説明

硬質地盤等に於けるパイプロット部材の埋設方法

【課題】 硬質な地盤での接地工事において、打ち込みが不可能で接地深度が取れないという問題がある。従来はハンド削岩機で削孔して施工を行っていたが、削孔するテーパロットの長さに限界があり接地深度にも制限があった。またボーリング装置を用いた接地工事は大規模で時間もコストもかかってしまう。
【解決手段】 固定冶具を取り付けた削孔用ビットに、自らも接地極となり引き抜く必要のない請求項1,2のパイプロット部材を嵌入して、打設回転用のテーパロット部材で施工すると、従来のハンド削岩機で削孔して施工するよりも、2倍から3倍の施工深度を得ることができるし、引き抜いた後で接地極を挿入するといった手間が省け、挿入する接地極の材料費もかからないため、大幅に労務費とコストの削減につながる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地工事用の部材及び接地極の埋設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、硬質な地盤における一般的な接地極の埋設方法は、空圧用のハンド削岩機で、最初太さ44mmの削孔用ビットを取り付けた長さ1500mmのテ−パロッドで削孔し、次に太さ40mmの削孔用ビットを取り付けた長さ2500mmのテ−パロッドで削孔、次に太さ36mmの削孔用ビットを取り付けた長さ3500mmのテ−パロッドで削孔し、最終的に太さ32mmの削孔用ビットを取り付けた長さ4500mmのテ−パロッドで削孔、そして図1に示すようにテ−パロッドを引き抜いて空洞となった穴に、接地抵抗低減剤と接地極となる太さ10mm長さ1500mの連結式接地棒を3本繋いで挿入し、規定値が取得できるまで2〜3m間隔で施工する方法がとられている。また、施工場所が限られて一箇所で削孔深度を必要とする場合も、ロッドを引き抜いて接地抵抗低減剤と接地極を挿入するボーリング装置を用いた、大規模な施工方法がとられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術及び機材を使用した施工方法では、前記のように削孔用ビットの太さを変えて施工しても、引き抜ける削孔深度に限界があったり、抜き差しする作業に時間が掛かるため労務の負担につながり、大幅にコストがかかったりしていたのが現状である。この発明は、接地のために地中に埋設される接地極を、請求項1.2におけるパイプロット部材とすることで引き抜く必要をなくし作業時間の短縮が図れる。また、パイプロット部材を継ぎ足すだけで簡単に作業ができて削孔深度も深く取れるので、大規模なボーリング装置を使用した施工方法をとらなくてすみ、安全性向上と、大幅なコストの削減が可能となる技術及び機材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する為に、本発明の請求項1に記載の、必要に応じ2本以上互いに上下端を連結できるパイプロット部材を使用することで、従来の様に削孔用ロッドを引き抜き、付け替えながら削孔する必要が無く作業性が向上する。
【0005】
また、請求項2に記載のパイプロット部材にクロムフリーの高耐食メッキ鋼板をパイプに加工して使用する事で、従来の亜鉛めっき鋼材のように六価クロムで土壌汚染を起こすこともないし、耐食性にも優れているため長期間接地抵抗の維持が可能となる。
【0006】
さらに、パイプに加工して使用することで、パイプ内に接地極として安価な裸銅線を挿入できるし、接地抵抗低減剤を地上より注入して削孔用ビット先端より地中へ流出させることができるため、大幅な接地抵抗の低減が図れる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項4記載の固定冶具を取り付けた削孔用ビットに、自らも接地極となり引き抜く必要のない請求項1,2のパイプロット部材を嵌入して、請求項3の打設回転用のテーパロット部材で施工すると、従来引き抜いた後で接地極を挿入するといった手間が省け、挿入する接地極の材料費もかからないため、大幅に労務費とコストの削減につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図2を参照して本発明の実施形態に係るパイプロット部材2、及び削孔用ビットの固定治具3について説明する。図2は固定治具3を取り付けた削孔用ビットに、パイプロット部材2が嵌入されパイプ内に裸銅線5が挿入された状態を示す断面図、図4は打設回転用のテーパロット部材1とパイプロット部材2との、組み付き前状態を示す拡大断面図である。図5は打設回転用のテーパロット部材1とパイプロット部材2との、組み付き状態を示す拡大図である。
【0009】
図4による本発明の実施形態に係る打設回転用のテーパロット部材1は、鋼鉄製で後端部1aと先端部1bで構成されている。後端部1aは市販のハンド削岩機で使用でき、先端部1bはパイプロット部材2の後端部2aに容易に挿入できるようにテーパ状に設定され、作業中の打設・回転による滑りを防止できるように多角形に加工されている。
【実施例】
【0010】
図4による本発明の実施形態に係るパイプロット部材2は、クロムフリーの高耐食メッキ鋼板をパイプに加工し、必要に応じ2本以上互いに上下端を連結できるように、先端部2bがスウェッジ加工で構成されていて簡単に継ぎ足すことができ、耐食性にも優れているため長期間接地抵抗の維持が可能となる。
【0011】
また、パイプロット部材2は機械の上げ下ろしよる作業の効率を考えて、全長を1000mmとし、勘合組み付きがむらなく起こるように太さ23mm、厚み3.2mm、スウェッジ加工部は長さ130mm程度としてある。
【0012】
図3による本発明の実施形態に係る削孔用ビットの固定冶具は鉄製で、削孔用ビット内のテーパ部と角度をあわせ、パイプロット部材2スウェッジ加工部のすべりを防止している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ハンド削岩機をボーリング装置を使用した従来の施工方法
【図2】 本発明のパイプロット部材と固定冶具を使用した接地工法の断面図
【図3】 本発明の固定冶具と削孔用ビットの拡大断面図
【図4】 本発明のテーパロット部材とパイプロット部材の拡大断面図
【図5】 テーパロット部材とパイプロット部材の組み付き拡大図
【符号の説明】
1 テーパロット部材
1a テーパロット部材後端部
1b テーパロット部材先端部
2 パイプロット部材
2a パイプロット部材後端部
2b パイプロット部材先端部
3 削孔用ビット用固定冶具
4 削孔用ビット
5 裸銅線
6 接地抵抗低減材
7 掘削穴
8 大地
9 連結式接地棒
10 リード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地極として安価な裸銅線と、接地抵抗低減剤を地中深く埋設するための硬質で強度な中空の金属管であって、必要に応じ2本以上互いに上下端を連結できるように、先端部がスウェッジ加工され、接地極にもなることを特徴とするパイプロット部材。
【請求項2】
前記パイプロット部材に、クロムフリーの高耐食メッキ鋼板をパイプに加工して使用することを特徴とする、請求項1に記載のパイプロット部材。
【請求項3】
パイプロット部材を打設、回転させる部分を楕円もしくは、四角、多角形に加工し、回転運動の滑りが防止できることを特徴とする打設回転用テーパロッド部材。
【請求項4】
パイプロット部材の先端部分に取り付ける削岩用の削孔用ビットを容易に装着でき、回転運動による滑りが防止できるパイプロット部材と削孔用ビットの固定冶具。
【請求項5】
前記パイプロット部材を使用すると引き抜く必要がない為に、人が保持可能な削岩機にて、従来の削孔深度より深く施工が出来ることを特徴とする施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−95983(P2010−95983A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289257(P2008−289257)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(598071150)
【Fターム(参考)】