説明

磁気吻合装置のための送達システム

吻合を形成するための磁石送達システムにおいて、ワイヤガイドと、空腸空間内へ前進させるための送達部分を有するカテーテルであって、送達部分が少なくとも部分的に中を貫いて延びているルーメンとワイヤガイドを通して配置させる第1ポート及び第2ポートとを有している、カテーテルと、中を貫くルーメンを画定している磁石であって、ワイヤガイドを磁石のルーメンと第1ポート及び第2ポートを通して配置することによって取り外し可能にカテーテルの送達部分の第1ポートと第2ポートの間に固定されている磁石と、を備えている磁石送達システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気吻合装置を送達するのに有用な送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気吻合装置(MAD)は、現在、2つの臓器の間に体液の向き先を変えることを目的に流路を作成するのに使用されている。一例を挙げると、腫瘍、潰瘍、炎症性狭窄症、又は外傷の様な病態が原因で、腸の閉塞を発症した患者では腸の内容物が、また胆管の閉塞を発症した患者では胆汁が、向き先を変更されることがある。或る磁気吻合装置が、米国特許第5,690,656号に開示されており、その開示をここに参考文献として援用する。一般的に、MADは、磁心を薄い金属のリムで取り囲んで構成されている第1と第2の磁石アッセンブリを含んでいる。それら2つの磁石の間の磁気吸引により、2つの隣接する臓器の壁は磁石アッセンブリの間に挟まれ押さえつけられ、その結果、臓器壁に虚血性壊死が生じて、それら2つの臓器の間に吻合が作り出される。MADで治療される臓器には、胆嚢、総胆管、胃、十二指腸、及び小腸の空腸が含まれる。
【0003】
MADは、これまで、開腹術の様な外科的介入を介して送達されてきたが、外科的介入は言うまでもなく侵襲性であり、固有のリスクが付きまとう。一例としての米国特許第5,690,656号の自己調心性MADでは、装置を、ワイヤガイドに沿って、口腔を通して、典型的には蛍光透視法下で、送達させることができる。代わりに、送達は、単純にMADの磁石アッセンブリを飲み込ませ、蛍光透視法下でマッサージを使用して、それら2つの磁石アッセンブリを調心することによって達成することもできる。最後に、磁石アッセンブリの送達は、場合によっては内視鏡的に把持用ピンセットを用いて施行されているが、そうすると時間を食うし、困難を来すこともある。MADの取り出しは、典型的には、磁石アッセンブリに消化管の軌道を自然に通過させることによって、或いはより典型的には、把持用ピンセットを使用するフォローアップ的な内視鏡的処置を用いて、達成される。不都合なことに、磁石アッセンブリが比較的大きなサイズであることが、送達と回収を複雑にさせるとも限らない。事実、磁石アッセンブリを所望の場所に送達するために、往々に、身体管腔のバルーン拡張を要することがある。同様に、身体管腔の大きさが、送達し配備することのできる磁石アッセンブリのサイズに制限を課す要因となっていることもしばしばである。
【0004】
空腸磁石を利用した或る特定のMAD処置は、磁石を、食道を下って胃へ、そして次に幽門を通って空腸の中へ送り込むことが必要になる。空腸に至る通路が湾曲している性質上、磁石が、その前進及び設置中に、送達システムから押し除けられてしまうこともしばしばである。空腸磁石に幽門を通過させるのは、胃流出路閉塞の患者ではいっそう複雑になる可能性がある。
【特許文献1】米国特許第5,690,656号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/291,202号
【発明の概要】
【0005】
臓器空間に吻合を形成するための磁石送達システムがここに提供されている。送達システムは、ワイヤガイドとカテーテルと磁石を備えている。カテーテルは、空間内へ前進させるための送達部分を有している。この送達部分は、少なくとも部分的に中を貫いて延びているルーメンと、ルーメンと連通していてワイヤガイドが通される第1ポート及び第2ポートと、を有している。磁石は、ワイヤガイドを通されるルーメンを有する。磁石は、ワイヤガイドを磁石のルーメンと第1ポート及び第2ポートを通して配置することによって、取り外し可能に、カテーテルの送達部分の第1ポートと第2ポートの間に固定される。
【0006】
更に、2つの身体壁の間に吻合を形成することを目的に、空腸磁石を送達するための方法が提供されている。ここに提供されている送達システムは、身体器官、例えば臓器のどれか、の中へ導入される。カテーテルの送達部分の上にある磁石が、第1の器官の壁に隣接して位置づけられる。磁石を送達するため、ワイヤガイドが磁石のルーメンから抜去される。
【0007】
更には、第3ポートと、第4ポートと、同様に中を貫くルーメンを画定している第2磁石と、を更に備えている送達部分を有するシステムが提供されている。第2磁石は、第3ポートと第4ポートの間に位置している。ワイヤガイドは、後で第2磁石を送達するのに抜去できるように第2磁石のルーメンに通して設置される。ワイヤは、単一ワイヤとすることもできるし、別々のワイヤとすることもできる。その様なシステムでは、複数の磁石を最小限の処置回数の時間で送達することが可能になる。
【0008】
送達システムは、先に説明されている第2磁石送達システムと連携させて使用することができる。第2磁石送達システムは、第2磁石を、それが第1の器官の壁に隣接して設置されている第1磁石に吸引されてゆくように、第2の器官の壁に隣接して位置づけるのに使用することができる。
【0009】
更に、中を貫いて形成されたルーメンを画定している第1磁石を送達するための方法を提供している。方法は、第1磁石をカテーテルの送達部分の上に位置づける段階を含んでいる。カテーテルの送達部分は、少なくとも部分的に中を貫いて延びている第1カテーテルルーメンと、第1カテーテルルーメンと連通している第1ポート及び第2ポートと、を有している。第1ワイヤガイドが、第1カテーテルルーメンと第1ポート及び第2ポートを通し、且つ第1磁石のルーメンを通して配置され、第1磁石を、取り外し可能に、カテーテルの送達部分の第1ポートと第2ポートの間に固定させる。第1ワイヤガイドは、その後、第1磁石を送達するべく第1磁石のルーメンから抜去される。
【0010】
本方法は、更なる態様では、中を貫いて形成されたルーメンを画定している第2磁石を送達する段階を含んでいる。カテーテルの送達部分は、第3ポートと第4ポートを更に備えている。第1ワイヤガイドは、第1カテーテルルーメンと第3ポート及び第4ポートを通し、且つ第2磁石のルーメンを通して配置され、第2磁石を、取り外し可能に、カテーテルの送達部分の第3ポートと第4ポートの間に固定させる。第1ワイヤガイドは、その後、第2磁石を送達するべく第2磁石のルーメンから抜去される。
【0011】
ここに説明されている様に、磁石は、送達カテーテルにしっかり取り付けられており、磁石が処置中に押し除けられる可能性は最小限に抑えられる。ここに説明されているシステムは、磁石を、胃流出路閉塞部を貫いて押し進めることを可能にする。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成している添付図面は、本発明の幾つかの態様を示しており、記述内容と併せて、本発明の原理を説明するのに供されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ここに説明されている送達システムの斜視図である。
【0014】
【図2】送達システムを上から見た図である。
【0015】
【図3】相補的な空腸磁石を備えた2つの送達システムの斜視図である。
【0016】
【図4】二段送達システムを上から見た図である。
【0017】
【図5】本説明による、磁気吻合装置を形成するための2つの磁石アッセンブリの使用を模式的に描いている。
【図6】図5と共に、本説明による、磁気吻合装置を形成するための2つの磁石アッセンブリの使用を模式的に描いている。
【図7】図5及び図6と共に、本説明による、磁気吻合装置を形成するための2つの磁石アッセンブリの使用を模式的に描いている。
【0018】
【図7a】新しい吻合が促進されるように2つの内部身体器官の壁同士を押さえつけている2つの磁石の断面図である。
【0019】
【図8a】本説明の更なる教示により構築されている、磁気吻合装置を送達するための送達システムの斜視図である。
【図8b】図8aと同様の、本説明の更なる教示により構築されている、磁気吻合装置を送達するための送達システムの斜視図である。
【0020】
【図9】本説明の更なる教示により構築されている、磁気吻合装置を送達するための送達システムを上からから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「人工器官」という用語は、身体部分又は身体部分の機能のあらゆる代替物、又は生理系を増強するか又は生理系に機能を付け足すあらゆる装置を意味する。
【0022】
「カテーテル」という用語は、概して、少なくとも部分的に中を貫いて延びるルーメンを有する細長いシャフトを備えている医療装置を意味し、バルーンカテーテル、案内カテーテル、及び送達カテーテルを含む。カテーテルの一例として、Cook Medical Fusion(商標)胆道拡張カテーテル(FS−BDC)が挙げられる。
【0023】
磁石送達システムは、空腸磁石30を送達するのにカテーテル35とワイヤガイド33を使用する。図1に見られる様に、カテーテル35は、カテーテルのルーメンと連通していてワイヤガイド33を通して設置させる第1ポート27と第2ポート29の2つのポートを有している。適したワイヤガイドとして、Cook Medical Tracer Hybrid(登録商標)ワイヤガイド(HYB−48015)を挙げることができる。近位ポート27と遠位ポート29は、それらの間に磁石30を収容するのに十分な程度に離間されている。ポート27と29の離間距離は、約35mmから約70mm又はその中の範囲の何らかの組合せ又は副次的組合せである。図示の特定の実施形態では、ポート27、29は、約60mm離間させることができる。第1ポート27と第2ポート29は、カテーテル35の壁を貫いて形成されていて、カテーテルの正に近位端の入口とも正に遠位端の出口とも区別されるように、カテーテル35の遠位端から近位方向に離間されていている。ポート27、29は、長手方向に整列しているのが望ましい。好適なポート間距離は、磁石の直径とサイズによって異なるであろう。磁石サイズは、この分野で使用されている標準サイズ全体が範囲となろう。ポート27、29は、カテーテル35の遠位部分に位置していて、様々な直径サイズの磁石を収容するように適切に離間されている。直径約14mmの磁石が示されているが、直径が約10mmから20mmの間又はその中の範囲の何らかの組合せ又は副次的組合せの間にある磁石なら収容され得る。他の磁石サイズについては、ワイヤガイドルーメンのポートの場所は、必要に応じて修正されてもよい。
【0024】
示されている磁石30は、略円盤形状(即ち、軸方向の高さが外形より小さい)を有している。この送達システムで使用されてもよいとされる磁石は、円形、立方形、円筒形、多角形、楕円形又は卵形、方形、又は類似の形とすることができる。他にも多くの磁石形状が当業者には容易に思い描かれよう。例えば、図8a、図8b、及び図9に関して、磁石は、「磁気吻合装置のための細長い磁石」という名称の米国仮特許出願第61/291,202号に記載の細長い磁石を含んでいてもよく、同仮特許出願の内容全体をここに参考文献として援用する。磁石30は、胃酸又は関与する身体構造によっては他の体液の腐食作用から磁心を保護するため、Teflon(登録商標)やParalene(登録商標)の様なポリマー類などの各種材料で形成されていてもよいとされる保護被覆を含んでいてもよい。
【0025】
磁石30は、ワイヤガイド33を収容するように中を貫くルーメンを有している。磁石30は、更に、磁石の周囲に沿った環状縁39を備えている。縁39は、磁石30の中心より僅かに上方に隆起して、第2磁石(以下に説明)を収容又は嵌合させるための盆地32を形成している。具体的には、磁石30が送達されると、この縁39は臓器の壁に接して、磁石30と嵌合相手の磁石との間に捕捉された組織の虚血性壊死を開始させる助けをする。蛍光透視法を介して視検したときに磁石の所在場所が明らかになるように、カテーテルの磁石近傍に放射線不透過性マーカー37が設置されている。放射線不透過性マーカーは、横から送達システムを視検したときに磁石の所在場所が明らかになるように、カテーテル35上の磁石30の下に設置することもできる。
【0026】
ワイヤガイド33は、磁石30をカテーテル35の遠位端の所定場所に保持する。図1及び図2では、ワイヤガイド33は、第1ポート27から突き出て、磁石30のルーメンを通過し、第2ポート29のところでカテーテル35に再進入していることが示されている。カテーテル35は、磁石30を正確に位置づけるため、送達システムを追跡できるようにする放射線不透過性マーカー37を含んでいてもよい。放射線不透過性マーカー37は、磁石30に隣接してそれより遠位に設置されているのが好適である。カテーテル35は、身体管腔を進行し、磁石を送達するために、単独で使用されていてもよいし、他のワイヤガイドと共に使用されていてもよい。
【0027】
図3は、2つの送達システムを示しており、第2磁石31が第2カテーテル45に取り付けられている。第2磁石31は、第1磁石30の環状縁39と嵌合できる環状陥凹40を有している。図7aは、2つの臓器の壁52と62がそれら磁石30と31の間で押さえつけられているところを示している。縁39は、虚血性壊死を支援するべく両壁を第2磁石31に当てて押さえつける。第2磁石31は、更に、第1磁石30より小さい直径の環状縁を有することができる。第2磁石31は、植え込まれ、第1磁石30と嵌合すると、第1磁石30の環状縁39内に納まる。
【0028】
図4は、2つの磁石30、31を送達するためのシステムを示している。その様なシステムは、複数磁石を送達する効率のよい手段として使用することができるであろう。2つの磁石30、31が示されているが、3つ以上の磁石をここに説明されている様式でカテーテルに連結することもできるであろう。カテーテルは、第1近位ポート57及び第2近位ポート67と第1遠位ポート59及び第2遠位ポート69の合計4つの孔を有している。第1磁石30は、ワイヤガイド33を用いて第1ポート57と第2ポート59の間に保持されている。第2磁石31は、ワイヤガイド33を用いて第1ポート67と第2ポート69の間に拘束されている。第1磁石30は盆地32を有する環状縁39を備えている。両方の磁石30と31が植え込まれると、第2磁石31側の環状陥凹40が第1磁石30の環状縁39と嵌合する。放射線不透過性マーカーの組を2つ使用し、第2の放射線不透過性マーカーを第2磁石31より遠位に位置させていてもよい。一般に、放射線不透過性マーカーは、送達部分上に、設置処置中に操作者を案内するに足る程度にあればよい。その様なシステムを使用して両磁石を送達するための方法が以下に更に詳しく説明されている。
【0029】
当業者には、ここに説明されている磁石アッセンブリを採用している磁気吻合装置は、磁石を設置するための処置の時間を改善するという恩恵を維持するのみならず、更には、正確に送達できるように身体内に簡単に設置することのできる小さい送達構成を提供していることが認識されるであろう。ここに説明されている送達システムは、自然孔を通しての磁石の挿入も考慮している。よって、2つの臓器の間に吻合を形成するための位置へ磁石アッセンブリを送達するための方法もある。図5は、胆嚢10、総胆管12、胃14、十二指腸16、小腸の空腸18を含め、腹腔の幾つかの臓器の相対位置を示している。図示されていないが、ここに説明されている送達システムは、実施が見込まれる胃バイパス処置で結腸に吻合形成磁石を植え込むのに使用することもできる。ここに説明されている送達システムは、例えば、胃14と小腸の空腸18との間に吻合を作成するのに使用することができる。送達システムは、処置の一部として使用することもでき、その場合、一方の磁石を設置するにはピンセットが使用される。
【0030】
空腸磁石を送達して吻合を形成させる方法は、送達システム65を腔内導管の中へ導入する段階を備えている。図5は、システム65が空腸18へ進められてゆくところを示している。ワイヤガイド60が第1の臓器の壁に隣接して位置づけられたら、磁石31の送達が次に続く。図5では、第1の臓器は空腸18である。磁石31は、図1に示されている様にカテーテル35の上に設置されていて、ワイヤガイド33によってカテーテル35上の所定場所に保持されている。ワイヤガイド33は、カテーテル35を通して装填され、カテーテル35ルーメンの第2ポート29を通過し、磁石30のルーメンを通って、第1ポート27からカテーテル35に再進入している。放射線不透過性マーカー37を案内として使用し、カテーテル35は、磁石31が図6に示されている様に空腸18の壁に隣接して設置されるように進められる。
【0031】
図6に示されている様に第2送達システム70が胃14の中へ導入されてゆく際、送達システム65は磁石31と共に変わらぬ位置にある。磁石30は、磁石31の所在場所付近の空腸18と境界をなしている胃14の壁に隣接して位置づけられる。磁石30、31は、図7に示されている様に磁力が磁石を引き合わせ、空腸18と胃14の壁52と62同士を一体に押さえつけるように、解放される。磁石31を解放するために、操作者はワイヤガイド33を取り出し、次いでカテーテル35を取り出す。
【0032】
磁石30と31の間に働く吸引力は、磁石30の設置後にカテーテル35が2つの磁石30と31の間に捕まった場合、カテーテル35を取り出せて、磁石30、31はなお一体に留まることができるほどの強さである。放射線不透過性マーカー37を、蛍光透視法下で磁石31を正しい向きに位置づけるのを助ける案内として使用することができる。放射線不透過性マーカー37は、図1に例示されている様に、磁石の近位縁に位置していてもよい。
【0033】
胃と空腸の壁の壊死が完了したら、吻合は形成されている。磁石30、31にはその後身体を自然に通過させてもよいし、緩下剤による取り出し、内視鏡的取り出し、又は他の処置、の様な手段によって取り出すこともできる。
【0034】
図4に示されている送達システムは、1つのカテーテルを使用して2つの磁石を送達するのに利用することができる。最初に、ガイドワイヤ33を、磁石31を解放するのに十分なだけ後退させることによって、磁石31が第1の治療場所に送達されることになる。次いで、カテーテルの送達部分が第2場所に位置づけられ、そこで更にガイドワイヤ33を磁石30のルーメンから後退させることによって、磁石30が解放されることになる。磁石30、31は、蛍光透視法下にマッサージにより、又は腹腔鏡手術を介して把持用ピンセットにより、互いに嵌合するように操作されてもよい。一旦嵌合させてしまえば、治療される2つの臓器の壁では虚血性壊死の進行が開始される。
【0035】
図8a及び図8bは、本説明の教示による送達システム165の或る代わりの実施形態を描いており、描写は図1のものと類似し、同様の構成要素は同様の符号に100を足して表示されている。送達システム165は、磁石130を送達するのにポート127及び129を備えたカテーテル135とワイヤガイド133を使用する。この実施形態では、ワイヤガイド133は、その遠位端にループ134を含んでいる。ループ134は、カテーテル135の遠位端を越えて伸びている。
【0036】
図8bに示されている様に、ループ134は、磁石130の送達中、第2ワイヤガイド143の上を滑る。例えば、1つの送達方法では、ワイヤガイド143が目標部位に位置づけられる。次いで、カテーテル135が、ループ134を介してワイヤガイド143に積み載せられる。換言すると、ループ134はワイヤガイド143を滑走可能に受け入れており、カテーテル135は、同ワイヤガイドに対して、目標部位に到達するまで押し進められる。次いで、磁石130が身体壁に隣接して設置される。もう1つの磁石が同じ様式でもう1つの目標部位へ送達され、磁石130と嵌合して、それらの間の身体壁を押さえつける。磁石が嵌合してしまえば、ワイヤガイド143は取り出され、続いてワイヤガイド133が取り出される。その後、カテーテル135が取り出される。
【0037】
この実施形態では、米国仮特許出願第61/291,202号に記載されている細長い磁石130が示されている。細長い磁石130は、磁石130のルーメンを通って伸びている様子が示されている、磁石130の位置決めの支援となり得る縫合糸136、を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。送達システム165は、大型の細長い磁石130の送達に都合がよい。以上に説明されている各送達システムは、細長い磁石130を送達するのに使用することができる。しかしながら、細長い磁石130は、先に説明されている実施形態に開示されている磁石30、31よりも大きいことから、細長い磁石130にワイヤガイド33の上を進ませるには、細長い磁石130とカテーテル35との間の摩擦面積が広いせいで、より大きな力が必要になるであろう。図8a及び図8bに示されている実施形態を用いれば、磁石130がカテーテル135と共に動く際には、外部のワイヤガイド143に沿って滑ってゆくので、余分な力は不要である。
【0038】
図9は、本説明の教示による送達システム265のもう1つの実施形態を描いており、描写は図1のものと類似し、同様の構成要素は同様の符号に200を足して表示されている。送達システム265は、磁石230を送達するのにカテーテル235とワイヤガイド233を使用する。この実施形態では、ワイヤガイド233の遠位ループ234は、図8a及び図8bと同様に、第2ワイヤガイド243を滑走可能に受け入れており、従って、磁石230の送達中に必要な力が小さくてすむようにしている。但し、この実施形態では、二重ルーメン外シース238が、一方のルーメンにカテーテル235を滑走可能に受け入れ、第2のルーメンにワイヤガイド233を滑走可能に受け入れている。外シース238は、ポート227と229を含んでいる。
【0039】
図9の送達システム265を用いた磁石230の送達中は、図8a及び図8bのシステム165の場合の様に遠位端だけではなく、より大きなカテーテル235部分がワイヤガイド243に近接した状態に保たれる。これは、カテーテル235の追従性を改善し、カテーテルが胃の中でしなってしまう可能性を低減する。
【0040】
或いは、外シース内に収納される代わりに、カテーテル235は、一方を磁石を保持するワイヤガイド233用とし、他方を主ワイヤガイド243用として、2つのルーメンを含んでいてもよい。磁石230の送達中、遠位ループ234は、主ガイドワイヤ243の上を滑ってゆく。
【0041】
当業者には、以上に説明されている方法は、概して、身体内で2つの身体壁に隣接して磁気装置を設置し、磁気装置の間に身体組織を押さえつけ、それらを貫いて流路を作成させる段階を含んでいることが認識されるであろう。本装置及び方法は、人間又は動物の身体及び身体管腔に関連付けられるものもそうでないものも含め、あらゆる材料層(例えば、織物、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック、及びゴム)に使用することができることが認識されるであろう。例えば、ここに開示されている装置及び方法に関しては、研究施設及び産業環境で、人間又は動物の身体への適用が見い出されるか否かを問わず1層又はそれ以上の材料層を接合する場合に向けた利用、及び同様に、身体組織ではない材料層に孔を形成する場合に向けた利用を見い出すことができる。幾つかの例として、縫製又は縫合及び関連の製造工程、合成組織を用いた作業、ポリマーシートの接続、動物の研究、及び死体解剖活動が挙げられる。
【0042】
以上の記述は、例示と説明を目的に提供されている。以上の記述は、余すところなく説明しようとする意図も、また開示されている送達システム及び方法に制限を課す意図もない。以上の教示に鑑みて、数多くの修正又は変型が実施できる。開示されている送達システム及び方法は、本送達システム及び方法の原理及びその実際の適用を最適に示し、それにより、当業者が本送達システム及び方法を様々な実施形態で、考えられる特定の使用に適応させた様々な修正を施して利用することができるように、選定され、記載された。全てのその様な修正及び変型は、付随の特許請求の範囲の請求項によって、それら請求項が公平、法的、且つ公正に権利を有するとされる一定の許容幅に従って解釈された上に定まる、本送達システム及び方法の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 胆嚢
12 総胆管
14 胃
16 十二指腸
18 小腸の空腸
27、29 ポート
30、31 磁石
32 磁石の盆地
33 ワイヤガイド
35 カテーテル
37 放射線不透過性マーカー
39 磁石の環状縁
40 磁石の環状陥凹
45 カテーテル
52、62 臓器壁
57、59、67、69 ポート
60 ワイヤガイド
65 送達システム
70 送達システム
127、129 ポート
130 磁石
133 ワイヤガイド
134 ループ
135 カテーテル
136 縫合糸
143 ワイヤガイド
165 送達システム
227、229 ポート
230 磁石
233 ワイヤガイド
234 ループ
235 カテーテル
238 二重ルーメン外シース
243 ワイヤガイド
265 送達システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吻合を形成するための磁石送達システムにおいて、
第1ワイヤガイドと、
臓器空間内へ前進させるための送達部分を有するカテーテルであって、前記送達部分は、少なくとも部分的に中を貫いて延びている第1カテーテルルーメンと、前記第1カテーテルルーメンと連通していて前記ワイヤガイドを通して配置させる第1ポート及び第2ポートと、を有している、カテーテルと、
中を貫くルーメンを有している第1磁石であって、前記ワイヤガイドを当該第1磁石の前記ルーメンと前記第1ポート及び前記第2ポートを通して配置することによって、取り外し可能に、前記カテーテルの前記送達部分の前記第1ポートと前記第2ポートの間に固定される、第1磁石と、を備えている磁石送達システム。
【請求項2】
前記第1磁石は、円盤形状を有している、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項3】
前記第1磁石は、環状縁と環状陥凹の一方を更に備えている、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項4】
前記第1磁石は、細長いジャケットであって、その長手方向の軸に沿って位置づけられている2つの磁気部材を囲っている細長いジャケットを含んでいる、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項5】
前記カテーテルの前記送達部分は、第3ポートと、第4ポートと、中を貫くルーメンを有する第2磁石と、を更に備え、前記第1ガイドワイヤは、前記第2磁石の前記ルーメンと前記第3ポート及び前記第4ポートを通して設置され、前記第2磁石が、取り外し可能に、前記カテーテルの前記送達部分の前記第3ポートと前記第4ポートの間に固定されるようになされている、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項6】
前記第1磁石は、環状縁を更に備え、前記第2磁石は、環状陥凹を更に備えている、請求項5記載の磁石送達システム。
【請求項7】
前記カテーテルは、管状壁を含んでおり、前記第1ポート及び前記第2ポートは、前記管状壁を貫いて形成されており、前記第1ポート及び前記第2ポートは、当該カテーテルの長手方向に整列しており、前記第1ポート及び前記第2ポートは、前記カテーテルの遠位端から近位方向に離間されている、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項8】
前記第1ワイヤガイドは、その遠位端にループを有しており、当該送達システムは、第2ワイヤガイドを更に備え、前記第1ワイヤガイドの前記ループは、前記第2ワイヤガイドを滑走可能に受け入れるために前記カテーテルの遠位端を越えて伸びるように構成されている、請求項1に記載の磁石送達システム。
【請求項9】
前記カテーテルは、第2カテーテルルーメンを含んでおり、前記第1ワイヤガイドは、前記第1カテーテルルーメン内に配置され、前記第2ワイヤガイドは前記第2カテーテルルーメン内に配置されている、請求項8に記載の磁石送達システム。
【請求項10】
第1シースルーメンと第2シースルーメンとを有する外シースを更に備えており、前記カテーテルは前記第1シースルーメン内に配置され、前記第1ワイヤガイドは前記第1カテーテルルーメン内に配置されていて、前記第2ワイヤガイドは第2シースルーメン内に配置されている、請求項8に記載の磁石送達システム。
【請求項11】
中を貫いて形成されたルーメンを有している第1磁石を送達するための方法において、
少なくとも部分的に中を貫いて延びている第1カテーテルルーメンと、前記第1カテーテルルーメンと連通している第1ポート及び第2ポートと、を有している、カテーテルの送達部分の上に、前記第1磁石を位置づける段階と、
第1ワイヤガイドを、前記カテーテルルーメンと前記第1ポート及び前記第2ポートを通し、且つ前記第1磁石の前記ルーメンを通して配置し、前記第1磁石を、取り外し可能に、前記カテーテルの前記送達部分の前記第1ポートと前記第2ポートの間に固定する段階と、
前記第1磁石を送達するため前記第1ワイヤガイドを前記第1磁石の前記ルーメンから抜去する段階と、から成る方法。
【請求項12】
前記送達部分が更に第3ポートと第4ポートを備えており、中を貫いて形成されたルーメンを有している第2磁石を送達する段階を更に備え、前記第2磁石の送達は、
前記第1ワイヤガイドを、前記第1カテーテルルーメンと前記第3ポート及び前記第4ポートを通し、且つ前記第2磁石の前記ルーメンを通して配置し、前記第2磁石を、取り外し可能に、前記カテーテルの前記送達部分の前記第3ポートと前記第4ポートの間に固定する段階と、
前記第2磁石を送達するために前記第1ワイヤガイドを前記第2磁石の前記ルーメンから抜去する段階と、を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1ワイヤガイドは、その遠位端にループを含んでおり、前記方法は、前記第1ワイヤガイドを抜去する段階の前に、
前記第1ワイヤガイドの前記ループを、前記カテーテルの遠位端を越えて伸ばす段階と、
前記第1ワイヤガイドの前記ループに、第2ワイヤガイドを通すようにする段階と、を更に備えている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2ワイヤガイドは、前記カテーテルの外に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1シースルーメンと第2シースルーメンとを含んでいる外シースが、前記カテーテルを前記第1シースルーメン内に受け入れ、前記第2ワイヤガイドを前記第2シースルーメン内に受け入れ、前記第1ワイヤガイドは前記第2カテーテルルーメン内に配置され、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテルは、第2カテーテルルーメンを有しており、前記第1ワイヤガイドは前記第1カテーテルルーメン内に配置され、前記第2ワイヤガイドは前記第2カテーテルルーメン内に配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1磁石と前記第2磁石の少なくとも一方は、円盤形状と細長い形状の一方の形をしている、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記細長い形状は、細長いジャケットであって、その長手方向軸に沿って位置づけられている2つの磁気部材を囲っている細長いジャケットを含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記カテーテルの前記送達部分に放射線不透過性マーカーが更に備えられており、前記第1磁石を、前記放射線不透過性マーカーを使用して位置づける段階を更に備えている、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−522601(P2012−522601A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503745(P2012−503745)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/029801
【国際公開番号】WO2010/115116
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】