説明

磁気浮上振動システムおよび該磁気浮上振動システムを使用して筋骨格疾患を治療または予防するための方法

磁気浮上振動システム(100)は、頂部プレート(001)と、ベースプレート(002)と、少なくとも1つの第1の磁石と、少なくとも1つの第2の磁石と、上部(010A)および下部(010B)を備える少なくとも1つの電磁アクチュエータ(010)と、コントローラと、センサ(011)と、制御回路とを備えている。筋骨格疾患を治療または予防するための方法には、頂部プレート(001)を提供するステップと、ベースプレート(002)を提供するステップと、頂部プレート(001)を浮上させるための第1の磁界を発生するステップと、頂部プレート(001)を駆動して振動させるための第2の磁界を発生するステップと、頂部プレート(001)の振動の周波数を調整するステップと、頂部プレート(001)の振動の大きさを調整するステップが含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学治療のための装置および該装置を使用した治療方法に関し、詳細には、筋骨格疾患を予防または治療するように構成される磁気浮上振動システムおよび該磁気浮上振動システムを使用した治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ますます多くの人々、特に高齢者は、骨粗鬆症、骨折、骨喪失、骨関節症、下背部疼痛、神経筋不快、下肢の循環障害、等々の様々な筋骨格疾患を患っている。筋骨格疾患の予防および治療が必要である。
【0003】
大きさが小さく、かつ、周波数が高い振動は、いくつかの筋骨格疾患に有利な効果をもたらすことが立証されており、骨粗鬆症および関連する障害の非薬理学的治療および予防を提供している。大きさが小さく、かつ、周波数が高い従来の振動デバイスには、通常、互いに接触している機械部品(例えばばねおよびレバーなど)が駆動ユニットとして使用されている。機械的な磨耗および金属疲労によってサービス可能な寿命が短くなり、また、電力消費および維持費が増加することがある。
【0004】
米国特許公開第US2006/0241528A1号に、低プロファイル振動板のためのシステムが開示されており、このシステムには、より低いプロファイルをシステムに持たせることができるよう、プラットホームに垂直方向の振動運動を提供するために磁界が使用されている。公開されているこのシステムによれば、振動板の形状係数をよりコンパクトにすることができ、ひいては携帯性を改善することができる。さらに、機械部品が除去されているため、公開されているシステムの振動板は、信頼性が改善されている。
【0005】
しかしながら、機械部品を使用しているこれらの従来のデバイスおよび公開されている米国特許公開第US2006/0241528A1号のシステムは、いずれも、使用者の体重の変化の観点からすると、振動の周波数および大きさが非安定である問題に対処していない。異なる体重を有する使用者に対する治療の有効性を保証するためには、体重を測定しなければならず、また、このパラメータを手動で入力しなければならない。これは、このパラメータに何らかの測定誤差があるか(適切に実施されない場合)、あるいは手動入力に何らかの誤りがある場合、とっぴな応答をもたらすことがある。さらに、使用中に振動の周波数および大きさを調整するための実行可能な解決法を提供するデバイスは知られていない。また、公開されている米国特許公開第US2006/0241528A1号のシステムは、静的磁石および動的磁石からなる、負荷の重量および振動の発生を取り扱うための1組の磁石を有している。通常の電磁石(最も一般的な動的磁石)を使用して使用者の体重(約100kg)を支えるためには、大量の電気を消費してその力を発生しなければならない。その上、米国特許公開第US2006/0241528A1号には磁気遮蔽設備が使用されていないため、使用者は、磁界の可能リークによって、WHO(Environmental Health Criteria(2007),Extremely low frequency fields,Geneva:World Health Organization,Monograph,No.238)およびICNIRP(Guidelines on limits of exposure to static magnetic fiels.Health Phys.66(1),100−106)によって規定されているように、人体に望ましくない影響を及ぼすことになる磁界にさらされる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の欠点を克服するために、本発明によれば、磁気浮上振動システムおよび様々な筋骨格疾患の医学治療が提供される。本発明によって提供される磁気浮上振動システムによれば、骨粗鬆症、骨折、骨喪失、骨関節症、下背部疼痛、神経筋不快、下肢の循環障害および他の筋骨格不快を予防および治療するための、摩擦のない安定した振動が提供される。さらに、システムが動作している期間の間、振動の周波数および大きさを調整することができる。
【0007】
本発明の一態様によれば、磁気浮上振動システムは、
上面および底面を有する頂部プレートと、
頂部プレートの下方に配置される、上面および底面を有するベースプレートであって、該ベースプレートの上面と頂部プレートの底面とが互いに向かい合うベースプレートと、
頂部プレートの底面に固定される少なくとも1つの第1の磁石と、
同じ極性を有する第1の磁石と整列してベースプレートの上面に固定される少なくとも1つの第2の磁石であって、第1の磁石と第2の磁石の反発力を維持するために第1の磁石と互いに向かい合う第2の磁石と、
頂部プレートの底面に固定される上部、および該上部と整列してベースプレートの上面に固定される下部とを備える少なくとも1つの電磁アクチュエータと、
頂部プレートの振動の周波数を調整するように構成されるコントローラと、
頂部プレートの振動の大きさをモニタし、モニタ信号を生成するように構成されるセンサと、
アクチュエータの下部に電気接続される、モニタ信号に応答して頂部プレートの振動の大きさを調整するように構成される制御回路と
を備えている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、筋骨格疾患を治療するための方法には、
上面および底面を有する頂部プレートを提供するステップと、
上面および底面を有するように配置されるベースプレートを提供するステップであって、該ベースプレートの上面と頂部プレートの底面とが互いに向かい合うステップと、
頂部プレートを浮上させるための第1の磁界を発生するステップと、
頂部プレートを駆動して振動させるための第2の磁界を発生するステップと、
第2の磁界を誘導する交流の周波数を制御することによって頂部プレートの振動の周波数を調整するステップと、
センサによって送信されるモニタ信号に応答して電流を制御することによって頂部プレートの振動の大きさを調整するステップ
が含まれている。
【0009】
本発明の他の態様によれば、筋骨格疾患を予防するための方法には、
上面および底面を有する頂部プレートを提供するステップと、
上面および底面を有するように配置されるベースプレートを提供するステップであって、該ベースプレートの上面と頂部プレートの底面とが互いに向かい合うステップと、
頂部プレートを浮上させるための第1の磁界を発生するステップと、
頂部プレートを駆動して振動させるための第2の磁界を発生するステップと、
第2の磁界を誘導する交流の周波数を制御することによって頂部プレートの振動の周波数を調整するステップと、
センサによって送信されるモニタ信号に応答して電流を制御することによって頂部プレートの振動の大きさを調整するステップ
が含まれている。
【0010】
本発明によれば、ばねシステムの場合に生じる機械的な磨耗および金属疲労の危険を著しく抑制し、摩擦のない安定した振動を発生し、システムの内部から使用者および外部環境への磁界を遮蔽することができ、また、低雑音および低電力消費を提供することができる。振動を中断することなく、また、使用者の体重に無関係に、振動の周波数および大きさを所望のレベルに調整することができる。本発明によって提供される磁気浮上振動システムは、コンパクトで、かつ、軽量であり、また、融通がきき、使用者に優しく、電力消費が最少であり、維持費が低く、かつ、安価である。本発明の能力は、現在のニーズに合致しており、また、将来の要求事項を満たすべく容易に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による磁気浮上振動システムを示す略断面図である。
【図2】アセンブルされたコンポーネントを備えた、図1のシステムの頂部プレートを示す底面図である。
【図3】アセンブルされたコンポーネントを備えた、図1のシステムのベースプレートを示す上面図である。
【図4】振動プラットホームを制御するように動作する制御回路を示すブロック図である。
【図5】電力が供給された後のシステムによって生成される振動の波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による磁気浮上振動システム100を示す略断面図である。図1に示されているように、振動システム100には、頂部プレート001およびベースプレート002が含まれている。ベースプレート002は、堅固な支持を振動システム100に提供するために地面に横たえることができる。任意選択で、システムが不均一な地面の上に立っている場合であってもシステムが確実に水平に位置するように、複数の支持アイテム004A、004B、等々を調整可能な高さでベースプレート002の底部に提供することができる。頂部プレート001およびベースプレート002は、金属、合金、プラスチックまたは他の材料を使用して構築することができる。使用者は、特定の周波数および大きさで垂直方向に振動する頂部プレート001の上に自分の脚で立つことができる。この実施形態では、プレート001および002は長方形である。任意選択の実施形態では、プレート001および002は、正方形、円形、楕円形、三角形、等々であってもよい。
【0014】
図2は、アセンブルされたコンポーネントを備えた頂部プレート001を示す底面図であり、また、図3は、アセンブルされたコンポーネントを備えたベースプレート002を示す上面図である。図1ないし3に示されているように、2組の永久磁石005A〜005Jおよび006A〜006Jが、磁石005A〜005Jおよび磁石006A〜006Jの各々がそれぞれ対をなし、かつ、このような磁石対がプレートの周囲に分散している配置で、それぞれ頂部プレート001の底面およびベースプレート002の上面に固定して取り付けられている。個々の対の2つの磁石(005A/006A、005B/006B、等々)は、互いに向かい合う、同じ極性を有するセットであり、したがってそれらは反発する関係にある。本発明における一例として、これらの磁石は、それぞれ直径38mm、厚さ15mmであり、約1テスラの磁界を発生している。これらの磁石対の間の反発力は、頂部プレート001および頂部プレート001上の人体を浮上させるだけの十分な力(>1000N)を提供することができる。
【0015】
図1には、実例による説明を分かり易くするために、磁石005Aおよび005B、006Aおよび006Bのみが概略的に示されている。図1、2および3は、これらの磁石の配置を例示したものにすぎないことを理解されたい。当業者は、本発明の教示の下に、実際的な要求事項に応じてこれらの磁石を配置することができる。
【0016】
図1ないし3に示されているように、鉄殻を備える永久磁石である上部010Aおよびコイルである下部010Bを備える電磁アクチュエータがプレート001および002の中央領域に提供されている。上部010Aは、頂部プレート001の底面に固定されており、また、下部010Bは、ベースプレート002の上面に固定されている。上部010Aおよび下部010Bは、動作中は互いに接触しない。下部010Bに交流(AC)が供給されると、頂部プレート001および人体を駆動して振動させる発振力が生成される。上部010Aと下部010Bとの間に反発力および引力が交互に生成され、それにより頂部プレート001および人体が駆動されてその交流の周波数で振動する。振動の周波数および大きさは、下部010Bを通って流れる電流に応じて制御することができる。交流の周波数は、知られている任意の手段によって所定の値に照らして調整することができる。一例として、周波数シンセサイザ(例えばIC−XR2206)、コンデンサおよび調整可能抵抗器を備えるコントローラを使用して交流の周波数を調整することができる。さらに、力の値は、下部010Bを通って流れる電流によって制御される。永久磁石005A〜005Jおよび006A〜006Jは、頂部プレート001および人体を浮上させるための十分な反発力を提供するため、電磁アクチュエータ010が担うべき役割は、負荷のための発振力を提供することのみである。振動中、システム全体の運動エネルギーおよび位置エネルギーが互いに変換される。一例として、この実施形態では、2A、35HzのAC電流が提供されると、100kgの負荷を駆動して、0.5g(g≒9.81m・s−2)を超える大きさで、かつ、1mm未満の振動振幅で振動させることができる振動力が生成される。本発明においては、振動の大きさ(0.5gなど)は、ピークツーピーク(pk−pk)値を表している。詳細には、大きさは、振動の大きさの波形の正のピーク値と負のピーク値との差に等しい。例えば、振動の大きさが0.5gである場合、正のピーク値および負のピーク値は、それぞれ+0.25gおよび−0.25gである。
【0017】
一般的な臨床疾患に応じたこの実施形態では、振動の周波数および大きさは、それぞれ35Hzおよび重力の30%に予め決定されており、使用中、任意の時間に調整することができる。図には1つの電磁アクチュエータしか示されていないが、この設計は1つの電磁アクチュエータに限定されないことに留意されたい。任意選択の実施形態では、振動モード(例えば両方向運動)、振動の最大の大きさおよび負荷に対する特定のニーズに応じて、頂部プレート001とベースプレート002との間に複数の電磁アクチュエータ010を提供することができる。
【0018】
下部010Bを通って流れる電流は、頂部プレート001とベースプレート002との間の利用可能な空間に固定することができる電子回路基板012によって調整することができる。別法としては、システム100のボディの外側に電子回路基板012を配置することも可能である。その場合、基板012は、知られている任意の手段によって下部010Bに電気接続することができる。図1のシステム100は、振動の周波数、振動の大きさ、プリセット治療時間、等々のパラメータを表示するように構成されるスクリーン(LCDまたはLEDなど)、使用者がシステム100を動作させるように構成される遠隔制御インタフェース、等々を備えることができる。これらの構成は従来の構成であるため、簡潔にするためにその詳細な説明は省略する。
【0019】
本発明によれば、振動の大きさをモニタし、かつ、電子回路基板012上の制御回路(図示せず)にフィードバック信号を送信するための振動センサ011が提供される。図1および2に示されているように、センサ011は頂部プレート001の底面に取り付けられているが、本発明をこの配置に限定してはならない。この実施形態では、センサ011は、加速度(振動の大きさ)を1V/g(つまり1重力につき1ボルトを出力する)の電圧出力に直接変換することができる加速度計である。このセンサは、知られている任意の手段によって電子回路基板012に電気接続することができる。電子回路基板012は、振動の大きさをプリセット値に維持するために、受け取るフィードバック信号に応答して、下部010Bに印加される電流を実時間で調整し、あるいは周期的に調整する。したがって、振動を中断することなく、また、使用者の体重に完全に無関係に、人体に印加される振動の大きさ、ひいては振動刺激のレベルが所望のレベルに調整される。
【0020】
図4に示されているブロック図は、振動の大きさを所定の目標値に維持するために、フィードバックセンサ011を利用している制御システムを電子回路基板012の中に設置することができることを示したものである。この実施形態では、電子回路基板012上の制御回路020は、信号発生器021、AC/DC変換器022、コンパレータ023、電力増幅器024およびタイマ025を備えている。信号発生器021は、調整可能な周波数および振幅の振動信号を生成している。電力増幅器024は、信号を増幅して電磁アクチュエータを駆動している。タイマ025は、1治療の継続期間を制御している。コンパレータ023は、信号発生器021の出力振幅を調整することができる制御ユニットである。加速度計011の出力は、振動電圧をフィルタ除去し、かつ、振動の大きさのレベルを選び出すために、AC/DC変換器022によって調整される。AC/DC変換器022の出力は、加速度計011の調整済み出力電圧と、使用者によってプリセットされる、例えば0.3Vなどの基準値026とを比較するコンパレータ023に供給される。加速度計011の調整済み出力電圧が基準値より小さい場合、コンパレータ023は、信号発生器021を制御してその出力振幅を大きくし(つまり振幅変調)、加速度計011の調整済み出力電圧が基準値より大きい場合、コンパレータ023は、信号発生器021の出力振幅を小さくする。例えば、加速度計011は、0.3gの振動で0.3Vを生成し、したがってプラットホームの振動の大きさは0.3gに維持される。
【0021】
図5は、頂部プレート001の上に70kgの人が立っている状態で、図4に示されている制御回路に最初に電力が供給された場合の振動波形の変化を示したものである。電力が供給された直後は、下部010Bは、振動の大きさが0.3gより大きくなるまで完全に駆動される。下部010Bは、0.48gまで到達した後、開始から0.6秒以内に急激に0.3gまで低下し、振動の大きさは、負荷によるあらゆるバランスの変化にもかかわらず0.3gの10%の範囲内に維持される。この線図は、一回に1つの治療養生法を提供するための1つの可能な低コスト解決法を示したものにすぎず、この線図に限定されるものとして本発明の能力を一切解釈してはならないことに留意されたい。例えば、より洗練された回路により、より速やかに、かつ、オーバシュートすることなく、目標とする振動の大きさを達成することができ、また、より高い精度で値を維持することができる。別法としては、プログラマブルコントローラを利用して、特定の治療ニーズまたは健康ケアニーズに最も適した異なるプログラムの治療養生法(周波数、大きさ、継続期間)を記憶することも可能である。
【0022】
任意選択で、頂部プレート001の底面の4つの隅に4つの案内柱007Aないし007Dを提供することも可能である。それに応じて、図1〜3に示されているように(実例による説明を分かり易くするために図1には2組の案内柱および管しか示されていないが)、ベースプレート002の上面の4つの隅に、整合する4つの案内管008Aないし008Dを提供することができる。個々の案内管の内径は、個々の案内柱の外径より若干大きくなっており、したがって個々の案内柱を対応する案内管を通して垂直方向に移動させることができる。これらの柱は、個々の対の柱および管のアライメントが適切に配置されている限り、対応する管の中を互いに摩擦を生じることなく垂直方向に移動する。したがって頂部プレート001は、垂直方向にのみ振動することができる。この構造は、頂部プレート001とベースプレート002との間の磁石006A〜006Jに対する005A〜005Jの個々の対のアライメント、および電磁アクチュエータの下部010Bに対する上部010Aのアライメントを維持し、かつ、安定した振動を維持するために、ベースプレート002に対する頂部プレート001の運動を垂直方向に制限している。一代替実施形態では、ベースプレート002の上の案内管008Aないし008Dの位置に4つの貫通孔が提供されている。個々の貫通孔の直径および個々の案内管の内径は同じであり、したがって案内柱007Aないし007Dは、ベースプレート002を貫通することができる。したがって、負荷がかかった状態での頂部プレート001の下向きの運動は、案内柱007Aないし007Dが長い場合であっても、ベースプレート002によって制限されることはない。
【0023】
管008Aないし008Dからの案内柱007Aないし007Dの引抜きを防止し、それにより振動システム100に負荷がかかっていない場合の頂部プレート001とベースプレート002との分離を防止するためには、座金009A、009B、009Cおよび009Dは、図1に示されているように、案内柱007Aないし007Dの末端部にそれぞれ提供されることが好ましい。これらの座金は任意選択であり、治療効果には影響しないことを理解されたい。
【0024】
任意選択で、頂部プレート001の上面および底部プレート002の底面の各々は、実例による説明を分かり易くするために図1ないし3には示されていないが、振動システム100の内部コンポーネントからの磁界の第1の遮蔽として薄い金属シート(一般的には鉄製で、厚さ1.5mm)で覆われる。さらに、ハウジングケース003を提供して頂部プレート001を取り囲み、振動システム100の内部コンポーネントを保護することも可能であり、また、このハウジングケース003は、使用者および外部環境に対する磁界の第2の遮蔽として提供することも可能であり、それによりWHOおよびICNIRPによる推奨規格(<40mT)を遵守することができる。ハウジングケース003は、軟鉄などの磁気遮蔽材料で構築することができる。
【0025】
本発明によれば、システム100を使用して筋骨格疾患を治療することができる。別法としては、筋骨格疾患に対処するための予防デバイスとしてシステム100を使用することも可能である。
【0026】
以上の説明には多くの特定の配置およびパラメータが含まれているが、これらの特定の配置およびパラメータは、本発明の一実施形態を実例で説明するためのものにすぎないことに留意されたい。これを本発明の範囲に対する制限と見なしてはならない。本発明の範囲および精神を逸脱することなく、様々な修正、追加および置換を本発明に加えることができることは当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に基づいて解釈されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上振動システムであって、
上面および底面を有する頂部プレートと、
前記頂部プレートの下方に配置される、上面および底面を有するベースプレートであって、前記ベースプレートの前記上面と前記頂部プレートの前記底面とが互いに向かい合うベースプレートと、
前記頂部プレートの前記底面に固定される少なくとも1つの第1の磁石と、
同じ極性を有する前記第1の磁石と整列して前記ベースプレートの前記上面に固定される少なくとも1つの第2の磁石であって、前記第1の磁石と第2の磁石の反発力を維持するために前記第1の磁石と互いに向かい合う第2の磁石と、
前記頂部プレートの前記底面に固定される上部、および前記上部と整列して前記ベースプレートの前記上面に固定される下部とを備える少なくとも1つの電磁アクチュエータと、
前記頂部プレートの振動の周波数を調整するように構成されるコントローラと、
前記頂部プレートの振動の大きさをモニタし、モニタ信号を生成するように構成されるセンサと、
前記アクチュエータの前記下部に電気接続される、前記モニタ信号に応答して前記頂部プレートの振動の大きさを調整するように構成される制御回路と
を備える磁気浮上振動システム。
【請求項2】
前記頂部プレートおよび前記ベースプレートが互いに分離される、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項3】
前記第1および第2の磁石が永久磁石である、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項4】
前記アクチュエータの前記上部が永久磁石であり、前記アクチュエータの前記下部がコイルである、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項5】
前記制御回路が、
振動信号を生成するための信号発生器と、
前記振動信号を増幅して前記電磁アクチュエータを駆動する電力増幅器と、
AC/DC変換を実現するためのAC/DC変換器と、
前記センサから得られる前記モニタ信号と基準値とを比較し、比較の結果に照らして前記信号発生器を制御するためのコンパレータと、
1治療の継続期間を制御するタイマと
を備える、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項6】
前記センサが加速度計である、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項7】
1組の案内デバイスをさらに備える、請求項1ないし6に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項8】
前記1組の案内デバイスが、前記頂部プレートおよびベースプレートのうちの一方に固定される少なくとも1つの案内柱、およびもう一方の前記プレートに固定される少なくとも1つの案内管を備える、請求項7に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項9】
前記案内柱の一端に固定される少なくとも1つの座金をさらに備える、請求項8に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項10】
前記頂部プレートの前記上面および前記底部プレートの前記底面の各々が薄い金属シートで覆われる、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項11】
前記頂部プレートおよびベースプレートを包むように構成されるケースであって、前記ケースの内部から外部への磁界を遮蔽するケースをさらに備える、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項12】
前記ベースプレートの前記底面に固定される少なくとも3つの脚をさらに備える、請求項1に記載の磁気浮上振動システム。
【請求項13】
筋骨格疾患を治療するための方法であって、
上面および底面を有する頂部プレートを提供するステップと、
上面および底面を有するように配置されるベースプレートを提供するステップであって、前記ベースプレートの前記上面と前記頂部プレートの前記底面とが互いに向かい合うステップと、
前記頂部プレートを浮上させるための第1の磁界を発生するステップと、
前記頂部プレートを駆動して振動させるための第2の磁界を発生するステップと、
前記第2の磁界を誘導する交流の周波数を制御することによって前記頂部プレートの振動の周波数を調整するステップと、
センサによって送信されるモニタ信号に応答して電流を制御することによって前記頂部プレートの振動の大きさを調整するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記頂部プレートおよび前記ベースプレートが互いに分離される、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項15】
前記第1の磁界が、前記頂部プレートの前記底面および前記ベースプレートの前記上面にそれぞれ提供される少なくとも1つの対の永久磁石によって生成される、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項16】
前記第2の磁界が、永久磁石および電磁コイルからなるアクチュエータによって生成され、また、前記電流が前記電磁コイルに供給されると、前記頂部プレートを駆動して振動させる発振力が前記第2の磁界によって提供される、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項17】
前記頂部プレートの振動の大きさを調整するステップが、
振動信号を生成するステップと、
前記電磁コイルを駆動するために前記振動信号を増幅するステップと、
振動電圧をフィルタ除去し、かつ、振動の大きさのレベルを選び出すために、前記センサによって送信される前記信号を調整するステップと、
前記センサによって送信される前記信号と基準値とを比較するステップと、
比較の結果に照らして前記振動信号を調整するステップと
を含む、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項18】
前記センサが加速度計である、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項19】
振動の方向を案内するステップをさらに含む、請求項13ないし18に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項20】
振動の方向を案内するステップが、前記頂部プレートおよびベースプレートのうちの一方に固定される少なくとも1つの案内柱、もう一方の前記プレートに固定される少なくとも1つの案内管、および前記案内柱の一端に固定される少なくとも1つの座金を備える1組の案内デバイスによって実施される、請求項19に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項21】
前記頂部プレートの上に立つ人体を前記第1および第2の磁界から遮蔽するステップをさらに含む、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項22】
調整可能な高さを有する少なくとも3つのアイテムによって前記ベースプレートを支持するステップをさらに含む、請求項13に記載の筋骨格疾患を治療するための方法。
【請求項23】
筋骨格疾患を予防するための方法であって、
上面および底面を有する頂部プレートを提供するステップと、
上面および底面を有するように配置されるベースプレートを提供するステップであって、前記ベースプレートの前記上面と前記頂部プレートの前記底面とが互いに向かい合うステップと、
前記頂部プレートを浮上させるための第1の磁界を発生するステップと、
前記頂部プレートを駆動して振動させるための第2の磁界を発生するステップと、
前記第2の磁界を誘導する交流の周波数を制御することによって前記頂部プレートの振動の周波数を調整するステップと、
センサによって送信されるモニタ信号に応答して電流を制御することによって前記頂部プレートの振動の大きさを調整するステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記第2の磁界が、永久磁石および電磁コイルからなるアクチュエータによって生成され、また、前記電流が前記電磁コイルに供給されると、前記頂部プレートを駆動して振動させる発振力が前記第2の磁界によって提供される、請求項23に記載の筋骨格疾患を予防するための方法。
【請求項25】
前記頂部プレートの振動の大きさを調整するステップが、
振動信号を生成するステップと、
前記電磁コイルを駆動するために前記振動信号を増幅するステップと、
振動電圧をフィルタ除去し、かつ、振動の大きさのレベルを選び出すために、前記センサによって送信される前記信号を調整するステップと、
前記センサによって送信される前記信号と基準値とを比較するステップと、
比較の結果に照らして前記振動信号を調整するステップと
を含む、請求項23に記載の筋骨格疾患を予防するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−540128(P2010−540128A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527314(P2010−527314)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001629
【国際公開番号】WO2009/043230
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(304043888)ザ チャイニーズ ユニバーシティー オブ ホンコン (11)
【氏名又は名称原語表記】THE CHINESE UNIVERSITY OF HONGKONG
【住所又は居所原語表記】Shatin, NT Hong Kong China