説明

磁気情報読取機構

【課題】磁気ヘッドと磁気媒体の綴じ目とが接触することを防止する。
【解決手段】磁気ストライプ211が綴じ目206と交差する方向に設けられた磁気媒体200を第1媒体200aとし、磁気ストライプ221が綴じ目と平行な方向に設けられた磁気媒体を第2媒体200bとし、磁気情報を読み取る場合に、磁気媒体を、磁気ヘッド181が第1媒体の綴じ目に接触しない位置に規定された第1読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取り、第1読取ポジションでの読み取り結果から磁気媒体が第2媒体であると判断されるときに、磁気媒体を、第2読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取機構に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気情報読取機構の中には、例えば預金通帳等の冊子状に形成された磁気媒体から磁気情報を読み取ることができるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような磁気情報読取機構は、主に金融機関等で使用される機器、例えば、通帳記帳機や、自動取引装置(ATM)、窓口装置等に用いられている。
【0003】
図7に、磁気情報読取機構の一構成例を示す。図7は、従来の磁気情報読取機構の概要説明図である。図7(a)は、上方向から見た磁気情報読取機構の構成を示しており、図7(b)は、横方向から見た磁気情報読取機構の構成を示している。なお、図7(b)中、符号「l1」は、後記する第2媒体200bの磁気ストライプ221の長さを表している。また、符号「LL1」は、後記する磁気ヘッド4の可動範囲を表しており、符号「LL2」は、磁気情報を読み取ることが可能な範囲(以下、「読取範囲」と称する)を表している。
【0004】
図7に示すように、磁気情報読取機構50は、搬送アッパガイド5と搬送ロアガイド6とによって、磁気媒体200を搬送するための搬送路8が形成されている。搬送路8には、磁気情報の読み取り時に、挿入口9から、利用者によって、磁気媒体200が挿入される。ここでは、磁気媒体200として、「通帳」が挿入されるものとして説明する。
【0005】
搬送アッパガイド5には、図示せぬ駆動機構によって回転駆動される搬送ローラ2が設けられている。一方、搬送ロアガイド6には、搬送ローラ2の回転に従動して回転するプレッシャローラ3が設けられている。プレッシャローラ3は、図示せぬ移動機構によって、搬送ローラ2と密着するように上方向に、又は、搬送ローラ2から離間するように下方向に、移動させられる。
【0006】
搬送ローラ2は、搬送路8に挿入された磁気媒体200をプレッシャローラ3との間で挟みながら回転駆動されることにより、磁気媒体200を予め定められた読取ポジションまで搬送する。「読取ポジション」は、磁気媒体200から磁気情報を読み取るために規定された、磁気媒体200の停止位置である。磁気媒体200は、読取ポジション上に、例えば搬送ロアガイド6の側方に設けられた搬送ガイド突き当て面7に突き当てられた状態で停止される。
【0007】
磁気情報読取機構50は、図7(b)に示す矢印に沿って移動する磁気ヘッド4を有している。磁気ヘッド4は、通常時に、搬送ロアガイド6のガイド面の下に退避しており、磁気情報の読み取り時に、図7(b)に示す矢印に沿って移動する。これにより、磁気ヘッド4は、磁気媒体200の磁気ストライプ(図示例では、磁気ストライプ211)と接触して、磁気媒体200から磁気情報を読み取る。
【0008】
ところで、磁気媒体200である通帳には、図8に示すように、磁気ストライプ211が綴じ目206と交差する方向に設けられたもの(以下、「第1媒体200a」と称する)と、図9に示すように、磁気ストライプ221が綴じ目206と平行な方向に設けられたもの(以下、「第2媒体200b」と称する)とが存在する。
【0009】
なお、図8は、第1媒体の構成図であり、図9は、第2媒体の構成図である。図8(a)、図8(b)、及び図8(c)は、それぞれ、正面方向、下方向、右方向から見た開ページ状態の第1媒体200aの構成を示している。一方、図9(a)、図9(b)、及び図9(c)は、それぞれ、正面方向、下方向、右方向から見た開ページ状態の第2媒体200bの構成を示している。
【0010】
第1媒体200a及び第2媒体200bは、外形寸法が同じである。また、第1媒体200a及び第2媒体200bは、磁気ストライプ211,221の幅及び横方向の位置が同じである。ただし、第1媒体200a及び第2媒体200bは、綴じ目206の方向、磁気ストライプ211,221の長さ、及び磁気ストライプ211,221に書き込まれている情報が異なる。
【0011】
磁気情報読取機構50は、磁気媒体200から磁気情報を読み取るまでは、磁気媒体200が第1媒体200a及び第2媒体200bのいずれであるのかを判別できない。そのため、磁気情報読取機構50は、磁気ストライプが長い方の磁気媒体(すなわち、第2媒体200b)から磁気情報を読み取ることができるように、磁気ヘッド4の可動範囲LL1及び読取範囲LL2が第2媒体200bの磁気ストライプ221の長さl1に合わせて設定されている(図7(b)参照)。そのため、磁気情報読取機構50は、磁気ヘッド4の可動範囲LL1及び読取範囲LL2が第2媒体200bの磁気ストライプ221の長さl1よりも若干長く設定されている。なお、磁気ストライプ221の長さl1は、磁気媒体200の縦方向の長さ(搬送方向の長さ)でもある。したがって、磁気情報読取機構50は、磁気ヘッド4を、磁気媒体200の縦方向の長さl1よりも長い範囲で移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−226013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、磁気情報読取機構50は、磁気ヘッド4の可動範囲LL1及び読取範囲LL2が第2媒体200bの磁気ストライプの長さl1に合わせて設定されているため、磁気媒体200として第1媒体200aが用いられた場合に、磁気ヘッド4と第1媒体200aの綴じ目206とが接触する。この接触時の衝撃により、第1媒体200aは、磁気ヘッド4からF方向(図7(a)参照)に押圧され、その結果、R方向に傾斜するときがあった。また、その衝撃により、磁気ヘッド4が、磨耗していた。
【0014】
従来の磁気情報読取機構は、前記した通り、磁気媒体として第1媒体(すなわち、磁気ストライプが綴じ目と交差する方向に設けられた磁気媒体)が用いられた場合に、磁気ヘッドと第1媒体の綴じ目とが接触する、という課題があった。
これにより、従来の磁気情報読取機構は、第1媒体が傾斜したり、磁気ヘッドが磨耗したりしていた。
【0015】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、磁気ヘッドと磁気媒体の綴じ目とが接触することが防止される磁気情報読取機構を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、磁気ヘッドを磁気媒体に設けられた磁気ストライプと対向して移動させることにより、当該磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取機構であって、前記磁気ストライプが綴じ目と交差する方向に設けられた磁気媒体を第1媒体とし、前記磁気ストライプが綴じ目と平行な方向に設けられた磁気媒体を第2媒体とし、当該第1媒体から前記磁気情報を読み取るための第1読取ポジションと、当該第2媒体から前記磁気情報を読み取るための第2読取ポジションとが予め規定され、前記第1読取ポジションは、前記磁気ヘッドが当該第1媒体の綴じ目に接触しない位置に規定されており、前記磁気情報を読み取る場合に、前記磁気媒体を、前記第1読取ポジションにセットしてから、前記磁気情報を読み取り、前記第1読取ポジションでの読み取り結果から前記磁気媒体が前記第2媒体であると判断されるときに、前記磁気媒体を、前記第2読取ポジションにセットしてから、前記磁気情報を読み取る構成とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、磁気ヘッドと磁気媒体の綴じ目とが接触することが防止される磁気情報読取機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る磁気情報読取機構の構成図である。
【図2】実施形態1に係る磁気情報読取機構の機能ブロック図である。
【図3】実施形態1に係る磁気情報読取機構の動作説明図である。
【図4】実施形態1に係る磁気情報読取機構の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施形態2に係る磁気情報読取機構の動作説明図(1)である。
【図6】実施形態2に係る磁気情報読取機構の動作説明図(2)である。
【図7】従来の磁気情報読取機構の概要説明図である。
【図8】第1媒体の構成図である。
【図9】第2媒体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0020】
[実施形態1]
<磁気情報読取機構の構成>
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態1に係る磁気情報読取機構の構成につき説明する。図1は、本実施形態1に係る磁気情報読取機構の構成図である。図2は、実施形態1に係る磁気情報読取機構の機能ブロック図である。なお、図1(b)中、符号「l2」は、第1媒体200aの磁気ストライプ211の長さを表している。また、符号「L1」は、磁気ヘッド181の可動範囲を表しており、符号「L2」は、磁気ヘッド181の読取範囲を表している。
【0021】
図1に示すように、磁気情報読取機構100は、搬送アッパガイド121と搬送ロアガイド122とによって、磁気媒体200を搬送するための搬送路125が形成されている。搬送路125には、磁気情報の読み取り時に、挿入口127から、利用者によって、磁気媒体200が挿入される。ここでは、磁気媒体200として、「通帳」が挿入されるものとして説明する。
【0022】
搬送アッパガイド121には、搬送ローラ駆動機構112(図2参照)によって回転駆動される複数の搬送ローラ161a〜161f(以下、総称する場合に、「搬送ローラ161」と称する)が設けられている。一方、搬送ロアガイド122には、搬送ローラ161の回転に従動して回転する複数のプレッシャローラ162a〜162f(以下、総称する場合に、「プレッシャローラ162」と称する)が設けられている。プレッシャローラ162は、プレッシャローラ移動機構113(図2参照)によって、搬送ローラ161と密着するように上方向に、又は、搬送ローラ161から離間するように下方向に、移動させられる。なお、プレッシャローラ162は、図示せぬ駆動機構によって回転駆動されるように構成されていてもよい。
【0023】
また、搬送アッパガイド121及び搬送ロアガイド122には、それぞれ、挿入検知センサ131、走行監視センサ132、及び突き当て確認センサ133が設けられている。
「挿入検知センサ131」は、挿入口127への磁気媒体200の挿入を検知するための検知手段である。
「走行監視センサ132」は、搬送路125内での磁気媒体200の走行位置・走行状態等を検知するための検知手段である。
「突き当て確認センサ133」は、搬送ガイド突き当て面126への磁気媒体200の突き当て状態を検知するための検知手段である。
【0024】
また、搬送路125の側方には、突き当てブロック171が設けられている。突き当てブロック171は、磁気媒体200を、搬送ロアガイド122の側方に設けられた搬送ガイド突き当て面126に突き当てるための構成要素である。突き当てブロック171は、突き当てブロック移動機構114(図2参照)によって押圧されて、搬送路125内を、搬送ガイド突き当て面126の方向に移動する。磁気媒体200は、突き当てブロック171によって搬送ガイド突き当て面126に突き当てられ、その後、搬送ガイド突き当て面126に沿って、後記する第1読取ポジション(図3(b)参照)まで移動する。
【0025】
磁気情報読取機構100は、図1(b)に示す矢印に沿って移動する磁気ヘッド181を有している。磁気ヘッド181は、通常時に、搬送ロアガイド122のガイド面の下に退避している。磁気ヘッド181は、磁気情報の読み取り時に、磁気ヘッド移動機構115(図2参照)によって押圧されて、図1(b)に示す矢印に沿って移動する。すなわち、磁気ヘッド181は、搬送ロアガイド122に設けられた開口124から搬送路125内に進入した後、水平方向に移動する。これにより、磁気ヘッド181は、磁気媒体200の磁気ストライプ211又は221と接触して、磁気媒体200から磁気情報を読み取る。
【0026】
また、磁気情報読取機構100は、図2に示すように、制御部101の中に、搬送制御部101a、磁気ヘッド制御部101b、及び磁気情報判定部101cを有している。これらは、CPU、ROM、RAM、及びプログラムにより構成されている。
搬送制御部101aは、磁気媒体200の搬送を制御するための機能手段である。
磁気ヘッド制御部101bは、磁気ヘッド181の移動動作及び読み取り動作を制御するための機能手段である。
磁気情報判定部101cは、磁気媒体200から読み取られた磁気情報の内容を判定するための機能手段である。
【0027】
また、磁気情報読取機構100は、図2に示すように、シャッタ駆動機構111、搬送ローラ駆動機構112、プレッシャローラ移動機構113、突き当てブロック移動機構114、磁気ヘッド移動機構115等を備えている。
シャッタ駆動機構111は、挿入口シャッタ127を開閉させるための駆動手段である。
搬送ローラ駆動機構112は、搬送ローラ161を回転させるための駆動手段である。
プレッシャローラ移動機構113は、プレッシャローラ162を上方向又は下方向に移動させるための手段である。
突き当てブロック移動機構114は、突き当てブロック171を移動させるための手段である。
磁気ヘッド移動機構115は、磁気ヘッド181を移動させるための手段である。
【0028】
磁気情報読取機構100は、従来の磁気情報読取機構50と比較すると、以下の特徴を有している。
【0029】
(1)従来の磁気情報読取機構50は、磁気ヘッド4の可動範囲LL1及び読取範囲LL2が第2媒体200bの磁気ストライプ221の長さl1に合わせて設定されている(図7(b)参照)。これに対して、磁気情報読取機構100は、磁気ヘッド181と第1媒体200aの綴じ目206とが接触しないように、磁気ヘッド181の可動範囲L1及び読取範囲L2が第1媒体200aの磁気ストライプ211の長さl2に合わせて設定されている。すなわち、磁気情報読取機構100は、磁気ヘッド181の可動範囲L1及び読取範囲L2が、第1媒体200aの磁気ストライプ211の長さl2より若干長くなる程度に設定されている。なお、磁気ストライプ211の長さl2は、磁気媒体200の縦方向の長さ(すなわち、第2媒体200bの磁気ストライプ221の長さl1)の半分よりも短い。したがって、磁気情報読取機構100は、磁気ヘッド181を、従来の磁気情報読取機構50の磁気ヘッド4の読取範囲LL2よりも短い範囲で移動させる。
【0030】
(2)従来の磁気情報読取機構50は、「読取ポジション」が1箇所に設定されている。これに対して、磁気情報読取機構100は、「読取ポジション」が複数(本実施形態1では、第1読取ポジションと第2読取ポジションの2箇所(図3参照))設定されている。なお、「第1読取ポジション」は、第1媒体200aから磁気情報を読み取るために規定された、磁気媒体200の停止位置である。ただし、磁気情報読取機構100は、第1媒体200a及び第2媒体200bの種別に関係なく、一回目の読み取り動作では、すべての磁気媒体200を「第1読取ポジション」に一旦停止させる。この第1読取ポジションは、磁気ヘッド181が第1媒体200aの綴じ目206に接触しない位置に規定されている。また、「第2読取ポジション」は、第2媒体200bから磁気情報を読み取るために規定された、磁気媒体200の停止位置である。「第1読取ポジション」及び「第2読取ポジション」の位置関係については、図3を用いて後記する。
【0031】
(3)従来の磁気情報読取機構50は、一回の読み取り動作で、第1媒体200a及び第2媒体200bの種別に関係なく、磁気媒体200を所定の読取ポジションにセットすることにより、磁気情報を読み取る。これに対して、磁気情報読取機構100は、一度目の読み取り動作で、第1媒体200a及び第2媒体200bの種別に関係なく、磁気ヘッド181が第1媒体200aの綴じ目206に接触しないように、磁気媒体200を第1読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取り、第1読取ポジションでの読み取り結果から磁気媒体200が第2媒体200bであると判断されるときに、二度目の読み取り動作で、磁気媒体200を第2読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取る。
【0032】
<読取ポジションの位置関係>
以下、図3を参照して、本実施形態1に係る磁気情報読取機構100の読取ポジションの位置関係につき説明する。図3は、実施形態1に係る磁気情報読取機構の動作説明図である。図3は、磁気情報読取機構100の読取ポジションの位置関係を示している。図3(a)は、磁気情報読取機構100の読取範囲L2を示している。図3(b)は、読取範囲L2と第1読取ポジションとの位置関係を示しており、図3(c)は、読取範囲L2と第2読取ポジションとの位置関係を示している。
【0033】
なお、ここでは、図3(a)に示すように、磁気情報読取機構100の磁気ヘッド181の可動範囲が「L1」となっており、磁気ヘッド181の読取範囲が「L2」となっているものとして説明する。
【0034】
また、ここでは、第1媒体200a及び第2媒体200bの寸法が、それぞれ、以下のようになっているものとして説明する。
【0035】
第1媒体200aは、図3(b)に示すように、縦方向の長さが「l1」となっており、磁気ストライプ211の長さが「l2」となっており、綴じ目206から磁気ストライプ211の前端までの距離「l3」となっており、磁気ストライプ211の後端から磁気書込エリア212aまでの間の空白エリアの長さが「l4」となっており、磁気書込エリア212aの長さが「l5」となっている。なお、第1媒体200aの綴じ目206は、第1媒体200aの前端(又は、後端)から(l1/2)の距離に設けられている。また、第1媒体200aの磁気ストライプ211は、第1媒体200aの左端(側端)から「w1」の距離に設けられている。
【0036】
一方、第2媒体200bは、図3(c)に示すように、縦方向の長さ及び磁気ストライプ221の長さが「l1」となっており、磁気ストライプ221の後端から磁気書込エリア222aまでの間の空白エリアの長さが「l4」となっており、磁気書込エリア222aの長さが「l6」となっている。なお、第2媒体200bの磁気ストライプ221は、第2媒体200bの左端(側端)から「w1」の距離に設けられている。
【0037】
このような位置関係において、「第1読取ポジション」は、図3(b)に示すように、第1媒体200aの綴じ目206から磁気ストライプ211の前端までの範囲内の位置に規定されている。
すなわち、「第1読取ポジション」は、第1媒体200aの前端から第1読取ポジションまでの距離を「lm」とすると、以下の式(1)で表される位置に規定されている。
(l1/2)<lm<((l1/2)+l3) …(1)
【0038】
また、「第2読取ポジション」は、図3(c)に示すように、第2媒体200bの前端からの距離が、第1読取ポジションよりも小さな値になる位置に規定されている。
すなわち、「第2読取ポジション」は、第2媒体200bの前端から第2読取ポジションまでの距離を「ln」とすると、以下の式(2)で表される位置に規定されている。
ln<lm …(2)
ただし、「第2読取ポジション」は、磁気情報の読み取り対象となるエリア(図示例では、第2媒体200bの磁気書込エリア222a)が磁気ヘッド181の読取範囲L2に含まれる位置となるように、規定されている。
【0039】
<磁気情報読取機構の動作>
以下、図4を参照して、本実施形態1に係る磁気情報読取機構100の動作につき説明する。図4は、実施形態1に係る磁気情報読取機構の動作を説明するためのフローチャートである。
【0040】
磁気情報読取機構100は、通常時に、挿入口シャッタ151が閉じており、これにより、搬送路125が閉鎖された状態となっている(図1参照)。
磁気情報読取機構100の利用者は、磁気情報の読み取り時に、磁気媒体200を挿入口127に挿入する。これにより、磁気情報読取機構100は、磁気情報の読み取り動作を開始する。
【0041】
磁気情報の読み取り動作では、磁気情報読取機構100は、まず、磁気媒体200を第1読取ポジション(図3(b)参照)にセットする(S105)。このS105の処理は、以下のようにして行われる。
【0042】
すなわち、磁気情報読取機構100は、まず、搬送制御部101a(図2参照)が、挿入検知センサ131によって、磁気媒体200の挿入を検知し、これに応答して、シャッタ駆動機構111及び搬送ロータ駆動機構112を作動させる。これにより、シャッタ駆動機構111が挿入口シャッタ151を開けるとともに、搬送ロータ駆動機構112が搬送ローラ161を回転させて、磁気媒体200を磁気情報読取機構100の内部に取り込む。
【0043】
搬送制御部101aは、磁気媒体200が磁気情報読取機構100の内部に取り込まれると、走行監視センサ132によって、磁気媒体200の走行位置・走行状態等を検知しながら、搬送ロータ駆動機構112を作動させて、磁気媒体200を突き当てブロック171が設けられた位置まで搬送させる。
【0044】
搬送制御部101aは、磁気媒体200が突き当てブロック171が設けられた位置まで搬送されると、搬送ローラ161の回転を停止させる。そして、搬送制御部101aは、プレッシャローラ移動機構113(図2参照)を作動させて、プレッシャローラ162の上端の位置が搬送ロアガイド122のガイド面よりも下になるように、プレッシャローラ162を下方向に移動させる。
【0045】
搬送制御部101aは、プレッシャローラ162が移動すると、突き当てブロック移動機構114を作動させて、突き当てブロック171を図1に示す初期位置から搬送ガイド突き当て面126の方向に移動させる。
【0046】
搬送制御部101aは、突き当て確認センサ133によって、搬送ガイド突き当て面126への磁気媒体200の突き当てを検出すると、突き当てブロック171の移動を一旦停止させる。その後、搬送制御部101aは、突き当てブロック移動機構114を再び作動させて、突き当てブロック171を初期位置に戻させる。
【0047】
搬送制御部101aは、突き当てブロック171が初期位置に戻ると、プレッシャローラ移動機構113(図2参照)を作動させて、プレッシャローラ162を上方向に移動させる。これにより、磁気媒体200は、プレッシャローラ162と搬送ローラ161とによって挟み込まれる。
【0048】
搬送制御部101aは、プレッシャローラ162が上方向に移動すると、走行監視センサ132によって、磁気媒体200の走行位置・走行状態等を検知しながら、搬送ロータ駆動機構112を作動させて、磁気媒体200を第1読取ポジションまで搬送させる。
このようにして、S105の処理が行われる。
【0049】
S105の処理の後、磁気情報読取機構100は、第1媒体200aの磁気書込エリア212a(図3(b)参照)から磁気情報を読み取る(S110)。このS110の処理は、以下のようにして行われる。
【0050】
すなわち、磁気情報読取機構100は、磁気ヘッド制御部101bが、磁気ヘッド移動機構115を作動させる。これにより、磁気ヘッド移動機構115が、図3(a)に示す矢印に沿って磁気ヘッド181を移動(走行)させる。このとき、磁気ヘッド181は、読取範囲L2内で、磁気媒体200の磁気ストライプ211又は221と接触して、磁気媒体200から磁気情報を読み取る。なお、本実施形態1では、磁気ヘッド制御部101bは、第1媒体200aの磁気書込エリア212a(図3(b)参照)から磁気情報を読み取るように、磁気ヘッド181を制御しているものとする。
このようにして、S110の処理が行われる。
【0051】
なお、第1読取ポジションは、前記した通り、磁気ヘッド181が第1媒体200aの綴じ目206に接触しない位置に規定されている。そのため、S110の処理では、磁気ヘッド181が第1媒体200aの綴じ目206に接触しない。
【0052】
S110の処理の後、磁気情報読取機構100は、磁気情報判定部101c(図2参照)によって、磁気媒体200が第1媒体200aか否かを判定する(S115)。
【0053】
S115の判定で、磁気媒体200が第1媒体200aであると判定された場合(“Yes”の場合)に、磁気情報読取機構100は、磁気情報の読み取り動作を終了する。
【0054】
一方、S115の判定で、磁気媒体200が第1媒体200aでない(すなわち、磁気媒体200が第2媒体200bである)と判定された場合(“No”の場合)に、工程はS120に進む。
この場合に、磁気情報読取機構100は、S105の処理と同様に動作して、磁気媒体200を第2読取ポジションにセットする(S120)。
【0055】
S120の処理の後、磁気情報読取機構100は、S110の処理と同様に動作して、第2媒体200bの磁気書込エリア222a(図3(c)参照)から磁気情報を読み取り(S125)、磁気情報の読み取り動作を終了する。
【0056】
なお、磁気情報読取機構100は、磁気情報の読み取り動作が終了すると、予め定められた所定の動作(例えば、磁気媒体200を図示せぬ印字部や頁読み取り部等に搬送して、印字や頁読み取り等の処理)を行う。
【0057】
以上の通り、本実施形態1に係る磁気情報読取機構100によれば、磁気情報の読み取り時に、一回目の読み取り動作で、第1媒体200a及び第2媒体200bの種別に関係なく、磁気ヘッド181が第1媒体200aの綴じ目206に接触しないように、磁気媒体200を第1読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取り、第1読取ポジションでの読み取り結果から磁気媒体200が第2媒体200bであると判断されるときに、二度目の読み取り動作で、磁気媒体200を第2読取ポジションにセットしてから、磁気情報を読み取る。
【0058】
このような磁気情報読取機構100によれば、磁気ヘッド181と第1媒体200aの綴じ目206とが(当然ながら、第2媒体200bの綴じ目206とも)接触することを防止することができる。
その結果、磁気情報読取機構100によれば、第1媒体200aが傾斜したり、磁気ヘッド181が磨耗したりすることを防止することができる。
【0059】
[実施形態2]
本実施形態2では、磁気媒体200が複数の磁気書込エリアを有する第2媒体200bである場合に、磁気情報読取機構100が、各磁気書込エリアから磁気情報を複数回に分けて読み取ることを特徴とする。
なお、本実施形態2では、磁気情報読取機構100の構成自体は、実施形態1のものと同じである(図1及び図2参照)。また、その動作は、実施形態1の動作に準じたものとなる(図4参照)。
【0060】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態2の詳細につき説明する。図5及び図6は、それぞれ、実施形態2に係る磁気情報読取機構の動作説明図である。
【0061】
図5は、複数の磁気書込エリア(図示例では、磁気書込エリア222aと磁気書込エリア222bの2箇所)を有する第2媒体200bの構成を示している。図5に示す例では、第2媒体200bは、磁気書込エリア222aと磁気書込エリア222bとの間の空白エリアの長さが「l7」となっており、磁気書込エリア222bの長さが「l8」となっており、磁気書込エリア222bから磁気ストライプ221の前端までの間の空白エリアの長さが「l9」となっている。なお、図5に示す例では、磁気書込エリア222aの長さl6の方が磁気書込エリア222bの長さl8よりも長いように描かれているが、逆の場合もある。また、磁気書込エリアの数は、3箇所以上にすることもできる。
【0062】
図6(a)は、磁気情報読取機構100の読取範囲L2を示している。図6(b)は、磁気書込エリア222aから磁気情報を読み取る場合の読取範囲L2と第1読取ポジションとの位置関係を示しており、図6(c)は、磁気書込エリア222bから磁気情報を読み取る場合の読取範囲L2と第2読取ポジションとの位置関係を示している。
【0063】
磁気情報読取機構100は、一回目の読み取り動作(すなわち、図4に示すS105及びS110の処理)で、図6(b)に示すように、磁気媒体200(ここでは、第2媒体200b)を第1読取ポジションにセットして、磁気書込エリア222aに書き込まれている磁気情報を読み取る。
この後、磁気情報読取機構100は、図4に示すS115の判定(すなわち、磁気媒体200が第1媒体200aか否かの判定)を行う。
そして、磁気情報読取機構100は、S115の判定で、磁気媒体200が第1媒体200aでない(すなわち、磁気媒体200が第2媒体200bである)と判定された場合(“No”の場合)に、二回目の読み取り動作(すなわち、図4に示すS120及びS125の処理)で、図6(c)に示すように、磁気媒体200(ここでは、第2媒体200b)を第2読取ポジションにセットして、磁気書込エリア222bに書き込まれている磁気情報を読み取る。
【0064】
なお、磁気情報読取機構100は、好ましくは、磁気書込エリアの数が3箇所以上ある場合に、すべての磁気書込エリアから磁気情報が読み取れるように、第2読取ポジションの位置又は読み取り回数が予め設定されているとよい。
【0065】
以上の通り、本実施形態2によれば、各磁気書込エリアから磁気情報を複数回に分けて読み取る。これにより、本実施形態2によれば、磁気ストライプ221の長さl1(図6(b)参照)が第1媒体200aの磁気ストライプ211の長さl2(図3(b)参照)よりも長い第2媒体200bであっても、磁気ヘッド181の読取範囲L2を、第1媒体200aから磁気情報を読み取る場合と同様に設定することができる。そのため、本実施形態2によれば、磁気情報読取機構100の小型化を図ることができる。
【0066】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
100 磁気情報読取機構
101 制御部
101a 搬送制御部
101b 磁気ヘッド制御部
101c 磁気情報判定部
111 シャッタ駆動機構
112 搬送ローラ駆動機構
113 プレッシャローラ移動機構
114 突き当てブロック移動機構
115 磁気ヘッド移動機構
121 搬送アッパガイド
122 搬送ロアガイド
124 開口
125 搬送路
126 搬送ガイド突き当て面
127 挿入口
131 挿入検知センサ
132 走行監視センサ
133 突き当て確認センサ
151 挿入口シャッタ
161(161a〜161f) 搬送ローラ
162(162a〜162f) プレッシャローラ
171 突き当てブロック
181 磁気ヘッド
200(200a,200b) 磁気媒体(第1媒体,第2媒体)
206 綴じ目
211,221 磁気ストライプ
212a,222a,222b 磁気書込エリア
L1 可動範囲
L2 読取範囲
l1 磁気媒体の縦方向の長さ(第2媒体の磁気ストライプの長さ)
l2 第1媒体の磁気ストライプの長さ
l3 第1媒体の綴じ目から磁気ストライプの前端までの距離
l4 空白エリアの長さ
l5 第1媒体の磁気書込エリアの長さ
l6 第2媒体の磁気書込エリアの長さ
lm 第1媒体の前端から第1読取ポジションまでの距離
ln 第2媒体の前端から第2読取ポジションまでの距離
w1 磁気媒体の左端から磁気ストライプの左端までの距離(磁気ストライプの横方向の位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドを磁気媒体に設けられた磁気ストライプと対向して移動させることにより、当該磁気媒体から磁気情報を読み取る磁気情報読取機構において、
前記磁気ストライプが綴じ目と交差する方向に設けられた磁気媒体を第1媒体とし、前記磁気ストライプが綴じ目と平行な方向に設けられた磁気媒体を第2媒体とし、当該第1媒体から前記磁気情報を読み取るための第1読取ポジションと、当該第2媒体から前記磁気情報を読み取るための第2読取ポジションとが予め規定され、
前記第1読取ポジションは、前記磁気ヘッドが当該第1媒体の綴じ目に接触しない位置に規定されており、
前記磁気情報を読み取る場合に、前記磁気媒体を、前記第1読取ポジションにセットしてから、前記磁気情報を読み取り、
前記第1読取ポジションでの読み取り結果から前記磁気媒体が前記第2媒体であると判断されるときに、前記磁気媒体を、前記第2読取ポジションにセットしてから、前記磁気情報を読み取る
ことを特徴とする磁気情報読取機構。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気情報読取機構において、
前記磁気情報を読み取り可能な前記磁気ヘッドの移動範囲を前記磁気ヘッドの読取範囲とし、
前記第1読取ポジションは、前記第1媒体の前記綴じ目が前記磁気ヘッドの読取範囲外に配置され、かつ、前記第1媒体の前記磁気ストライプの中の少なくとも前記磁気情報が書き込まれた磁気書込エリアが前記磁気ヘッドの読取範囲内に配置される位置に規定されており、
前記第2読取ポジションは、前記第2媒体の前記磁気ストライプの中の少なくとも前記磁気情報が書き込まれた磁気書込エリアが前記磁気ヘッドの読取範囲内に配置される位置に規定されている
ことを特徴とする磁気情報読取機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の磁気情報読取機構において、
前記磁気媒体が複数の前記磁気書込エリアを有する前記第2媒体である場合に、前記第1読取ポジションでいずれかの前記磁気書込エリアに書き込まれた前記磁気情報を読み取り、前記第2読取ポジションで他の前記磁気書込エリアに書き込まれた前記磁気情報を読み取る
ことを特徴とする磁気情報読取機構。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−287006(P2010−287006A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139814(P2009−139814)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】