説明

磁気健康品の製造方法およびその製造方法で製造された磁気健康装身具

【課題】磁気健康装身具を構成する磁気健康品の生産効率を向上でき、磁気健康品の表面に形成されたDLC皮膜に製造ばらつきがない磁気健康品の製造方法およびその方法を用いて製造された磁気健康装身具を提供する。
【解決手段】複数の珠部材1同士を、相互に接触しないように間隙を隔てて導電性線体2に貫通保持させた導電性の連結体10を準備し、この導電性の連結体10をターゲット基材として、プラズマイオン注入装置30のチャンバー31内に収容した後、所定の元素イオンを発生させて、珠部材1のそれぞれに注入させることでDLC皮膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珠部材の表面にDLC皮膜を形成する磁気健康品の製造方法、および、その製造方法で製造された磁気健康装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時において、磁力による健康増進を目的として、永久磁石体を数珠様に連結した磁気ネックレス等の磁気健康装身具が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、本出願人は炭素材による遠赤外線効果に着目して、炭素材による健康装身具を提案しており(特許文献2参照)、さらに永久磁石体の表面に炭素皮膜を形成した健康装身具の開発を目指して種々試行している。
【0004】
また近年では、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)成膜法により、基材の表面にダイヤモンドに似た炭素皮膜を形成させる技術が種々提案されているが、この技術を利用すれば、永久磁石体の表面に炭素皮膜を形成して、硬度が高く、耐摩耗性にすぐれた磁気健康装身具を製造することも可能である。また、球体等の立体的な基材の表面に隈なく皮膜を形成する場合にこの方法を使用すれば、特に効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−87404号公報
【特許文献2】特許3555928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、磁気ネックレス等の磁気健康装身具は複数の永久磁石体を数珠様に連結したものであるから、球体等の永久磁石体の1つずつに対して個別にDLC皮膜を形成していては生産性の高い製造は行えない。また、1つずつ皮膜形成すれば、磁気健康装身具を構成する個々の磁気健康品のDLC皮膜に製造ばらつきが生じるおそれもある。永久磁石体を数珠様に連結した状態にしてDLC皮膜形成処理をすれば、同時に複数の永久磁石体に皮膜形成が行えても、永久磁石体同士が接触して、ムラを生じ、均一なDLC皮膜を形成することはできない。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、磁気健康装身具を構成する磁気健康品の生産効率を向上でき、磁気健康品の表面に形成されたDLC皮膜に製造ばらつきが発生することがない磁気健康品の製造方法およびその方法を用いて製造された磁気健康装身具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、提案される本発明の磁気健康品の製造方法は、それぞれに貫通孔を有した珠部材の表面にDLC皮膜を形成する磁気健康品の製造方法であって、珠部材は、永久磁石体またはDLC皮膜形成後に着磁される磁石材料よりなり、複数の珠部材同士を、相互に接触しないように間隙を隔てて導電性線体に貫通保持させた導電性の連結体を準備し、この導電性の連結体を、ターゲット基材として、プラズマイオン注入装置のチャンバー内に収容した後、所定の元素イオンを発生させて、珠部材のそれぞれに注入させることでDLC皮膜を形成することを特徴とする。
【0009】
請求項2では、導電性線体は、導電性線体の一部を折り曲げたこぶ部を形成することで、隣接する珠部材との間隙を保持して、DLC皮膜の形成時に相互の接触を阻止する構造となっている。
【0010】
請求項3では、導電性線体は、導電性線体の一部に非導電性素材をこぶ状に付着させることで、隣接する珠部材との間隙を保持して、DLC皮膜の形成時に相互の接触を阻止する構造となっている。
【0011】
請求項4では、導電性線体は、珠部材の貫通孔に接触させる突起を対応して設けた導電性芯材に、該突起を除く部分に絶縁膜を被覆させた構造となっており、珠部材を貫通させた後は、突起を熱膨張させることで、珠部材同士の接触と導電性線体からの脱落を阻止する構造となってている。
【0012】
請求項5では、DLC皮膜の形成に注入する元素イオンに水素を含有させている。
【0013】
請求項6では、DLC皮膜の形成に注入する元素イオンにはフッ素を含有させている。
【0014】
請求項7に記載の磁気健康装身具は、請求項1〜6のいずれかの製造方法で製造された磁気健康品に連結紐を貫通させて、数珠様に連結して構成されている。
【0015】
請求項8に記載の磁気健康装身具は、貫通孔を有した結晶構造の炭素焼成体がさらに加えられて、上記連結紐で連結されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の磁気健康品の製造方法によれば、複数の珠部材を導電性線体に貫通保持させた導電性の連結体を、プラズマイオン注入装置のチャンバーに収容させて、その連結体にDLC皮膜を形成する構成であるため、珠部材間でDLC皮膜の形成にばらつきのない磁気健康品を迅速かつ効率的に製造できる。また、複数の珠部材同士を相互に接触しないように間隙を隔てた状態に保持しているので、各珠部材の表面全体に均一なDLC皮膜を形成できる。
【0017】
特に、導電性線体の一部を折り曲げたこぶ部を形成して、隣接する珠部材との間隙を保持するようにしたものでは、珠部材間の導電性線体を折り曲げるだけで連結体を形成でき、そのため手作業あるいは簡易な治具などで簡易かつ迅速に連結体を準備できる。
【0018】
特に、導電性線体の一部に非導電性素材をこぶ状に付着させて、隣接する珠部材との間隙を保持するようにしたものでは、非導電性素材のこぶ部にはDLC皮膜が形成されず、そのためDLC処理後に、非導電性素材を熱や薬品によって除去すれば導電性線体を再利用することができる。
【0019】
特に、導電性線体に設けた突起を熱膨張させて珠部材の相互の接触と、導電性線体からの脱落を阻止する構造にしたものでは、導電性線体の珠部材への貫通、導電性線体の加熱による突起の珠部材への係止等のDLC前処理、および、導電性線体の冷却による珠部材の取り外し等のDLC後処理が機械的にかつ迅速に行える。
【0020】
DLC皮膜の形成に水素を含有させた元素イオンを注入するものでは、DLC皮膜を光沢のある黒色にでき、磁気健康品に重厚感を持たせることができる。
【0021】
DLC皮膜の形成にフッ素を含有させた元素イオンを注入するものでは磁気健康品の表面を光沢のある玉虫色にでき、神秘な感じをかもし出すことができる。
【0022】
本発明の磁気健康装身具によれば、本発明方法で製造された磁気健康品に連結紐を貫通させて数珠様に連結して構成されているので、硬度が高く、すべりが良く、光沢があり、耐摩耗性にすぐれた磁気健康装身具を形成できる。さらに、磁気健康装身具は肌に直接触れるため、DLC皮膜による遠赤外線効果を期待でき、また磁石が直接肌に触れないので、磁石アレルギーによる肌荒れのおそれもない。
【0023】
特に、貫通孔を有した結晶構造の炭素焼成体がさらに付加され、同一の連結紐で連結されたものでは、炭素焼成体による遠赤外線効果等を強めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の磁気健康品の製造方法で使用する治具の斜視図である。
【図2】(a)〜(c)は同治具による磁気健康品の製造方法の手順説明図である。
【図3】第1実施形態の他例を示す説明図である。
【図4】プラズマイオン注入装置の一例を示す説明図である。
【図5】製造された磁気健康品を使用した磁気健康装身具の概略平面図である。
【図6】(a)、(b)は本発明の磁気健康品の製造方法のさらに他の実施形態を示す手順説明図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の磁気健康品の製造方法のさらに他の実施形態を示す手順説明図である。
【図8】(a)〜(c)は永久磁石体の形状の他例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
以下には、プラズマイオン注入装置で、永久磁石体等よりなる珠部材の表面にDLC皮膜を形成するための準備工程の種々の形態を示しており、それらはいずれも、珠部材を相互に接触しないように間隙を隔てて針金状の導電性線体に貫通保持させて、プラズマイオン注入のターゲット基材となる連結体を形成する。なお以下では、珠部材として永久磁石体を使用する実施の形態について説明する。
【0027】
また、永久磁石体としては、2000ガウス以下のものが医療用、健康増進用として望ましく、好適に使用できる。導電性線体としては、銅、アルミ、銀などの柔軟な線材が使用できる。
【0028】
図1は、第1実施形態で使用する治具の斜視図である。図2(a)〜(c)は、その治具を用いて磁気健康品を製造する方法の手順説明図である。図3は第1実施形態の他例を示す図である。
【0029】
図1に示した治具20には、貫通孔1aを有した球体の永久磁石体1が多数列に配列できるように、縦横に複数の凹所21が形成してあり、横方向(図中の左右方向)に並んだ凹所21の各間隙部分には縦方向に走る、こぶ部形成用のプレス溝22が形成されている。
【0030】
まず、この治具20の凹所21に、永久磁石体1を貫通孔1aが一直線上に並ぶように横方向に配列し、それらの永久磁石体1の貫通孔1aに導電性線体2を串刺し状に貫通させる(図1、図2(a)(b)参照)。
【0031】
次に、複数の突起23aを櫛歯状に下方に突出させたプレス型23を治具20に対して押し下げて、それらの突起23aと、治具20のプレス溝22とにより導電性線体2の一部を折り曲げてこぶ部11を形成する(図2(b)(c)参照)。このこぶ部11が隣接する永久磁石体1同士の接触を阻止する間隔保持のためのスペーサーを構成する。
【0032】
こうして、全体として導電性を有した連結体10が形成される。
【0033】
このような方法によれば、導電性線体2を折り曲げて形成したこぶ部11で隣接する永久磁石体1との間隙を保持する構成であるため、上記のような治具20を使用することで簡易かつ迅速に連結体10を形成できる。
【0034】
また、このようなこぶ部11は、少数の永久磁石体1を連ねた連結体を形成する場合には、治具20等の道具、機械によらなくても、例えば図3に示すように手作業によって形成することもできる。
【0035】
図3では、導電性線体2は、その一端を折り曲げるなどして、ストッパー部を形成してから、他端から永久磁石体を順次貫通させては、その一部を折り曲げてこぶ部を形成してスペーサー部としているが、このような方法に限定されないことことはいうまでもない。
【0036】
かくして、このような方法で形成した連結体10は、公知のプラズマイオン注入・成膜法によって、永久磁石体1の全表面にDLC皮膜が形成される。
【0037】
図4は、DLC皮膜を形成するためのプラズマイオン注入装置の一例を示す説明図である。
【0038】
このプラズマイオン注入装置30は、チャンバー31と、このチャンバー31内にガスを導入するガス導入装置32と、チャンバー31内を真空引きする真空装置34と、チャンバー31内の所定位置に配置されるターゲット基材(連結体10)に接続する導体35に高電圧パルスを印加する高電圧パルス発生電源36と、導体35に高周波電力を印加し、ターゲット基材の周囲にプラズマを発生させるプラズマ発生用電源37と、高電圧パルスおよび高周波電力の印加を1つの導体で共用するために、高電圧パルス発生電源36およびプラズマ発生用電源37と、導体35との間に設けられた重畳装置38とを備えている。
【0039】
ガス導入装置32および真空装置33は、それぞれのバルブ34、34を介してチャンバー31内に接続されている。また、導体35はフィードスルー39(高電圧導入部)を介して重畳装置38に接続されている。
【0040】
このように構成したプラズマイオン注入装置30で永久磁石体1の表面にイオン注入を行うには、チャンバー31内にターゲット基材である連結体10を導体35にフック等で接続した状態で吊り下げ収容し、真空装置33でチャンバー31内を真空引きするとともに、ガス導入装置32でチャンバー31内に炭化水素系のガスを導入する。炭化水素系のガスとしては、メタンガスが好適に使用できるが、他のアセチレンガス、プロパンガスなども使用できる。
【0041】
プラズマ発生用電源37は、高周波電力を連結体10に印加し、連結体10の周囲にプラズマを発生させ、その後、高電圧パルス発生電源36から高電圧パルス(負の高圧パルス)を連結体10に印加し、プラズマ中のイオンを連結体10に誘引させる。
【0042】
こうしてイオンが連結体10に誘引されると、そのイオンに含まれる炭素原子が連結体10にその表面から所定の深さまで注入され、それによってDLC皮膜が表面に形成される。
【0043】
また、注入するイオンには水素、フッ素、銀を含んでもよい。そのために、これらの原子を含んだガスを使用してもよいし、水素ガス、フッ素ガスを含む混合ガスを使用してもよい。またアルゴンガスを含めてもよい。
【0044】
ターゲット基材としてチャンバー31内に配した連結体10は、複数の永久磁石体1が相互に接触しないように間隔を空けて配置されているから、個々の永久磁石体1の全表面に均一にDLC皮膜を形成させることができる。
【0045】
こうしてDLC皮膜を形成した連結体10は、導電性線体2を切断するなどして永久磁石体1ごとに分離すれば、それらは磁気健康品として利用できる。
【0046】
図5は、製造された磁気健康品を使用した磁気健康装身具の概略平面図である。この図に示すように例えば、複数の磁気健康品5の貫通孔1a(図2参照)に連結紐6を通すことで、磁気ネックレス、磁気ブレスレット等の磁気健康装身具7を形成することができる。
【0047】
この磁気健康装身具7は、DLC皮膜が形成された磁気健康品5で構成されているため、永久磁石による種々の効果にくわえて、DLC皮膜による低摩擦性、高硬度、耐摩耗性、耐食性等を期待でき、肌に優しく、光沢があり、硬くて表面劣化のほとんどない磁気健康装身具7を提供することができる。また、永久磁石が直接肌に当たらないので、アレルギーのある人にも適している。さらに、DLC皮膜により炭素による遠赤外線効果を得ることもできる。
【0048】
また磁気健康装身具としては、上記磁気健康品5にくわえて、結晶構造の炭素焼成体(不図示)をさらに連結紐6で連結してもよく、その場合には、炭素焼成体による遠赤外線効果等を強めることができる。
【0049】
炭素物質は、体温で温められる人間と同じ波長の遠赤外線を放射し、遠赤外線が体内の水分子に当たると水素と酸素が激しく衝突して(分子共振作用を起こして)運動エネルギーとなり、自己発熱となって深部温度が上昇するので、DLC皮膜が形成された磁気健康品や炭素焼成体を含んだ磁気ネックレスによれば、このような遠赤外線作用により首を温めて血液循環を促進し、温熱療法と同じ効果が期待できる。
【0050】
さらに、注入する元素イオンに水素原子を含めたものではDLC皮膜を均一に黒くでき、磁気健康品1に重厚感を持たせることができる。また、フッ素原子を含めたものではDLC皮膜を玉虫色にすることができ、さらに抗菌作用も期待できる。また、銀原子を含めたものでは抗菌作用を発揮させることができる。
【0051】
なお、図4に示したプラズマイオン注入装置によらず、例えばプラズマCVD法等の他のDLC成膜法によりDLC皮膜を形成してもよい。また、チャンバー31内の連結体10の収容の仕方としては、吊り下げに限定されず、他の配置方法をとってもよい。
【0052】
つぎに、本発明の磁気健康品の製造方法の第2実施形態について説明する。
【0053】
図6(a)、(b)は第2実施形態の製造方法を示す手順説明図である。
【0054】
この実施形態では、隣接する永久磁石体1間のスペーサーとして非導電性素材12を使用して連結体10を成形するようにしている。
【0055】
すなわち、この連結体10は、複数の永久磁石体1を、貫通孔1aをそろえて一列に配列し、それぞれの貫通孔1aに1本の導電性線体2を通過させ、永久磁石体1間に所定の間隙を確保し、それらの間隙にゴムや樹脂をこぶ状に付着させてスペーサーとして形成することで成形される。
【0056】
このようにして成形した連結体10に対して、図4に示したプラズマイオン注入装置30等でDLC皮膜形成処理を施した場合では、スペーサー部分の表面が非導電性素材12で形成されているため、永久磁石体1の表面にはDLC皮膜が形成されるが、スペーサーの表面にはDLC皮膜が形成されないという利点がある。
【0057】
DLC皮膜形成処理後は、熱や薬品、器具によって非導電性素材12を除去して導電性線体2を永久磁石体1より抜き取れば、DLC皮膜が形成された磁気健康品のみを製品として取り出すことができる。また、抜き取った導電性線体2は非導電性素材12を除去しているので再利用することができる。
【0058】
ついで、本発明の磁気健康品の製造方法の第3実施形態について説明する。
【0059】
図7(a)〜(c)は第3実施形態の製造方法を示す手順説明図である。
【0060】
この実施形態の連結体10は、導電性線体2に設けた突起14と、永久磁石体1の貫通孔1aの内壁との摩擦によって、永久磁石体1の導電性線体2からの脱落を阻止する構造にしている。
【0061】
すなわち、この実施形態では、導電性芯材に所定の間隔で導電性の突起14を形成しておき、導電性芯材のうちの突起14を除く部分に絶縁膜13を被覆させて導電性線体2を構成し、その導電性線体2に永久磁石体1を貫通させてから、加熱することで、永久磁石体の貫通孔1aに収納されている突起14を熱を加えて膨張させ、突起14と貫通孔1aの内壁との摩擦で永久磁石体1が移動できないようにして、連結体10を成形するようにしている。
【0062】
このように突起14を熱膨張させて永久磁石体1を係止させる構成であるため、連結体10の成形を簡易かつ迅速に行える。
【0063】
このようにして成形した連結体10に対して、図4に示したプラズマイオン注入装置30等でDLC皮膜形成処理を施すと、導電性線体2の突起14を除く部分に絶縁膜13を被覆させているので、永久磁石体1の表面にはDLC皮膜が形成されるが、永久磁石体1間の露出された部分にはDLC皮膜は形成されない。
【0064】
また、このような方法でDLC皮膜を形成した後、連結体10を冷却すれば突起14が元の状態に収縮するので、導電性線体2を永久磁石体1より容易に抜き取ることができ、DLC皮膜が形成された磁気健康品5のみを取り出すことができる。また、抜き取った導電性線体2から絶縁膜13を剥がし取れば、その導電性線体2を再利用することができる。
【0065】
この実施形態では、導電性線体2を再利用するために突起14を除く部分に絶縁膜13を被覆させているが、再利用の目的がない場合には、均一径の導電性線体を使用して導電性線体の熱膨張によって永久磁石体に係止するものでもよい。また、熱膨張を利用せずに、圧入により永久磁石体1を導電性線体に貫通させて永久磁石体が移動できないようにしてもよい。
【0066】
以上に示した種々の実施形態では、永久磁石体1として球状のものを例示したが、図8(a)〜(c)に示すように、円柱体、楕円体、円錐台の永久磁石体1を使用することもできる。
【0067】
このような形状で永久磁石体1を構成すれば、図1に示した治具20等を用いる際に貫通孔1aの位置合わせが簡易に行え、連結体10の成形を効率よく行える。なお、図8(a)の右図は、永久磁石体1を治具20の凹所21に収容した状態を示す断面図である。
【0068】
以上の実施形態では珠部材として永久磁石体を用いたものを説明したが、着磁されていない磁石材料を珠部材として用いて、その磁石材料に上記と同様の方法でDLC皮膜を形成し、その後着磁して磁気健康品を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 永久磁石体(珠部材)
1a 貫通孔
2 導電性線体
5 磁気健康品
6 連結紐
7 磁気健康装身具
10 連結体
11 こぶ部
12 非導電性素材
13 絶縁膜
14 突起
30 プラズマイオン注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに貫通孔を有した珠部材の表面にDLC皮膜を形成する磁気健康品の製造方法であって、
上記珠部材は、永久磁石体またはDLC皮膜形成後に着磁される磁石材料よりなり、
複数の珠部材同士を、相互に接触しないように間隙を隔てて導電性線体に貫通保持させた導電性の連結体を準備し、
この導電性の連結体を、ターゲット基材として、プラズマイオン注入装置のチャンバー内に収容した後、所定の元素イオンを発生させて、上記珠部材のそれぞれに注入させることでDLC皮膜を形成することを特徴とする磁気健康品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記導電性線体は、該導電性線体の一部を折り曲げたこぶ部を形成して、隣接する珠部材との間隙を保持して、接触を阻止する構造となっている磁気健康品の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
上記導電性線体は、該導電性線体の一部に非導電性素材をこぶ状に付着させて、隣接する珠部材との間隙を保持して、接触を阻止する構造となっている磁気健康品の製造方法。
【請求項4】
請求項1において、
上記導電性線体は、上記珠部材の貫通孔に接触させる突起を対応して設けた導電性芯材に、該突起を除く部分に絶縁膜を被覆させた構造となっており、上記珠部材を貫通させた後は、上記突起を熱膨張させて、珠部材同士の接触と導電性線体からの脱落を阻止する構造となっている磁気健康品の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2において、
上記所定の元素イオンには水素を含有している、磁気健康品の製造方法。
【請求項6】
請求項1または2において、
上記所定の元素イオンにはフッ素を含有している、磁気健康品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの製造方法で製造された磁気健康品に連結紐を貫通させて、数珠様に連結して構成される磁気健康装身具。
【請求項8】
請求項7において、
貫通孔を有した結晶構造の炭素焼成体がさらに上記連結紐で連結されている磁気健康装身具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−182989(P2011−182989A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52187(P2010−52187)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(397029873)株式会社大木工藝 (21)
【Fターム(参考)】