説明

磁性体収容構造及び画像形成装置

【課題】磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造及びこの磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置を提供することが課題である。
【解決手段】第1の磁石を含む支持面と、該支持面に載置される容器と、を備え、該容器は、前記支持面に支持されるとともに磁性体を支持する底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁とともに前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、前記収容空間を仕切る仕切板と、前記底壁に隣接する前記仕切板の縁面に取り付けられるとともに前記第1の磁石によって吸引される第2の磁石と、を含み、前記仕切板は、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする磁性体収容構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体を収容するための磁性体収容構造及び磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄などの金属に代表される磁性体は、日常的に用いられる材料である。例えば、書類を束ねるためのクリップやステープラ芯は、多くの場合、磁性体から形成される。クリップやステープラ芯などといった磁性体は、非常に小さく、散乱しやすい。特許文献1及び2は、磁性体収容構造を開示し、磁性体収容構造にこのような小さく散乱しがちな磁性体を収容することを提案している。
【0003】
特許文献1は、仕切板を備える磁性体収容構造を開示する。仕切板は、磁性体の種類ごとに磁性体を仕分けするために、磁性体を収容する空間を2つに分割する。また、使用者は、仕切板を摘み、磁性体収容構造を画像形成装置から分離することができる。これにより、磁性体収容構造を例えばゴミ箱まで運び、磁性体収容構造内の磁性体を廃棄することが可能となる。
【0004】
特許文献2は、磁石を備える磁性体収容構造を開示する。磁石は、磁性体収容構造を構成する容器内の磁性体を吸着するとともに、容器と画像形成装置の筐体とを固定するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−43633号公報
【特許文献2】特開2002−169349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に開示される技術それぞれは、異なる利便性を有するが、特許文献1及び特許文献2に開示される技術が提供する利便性をともに得ようとすべく、これらの技術を組み合わせると、1つの課題を生ずる。
【0007】
特許文献1の技術に倣い、仕切板を容器に設けた場合、使用者は、一般的に、仕切板を摘み、上方に容器を持ち上げようとする。特許文献2の技術に倣い、一対の磁石で容器を画像形成装置の筐体上に固定した場合、一対の磁石間の吸引力は、画像形成装置からの容器の分離を阻害する。更には、使用者が一対の磁石間の吸引力に打ち勝ち、画像形成装置から容器を分離した瞬間、容器は勢いよく持ち上げられることとなるため、容器内に収容された磁性体が周囲に飛び散る可能性もある。
【0008】
上述のような課題は、画像形成装置のみならず、小型の磁性体を取り扱う任意の装置にも共通するものである。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造及びこの磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る磁性体収容構造は、第1の磁石を含む支持面と、該支持面に載置される容器と、を備え、該容器は、前記支持面に支持されるとともに磁性体を支持する底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁を伴って前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、前記収容空間を仕切る仕切板と、前記底壁に隣接する前記仕切板の縁面に取り付けられるとともに前記第1の磁石に吸引される第2の磁石と、を含み、前記仕切板は、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
上記構成によれば、容器内に磁性体が収容される。磁性体は、容器の底壁によって支持される。容器の底壁は、第1の磁石を含む支持面によって支持されるので、磁性体は第1の磁石により吸着され、磁性体の散乱が防がれる。容器の周壁は、底壁の周縁から延出し、磁性体を収容するための収容空間を形成する。仕切板は収容空間を仕切るように形成される。容器の底壁に隣接する仕切板の縁面には、第2の磁石が取り付けられる。したがって、容器は第1の磁石と第2の磁石との間で作用する吸引力により支持面に安定的に載置されることとなる。仕切板は、底壁と周壁とで形成される本体に対して着脱自在に取り付けられる。したがって、使用者は、仕切板を摘み、仕切板を本体から取り除くことができる。この結果、第1の磁石と第2の磁石との間の吸引力がなくなり、本体は支持面から容易に分離されることとなる。かくして、磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造が提供される。
【0012】
上記構成において、前記周壁にレール部が形成され、該レール部は、前記仕切板の前記本体への挿入を案内することが好ましい(請求項2)。
【0013】
上記構成によれば、仕切板はレール部に案内されて本体へ挿入されるので、本体への仕切板の取り付けが容易となる。
【0014】
上記構成において、前記レール部は、前記仕切板の側縁面を挟む一対のリブを含むことが好ましい(請求項3)。
【0015】
上記構成によれば、使用者は、仕切板の側縁面を一対のリブ間に挿入するようにして仕切板を本体へ挿入することができる。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、筐体と、該筐体内に収容されるとともにシートに画像を形成する画像形成部と、前記筐体に取り付けられる容器と、を備え、前記筐体は、第1の磁石を含む支持面と、該支持面の周縁から延出する周面とで形成される凹部を含み、前記容器は、前記支持面に支持されるとともに磁性体を支持する底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁を伴って前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、前記収容空間を仕切る仕切板と、前記底壁に隣接する前記仕切板の縁面に取り付けられるとともに前記第1の磁石によって吸引される第2の磁石と、を含み、前記仕切板は、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする(請求項4)。
【0017】
上記構成によれば、シートに画像を形成する画像形成部を内蔵する筐体に形成された凹部に磁性体を収容するための容器が取り付けられる。凹部は、第1の磁石を含む支持面と、支持面の周縁から延出する周面とで形成される。磁性体は、容器の底壁によって支持される。容器の底壁は、支持面によって支持されるので、磁性体は第1の磁石により吸着され、磁性体の散乱が防がれる。容器の周壁は、底壁の周縁から延出し、磁性体を収容するための収容空間を形成する。仕切板は収容空間を仕切るように形成される。容器の底壁に隣接する仕切板の縁面には、第2の磁石が取り付けられる。したがって、容器は第1の磁石と第2の磁石との間で作用する吸引力により支持面に安定的に載置されることとなる。仕切板は、底壁と周壁とで形成される本体に対して着脱自在に取り付けられる。したがって、使用者は、仕切板を摘み、仕切板を本体から取り除くことができる。この結果、第1の磁石と第2の磁石との間の吸引力がなくなり、本体は支持面から容易に分離されることとなる。かくして、磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置が提供される。
【0018】
上記構成において、前記周壁に取り付けられる第3の磁石を更に含むことが好ましい(請求項5)。
【0019】
上記構成によれば、凹部から除去された後の容器内の磁性体は第3の磁石により吸引されるので、容器を運搬している間に磁性体が飛散することを抑制することができる。また、第3の磁石は、周壁に取り付けられるため、第1の磁石から受ける吸引力は比較的弱く、凹部からの容器の取り出しをほとんど妨げない。
【0020】
上記構成において、前記周壁は、前記凹部の開口縁に沿うように形成されるフランジを含むことが好ましい(請求項6)。
【0021】
上記構成によれば、使用者は、凹部の開口縁に沿うフランジを摘んで、容器を凹部から取り出すことができる。フランジを摘んで取り出される容器は、傾斜するため、容器内の磁性体や第3の磁石の周囲に集められやすくなる。
【発明の効果】
【0022】
上述の如く、本発明は、磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造及びこの磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁性体収容構造の短手方向の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る磁性体収容構造の長手方向の概略断面図である。
【図3】図1及び図2に示される磁性体収容構造の容器の除去工程を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る磁性体収容構造の長手方向の概略断面図である。
【図5】図4に示される磁性体収容構造の容器の変更例を示す概略断面図である。
【図6】図1乃至図5に関連して示される磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置の外観斜視図である。
【図7】図6に示される画像形成装置の内部構造を示す図である。
【図8】図6に示される画像形成装置への磁性体収容構造の容器の取付構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。「磁性体」との用語は、磁石に吸引される任意の材料或いはこの材料から形成された製品を意味する。以下の説明において、「磁性体」との用語は、ステープラの芯やクリップなどの製品を主に指すが、本発明はこれに限定されるものではない。「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を施与可能な他のシート状物を意味する。
【0025】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る磁性体収容構造の原理を説明する断面図である。図1は磁性体収容構造の短手方向の断面図であり、図2は磁性体収容構造の長手方向の断面図である。図1及び図2に示される磁性体収容構造の原理は、主に、複写機、プリンタやファクシミリ装置等の画像形成装置に好適に適用されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、小型の磁性体を取り扱う環境下で用いられる任意の装置に適用可能である。
【0026】
磁性体収容構造500は、容器510を含む。容器510は、本体515と、本体515に対して着脱自在に取り付けられる仕切板514とを含む。本体515は、水平方向に広がる略矩形状の底壁511と、底壁511の周縁から一体的に鉛直方向に延びる周壁512とを含む。底壁511及び周壁512は、磁性体を収容するための収容空間513を形成する。底壁511は、収容空間513内の磁性体を支持する。
【0027】
周壁512の内面のうち、磁性体収容構造500の長手方向に沿って延びるとともに互いに対向する一対の内面には、レール部517が形成される。レール部517は互いに隣接するとともに底壁511に対して直角に延びる一対のリブ518を含む。仕切板514は、レール部517に案内されて、収容空間513内に挿入される。仕切板514の側縁面は、レール部517を形成する一対のリブ518によって挟まれる。仕切板514の縁面のうち、底壁511の上面に隣接する縁面には第2の磁石519が取り付けられる。仕切板514は、収容空間513を2つの空間に仕切る。レール部517は複数形成されてもよい。これにより、仕切板514の位置が変更可能となる。
【0028】
容器510の本体515は、例えば、本体515と相補的な凹部520に収容される。凹部520は、水平方向に広がる支持面521と、支持面521の周縁から鉛直方向に延出する周面522とで形成される。容器510は支持面521上に載置される。支持面521は、本体515の底壁511を支持する。支持面521は更に、第1の磁石523を含む。第1の磁石523は、仕切板514に取り付けられた第2の磁石519を吸引する。これにより、容器510は、凹部520内で安定的に固定されることとなる。本体515の周壁512の上端縁に沿って、略矩形環状のフランジ516が外方に延出する。本体515が凹部520に収容されたとき、フランジ516は、凹部520の開口縁に沿う。
【0029】
図3は、容器510内の磁性体を回収する工程を説明する図である。図3(a)乃至図3(c)に示される工程順に回収工程が実行される。
【0030】
図3(a)に示される如く、使用者は、仕切板514で仕切られた各収容空間513内にそれぞれ異なる種類の磁性体Mを収容することができる。左方の収容空間513には、磁性体Mとしてステープラの芯が収容され、右方の収容空間513には、磁性体Mとしてクリップが収容されている。収容空間513内の磁性体Mは、第1の磁石523により吸引される。したがって、磁性体Mは各収容空間513内で安定的に収容されることとなる。
【0031】
図3(b)に示される如く、容器510内の磁性体Mを除去するために、使用者は、レール部517に沿って、仕切板514を摘み上げることができる。仕切板514の縁面からはみ出さないように形成された第2の磁石519は、幅狭に形成されるので、第1の磁石523からの吸引力に抗して仕切板514を摘み上げるのに必要とされる力は比較的小さい。したがって、使用者は簡単に仕切板514を摘み上げることができる。仕切板514が摘み上げられている間、磁性体Mは引き続き第1の磁石523により吸引され続ける。したがって、仕切板514の除去の影響をほとんど受けることなく、磁性体Mは収容空間513内に留まり続けることができる。
【0032】
図3(c)に示される如く、仕切板514が除去された後、使用者は容器510を凹部520から引き上げることができる。凹部520から取り出された容器510は、磁性体Mが廃棄される所定の場所まで運ばれ、磁性体Mが廃棄されることとなる。
【0033】
図4は、磁性体収容構造500の他の実施形態を示す。図4(a)乃至図4(c)は、磁性体Mの回収工程を順に示している。
【0034】
図4(a)に示される磁性体収容構造500は、図1乃至図3に関連して説明された磁性体収容構造500に加えて、第3の磁石524を備える。第3の磁石524は、例えば、周壁512の外面を形成する4つの面のうち1つの面に取り付けられる。
【0035】
図4(b)に示される如く、図3(b)に関連して説明された手順で、仕切板514が摘み上げられる。このとき、第3の磁石524は、第2の磁石519に近接せず(第2の磁石519の面に対して直交する面上で延び)、仕切板514の上方への移動に対してほとんど影響を与えない。したがって、使用者は簡単に仕切板514を引き抜くことができる。
【0036】
図4(c)に示される如く、凹部520は、凹部520内での容器510の回転動作を可能とする程度に、容器510の本体515より大きく形成される。略矩形環状のフランジ516の辺のうち第3の磁石に隣接するフランジ516の部分を第1フランジ部516aと便宜的に称し、第1フランジ部516aに対向するフランジの部分を第2フランジ部516bと便宜的に称する。使用者が、第2フランジ部516bを摘み上げると、第1フランジ部と第3の磁石524が取り付けられた周壁512の外面との間の角隅縁を回転軸Cとして、容器510が回転する。尚、回転軸Cは、第1フランジ部と第3の磁石524が取り付けられた周壁512の外面との間の角隅縁に限られるものではなく、第3の磁石524が取り付けられる面に沿う任意の軸としてもよい。この結果、容器510の底壁511が傾斜し、収容空間513内の磁性体Mが第3の磁石524に向けて移動する。その後、磁性体Mは第3の磁石524によって吸引される。したがって、容器510が凹部520から除去された後も、磁性体Mは収容空間513内に安定的に留まることができる。尚、第3の磁石524は、周壁512に対して、着脱自在に取り付けられることが好ましい。凹部520から容器が取り出された後であって、収容空間513内の磁性体Mが廃棄される前に第3の磁石524は周壁512から分離される。これにより、磁性体Mの廃棄が容易になる。
【0037】
図5は、図4に関連して説明された磁性体収容構造500の容器510の変更例を示す断面図である。図5と併せて、図4を参照しつつ、容器510の変更例が説明される。
【0038】
図5に示される容器510は、図4に示される磁性体収容構造500の着脱自在な仕切板514に代えて、底壁511の一部を上方に隆起させて仕切部525を形成している。仕切部525は、底壁511及び周壁512とともに2つの収容空間513を形成する。第3の磁石524が取り付けられた側の収容空間513(第1の収容空間)を形成する底壁511は、他方の収容空間513(第2の収容空間)を形成する底壁511より下方に位置する。したがって、第3の磁石524が取り付けられた側の収容空間513は、他方の収容空間よりも深く形成される。また、第3の磁石524から離れた収容空間513の底壁511は第3の磁石から離間するにつれて上方に傾斜し、収容空間513は徐々に浅くなる。これにより、第2フランジ部516bを持ち上げ、第1フランジ部516aに沿う回転軸C周りの容器510の回転動作が容易となる。
【0039】
図6は、図1乃至図5に関連して説明された磁性体収容構造500の原理が適用された画像形成装置の外観斜視図である。尚、図6に示される画像形成装置は、複写機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を兼ね備える複合機やシートに画像を形成することが可能な他の装置であってもよい。
【0040】
複写機1は、筐体2を備える。筐体2内には、シートに画像を形成するために必要とされる様々な装置が収容される。筐体2は、主にシートにトナー画像を形成するための様々な装置を内蔵する下部筐体21と、主にシートに形成されるトナー画像の元となる原稿の画像を読み取るための装置を内蔵する上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結するための連結筐体23とを含む。複写機1は、更に、上部筐体22の上面を覆うカバー部材221を含む。カバー部材221の背面側縁部を軸にして、カバー部材221は、上部筐体22に対して、上下に回動可能に取り付けられる。
【0041】
上部筐体22の下面と下部筐体21の上面との間の空間は、画像形成処理が施与されたシートSを蓄積するための蓄積空間233であり、蓄積空間233に臨む連結筐体23の面には排出口231が形成される。排出口231から画像形成処理が施与されたシートが排出される。
【0042】
下部筐体21の上面には、排出口231から排出されたシートを支持するトレイ232と、トレイ232の正面側に配置される操作パネル6が配設される。また、操作パネル6の左方に図1乃至図5に関連して説明された磁性体収容構造500が組み込まれる。トレイ232には、シートの搬送方向に延びるリブ234が形成される。リブ234は、シートとトレイ232との間の摩擦力を低減し、トレイ232上でのシートの摺動を促す。トレイ232上には、ストッパ235が更に配設される。ストッパ235は、右方に回動可能である。右方に回動されたストッパ235は、トレイ232から立設され、トレイ232上を摺動するシートの移動を停止させる。
【0043】
下部筐体21の底部にカセット211が収容される。カセット211は、正面側に引き出すことが可能である。カセット211内には複数のシートからなるシート束が収容される。
【0044】
カセット211の上方には、2つのメンテナンスカバー219が形成される。メンテナンスカバー219は、下部筐体21の正面壁の一部をなす。メンテナンスカバー219の下縁を軸にして、メンテナンスカバー219は上下に回動可能である。使用者は、メンテナンスカバー219を正面側に倒し、下部筐体21内のシートの搬送経路中で生じたジャム処理作業をしたり、画像を形成するための装置の修理/点検をしたりすることができる。
【0045】
操作パネル6は、複数の操作ボタン61及びディスプレイ62を備える。使用者は、操作ボタン61を操作し、複写条件(例えば、複写枚数、複写濃度や複写開始/停止)を入力することができるとともに、ディスプレイ62を通じて、設定された複写条件を確認することができる。
【0046】
カバー部材221は、上部筐体22の上面に沿って拡がる本体部229と、本体部229の上方において、右斜め上方に延びる原稿トレイ228とを含む。原稿トレイ228上には、複数枚の原稿を載置可能である。カバー部材221の左端近傍で、原稿トレイ228と本体部229とが接続される。原稿トレイ228と本体部229との接続部を覆うカバー部分227内には、原稿送り機構(図示せず)が配設される。原稿送り機構は、原稿トレイ228上の原稿を一枚ずつ取り出すとともにカバー部材211と上部筐体21の上面との間に原稿を搬送する。その後、原稿の画像が上部筐体22内の原稿読み取り部により読み取られる。或いは、使用者はカバー部材221を上方に回動させ、上部筐体21の上面に原稿を載置し、複写機1に原稿の画像を読み取らせてもよい。
【0047】
図7は、複写機1の内部構造を概略的に示す。図7と併せて、図6を参照しつつ、複写機1の内部構造について説明する。
【0048】
上部筐体22は、原稿が載置されるガラス板223を含む。カバー部材221は、ガラス板223上の原稿を押さえる役割を担う。ガラス板223の下方には、原稿読み取り部224が配設される。原稿読み取り部224は、走査機構(図示せず)を内蔵する。走査機構は、ガラス板223上の原稿の画像を走査し、原稿が含む画像のアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0049】
下部筐体21の内部には、上述されたカセット211に加えて、画像形成部30及び定着部40が配設される。上述の如く、カセット211は、印刷処理(画像形成処理)を施与されるシート束Tを収容する。カセット211は、シート束Tを支持するリフト板2113を含む。リフト板213は、複写機1の右方に向けて上方に傾斜する。カセット211の正面側端部の上方にピックアップローラ214が配設される。リフト板213により傾斜して持ち上げられたシート束Tの先頭縁は、ピックアップローラ214に当接する。ピックアップローラ214が回転すると、シート束Tの最上位置に存するシートSが一枚ずつ給紙搬送路215に送り出される。給紙搬送路215の下流端にはレジストローラ装置216が配設される。レジストローラ装置216は、画像形成部30の画像形成のタイミングに合わせて、画像形成部30にシートSを送り出す。
【0050】
画像形成部30は、上述の如く、原稿読み取り部224で生成された原稿の画像のデジタル信号に基づき、シートSにトナー像を形成する。画像形成部30は、略円柱形状の感光体ドラム31を含む。感光体ドラム31の上面には、帯電器32が配設され、帯電器32は、感光体ドラム31の周面を一様に帯電させる。図6に示される帯電器32は、コロナ放電によって、感光体ドラム31の周面に電荷を付与するが、本発明はこれに限られるのものではなく、感光体ドラム31の周面に接触しながら従動回転している間に電荷を付与する帯電ローラを用いてもよい。
【0051】
感光体ドラム31は時計回りに回転し、感光体ドラム31の周面は、露光装置33からのレーザ光に曝されることとなる。露光装置33は、原稿読み取り部224で生成された原稿の画像のデジタル信号に基づき、強弱が付与されたレーザ光を感光体ドラム31の周面に照射する。レーザ光は、感光体ドラム31の周面の電荷を消去する。この結果、感光体ドラム31の周面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0052】
画像形成部30は、感光体ドラム31、帯電器32及び露光装置33に加えて、現像装置34を含む。現像装置34は、筐体342に内蔵される現像ローラ341を用いて、静電潜像が形成された感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。この結果、静電潜像が形成された感光体ドラム31の周面にトナーが付着し、トナー像が形成される。現像装置34には、トナー容器343が取り付けられる。現像装置34の筐体342内のトナーが消費されると、トナー容器343からトナーが補給される。
【0053】
画像形成部30は、感光体ドラム31の下方に配設される転写ローラ35を更に含む。転写ローラ35は、感光体ドラム31に圧接され、ニップ部を形成する。レジストローラ装置216は、転写ローラ35と感光体ドラム31との間のニップ部にシートSを送る。感光体ドラム31の周面のトナーが、例えば、プラスに帯電しているとき、転写ローラ35をマイナスに帯電させることによって、トナー像と逆極性の電荷がシートSに与えられる。シートSがニップ部を通過する間、感光体ドラム31上のトナー像がシートSに向けて、静電気的に引き剥がされ、シートS上へのトナー像の転写がなされることとなる。このようにして、画像形成部30は、ピックアップローラ214、給紙ローラ及びレジストローラ装置216などの給紙部により給紙されたシートSに画像を形成する。
【0054】
画像形成部30は更にクリーニング装置36を含む。クリーニング装置36は、上述の転写処理を終えた感光体ドラム31の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置36によって清浄化された感光体ドラム31の周面は、再度、帯電器32に向かい、次の画像形成処理に供されることとなる。
【0055】
定着部40は、トナー像の転写を受けたシートSに定着処理を施与する。定着部40は、通電発熱体を内蔵するヒートローラ41と、ヒートローラ41に圧接される加圧ローラ42とを含む。ヒートローラ41は、モータ等の駆動源(図示せず)と接続され、駆動回転される。加圧ローラ42の周面は、ヒートローラ41の周面に圧接され、加圧ローラ42は、ヒートローラ41の回転に追従して回転する。加圧ローラ42の周面とヒートローラ41の周面との間のニップ部にトナー像を担持したシートSが送られる。ニップ部を通過する間、ヒートローラ41からの熱を受け、トナーが溶融し、加圧ローラ42の圧力を受け、トナーがシートSに定着される。定着処理を施与されたシートSは、その後、中間筐体23内に形成された排紙搬送路43を通じて、排出口231から蓄積空間233に排出される。上述の如く、シートSは、適切に角度調整がなされたストッパ235に受け止められ、蓄積空間内で崩れることなく積み重ねられることとなる。
【0056】
図8は、複写機1へ組み込まれる磁性体収容構造500の断面図である。図8と併せて、図6を参照しつつ、複写機1へ組み込まれる磁性体収容構造500が説明される。
【0057】
複写機1の筐体2の成型を容易にするために、容器510は、載置台600を介して、筐体2に組み込まれることが好ましい。この結果、比較的大型の樹脂成型品として模られることが多い筐体2の形状は簡素化されることとなる。載置台600には、図1乃至図4に関連して説明された凹部520が形成される。載置台600は、特段大型に成型する必要はないため、例えば、容器510の外観形状が比較的複雑な場合(例えば、図5に示されるような容器510の形状)であっても、容器510の外観形状に対して相補的な凹部520を備えることができる。
【0058】
上述された実施形態は、更に、以下に示される構成を含む。
【0059】
上述された実施形態の更なる局面に係る画像形成装置は、筐体と、該筐体内に配設されるとともにシートに画像を形成する画像形成部と、前記筐体に取り付けられる容器と、を備え、前記筐体は、第1の磁石を含む支持面と、該支持面の周縁から延出する周面とで形成される凹部を含み、前記容器は、前記支持面に支持される底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁とともに前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、前記周壁に取り付けられる第3の磁石を含むことを特徴とする。
【0060】
上記構成によれば、シートに画像を形成する画像形成部を内蔵する筐体に形成された凹部に磁性体を収容するための容器が取り付けられる。凹部は、第1の磁石を含む支持面と、支持面の周縁から延出する周面とで形成される。磁性体は、容器の底壁によって支持される。容器の底壁は、支持面によって支持されるので、磁性体は第1の磁石により吸着され、磁性体の散乱が防がれる。容器の周壁は、底壁の周縁から延出し、磁性体を収容するための収容空間を形成する。第3の磁石は、第1の磁石に近接される底壁ではなく、底壁から延出する周壁に取り付けられるので、凹部からの容器の引き上げをほとんど阻害しない。かくして、磁性体を収容する容器を容易に分離することが可能な磁性体収容構造が組み込まれた画像形成装置が提供される。
【0061】
上記構成において、前記第3の磁石が取り付けられる面に沿う回転軸周りの前記容器の回転を許容するように前記凹部が形成されることが好ましい。
【0062】
上記構成によれば、使用者は周壁を摘み、容器を取り出すことができる。また、磁性体は容器の回転によってもたらされる底壁の傾斜によって第3の磁石に向かって移動し、第3の磁石に吸引されることとなる。したがって、使用者が容器を運んでる間も、容器内の磁性体が安定的に保持されることとなる。
【0063】
上記構成において、前記収容空間を仕切る仕切部を更に含むことが好ましい。
【0064】
上記構成によれば、使用者は仕切板で仕切られた収容空間ごとに異なる種類の磁性体を分別することができる。更に、使用者は仕切板を摘み、容器を凹部から取り出すことができる。
【0065】
上記構成において、前記回転軸に隣接する第1の収容空間と、該第1の収容空間よりも前記回転軸から離間した第2の収容空間とに前記収容空間を仕切る仕切板を更に含み、前記第2収容空間は、前記第1収容空間よりも浅いことが好ましい。
【0066】
上記構成によれば、収容空間内での容器の回転が一層容易となり、使用者は更に容器を凹部から取り出しやすくなる。
【0067】
前記第2収容空間の深さが前記回転軸から離間するにつれて浅くなるように、前記第2収容空間を形成する前記底壁が傾斜することが好ましい。
【0068】
上記構成によれば、収容空間内での容器の回転が一層容易となり、使用者は更に容器を凹部から取り出しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機や小型の磁性体を取り扱う環境下に置かれる各種装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・・・・・画像形成装置
2・・・・・・・筐体
30・・・・・・画像形成部
500・・・・・磁性体収容構造
510・・・・・容器
511・・・・・底壁
512・・・・・周壁
513・・・・・収容空間
514・・・・・仕切板
515・・・・・本体
517・・・・・レール部
518・・・・・リブ
519・・・・・第2の磁石
521・・・・・支持面
523・・・・・第1の磁石
524・・・・・第3の磁石
C・・・・・・・回転軸
M・・・・・・・磁性体
S・・・・・・・シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁石を含む支持面と、
該支持面に載置される容器と、を備え、
該容器は、前記支持面に支持されるとともに磁性体を支持する底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁を伴って前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、
前記収容空間を仕切る仕切板と、
前記底壁に隣接する前記仕切板の縁面に取り付けられるとともに前記第1の磁石によって吸引される第2の磁石と、を含み、
前記仕切板は、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする磁性体収容構造。
【請求項2】
前記周壁にレール部が形成され、
該レール部は、前記仕切板の前記本体への挿入を案内することを特徴とする請求項1記載の磁性体収容構造。
【請求項3】
前記レール部は、前記仕切板の側縁面を挟む一対のリブを含むことを特徴とする請求項2記載の磁性体収容構造。
【請求項4】
筐体と、
該筐体内に配設されるとともにシートに画像を形成する画像形成部と、
前記筐体に取り付けられる容器と、を備え、
前記筐体は、第1の磁石を含む支持面と、該支持面の周縁から延出する周面とで形成される凹部を含み、
前記容器は、前記支持面に支持されるとともに磁性体を支持する底壁と、該底壁の周縁から延出するとともに前記底壁を伴って前記磁性体を収容するための収容空間を形成する周壁と、を含む本体と、
前記収容空間を仕切る仕切板と、
前記底壁に隣接する前記仕切板の縁面に取り付けられるとともに前記第1の磁石によって吸引される第2の磁石と、を含み、
前記仕切板は、前記本体に着脱自在に取り付けられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記周壁に取り付けられる第3の磁石を更に含むことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記周壁は、前記凹部の開口縁に沿うように形成されるフランジを含むことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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