熱デバイス900において選択的に加熱されてもよい。加熱デバイス900は、米国特許第___号に完全に記載され、最近では、2009年10月23日出願、ゴルフボールの加熱用デバイスという表題の、米国特許出願第12/604,830号(以後、「加熱特許」)に記載される。なお、これらの開示の全体を引用により本明細書に含める。加熱デバイス900は、ユーザーの手902によって把持され、図示のように、上方加熱面908と下方加熱面910が、ゴルフボール800に接触させられる。
【0053】
具体的には、図10に示すように、加熱要素908は、ディンプルに関連する、カバー層850のセクション802を加熱するように使用されてもよい。加熱要素908は、一般に、カバー層の所望部分を選択的に加熱することが可能であるならば、いずれの加熱機構であってもよい。特定実施態様では、前述し、図9で示したように、加熱要素は、「加熱特許」中に詳細に記載される加熱装置の成分であってもよい。この実施態様では、加熱要素908は、「加熱特許」中に記載されるものと同じ内部加熱面であってもよい。同様に、図9及び10に示す加熱要素バッキング904は、「加熱特許」に記載される外部筐体であってもよい。「加熱特許」に記載されるデバイスによって、消費者は、内部加熱面上の特定パターンを用いることによって、本開示に一致する所望の硬度差を創出することが可能となる。
【0054】
図10は、選択的加熱プロセスが、カバー層850の特定断面に印加されるところだけを示すが、この選択的加熱プロセスは、全てのディンプル区域802が加熱されるように、ゴルフボール800の全表面に印加されてもよい。それとは別に、図7に示す実施態様と一致して、選択的加熱プロセスは、所望のままに、ゴルフボール700の種々の場所の内、あるディンプル区域702には印加されるが、他のものには印加されないように実施されてもよい。カバー層850が、「710公開」に記載されるような相転移材料を含む実施態様では、加熱は、該相転移材料の硬度の低下を招く。したがって、第1部分802と関連する第1硬度は、第2部分804と関連する第2硬度よりも軟らかくなる。
【0055】
第1部分と第2部分が同じ材料から製造される別の実施態様では、カバー層850は、一般に、半結晶熱可塑性材料を含んでもよい。半結晶熱可塑性材料の硬度を変える方法は、米国特許第___号に完全に記載され、最近では、2010年1月20日出願、ゴルフボールをカスタマイズするための方法及びシステムという表題の、米国特許出願第12/690,493号に記載される。なお、これらの開示の全体を引用により本明細書に含める。
【0056】
「493出願」に記載される方法によれば、セクション802は、半結晶熱可塑性材料中のポリマー分子の運動を増すように加熱され、その後、これらのセクション802の結晶度を上げるために、ゆっくりと冷却されてもよい。したがって、セクション802は、全体として、上述のように、カバー層850の第1部分802を構成し、全体として第2部分を構成する非加熱セクション804とは異なる硬度を有する。このような実施態様では、再び、カバー層850の第1部分802の結晶度は、第2部分804の結晶度とは異なる。言い換えると、第1部分は第1結晶度を有し、第2部分は第2結晶度を有し、ここで、第1結晶度は第2結晶度よりも高い。したがって、これらの実施態様では、第1部分802に関連する第1硬度は、第2部分804に関連する第2硬度よりも硬い。
【0057】
上に色々と論じてきたものとは異なる実施態様では、第1部分と第2部分の間の硬度差は、二つの異なる材料の使用によって実現することが可能である。具体的には、第1部分は、第1硬度を有する第1ポリマー材料から製造されてもよく、第2部分は、第2硬度を有する第2ポリマー材料から製造されてもよい。
【0058】
例えば、当該技術分野では様々な硬度値を持つ広範なポリマーが知られる。ポリマー材料の硬度は、一般に、例えば、架橋結合の程度、結晶度、及び鎖長によって調節することが可能である。一般に、ポリマーコーティング材料は、任意の熱可塑性、熱硬化性、アイオノマー、コポリマーであってよく、又は、上述のように、ゴルフボール技術分野で知られ、使用される他のポリマー材料であってもよい。
【0059】
二つの異なる材料は、ポリウレタン及びビニールポリマーのように、完全に異なるタイプの材料であってもよい。それとは別に、二つの異なる材料は、全体として同じタイプの化学材料ではあるが、異なるポリマー構造(例えば、架橋結合の程度、又はポリマーを構成するモノマーのタイプ及び比率など)を持つものであってもよい。例えば、第1部分は、ショアDスケールにおいて約55の硬度を有する熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、第2部分は、ショアDスケールにおいて約65の硬度を有する熱可塑性ポリウレタンであってもよい。したがって、第1部分を構成する第1材料及び第2部分を構成する第2部分は共にTPUであってもよい。
【0060】
図11は、二つの異なるカバー層材料からゴルフボール100を製造する方法を示す。一般に、ゴルフボールを製造する方法は、コア204、及び、コア204を事実上包囲するプレカバー層210を有するゴルフボールを受容する第1ステップ1000を含む。プレカバー層210は、第1硬度を有する第1材料から形成されてもよく、ゾーンの所望パターンに一致するパターンとして複数の非連続的陥凹部1002を配置させてもよい。陥凹部1002は、ドリル掘削又は成形によって形成してもよい。このステップで使用される金型は、例えば、通例のホットプレス金型、又は射出成形金型であってもよい。
【0061】
次に、ステップ1002において、第2材料1004が、プレカバー層210の上に成形されるが、成形は、第2材料1004が、プレカバー層210を事実上包囲し、陥凹部1002を充填するように行われる。第2材料1004は、第1硬度とは異なる第2硬度を有する。再び、成形は、圧縮成形によってもよいし、又は、射出成形によって行われてもよい。このステップで使用される金型は、一般に、陥凹部1002が材料1004によって充填される限り、いずれの形状を取ってもよい。
【0062】
最後に、第2材料は、各種公知の物理的又は化学的除去プロセスの内のいずれかによって部分的に除去されてもよい。例えば、第2材料は、研磨によって部分的に除去されてもよい。研磨は、十分な量の第2材料1004を取り除き、そのため、第2材料1004は、陥凹部1004においてのみプレカバー210層と重複し、それによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層が形成されるように行われなければならない。
【0063】
研磨プロセスの後、ゴルフボール100の表面は、清潔にし、次いで、圧縮成形によって、その表面にディンプルを創出してもよい。ディンプルが形成された後、ボールは、通例の仕上げステップ、例えば、基礎コーティング、印字、及び表面コーティングを経過してもよい。
【0064】
したがって、得られるゴルフボール100は、第2部分(第1材料から形成される)によって包囲される、複数の非連続ゾーンの形状を持つ第1部分(第2材料から形成される)を実現する。上で論じたように、第2材料から成る複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも約20%を包含してもよく、第2材料の複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか約60%を包含してもよい。
【0065】
図12は、使用時のゴルフボール100を示す。ゴルファー1100は、ゴルフクラブ1102を、ゴルフボール100に向かって振り下ろす。ゴルフクラブ1102はドライバーである。すなわち、大きなクラブヘッド1104、及び広いクラブフェース1106を持ち、低いロフト角を有する。図12の拡大セクションにおいて見られるように、ゴルフボール100は、第1部分102及び第2部分104を含む(図1の場合と同様)。
【0066】
図12の拡大部分において見られるように、クラブフェース1106は、ドライバーに合致する大きな力でゴルフボール100を打つ。したがって、ゴルフボール100は変形する。具体的には、ゴルフボール100は、ゴルフボールカバー層の第1区域1108が、クラブフェース1106に対して平坦となるように変形する。第1区域1108では、クラブフェース1106は、第1部分102と第2部分104の両方の少なくとも一部に衝突し、それらをコア204(及び、中間層202)に対して圧縮する。第1部分102及び第2部分104の両方の少なくとも一部がクラブフェースに対して平坦となる、この第1区域1108では、カバー層は、「見かけ上」、軟らかいものと硬いものの両方の硬度を持つように見える。「見かけ上」とは、クラブフェース1106が、この区域でカバー層とどのような相互作用を持つかを意味する。
【0067】
したがって、第1部分及び第2部分の間の硬度差のために、当該ゴルフボールは、比較的硬いカバー層と関連するプレイ特徴(例えば、飛距離の延長)、及び、比較的軟らかいカバー層と関連するプレイ特徴(例えば、より優れた感触とコントロール)を発揮する。
【0068】
これまで本発明の各種実施態様が説明されてきたわけであるが、この説明は、限定的であるよりはむしろ例示的であることを意図するものであり、本発明の範囲内において、さらに多くの実施態様及び実行例が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項及びその等価物に徴することを除き、限定されてはならない。さらに、種々の改変及び変更が、添付の特許請求項の範囲内において実行することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 ゴルフボール
102 第1部分
104 第2部分
106 ディンプル
108 平地区域
110 ディンプル
112 平地区域
120 ゾーン
122 ゾーン
130 円周(外周)
132 円周(外周)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールであって:
コア;及び、
該コアを事実上包囲するカバー層を含み;
該カバー層は、
その上に複数のディンプル、及び、該ディンプルを隔てる少なくとも一つの平地区域;
全表面積;
第1硬度を有する、カバー層の第1部分;及び、
第2硬度を有する、カバー層の第2部分を含み;
ここで、該第2硬度は、該第1硬度とは異なり;
ここで、該第1部分は、それぞれ、該第2部分によって包囲される、複数の、非連続ゾーンから成り;
ここで、該第1部分は、該カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、該第1部分は、該カバー層の全表面積のたかだか60%を包含する、
ことを特徴とする、ゴルフボール。
【請求項2】
前記第1部分を含む各ゾーンが外縁形状を有し、この外縁形状が、円形、三角形、四角形、五つ以上の辺を有する多角形、グラフィック、及びロゴから成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記第1部分を含む各ゾーンが断面形状を有し、この断面形状が、三角形、半球、四角形、及び、上り階段型三角形から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記複数ゾーンが、それぞれ、前記複数のディンプルの一つと関連することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記カバー層の第1部分が、該カバー層上の前記複数のディンプルの全てを含み、且つ、該カバー層の第2部分が、該カバー層上の前記平地区域(単数又は複数)の全てを完全に含むことを特徴とする、請求項4に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記第1部分が、前記カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記第1部分が、前記カバー層の全表面積のたかだか50%を包含することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記第1硬度が、前記第2硬度よりも硬いことを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記第1硬度が、前記第2硬度とは、ショアDスケール上で少なくとも約5単位異なることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
前記第1硬度及び第2硬度が、それぞれ、ショアDスケール上で30から75であることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項11】
前記ゾーンは、そのサイズ、及び前記カバー層における配置が、前記ゴルフボールが、球面対称となるように選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項12】
前記第1部分及び前記第2部分が異なる材料から成ることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項13】
ゴルフボールであって:
コア;及び、
該コアを事実上包囲するカバー層を含み;
該カバー層は、
その上に複数のディンプル、及び、該ディンプルを隔てる少なくとも一つの平地区域;
全表面積;
第1硬度を有する、カバー層の第1部分;及び、
第2硬度を有する、カバー層の第2部分を含み;
ここで、該第2硬度は、該第1硬度とは、ショアDスケール上で少なくとも5単位異なり;
ここで、該第1部分は、それぞれ、該第2部分によって包囲される、複数の、非連続ゾーンから成り、該複数ゾーンは、それぞれ、該複数のディンプルの一つと関連し;
ここで、該第1部分は、該カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含し、且つ、該第1部分は、該カバー層の全表面積のたかだか50%を包含する、
ことを特徴とする、ゴルフボール。
【請求項14】
前記第1部分が、前記第2部分よりも硬いことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項15】
前記第2部分が、前記第1部分よりも硬いことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項16】
前記カバー層の第1部分が、該カバー層上の前記複数のディンプルの全てを含み、且つ、該カバー層の第2部分が、該カバー層上の前記平地区域(単数又は複数)の全てを完全に含むことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項17】
前記ゾーンは、そのサイズ、及び前記カバー層における配置が、前記ゴルフボールが、球面対称となるように選ばれることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項18】
前記第1部分及び前記第2部分が異なる材料から成ることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項19】
ゴルフボールを製造する方法であって、下記の工程:
(1)コア、及び、該コアを事実上包囲するプレカバー層を有するゴルフボールを受容すること、ここに、該プレカバー層は、第1材料から形成され、ゾーンの所望パターンに一致するパターンとして配置される、複数の、非連続陥凹部を有し;
(2)該プレカバー層の上に第2材料を成形すること、ここに、成形は、該第2材料が、該プレカバー層を事実上包囲し、該陥凹部を充填するように行われ;
(3) 該第2材料を研磨除去すること、ここに、研磨は、該第2材料が、該陥凹部においてのみ該プレカバー層と重複するように行われ、これによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層が形成される、を含み、
ここで、該第1材料は第1硬度を有し、該第2材料は第2硬度を有し、該第2硬度は該第1硬度と異なり;且つ、
ここで、第2材料の該複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第2材料の該複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含する、
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
前記カバー層が、その上に複数のディンプルを含み、前記複数ゾーンが、それぞれ、該複数のディンプルの一つと関連することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
ゴルフボールであって:
コア;及び、
該コアを事実上包囲するカバー層を含み;
該カバー層は、
その上に複数のディンプル、及び、該ディンプルを隔てる少なくとも一つの平地区域;
全表面積;
第1硬度を有する、カバー層の第1部分;及び、
第2硬度を有する、カバー層の第2部分を含み;
ここで、該第2硬度は、該第1硬度とは異なり;
ここで、該第1部分は、それぞれ、該第2部分によって包囲される、複数の、非連続ゾーンから成り;
ここで、該第1部分は、該カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、該第1部分は、該カバー層の全表面積のたかだか60%を包含する、
ことを特徴とする、ゴルフボール。
【請求項2】
前記第1部分を含む各ゾーンが外縁形状を有し、この外縁形状が、円形、三角形、四角形、五つ以上の辺を有する多角形、グラフィック、及びロゴから成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記第1部分を含む各ゾーンが断面形状を有し、この断面形状が、三角形、半球、四角形、及び、上り階段型三角形から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記複数ゾーンが、それぞれ、前記複数のディンプルの一つと関連することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記カバー層の第1部分が、該カバー層上の前記複数のディンプルの全てを含み、且つ、該カバー層の第2部分が、該カバー層上の前記平地区域(単数又は複数)の全てを完全に含むことを特徴とする、請求項4に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記第1部分が、前記カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記第1部分が、前記カバー層の全表面積のたかだか50%を包含することを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記第1硬度が、前記第2硬度よりも硬いことを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記第1硬度が、前記第2硬度とは、ショアDスケール上で少なくとも約5単位異なることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
前記第1硬度及び第2硬度が、それぞれ、ショアDスケール上で30から75であることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項11】
前記ゾーンは、そのサイズ、及び前記カバー層における配置が、前記ゴルフボールが、球面対称となるように選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項12】
前記第1部分及び前記第2部分が異なる材料から成ることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項13】
ゴルフボールであって:
コア;及び、
該コアを事実上包囲するカバー層を含み;
該カバー層は、
その上に複数のディンプル、及び、該ディンプルを隔てる少なくとも一つの平地区域;
全表面積;
第1硬度を有する、カバー層の第1部分;及び、
第2硬度を有する、カバー層の第2部分を含み;
ここで、該第2硬度は、該第1硬度とは、ショアDスケール上で少なくとも5単位異なり;
ここで、該第1部分は、それぞれ、該第2部分によって包囲される、複数の、非連続ゾーンから成り、該複数ゾーンは、それぞれ、該複数のディンプルの一つと関連し;
ここで、該第1部分は、該カバー層の全表面積の少なくとも30%を包含し、且つ、該第1部分は、該カバー層の全表面積のたかだか50%を包含する、
ことを特徴とする、ゴルフボール。
【請求項14】
前記第1部分が、前記第2部分よりも硬いことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項15】
前記第2部分が、前記第1部分よりも硬いことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項16】
前記カバー層の第1部分が、該カバー層上の前記複数のディンプルの全てを含み、且つ、該カバー層の第2部分が、該カバー層上の前記平地区域(単数又は複数)の全てを完全に含むことを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項17】
前記ゾーンは、そのサイズ、及び前記カバー層における配置が、前記ゴルフボールが、球面対称となるように選ばれることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項18】
前記第1部分及び前記第2部分が異なる材料から成ることを特徴とする、請求項13に記載のゴルフボール。
【請求項19】
ゴルフボールを製造する方法であって、下記の工程:
(1)コア、及び、該コアを事実上包囲するプレカバー層を有するゴルフボールを受容すること、ここに、該プレカバー層は、第1材料から形成され、ゾーンの所望パターンに一致するパターンとして配置される、複数の、非連続陥凹部を有し;
(2)該プレカバー層の上に第2材料を成形すること、ここに、成形は、該第2材料が、該プレカバー層を事実上包囲し、該陥凹部を充填するように行われ;
(3) 該第2材料を研磨除去すること、ここに、研磨は、該第2材料が、該陥凹部においてのみ該プレカバー層と重複するように行われ、これによって、第2材料の複数ゾーンを有するカバー層が形成される、を含み、
ここで、該第1材料は第1硬度を有し、該第2材料は第2硬度を有し、該第2硬度は該第1硬度と異なり;且つ、
ここで、第2材料の該複数ゾーンは、カバー層の全表面積の少なくとも20%を包含し、且つ、第2材料の該複数ゾーンは、カバー層の全表面積のたかだか60%を包含する、
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
前記カバー層が、その上に複数のディンプルを含み、前記複数ゾーンが、それぞれ、該複数のディンプルの一つと関連することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−16590(P2012−16590A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−146987(P2011−146987)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146987(P2011−146987)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
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