説明

磁気結合装置および磁気結合システム

【課題】磁気素子同士での磁気結合を利用した動作を行う際に、エネルギー損失を低減させることを可能とする磁気結合装置および磁気結合システムを提供する。
【解決手段】磁気結合装置は、他の装置内における他の磁気素子との間で互いに磁気結合が可能な1または複数の磁気素子と、磁気結合を補強する1または複数の結合補強部とを備えている。磁気結合システムは、各々が1または複数の磁気素子を有する複数の磁気結合装置を備え、これら複数の磁気結合装置のうちの一の磁気結合装置内の磁気素子と他の一の磁気結合装置内の磁気素子との間で、互いに磁気結合が可能となっている。複数の磁気結合装置内、およびこれらの磁気結合装置とは別体である他の装置内のうちの少なくとも1つに、磁気結合を補強する1または複数の結合補強部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル等の磁気素子を有する磁気結合装置、およびそのような磁気結合装置を複数備えた磁気結合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤー等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、非接触に電力供給(電力伝送)を行う給電システム(非接触給電システム、ワイヤレス充電システム)が注目を集めている。これにより、ACアダプタのような電源装置のコネクタを機器に挿す(接続する)ことによって充電を開始するのはなく、電子機器(2次側機器)を充電トレー(1次側機器)上に置くだけで充電を開始することができる。すなわち、電子機器と充電トレーと間での端子接続が不要となる。
【0003】
このようにして非接触で電力供給を行う方式としては、電磁誘導方式(例えば、特許文献1参照)が良く知られている。また、最近では、磁気共鳴現象を利用した磁界共鳴方式と呼ばれる方式を用いた非接触給電システムが注目されている。この磁気共鳴方式を用いた非接触給電システムでは、磁気共鳴現象という原理から、電磁誘導方式よりも距離を離しても電力伝送することができ、かつ、多少軸合わせが悪くても伝送効率(給電効率)があまり落ちないという利点がある。ただし、この磁気共鳴方式でも電磁誘導方式でも、給電元(送電コイル)と給電先(受電コイル)との磁気結合を利用した非接触給電システムであることには変わりない。
【0004】
一方、この非接触給電システムと同じように、コイル(磁気素子)同士での磁気結合を利用して所定の動作を行うシステム(磁気結合システム)は、現在数多く存在する。例えば、電子機器と非接触型IC(Integrated Circuit)カードなどとの間で近距離の無線通信を行う無線通信システム(例えば、特許文献2参照)や、交流電力の電圧値を別の電圧値に変換する変圧システムなどである。また、コイルと金属製品(例えば金属鍋)との磁気結合を利用して、金属製品を非接触で加熱する電磁誘導加熱システム(例えば、特許文献3参照)なども挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−93180号公報
【特許文献2】特開2006−178713号公報
【特許文献3】特開2004−267466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した非接触給電システムおよび無線通信システムなどでは、コイル間での伝送効率(給電効率)の向上が求められている。また、電磁誘導加熱システムでは加熱効率の向上が、変圧システムでは電子部品であるトランスの挿入損失の低減が、それぞれ求められている。すなわち、これらのシステム(磁気結合システム)では、エネルギー損失を低減することが望まれている。
【0007】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気素子同士での磁気結合を利用した動作を行う際に、エネルギー損失を低減させることを可能とする磁気結合装置および磁気結合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の磁気結合装置は、他の装置内における他の磁気素子との間で互いに磁気結合が可能な1または複数の磁気素子と、磁気結合を補強する1または複数の結合補強部とを備えたものである。
【0009】
本開示の磁気結合システムは、各々が1または複数の磁気素子を有する複数の磁気結合装置を備えたものであり、これら複数の磁気結合装置のうちの一の磁気結合装置内の磁気素子と他の一の磁気結合装置内の磁気素子との間で、互いに磁気結合が可能となっている。また、複数の磁気結合装置内、およびこれらの磁気結合装置とは別体である他の装置内のうちの少なくとも1つに、磁気結合を補強する1または複数の結合補強部が設けられている。
【0010】
本開示の磁気結合装置および磁気結合システムでは、異なる装置内の磁気素子間での磁気結合を補強する結合補強部が設けられていることにより、これらの磁気素子間での磁気結合が強まる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の磁気結合装置および磁気結合システムによれば、異なる装置内の磁気素子間での磁気結合を補強する結合補強部を設けるようにしたので、これらの磁気素子間での磁気結合を強めることができる。よって、磁気素子同士での磁気結合を利用した動作を行う際に、エネルギー損失を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る給電システム(磁気結合システム)の外観構成例を表す斜視図である。
【図2】図1に示した給電システムの詳細構成例を表すブロック図である。
【図3】図2に示した送電部および受電部の概略構成例を表す模式図である。
【図4】図2に示した結合補強部の詳細構成例を表す模式図である。
【図5】図2に示した結合補強部の他の詳細構成例を表す模式図である。
【図6】比較例1,2に係る給電システムの概略構成を表す模式図である。
【図7】第1の実施の形態に係る結合補強部の作用について説明するための模式図である。
【図8】第1の実施の形態に係る結合補強部における作用の詳細について説明するための模式図である。
【図9】第1の実施の形態の実施例に係る各コイルの構成を表す模式図である。
【図10】第1の実施の形態の実施例に係るデータの一例を表す特性図である。
【図11】第1の実施の形態の実施例に係るデータの他の例を表す特性図である。
【図12】第2の実施の形態に係る給電システムの概略構成例を表す模式図である。
【図13】第2の実施の形態に係る給電システムの他の概略構成例を表す模式図である。
【図14】第2の実施の形態に係る結合補強部の作用について説明するための模式図である。
【図15】第2の実施の形態の実施例に係る各コイルの構成およびデータの一例を表す図である。
【図16】第3の実施の形態に係る給電システムの概略構成例を表す模式図である。
【図17】図16に示した結合補強部内の共振用キャパシタの詳細構成例を表す模式図である。
【図18】各共振周波数同士の関係について説明するための図である。
【図19】第3の実施の形態の実施例に係るデータの一例を表す特性図である。
【図20】第3の実施の形態の実施例に係るデータの他の例を表す特性図である。
【図21】変形例に係る給電システムの概略構成例を表す模式図である。
【図22】変形例に係る給電システムの他の概略構成例を表す模式図である。
【図23】変形例に係る給電システムの他の概略構成例を表す模式図である。
【図24】その他の変形例に係る給電装置の概略構成例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(1次側機器内に結合補強部を設けた非接触給電システムの例1)
2.第2の実施の形態(1次側機器内に結合補強部を設けた非接触給電システムの例2)
3.第3の実施の形態(1次側機器内に結合補強部を設けた非接触給電システムの例3)
4.変形例(2次側機器内や他の装置内に結合補強部を設けた非接触給電システムの例)
5.その他の変形例(非接触給電システム以外の他の磁気結合システムの例等)
【0014】
<第1の実施の形態>
[給電システム4の全体構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る磁気結合システムとしての給電システム(給電システム4)の外観構成例を表したものであり、図2は、この給電システム4のブロック構成例を表したものである。給電システム4は、磁界を用いて(磁気共鳴等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電)を行うシステム(非接触型の給電システム)である。この給電システム4は、給電装置1(1次側機器)と、1または複数の給電対象機器としての電子機器(ここでは2つの電子機器2A,2B;2次側機器)とを備えている。
【0015】
この給電システム4では、例えば図1に示したように、給電装置1における給電面(送電面)S1上に電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)ことにより、給電装置1から電子機器2A,2Bに対して電力伝送が行われるようになっている。ここでは、複数の電子機器2A,2Bに対して同時もしくは時分割的(順次)に電力伝送を行う場合を考慮して、給電装置1は、給電面S1の面積が給電対象の電子機器2A,2B等よりも大きなマット形状(トレー状)となっている。
【0016】
(給電装置1)
給電装置1は、上記したように、磁界を用いて電子機器2A,2Bに対して電力伝送を行うもの(充電トレー)である。この給電装置1は、例えば図2に示したように、送電部110、高周波電力発生回路111、インピーダンス整合回路112および共振用キャパシタC1(容量素子)を有する送電装置11と、結合補強部3とを備えている。
【0017】
送電部110は、磁気素子として、後述する送電コイル(1次側コイル)L1等を含んで構成されている。送電部110は、この送電コイルL1および共振用キャパシタC1を利用して、電子機器2A,2B(詳細には、後述する受電部210)に対して磁界を用いた電力伝送を行うものである。具体的には、送電部110は、給電面S1から電子機器2A,2Bへ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。なお、この送電部110の詳細構成については、後述する(図3〜図5)。
【0018】
高周波電力発生回路111は、例えば給電装置1の外部の電力供給源9から供給される電力を用いて、電力伝送を行うための所定の高周波電力(交流信号)を発生する回路である。
【0019】
インピーダンス整合回路112は、電力伝送を行う際のインピーダンス整合を行う回路である。これにより、電力伝送の際の効率(伝送効率)が向上するようになっている。なお、送電コイルL1や後述する受電コイルL2、共振用キャパシタC1,C2等の構成次第では、このインピーダンス整合回路112を設けないようにしてもよい。
【0020】
共振用キャパシタC1は、送電コイルL1とともにLC共振器(共振回路)を構成するための容量素子であり、送電コイルL1に対して、電気的に直列、並列、もしくは直列と並列とを組み合わせた接続となるように配置されている。この送電コイルL1と共振用キャパシタC1とからなるLC共振器により、高周波電力発生回路111において発生された高周波電力と略同一もしくは近傍の周波数からなる共振周波数(第1の共振周波数)f1による共振動作がなされるようになっている。また、そのような共振周波数f1となるように、共振用キャパシタC1の容量値が設定されている。ただし、送電コイルL1内における線間容量や、送電コイルL1と後述する受電コイルL2との間の容量等から構成される寄生容量成分(浮遊容量成分)を用いた共振動作によって、上記の共振周波数f1が実現されるのであれば、この共振用キャパシタC1を設けないようにしてもよい。また、伝送効率が低下しても構わないのであれば、同様にこの共振用キャパシタC1を設けないようにしてもよい。
【0021】
結合補強部3は、送電部110内の送電コイルL1と後述する受電部210内の受電コイルL2との間の磁気結合を補強(増強)する機能を有している。なお、この結合補強部3の詳細構成については、後述する(図4,図5)。
【0022】
(電子機器2A,2B)
電子機器2A,2Bは、例えば、テレビ受像機に代表される据え置き型電子機器や、携帯電話やデジタルカメラに代表される、充電池(バッテリー)を含む携帯型の電子機器等からなる。この電子機器は、例えば図2に示したように、受電装置21と、この受電装置21から供給される電力に基づいて所定の動作(電子機器としての機能を発揮させる動作)を行う負荷22とを備えている。また、受電装置21は、受電部210、インピーダンス整合回路212、整流回路213、電圧安定化回路214、バッテリー215および共振用キャパシタ(容量素子)C2を有している。
【0023】
受電部210は、磁気素子(他の磁気素子)として、後述する受電コイル(2次側コイル)L2を含んで構成されている。受電部210は、この受電コイルL2および共振用キャパシタC2を利用して、給電装置1内の送電部110から伝送された電力を受け取る機能を有している。なお、この受電部210の詳細構成については、後述する(図3〜図5)。
【0024】
インピーダンス整合回路212は、上記したインピーダンス整合回路112と同様に、電力伝送を行う際のインピーダンス整合を行う回路である。なお、送電コイルL1や後述する受電コイルL2、共振用キャパシタC1,C2等の構成次第では、このインピーダンス整合回路212も設けないようにしてもよい。また、伝送効率が低下しても構わないのであれば、同様にこのインピーダンス整合部212も設けないようにしてもよい。
【0025】
整流回路213は、受電部210から供給された電力(交流電力)を整流し、直流電力を生成する回路である。
【0026】
電圧安定化回路214は、整流回路213から供給される直流電力に基づいて所定の電圧安定化動作を行い、バッテリー215や負荷22内のバッテリー(図示せず)に対して充電を行うための回路である。
【0027】
バッテリー215は、電圧安定化回路214による充電に応じて電力を貯蔵するものであり、例えばリチウムイオン電池等の充電池(2次電池)を用いて構成されている。なお、負荷22内のバッテリーのみを用いる場合等には、このバッテリー215は必ずしも設けられていなくともよい。
【0028】
共振用キャパシタC2は、受電コイルL2とともにLC共振器(共振回路)を構成するための容量素子であり、受電コイルL2に対して、電気的に直列、並列、もしくは直列と並列とを組み合わせた接続となるように配置されている。この受電コイルL2と共振用キャパシタC2とからなるLC共振器により、高周波電力発生回路111において発生された高周波電力と略同一もしくは近傍の周波数からなる共振周波数f2(第1の共振周波数)による共振動作がなされるようになっている。すなわち、送電コイルL1と共振用キャパシタC1とからなる送電装置11内のLC共振器と、受電コイルL2と共振用キャパシタC2とからなる受電装置21内のLC共振器とは、互いに略同一の共振周波数(f1≒f2)で共振動作を行うようになっている。また、そのような共振周波数f2となるように、共振用キャパシタC2の容量値が設定されている。ただし、受電コイルL2内における線間容量や、送電コイルL1と受電コイルL2との間の容量等から構成される寄生容量成分を用いた共振動作によって、上記の共振周波数f2が実現されるのであれば、この共振用キャパシタC2もまた設けないようにしてもよい。また、伝送効率が低下しても構わないのであれば、共振周波数f2と共振周波数f1とが互いに異なっていたり(f2≠f1)、この共振用キャパシタC2を設けないようにしていたりしてもよい。
【0029】
[送電部110および受電部210の詳細構成]
図3は、送電部110および受電部210の概略構成を模式的に表したものである。送電部110は少なくとも1つ(ここでは1つ)の送電コイルL1を有し、受電部210は少なくとも1つ(ここでは1つ)の受電コイルL2を有している。これらの送電コイルL1と受電コイルL2とは、互いに磁気結合することが可能となっている。なお、送電部110や受電部210が、これらの送電コイルL1や受電コイルL2以外に、1つまたは複数のコイル、もしくはコイルとキャパシタとで構成される1つまたは複数のLC共振器を有しているようにしてもよい。
【0030】
これらのコイル(送電コイルL1および受電コイルL2等)としては、導電性の線材(材料)を複数回巻いたような形状の開放コイル(導電性コイル)には限られず、導電性の線材を1回巻いたような形状の開放ループ(導電性ループ)であってもよい。なお、これらの導電性コイルや導電性ループには、導電性の線材を巻き線したコイル(巻き線コイル)やループ(巻き線ループ)、プリント基板(プリント配線板)やフレキシブルプリント基板(フレキシブルプリント配線板)などの導電性のパターンで構成したコイル(パターンコイル)やループ(パターンループ)などが用いられる。また、これらのパターンコイルおよびパターンループは、導電性材料を印刷もしくは蒸着したものや、導電性の板金やシート等を加工したものなどでも構成可能である。
【0031】
図3ではまた、ある位相のときに送電コイルL1から生じる磁力線の分布例も同時に示している。送電コイルL1は、上記したように、磁束(磁力線,磁界)を用いて電力伝送を行う(磁束を発生させる)ためのコイルである。一方、受電コイルL2は、送電部110から伝送された(磁束,磁力線,磁界から)電力を受け取るためのコイルである。
【0032】
[結合補強部3の詳細構成]
図4(A),(B)および図5(A),(B)はそれぞれ、前述した結合補強部3の詳細構成例を模式的に表したものである。結合補強部3は、互いに電気的に接続された電流発生部31(第1の電流発生部)および電流発生部32(第2の電流発生部)を有している。具体的には、電流発生部31の両端と電流発生部32の両端とは、導線などを用いて有線で電気的に接続(配線)されている。なお、この結合補強部3では、後述するように電流発生部31において相対的に大きな電流が発生するように、送電部110(送電コイルL1)および受電部210(受電コイルL2)と電気的に絶縁である(電気的な接点等で繋がっていない)ことが望ましいが、その限りではない。
【0033】
ここで、電流発生部31において発生する電流(第1の電流)の流れる方向と、電流発生部32において発生する電流(第2の電流)の流れる方向とが互いに逆向きとなるように、これら電流発生部31,32の両端同士が電気的に接続されている。また、電流発生部32において発生する電流(第2の電流)と比べて電流発生部31において発生する電流(第1の電流)のほうが電流量が大きくなるように、これら電流発生部31,32および送電コイルL1(磁気素子)とが配置されている。具体的には、ここでは、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32と比べ、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31のほうが短くなるように(d32>d31)配置されている。ただし、これには限られず、以下説明する電流発生部31,32内の磁気素子L31,L32の内径φ31,φ32や形状、各巻き数などを異ならせることにより、上記した電流量の大小関係を満たすようにしてもよい。
【0034】
また、本実施の形態の結合補強部3では、電流発生部31と電流発生部32との間(間隙内)に、送電コイルL1が配置されている。換言すると、電流発生部32は送電コイルL1と受電コイルL2との間(間隙内)に位置するように配置され、電流発生部31は送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外に位置するように配置されている。
【0035】
ここで、これらの電流発生部31,32はそれぞれ、例えば導電性の開放コイルまたは導電性の開放ループからなる磁気素子L31,L32を含んで構成されている。具体的には、図4(A)に示した例では、電流発生部31,32がそれぞれ導電性の開放ループからなる磁気素子L31,L32となっており、図4(B)に示した例では、電流発生部31,32がそれぞれ導電性の開放コイルからなる磁気素子L31,L32となっている。また、図5(A)に示した例では、電流発生部31が導電性の開放ループからなる磁気素子L31となっていると共に、電流発生部32が導電性の開放コイルからなる磁気素子L32となっている。図5(B)に示した例では、電流発生部31が導電性の開放コイルからなる磁気素子L31となっていると共に、電流発生部32が導電性の開放ループからなる磁気素子L32となっている。
【0036】
なお、これらの開放コイルや開放ループには、導電性の線材を巻き線したコイル(巻き線コイル)やループ(巻き線ループ)、プリント基板(プリント配線板)やフレキシブルプリント基板(フレキシブルプリント配線板)などの導電性のパターンで構成したコイル(パターンコイル)やループ(パターンループ)などが用いられる。また、このパターンコイルおよびパターンループは、導電性材料を印刷もしくは蒸着したものや、導電性の板金やシート等を加工したものなどでも構成可能である。
【0037】
[給電システム4の作用・効果]
(1.全体動作の概要)
この給電システム4では、給電装置1において、高周波電力発生回路111が送電部110内の送電コイルL1および共振用キャパシタ子C1(LC共振器)に対して、電力伝送を行うための所定の高周波電力(交流信号)を供給する。これにより、送電部110内の送電コイルL1において磁界(磁束)が発生する。このとき、給電装置1の上面(給電面S1)に、給電対象(充電対象)としての電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)と、給電装置1内の送電コイルL1と電子機器2A,2B内の受電コイルL2とが、給電面S1付近にて近接する。
【0038】
このように、磁界(磁束)を発生している送電コイルL1に近接して受電コイルL2が配置されると、送電コイルL1から発生されている磁束に誘起されて、受電コイルL2に起電力が生じる。換言すると、電磁誘導または磁気共鳴により、送電コイルL1および受電コイルL2のそれぞれに鎖交して磁界が発生する。これにより、送電コイルL1側(1次側、給電装置1側、送電部110側)から受電コイルL2側(2次側、電子機器2A,2B側、受電部210側)に対して、電力伝送がなされる(図2中に示した電力P1参照)。このとき、給電装置1側では、送電コイルL1と共振用キャパシタC1とを用いた共振動作(共振周波数f1)が行われると共に、電子機器2A,2B側では、受電コイルL2と共振用キャパシタC2とを用いた共振動作(共振周波数f2≒f1)が行われる。
【0039】
すると、電子機器2A,2Bでは、受電コイルL2において受け取った交流電力が整流回路213および電圧安定化回路214へ供給され、以下の充電動作がなされる。すなわち、この交流電力が整流回路213によって所定の直流電力に変換された後、電圧安定化回路214によってこの直流電力に基づく電圧安定化動作がなされ、バッテリー215または負荷22内のバッテリー(図示せず)への充電がなされる。このようにして、電子機器2A,2Bにおいて、受電部210において受け取った電力に基づく充電動作がなされる。
【0040】
すなわち、本実施の形態では、電子機器2A,2Bの充電に際し、例えばACアダプタ等への端子接続が不要であり、給電装置1の給電面S1上に置く(近接させる)だけで、容易に充電を開始させることができる(非接触給電がなされる)。これは、ユーザにおける負担軽減に繋がる。
【0041】
(2.結合補強部3の作用)
次に、本実施の形態における特徴的部分の1つである結合補強部3の作用について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ詳細に説明する。
【0042】
(比較例1)
図6(A)は、比較例1に係る給電システム(給電システム104)の概略構成を表したものである。この比較例1の給電システム104は、給電システム4と同様に、磁界を用いて非接触に電力伝送を行うシステムである。給電システム104は、送電部110および電流発生部103を有する給電装置101と、電子機器2A,2Bとを備えている。
【0043】
この給電装置101では、給電装置1とは異なり、送電コイルL1と受電コイルL2との間(間隙内)には、コイルL103を有する電流発生部103が位置するように配設されている一方、送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外には電流発生部は配設されていない。このことから、比較例1では以下の問題が生じる。
【0044】
まず、このような構成において電流発生部103を通り抜ける磁束(磁界内のある一定面積を通り抜ける磁力線の垂直成分を足し合わせたもの)が変化する場合には、その変化を妨げる方向に電流を流そうとする起電力が、電流発生部103に誘起される。その結果、この電流発生部103には電流(環状電流)I103が流れる(ファラデーの電磁誘導の法則,レンツの法則)。すなわち、磁力線の向きは位相によって変わるのだが、ある位相で図6(A)に示した向きの磁力線が送電部110(送電コイルL1)から生じる場合、以下のようになる。つまり、図6(A)に示した向きの電流I103が生じ、送電部110(送電コイルL1)から生じる磁束を低減させる向きの磁束が、電流発生部103から生じる。その結果、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合が弱まるため、このような電流発生部103のみが設けられていると、伝送効率(給電効率)が低下してしまう。
【0045】
(比較例2)
また、図6(B)は、比較例2に係る給電システム(給電システム204)の概略構成を表したものである。この比較例2の給電システム204は、給電システム4と同様に、磁界を用いて非接触に電力伝送を行うシステムである。給電システム204は、送電部110および電流発生部203を有する給電装置201と、電子機器2A,2Bとを備えている。
【0046】
この給電装置201では、給電装置1,101とは異なり、送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外には、コイルL203を有する電流発生部203が位置するように配設されている一方、送電コイルL1と受電コイルL2との間(間隙内)には電流発生部は配設されていない。このことから、比較例2では以下の問題が生じる。
【0047】
すなわち、このような構成でも上記比較例1と同様に、電流発生部203において発生する電流(環状電流I203)の向きに起因して、送電部110(送電コイルL1)から生じる磁束を低減させる向きの磁束が、電流発生部203から生じてしまう。その結果、この比較例2においても送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合が弱まることとなり、伝送効率(給電効率)が低下してしまう。
【0048】
なお、このような構成の場合、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との間隙外かつ送電部110側(図6(B)では送電コイルL1の下側)から外部に漏れる磁束が、低減されることになる。すなわち、送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外に配置された電流発生部203により、いわゆる磁気シールド(磁気遮蔽)の効果が得られる。
【0049】
(本実施の形態)
これに対して本実施の形態では、例えば図4および図5に示した構成の磁気素子(開放ループまたは開放コイル)L31,L32を含む結合補強部3が設けられていることにより、例えば上記比較例1,2における問題を解消している。すなわち、以下詳述するように、異なる装置(ここでは給電装置1および電子機器2A,2B)内の磁気素子(ここでは送電コイルL1,受電コイルL2)間での磁気結合を補強する結合補強部3が設けられていることにより、これらの磁気素子間での磁気結合が強まることになる。
【0050】
図7は、結合補強部3において発生する電流(環状に流れる電流I31,I32)の向きを模式的に表したものである。なお、ここでは一例として、図4(A)に示した構成の場合(電流発生部31,32がそれぞれ開放ループからなる場合)を挙げて説明する。
【0051】
この結合補強部3では、電流発生部31において発生する電流I31の流れる方向と、電流発生部32において発生する電流I32の流れる方向とが互いに逆向きとなるように、これら電流発生部31,32の両端同士が電気的に接続されている。また、電流発生部32において発生する電流I32と比べて電流発生部31において発生する電流I32のほうが電流量が大きくなるように(I31>I32)、これら電流発生部31,32および送電コイルL1とが配置されている。具体的には、ここでは、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32と比べ、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31のほうが短くなるように(d32>d31)配置されている。
【0052】
このようにして、電流I31,I32の流れる向きが図7中に示したようになっており、かつ電流I31のほうが電流I32よりも大きいため、電流発生部32では実際には、電流I31の流れる方向と同方向(電流I32の流れる方向とは逆方向)の電流が流れることになる。つまり、電流発生部32では、図6(A)に示した電流発生部103において発生する電流I103の流れる方向とは逆向きの電流が流れることになる。その結果、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合を強める磁束(磁力線,磁界)が、電流発生部32の付近に生じることとなる。これにより、本実施の形態では上記比較例1,2と比べ、伝送効率(給電効率)が向上する。
【0053】
また、本実施の形態においても上記した比較例2と同様に、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との間隙外かつ送電部110側(送電コイルL1の下側)から外部に漏れる磁束が、低減される。すなわち、送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外に配置された電流発生部31により、いわゆる磁気シールド(磁気遮蔽)の効果も得られる。
【0054】
ちなみに、図8(A)に示した構成例では、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32と、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31とが、互いに略等しくなっている(d32≒d31)。このような位置関係の場合、電流発生部31から生じる電流I31と電流発生部32から生じる電流I32とが、略等しくなる。その結果、電流発生部31,32において電流がほとんど流れなくなってしまうことから、伝送効率(給電効率)の向上があまり見込めない。
【0055】
また、図8(B)に示した構成例では、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31と比べ、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32のほうが短くなっている(d31>d32)。このような位置関係の場合、電流発生部31から生じる電流I31よりも、電流発生部32から生じる電流I32の方が大きくなる。その結果、電流発生部31では、電流発生部32から生じる電流I32と同じ向きに電流が流れることとなる。つまり、図6(A)に示した電流発生部103において発生する電流I103の流れる方向と同じ向きの電流I31が電流発生部32に流れるため、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合を弱める磁束(磁力線,磁界)が、電流発生部32の付近に生じる。そのため、この場合も、伝送効率(給電効率)の向上がほとんど見込めないことになる。
【0056】
これらのことから、上記したように、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32と比べ、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31のほうが短くなるように(d32>d31)配置されているのが望ましいと言える。
【0057】
(第1の実施の形態の実施例)
ここで、図9〜図11は、本実施の形態の実施例について示したものである。この実施例では、図9に示した斜視構成の各コイル(送電コイルL1,受電コイルL2,磁気素子L31,L32)からなる解析モデルに対して電磁界解析を行うことにより、図10および図11に示した各種のデータを取得している。なお、この実施例では、現象を理解しやすくするため、送電コイルL1と受電コイルL2とに同じ形状の導電性コイルを用いている。また、ここでは前述した共振用キャパシタC1を用いているが、同じく現象を理解しやすくするため、前述した共振用キャパシタC2は用いていない。すなわち、給電装置1側では、送電コイルL1と共振用キャパシタC1とを用いた共振動作(共振周波数f1)が行われるが、電子機器2A,2B側では、受電コイルL2と共振用キャパシタC2とを用いた共振動作(共振周波数f2)が行われないようになっている。
【0058】
まず、図10は、結合補強部3の有無による伝送特性変化の一例を表したものである。ここで、縦軸のS21(Sパラメータ)とは、伝送効率(給電効率)と関連するパラメータである。この図10により、電力伝送の際の共振周波数f1付近の周波数(1×f1)では、結合補強部3が設けられることによって、S21の最大値(最大伝送効率)が大きく向上していると分かる。また、電力伝送の際の共振周波数f1付近の周波数(1×f1)では、結合補強部3が設けられることによって、S21の帯域幅(周波数帯域の幅)が広がっていることも分かる。このことは、結合補強部3を設けることにより、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合が強まったことを示している。
【0059】
続いて、図11は、図9に示した構成における磁気素子L31,L32をそれぞれ、開放コイルおよび開放ループの各種組み合わせとした場合の、最大伝送効率の違いをまとめた一覧表である。なお、これらの開放コイルと開放ループとでは、使用する線材および最外寸法を同一とした。この図11より、電流発生部31が開放コイルを用いて構成されると共に電流発生部32も開放コイルを用いて構成されている場合に、最大伝送効率が最も高くなることが分かる。また、最大伝送効率が次に高くなるのは、電流発生部31が開放ループを用いて構成され、電流発生部32も開放ループを用いて構成されている場合であると分かる。一方、電流発生部31が開放ループを用いて構成されていて電流発生部32が開放コイルを用いて構成されている場合や、電流発生部31が開放コイルを用いて構成されていて電流発生部32が開放ループを用いて構成されている場合には、以下のことが言える。すなわち、これらの場合においても結合補強部3を設けることによる伝送効率(給電効率)向上の効果は得られるが、向上の度合いが比較的小さいと言える。
【0060】
以上のように本実施の形態では、異なる装置(給電装置1および電子機器2A,2B)内の磁気素子(送電コイルL1,受電コイルL2)間での磁気結合を補強する結合補強部3を設けるようにしたので、これらの磁気素子間での磁気結合を強めることができる。よって、磁気素子同士での磁気結合を利用した動作を行う際に、エネルギー損失を低減させる(ここでは、伝送効率(給電効率)を向上させる)ことが可能となる。
【0061】
また、電流発生部31と電流発生部32との間(間隙内)に送電コイルL1が配置されているようにしたので、送電部110と受電部210との間隙外かつ送電部110側(送電コイルL1の下側)から外部に漏れる磁束を低減することもできる。すなわち、送電コイルL1と受電コイルL2との間隙外に配置された電流発生部31によって、いわゆる磁気シールド(磁気遮蔽)の効果も得ることが可能となる。
【0062】
続いて、本開示の他の実施の形態(第2,第3の実施の形態)について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0063】
<第2の実施の形態>
[給電システム4Aの構成]
図12(A),(B)および図13(A),(B)はそれぞれ、第2の実施の形態に係る給電システム(給電システム4A)の概略構成例を模式的に表したものである。本実施の形態の給電システム4Aは、給電システム4と同様に磁界を用いて非接触に電力伝送を行うシステムであり、送電部110および結合補強部3Aを有する給電装置1Aと、電子機器2A,2Bとを備えている。
【0064】
結合補強部3Aは、第1の実施の形態の結合補強部3と同様に、電流発生部31,32を有している。具体的には、図12(A)に示した例では、電流発生部31,32がそれぞれ導電性の開放ループからなる磁気素子L31,L32となっており、図12(B)に示した例では、電流発生部31,32がそれぞれ導電性の開放コイルからなる磁気素子L31,L32となっている。また、図13(A)に示した例では、電流発生部31が導電性の開放ループからなる磁気素子L31となっていると共に、電流発生部32が導電性の開放コイルからなる磁気素子L32となっている。図13(B)に示した例では、電流発生部31が導電性の開放コイルからなる磁気素子L31となっていると共に、電流発生部32が導電性の開放ループからなる磁気素子L32となっている。すなわち、本実施の形態の結合補強部3Aにおいても、電流発生部31,32はそれぞれ、導電性の開放コイルまたは導電性の開放ループからなる磁気素子L31,L32を含んで構成されている。
【0065】
ただし、この結合補強部3Aでは結合補強部3とは異なり、送電コイルL1(磁気素子)と受電コイルL2(他の磁気素子)との間(間隙内)に電流発生部31,32がそれぞれ位置することとなるように、これらの電流発生部31,32が配置されている。
【0066】
[給電システム4Aの作用・効果]
本実施の形態の給電システム4Aにおいても、上記した構成の結合補強部3Aが設けられていることにより、送電コイルL1と受電コイルL2との間(磁気素子間)での磁気結合が強まることになる。ただし、この結合補強部3Aでは、上記したように送電コイルL1と受電コイルL2との間(間隙内)に電流発生部31,32がそれぞれ位置しているため、第1の実施の形態の結合補強部3とは異なり、前述した磁気シールド(磁気遮蔽)の効果は得られないことになる。
【0067】
ここで図14は、結合補強部3Aにおいて発生する電流(環状に流れる電流I31,I32)の向きを模式的に表したものである。なお、ここでは一例として、図12(A)に示した構成の場合(電流発生部31,32がそれぞれ開放ループからなる場合)を挙げて説明する。
【0068】
この結合補強部3Aにおいても結合補強部3と同様に、電流発生部31において発生する電流I31の流れる方向と、電流発生部32において発生する電流I32の流れる方向とが互いに逆向きとなるように、これら電流発生部31,32の両端同士が電気的に接続されている。また、電流発生部32において発生する電流I32と比べて電流発生部31において発生する電流I32のほうが電流量が大きくなるように(I31>I32)、これら電流発生部31,32および送電コイルL1とが配置されている。具体的には、ここでは、電流発生部32と送電コイルL1との間の距離d32と比べ、電流発生部31と送電コイルL1との間の距離d31のほうが短くなるように(d32>d31)配置されている。
【0069】
このようにして、図14中に示したように、電流I31,I32の流れる向きでかつ電流I31のほうが電流I32よりも大きいため、結果として、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との磁気結合を強める磁束(磁力線,磁界)が、電流発生部32の付近に生じることとなる。これにより、本実施の形態においても上記比較例1,2と比べ、伝送効率(給電効率)が向上する。
【0070】
(第2の実施の形態の実施例)
ここで、図15(A),(B)は、本実施の形態の実施例について示したものである。この実施例では、図15(A)に示した斜視構成の各コイル(送電コイルL1,受電コイルL2,磁気素子L31,L32)からなる解析モデルに対して電磁界解析を行うことにより、図15(B)に示した各種のデータを取得している。なお、この実施例においても現象を理解しやすくするため、送電コイルL1と受電コイルL2とに同じ形状の導電性コイルを用いている。また、ここでも前述した共振用キャパシタC1を用いているが、同じく現象を理解しやすくするため、前述した共振用キャパシタC2は用いていない。すなわち、給電装置1側では、送電コイルL1と共振用キャパシタC1とを用いた共振動作(共振周波数f1)が行われるが、電子機器2A,2B側では、受電コイルL2と共振用キャパシタC2とを用いた共振動作(共振周波数f2)が行われないようになっている。
【0071】
図15(B)は、図15(A)に示した構成における磁気素子L31,L32をそれぞれ、開放コイルおよび開放ループの各種組み合わせとした場合の、最大伝送効率の違いをまとめた一覧表である。なお、これらの開放コイルと開放ループとでは、使用する線材および最外寸法を同一とした。この図15(B)により、電流発生部31が開放コイルを用いて構成されると共に電流発生部32も開放コイルを用いて構成されている場合に、最大伝送効率が最も高くなることが分かる。また、最大伝送効率が次に高くなるのは、電流発生部31が開放ループを用いて構成され、電流発生部32も開放ループを用いて構成されている場合であると分かる。一方、電流発生部31が開放ループを用いて構成されていて電流発生部32が開放コイルを用いて構成されている場合や、電流発生部31が開放コイルを用いて構成されていて電流発生部32が開放ループを用いて構成されている場合には、以下のことが言える。すなわち、これらの場合においても結合補強部3Aを設けることによる伝送効率(給電効率)向上の効果は得られるが、向上の度合いが比較的小さいと言える。
【0072】
以上のように本実施の形態では、結合補強部3Aを設けるようにしたので、第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、磁気素子同士での磁気結合を利用した動作を行う際に、エネルギー損失を低減させる(ここでは、伝送効率(給電効率)を向上させる)ことが可能となる。
【0073】
<第3の実施の形態>
[給電システム4Bの構成]
図16は、第3の実施の形態に係る給電システム(給電システム4B)の概略構成例を表したものである。本実施の形態の給電システム4Bは、給電システム4と同様に磁界を用いて非接触に電力伝送を行うシステムであり、送電部110および結合補強部3Bを有する給電装置1Bと、電子機器2A,2Bとを備えている。
【0074】
本実施の形態の給電システム4Bでは、結合補強部3Aは、第1の実施の形態の結合補強部3と同様に、電流発生部31,32を有している。また、結合補強部3と同様に、電流発生部31と電流発生部32との間(間隙内)に、送電コイルL1が配置されている。なお、第2の実施の形態の結合補強部3Aと同様に、送電コイルL1(磁気素子)と受電コイルL2(他の磁気素子)との間(間隙内)に、電流発生部31,32が配置されているようにしてもよい。
【0075】
ただし、この結合補強部3Bでは結合補強部3とは異なり、共振用キャパシタC3を更に有している。この共振用キャパシタC3は、電流発生部31,32を構成する磁気素子L31,L32(導電性の開放ループもしくは開放コイル)とともに、LC共振器(共振回路)を構成するための容量素子である。すなわち、結合補強部3Bでは、後述する所定の共振動作(LC共振動作)がなされるようになっている。
【0076】
ここで、図17(A)に示した例では、結合補強部3Bにおいて、磁気素子L31,L32と共振用キャパシタC3pとが電気的に並列接続されている。また、図17(B)に示した例では、結合補強部3Bにおいて、磁気素子L31,L32と共振用キャパシタC3sとが電気的に直列接続されている。更に、図17(C)に示した例では、結合補強部3Bにおいて、磁気素子L31,L32と共振用キャパシタC3pとが、電気的に直列と並列との組み合わせで接続されている。
【0077】
このようにして結合補強部3Bでは、所定の周波数(第2の共振周波数)f3で共振動作を行うようになっている。また、そのような共振周波数f3となるように、共振用キャパシタC3の容量値が設定されている。ただし、結合補強部3B内における線間容量や、結合補強部3Bと送電部110もしくは受電部210との間の容量等から構成される寄生容量成分(浮遊容量成分)を用いた共振動作によって、上記の共振周波数f3が実現されるのであれば、この共振用キャパシタC3を設けないようにしてもよい。
【0078】
(共振周波数f1,f3の関係)
また、本実施の形態では、図18(A),(B)に示したように、電力伝送の際の送電コイルL1を用いた共振動作における共振周波数f1(≒f2)と、結合補強部3内のLC共振器における共振周波数f3とが、互いに異なっている(f1≠f3)ようにするのが望ましい。
【0079】
具体的には、例えば図18(A)に示したように、共振周波数f3が共振周波数f1(≒f2)よりも高い周波数となっている(f3>f1)。あるいは、例えば図18(B)に示したように、共振周波数f3が、共振周波数f1(≒f2)よりも低い周波数となっている(f3<f1)。
【0080】
ただし、場合によっては、電力伝送の際の送電コイルL1を用いた共振動作における共振周波数f1(≒f2)と、結合補強部3内のLC共振器における共振周波数f3とが、互いに略等しくなっている(f1≒f3)ようにしてもよい。
【0081】
[給電システム4Bの作用・効果]
本実施の形態の給電システム4Bでは、結合補強部3Bが所定の周波数f3で共振している場合、電流発生部31,32から生じる電流I31,I32が増大する。その結果、電流発生部32の付近に生じる磁束(磁力線,磁界)も増大するため、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との間の磁気結合が、より一層強くなる。これにより、本実施の形態では上記第1,第2の実施の形態と比べ、伝送効率(給電効率)が更に向上することになる。
【0082】
(第3の実施の形態の実施例)
ここで、図19および図20は、本実施の形態の実施例について示したものである。この実施例においても、図9に示した斜視構成の各コイル(送電コイルL1,受電コイルL2,磁気素子L31,L32)からなる解析モデルに対して電磁界解析を行うことにより、図19および図20に示した各種のデータを取得している。なお、この実施例においても現象を理解しやすくするため、送電コイルL1と受電コイルL2とに同じ形状の導電性コイルを用いている。また、ここでも前述した共振用キャパシタC1を用いているが、同じく現象を理解しやすくするため、前述した共振用キャパシタC2は用いていない。すなわち、給電装置1側では、送電コイルL1と共振用キャパシタC1とを用いた共振動作(共振周波数f1)が行われるが、電子機器2A,2B側では、受電コイルL2と共振用キャパシタC2とを用いた共振動作(共振周波数f2)が行われないようになっている。
【0083】
まず、図19は、結合補強部3Bにおける共振周波数f3を変化させた場合の伝送特性変化の一例を表したものである。結合補強部3Bが共振していない場合(共振なし)、結合補強部3Bがf3=(3×f1)の周波数で共振している場合、結合補強部3Bがf3=(2×f1)の周波数で共振している場合、の3つを比較している。なお、ここでは、共振用キャパシタC3の値を変化させることにより、共振周波数f3を変化させるようにした。この図19により、電力伝送の際の共振周波数f1付近の周波数(1×f1)では、結合補強部3Bの共振周波数f3がf1(1×f1)に近いほど、S21の帯域幅(周波数帯域の幅)が広がっていると分かる。このことは、結合補強部3Bの共振周波数f3がf1(1×f1)に近いほど、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との間の磁気結合が強くなることを示している。
【0084】
続いて、図20は、結合補強部3Bにおける共振周波数f3を変化させた場合の、最大伝送効率の違いをまとめた一覧表である。この図20により、結合補強部3Bを所定の周波数で共振させることで、最大伝送効率が向上していることが分かる。また、共振周波数f3がf1(1×f1)に近いほど、最大伝送効率が高くなっていることも分かる。理論的には、共振周波数f3と共振周波数f1とを一致させる場合に伝送効率(給電効率)が最大となるのだが、共振周波数f3と共振周波数f1とに周波数ズレ(周波数の不一致)が生じた場合、伝送効率(給電効率)およびイピーダンス整合回路112,212のインピーダンスが大きく変化してしまう。すなわち、伝送効率(給電効率)およびイピーダンス整合回路112,212のインピーダンスが、共振周波数f3と共振周波数f1との周波数ずれの度合いに対して敏感になってしまう。そのため、図18(A),(B)に示したように、共振周波数f1(≒f2)と共振周波数f3とが互いに異なっている(f1≠f3)ようにするのが望ましいと言える。また、その場合には、共振周波数f3は共振周波数f1より高い周波数でも低い周波数でも構わないが、共振周波数f3が共振周波数f1よりも高い周波数となるように設定した場合(f3>f1)には、共振用キャパシタC3が小さくて済むので好ましい場合が多い。
【0085】
以上のように本実施の形態では、結合補強部3Bが所定の周波数f3で共振するようにしたので、送電部110(送電コイルL1)と受電部210(受電コイルL2)との間の磁気結合をより一層強くすることができる。よって、上記第1,第2の実施の形態と比べ、エネルギー損失を更に低減させる(ここでは、伝送効率(給電効率)を更に向上させる)ことが可能となる。
【0086】
<変形例>
続いて、上記第1〜第3の実施の形態の変形例について説明する。なお、これらの実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0087】
上記第1〜第3の実施の形態では、例えば図21(A),(B)に示した給電システム4,4A〜4Cのように、結合補強部3,3A〜3Cがそれぞれ、1次側機器としての給電装置1,1A〜1C内に配設されている場合について説明した。
【0088】
ただしこの場合には限られず、例えば図22(A),(B)に示した給電システム4D,4Eのように、結合補強部3,3A〜3Cがそれぞれ、2次側機器(給電対象機器)としての電子機器2Da,2Dbまたは電子機器2Ea,2Eb内に配設されているようにしてもよい。なお、これらの場合では1次側機器としての給電装置1Dでは、送電部110が設けられている一方で、結合補強部3,3A〜3Cは設けられていない。
【0089】
また、例えば図23(A),(B)に示した給電システム4F,4Gのように、結合補強部3,3A〜3Cがそれぞれ、給電装置1Dおよび電子機器2A,2B(磁気結合装置)とは別体である他の装置(補強装置41)内に配設されているようにしてもよい。
【0090】
すなわち、上記実施の形態等で説明した結合補強部3,3A〜3Cはそれぞれ、給電装置(1次側機器)内、給電対象機器としての電子機器(2次側機器)内、およびこれらの給電装置および電子機器(磁気結合装置)とは別体である他の装置(製品)内のうちの少なくとも1つに設けられているようにすればよい。
【0091】
<その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0092】
例えば、上記実施の形態等では、結合補強部が1つの場合についてのみ説明したが、そのような場合には限られず、例えば、結合補強部を複数(2つ以上)配設するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、送電コイルおよび受電コイルを1つずつ配設する場合についてのみ説明したが、そのような場合には限られず、例えば、送電コイルもしくは受電コイルを複数(2つ以上)配設するようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、各コイル(送電コイル、受電コイル、磁気素子)をスパイラル形状(平面形状)もしくは厚み方向に巻線が巻回しているヘリカル形状としているが、例えばスパイラルコイルを2層で折り返すように配置するα巻き形状や、更なる多層のスパイラル形状などによって、各コイルを構成してもよい。また、8の字形状や田の字形状、格子形状などのような、磁束漏れを低減することが可能なコイル形状にて、各コイルを構成してもよい。一方、送電部内、受電部内および結合補強部内には、不要な磁束(磁力線,磁界)漏れを防ぐことや伝送効率(給電効率)を向上させることなどを目的として、磁性材料や金属材料などを配設していてもよい。加えて、上記実施の形態等とは異なり、2つの電流発生部31,32が同一平面上に配置されていてもよい。更に、送電コイルもしくは受電コイルなどの磁気素子と、電流発生部31および電流発生部32のうちの少なくとも一方とが、互いに同一平面上に配置されていてもよい。また、送電コイルもしくは受電コイルなどの磁気素子と結合補強部3,3A〜3Cとを電気的に接続(有線接続)し、結合補強部3,3A〜3Cを送電コイルもしくは受電コイルなどの磁気素子の一部として使用する場合も想定される。
【0093】
また、各共振用キャパシタ(特に、結合補強部内の共振用キャパシタ)としては、固定の静電容量値を用いる場合には限られず、静電容量値が可変にできるような構成(例えば、スイッチ等によって、複数の容量素子の接続経路を切り替える構成等)としてもよい。そのような構成とした場合、静電容量値の調整によって、共振周波数の制御(最適化)を行うことが可能となる。
【0094】
更に、結合補強部を構成する電流発生部31,32の少なくとも一方を、給電装置、電子機器(2次側機器)、ならびに、給電装置および電子機器(2次側機器)とは別体である他の装置(製品)を収める筐体(ケース、容器)の内部だけでなく、筐体表面などに配設することも可能である。例えば、図24は、筐体10の表面の金属部(導体部)10aを電流発生部31,32(磁気素子L31,L32)として利用する場合における、給電装置1の詳細構成例(斜視図)を表したものである。この場合、筐体10を主に形成する材料(樹脂など)と筐体10の表面の金属部10aとの一体成型などにより、結合補強部を容易に構成可能である。また、結合補強部の少なくとも一部を、意匠(デザイン)として活かすことも可能である。一方、給電装置上の給電面に電子機器を配置する場合の配置位置の指標(ガイド)として、結合補強部の少なくとも一部を活用することも可能である。
【0095】
加えて、上記実施の形態等では、給電装置および電子機器等の各構成要素を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。例えば、給電装置(送電装置)や電子機器(受電装置)内に、通信機能や何かしらの制御機能、表示機能、2次側機器を認証する機能、2次側機器が1次側機器上にあることを判別する機能、異種金属などの混入を検知する機能、などを搭載するようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態等では、給電システム内に複数(2つ)の電子機器が設けられている場合を例に挙げて説明したが、この場合には限られず、給電システム内に1つの電子機器のみが設けられているようにしてもよい。
【0097】
更に、上記実施の形態等では、給電装置の一例として、携帯電話機等の小型の電子機器(CE機器)向けの充電トレーを挙げて説明したが、給電装置としてはそのような家庭用の充電トレーには限定されず、様々な電子機器の充電器として適用可能である。また、必ずしもトレーである必要はなく、例えば、いわゆるクレードル等の電子機器用のスタンドであってもよい。また、上記実施の形態では、給電対象機器の一例として電子機器を挙げて説明したが、これには限られず、電子機器以外の給電対象機器(例えば、電気自動車等の車両など)であってもよい。
【0098】
加えて、上記実施の形態等では、本開示の磁気結合システムの一例として、非接触による給電システムについて説明したが、これには限られない。すなわち、本開示の磁気結合装置およびこれを構成する複数の磁気結合装置は、磁気素子間の磁気結合を利用した電子部品や装置、ならびにそのような電子部品や装置を用いたシステムに対して広く適用可能である。例えば、電子機器や非接触型ICカードなどと近距離で無線通信を行う通信システム(近距離無線通信システム)や、金属製品などを非接触で加熱する電磁誘導加熱システムや、交流電力の電圧値を別の電圧値に変換する変圧システム(トランス)などにも適用可能である。特に、電磁誘導加熱システムの場合には、上記実施の形態等における受電部(受電コイル)を含む2次側機器(電子機器)を金属製品(金属鍋など)に、伝送効率(給電効率)を加熱効率に置き換えればよい。
【0099】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
他の装置内における他の磁気素子との間で互いに磁気結合が可能な1または複数の磁気素子と、
前記磁気結合を補強する1または複数の結合補強部と
を備えた磁気結合装置。
(2)
前記結合補強部は、互いに電気的に接続された第1および第2の電流発生部を有し、
前記第1の電流発生部において発生する第1の電流の流れる方向と、前記第2の電流発生部において発生する第2の電流の流れる方向とが、互いに逆向きとなっている
上記(1)に記載の磁気結合装置。
(3)
前記第2の電流と比べて第1の電流のほうが、電流量が大きい
上記(2)に記載の磁気結合装置。
(4)
前記第2の電流発生部と前記磁気素子との間の距離と比べ、前記第1の電流発生部と前記磁気素子との間の距離のほうが短い
上記(3)に記載の磁気結合装置。
(5)
前記第1の電流発生部と前記第2の電流発生部との間に、前記磁気素子が配置されている
上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(6)
前記磁気素子と前記他の磁気素子との間に前記第1および第2の電流発生部がそれぞれ位置することとなるように、前記第1および第2の電流発生部が配置されている
上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(7)
前記第1および第2の電流発生部はそれぞれ、開放コイルまたは開放ループを含んで構成されている
上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(8)
前記結合補強部は、所定の共振動作を行う
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(9)
前記磁気結合を利用した所定の動作を行う際の前記磁気素子を用いた共振動作における第1の共振周波数と、前記結合補強部での共振動作における第2の共振周波数とが、互いに異なっている
上記(8)に記載の磁気結合装置。
(10)
前記第2の共振周波数が、前記第1の共振周波数よりも高い周波数である
上記(9)に記載の磁気結合装置。
(11)
前記第2の共振周波数が、前記第1の共振周波数よりも低い周波数である
上記(9)に記載の磁気結合装置。
(12)
前記磁気結合を利用した所定の動作を行う際の前記磁気素子を用いた共振動作における第1の共振周波数と、前記結合補強部での共振動作における第2の共振周波数とが、互いに略等しい
上記(8)に記載の磁気結合装置。
(13)
前記磁気素子と前記結合補強部とが、電気的に絶縁されている
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(14)
前記磁気素子を送電コイルとして含む送電部を備えた給電装置として構成され、
前記他の磁気素子が、前記他の装置としての給電対象機器における受電部内に設けられている
上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(15)
前記他の磁気素子が、前記他の装置としての給電装置における送電部内に設けられており、
前記磁気素子を受電コイルとして含む受電部を備えた給電対象機器として構成されている
上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の磁気結合装置。
(16)
前記給電対象機器が、電子機器である
上記(15)に記載の磁気結合装置。
(17)
各々が1または複数の磁気素子を有する複数の磁気結合装置を備え、
前記複数の磁気結合装置のうちの一の磁気結合装置内の前記磁気素子と他の一の磁気結合装置内の前記磁気素子との間で、互いに磁気結合が可能となっており、
前記複数の磁気結合装置内、およびこれらの磁気結合装置とは別体である他の装置内のうちの少なくとも1つに、前記磁気結合を補強する1または複数の結合補強部が設けられている
磁気結合システム。
(18)
前記結合補強部が、前記他の装置としての補強装置内に設けられている
上記(17)に記載の磁気結合システム。
(19)
前記複数の磁気結合装置が、
前記磁気素子を送電コイルとして含む送電部を有する給電装置と、
前記磁気素子を受電コイルとして含む受電部を有する1または複数の給電対象機器とからなり、
磁界を用いた電力伝送を行う給電システムとして構成されている
上記(17)または(18)に記載の磁気結合システム。
【符号の説明】
【0100】
1,1A〜1D…給電装置(1次側機器)、10…筐体、10a…金属部(導電部)、11…送電装置、110…送電部、111…高周波電力発生回路、112…インピーダンス整合回路、2A,2B,2Da,2Db,2Ea,2Eb…電子機器(2次側機器)、21…受電装置、210…受電部、212…インピーダンス整合回路、213…整流回路、214…電圧安定化回路、215…バッテリー、22…負荷、3,3A〜3C…結合補強部、31,32…電流発生部、4,4A〜4G…給電システム(磁気結合システム)、41…補強装置、9…電力供給源、S1…送電面、L1…送電コイル(磁気素子)、L2…受電コイル(磁気素子)、L3…磁気素子(開放コイル,開放ループ)、C1,C2,C3,C3p,C3s…共振用キャパシタ(容量素子)、φ31,φ32…内径、d31,d32…距離、I31,I32…電流、f1,f2,f3…共振周波数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置内における他の磁気素子との間で互いに磁気結合が可能な1または複数の磁気素子と、
前記磁気結合を補強する1または複数の結合補強部と
を備えた磁気結合装置。
【請求項2】
前記結合補強部は、互いに電気的に接続された第1および第2の電流発生部を有し、
前記第1の電流発生部において発生する第1の電流の流れる方向と、前記第2の電流発生部において発生する第2の電流の流れる方向とが、互いに逆向きとなっている
請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項3】
前記第2の電流と比べて第1の電流のほうが、電流量が大きい
請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項4】
前記第2の電流発生部と前記磁気素子との間の距離と比べ、前記第1の電流発生部と前記磁気素子との間の距離のほうが短い
請求項3に記載の磁気結合装置。
【請求項5】
前記第1の電流発生部と前記第2の電流発生部との間に、前記磁気素子が配置されている
請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項6】
前記磁気素子と前記他の磁気素子との間に前記第1および第2の電流発生部がそれぞれ位置することとなるように、前記第1および第2の電流発生部が配置されている
請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項7】
前記第1および第2の電流発生部はそれぞれ、開放コイルまたは開放ループを含んで構成されている
請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項8】
前記結合補強部は、所定の共振動作を行う
請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項9】
前記磁気結合を利用した所定の動作を行う際の前記磁気素子を用いた共振動作における第1の共振周波数と、前記結合補強部での共振動作における第2の共振周波数とが、互いに異なっている
請求項8に記載の磁気結合装置。
【請求項10】
前記第2の共振周波数が、前記第1の共振周波数よりも高い周波数である
請求項9に記載の磁気結合装置。
【請求項11】
前記第2の共振周波数が、前記第1の共振周波数よりも低い周波数である
請求項9に記載の磁気結合装置。
【請求項12】
前記磁気結合を利用した所定の動作を行う際の前記磁気素子を用いた共振動作における第1の共振周波数と、前記結合補強部での共振動作における第2の共振周波数とが、互いに略等しい
請求項8に記載の磁気結合装置。
【請求項13】
前記磁気素子と前記結合補強部とが、電気的に絶縁されている
請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項14】
前記磁気素子を送電コイルとして含む送電部を備えた給電装置として構成され、
前記他の磁気素子が、前記他の装置としての給電対象機器における受電部内に設けられている
請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項15】
前記他の磁気素子が、前記他の装置としての給電装置における送電部内に設けられており、
前記磁気素子を受電コイルとして含む受電部を備えた給電対象機器として構成されている
請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項16】
前記給電対象機器が、電子機器である
請求項15に記載の磁気結合装置。
【請求項17】
各々が1または複数の磁気素子を有する複数の磁気結合装置を備え、
前記複数の磁気結合装置のうちの一の磁気結合装置内の前記磁気素子と他の一の磁気結合装置内の前記磁気素子との間で、互いに磁気結合が可能となっており、
前記複数の磁気結合装置内、およびこれらの磁気結合装置とは別体である他の装置内のうちの少なくとも1つに、前記磁気結合を補強する1または複数の結合補強部が設けられている
磁気結合システム。
【請求項18】
前記結合補強部が、前記他の装置としての補強装置内に設けられている
請求項17に記載の磁気結合システム。
【請求項19】
前記複数の磁気結合装置が、
前記磁気素子を送電コイルとして含む送電部を有する給電装置と、
前記磁気素子を受電コイルとして含む受電部を有する1または複数の給電対象機器とからなり、
磁界を用いた電力伝送を行う給電システムとして構成されている
請求項17に記載の磁気結合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−102593(P2013−102593A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244319(P2011−244319)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)