説明

磁気ディスク装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク装置に関し、特にフレキシブルディスクを用いる磁気ディスク装置に関する。
【0002】図4及び図5はディスク装置の一実施例の構造図を示す。
【0003】各図中、磁気ディスク装置1はフレーム2上にフレキシブル磁気ディスク3を収納した収納ケース4(図中、一点鎖線で示す)が挿入されるホルダ5を有する。
【0004】ホルダ5は収納ケース4の装着、イジェクト操作に応じて昇降するように設けられており、天板5aには磁気ヘッド部8が相対的に進入するための開口5bが設けられている。また、ホルダ5の天板5aには上記収納ケース4のシャッタ(図示せず)をケース挿入動作に関連して開くL字状のシャッタレバー6が回動自在に支承されている。尚、シャッタレバー6はコイルバネ7の引張力により時計方向(シャッタ閉方向)に附勢され、先端にはケース4のシャッタに係合する係合ピン6aがホルダ5の円弧状の孔5cよりホルダ5内に突出している。
【0005】磁気ヘッド部8は、ディスク半径方向(A,B方向)に移動自在に設けられたキャリッジ9と、キャリッジ9の先端上面に設けられた下側磁気ヘッド10と、キャリッジ9の基端部9aに回動自在に支持されたアーム11と、アーム11の先端下面に設けられた上側磁気ヘッド12とよりなる。キャリッジ9はステッピングモータ(図示せず)により駆動されるリードスクリュ(図示せず)に螺合しており、リードスクリュの回転に応じてフレーム2上をA,B方向に移動し、磁気ヘッド10,12を磁気ディスク3の半径方向に移動させる。
【0006】アーム11はキャリッジ9の基端部9aに設けられたトーションバネ9cの押圧力によりC方向に附勢されている。アーム11の側方には当接部11aが突出しており、この当接部11aにはホルダ5の天板5aが当接している。このため、ケース挿入前のアンローディング時にはアーム11はこのホルダ5の上昇により上方に押圧され、上側磁気ヘッド12を下側磁気ヘッド10より離間させる。また、ケース挿入後のローディング時には当接部11aは天板5aから離間し、上側磁気ヘッド12と下側磁気ヘッド10とで磁気ディスク3を挟持する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】フレキシブル磁気ディスクを記録再生する磁気ディスク装置では、磁気ディスクが互換媒体であるために磁気ディスク3が装着されてない(離脱された)アンローディング状態でもホスト側からの指令があれば磁気ヘッド10,12を磁気ディスク3の半径方向に移動するシーク動作を行なわなければならない。
【0008】アンローディング時のシーク動作を行なうにはアーム11がホルダ5上を摺動するために磁気ディスク3が装着されたローディング時のシーク動作に比してステッピングモータの駆動力を大きくする必要があり、従来の磁気ディスク装置はステッピングモータの駆動力をアンローディング時のシーク動作が可能なように設定していた。
【0009】このため、ローディング時のシーク動作ではステッピングモータの駆動力が過大となり、消費電力及び騒音が大きくなるという問題があった。
【0010】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ローディング状態でのシーク動作を低消費電力かつ低騒音とする磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ディスク装置は、着脱自在な磁気ディスクの半径方向に駆動される磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを駆動する、少なくとも2相以上の励磁相を持つステッピングモータと、前記磁気ディスクの装着及び離脱を検出するセンサと、前記ステッピングモータを駆動するドライバ部と、前記センサの出力信号に応じ、磁気ディスクの離脱時に全ての励磁相の励磁を行ない、磁気ディスクの装着時に一部期間で励磁相を減少させた励磁を行なうよう前記ドライバ部を制御するドライバ制御部とを有する
【0012】本発明においては、磁気ディスクの離脱時に全ての励磁相の励磁を行ない、磁気ディスクの装着時に一部期間で励磁相を減少させた励磁を行なうため、磁気ディスクを装着したローディング状態でのシーク動作におけるステッピングモータの1ステップ毎の駆動がスムーズになると共に、消費電力が減少し、騒音を減少できる。
【0013】
【実施例】図2は本発明装置の概略ブロック図を示す。同図中、端子30に上位装置より入来するモータオン信号によりドライバ部31はスピンドルモータ32の回転駆動を行なう。このスピンドルモータ32によって磁気ディスク3が回転せしめられ、磁気ヘッド12によりデータの記録再生が行なわれる。リード/ライト部33は磁気ヘッド12による記録再生のための回路で端子34より上位装置に接続されている。
【0014】メカスイッチ35は磁気ディスク3の装着有無を検出するものでローディング時にはメカスイッチ35に連動してスイッチSWが開成してHレベルのディスクインセンサ信号を生成し、アンローディング時にはスイッチSWが閉成してLレベルのディスクインセンサ信号を生成してドライバ制御部37及びディスクチェンジ生成部38に供給する。
【0015】ドライバ制御部37は上位装置より端子39〜41夫々を介して装置選択を指示するドライブセレクト信号、回転方向を指示するディレクション信号、1トラック分の移動を指示するステップ信号を供給されており、これらの信号及びディスクインセンサ信号に応じてステッピングモータの駆動信号を生成する。ドライバ部42はドライバ制御部37よりの駆動信号の電圧に応じてステッピングモータ43に駆動電流を供給してステッピングモータ43を駆動し、磁気ヘッド12を磁気ディスク3の半径方向に移動させる。
【0016】ディスクチェンジ生成部38はローディング状態からアンローディング状態となったとき、リセットされてディスクチェンジ信号を端子44より上位装置に供給し、その後端子41よりステップ信号の入来によりセットされる。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】図は本発明装置の実施例の回路構成図を示す。この回路はドライバ制御部37及びドライバ部42及びステッピングモータ43を構成している。
【0023】図において、端子39,41夫々よりのドライブセレクト信号、ステップ信号はアンド回路60に供給され、ドライブセレクト信号のHレベル時にステップ信号が取出されて内部ステップ発生回路61,ステップ間隔監視回路62及びオア回路63に供給される。図(A),(D)夫々にドライブセレクト信号、ステップ信号の反転波形を示す。
【0024】内部ステップ発生回路61には端子44より図(B)に示すディレクション信号を供給されており、ステッピングモータ43が2ステップ回転で1トラックの移動を行なうので端子41よりのステップ信号と動作を一致させるため、ステップ信号を所定期間t2 だけ移相した図(E)に示すサブステップ信号を生成する。オア回路63はアンド回路60よりのステップ信号と上記サブステップ信号とを1相マスク時間発生回路64及び2−2相励磁発生回路65に供給する。ステップ間隔監視回路62はステップ信号の間隔t1 を基に内部ステップ発生回路61の発生するサブステップの生成タイミングを監視制御する。
【0025】1相マスク時間発生回路64は上記ステップ間隔監視回路62の監視結果に基づきマスクを行なう期間だけHレベルのマスク信号を生成するこのマスク信号はアンド回路67で図(C)に示す如き端子53よりのディスクインセンサ信号がHレベルつまりローディング時にだけ取出され2−2相励磁発生回路65に供給される。
【0026】2−2相励磁発生回路65はオア回路63よりのステップ信号及びサブステップ信号と端子44よりのディレクション信号とに基づいて図(F)〜(I)に示すスイッチング信号ΦA,ΦB,Φ*A,Φ*Bを発生する。ところでアンド回路67よりのマスク信号がHレベルの期間t3 ではスイッチング信号Φ*BがマスクによりLレベルとされ、期間t4 ではスイッチング信号Φ*AがマスクにLレベルとされ、期間t5 ではスイッチング信号ΦBがマスクによりLレベルとされ、期間t6 ではスイッチング信号ΦAがマスクによりLレベルとされている。なお、図4(J)にはHレベルとなるスイッチング信号を示している。
【0027】スイッチング信号ΦA,ΦB,Φ*A,Φ*B夫々はドライバ部42のPチャネルFET P1〜P4,NチャネルFET N1〜N4夫々のゲートに供給される。FET P1〜P4のソースは電源VDDに接続され、FET N1〜N4のソースは接地されており、FET P1,N1のドレインがステッピングモータのコイルAの一端にFET P3,N3のドレインがコイルAの他端に接続され、またFET P2,N2のドレインがコイルBの一端に、FET P4,N4のドレインがコイルBの他端に接続されている。このため、例えばΦAがLレベル、Φ*AがHレベルのときFET P1,N3がオンとなってFET P1からコイルAを通しFET N3に電流が流れステッピングモータの駆動が行なわれる。
【0028】ここで、2−2相励磁発生回路65はアンローディング時にはHレベルとするスイッチング信号を例えばΦA,ΦB→ΦA,Φ*B→Φ*A,Φ*B→Φ*A,ΦB→ΦA,ΦBの順に切換える。これに対してローディング時にはΦA,ΦBの後半をΦAとし、ΦA,Φ*Bの後半をΦ*Bとし、Φ*A,Φ*Bの後半をΦ*Aとし、Φ*A,ΦBの後半をΦBとする。これによって1ステップ毎の駆動がスムーズになると共に消費電力が減少し、騒音も減少する。
【0029】上述の如く、本発明は、磁気ディスクの離脱時に全ての励磁相の励磁を行ない、磁気ディスクの装着時に一部期間で励磁相を減少させた励磁を行なうため、磁気ディスクを装着したローディング状態でのシーク動作におけるステッピングモータの1ステップ毎の駆動がスムーズになると共に、消費電力が減少し、騒音を減少でき、実用上きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例の要部の回路構成図である。
【図2】本発明装置の概略ブロック図である。
【図3】図1における信号波形図である。
【図4】磁気ディスク装置の構造図である。
【図5】磁気ディスク装置の構造図である。

【符号の説明】

3 磁気ディスク
12 磁気ヘッド
35 メカスイッチ
37 ドライバ制御部
42 ドライバ部
43 ステッピングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 着脱自在な磁気ディスクの半径方向に駆動される磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを駆動する、少なくとも2相以上の励磁相を持つステッピングモータと、前記磁気ディスクの装着及び離脱を検出するセンサと、前記ステッピングモータを駆動するドライバ部と、前記センサの出力信号に応じ、磁気ディスクの離脱時に全ての励磁相の励磁を行ない、磁気ディスクの装着時に一部期間で励磁相を減少させた励磁を行なうよう前記ドライバ部を制御するドライバ制御部とを有することを特徴とする磁気ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2629528号
【登録日】平成9年(1997)4月18日
【発行日】平成9年(1997)7月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−223010
【出願日】平成4年(1992)8月21日
【公開番号】特開平6−84305
【公開日】平成6年(1994)3月25日
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【参考文献】
【文献】特開 平3−144975(JP,A)