磁気コア
【目的】磁気コアの冷却構造において、磁気用品の空冷効果を高めることを可能とする。
【解決手段】複数の脚部を有する磁気コアにおいて、巻線を巻き回していない脚部のうち、少なくとも1の脚部に貫通孔を設け、冷却風を貫通孔に当てることを特徴とした磁気コアの冷却構造。
【解決手段】複数の脚部を有する磁気コアにおいて、巻線を巻き回していない脚部のうち、少なくとも1の脚部に貫通孔を設け、冷却風を貫通孔に当てることを特徴とした磁気コアの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタやトランス等の巻線を有した電気機器に用いられる磁気コアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コアに導線を巻き回してインダクタンス値を得る、いわゆるインダクタや、2個以上の巻線がコアを介して磁気結合したトランスなどの磁気部品では、鉄損や銅損などによって生じる損失により、磁気部品が高温に発熱するという問題がある。
【0003】
このような磁気部品の高温発熱を抑制するための従来の冷却技術として、例えば、図11および図12の構成が開示されている。
先ず、図11を説明する。図11は従来の第1の磁気部品を示す平面図である。1は磁気コア、2は中脚部、3は外脚部、4は巻線、7は冷却風である。
【0004】
磁気コア1は、中脚部2および外脚部3から構成されている。中脚部2に巻線4が巻き回されて磁気部品が構成されている。
ここで、磁気部品で高温発熱が発生する概要について説明する。
【0005】
磁気部品は、磁気コア1で生じる鉄損と巻線4で生じる銅損によって発熱する。磁気部品が高温になると、巻線4を覆っている絶縁材が溶ける。これにより、巻線4同士や巻線4と磁気コア1が短絡する。
【0006】
一方、磁性材料には温度依存性があり、高温時には磁気コア1の材料特性が変化し、トランスやインダクタなどの基本機能が失われてしまう。そして、磁気部品自体やそれに接続されている他の部品、その部品が使用されている装置に接続されている他の機器が破損するなどの悪影響が生じてしまう。
【0007】
従って、磁気部品は、上記のような高温発熱を抑制するべく、使用する材料の耐熱以下で動作させなければならない。
そこで、図11では、磁気コア1から露出した巻線4のうち片側の部分が、冷却風7の風向きに対向するように配置されている。これにより、冷却風7が直接、露出した片側の巻線4に当たり、磁気部品を空冷することができる。
【0008】
次に、図12に係る従来の構成を説明する。図12は従来の第2の磁気部品を示す平面図である。
図12では、磁気部品の構成は図11と同じである。図11と異なる点は、冷却手段として、磁気コア1から露出した巻線4の両側の部分が、冷却風7の風向きと平行になるように配置されている。これにより、冷却風7が直接、露出した両側の巻線4に当たり、磁気部品を空冷することができる。
【0009】
また、特許文献1には、磁気コアの外面に凸凹部を形成することにより、磁気コア自体の熱放散性を向上させる構成が開示されている。
そのほか、特許文献2や3には、集熱板やヒートシンクやヒートパイプなどの冷却部品を用いて磁気部品の温度を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2009/051057号公報
【特許文献2】特開昭62−194602号公報
【特許文献3】特表2008−510297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の磁気コアの冷却構造には、以下のような課題があった。
図11の構成の場合には、冷却風7が磁気コア1の露出した片側の巻線4のみに強く当たる。一方、露出した巻線4の反対側の部分に当たる風量が減るので、反対側に露出した巻線4への空冷効果が少なく、この部分の温度が上昇してしまう。
【0012】
さらに、そもそも巻線4の露出していない隠れている部分(磁気コア1に覆われている部分)には冷却風6が直接当たらないので、その部分の巻線4の温度が局所的に上昇してしまう。
【0013】
図12の構成の場合には、磁気コア1の露出した両側の巻線4に冷却風7が強く当たるので、これらの部分の空冷効果は高まる。
ただ、やはり図11の構成と同様、巻線4の露出していない隠れている部分には冷却風7が直接当たらないので、同様に温度が局所的に上昇してしまう。
【0014】
つまり、従来の冷却構成では、磁気部品の一部分における冷却効果を高めることはできるが、磁気部品全体において高い冷却効果を得ることはできず、局所的に高温となる部分が生じてしまう。
【0015】
一方、特許文献2、3のように集熱板やヒートシンク、ヒートパイプなどの冷却部品を用いる場合には、コスト増と大形化の要因となってしまう。
また、これらの冷却部品には、通常、熱伝導率の高い金属を用いる必要がある。
【0016】
ところが、これらの金属を磁気部品の内部に使用すると、磁気部品の内部の磁束が金属を鎖交することによって渦電流が発生し、損失が増加してしまう。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決するべく、磁気部品を効果的に空冷できる構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、巻線が巻き回される柱状の中脚部と、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、該外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に貫通孔が設けられ、該貫通孔が設けられた面には、前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部は前記貫通孔と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0018】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記貫通孔が、細隙形状であることを特徴とする磁気コアとする。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記細隙形状が、前記中脚部の中心軸線と略平行方向に延びていることを特徴とする磁気コアとする。
【0019】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、前記中脚部および前記外脚部は、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせを1分割単位として分割構成されており、該分割単位ごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【0020】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0021】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせが複数ある場合であって、複数の前記中脚部にまたがって巻線が巻き回され、該組み合わせごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【0022】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0023】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に複数配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、該外脚部同士の間には、前記巻線が露出していることを特徴とする磁気コアとする。
【0024】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、磁気部品を効果的に空冷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の磁気部品を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の磁気部品の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例の磁気部品の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施例の磁気部品の風上側の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の磁気部品の風上側の部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図8】本発明の第3の実施例の磁気部品を示す側面図である。
【図9】本発明の第4の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図10】本発明の第5の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図11】従来の第1の磁気部品を示す平面図である。
【図12】従来の第2の磁気部品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態を以下の実施例で説明する。以下の説明で従来の構造と同一部位には同一の符号を付した。
【実施例】
【0028】
図1ないし3により、第1の実施例を説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の磁気部品を示す平面図であり、図2はその側面図であり、図3はその部分拡大断面図である。1は磁気コア、2は中脚部、3は外脚部、4は巻線、5は貫通孔、6は隙間部、7は冷却風である。
【0029】
第1の実施例の構成を説明する。
図1のとおり、磁気コア1は、中脚部2および外脚部3から構成されている。外脚部3は、磁気コア1の中央の柱状の中脚部2を挟んで一対となって配置され、中脚部2と相互に連結されている。中脚部2には巻線4が巻き回されている。
【0030】
外脚部3には、貫通孔5が形成されている。また、外脚部3には、巻線4の外周面に沿うように隙間部6が形成されている。隙間部6は貫通孔5に通じている。
配置については、磁気部品(磁気コア1および巻線4)が、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略垂直となるように配置されている。
【0031】
次に、図2により、貫通孔5の構成をさらに説明する。
図2のとおり、外脚部3に形成された貫通孔5は、スリット形状(細隙形状)であり、その高さは巻線4の高さと同程度となっている。
【0032】
さらに、図3により、貫通孔5および隙間部6の構成を説明する。
図3のとおり、外脚部3には、貫通孔5とそれに通じる隙間部6が形成されている。隙間部6は巻線4の外周面に沿って形成されている。つまり、外脚部3と巻線4の外周面との間の空間には、全面にわたって隙間部6が形成されている。
【0033】
なお、一対の外脚部3のそれぞれの構成は同じであり、図3のとおりである。
第1の実施例の構成の説明は以上である。
第1の実施例の動作を説明する。
【0034】
図1では、磁気部品は、上述したとおり、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略垂直となるように配置されている。そのため、巻線4の風上側に露出している部分は、冷却風7により冷却される。
【0035】
そして、図3のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける経路と、外脚部3に設けた貫通孔5を通る経路とに分流して通り抜ける。
【0036】
なお、一対の外脚部3におけるそれぞれの動作は同じであり、図3のとおりである。
第1の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第1の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、貫通孔5および隙間部6を通り抜けることで、巻線4の外脚部3に覆われた部分も空冷することができ、巻線巻線4の全体を空冷することができる。
【0037】
また、冷却風7が、貫通孔5および隙間部6を通り抜ける際に、磁気コア1を空冷することもできる。
なお、磁気コア1に例えばPQコアを用いた場合、外脚部3の中央付近では磁束方向に対して断面積が小さくなる。そのため、図2のように貫通孔5を形成しても、磁気コア1全体の実効断面積が大きく損なわれることはない。
【0038】
従って、外脚部3に貫通孔5を設けることで、磁束密度が大きく増加することなく(すなわち磁気部品の特性に大きな影響を与えることなく)、磁気部品の冷却効果を高めることができる。
【0039】
次に、図4ないし6により、第2の実施例を説明する。
図4は、本発明の第2の実施例の磁気部品の平面図であり、図5は磁気部品の風上側の部分拡大断面図であり、図6は磁気部品の風下側の部分拡大断面図である。
【0040】
第2の実施例の構成を説明する。
第2の実施例の構成は、磁気部品の構成は実施例1と同じであるが、冷却風7の風向きに対する磁気部品の配置が異なっている。
【0041】
具体的には、磁気部品は、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風4の風向きに対して略平行となるように配置されている。
その他の構成は、実施例1の構成と同じであるので、同一構成要素に同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
【0042】
第2の実施例の構成の説明は以上である。
第2の実施例の動作を説明する。
図4では、磁気部品は、上述したとおり、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0043】
そして、風上側では、図5のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま貫通孔5に入る。貫通孔5に入った冷却風7は、そのまま巻線4に当たり、隙間部6で上下2つの経路に分流して通り抜ける。
【0044】
一方、風下側では気圧が低くなるので、図6のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま、両側から隙間部6に入る。隙間部6の両側から入った冷却風7は、そのまま貫通孔5の入口で合流し、貫通孔5を通り抜ける。
【0045】
第2の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第2の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、貫通孔5および隙間部6を通り抜けることで、巻線4の全体を空冷することができる。
【0046】
また、冷却風7が、貫通孔5および隙間部6を通り抜ける際に、磁気コア1を空冷することもできる。
なお、外脚部3に貫通孔5を設けることが、磁気部品の特性に大きな影響を与えることなく、磁気部品の冷却効果を高めることができる点は、第1の実施例と同様である。
【0047】
続いて、図7および8により、第3の実施例を説明する。
図7は本発明の第3の実施例の磁気部品を示す平面図であり、図8はその側面図である。8aは分割中脚部(A)、8bは分割中脚部(B)、9aは分割外脚部(A)、9bは分割外脚部(B)、10は間隙部である。
【0048】
第3の実施例の構成を説明する。
図7のとおり、ここでの磁気コアは、中脚部が分割中脚部(A)8aおよび(B)8b、分割外脚部(A)9aおよび(B)9bのそれぞれを1分割単位として分割構成されている。
【0049】
分割中脚部(A)8aには、一対の分割外脚部(A)9aが挟み込むように連結されている。同様に、分割中脚部(B)8bには、一対の分割外脚部(B)9bが挟み込むように連結されている。
【0050】
巻線4は、分割中脚部(A)8aと分割中脚部(B)8bにまたがって巻き回されている。
1分割単位の間(分割中脚部(A)8aおよび分割外脚部(A)9aと分割中脚部(B)8bおよび分割外脚部(B)9bとの間)には、間隙部10が設けられている。
【0051】
配置については、磁気部品は、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。
側面から見た場合にも、図8のとおり、分割外脚部(A)9aと分割外脚部(B)9bとの間には、間隙部10が設けられている。
【0052】
第3の実施例の構成の説明は以上である。
第3の実施例の動作を説明する。
図7では、磁気部品は、上述したとおり、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0053】
そして、冷却風7は強い風量を保持したまま間隙部10を通り抜ける。
第3の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第3の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、間隙部10を通り抜けることで、巻線4の空冷部分を多くすることができる。
【0054】
また、冷却風7が、間隙部10を通り抜ける際に、磁気コアを空冷することもできる。
さらに、特段、貫通孔を設けるなどの磁気コアの加工作業が必要ないため、作業コストの軽減につながる。
【0055】
なお、分割外脚部(A)9aおよび(B)9bにそれぞれ上述した実施例1および2のように隙間部を設けた場合には、さらに空冷効果を高めることができる。
また、第3の実施例では、磁気コアを2つに分割したが、分割数は3以上でも同様に冷却効果を高めることができる。
【0056】
次に、図9により、第4の実施例を説明する。
図9は本発明の第4の実施例の磁気部品を示す平面図である。11cはEコア中脚部(C)、11dはEコア中脚部(D)、12cはEコア外脚部(C)、12dはEコア外脚部(D)である。
【0057】
第4の実施例の構成を説明する。
図9のとおり、ここでの磁気コアは、それぞれ別個独立したEコア中脚部(C)11cおよび外脚部(C)12cと、Eコア中脚部(D)11dおよび外脚部(D)12dとから構成されている。
【0058】
Eコア中脚部(C)11cには、一対の外脚部(C)12cが挟み込むように一体のEコアとして成形されている。同様に、Eコア中脚部(D)11dには、一対の外脚部(D)12dが挟み込むように一体のEコアとして成形されている。
【0059】
巻線4は、Eコア中脚部(C)11cとEコア中脚部(D)11dとにまたがって巻き回されている。
配置については、磁気部品は、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。
【0060】
第4の実施例の構成の説明は以上である。
第4の実施例の動作を説明する。
図9では、磁気部品は、上述したとおり、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0061】
そして、冷却風7は強い風量を保持したまま間隙部10を通り抜ける。
第4の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第4の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、間隙部10を通り抜けることで、巻線4の空冷部分を多くすることができる。
【0062】
また、冷却風7が、間隙部10を通り抜ける際に、それぞれのEコアを空冷することもできる。
さらに、別個独立したEコアを2つ使用しているだけであり、磁気コアの加工作業が必要ないため、作業コストの軽減につながる。
【0063】
なお、Eコア外脚部(C)12cおよび(D)12dにそれぞれ上述した実施例1および2のように隙間部を設けた場合には、さらに空冷効果を高めることができる。
また、第4の実施例は、Eコアを2つ用いた場合であるが、3つ以上のEコアを用いた場合であっても同様に冷却効果を高めることができる。
【0064】
最後に、図10により、第5の実施例を説明する。
図10は本発明の第5の実施例の磁気部品を示す平面図である。13は分岐外脚部である。
【0065】
第5の実施例の構成を説明する。
図10のとおり、ここでの磁気コアは、巻線4が巻き回されている中脚部2と4つの分岐外脚部13から構成されている。
【0066】
中脚部2には、二対の分岐外脚部13が、それぞれの対ごとに挟み込むように一体の磁気コアとして形成されている。このとき、それぞれ隣接する分岐外脚部13同士の間には、巻線4が露出している。
【0067】
配置については、露出している巻線4のうちいずれか1つが、冷却風7に直接対向するように配置されている。
第5の実施例の構成の説明は以上である。
【0068】
第5の実施例の動作を説明する。
図10では、上述したとおり、露出している巻線4のうちいずれか1つが、冷却風7に対向するように配置されている。そのため、冷却風7に直接対向する位置にある巻線4の露出した部分は、冷却風7により冷却される。
【0069】
そして、風上側では、冷却風7は強い風量を保持したまま、風上側の2つの分岐外脚部13の隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける。
巻線4の露出している部分のうち、冷却風7の風向きと略平行位置にある上下の部分は、冷却風7によりいずれも冷却される。
【0070】
一方、風下側では、冷却風7は強い風量を保持したまま、風下側の2つの分岐外脚部13の隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける。
風下側の2つの分岐外脚部13の隙間部6から出てきた冷却風7は、巻線4の露出している部分の風下側を冷却する。
【0071】
第5の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第5の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、隙間部6を通り抜けることで、巻線4の全体を空冷することができる。
【0072】
また、冷却風7が、隙間部6を通り抜ける際に、磁気コアを空冷することもできる。
さらに、このような磁気コアの構成とすることで、巻線4に直接冷却風7が当たらない部分(温度が高くなる部分)が分散される。従って、磁気部品が局所的に高温になることを抑制することができ、空冷効果をさらに高めることができる。
【0073】
なお、第5の実施例は、分岐外脚部13を4つ用いた場合であるが、それより多い分岐外脚部13を用いた場合であっても同様に冷却効果を高めることができる。
上記実施形態は好ましい実施例について述べたものであり、本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能なことは勿論である。即ち、磁気コアの寸法や形状等は、状況等に応じて種々変更されるべきものである。
【符号の説明】
【0074】
1 磁気コア
2 中脚部
3 外脚部
4 巻線
5 貫通孔
6 隙間部
7 冷却風
8a 分割中脚部(A)
8b 分割中脚部(B)
9a 分割外脚部(A)
9b 分割外脚部(B)
10 間隙部
11c Eコア中脚部(C)
11d Eコア中脚部(D)
12c Eコア外脚部(C)
12d Eコア外脚部(D)
13 分岐外脚部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタやトランス等の巻線を有した電気機器に用いられる磁気コアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コアに導線を巻き回してインダクタンス値を得る、いわゆるインダクタや、2個以上の巻線がコアを介して磁気結合したトランスなどの磁気部品では、鉄損や銅損などによって生じる損失により、磁気部品が高温に発熱するという問題がある。
【0003】
このような磁気部品の高温発熱を抑制するための従来の冷却技術として、例えば、図11および図12の構成が開示されている。
先ず、図11を説明する。図11は従来の第1の磁気部品を示す平面図である。1は磁気コア、2は中脚部、3は外脚部、4は巻線、7は冷却風である。
【0004】
磁気コア1は、中脚部2および外脚部3から構成されている。中脚部2に巻線4が巻き回されて磁気部品が構成されている。
ここで、磁気部品で高温発熱が発生する概要について説明する。
【0005】
磁気部品は、磁気コア1で生じる鉄損と巻線4で生じる銅損によって発熱する。磁気部品が高温になると、巻線4を覆っている絶縁材が溶ける。これにより、巻線4同士や巻線4と磁気コア1が短絡する。
【0006】
一方、磁性材料には温度依存性があり、高温時には磁気コア1の材料特性が変化し、トランスやインダクタなどの基本機能が失われてしまう。そして、磁気部品自体やそれに接続されている他の部品、その部品が使用されている装置に接続されている他の機器が破損するなどの悪影響が生じてしまう。
【0007】
従って、磁気部品は、上記のような高温発熱を抑制するべく、使用する材料の耐熱以下で動作させなければならない。
そこで、図11では、磁気コア1から露出した巻線4のうち片側の部分が、冷却風7の風向きに対向するように配置されている。これにより、冷却風7が直接、露出した片側の巻線4に当たり、磁気部品を空冷することができる。
【0008】
次に、図12に係る従来の構成を説明する。図12は従来の第2の磁気部品を示す平面図である。
図12では、磁気部品の構成は図11と同じである。図11と異なる点は、冷却手段として、磁気コア1から露出した巻線4の両側の部分が、冷却風7の風向きと平行になるように配置されている。これにより、冷却風7が直接、露出した両側の巻線4に当たり、磁気部品を空冷することができる。
【0009】
また、特許文献1には、磁気コアの外面に凸凹部を形成することにより、磁気コア自体の熱放散性を向上させる構成が開示されている。
そのほか、特許文献2や3には、集熱板やヒートシンクやヒートパイプなどの冷却部品を用いて磁気部品の温度を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2009/051057号公報
【特許文献2】特開昭62−194602号公報
【特許文献3】特表2008−510297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の磁気コアの冷却構造には、以下のような課題があった。
図11の構成の場合には、冷却風7が磁気コア1の露出した片側の巻線4のみに強く当たる。一方、露出した巻線4の反対側の部分に当たる風量が減るので、反対側に露出した巻線4への空冷効果が少なく、この部分の温度が上昇してしまう。
【0012】
さらに、そもそも巻線4の露出していない隠れている部分(磁気コア1に覆われている部分)には冷却風6が直接当たらないので、その部分の巻線4の温度が局所的に上昇してしまう。
【0013】
図12の構成の場合には、磁気コア1の露出した両側の巻線4に冷却風7が強く当たるので、これらの部分の空冷効果は高まる。
ただ、やはり図11の構成と同様、巻線4の露出していない隠れている部分には冷却風7が直接当たらないので、同様に温度が局所的に上昇してしまう。
【0014】
つまり、従来の冷却構成では、磁気部品の一部分における冷却効果を高めることはできるが、磁気部品全体において高い冷却効果を得ることはできず、局所的に高温となる部分が生じてしまう。
【0015】
一方、特許文献2、3のように集熱板やヒートシンク、ヒートパイプなどの冷却部品を用いる場合には、コスト増と大形化の要因となってしまう。
また、これらの冷却部品には、通常、熱伝導率の高い金属を用いる必要がある。
【0016】
ところが、これらの金属を磁気部品の内部に使用すると、磁気部品の内部の磁束が金属を鎖交することによって渦電流が発生し、損失が増加してしまう。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決するべく、磁気部品を効果的に空冷できる構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明によれば、巻線が巻き回される柱状の中脚部と、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、該外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に貫通孔が設けられ、該貫通孔が設けられた面には、前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部は前記貫通孔と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0018】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記貫通孔が、細隙形状であることを特徴とする磁気コアとする。
また、本発明によれば、上記の構成において、前記細隙形状が、前記中脚部の中心軸線と略平行方向に延びていることを特徴とする磁気コアとする。
【0019】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、前記中脚部および前記外脚部は、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせを1分割単位として分割構成されており、該分割単位ごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【0020】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0021】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせが複数ある場合であって、複数の前記中脚部にまたがって巻線が巻き回され、該組み合わせごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【0022】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コアとする。
【0023】
また、本発明によれば、上記の構成において、該中脚部を挟んで前記巻線の外側に複数配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、該外脚部同士の間には、前記巻線が露出していることを特徴とする磁気コアとする。
【0024】
また、本発明によれば、上記の構成において、前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられていることを特徴とする磁気コアとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、磁気部品を効果的に空冷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の磁気部品を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の磁気部品の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例の磁気部品の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施例の磁気部品の風上側の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の磁気部品の風上側の部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図8】本発明の第3の実施例の磁気部品を示す側面図である。
【図9】本発明の第4の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図10】本発明の第5の実施例の磁気部品を示す平面図である。
【図11】従来の第1の磁気部品を示す平面図である。
【図12】従来の第2の磁気部品を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態を以下の実施例で説明する。以下の説明で従来の構造と同一部位には同一の符号を付した。
【実施例】
【0028】
図1ないし3により、第1の実施例を説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の磁気部品を示す平面図であり、図2はその側面図であり、図3はその部分拡大断面図である。1は磁気コア、2は中脚部、3は外脚部、4は巻線、5は貫通孔、6は隙間部、7は冷却風である。
【0029】
第1の実施例の構成を説明する。
図1のとおり、磁気コア1は、中脚部2および外脚部3から構成されている。外脚部3は、磁気コア1の中央の柱状の中脚部2を挟んで一対となって配置され、中脚部2と相互に連結されている。中脚部2には巻線4が巻き回されている。
【0030】
外脚部3には、貫通孔5が形成されている。また、外脚部3には、巻線4の外周面に沿うように隙間部6が形成されている。隙間部6は貫通孔5に通じている。
配置については、磁気部品(磁気コア1および巻線4)が、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略垂直となるように配置されている。
【0031】
次に、図2により、貫通孔5の構成をさらに説明する。
図2のとおり、外脚部3に形成された貫通孔5は、スリット形状(細隙形状)であり、その高さは巻線4の高さと同程度となっている。
【0032】
さらに、図3により、貫通孔5および隙間部6の構成を説明する。
図3のとおり、外脚部3には、貫通孔5とそれに通じる隙間部6が形成されている。隙間部6は巻線4の外周面に沿って形成されている。つまり、外脚部3と巻線4の外周面との間の空間には、全面にわたって隙間部6が形成されている。
【0033】
なお、一対の外脚部3のそれぞれの構成は同じであり、図3のとおりである。
第1の実施例の構成の説明は以上である。
第1の実施例の動作を説明する。
【0034】
図1では、磁気部品は、上述したとおり、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略垂直となるように配置されている。そのため、巻線4の風上側に露出している部分は、冷却風7により冷却される。
【0035】
そして、図3のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける経路と、外脚部3に設けた貫通孔5を通る経路とに分流して通り抜ける。
【0036】
なお、一対の外脚部3におけるそれぞれの動作は同じであり、図3のとおりである。
第1の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第1の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、貫通孔5および隙間部6を通り抜けることで、巻線4の外脚部3に覆われた部分も空冷することができ、巻線巻線4の全体を空冷することができる。
【0037】
また、冷却風7が、貫通孔5および隙間部6を通り抜ける際に、磁気コア1を空冷することもできる。
なお、磁気コア1に例えばPQコアを用いた場合、外脚部3の中央付近では磁束方向に対して断面積が小さくなる。そのため、図2のように貫通孔5を形成しても、磁気コア1全体の実効断面積が大きく損なわれることはない。
【0038】
従って、外脚部3に貫通孔5を設けることで、磁束密度が大きく増加することなく(すなわち磁気部品の特性に大きな影響を与えることなく)、磁気部品の冷却効果を高めることができる。
【0039】
次に、図4ないし6により、第2の実施例を説明する。
図4は、本発明の第2の実施例の磁気部品の平面図であり、図5は磁気部品の風上側の部分拡大断面図であり、図6は磁気部品の風下側の部分拡大断面図である。
【0040】
第2の実施例の構成を説明する。
第2の実施例の構成は、磁気部品の構成は実施例1と同じであるが、冷却風7の風向きに対する磁気部品の配置が異なっている。
【0041】
具体的には、磁気部品は、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風4の風向きに対して略平行となるように配置されている。
その他の構成は、実施例1の構成と同じであるので、同一構成要素に同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
【0042】
第2の実施例の構成の説明は以上である。
第2の実施例の動作を説明する。
図4では、磁気部品は、上述したとおり、貫通孔5と中脚部2とを結んだ線が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0043】
そして、風上側では、図5のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま貫通孔5に入る。貫通孔5に入った冷却風7は、そのまま巻線4に当たり、隙間部6で上下2つの経路に分流して通り抜ける。
【0044】
一方、風下側では気圧が低くなるので、図6のとおり、冷却風7は強い風量を保持したまま、両側から隙間部6に入る。隙間部6の両側から入った冷却風7は、そのまま貫通孔5の入口で合流し、貫通孔5を通り抜ける。
【0045】
第2の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第2の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、貫通孔5および隙間部6を通り抜けることで、巻線4の全体を空冷することができる。
【0046】
また、冷却風7が、貫通孔5および隙間部6を通り抜ける際に、磁気コア1を空冷することもできる。
なお、外脚部3に貫通孔5を設けることが、磁気部品の特性に大きな影響を与えることなく、磁気部品の冷却効果を高めることができる点は、第1の実施例と同様である。
【0047】
続いて、図7および8により、第3の実施例を説明する。
図7は本発明の第3の実施例の磁気部品を示す平面図であり、図8はその側面図である。8aは分割中脚部(A)、8bは分割中脚部(B)、9aは分割外脚部(A)、9bは分割外脚部(B)、10は間隙部である。
【0048】
第3の実施例の構成を説明する。
図7のとおり、ここでの磁気コアは、中脚部が分割中脚部(A)8aおよび(B)8b、分割外脚部(A)9aおよび(B)9bのそれぞれを1分割単位として分割構成されている。
【0049】
分割中脚部(A)8aには、一対の分割外脚部(A)9aが挟み込むように連結されている。同様に、分割中脚部(B)8bには、一対の分割外脚部(B)9bが挟み込むように連結されている。
【0050】
巻線4は、分割中脚部(A)8aと分割中脚部(B)8bにまたがって巻き回されている。
1分割単位の間(分割中脚部(A)8aおよび分割外脚部(A)9aと分割中脚部(B)8bおよび分割外脚部(B)9bとの間)には、間隙部10が設けられている。
【0051】
配置については、磁気部品は、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。
側面から見た場合にも、図8のとおり、分割外脚部(A)9aと分割外脚部(B)9bとの間には、間隙部10が設けられている。
【0052】
第3の実施例の構成の説明は以上である。
第3の実施例の動作を説明する。
図7では、磁気部品は、上述したとおり、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0053】
そして、冷却風7は強い風量を保持したまま間隙部10を通り抜ける。
第3の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第3の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、間隙部10を通り抜けることで、巻線4の空冷部分を多くすることができる。
【0054】
また、冷却風7が、間隙部10を通り抜ける際に、磁気コアを空冷することもできる。
さらに、特段、貫通孔を設けるなどの磁気コアの加工作業が必要ないため、作業コストの軽減につながる。
【0055】
なお、分割外脚部(A)9aおよび(B)9bにそれぞれ上述した実施例1および2のように隙間部を設けた場合には、さらに空冷効果を高めることができる。
また、第3の実施例では、磁気コアを2つに分割したが、分割数は3以上でも同様に冷却効果を高めることができる。
【0056】
次に、図9により、第4の実施例を説明する。
図9は本発明の第4の実施例の磁気部品を示す平面図である。11cはEコア中脚部(C)、11dはEコア中脚部(D)、12cはEコア外脚部(C)、12dはEコア外脚部(D)である。
【0057】
第4の実施例の構成を説明する。
図9のとおり、ここでの磁気コアは、それぞれ別個独立したEコア中脚部(C)11cおよび外脚部(C)12cと、Eコア中脚部(D)11dおよび外脚部(D)12dとから構成されている。
【0058】
Eコア中脚部(C)11cには、一対の外脚部(C)12cが挟み込むように一体のEコアとして成形されている。同様に、Eコア中脚部(D)11dには、一対の外脚部(D)12dが挟み込むように一体のEコアとして成形されている。
【0059】
巻線4は、Eコア中脚部(C)11cとEコア中脚部(D)11dとにまたがって巻き回されている。
配置については、磁気部品は、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。
【0060】
第4の実施例の構成の説明は以上である。
第4の実施例の動作を説明する。
図9では、磁気部品は、上述したとおり、間隙部10が、冷却風7の風向きに対して略平行となるように配置されている。そのため、磁気部品の両側に露出している巻線4の部分は、いずれも冷却風7により冷却される。
【0061】
そして、冷却風7は強い風量を保持したまま間隙部10を通り抜ける。
第4の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第4の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、間隙部10を通り抜けることで、巻線4の空冷部分を多くすることができる。
【0062】
また、冷却風7が、間隙部10を通り抜ける際に、それぞれのEコアを空冷することもできる。
さらに、別個独立したEコアを2つ使用しているだけであり、磁気コアの加工作業が必要ないため、作業コストの軽減につながる。
【0063】
なお、Eコア外脚部(C)12cおよび(D)12dにそれぞれ上述した実施例1および2のように隙間部を設けた場合には、さらに空冷効果を高めることができる。
また、第4の実施例は、Eコアを2つ用いた場合であるが、3つ以上のEコアを用いた場合であっても同様に冷却効果を高めることができる。
【0064】
最後に、図10により、第5の実施例を説明する。
図10は本発明の第5の実施例の磁気部品を示す平面図である。13は分岐外脚部である。
【0065】
第5の実施例の構成を説明する。
図10のとおり、ここでの磁気コアは、巻線4が巻き回されている中脚部2と4つの分岐外脚部13から構成されている。
【0066】
中脚部2には、二対の分岐外脚部13が、それぞれの対ごとに挟み込むように一体の磁気コアとして形成されている。このとき、それぞれ隣接する分岐外脚部13同士の間には、巻線4が露出している。
【0067】
配置については、露出している巻線4のうちいずれか1つが、冷却風7に直接対向するように配置されている。
第5の実施例の構成の説明は以上である。
【0068】
第5の実施例の動作を説明する。
図10では、上述したとおり、露出している巻線4のうちいずれか1つが、冷却風7に対向するように配置されている。そのため、冷却風7に直接対向する位置にある巻線4の露出した部分は、冷却風7により冷却される。
【0069】
そして、風上側では、冷却風7は強い風量を保持したまま、風上側の2つの分岐外脚部13の隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける。
巻線4の露出している部分のうち、冷却風7の風向きと略平行位置にある上下の部分は、冷却風7によりいずれも冷却される。
【0070】
一方、風下側では、冷却風7は強い風量を保持したまま、風下側の2つの分岐外脚部13の隙間部6に入る。隙間部6に入った冷却風7は、そのまま隙間部6を通り抜ける。
風下側の2つの分岐外脚部13の隙間部6から出てきた冷却風7は、巻線4の露出している部分の風下側を冷却する。
【0071】
第5の実施例の動作の説明は以上である。
かくして、本発明の第5の実施例によれば、冷却風7は、巻線4の露出している部分を空冷できるだけでなく、隙間部6を通り抜けることで、巻線4の全体を空冷することができる。
【0072】
また、冷却風7が、隙間部6を通り抜ける際に、磁気コアを空冷することもできる。
さらに、このような磁気コアの構成とすることで、巻線4に直接冷却風7が当たらない部分(温度が高くなる部分)が分散される。従って、磁気部品が局所的に高温になることを抑制することができ、空冷効果をさらに高めることができる。
【0073】
なお、第5の実施例は、分岐外脚部13を4つ用いた場合であるが、それより多い分岐外脚部13を用いた場合であっても同様に冷却効果を高めることができる。
上記実施形態は好ましい実施例について述べたものであり、本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能なことは勿論である。即ち、磁気コアの寸法や形状等は、状況等に応じて種々変更されるべきものである。
【符号の説明】
【0074】
1 磁気コア
2 中脚部
3 外脚部
4 巻線
5 貫通孔
6 隙間部
7 冷却風
8a 分割中脚部(A)
8b 分割中脚部(B)
9a 分割外脚部(A)
9b 分割外脚部(B)
10 間隙部
11c Eコア中脚部(C)
11d Eコア中脚部(D)
12c Eコア外脚部(C)
12d Eコア外脚部(D)
13 分岐外脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
該外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に貫通孔が設けられ、
該貫通孔が設けられた面には、前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部は前記貫通孔と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気コアにおいて、
前記貫通孔が、細隙形状であることを特徴とする磁気コア。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気コアにおいて、
前記細隙形状が、前記中脚部の中心軸線と略平行方向に延びていることを特徴とする磁気コア。
【請求項4】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
前記中脚部および前記外脚部は、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせを1分割単位として分割構成されており、
該分割単位ごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項6】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせが複数ある場合であって、
複数の前記中脚部にまたがって巻線が巻き回され、
該組み合わせごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【請求項7】
請求項6に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項8】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に複数配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
該外脚部同士の間には、前記巻線が露出していることを特徴とする磁気コア。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【請求項1】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
該外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に貫通孔が設けられ、
該貫通孔が設けられた面には、前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部は前記貫通孔と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気コアにおいて、
前記貫通孔が、細隙形状であることを特徴とする磁気コア。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気コアにおいて、
前記細隙形状が、前記中脚部の中心軸線と略平行方向に延びていることを特徴とする磁気コア。
【請求項4】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
前記中脚部および前記外脚部は、前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせを1分割単位として分割構成されており、
該分割単位ごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項6】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に一対をなして配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
前記中脚部および一対の前記外脚部の組み合わせが複数ある場合であって、
複数の前記中脚部にまたがって巻線が巻き回され、
該組み合わせごとの間には、間隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【請求項7】
請求項6に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられ、該空隙部が前記間隙部と通じていることを特徴とする磁気コア。
【請求項8】
巻線が巻き回される柱状の中脚部と、
該中脚部を挟んで前記巻線の外側に複数配置され、前記中脚部と相互に一体として連結されている外脚部とを有する磁気コアにおいて、
該外脚部同士の間には、前記巻線が露出していることを特徴とする磁気コア。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気コアにおいて、
前記外脚部の少なくとも1つには、前記巻線の外周面と対向する面に前記巻線の周方向に沿うように空隙部が設けられていることを特徴とする磁気コア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−156351(P2012−156351A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14997(P2011−14997)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]