説明

磁気情報媒体記録再生装置

【課題】 ドラムの外周に沿ってフレキシブルな磁気情報媒体を搬送しながら磁気情報を読み取りあるいは書き込む際、トラック位置精度を高めて読み取りあるいは書き込み時の出力を安定させる。
【解決手段】 磁気情報媒体の搬送方向側部の縁が接するように媒体搬送路3の一側に設けられた度当たりであって磁気ヘッド7に対する磁気情報媒体の磁気記録部の基準位置となる媒体搬送基準面8を備えるとともに、磁気ヘッド7の近傍におけるドラム4と搬送手段5との間隔が開く方向あるいはそれらの間における圧力が低下する方向へとドラム4を当該ドラム4以外の機器に対して相対的に傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報媒体記録再生搬送し、その間にドラム外周に臨む磁気ヘッドで磁気情報の読み取りや書き込みを行う装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、ドラムの外周に沿って磁気情報媒体を磁気情報媒体記録再生装置の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルな磁気情報媒体の一つに、紙製磁気カードからなる旅客機の搭乗券のようにカード長が長くかつデータを読み取り(リード)/書き込み(ライト)する形式のものがある。搭乗券には出発地や目的地等の種々のデータが磁気情報として記録されていて、このデータは空港の入場ゲートに設けられた磁気カードリーダで読み取られ、さらに必要に応じて新たなデータが書き込まれる。
【0003】
このような磁気情報媒体を処理する磁気カードリーダには、以下に述べるような磁気情報媒体記録再生装置によって構成されているものがある。すなわち、例えば回転自在なドラムと、このドラムの外周と対向するように配置された搬送手段と、ドラム外周に臨むように配置された磁気ヘッドなどを備えた装置であって、磁気情報媒体をドラム外周に沿って搬送し、その間に磁気ヘッドで磁気情報を読み取りあるいは新たに磁気情報を書き込むというものである(例えば特許文献1、特許文献2参照)。搬送手段としては例えば平ベルトが用いられる。
【0004】
【特許文献1】特許第2810600号公報
【特許文献2】実用新案登録第2549807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように磁気情報媒体をドラム外周と搬送手段(例えば平ベルトなど)との間に挟んで搬送する場合、磁気情報媒体が紙製であるため、長手方向及び短手方向の寸法を高精度に切断することは難しく、また、湿気によりその寸法が伸縮することもあり、当該磁気情報媒体が常に磁気ヘッド側に寄って磁気情報媒体の磁気トラックが所定位置を通過するとは限らない。このため、磁気情報の読み取り動作や書き込み動作を行う際のトラック位置精度が十分でないことがあった。
【0006】
また、ドラムの位置と磁気ヘッドの位置関係を一定に保つことが困難な場合には、常に所定位置を通過するように押圧部材等を用いて磁気情報媒体の側面を押し付けることも考えられるが、磁気情報媒体が紙製であるため、強い押圧力では紙が撓んだり、媒体側縁が潰れたりしてしまい、磁気ヘッドに対して一定の位置に搬送することが難しいという問題があった。このため、磁気情報の書き込みあるいは読み取り時の出力が安定しないことも起こり得た。
【0007】
そこで、本発明は、ドラムの外周に沿ってフレキシブルな磁気情報媒体を搬送しながら磁気情報を読み取りあるいは書き込む際、トラック位置精度を高めて読み取りあるいは書き込み時の出力を安定させた磁気情報媒体記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、外周が磁気情報媒体の媒体搬送路を形成する回転自在のドラムと、該ドラムの外周と対向配置され磁気情報媒体をドラムの外周に沿って搬送する搬送手段と、磁気情報媒体の磁気記録部と対向する位置に配置された磁気ヘッドとを有する磁気情報媒体記録再生装置において、磁気情報媒体の搬送方向側部の縁が接するように媒体搬送路の一側に設けられた度当たりであって磁気ヘッドに対する磁気情報媒体の磁気記録部の基準位置となる媒体搬送基準面を備えるとともに、磁気ヘッド近傍におけるドラムと搬送手段との間隔が開く方向あるいはそれらの間における圧力が低下する方向へとドラムを当該ドラム以外の機器に対して相対的に傾斜させていることを特徴とするものである。
【0009】
この磁気情報媒体記録再生装置においては、回転ドラムが、ドラム以外の機器に対して相対的に傾斜しているために、当該ドラムと搬送手段との間における間隔の広狭(または圧力の大きさ)に偏りが生じている。しかも本発明の場合には、このドラム−搬送手段間の間隔が磁気ヘッド近傍において広くなるように(または圧力が低下するように)傾斜が付けられている。このため、ドラム−搬送手段間で挟まれた状態で搬送される磁気情報媒体は、広狭差(または圧力差)に伴う横方向への力の作用を受ける結果、磁気ヘッド側に寄った状態で搬送される。この磁気ヘッド側には媒体搬送基準面が設置されているため、結局、磁気情報媒体はその側部の縁をこの媒体搬送基準面に度当たりさせた状態で磁気情報媒体記録再生装置内を搬送されることになる。
【0010】
さらに、磁気情報媒体が磁気ヘッド近傍から離間するとドラム−搬送手段間の間隔の広狭差(または圧力差)による横方向への力の作用は低減し、磁気ヘッドに対してドラムの直径側においては、磁気ヘッド近傍とは反対に作用することになる。このため、磁気情報媒体は、ドラムの外周に沿って周回搬送される際に、媒体搬送基準面に対して、媒体幅方向で交互に離間及び近接するようになるので、媒体搬送基準面に片寄り過ぎによる磁気情報媒体の損傷防止も可能となる。
【0011】
このような磁気情報媒体記録再生装置においては、磁気ヘッドをドラムと同角度傾斜させて当該ドラムと平行としていることが好ましい。例えば磁気情報媒体が紙媒体であってドラムの傾斜角度が1°程度といった場合、傾斜していない磁気ヘッドによっても磁気情報を記録したり再生したりすることが可能であるが、請求項2に記載のごとく磁気ヘッドを傾斜させてドラムと水平とすれば、情報記録や再生をより確実に行うことが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気情報媒体記録再生装置において、ドラムの中心位置を対称中心とした磁気ヘッドの点対称位置に別の磁気ヘッドを設けたというものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の磁気情報媒体記録再生装置によると、磁気ヘッド近傍では、磁気情報媒体がその側部の縁を媒体搬送基準面に接触させながら搬送されることになるため、当該磁気情報媒体の磁気情報を読み取りあるいは書き込む際のトラック位置精度がさらに高まり、この結果、出力がより安定する。
【0014】
請求項2に記載の磁気情報媒体記録再生装置によると、磁気ヘッドを傾斜させてドラムと水平としたことから、磁気記録部と磁気ヘッドとの接触が安定するので、情報記録や再生をより確実に行うことが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の磁気情報媒体記録再生装置によると、磁気情報媒体が装置内に前後逆向きに取り込まれた場合であっても、また、磁気情報媒体の両面に磁気記録部が設けられた場合であっても、当該別の磁気ヘッドのある側のフレームに寄って搬送される磁気情報媒体の磁気情報をこの別の磁気ヘッドによって精度よく読み取りあるいは新たな情報を書き込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1〜図8に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる磁気情報媒体記録再生装置1は、回転自在のドラム4と、磁気情報媒体をドラム4の外周に沿って搬送する搬送手段5と、該搬送手段5を駆動する駆動部6と、磁気情報の読み取りあるいは書き込みをする磁気ヘッド7とを備えている。磁気ヘッド7の近傍におけるドラム4と搬送手段5との間隔が開く方向あるいはそれらの間における圧力が低下する方向へとドラム4および磁気ヘッド7を傾斜させている。
【0018】
この磁気情報媒体記録再生装置1は、ドラム4の周りに平ベルトから成る搬送手段5を配置して、ドラム4と搬送手段5との間で磁気記録媒体を挟んで走行させる環状の媒体搬送路3を形成している。さらに、媒体搬送路3の途中に配置された記録再生手段たる記録再生用磁気ヘッド7によってドラム4の周りを移動する磁気記録媒体に対して回転中に磁気情報媒体の情報の読み取り/書き込み/照合などといった一連の情報処理を連続的に処理するようにしたものである。
【0019】
さらに本実施形態では、媒体搬送路3の途中に配置されているフラッパ24,25の操作によって、磁気情報媒体の記録情報の不良あるいは情報書き込みの必要などに応じて当該磁気情報媒体の搬送方向を適宜切り換え、所定の磁気処理を施したり、排出口30から次の工程へと送り出したりする。
【0020】
なお、外周が磁気情報媒体の媒体搬送路3となるドラム4は、それ自体が駆動部(例えば駆動モータ)6によって直接駆動されるのではなく、その周りに配置される搬送手段5との摩擦によって回転させられる構造となっている。
【0021】
ドラム4は、その外周が磁気情報媒体の媒体搬送路3を形成している回転自在の回転体である。例えば本実施形態においてはこのドラム4が設置されて媒体搬送路3が形成されるスペースの両側にそれぞれメインフレーム11,12が形成され、これらメインフレーム11,12間にドラム4が設置されている。メインフレーム11,12はスペーサとなるロッドによって連結され、一定間隔を開けて互いに平行に対峙している。両フレーム11,12間の間隔は磁気情報媒体の幅よりも僅かに広いものとされ、磁気情報媒体を搬送する際に僅かなクリアランスが生じるように設けられている。本実施形態では、メインフレーム11が磁気情報媒体の搬送方向側部の縁が接するように媒体搬送路3の一側に設けられた度当たりとなっている。すなわち、メインフレーム11の内側面が、磁気ヘッド7に対する磁気情報媒体の磁気記録部の基準位置となる媒体搬送基準面8を備えている。
【0022】
また、ドラム4は例えばポリアセタールなどの樹脂成形品であることが好ましい。すなわち、磁気情報媒体を横方向に滑らせてメインフレーム11の媒体搬送基準面8の方へと寄せたいがために摩擦係数の低い材質とすることが望ましく、樹脂成形品が適する。また、ある程度の柔軟性・可撓性を有していれば、変形しながら回転することによって回転振れを防止できるという点で好ましい。
【0023】
さらに、このドラム4は正回転および逆回転の両方が可能であり、正逆回転可能な駆動部6の回転方向に応じていずれの方向にも回転する。なお、図2においては、このドラム4の回転方向を、図2中における時計回り方向をCW、半時計回り方向をCCWとして表している(図2参照)。
【0024】
なお、中実、つまり中空でない形状のドラム4を使用することも可能ではあるが、本実施形態ではドラム4の軽量化およびドラム4の反転時の切換の速さといった観点から中空のドラム4を採用している。中空ドラム4は中実のドラム4よりも重量が軽い分イナーシャ(慣性)を小さくできるため、磁気情報媒体記録再生装置1の小型化、ドラム4の反転時の切換の速さといった点で有利である。
【0025】
さらに本実施形態においては、ドラム4の中空内部に当該ドラム4を内側から支持する複数(例えば本実施形態では3個)の内支持ローラ13〜15を配置している(図2、図3参照)。例えば本実施形態ではこれら内支持ローラ13〜15をほぼ120°おきに均等となるように配置した上でそれぞれを支持軸52に回転可能に取り付けている(図2、図3参照)。
【0026】
また、これらのうちの1つの内支持ローラ13は磁気ヘッド7の近傍に設けられ、尚かつ支持アーム34によって回動可能な状態でメインフレーム12に取り付けられている。この支持アーム34は例えばコイルばねといった図示しない付勢手段によって外周側に付勢されており、この結果、内支持ローラ13は磁気ヘッド7の位置する外周側に向けて常時付勢されている。
【0027】
加えて、ドラム4を介して対向する位置(つまりドラム4を挟んで内支持ローラ13とは反対の外周側)には搬送手段5の一部を構成する外ローラ16が設けられており、上述した内支持ローラ13とともにドラム4を内外から挟持している(図2、図3、図8参照)。
【0028】
一方、残りの内支持ローラ14,15を支持する各支持軸52は動かないように固定されていることが好ましい。これによって、回転振れを抑えたい1点(例えば本実施形態の場合であれば磁気ヘッド7の近傍位置)のみの1個所でドラム4を挟みつけ、それ以外の箇所では自由で動きが拘束されない支持構造を構成している。
【0029】
ここで、内支持ローラ13と外ローラ16並びに磁気ヘッド7とそのパッドローラ26とは、磁気情報媒体の搬送方向と直交する方向の同じ線上に並んで配置されていることが好ましいが、場合によっては僅かに前後しても回転振れの抑制効果は磁気ヘッド7の位置に影響を与えないものとできる。
【0030】
なお、上述したようにここでは3個所に内支持ローラ13〜15を均等配置した実施形態について説明したがこれは一例に過ぎず例えば4個所以上に配置することもできる。
【0031】
また、本実施形態のドラム4は中空とされた円筒形状であって、さらに当該円筒の内周には環状の凸リブ4aが設けられてその断面形状はチャネル状となっている(図5参照)。この凸リブ4aの中央には内側に向けて突出する環状の凸部4bが設けられ、かつ、内支持ローラ13の中央の外周面中央にはこの凸部4bが嵌る環状の溝部13aが形成されている(図5参照)。
【0032】
内支持ローラ13は、ドラム4を回転可能な状態でその内側から保持しつつ、ドラム4が軸方向に移動してがたつくのを防ぐガイドとしても機能する。この内支持ローラ13をはじめとする各内支持ローラ13〜15は、メインフレーム11,12の円形の孔の縁に形成されているフランジ部分に止めつけられている支持軸52によって回転自在に支持されている。該支持軸52は、ドラム4の傾きに応じてフランジ部分を傾斜させることで所定の角度がつけられている。したがって、本実施形態においてドラム4と各内支持ローラ13,14,15とは平行に配置されている。すなわち、内支持ローラ13の傾斜により、ドラム4が傾斜配置されることになっている。
【0033】
搬送手段5は、磁気情報媒体をドラム4の外周に沿って搬送するためにドラム4の外周と対向配置されているものである。このような搬送手段5としては、具体的にはドラム4の外周の少なくとも一部に沿って磁気情報媒体を送り出すことができる例えば平ベルトやローラあるいはこれらの組み合わせなどが用いられている。
【0034】
ここで本実施形態における搬送手段5の具体的な構成について説明すると、図2等に示すように3本のゴム製の周回するベルト(図2、図3中では符号5a,5b,5cで示している)がドラム4の周囲に重ならないように配置されている(図2、図3参照)。
【0035】
また、各ベルト5a,5b,5cはそれぞれがプーリ17〜23のうちの2個ないしは3個によって張られた状態でドラム4の外周に押し付けられるように設けられている。図2、図3に示すように本実施形態の各ベルト5a,5b,5cは互いに離れて配置され、ベルト5aとベルト5cの間、およびベルト5bとベルト5cの間にはそれぞれ磁気情報媒体の搬送方向を変えるためのフラッパ24,25が設けられている。
【0036】
また、上述した各ベルト5a,5b,5cはそれぞれが2本で一組となっており、ドラム4の幅方向(軸方向)に対称的に並べて配置されている(図5参照)。
【0037】
図5に示しているように、各ベルト5a,5b,5cはドラム4の外周面のうち凸リブ4aがない部分に接触するように配置されている(図5参照)。また、各プーリ17〜23や外ローラ16などはこれら左右一対の各ベルト5a,5b,5cを均等に送り出せるように左右均等の形状となっている(図5参照)。
【0038】
なお、本実施形態の場合、磁気情報媒体の送り方向長さ(縦長さ)よりもドラム4の外周の長さの方が長いことから、ドラム4は必ず各ベルト5a,5b,5cのいずれかと接触しており、これらベルト5a,5b,5cから回転力を受けている。
【0039】
また、各ベルト5a,5b,5cを掛け渡している各プーリ17〜23や外ローラ16などのうち、少なくともいずれかには駆動部6による駆動力が伝達されるように動力的に連結されている。例えば本実施形態の場合には、駆動部6の出力軸、プーリ67、プーリ68、プーリ69およびアイドラ32に動力伝達ベルト31を掛け渡し、駆動部6の動力を各プーリ17,19,22を介して各ベルト5a,5b,5cに伝達するようになっている(図6参照)。
【0040】
駆動部6は、該搬送手段5を駆動する駆動源であり、例えば本実施形態の場合には正逆回転可能なステッピングモータで構成されている(以下、駆動モータ6ともいう)。
【0041】
この駆動モータ6の配置は特にいずれかの位置に限定されることはないが、本実施形態においては、上述したように中空構造としたドラム4の内側に配置し、スペースの有効的な利用を図っている。
【0042】
この駆動モータ6による駆動力は、上述した各プーリへと伝達され各ベルト5a,5b,5cを動作させるようになっている。また、駆動モータ6は、媒体搬送路3などに配置されている図示していないセンサで磁気情報媒体を検出して、適宜モータ回転数をパルス制御するように設けられている。
【0043】
この駆動モータ6は、例えば、モータ取付プレート53を介して一方のメインフレーム例えば図5においては左メインフレーム11に固定されている。
【0044】
モータ取付プレート53は、例えば複数本の連結ピン59によって、ドラム4の縁近くに配置された状態でメインフレーム11に固定されている。
【0045】
この駆動モータ6の表側には手動でモータ軸を回転させるためのノブ60が設けられ、何らかの事情で駆動モータ6が駆動できないときには、手動で各搬送ベルト5a,5b,5cを回転させることができるようになっている。
【0046】
磁気ヘッド7は磁気情報媒体の磁気記録部に記録された磁気情報を読み取りあるいは新たな磁気情報を書き込むためのヘッドである。本実施形態の磁気ヘッド7は磁気情報媒体の磁気記録部と対向する位置に、ドラム4の外周に臨む姿勢で設置されている(図2、図3、図5参照)。
【0047】
また、この磁気ヘッド7と対向する位置には回転自在なパッドローラ26がこの磁気ヘッド7に接触した状態で取り付けられている(図5参照)。このパッドローラ26は、磁気ヘッド7とパッドローラ26との間を通過する磁気情報媒体の磁気記録部を磁気ヘッド7の方へと押し付けるようにして磁気情報の読み取り及び書き込みが確実に行われるようになっている。
【0048】
パッドローラ26及び磁気ヘッド7は、図5に示すように、メインフレーム11に対して固定された支持フレーム61にそれぞれジンバル(弾性)支持されている。支持フレーム61には、例えば図4に示すような箱形(内部に空間を設けた)フレームが採用されている。
【0049】
媒体搬送基準面8は、磁気ヘッド7に対する磁気情報媒体の磁気記録部の基準位置となる面であり、例えば本実施形態の場合には、磁気情報媒体の側部の縁が接する度当たりとしてメインフレーム11の内側(ドラム4のある側)の面に設けられている(図5参照)。磁気情報媒体が当該磁気情報媒体の縁を媒体搬送基準面8に突き当てた状態で搬送されている場合には、磁気情報を読み取りあるいは書き込む際のトラック位置精度が高くなり、出力安定につながる。
【0050】
この媒体搬送基準面8は、独立した部材によって形成されていても構わないが、本実施形態の場合には、媒体搬送路3の両側を区画する左右のメインフレーム11,12の一方、好ましくは磁気ヘッド7に近い側のメインフレーム11の内側面が利用されている。磁気情報媒体がその縁を媒体搬送基準面8に摺接させた状態で搬送されている場合には、磁気情報部が媒体搬送路3の幅方向においては一定位置を走行することとなるため、読み取りあるいは書き込む際のトラック位置精度が高くなり、出力安定につながる。
【0051】
また、磁気情報媒体記録再生装置1には磁気情報媒体を装置内に取り込むための取入れ口27〜29および装置外に送り出すための排出口30がそれぞれ設けられている(図2、図3参照)。
【0052】
本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1の場合には第1取入れ口27、第2取入れ口28、第3取入れ口29という3つの取入れ口を備え、種類やカテゴリーの異なる磁気情報媒体をそれぞれ対応する取入れ口から取り入れることができるようになっている。
【0053】
フラッパ24,25は、媒体搬送路3を搬送されている磁気情報媒体の送り方向を切り換えるための切換手段として構成されている。これらのうち、フラッパ24はベルト5bとベルト5cとの間に設けられているもので、CCW方向へと搬送されている磁気情報媒体の送り方向を切り換えるようになっている。すなわち、磁気情報媒体は、このフラッパ24がドラム4側に移動していれば排出口30へと向かう媒体搬送路3へと送られ、その一方で、フラッパ24が回転ドラム4から離れていればドラム4の外周に沿った搬送路へと送られるようになっている(図2、図3参照)。
【0054】
さらに、フラッパ25はベルト5aとベルト5cとの間に設けられているもので、磁気情報媒体が搬送されている態様に応じて位置を変えるようになっている。すなわち、フラッパ25は、磁気情報媒体が取入れ口27〜29のいずれかから取り込まれてドラム4へと搬送されるときは当該ドラム4に接近して磁気情報媒体の媒体搬送路3を確保し、また、取り込まれた磁気情報媒体が回転ドラム4の周囲を搬送されているときにはこのドラム4から離れて同じように磁気情報媒体の媒体搬送路3を確保するようになっている(図2、図3参照)。
【0055】
また、磁気情報媒体記録再生装置1における搬送系に関しては、各取入れ口27〜29からドラム4の外周まで、あるいはドラム4の外周から排出口30まで磁気情報媒体を搬送するためのローラなどが適宜設けられているが、本実施形態における磁気情報媒体記録再生装置1のこれら搬送系は特に新規な部分というわけではなく、公知の搬送系で足りるものであるため本明細書ではこれらについての詳しい説明は省略する。
【0056】
なお、符号45は磁気ヘッド7およびその周辺部を開放できる回動可能なカバーであり、符号54は媒体搬送路3の一部を開放できる回動可能なカバーである(図4、図7等参照)。
【0057】
さらに、本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1においては、磁気情報を読み取りあるいは書き込む際のトラック位置精度をさらに高めて出力を安定させるという観点から、ドラム4と磁気ヘッド7とをメインフレーム11、12等に対して僅かに傾斜させた状態としている。すなわち、磁気ヘッド7の近傍におけるドラム4と外ローラ16との間隔が開く方向、またはそれらの間における圧力が低下する方向(例えば図5を使って説明すれば図中半時計回りの方向)へとドラム4および磁気ヘッド7をメインフレーム11、12等に対して僅かに傾斜させることとしている(図5等参照)。
【0058】
具体的には、磁気情報媒体の走行幅を規制している左右の各メインフレーム11,12に対して、ドラム4を磁気ヘッド7とドラム4の回転中心を結んだ面で傾けるようにし、さらに、傾いた磁気情報媒体に対して磁気ヘッド7が平行に接触するように当該磁気ヘッド7もメインフレーム11,12に対して傾けて配置している。
【0059】
この場合の傾斜角は、例えば本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1においては1°に設定しているが特にある値に限定されるものではなく、装置の構成や磁気情報媒体の種別等に応じて種々の値を採りうる。従来の回転ドラム4であればメインフレーム11,12に垂直に取り付けられて図5中のθ=90°ということになるが、上述のように傾斜角を1°としている本実施形態の場合にはθ=91°になる(図5参照)。
【0060】
ここで、上述のようにドラム4を傾斜させるための構成は特に限定されるものではないが、可能な限り簡単な構成であることが望ましいことはいうまでもない。例えば本実施形態では上述したように内支持ローラ13〜15をほぼ120°おきに均等となるように配置してメインフレーム12に回転可能に取り付けているが(図2、図3参照)、この際、まずメインフレーム12に内側に向かって突出するブラケット状の3つの突片(以下、ブラケットという)51を設け、これらブラケット51によって支持されている各支持軸52に各内支持ローラ13〜15を取り付けることとしている(図2、図3参照)。そして、これら各ブラケット51を僅かに折り曲げることによって支持軸52および内支持ローラ13〜15も傾斜させ、これによって回転ドラム4も傾斜させることとしている。より具体的に説明すると、内支持ローラ13を支持するブラケット51は、図5においてメインフレーム11とは反対側(図2、図3においては紙面の手前方向)へと僅かに折り曲げられている。
【0061】
また、内支持ローラ15を支持するブラケット51は、図5においてメインフレーム11のある側(図2、図3においては紙面の奥方向)へと僅かに折り曲げられ、内支持ローラ13を支持するブラケット51と平行となっている。さらに、内支持ローラ14を支持するブラケット51は、捻りを加えられつつ僅かに折り曲げられ、上述した各ブラケット51と平行となっている。以上のようにそれぞれ折り曲げられたブラケット51によれば、同じ角度ずつ傾けられる各支持軸52および各内支持ローラ13〜15を介して、ドラム4を所定の角度(本実施形態の場合であれば1°)傾斜した状態とすることができる。 なお、これら各ブラケット51の根本部分には、ブラケット51を僅かに折り曲げる場合に折り曲げやすくするための透孔51aが形成されている(図2、図3等参照)。例えば本実施形態ではこれら透孔51aを周方向に長いほぼ矩形状の孔として形成しているがこれは一例であって、ブラケット51を曲げやすくするものであればこのような形状に限定されることはない。
【0062】
また、本実施形態では、支持軸52の反対側をモータ取付プレート53で受けることとしているが、このモータ取付プレート53についてもその一部を適宜折り曲げることとしている(図6参照)。すなわち、モータ取付プレート53のうち、上側の支持軸(内支持ローラ13を支持する支持軸)52を受ける部分については、図5においてメインフレーム12のある側(図5においては紙面の奥方向)へと僅かに折り曲げられている。
【0063】
一方、モータ取付プレート53のうち、下側の支持軸(内支持ローラ14,15を支持する支持軸)52を受ける部分については、図5においてメインフレーム12とは反対の側(図5においては紙面の手前方向)へと僅かに折り曲げられている。結局、いずれも上述のブラケット51と平行となる程度まで折り曲げていることから、各支持軸52を垂直に取り付けることができるという点で取付作業が簡便である。
【0064】
なお、本実施形態ではモータ取付プレート53に細長形状の透孔および折曲線(図3、図6中でそれぞれ符号53aおよび53bで示す)を設け、モータ取付プレート53の所定部分を折り曲げやすくしている(図5参照)。
【0065】
また、各ベルト5a,5b,5cが掛け渡されている両端の各プーリ17と18,19と21,22と23のうちのいずれか一方には駆動部(例えば駆動モータ)6からの駆動力が同時に伝達されるように動力伝達ベルト31がそれぞれ巻き掛けられている。例えば本実施形態の場合には、駆動モータ6のモータ軸に固着されているプーリ44と、プーリ67、プーリ68、プーリ69およびアイドラ32に動力伝達ベルト31が掛け渡され、駆動モータ6の動力を各プーリ17,19,22を介して各ベルト5a,5b,5cに同時に伝達し、同期回転させるように設けられている(図6参照)。
【0066】
なお、図中の符号20並びに32はアイドラ(アイドルプーリ)であり、搬送ベルト5bや動力伝達ベルト31がそれぞれ干渉するのを防ぎ、あるいは駆動プーリ44に十分巻き掛けられるようにするというものである。
【0067】
ここで、第1の搬送ベルト5aは、左右のメインフレーム11,12を貫通する枢軸47を中心に揺動可能な一対のプレートから成るフレーム45によって支持され、枢軸47を中心に揺動することでドラム4から遠ざけて回転ドラム4を露出可能な構造とされている。このような構造は、取り込み直後に磁気情報媒体がジャムなどを起こした場合にその取り出しを容易なものとできる。フレーム45には、プーリ17,18並びに外プーリ16が回転自在に支持されており、プーリ17,18並びに外プーリ16とこれらに張り掛けられた搬送ベルト5aとが当該フレーム45を介して一体となって1つのブロックとして移動する。このフレーム45は、長孔49内でスライド可能な連結ピン46を備えているもので、該連結ピン46をメインフレーム12側に形成された爪48に引っ掛けることによってドラム4に対して一定の位置関係を保って固定される。連結ピン46は同方向にスライド可能なカバー50によって引っ掛けられている。そして、該カバー50のスライドによって、爪48から離脱されるように設けられている。
【0068】
なお、本実施形態において、磁気ヘッド7及び回転ドラム4は、左右のメインフレーム11,12の間に並べて配置されている。すなわち、左右のメインフレーム11,12の間が磁気情報媒体が通過する媒体搬送路3の幅であり、磁気情報媒体の幅よりも僅かに広いものとされ、磁気情報媒体を搬送する際に僅かなクリアランスが生じるように設定されている。これらメインフレーム11,12は、上述したとおり、その間にスペーサを兼ねるロッドを介在させて互いに連結されることによって一定間隔を開けて互いに対峙している。各メインフレーム11,12の内側の面には、磁気情報媒体の搬入路フレーム35、廃棄路フレーム42並びに排出路フレーム43がそれぞれビス止めなどによって固定されており、磁気情報媒体の両側縁部を支持して搬送路を形成するように設けられている。そして、搬入路フレーム35の間の空間、すなわちメインフレーム11,12の間の中央の空間には、磁気情報媒体を挟持して搬送するための第1〜第3の取り込みローラ36a,36b,37a,37b,38a,38bがそれぞれ配置されている。これらローラ36a,36b,37a,37b,38a,38bは、駆動モータ6から分岐されたベルト62によって駆動される。さらにこれらのローラの奥には別の取り込みローラ39が設けられている。
【0069】
また、磁気情報媒体記録再生装置1には磁気情報媒体を装置内に取り込むための第1〜第3の取入れ口27〜29および装置外に送り出すための排出口30並びに廃棄口41がそれぞれ搬入路フレーム35、廃棄路フレーム42並びに排出路フレーム43によって形成されている。本実施形態の場合には第1の取入れ口27、第2の取入れ口28及び第3の取入れ口29の3つの取入れ口を備え、種類やカテゴリーの異なる磁気情報媒体をそれぞれ対応する取入れ口から取り入れることができるように設けられている。各フレーム35、42並びに43は、磁気情報媒体の両側縁部を挟み込むように、一定のスペースを開けて配置された2枚1組の板材から成り、左右のメインフレーム11,12にそれぞれビス止めなどによって固着されている。
【0070】
また、図中の符号54は媒体搬送路3へ取り込む直前の磁気情報媒体を光学的に読み取る光学スキャナー56を支持するフレームであり、メインフレーム11,12を貫通する枢軸55を中心に揺動可能として、搬入路を開放可能としている。光学スキャナー56部分はさらに軸62を中心に揺動して開閉できる構造とされている。
【0071】
上述のようにドラム4と磁気ヘッド7とを傾斜させた本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1によれば、磁気情報媒体に対し以下のような作用を与える。すなわち、ドラム4を支持するためのモータ取付プレート53の一部、ブラケット51、そして支持軸52を傾けることによってドラム4をメインフレーム11、12等に対して僅かに傾斜させた結果、例えばドラム4と外ローラ16との間隔には偏りが生じており(またはそれらの間に圧力差が生じており)、磁気ヘッド7の近傍における媒体搬送路3は、メインフレーム12に近い方が狭く、メインフレーム11に近い方がそれよりも僅かに広い形となっている(図5参照)。このように間隔ないしは圧力に偏りのある媒体搬送路3中を搬送されたときの磁気情報媒体は、狭い側から広い側へと向かう(または圧力の高い側から低い側へと向かう)横向きの力を受け、メインフレーム11へと寄り、結果的に当該磁気情報媒体の側部の縁を媒体搬送基準面8に接触させながら搬送されることとなる。この結果、磁気情報媒体の磁気情報を読み取りあるいは書き込む際のトラック位置精度がさらに高まり、出力がより安定することになる。
【0072】
さらに、磁気ヘッド7に対して回転ドラム4の直径側においては、媒体搬送路3は、上述とは反対に、メインフレーム11に近い方が狭く、メインフレーム12に近い方が広くなるので、磁気情報媒体はメインフレーム12に寄るようになっている。このため、磁気情報媒体は、搬送路3を周回搬送される際に、磁気ヘッド7の近傍及びそのドラム4の直径側において、メインフレーム11及び12に対して交互に、離間及び近接するようになるので、片側のメインフレームに片寄り過ぎて磁気情報媒体の側縁が損傷することがなくなる。
【0073】
なお、ここで磁気情報媒体記録再生装置1の動作について簡単な説明を加えておく、まず、駆動モータ6を作動させることにより、動力伝達ベルト31および各プーリ67,68,69、および各プーリ17,19,22を介してベルト5a,5b,5cがそれぞれ回転する。また、これらベルト5a,5b,5cと接触しているドラム4もこれに伴い回転する。ここで、取入れ口27〜29から装置内に取り込まれた磁気情報媒体は、ドラム4とベルト5a,5b,5cとの間に挟まれた状態でドラム4とともに回転し移動する。このようにして搬送される磁気情報媒体はその間に磁気ヘッド7の下を通過し、このときに磁気情報が磁気記録部に書き込まれる。この磁気情報書き込みが終了すると、駆動部6はいったん回転を底止し、逆回転することによってドラム4をCCW方向へと回転させる(図2、図3参照)。CCW方向へと搬送される磁気情報媒体は、再び磁気ヘッド7を通過する際に今度は磁気情報のベリファイリード(情報確認のための読み取り動作)が行われる。このとき、フラッパ24はドラム4から離れた位置へと切り換えられ、CCW方向へと搬送される磁気情報媒体を排出口30へと案内する。
【0074】
また、このような動作をする磁気情報媒体記録再生装置1の具体的な適用例として、例えば、ミシン目で繋がれた多数の磁気情報媒体を蛇腹状に折り畳んだ状態の連券をいずれかの取入れ口27〜29から取り込んで処理する場合を挙げて説明する。
【0075】
まず、磁気情報媒体が装入されたことを図示していないセンサ(例えばローラ39の挿入口近傍に設けた)で検知すると、駆動モータ6を作動させて、動力伝達ベルト31を介して3つの搬送手段5の各駆動プーリ17,19,22並びにこれらに巻き掛けられた搬送ベルト5a,5b,5cをそれぞれ回転させる。これに伴って、これらベルト5a,5b,5cと接触しているドラム4が回転する。連券の先端の磁気情報媒体が搬送ベルト5aによって媒体搬送路3に取り込まれると、プレリードが行われ、磁気情報媒体に券種や通し番号等の情報が予め記録されているときにはこれら情報が読み取られて判別される。そして、真正な磁気情報媒体である場合には、カッター33によってミシン目から切り離して1枚の磁気券として取り込む。ここで用いられるカッター33は、直線的な移動が可能なように取り付けられており、連券に対してほぼ垂直に刃を当てることが可能となっている(図2、図3参照)。
【0076】
ここで、本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1の場合には、ドラム4が僅かに傾斜した状態で設けられていることから、水平に配置された搬送ベルト5aとドラム4との間の磁気情報媒体に対する摩擦力に偏り(メインフレーム12に近い方が摩擦力が大きく、メインフレーム11に近い方が摩擦力が小さい)が与えられ、磁気情報媒体に対してメインフレーム11の内側面の媒体搬送基準面8に付勢する横滑りの力が作用する。このため、ドラム4と搬送ベルト5aとの間に挟まれている磁気情報媒体は、その側部の縁を媒体搬送基準面8に押し付けられた状態で磁気ヘッド7の近傍を通過する。この結果、磁気情報媒体の磁気情報を読み取りあるいは書き込む際、高いトラック位置精度が実現されることとなり、その結果、出力がより安定することになる。
【0077】
また、本実施形態の磁気情報媒体記録再生装置1においては磁気情報媒体の長さ(搬送方向の長さ)よりもドラム4の外周の長さの方が長くなっていることから、ドラム4は、必ずいずれかの搬送ベルト5a,5b,5cと接触してベルトから回転力を受ける。したがって、本実施形態のドラム4は、内支持ローラ13,14,15並びに周囲の搬送ベルト5a,5b,5cによって支持されながら回転を続けるが、このとき、一対のローラ13,16で内外から挟持されて該ローラ13,16とドラム4の外周面の接点を支点に揺れるように残りの固定内支持ローラ14,15との間で支持されているので、ドラム4自体の真円度や回転振れにかかわらず、ローラ13,16で挟持されている点の近傍においては同じ所をドラム4が通過するという利点がある。特に、可撓性のある樹脂成形品で構成された本実施形態のドラム4の場合には、回転時に回転ドラム4そのものが変形することによって、ドラム4の内周面が全ての内支持ローラ13,14,15で支えられるので、ドラム4の回転振れそのものが抑えられる。したがって、ドラム4の位置と磁気ヘッドの位置関係を一定に保つことができ、磁気データの書き込み/読み取り出力が安定する。
【0078】
上述のようにしてカッター33で切り離された磁気券/紙製磁気カード(磁気情報媒体)はドラム4の外周をCW方向へと1回転してから、再び磁気ヘッド7を通過する際に必要な情報が書き込まれる。書き込みが完了したこと(所定位置まで磁気情報媒体が達したこと)を図示していないセンサで検出すると、駆動モータ6が一旦停止した後、逆回転して(ドラム4を逆回転させて)磁気情報媒体をCCW方向へと搬送し、再び磁気ヘッド7を逆方向に通過させてベリファイリードを行い、書き込み内容を照合する。照合結果が問題なければ、フラッパ24を切り換え、磁気情報媒体を排出口30から排出する(図2、図3参照)。なお、照合結果に不都合がある場合には、フラッパ24は切り換えずに廃棄用フラッパ40を切り換え、そのままドラム4の周りを回転させて廃棄路41から廃棄する。
【0079】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では航空券のような可撓性のある磁気情報媒体を磁気ヘッド7で読み取りあるいは書き込む場合を例に説明したが、これに限られず可撓性のある媒体、例えば小切手やはがきなどの検査を行う装置などにも適用することが可能である。さらには、例えば情報読み取り手段として光学スキャナーやバーコードリーダを備えた装置においても適用することができる。すなわち、磁気、画像、バーコードなどのいずれを読み取りや書き込みの対象とする場合であっても、磁気情報媒体をある基準面に沿わせて所定位置を通過させる構成の機器であれば本発明を適用してトラック位置精度を高め、出力の安定化を図ることが可能である。
【0080】
また、ドラム4の外周のうち磁気ヘッド7の正反対となる部分(図2、図3でいえばプーリ20,21の近傍)では、搬送中の磁気情報媒体が逆にメインフレーム12側に寄ってこのメインフレーム12の表面に密着する場合が起こりうる。そこでこのような場合を見越して、さらに別の磁気ヘッド7をこのメインフレーム12にも設けておくことができる。こうした場合、ドラム4の中心位置を挟んで一対の磁気ヘッドが対称的に配置されることになるから、磁気情報媒体の取り込み時の方向を問わずに情報の読み取りや書き込みが可能な装置を構成することができる。つまり、磁気情報媒体が正しい向きで装置内に取り込まれた場合には本実施形態で説明したように媒体搬送基準面8に沿って移動している最中に磁気ヘッド7で読み取り(書き込み)を行えばよいし、仮に磁気情報媒体が逆向きに取り込まれた場合であれば、当該磁気情報媒体がメインフレーム12に縁を接触させながら搬送されている最中に上述した別の磁気ヘッドで読み取り(書き込み)を行えばよく、いずれの場合にも対応することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、モータ取付プレート53の一部、ブラケット51、そして支持軸52を傾けることによってドラム4を僅かに傾斜させるようにした形態について説明したが、これは搬送中の磁気情報媒体を側部へと寄せるための一態様に過ぎない。すなわち、上述したように、磁気情報媒体記録再生装置1においては、磁気ヘッド7の近傍におけるドラム4と搬送手段5との間隔が媒体搬送基準面8に近づくほど徐々に開くように(あるいは、それらの間における圧力が媒体搬送基準面8に近づくほど徐々に低下するように)構成されていれば磁気情報媒体を側部へと寄せることが可能となるから、結局、これらドラム4と搬送手段5との間隔(ないしは圧力)は、相対的に開いていれば(あるいは低下していれば)構わない。したがって、上述したモータ取付プレート53の一部、ブラケット51、支持軸52、そしてドラム4は傾けずに水平に保ったまま、これら以外の部材、例えば搬送手段5を僅かに傾斜させた装置の場合にも本実施形態の装置と同様の作用効果が得られることになる。
【0082】
さらに、本実施形態ではドラム4および磁気ヘッド7を傾斜させるという形態を説明したが、これも磁気情報媒体記録再生装置1の好ましい形態の一例であってこれに限られるというわけではない。すなわち、本実施形態のような磁気情報媒体記録再生装置1においては、情報記録や再生をより確実に行うという観点からすれば、磁気ヘッド7をドラム4と同角度傾斜させて当該ドラム4と平行とし、磁気情報媒体の磁気磁気記録部に対する磁気ヘッド7の傾斜角度を0(ゼロ)とすることが最も望ましいが、例えば本実施形態のように磁気情報媒体が紙媒体であってドラム4の傾斜角度が1°程度といった場合であれば、磁気磁気記録部に対する磁気ヘッド7の傾斜角度が0(ゼロ)でなくても(具体的には、1°程度であっても)、磁気情報を記録したり再生したりすることは可能である。特に、本実施形態のようにパッドローラ26がパッドローラ26及び磁気ヘッド7がジンバル(弾性)支持されている場合には、磁気情報媒体に対して磁気ヘッド7を傾斜角度0で対向させることも可能であることから、磁気ヘッド7を当初から傾斜させていなくても磁気記録や再生を十分に行うことが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明にかかる磁気情報媒体記録再生装置の右側面図である。
【図2】図1に示した磁気情報媒体記録再生装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図3】図2に示した磁気情報媒体記録再生装置の縦断面図において駆動部(駆動モータ)を外した状態を示す図である。
【図4】磁気情報媒体記録再生装置の正面図である。
【図5】図2のV−V線における断面図である。
【図6】磁気情報媒体記録再生装置の左側面図である。
【図7】磁気情報媒体記録再生装置の平面図である。
【図8】図3に示した磁気情報媒体記録再生装置のうち、外ローラおよび内支持ローラで挟持されている回転ドラムの周辺部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 磁気情報媒体記録再生装置
3 媒体搬送路
4 ドラム
5 搬送手段
6 駆動部
7 磁気ヘッド
8 媒体搬送基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周が磁気情報媒体の媒体搬送路を形成する回転自在のドラムと、該ドラムの外周と対向配置され磁気情報媒体をドラムの外周に沿って搬送する搬送手段と、磁気情報媒体の磁気記録部と対向する位置に配置された磁気ヘッドとを有する磁気情報媒体記録再生装置において、前記磁気情報媒体の搬送方向側部の縁が接するように前記媒体搬送路の一側に設けられた度当たりであって前記磁気ヘッドに対する前記磁気情報媒体の磁気記録部の基準位置となる媒体搬送基準面を備えるとともに、前記磁気ヘッド近傍における前記ドラムと前記搬送手段との間隔が開く方向あるいはそれらの間における圧力が低下する方向へと前記ドラムを当該ドラム以外の機器に対して相対的に傾斜させていることを特徴とする磁気情報媒体記録再生装置。
【請求項2】
前記磁気ヘッドを前記ドラムと同角度傾斜させて当該ドラムと平行としていることを特徴とする請求項1に記載の磁気情報媒体記録再生装置。
【請求項3】
前記ドラムの中心位置を対称中心とした前記磁気ヘッドの点対称位置に別の磁気ヘッドを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気情報媒体記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−146497(P2006−146497A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334695(P2004−334695)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】