説明

磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステム

【課題】磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステムを提供する。
【解決手段】ゴルフボール120が、プラットホーム108内の磁界源によって発生する磁界と相互作用する磁性材料を含む。磁界とゴルフボール120との間の相互作用によって、ゴルフボール120が、プラットホーム108の上方に浮上する。コンベア装置を使用して、コーティングシステム内へゴルフボール120とプラットホーム108を移動させる。そして、浮上しているゴルフボール120にコーティング材料が噴霧される。浮上しているゴルフボール120に噴霧することによって、ゴルフボール120に均等かつ均一なコーティングを施すことができる。これに加え、ゴルフボール120にスピンつまり回転をかけることで、噴霧されるコーティング材料が均等かつ均一に施されるように支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ゴルフボール用コーティングシステムに関し、詳しくは、磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフボール用コーティングシステムにおいては、ゴルフボールを所定の位置に保持してコーティングを施すために、一般に、3本の突起物デバイスまたは4本の突起物デバイスが使用される。例えば、特許文献1が教示するゴルフボール塗装システムにおいては、ゴルフボールは、システムを通るようにコンベア上で移動するときに、スピンドル上の突起物によって支持されている。
【0003】
いくつかの場合、突起物の先端は鋭く、この鋭い先端が、コーティング済みのゴルフボールの表面を引っ掻き、および/またはゴルフボールカバー内まで突き刺さって、小さな孔をつくってしまう。他の場合、突起物が障害となって、ゴルフボールの全体に均等なコーティングを施せないことがある。そのような場合、引っ掻き傷、孔および/または不均一なコーティングによって、ゴルフボールの美的外観および/または動的性能特性が損なわれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6544337号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、当技術分野において、さらに均等かつ均一なコーティングを施すことができるとともに、コーティングプロセスの際にゴルフボールを所定の位置に保持するために使用される突起物によってコーティング内に傷が残るようなことのない、ゴルフボール用コーティングシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、本発明は、ゴルフボールにコーティングを施すコーティングシステムであって、キャリヤを運搬するコンベア装置と、キャリヤに関連し、磁界源を含むプラットホームと、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧する噴霧ユニットと、を備え、プラットホームの上方へゴルフボールを浮上させるように、磁界源が、ゴルフボール内に配置されている磁性材料と相互作用する磁界を発生させることを特徴とするシステムを提供する。
【0007】
他の態様においては、本発明は、磁気浮上を利用してゴルフボールにコーティングを施す方法であって、磁性材料を含むゴルフボールをコーティングシステム内へ導入するステップと、磁界源を含むプラットホーム上にゴルフボールを配置するステップと、磁界源を使用して磁界を発生させることによってプラットホームの上方へゴルフボールを浮上させるステップと、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧するステップと、を含む方法を提供する。
【0008】
他の態様においては、本発明は、ゴルフボールにコーティングを施すコーティングシステムであって、磁性材料を含有する少なくとも1つのゴルフボールと、少なくとも1つのプラットホームを含むキャリヤを運搬するコンベア装置と、少なくとも1つのゴルフボールにコーティング材料を噴霧する噴霧ユニットと、を備え、プラットホームは、磁界を発生させる磁界源を含み、少なくとも1つのゴルフボールを運搬するように構成され、少なくとも1つのゴルフボールは、磁界源が磁界を発生させているときにプラットホームの上方に浮上する磁性材料を含有することを特徴とするシステムを提供する。
【0009】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面を参照することにより当業者に明らかとなる。これらの追加的なシステム、方法、特徴および利点のすべては、本発明の範囲を逸脱することなく詳細な説明およびこの課題を解決するための手段の範囲に含まれるとともに、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明および図面を参照してさらによく理解することができる。各図に示される構成要素は、必要な寸法を示すためのものではなく、本発明の原理を示すことに重点を置いている。さらに、各図において、同様の参照番号は、別の図において対応する部品を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステムの一実施例を概略的に示す図。
【図2】磁気浮上プラットホームの一実施例を概略的に示す図。
【図3】ゴルフボール用コーティングシステムにおける回転ステーションの一実施例を概略的に示す図。
【図4】ゴルフボール用コーティングシステムにおける噴霧ステーションの一実施例を概略的に示す図。
【図5】ゴルフボール用コーティングシステムにおける噴霧ステーションの代替的な実施例を概略的に示す図。
【図6】コーティングシステム内へゴルフボールを導入する装置の一実施例を概略的に示す図。
【図7】コーティングシステムからゴルフボールを取り出す装置の一実施例を概略的に示す図。
【図8】ゴルフボールにコーティングを施すプロセスの一実施例を代表的に示す図。
【図9】磁性コアを有するゴルフボールの一実施例の断面を示す図。
【図10】磁性外側コアを有するゴルフボールの一実施例の断面を示す図。
【図11】磁性内側コアを有するゴルフボールの一実施例の断面を示す図。
【図12】磁性材料を含有する層を有するゴルフボールの一実施例の断面を示す図。
【図13】非対称的に配置された磁性材料を含有する層を有するゴルフボールの一実施例の断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、概して、磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステムに関する。具体的には、いくつかの実施例においては、ゴルフボールが、プラットホームによって発生した磁界と相互作用する磁性材料を含む。磁界とゴルフボールとの間の相互作用によって、ゴルフボールが浮上し、ゴルフボールに均等かつ均一なコーティングをすることが可能となる。例示する目的のために、各図に示されているゴルフボールは、滑らかなカバーを有するものとして示され得る。本明細書中のさまざまな実施形態における各図および説明に示される実施例は、当技術分野で周知のディンプル型式、構成および/または配置を含むディンプルを含む。
【0013】
図1は、磁気浮上を利用するゴルフボール用コーティングシステム100の一実施例を示す。いくつかの実施例においては、コーティングシステム100は、コーティングシステム100に関連するさまざまなステーション間でゴルフボールを運搬する1つまたは複数の構成要素を含む。一実施例においては、コーティングシステム100は、コンベア装置102を備え得る。コンベア装置102は、コーティングシステム100内でゴルフボールを運搬するように構成されている。いくつかの実施例においては、コンベア装置102は、一般に、キャリヤ(運搬体)プラットホーム、駆動システムおよび制御装置を含むコンベアシステムに関連した構成要素を含むが、これらの構成要素に限定されない。
【0014】
一実施例においては、コンベア装置102は、駆動システム104を含む。駆動システム104は、コーティングシステム100内で、1つまたは複数のゴルフボールを運搬するコンベア装置102に推進力を与える。この実施例においては、駆動システム104は、コンベア装置102に推進力を与える1つまたは複数のローラを備える。いくつかの実施例においては、コンベア装置102は、キャリヤ106をさらに含み得る。キャリヤ106は、コンベア装置102に沿って動くように構成され得る。一実施例においては、キャリヤ106は、駆動システム104によって動かされ得る。いくつかの場合、キャリヤ106は、ベルトを含む。他の場合、キャリヤ106は、チェーンつまり懸垂子の構成を含む。
【0015】
いくつかの実施例においては、コンベア装置102は、コーティングシステム100内でゴルフボールを保持して運搬するように構成された1つまたは複数のプラットホームを備える。一実施例においては、複数のプラットホーム108が、キャリヤ106に関連する。一実施例においては、各プラットホーム108が、単一のゴルフボール120を保持する。他の実施例においては、複数のプラットホームが、複数のゴルフボールを保持するものとしてグループ分けされる。以下に詳細に説明するように、一実施例においては、プラットホーム108は、磁気浮上プラットホームである。
【0016】
コーティングシステム100は、該コーティングシステム100に関連した様々な操作を制御するように構成された1つまたは複数の手段を備え得る。一実施例においては、コーティングシステム100は、制御ユニット110を含む。いくつかの実施例においては、制御ユニット110は、コーティングシステム100に関連した1つまたは複数のステーションを制御するように構成されている。一実施例においては、制御ユニット110は、駆動システム104、キャリヤ106および/またはプラットホーム108を含むコンベア装置102に関連する操作と、コンベア装置102およびコーティングシステム100に関連する他の構成要素と、を制御する。いくつかの実施例においては、制御ユニット110は、命令を発して実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサまたはコンピュータを含む。さらには、他の実施例においては、制御ユニット110は、ユーザからの命令を受ける入力装置を含む。さまざまな実施例においては、制御ユニット110は、自動操作、手動操作、または自動・手動操作を含む様々な操作モードを含む。
【0017】
いくつかの実施例においては、制御ユニット110は、コーティングシステム100に関連する追加の操作を制御するように、さらに構成されている。一実施例においては、制御ユニット110は、ゴルフボールを回転させる機構に関連する操作を制御する。一実施例においては、コーティングシステム100は、コンベア装置102上のゴルフボールを回転させる機構を含む。ゴルフボールを回転させることによって、コーティング材料が、さらに均等かつ均一に施され得る。この実施例においては、ゴルフボールを回転させる機構は、空気ポンプ114から供給された空気を送る送風ユニット112を含む空気送風システムである。他の実施例においては、プラットホーム108上のゴルフボールを回転させる様々な機構を備えている。
【0018】
制御ユニット110はまた、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧する機構に関連する操作を制御するように構成され得る。一実施例においては、コーティングシステム100は、空気ポンプ116を使用してゴルフボールに1つまたは複数のコーティング材料を噴霧し得る噴霧ユニット118を含む。噴霧ユニット118は、噴霧ユニット118内へコーティング材料を導くためのタンクまたは他の供給フィード(これらに限定されない)を含む噴霧ユニット(図1に示されず)に関連する追加の構成要素を含み得ることを理解されたい。様々な実施例においては、ゴルフボールに、1つまたは複数の塗装層、ベースコートつまりプライマ、および/またはトップコートを施すための、ならびにゴルフボールに他の材料を噴霧つまりコーティングを施すための噴霧ユニット118を備えている。
【0019】
一実施例においては、制御ユニット110は、コーティングシステム100内の複数のステーションないし機構に関連する操作を制御する。この実施例においては、制御ユニット110は、駆動システム104、キャリヤ106、および/またはプラットホーム108を有するコンベア装置102の操作と、送風ユニット112と空気ポンプ114を有する回転ステーションの操作と、噴霧ユニット118と空気ポンプ116を有する噴霧ステーションの操作と、を制御するように構成されている。他の実施例においては、制御ユニット110は、コーティングシステム100の追加の構成要素を制御するように構成されている。いくつかの実施例においては、コーティングシステム100内の様々なステーションおよび/または機構を制御する複数の制御ユニットを備えている。
【0020】
図2を参照すると、コーティングシステム100とともに使用されるプラットホーム108の一実施例が示されている。一実施例においては、プラットホーム108は、磁気浮上プラットホームである。この実施例においては、磁気浮上プラットホーム108は、ゴルフボール120内の磁性材料と相互作用する磁界を発生させる。この構成を有することで、磁界とゴルフボール120との間の相互作用によって、ゴルフボール120が磁気浮上プラットホーム108の上方の高さH1まで浮上する。ゴルフボール120を浮上させることによって、ゴルフボール120への非接触噴霧によるさらに均等かつ均一なコーティングが可能になる。
【0021】
一実施例においては、プラットホーム108のベース部200が磁界源210を含んでいる。磁界源210は、ゴルフボール120内の磁性材料と相互作用する磁界を発生させるものとして与えられ得る。一実施例においては、磁界源210は、電磁石コイルである。他の実施例においては、磁界源は、磁界を発生させることができる種々の装置である。磁界源210は、図示されていない電力源から電力を供給され得ることを理解されたい。いくつかの実施例においては、磁界源210は、制御ユニット110によって制御される。一実施例においては、磁界源210によって発生する磁界の強さは、磁界源210に様々な大きさの電流を供給することによって変化し得る。この構成を有することで、プラットホーム108のベース部200の上方にあるゴルフボール120の高さが変えられ得る。この実施例においては、ゴルフボール120は、ベース部200の上方の高さH1にあることが示されている。高さH1は、磁界源210に供給される電流を変化させることによって上下し得る。
【0022】
いくつかの実施例においては、プラットホーム108のベース部200の上方のゴルフボール120の高さH1が、ゴルフボール120にコーティング材料を噴霧するのに充分なクリアランスを与えるように構成され得るように、磁界源210が制御される。いくつかの実施例においては、高さH1は、ゴルフボール120の底部と、プラットホーム108のベース部200の上面との間で、1cm〜10cmのクリアランスを与える。一実施例においては、高さH1は、2cm〜8cmである。一実施例においては、高さH1は、2cm〜6cmである。他の実施例においては、磁界源210は、ゴルフボールの底部120と、プラットホーム108のベース部200の上面との間で、様々な大きさのクリアランスを与えるように制御される。さらには、いくつかの実施例においては、高さH1は、コーティングシステム100内でのゴルフボール120の位置に基づいて変化する。一実施例においては、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧するのに充分なクリアランスを与えるために、コーティングシステム100に関連する噴霧ステーションに入る前に、高さH1が上げられる。他の実施例においては、高さH1は、コーティングシステム100の全体に亘って実質的に常に一定である。
【0023】
いくつかの実施例においては、プラットホーム108は、キャリヤ106上でコーティングシステム100内を移動する間にゴルフボールを所定の位置に保持するように構成された1つまたは複数の構成要素を含む。この実施例においては、プラットホーム108は、ベース部200およびリップ202を含む。リップ202は、ゴルフボール120に障壁を与えるように、ベース部200の周縁に配置され得る。この構成を有することで、ゴルフボール120は、ベース部200から落ちないようにされ得る。
【0024】
いくつかの実施例においては、ベース部200の上面は、単層または複層のフィルム204を有し得る。フィルム204は、コーティングプロセスからの過剰噴霧を捕捉するプラスチックまたは他のポリマ材料からなる着脱可能な薄層とされ得る。いくつかの実施例においては、フィルム204は、コーティング材料が上面に蓄積したら、ベース部200から剥がすことができる。単層または複層のフィルム204を剥がすことによって、コーティング材料の蓄積が、磁界源210とゴルフボール120との相互作用に干渉してしまうことを回避することができる。他の実施例においては、ベース部200にコーティング材料が蓄積したことに応答して磁界源210がさらに強い磁界を発生させるように、コーティングシステム100が構成されている。
【0025】
図3は、コーティングシステム100に関連する回転ステーションの平面図である。いくつかの実施例においては、回転ステーションは、プラットホーム108の上方に浮いているゴルフボール120にスピンつまり回転をかける1つまたは複数の機構を備える。一実施例においては、回転ステーションは、コーティングシステム100内で、ゴルフボールが1つまたは複数の噴霧ステーションに入る前に配置されている。この構成を有することで、回転ステーションは、ゴルフボールに回転を与え、ゴルフボールに均等かつ均一なコーティングを施すことを支援する。
【0026】
この実施例においては、回転ステーションは、1つまたは複数の送風ユニット112を含む空気送風システムである。いくつかの実施例においては、図1に示されるように、送風ユニット112は、空気ポンプ114から空気を供給される。一実施例においては、各送風ユニット112が、それぞれの空気ポンプ114に関連している。他の実施例においては、各送風ユニット112は、単一のポンプ114から空気を供給される。各送風ユニット112は、空気ポンプ114から供給される空気を送るノズルに関連し得る。この実施例においては、第1の空気ノズル300は、1つの送風ユニット112に関連し、第2の空気ノズル302は、他の送風ユニット112に関連する。一実施例においては、第1の空気ノズル300および/または第2の空気ノズル302は、ゴルフボール120の外側縁つまり外周縁へ向けて空気を送るように構成されている。ゴルフボール120の表面上のディンプルと第1の空気ノズル300および/または第2の空気ノズル302との間の相互作用によってフリクション(抵抗)が発生し、これによって、ゴルフボール120にスピンつまり回転がかけられる。
【0027】
この実施例においては、回転ステーションが、キャリヤ106の両側に配置された2つの送風ユニット112を備える。この配置を有することで、ゴルフボールl20に回転をかけるように第1のノズル300および第2のノズル302からゴルフボール120に送られる風の力が両側で釣り合う。この結果、ゴルフボール120は、磁気浮上プラットホーム108上の所定の位置に留まることができる。一実施例においては、回転ステーションの構成要素は、制御ユニット110によって制御される。一実施例においては、制御ユニット110は、第1の空気ノズル300および/または第2の空気ノズル302を介して空気を送るプロセスを制御する(送られる空気の強さおよび/または持続時間を制御することを含む)。
【0028】
他の実施例においては、送風ユニット112および/またはノズルは、キャリヤ106に沿って移動している磁気浮上プラットホーム108上に浮上しているゴルフボール120にスピンつまり回転をかけるように構成された他の配置にされている。さらに他の実施例においては、ゴルフボール120にスピンつまり回転をかける他の機構を備えている。図13を参照して以下に詳細に説明する代替的な実施例においては、磁界源210による磁界を適用することによってゴルフボール120に回転がかけられるように、ゴルフボール120内の磁性材料が幾何学的に非対称に配置されている。さらに他の実施例においては、ゴルフボールに回転をかける種々の周知の方法が使用される。さらには、いくつかの実施例においては、コーティングシステム100に、回転ステーションを備える必要がなく、ゴルフボールが、キャリヤ106に沿って、スピンつまり回転することなく移動する場合もある。
【0029】
図4を参照すると、噴霧ステーションの一実施例の概略が示されている。いくつかの実施例においては、コーティングシステム100は、塗装層、トップコート、および/またはベースコートつまりプライマ、ならびに種々の他のコーティング材料をゴルフボールに噴霧する1つまたは複数の噴霧ステーションを備える。一実施例においては、噴霧ステーションは、空気ポンプ116を使用してゴルフボールに1つまたは複数のコーティング材料を噴霧する噴霧ユニット118を備える。なお、噴霧ステーションは、追加の噴霧ユニットを備え、この噴霧ユニット118内へコーティング材料を導くためのタンクまたは他の供給フィード(これらに限定されない)を含む噴霧ユニット(図示せず)に関連する追加の構成要素をさらに含む場合もある。
【0030】
一実施例においては、プラットホーム上のゴルフボールは、コーティングを施されるために、キャリヤ106に沿って噴霧ステーションへ向かって移動する。図4に示される実施例においては、第1のゴルフボール400、第2のゴルフボール402および第3のゴルフボール404は、それぞれ、第1のプラットホーム410、第2のプラットホーム412および第3のプラットホーム414上で、キャリヤ106に沿って運搬されている。一実施例においては、第1のゴルフボール400、第2のゴルフボール402および/または第3のゴルフボール404の各々は、発生した磁界と相互作用する磁性材料を含む。これに加え、第1のプラットホーム410、第2のプラットホーム412および/または第3のプラットホーム414の各々は、磁界を発生させる磁界源を含む磁気浮上プラットホームとすることができる。一実施例においては、第1のプラットホーム410、第2のプラットホーム412および/または第3のプラットホーム414は、磁気浮上プラットホーム108と実質的に同じであって、上述した磁界源210と実質的に同じ磁界源を有する。
【0031】
図4に示されるように、この実施例においては、1つまたは複数のゴルフボールがキャリヤ106に沿って噴霧ユニット118へ向かって移動する。一実施例においては、噴霧ユニット118および/または空気ポンプ116は、コーティングスプレー420を発生させるように、制御ユニット110によって制御される。いくつかの実施例においては、コーティングスプレー420は、噴霧ユニット118からノズルを介して扇形の形状に噴出するコーティング材料のスプレーである。この実施例においては、第3のゴルフボール404は、コーティングスプレー420を既に通過しており、外面にコーティング材料の層が施されている。第2のゴルフボール402が、コーティングスプレー420内に位置し、コーティングを施されているプロセスにあることが示されている一方で、第1のゴルフボール400は、コーティングスプレー420をまだ通過していなくてコーティングを施されていない。
【0032】
いくつかの実施例においては、コーティングシステム100は、複数の噴霧ステーションを備えている。一実施例においては、噴霧ステーションの各々は、塗装層、トップコートおよび/またはベースコートつまりプライマを施す。また、他の実施例においては、追加の材料が、単独で、あるいは1つまたは複数の塗装層、トップコートおよび/またはベースコートつまりプライマと混合されて、ゴルフボールに噴霧される。いくつかの場合、追加の材料としては、溶剤、硬化剤、乾燥剤、固化剤、光反射材料および他の種々の材料があるが、これらに限定されない。図4に示される実施例においては、単一の噴霧ユニット118が噴霧ステーションに関連している。他の実施例においては、噴霧ステーション内に複数の噴霧ユニットを備えている。
【0033】
図5は、複数の噴霧ユニットを有する噴霧ステーション500の代替的な実施例を示す。この実施例においては、噴霧ステーション500は、第1の噴霧ユニット502、第2の噴霧ユニット504および/または第3の噴霧ユニット506を有する。いくつかの実施例においては、噴霧ステーション500に関連する個別の噴霧ユニットは、ゴルフボール120に複数の角度および/または側からコーティング材料を噴霧するように構成されている。一実施例においては、噴霧ユニットは、ゴルフボール120のいずれの側にも配置され得る。この実施例においては、第1の噴霧ユニット502および/または第2の噴霧ユニット504は、ゴルフボール120の第1の側に配置されている。第3の噴霧ユニット506は、ゴルフボール120の第1の側にある第1の噴霧ユニット502および/または第2の噴霧ユニット504とは反対側の、ゴルフボール120の第2の側に配置されている。
【0034】
いくつかの実施例においては、噴霧ユニットはまた、ゴルフボール120に対して様々な角度に配置される。この実施例においては、第3の噴霧ユニット506は、ゴルフボール120とほぼ同じ高さで、X軸に沿った方向を向いている。一実施例においては、1つまたは複数の噴霧ユニットが、ゴルフボールから見て仰角および/または俯角を有する方向を向いている。この実施例においては、第1の噴霧ユニット502は、X軸から見て仰角となる第1の角度+αを有するように傾けられている。同様に、第2の噴霧ユニット504は、X軸から見て俯角となる第2の角度−αを有するように傾けられている。いくつかの実施例においては、第1の角度と第2の角度の大きさは実質的に同じである。他の実施例においては、第1の角度の大きさと第2の角度の大きさは互いに異なっている。
【0035】
いくつかの実施例においては、噴霧ステーション500に関連する複数の噴霧ユニットの配置は、各噴霧ユニットに関連する力が釣り合うつまり相殺するように構成されている。一実施例においては、ゴルフボール120にX軸に沿ってコーティング材料を噴霧することに関連する力が釣り合うつまり相殺するように、第1の噴霧ユニット502および/または第2の噴霧ユニット504は、第3の噴霧ユニット506の反対側に配置されている。同様に、ゴルフボール120にコーティング材料を噴霧することに関連する力が釣り合うつまり相殺するように、第1の噴霧ユニット502、第2の噴霧ユニット504および/または第3の噴霧ユニット506は、X軸から見て仰角、俯角を有する方向、および/またはX軸方向を向いている場合もある。同様に、他の実施例においては、噴霧ユニットは、Y軸および/またはZ軸を含む種々の他の軸に対する角度を有するように配置され或いは向けられている。この構成を有することで、ゴルフボール120を磁気浮上プラットホーム108の上で回転させながら所定の位置に保持するように、複数の噴霧ユニットからの力が釣り合うつまり相殺する。
【0036】
いくつかの実施例においては、噴霧ステーション500に関連する複数の噴霧ユニットの配置は、ゴルフボール120に均等つまり均一なコーティングを施すように構成されている。図5に示されるように、第1の噴霧ユニット502、第2の噴霧ユニット504および/または第3の噴霧ユニット506を含む複数の噴霧ユニットは、ゴルフボール120に均等つまり均一なコーティングを施すように、互いに反対の側に配置され、および/またはX軸に対して様々な角度に向けられている場合もある。この実施例においては、第1の噴霧ユニット502は、第1のコーティングスプレー512に関連している。同様に、第2の噴霧ユニット504は、第2のコーティングスプレー514に関連し、第3の噴霧ユニット506は、第3のコーティングスプレー516に関連している。一実施例においては、第1のコーティングスプレー512、第2のコーティングスプレー514および/または第3のコーティングスプレー516は、扇形の形状に噴出されるコーティング材料のスプレーである。この実施例においては、第1のコーティングスプレー512、第2のコーティングスプレー514および/または第3のコーティングスプレー516は、形状や規模が類似している。他の実施例においては、各コーティングスプレーは、様々な形状や規模を有する。この配置を有することで、複数の噴霧ユニットからのコーティングスプレーによって、ゴルフボール120の表面に均等つまり均一な被覆が施され得る。
【0037】
いくつかの実施例においては、磁界源210は、プラットホーム108のベース部200の上方に浮いているゴルフボール120の距離を変化させるように制御され得る。一実施例においては、ゴルフボール120の底面は、プラットホーム108のベース部200の上面の上方の高さH2の位置にある。一実施例においては、高さH2は、ゴルフボール120にコーティング材料を噴霧するための充分なクリアランスを提供するように構成された距離である。いくつかの実施例においては、高さH2は、ゴルフボール120の底部と、プラットホーム108のベース部200の上面との間に、1cm〜10cmのクリアランスを与える。一実施例においては、高さH2は、2cm〜8cmである。一実施例においては、高さH2は、2cm〜6cmである。
【0038】
他の実施例においては、磁界源210は、ゴルフボール120の底面とプラットホーム108のベース部200の上面との間に様々な大きさのクリアランスを提供するように制御される。これに加え、いくつかの実施例においては、コーティングシステム100内でのゴルフボール120の位置に基づいて、高さが変えられる。一実施例においては、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧するのに充分なクリアランスを与えるために、コーティングシステム100に関連した噴霧ステーションに入る前および/または噴霧ステーション内で、高さが上げられる。一実施例においては、ゴルフボール120は、噴霧ステーション500に入る前に、プラットホーム108のベース部200の上面の上方の第1の高さにある。例えば、ゴルフボール120は、図2に示されるように、高さH1のクリアランスに関連している。ゴルフボール120が噴霧ステーション500内に入るとともに、磁界源210は、ゴルフボール120についてのクリアランスを大きくするように制御され得る。一実施例においては、ゴルフボール120は、噴霧ステーション500内でプラットホーム108のベース部200の上面の上方の第2の高さにある。例えば、図5に示されるように、ゴルフボール120は、高さH2のクリアランスに関連している。
【0039】
いくつかの実施例においては、第2の高さは、第1の高さよりも高い。この構成を有する場合、ゴルフボール120にコーティング材料を噴霧するために必要なクリアランスを与えるために、高さが上げられる。他の実施例においては、高さは、コーティングシステム100の全体に亘ってほぼ一定である。
【0040】
いくつかの実施例においては、コーティングシステム100は、コーティングシステム100内へゴルフボールを導入し及び/またはコーティングシステム100からコーティング済みのゴルフボールを取り出す1つまたは複数の機構を備える。いくつかの実施例においては、コーティングシステム内へゴルフボールを導入し及び/またはコーティングシステムからゴルフボールを取り出すことは、制御ユニットを使って制御される。一実施例においては、制御ユニット110が使用される。他の実施例においては、別個の制御ユニットが使用される。図6は、コーティングシステム100内へゴルフボールを導入する装置600の一実施例を示す。いくつかの実施例においては、装置600は、キャリヤ106上の個別のプラットホーム108上にゴルフボールを配置することによって、コーティングシステム100内へコーティングされていないゴルフボールを導入するように構成されている。一実施例においては、装置600は、複数の保持ユニット602を備える。保持ユニット602の各々は、コーティングシステム100内へゴルフボール120を移動させるように構成され得る。一実施例においては、装置600は、陰圧を発生させる吸引機構(図示せず)を備え、この陰圧によって、保持ユニット602がゴルフボール120を保持することが可能となる。一実施例においては、保持ユニット602は、カップ604を有する。カップ604は、ゴルフボール120の形状に実質的に対応するように構成され得る。一実施例においては、カップ604は、保持ユニット602とゴルフボール120との間を密閉するゴム、シリコンまたは他の種々の柔軟な材料から製造され得る。この構成を有することで、カップ604は、吸引機構からの陰圧がゴルフボール120を所定の位置に保持することを可能にする。
【0041】
装置600を使用してコーティングシステム100内へゴルフボールを導くことについて、図6を参照して説明する。第1の段階610において、装置600に、複数のコーティングされていないゴルフボール120が投入される。一実施例においては、ゴルフボール120は、プラットホーム108内の磁界源が発生させた磁界と相互作用する磁性材料を含む。上述したように、ゴルフボール120は、陰圧を発生させてカップ604とゴルフボール120の表面との間を密閉する吸引機構(図示せず)を用いる保持ユニット602によって、所定の位置に保持され得る。第1の段階610においては、装置600が、投入ステーションからコーティングされていないゴルフボール120を移動させるが、このとき、これらのゴルフボール120は、装置600によって持ってこられて、コンベア装置102のキャリヤ106まで運ばれる。キャリヤ106は、コーティングシステム100内で各ゴルフボール120を運搬する複数の磁気浮上プラットホーム108を有し得る。
【0042】
第2の段階620においては、装置600に関連するアームが、装置600をキャリヤ106へ向けて低くする。この実施例においては、それぞれのゴルフボール120を掴んでいる各保持ユニット620は、キャリヤ106上の対応する磁気浮上プラットホーム108の上方に整列される。装置600が保持ユニット602と磁気浮上プラットホーム108とを整列させた後、プラットホーム108の近くまでゴルフボール120を運ぶようにアームが下げられ得る。ゴルフボール120がプラットホーム108の近くまで運ばれた後、吸引機構が停止されることによって、保持ユニット602のカップ604にゴルフボール120を保持している陰圧が低減され得る。そして、ゴルフボール120が磁気浮上プラットホーム108上に配置され、磁性材料と、発生した磁界とが相互作用することによって、ゴルフボール120が浮上する。
【0043】
第3の段階630においては、コーティングされていないゴルフボール120が磁気浮上プラットホーム108上に配置されている。ゴルフボール120がプラットホーム108上に配置された後、装置600のアームがコンベア装置102のキャリヤ106から離れるように持ち上がり得る。いくつかの実施例においては、装置600によってゴルフボール120がコーティングシステム100内へ導入された後、キャリヤ106が動き始める。一実施例においては、キャリヤ106は、ゴルフボール120をプラットホーム108から落とすことのない速度で動くように構成されている。図6に示される実施例においては、装置600は、コーティングシステム100内へ導入される3つのゴルフボールを保持していることが示されている。装置600がコーティングシステム100内へ導入するゴルフボールの数は、3つより多いこともあれば少ないこともあることを理解されたい。これに加え、いくつかの実施例においては、装置600が1つまたは複数のゴルフボールをそれぞれの磁気浮上プラットホーム上に配置した後、キャリヤ106が動き始める。しかし、いくつかの実施例においては、装置600が磁気浮上プラットホーム上にゴルフボールを配置している間も、キャリヤ106は動いている。この場合、装置600は、キャリヤ106の速度とほぼ同じ速度でキャリヤ106と並んで移動しながら、磁気浮上プラットホーム上にゴルフボールを配置するように構成されている。
【0044】
図7を参照すると、コーティングシステム100からゴルフボールを取り出す装置の一例が示されている。いくつかの実施例においては、コーティングシステム100からゴルフボールを取り出す装置は、上述した装置600と実質的に同じである。一実施例においては、コーティングシステム100内へコーティングされていないゴルフボールを導き且つコーティングシステム100からコーティング済みのゴルフボールを取り出すために、同じ装置600が使用される。他の実施例においては、コーティングシステム100からゴルフボールを取り出すために、装置600とは別の装置が使用される。
【0045】
装置600を使ってコーティングシステム100からゴルフボールを取り出すことについて、図7を参照して説明することができる。この実施例においては、装置600は、上述した保持ユニット602およびカップ604を有する。同様に、この実施例においても、装置600が上述したような吸引機構(図示せず)を有し、この吸引機構が陰圧を生じさせることによって、保持ユニット602がゴルフボール120を保持することができる。第1の段階700において、複数のコーティング済みのゴルフボール120が、単層また複層のコーティング材料が施される1つまたは複数の噴霧ステーションを通って加工されている。磁気浮上プラットホーム108上に浮上しているゴルフボール120は、コンベア装置102に沿って、キャリヤ106上で運搬される。一実施例においては、ゴルフボール120上の単層または複層のコーティング材料は、ゴルフボールがコーティングシステム100から取り出される前に、充分に乾燥される。いくつかの場合、単層または複層のコーティング材料が乾燥するのに充分な時間、ゴルフボール120は、コンベア装置102上に留まっていることが許される。他の場合、ゴルフボール120は、単層または複層のコーティング材料を乾燥させるように構成された1つまたは複数の乾燥・硬化ステーションを通るように、コンベア装置102に沿って運搬される。
【0046】
ゴルフボール120がコーティングシステム100から取り出せる程度まで充分に乾燥した後、装置600が使用され得る。第2の段階710においては、装置600がコーティング済みのゴルフボール120の上方に位置決めされ得る。各保持ユニット620が、キャリヤ106上の磁気浮上プラットホーム108上で浮上しているそれぞれのゴルフボール120の上方に整列され得る。第3の段階720においては、装置600が保持ユニット602と磁気浮上プラットホーム108とを整列させた後、アームがプラットホーム108上のゴルフボール120に近づくように下げられ得る。保持ユニット602がゴルフボール120の近くまで運ばれた後、保持ユニット602のカップ604にゴルフボール120を保持するための陰圧を増加させるように、吸引機構が作動され得る。第4の段階730においては、キャリヤ106上の磁気浮上プラットホーム108からゴルフボール120を持ち上げて離すように、装置600のアームが上げられ得る。第4の段階730の後、コーティング済みのゴルフボール120がコーティングシステム100から取り出される。
【0047】
いくつかの実施例においては、ゴルフボール120が装置600に到達したときに、キャリヤ106が停止する。他の実施例においては、装置600が磁気浮上プラットホームからゴルフボールを取り出している間も、キャリヤ106は動き続けている。この場合、装置600は、キャリヤ106の速度とほぼ同じ速度でキャリヤ106と並んで移動しながら、磁気浮上プラットホーム上からゴルフボールを取り出すように構成されている。図7に示される実施例においては、装置600は、コーティングシステム100から取り出される3つのゴルフボールを保持していることが示されている。装置600がコーティングシステム100から取り出すために保持するゴルフボールの数は、3つより多いこともあれば少ないこともあることを理解されたい。
【0048】
図6および図7に示す実施例の装置600は、保持ユニット602を用いてゴルフボール120を所定の位置に保持する吸引機構を有する。他の実施例においては、装置600は、コーティングシステム100内へ導入し及び/または取り出すために、ゴルフボール120を所定の位置に保持する他の機構を使用する。一実施例においては、装置600は、ゴルフボール120内に含まれている磁性材料と引き寄せ合う磁界を発生させる磁石および/または磁界源を使用する。この場合、ゴルフボール120を保持ユニット602に保持し或いは落下させるように、磁界を発生させ或いは消滅させる。
【0049】
図8を参照すると、磁気浮上を利用してゴルフボールにコーティングを施すプロセス800の一実施例が示されている。図8に示されるステップの順序は、例示的なものであり、種々の順序で実行され得る。これに加え、ゴルフボールにコーティングを施すプロセス800は、図示されていない追加のステップを含み得る。いくつかの実施例においては、ゴルフボールは、図8に示されているステップに加えて、1つまたは複数の回転ステーション、噴霧ステーション、硬化ステーション、乾燥ステーションを通過し得る。一実施例においては、プロセス800の1つまたは複数のステップは、プロセッサつまりコンピュータを有する制御ユニットを使用して実行され及び/または制御される。一実施例においては、上述した制御ユニット110が、プロセス800を実施するために使用される。他の実施例においては、プロセス800に関連する様々なステップを実施するために、追加のつまり別個の制御ユニットが使用される。
【0050】
いくつかの実施例においては、ゴルフボールは、プロセス800に関連する複数のステップが実行される様々なステーション間で運搬される。一実施例においては、ゴルフボールは、上述したコンベア装置102を使用して、コーティングシステム内で運搬される。一実施例においては、磁気浮上を利用してゴルフボールにコーティングを施すプロセス800は、プラットホーム上にゴルフボールを位置決めする第1のステップ802を含む。一実施例においては、プラットホームが上述した磁気浮上プラットホーム108であるとともに、プラットホームよって発生する磁界と相互作用する磁性材料をゴルフボールが含んでいることによって、ゴルフボールがプラットホーム上で浮上する。いくつかの実施例においては、第1のステップ802は、上述した装置600を使用して実行される。ステップ802でゴルフボールが磁気浮上プラットホーム上に位置決めされると、ゴルフボールは、第2のステップ804へ移行する。第2のステップ802においては、ゴルフボールにスピンつまり回転がかけられる。一実施例においては、上述した1つまたは複数の送風ユニット112を使用して、ゴルフボールにスピンがかけられる。他の実施例においては、磁気浮上プラットホーム108と関連する磁界源によって発生する磁界の極性を変えるつまり反転させることによって、ゴルフボールにスピンがかけられる。
【0051】
ステップ804でゴルフボールにスピンつまり回転がかけられた後、ゴルフボールは、コーティング材料を受けるために、1つまたは複数の噴霧ステーションへ移動する。ステップ806において、1つまたは複数の噴霧ユニットが、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧し得る。上述したように、コーティング材料としては、単層または複数の塗装層、トップコート、および/またはベースコートつまりプライマ、ならびにゴルフボールに噴霧するための他の種々のコーティング材料がある。いくつかの実施例においては、磁界の強さは、ステップ806の前および/またはステップ806の際に、プラットホーム上に浮上しているゴルフボールの高さを変化させるように変えられる。この構成を有することで、ゴルフボールの底面と、プラットホームの上面との間のクリアランスが、上述したように、ゴルフボールにコーティング材料を噴霧するのに充分な大きさになり得る。これに加え、ステップ804でゴルフボールをスピンつまり回転させることは、また、ステップ806でコーティング材料が噴霧されるときにゴルフボールに均等つまり均一なコーティングを施すことを支援し得る。
【0052】
最後に、ゴルフボールが1つまたは複数の噴霧ステーションを通過した後であるがコーティングシステム100からゴルフボールが取り出される前に、施されている単層または複層のコーティング材料が充分に乾燥される。いくつかの場合、単層または複層のコーティング材料が乾燥するのに充分な時間、ゴルフボールはコンベア装置102上に留まっていることを許される。他の場合、ゴルフボールは、単層または複層のコーティング材料を乾燥させるように構成された1つまたは複数の乾燥・硬化ステーションを通るように、コンベア装置102に沿って運搬される。単層または複層のコーティング材料が充分に乾燥した後、第4のステップ808でコーティング済みのゴルフボールが磁気浮上プラットホームから取り出され得る。いくつかの実施例においては、第4のステップ808は、上述した装置600を使用して実行される。
【0053】
図9〜図13は、磁性材料を含有するゴルフボールの様々な実施例を示す。磁性材料は、磁界と相互作用する、鉄、鋼鉄、ニッケル、コバルト、関連する合金(これらに限定されない)および他の強磁性材料を含む材料の群から選択され得る。磁性材料は、磁界に応答して、反発し得る。この特性を利用することで、磁性材料を含有するゴルフボールが、浮上可能に形成され得る。同様に、反対の効果も可能であって、その場合、磁界と磁性材料とが引き寄せ合うように構成されている。
【0054】
一般に、ゴルフボールは、様々な構造に形成されるとともに、様々な材料から構成され得る。ゴルフボールの構造は、ツーピース、スリーピースまたはフォーピースの構造を有し得るが、これらの構造に限定されない。各構造は、カバーを含む。いくつかの場合、カバー材料は、ウレタン、バラタ、合成バラタ、アイオノマ、エラストマおよび他の材料とすることができるが、これらに限定されない。ゴルフボールの内部組成は、ゴルフボールがツーピース、スリーピース、フォーピースのいずれの構造であるかに依存して、コア、マントル、および追加のコアないしマントル層を含み得る。ゴルフボールの内部組成は、天然ゴム、バラタ、合成ゴム、プラスチック、熱可塑性物質、ポリマ、エラストマ、樹脂および他の材料、ならびにこれらの材料の組合せを含む様々な材料からなるものとすることができるが、これらの材料に限定されない。
【0055】
様々な実施例においては、磁性材料は、ゴルフボール内の様々な位置に配置される。いくつかの実施例においては、磁性材料は、ゴルフボールにおける一層である。他の実施例においては、磁性材料は、フィルムである。さらに他の実施例においては、磁性材料は、ゴルフボール内へ組み込まれる固体の材料である。
【0056】
図9を参照すると、第1の実施例においては、ゴルフボール900は、カバー902、マントル904およびコア906を含むスリーピース構造からなる。この実施例においては、コア906が磁性材料からなる。様々な実施例においては、磁界が発生したときにゴルフボール900がプラットホーム上で浮上できるほど、コア906は、充分な量の磁性材料である。一実施例においては、コア906は、4mm〜12mmの直径を有する。一実施例においては、コア906は、4mmより小さな直径を有する。他の実施例においては、マントル904および/またはカバー902は、ゴルフボールの組成に従来使用されている様々な天然材料や合成材料からなる。
【0057】
図10を参照すると、第2の実施例においては、ゴルフボール1000は、カバー1002、マントル層1004、外側コア1006および内側コア1008を含むフォーピース構造からなる。この実施例においては、外側コア1006が磁性材料からなる。様々な実施例においては、磁界が発生したときにゴルフボール1000がプラットホーム上に浮上できるほど、外側コア1006は、充分な量の磁性材料である。一実施例においては、外側コア1006は、1mm〜5mmの厚さを有する。一実施例においては、外側コア1006は、1mmより薄い厚さを有する。一実施例においては、外側コア1006を形成する磁性材料は、柔軟でかつ薄い。一実施例においては、外側コア1006のショアD硬度は、70〜60である。一実施例においては、外側コア1006のショアD硬度は、60より小さい。異なる実施例においては、カバー1002、マントル層1004および/または内側コア1008は、ゴルフボールの組成に従来使用されている様々な天然材料や合成材料からなる。
【0058】
図11を参照すると、第4の実施例においては、ゴルフボール1100は、カバー1102、マントル層1104、外側コア1106および内側コア1108を含むフォーピース構造からなる。この実施例においては、内側コア1108が磁性材料からなる。さまざまな実施例においては、磁界が発生したときにゴルフボール1100がプラットホーム上に浮上できるほど、内側コア1108は、充分な量の磁性材料である。一実施例においては、内側コア1108は、4mm〜12mmの直径を有する。一実施例においては、内側コア1108は、4mmより薄い直径を有する。他の実施例においては、カバー1102、マントル層1104および/または外側コア1006は、ゴルフボールの組成に従来使用されている様々な天然材料や合成材料からなる。
【0059】
いくつかの実施例においては、ゴルフボールは、一層内に、1つまたは複数の他の材料と混合された磁性材料を含む。図12を参照すると、第5の実施例においては、ゴルフボール1200は、カバー1202、マントル層1204、外側コア1206および内側コア1208を含むフォーピース構造からなる。この実施例においては、外側コア1206は、磁性材料1210からなる部分と、非磁性材料1212からなる部分とを含む。一実施例においては、磁性材料1210が、非磁性材料1212の全体に亘って実質的に均一に拡散して外側コア1206を形成している。この構成を有することで、ゴルフボール1200の性能特性に何も変化が生じないようにゴルフボール1200内の磁性材料1210の質量が実質的に釣り合っている。異なる実施例においては、カバー1202、マントル層1204および/または内側コア1208、ならびに非磁性材料1212は、ゴルフボールの組成に従来使用されている天然材料や合成材料からなる。
【0060】
いくつかの実施例においては、磁性材料は、ゴルフボール内で、磁気的に非対称的に配置されている。図13を参照すると、第6の実施例においては、ゴルフボール1300は、カバー1302、マントル層1304、外側コア1306および内側コア1308を含むフォーピース構造からなる。この実施例においては、外側コア1306は、非磁性材料1314内で、磁気的に非対称的に配置された磁性材料1312を有する。図13に示されるように、外側コア1306は、ゴルフボール1300の互いに対向する側のみに配置された磁性材料1312を含む。この構成を有することで、磁性材料1312に関連しない外側コア1306の部分の領域が磁界源に近づいたときに、ゴルフボール1300は、磁界と比較的弱い相互作用をする。異なる実施例においては、カバー1302、マントル層1304および/または内側コア1308、ならびに非磁性材料1314は、ゴルフボールの組成に従来使用されている様々な天然材料や合成材料からなる。
【0061】
いくつかの実施例においては、ゴルフボール1300内に非対称的に配置されている磁性材料1312は、磁気浮上プラットホーム上でゴルフボールを回転させることを支援するように利用される。この構成を有することで、ゴルフボール内の磁性材料1312と発生した磁界との相互作用の強さは、プラットホーム上のゴルフボールの位置に基づいて変化し、磁界の強さが交代することに伴って、ゴルフボールが回転する。
【0062】
いくつかの実施例においては、外側コア1306の一部が、釣り合い非磁性材料1310を含む。一実施例においては、釣り合い非磁性材料1310は、磁性材料1312とほぼ同じ質量を有する材料からなり、磁界とは相互作用しない。一実施例においては、釣り合い非磁性材料1310は、磁性材料1312の質量と釣り合うつまり相殺するように外側コア1306内に配置されている。この配置を有することで、外側コア1306の全体に亘って、互いに異なる材料の質量が実質的に均等に釣り合っていることによって、ゴルフボール1300の性能特性に何も変化が生じない。
【0063】
図9〜図13に示される実施例に加え、他の実施例においては、ゴルフボールの一部または複数の部分および/または層内に、磁性材料が含まれ得る。
【0064】
本発明の様々な実施例について説明したが、上記の説明は、例示することを意図するものであり、限定することを意図するものではない。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、さらに多くの実施形態や応用が可能であることが明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に照らすこと以外によって制限されない。また、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な変更および変形がなされ得る。
【符号の説明】
【0065】
106…キャリヤ
110…制御ユニット
116…空気ポンプ
118…噴霧ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールにコーティングを施すコーティングシステムであって、
キャリヤを運搬するコンベア装置と、
上記キャリヤに関連し、磁界源を含むプラットホームと、
ゴルフボールにコーティング材料を噴霧する噴霧ユニットと、
を備え、
上記プラットホームの上方へ上記ゴルフボールを浮上させるように、上記磁界源が、上記ゴルフボール内に配置されている磁性材料と相互作用する磁界を発生させることを特徴とするシステム。
【請求項2】
上記プラットホームの上方の上記ゴルフボールの高さを変化させるように、上記磁界の強さが変えられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記高さが1cm〜10cmであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
上記プラットホームの上方に浮上している上記ゴルフボールに回転をかける回転ステーションをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記回転ステーションは、少なくとも1つの送風ユニットを含むことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
上記送風ユニットは、上記ゴルフボールの外周縁へ空気を導くように構成された空気ノズルを含むことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
上記回転ステーションは、上記コンベア装置に沿って上記噴霧ユニットの前に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
磁気浮上を利用してゴルフボールにコーティングを施す方法であって、
磁性材料を含むゴルフボールをコーティングシステム内へ導入するステップと、
磁界源を含むプラットホーム上に上記ゴルフボールを配置するステップと、
上記磁界源を使用して磁界を発生させることによって上記プラットホームの上方へ上記ゴルフボールを浮上させるステップと、
上記ゴルフボールにコーティング材料を噴霧するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
上記プラットホームの上方の上記ゴルフボールの高さを変化させるように、上記磁界の強さが変えられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記高さが1cm〜10cmであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記プラットホームの上方に浮上している上記ゴルフボールを回転させるステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
上記ゴルフボールを回転させるステップは、上記ゴルフボールの外周縁へ向けて空気を送ることを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記プラットホームに関連するキャリヤを含むコンベア装置を使用して、上記コーティングシステム内でゴルフボールを運搬することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ゴルフボールにコーティングを施すコーティングシステムであって、
磁性材料を含有する少なくとも1つのゴルフボールと、
上記少なくとも1つのプラットホームを含むキャリヤを運搬するコンベア装置と、
上記少なくとも1つのゴルフボールにコーティング材料を噴霧する噴霧ユニットと、
を備え、
上記プラットホームは、磁界を発生させる磁界源を含み、上記少なくとも1つのゴルフボールを運搬するように構成され、
上記少なくとも1つのゴルフボールは、上記磁界源が磁界を発生させているときに上記プラットホームの上方に浮上する磁性材料を含有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
上記少なくとも1つのゴルフボールは、磁性材料からなる層を有することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
上記磁性材料からなる層は、コアとして配置された場合に4mmより小さい直径を有し、外側コアつまりマントル層として配置された場合に4mmより薄い厚さを有することを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
上記少なくとも1つのゴルフボールに上記コーティング材料を噴霧する少なくとも2つの噴霧ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
上記プラットホームの上方に浮上している上記少なくとも1つのゴルフボールに回転をかけるように構成された送風ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
上記少なくとも1つのゴルフボールは、上記噴霧ユニットによってコーティングを施される前に、上記送風ユニットによって回転をかけられることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
上記プラットホーム上に上記ゴルフボールを配置することと、上記プラットホームから上記ゴルフボールを取り出すことのうちの少なくとも一方を行う吸引機構を含む装置をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−192180(P2012−192180A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−54575(P2012−54575)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)