説明

磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法

【課題】記憶容量を増大させることができる磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法を提供すること。
【解決手段】リード同期用プリアンブルが設けられていない磁気記録媒体を用いるとともに、ライトクロックからリードクロックを生成するための位相補正値と、ライト再生信号等を増幅する際に用いられるライト再生信号利得からデータ再生信号を増幅する際に用いられるデータ再生信号利得を生成するための利得補正値とを記憶部に記憶させておき、リード処理時に、位相補正値を用いてライトクロックからリードクロックを生成するとともに、利得補正値を用いてライト再生信号利得からデータ再生信号利得を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高密度に情報を記録することが可能であるパターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体が注目されている。パターンドメディアとは、図15に示すように、磁気記録媒体上において、互いに孤立した記録再生のための磁化領域(適宜「ランド」という)が非磁化領域によって隔離されて配置されている媒体である。
【0003】
このようなパターンドメディアを用いた磁気記録装置は、ヘッドがランド上に位置するタイミングにおいてヘッドにランドを磁化させることにより、データを記録する。また、データを再生する場合、磁気記録装置は、データ領域から読み出した再生信号を所定のタイミングでサンプリングすることにより情報を取得する。このため、パターンドメディアを用いた磁気記録装置は、正確なタイミングでヘッドがランドへの書き込みを行うことや、再生信号に最適なタイミングで再生信号をサンプリングして情報を取得することが求められる。
【0004】
そこで、近年では、データ記録用のタイミング(以下、「ライトクロック」という)を生成等するためのプリアンブル(Preamble)をセクタの先頭に設けるパターンドメディアが知られている。かかるパターンドメディアは、データ再生用のタイミング(以下、「リードクロック」という)を生成等するためのプリアンブルをデータセクタの先頭に有する。
【0005】
また、ライトクロックを同期させるための同期マークをトラック上に所定の間隔で配置されるパターンドメディアも知られている。かかるパターンドメディアにおいても、リードクロックを生成等するためのプリアンブルがデータセクタの先頭に設けられる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−48352号公報
【特許文献2】特開2004−199806号公報
【特許文献3】特開2003−157507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したパターンドメディアには、記憶容量が減少するという問題があった。具体的には、上述したパターンドメディアは、リードクロックの生成等のために、データセクタごとにプリアンブルが設けられているので、データを記憶できる容量が減少していた。
【0008】
なお、かかる問題点は、パターンドメディアのみに生じる問題ではなく、データセクタごとにプリアンブルを設ける他の磁気記録媒体についても同様に生じる問題である。
【0009】
開示の技術は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、記憶容量を増大させることができる磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願に開示する磁気記録装置は、データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置であって、前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段と、前記磁気記録媒体から信号を読み出す読出手段と、前記読出手段によって前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、前記補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正手段と、前記位相補正手段によって位相が補正されたことにより生成されたクロックに基づいて、前記読出手段によって前記データ領域から読み出された信号であるデータ再生信号に含まれるデータを取得するデータ取得手段とを備えたことを要件とする。
【0011】
なお、本願に開示する磁気記録装置の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも、他の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本願に開示した磁気記録装置によれば、記憶容量を増大させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本願に開示する磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願に開示する磁気記録装置、制御装置および磁気記録装置制御方法が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
まず、実施例1に係る磁気記録装置100の概要について説明する。図1は、実施例1に係る磁気記録装置100の断面図である。図1に示すように、磁気記録装置100は、磁気記録媒体11と、アーム12とを有する。磁気記録媒体11は、スピンドルモータ(以下、「SPM」という)15により回転駆動される。
【0015】
実施例1における磁気記録媒体11は、各種情報を記録するパターンドメディアであり、ユーザデータを記憶するデータ領域と、サーボ情報等を記憶するサーボ領域とを有する。サーボ情報とは、ヘッド13の位置決め制御に利用されるデータのことである。なお、本実施例に係る磁気記録媒体11のサーボ領域は、磁性体の配置パターン(「サーボパターン」と呼ばれる)によって形成されているものとする。
【0016】
磁気記録媒体11の読み書きは、ヘッド支持機構であるアーム12の一方の先端に設けられたヘッド13によって行われる。ヘッド13は、磁気記録媒体11の回転によって生じる揚力によって、磁気記録媒体11の表面からわずかに浮いた状態を維持して読み書きを実行する。また、アーム12のもう一方の端に設けられたヘッド駆動機構であるボイスコイルモータ(以下、「VCM」という)14の駆動により、アーム12が軸16を中心とする円弧上を回動し、ヘッド13が磁気記録媒体11のトラック横断方向にシーク移動し、読み書きする対象のトラックを変更する。
【0017】
ここで、図2を用いて、磁気記録媒体11の構成について説明する。図2は、比較例の磁気記録媒体91の構成と、実施例1における磁気記録媒体11の構成を示す図である。図2では、磁気記録装置が有する磁気記録媒体の一部分を示す。具体的には、図2の上段は、比較例の磁気記録媒体91の一部分を示し、図2の下段は、実施例1における磁気記録媒体11の一部分を示す。なお、図2では、横方向が磁気記録媒体の円周方向(「トラック方向」とも呼ばれる)を示し、縦方向が磁気記録媒体の半径方向(「クロストラック方向」もしくは「トラック幅方向」とも呼ばれる)を示す。
【0018】
図2の上段に示すように、磁気記録媒体91は、サーボ領域111と、プリアンブル(Preamble)121と、Syncマーク131と、データ領域941とを有する。磁気記録媒体91は、サーボ領域112以降も、プリアンブル、Syncマーク、データ領域を順に有する。
【0019】
サーボ領域111は、磁気記録媒体91におけるトラック番号およびセクタ番号を示す再生信号が読み出されるアドレス部や、ヘッド13をトラックの中心に位置決め制御するための再生信号が読み出されるバースト部などである。
【0020】
プリアンブル121は、一定の周波数の再生信号が読み出されるように、磁性体が所定のパターンによって配置されている領域である。Syncマーク131は、データ領域941の開始を示す再生信号が読み出されるように磁性体が配置されている領域である。
【0021】
比較例の磁気記録装置は、プリアンブル121から読み出された再生信号に基づいて、ライトクロックの生成および位相調整を行う。また、比較例の磁気記録装置は、プリアンブル121から読み出された再生信号に基づいて、プリアンブル121およびSyncマーク131から読み出された再生信号の振幅を一定にするための利得(ゲイン)を算出する。
【0022】
なお、以下では、ライトクロックを生成等するために用いられるプリアンブルを「ライト同期用プリアンブル」と呼ぶこととする。また、ライト同期用プリアンブルから読み出された再生信号を「ライト再生信号」と呼ぶこととする。また、プリアンブル121およびSyncマーク131から読み出された再生信号の振幅を一定にするための利得を「ライト再生信号利得」と呼ぶこととする。
【0023】
データ領域941は、ユーザデータ等が記録される領域であり、円周方向および半径方向に磁性粒子が非磁性体によって隔離されて配置される。また、データ領域941は、最小の記録単位であるデータセクタ(例えば、512バイト)ごとに、プリアンブルと、Syncマークとを有する。図2の上段に示した例では、データ領域941は、データセクタD1の先頭に、プリアンブル951aと、Syncマーク161bとを有し、データセクタD2の先頭に、プリアンブル952aと、Syncマーク162bとを有する。
【0024】
プリアンブル951aおよび952aは、所定のパターンによって磁性粒子が磁化されている領域である。Syncマーク161bおよび162bは、ユーザデータ記憶領域の開始を示す再生信号が読み出されるように磁性粒子が磁化されている領域である。
【0025】
比較例の磁気記録装置は、プリアンブル951aまたは952aから読み出された再生信号に基づいて、リードクロックの生成および位相調整を行う。また、比較例の磁気記録装置は、プリアンブル951aまたは952aから読み出された再生信号に基づいて、データ領域から読み出された再生信号の振幅を一定にするための利得を算出する。
【0026】
なお、以下では、リードクロックを生成等するために用いられるプリアンブルを「リード同期用プリアンブル」と呼ぶこととする。また、リード同期用プリアンブルから読み出された再生信号を「リード再生信号」と呼ぶこととする。また、データ領域から読み出された再生信号を「データ再生信号」と呼び、かかるデータ再生信号の振幅を一定にするための利得を「データ再生信号利得」と呼ぶこととする。
【0027】
このように、磁気記録媒体91は、ライトクロックの生成等を行うためのライト同期用プリアンブル121と、リードクロックの生成等行うためのリード同期用プリアンブル951a、952aとを有する。このことは、ユーザデータ等を記憶するための容量が減少してしまうという問題を招く。特に、リード同期用プリアンブル951a、952aは、データセクタごとに設けられるため、磁気記録媒体91の記憶容量を大きく減少させる要因になる。
【0028】
そこで、実施例1に係る磁気記録装置100は、リード同期用プリアンブルが設けられていない磁気記録媒体11を用いる。具体的には、図2の下段に示すように、磁気記録媒体11は、データセクタD1の先頭に、リード同期用プリアンブルを有しない。これにより、磁気記録装置100は、データセクタD1のSyncマーク161b以外の領域に、ユーザデータ等を記憶させることができる。同様に、データセクタD2は、リード同期用プリアンブルを有さない。これにより、磁気記録装置100は、データセクタD2のSyncマーク162b以外の領域に、ユーザデータ等を記憶させることができる。
【0029】
また、磁気記録媒体11は、データ領域に、所定の間隔でResyncマークが設けられる。図2に示した例では、磁気記録媒体11は、データ領域141の後にResyncマーク151が設けられ、データ領域142の後にResyncマーク152が設けられている。このように、磁気記録媒体11は、データ領域141〜145と、Resyncマーク151〜155とが交互に設けられる。なお、Resyncマーク151〜155については、後に詳述する。
【0030】
このような磁気記録媒体11を有する磁気記録装置100は、比較例の磁気記録装置と同様に、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックの生成および位相調整を行うとともに、ライト再生信号利得を算出する。一方、磁気記録装置100は、磁気記録媒体11にリード同期用プリアンブルが設けられていないため、リード同期用プリアンブルから読み出されるリード信号に基づいて、リードクロックの生成や、データ再生信号利得を算出することができない。
【0031】
そこで、実施例1に係る磁気記録装置100は、ライトクロックを補正することによりリードクロックを生成する。また、実施例1に係る磁気記録装置100は、ライト再生信号利得を補正することによりデータ再生信号利得を生成する。このようにリードクロックおよびデータ再生信号利得を生成するために、磁気記録装置100は、例えば、出荷前の検査時において、所定の補正値を算出して、算出した補正値を所定の記憶部に記憶させておく。
【0032】
ここで、図3を用いて、上述した補正値算出処理について具体的に説明する。図3は、磁気記録装置100による補正値算出処理を説明するための図である。まず、磁気記録装置100は、出荷前の検査時などにおいて、図3に示したライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号W1に基づいて、ライトクロックを生成する。
【0033】
続いて、磁気記録装置100は、生成したライトクロックを用いて、データ領域141に、所定のデータパターンを記録する。ここで言う「所定のデータパターン」とは、例えば、上述したリード同期用プリアンブル951aに記録されるようなデータパターンである。すなわち、磁気記録装置100は、検査時において、一時的に、データ領域141に所定のデータを記録させる。なお、ここでは、データ領域141に、データを記録させる例を示すが、磁気記録装置100は、データ領域141以外のデータ領域142等にデータを記録させてもよい。
【0034】
続いて、磁気記録装置100は、磁気記録媒体11からデータを読み出す。続いて、磁気記録装置100は、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号W1の振幅と、データ領域141から読み出されたリード再生信号R1の振幅とを測定する。図3に示した例では、磁気記録装置100は、ライト再生信号W1の振幅として「A」を測定し、リード再生信号R1の振幅として「B」を測定している。
【0035】
続いて、磁気記録装置100は、ライト再生信号W1の振幅と、リード再生信号R1の振幅との関係式を演算する。図3に示した例の場合、関係式は、B=f(A)などの式によって表される。例えば、ライト再生信号W1の振幅「A」が「10」であり、リード再生信号R1の振幅「B」が「5」である場合、関係式fは、「0.5」である。磁気記録装置100は、演算した関係式f(前述した例では、「0.5」)を所定の記憶部に記憶しておく。なお、本明細書では、関係式fが示す値を「利得補正値」と呼ぶこととする。
【0036】
また、磁気記録装置100は、ライト再生信号W1に基づいて、ライトクロックを生成する。続いて、磁気記録装置100は、生成したライトクロックと、リード再生信号R1との位相差を算出する。例えば、磁気記録装置100は、ライトクロックの位相からリード再生信号R1の位相を減算した位相差を算出する。そして、磁気記録装置100は、算出した位相差を所定の記憶部に記憶しておく。なお、本明細書では、かかる位相差を「位相補正値」と呼ぶこととする。
【0037】
このようにして、磁気記録装置100は、出荷前の検査時などに、利得補正値および位相補正を算出し、算出した各々の値を所定の記憶部に記憶させておく。そして、磁気記録装置100は、利得補正値および位相補正値を記憶部に記憶させた後、データ領域141に記録させた所定のデータを削除する。これにより、磁気記録装置100は、データ領域141に一時的にデータを記録させた領域を、ユーザデータ等を記憶するための領域として用いることができる。
【0038】
続いて、磁気記録装置100は、出荷後の動作時においてリード処理を行う場合、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成する。具体的には、磁気記録装置100は、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号を検出した場合に、クロックを生成し、PLL(Phase locked loop)同期を開始する。ここで、PLL同期とは、出力信号(比較信号)と入力信号(ライト再生信号)との位相差を検出し、同期した周波数の信号をライトクロックとして発信することを示す。
【0039】
続いて、磁気記録装置100は、所定の記憶部に記憶されている位相補正値に基づいて、ライトクロックからリードクロックを生成する。例えば、磁気記録装置100は、ライトクロックの位相に、位相補正値を減算または加算することで、出荷前の検査時に測定したリード再生信号R1の位相と一致するクロックを生成する。この生成されたクロックがリードクロックに該当する。
【0040】
これにより、磁気記録装置100は、データセクタごとにリード同期用プリアンブルを設けなくても、リード再生信号に基づいて生成されるリードクロックと同一の位相のリードクロックを生成することができる。
【0041】
また、磁気記録装置100は、出荷後の動作時においてリード処理を行う場合、ライト再生信号に基づいて、ライト再生信号利得を算出する。続いて、磁気記録装置100は、算出したライト再生信号利得を、所定の記憶部に記憶されている利得補正値に基づいて補正して、データ再生信号利得を生成する。例えば、磁気記録装置100は、ライト再生信号利得に、利得補正値を乗算することで、データ再生信号利得を生成する。
【0042】
そして、磁気記録装置100は、ヘッド13がデータ領域141等から読み出したデータ再生信号を、前述において算出したデータ再生信号利得に応じて増幅する。そして、磁気記録装置100は、増幅したデータ再生信号から、前述において生成したリードクロックを用いて、ユーザデータ等を取得する。
【0043】
これにより、磁気記録装置100は、データセクタごとにリード同期用プリアンブルを設けなくても、データ再生信号に適したデータ再生信号利得を算出することができる。
【0044】
なお、磁気記録装置100は、Syncマーク131から読み出された再生信号を検出した場合に、次のResyncマークが配置されている予測位置を算出する。以下では、次のResyncマークが配置されている予測位置を「Resync予測位置」と呼ぶこととする。
【0045】
そして、磁気記録装置100は、一パルス以上のパターンであるResyncマークから読み出された再生信号を検出した場合に、前述において算出したResync予測位置のタイミングと、Resyncマークを検出したタイミングとを比較して位相差を求め、かかる位相差に基づいて、ライトクロックの位相を補正する。このとき、磁気記録装置100は、所定の記憶部に記憶されている位相補正値に基づいて、位相を補正したライトクロックをさらに補正してリードクロックを生成する。そして、磁気記録装置100は、生成したリードクロックを用いて、データ再生信号からユーザデータ等を取得する。
【0046】
これにより、磁気記録装置100は、リードクロックの位相が徐々にずれてしまう場合であっても、所定の間隔で配置されているResyncマークから信号を読み出すたびに、リードクロックの位相を定期的に補正することができる。
【0047】
このように、実施例1に係る磁気記録装置100は、リード同期用プリアンブルが設けられていない磁気記録媒体11を用いるので、データを記憶するための容量を増大させることができる。
【0048】
また、磁気記録装置100は、位相補正値を予め算出しておくので、データセクタごとにリード同期用プリアンブルを設けなくても、リード再生信号に基づいて生成されるリードクロックと同一の位相のリードクロックを生成することができる。このため、磁気記録装置100は、正確なタイミングでリード処理を行うことができる。
【0049】
また、磁気記録装置100は、利得補正値を予め算出しておくので、データセクタごとにリード同期用プリアンブルを設けなくても、データ再生信号に適したデータ再生信号利得を算出することができる。
【0050】
以上のことから、磁気記録装置100は、正確なタイミングでリード処理を行うことができるとともに、データを記憶するための容量を増大させることができる。
【0051】
次に、実施例1に係る磁気記録装置100の構成について説明する。図4は、実施例1に係る磁気記録装置100の概略構成を示す図である。図4に示すように、磁気記録装置100は、ホストインタフェース制御部(以下、「ホストIF制御部」と略記する)20と、バッファ制御部30と、バッファメモリ31と、フォーマット制御部40と、リードチャネル部(以下、「RDC」という)50と、メモリ60と、不揮発メモリ70と、MPU(Micro Processing Unit)80と、サーボ制御部90と、磁気記録媒体11と、ヘッド13と、VCM14と、SPM15と、ヘッドIC17と、共有バス18とを有する。
【0052】
ホストIF制御部20は、磁気記録装置100の上位装置であるホストに接続され、ホストとの間の通信を制御する。バッファ制御部30は、バッファメモリ31を制御する。バッファメモリ31は、ホストと磁気記録装置100との間でやり取りされる情報などを一時的に記憶する。
【0053】
フォーマット制御部40は、データの読み出しを制御し、例えば読み出されたデータのエラーチェックなどを行う。リードチャネル部50は、データの読み出し時に、ヘッドIC17から出力されるデータ信号を増幅し、AD変換および復調などの所定の処理を施す。ヘッドIC17は、図示しないプリアンプを備えており、データの読み出し時に、ヘッド13によって読み出されたデータ信号を前置増幅する。
【0054】
メモリ60および不揮発メモリ70は、MPU80において動作する所定の制御プログラム(ファームウェアプログラム)や種々の制御用のデータを格納する。MPU80は、ファームウェアプログラムにより磁気記録装置100の主制御を行う。すなわち、MPU80は、ホストからのコマンドを解読して各処理部を制御し、磁気記録媒体11のデータの読み書きを統括制御する。なお、MPU80は、MCU(Micro Controller Unit)やCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0055】
サーボ制御部90は、VCM14およびSPM15の動作状態を確認しながら、これらのモータを駆動させる。共有バス18は、磁気記録装置100内の各処理部を接続し、処理部間における種々の情報の受け渡しを行う。
【0056】
次に、実施例1に係る磁気記録装置100の要部構成について説明する。なお、以下では、補正値算出処理を行う磁気記録装置100の要部構成と、リード処理を行う磁気記録装置100の要部構成とを分けて説明する。図5は、補正値算出処理を行う磁気記録装置100の要部構成を示す図である。
【0057】
図5に示すように、磁気記録装置100のRDC50は、VGA(Variable Gain Amplifier)51と、アナログフィルタ52と、ADC(Analog Digital Converter)53と、FIR(Finite Impulse Response)54と、復号器55と、AGC(Auto Gain Control)56と、タイミングリカバリ57と、ライトクロック生成器58と、測定部59を有する。
【0058】
VGA51は、ヘッド13が磁気記録媒体11から読み出した再生信号の振幅(信号レベル)に対して、利得(ゲイン)を調整する増幅器である。具体的には、VGA51は、増幅後の再生信号の振幅が一定になるように、AGC56から入力された利得に応じて、再生信号を増幅する。
【0059】
アナログフィルタ52は、例えば、LPF(Low Pass Filter)であり、VGA51から入力された信号のうち、高域信号成分を除去して、低域信号成分を通過させる。ADC53は、アナログフィルタ52によって高域信号成分が除去されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する。なお、ADC53は、後述するタイミングリカバリ57から入力されるリードクロック(サンプリングクロック)に基づいて、アナログ信号をデジタル信号へ変換する。
【0060】
FIR54は、ADC53によってADコンバートされたデジタル信号を、フィルタリングして波形等化する。復号器55は、FIR54によって波形等化された信号からビタビ復号法により記録されたデータを検出する。AGC56は、FIR54から入力される信号に基づいて、VGA51へ出力する利得を制御する。タイミングリカバリ57は、ADC53へリードクロック(サンプリングクロック)を出力する。なお、AGC56による処理、および、タイミングリカバリ57による処理は、磁気記録装置100による補正値算出処理と密接な関連がないため、図6を用いて後に詳述する。
【0061】
ライトクロック生成器58は、アナログフィルタ52から再生信号を入力され、ライト再生信号を検出した場合に、ライトクロックを生成する。そして、ライトクロック生成器58は、生成したライトクロックを測定部59へ出力する。
【0062】
測定部59は、アナログフィルタ52から入力されるライト再生信号をサンプリングして、ライト再生信号の振幅を測定する。また、測定部59は、アナログフィルタ52から入力されるリード再生信号をサンプリングして、リード再生信号の振幅を測定する。そして、測定部59は、測定したライト再生信号の振幅値と、リード再生信号の振幅値とをMPU80(後述する利得補正値算出部82)へ出力する。
【0063】
また、測定部59は、アナログフィルタ52から入力されるリード再生信号の位相を測定する。また、測定部59は、ライトクロック生成器58から入力されるライトクロックの位相を測定する。そして、測定部59は、測定したリード再生信号の位相と、ライトクロックの位相とをMPU80(後述する位相補正値算出部81)へ出力する。
【0064】
不揮発メモリ70は、補正値記憶部71を有する。補正値記憶部71は、利得補正値と、位相補正値とを記憶する。補正値記憶部71は、利得補正値と、位相補正値とを、後述する位相補正値算出部81と、利得補正値算出部82とによって記憶される。
【0065】
MPU80は、位相補正値算出部81と、利得補正値算出部82とを有する。位相補正値算出部81は、位相補正値を算出する。具体的には、位相補正値算出部81は、測定部59から入力されたリード再生信号の位相と、ライトクロックの位相との位相差である位相補正値を算出する。そして、位相補正値算出部81は、算出した位相補正値を補正値記憶部71に記憶させる。
【0066】
利得補正値算出部82は、利得補正値を算出する。具体的には、利得補正値算出部82は、測定部59から入力されたライト再生信号の振幅値と、リード再生信号の振幅値とに基づいて、利得補正値を算出する。そして、利得補正値算出部82は、算出した利得補正値を補正値記憶部71に記憶させる。
【0067】
次に、リード処理を行う磁気記録装置100の要部構成について説明する。図6は、リード処理を行う磁気記録装置100の要部構成を示す図である。なお、以下では、図5に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0068】
図6に示すように、磁気記録装置100におけるMPU80は、位相補正値出力部83と、利得補正値出力部84とを有する。位相補正値出力部83は、位相補正値をタイミングリカバリ57へ出力する。具体的には、位相補正値出力部83は、磁気記録装置100によってリード処理が行われる場合に、補正値記憶部71に記憶されている位相補正値をタイミングリカバリ57へ出力する。
【0069】
タイミングリカバリ57は、位相補正値出力部83から入力された位相補正値を用いて、ライトクロック生成器58によって生成されたライトクロックの位相を補正する。例えば、タイミングリカバリ57は、ライトクロックの位相から、位相補正値を減算または加算したクロックであるリードクロックを生成する。そして、タイミングリカバリ57は、生成したリードクロックをADC53へ出力する。
【0070】
ここで、ライトクロック生成器58は、Resyncマークを検出するたびに、ライトクロックの位相を補正して、位相補正したライトクロックをタイミングリカバリ57へ出力する。このとき、タイミングリカバリ57は、ライトクロック生成器58からライトクロックを入力されるたびに、かかるライトクロックの位相を、位相補正値により補正してリードクロックを生成する。そして、タイミングリカバリ57は、生成したリードクロックをADC53へ出力する。
【0071】
利得補正値出力部84は、補正値記憶部71に記憶されている利得補正値をAGC56へ出力する。具体的には、利得補正値出力部84は、磁気記録装置100がリード処理を行う場合に、補正値記憶部71に記憶されている利得補正値をAGC56へ出力する。
【0072】
利得補正値を入力されたAGC56は、ライト再生信号利得を、利得補正値に基づいて補正してデータ再生信号利得を生成する。例えば、磁気記録装置100は、ライト再生信号利得に利得補正値を乗算することによりデータ再生信号利得を生成する。そして、AGC56は、生成したデータ再生信号利得をVGA51へ出力する。VGA51は、入力されたデータ再生信号利得に応じてデータ再生信号を増幅する。
【0073】
なお、上述した図5および図6では、説明の便宜上、補正値算出処理を行う磁気記録装置100の要部構成と、リード処理を行う磁気記録装置100の要部構成とを分けて説明した。しかし、実際には、補正値算出処理およびリード処理を行う磁気記録装置100の要部構成は同一であってもよい。具体的には、図6に示したRDC50は、測定部59を有してもよい。また、図5および図6に示したMPU80は、位相補正値算出部81と、利得補正値算出部82と、利得補正値出力部84と、位相補正値出力部83とをすべて有してもよい。
【0074】
次に、図5および図6に示したライトクロック生成器58の構成について説明する。図7は、図5および図6に示したライトクロック生成器58の構成を示す図である。図7に示すように、ライトクロック生成器58は、Sync/Resyncmark検出器58aと、ライトクロック生成コントローラ58bと、位相比較器58cと、ループフィルタ58dと、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)58eとを有する。
【0075】
Sync/Resyncmark検出器58aは、SyncマークおよびResyncマークを検出する。具体的には、Sync/Resyncmark検出器58aは、ヘッド13からの再生信号を受信し、再生信号からSyncマークまたはResyncマークを検出した場合には、Syncマーク検出信号またはResyncマーク検出信号をライトクロック生成コントローラ58bに送信する。
【0076】
ライトクロック生成コントローラ58bは、Resync予測位置を計算し、Resyncマークで位相補正する。具体的には、ライトクロック生成コントローラ58bは、Sync/Resyncmark検出器58aからSyncマーク検出信号を受信した場合には、次のResyncマーク予測位置を計算する処理を開始する。また、ライトクロック生成コントローラ58bは、Syncマーク検出信号を受信した場合には、Resyncマークを検出できるように、ループフィルタ58dにPLLゲインを低く切り替えるゲイン切り替え要求を通知する。
【0077】
そして、ライトクロック生成コントローラ58bは、計算されたResyncマーク予測位置で後述する位相比較器58cの比較ゲートをオープンし、そのタイミングで位相比較器58cに再生信号と比較信号とを比較させて位相差を出力させる。また、ライトクロック生成コントローラ58bは、Sync/Resyncmark検出器58aからResyncマーク検出信号を受信した場合には、ライトクロックを基に、次のResyncマーク予測位置計算を開始する。
【0078】
位相比較器58cは、入力された二つの信号の位相差を出力する。具体的には、位相比較器58cは、ヘッド13から受信した再生信号と、ライトクロック生成コントローラ58bから受信した比較信号とを比較して、二つの信号の位相差をループフィルタに出力する。
【0079】
ループフィルタ58dは、出力された位相差を電圧に変換する。具体的には、ループフィルタ58dは、位相比較器58cから位相差を受信し、受信した位相差を電圧に変換し、さらにローパスフィルタをかけて、高い周波数成分は抑制し、電気信号の低い周波数成分を取り出して、VCO58eに出力する。
【0080】
VCO58eは、入力された電圧によって出力される電圧の周波数を制御する。具体的には、VCO58eは、ループフィルタ58dから電圧を受信し、受信した電圧で周波数を制御してライトクロックを生成し、生成されたライトクロックをSync/Resyncmark検出器58aおよびライトクロック生成コントローラ58bに出力する。
【0081】
ここで、図8を用いて、磁気記録装置100によるリード処理時の動作について説明する。図8は、磁気記録装置100によるリード処理時の動作を説明するための図である。図8に示すように、磁気記録装置100は、まず、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成したり、ライト再生信号利得を算出したりする。
【0082】
続いて、磁気記録装置100は、Syncマーク131を検出した場合に、AGC56が用いる利得をライト再生信号利得からデータ再生信号利得へ切り替えさせる。このとき、磁気記録装置100は、利得補正値を用いてライト再生信号利得を補正することによりデータ再生信号利得を生成する。また、このとき、磁気記録装置100は、位相補正値を用いてライトクロックを補正することによりリードクロックを生成する。
【0083】
そして、磁気記録装置100は、データ領域141から読み出されたデータ再生信号を、データ再生信号利得に応じて増幅し、前述において生成したリードクロックを用いて、増幅後のデータ再生信号からデータを取得する。
【0084】
続いて、磁気記録装置100は、Resyncマーク151を検出した場合に、ライトクロックの位相を補正する。そして、磁気記録装置100は、位相補正後のライトクロックの位相を、位相補正値により補正してリードクロックを生成する。続いて、磁気記録装置100は、生成したリードクロックを用いて、データ領域142から読み出されたデータ再生信号からデータを取得する。このようにして、磁気記録装置100は、Resyncマークを検出するたびに、再度リードクロックを生成して、データ再生信号からデータを取得する。
【0085】
次に、実施例1に係る磁気記録装置100による補正値算出処理の手順について説明する。図9は、実施例1に係る磁気記録装置100による補正値算出処理手順を示すフローチャートである。補正値算出処理を行う場合、まず、磁気記録装置100のライトクロック生成器58は、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成する(ステップS101)。
【0086】
続いて、磁気記録装置100は、生成したライトクロックを用いて、磁気記録媒体11のデータ領域に、所定のデータパターンを記録させる(ステップS102)。なお、かかるデータパターンの記録処理は、MPU80の指示に従ってヘッド13によって行われる。続いて、磁気記録装置100のヘッド13は、磁気記録媒体11からデータを読み出す(ステップS103)。
【0087】
続いて、測定部59は、ヘッド13によって読み出された再生信号のうち、ライト再生信号の振幅を測定する(ステップS104)。また、測定部59は、ヘッド13によって読み出されたリード再生信号の振幅を測定する(ステップS105)。
【0088】
続いて、MPU80の利得補正値算出部82は、測定部59によって測定されたライト再生信号の振幅値と、リード再生信号の振幅値とに基づいて、利得補正値を算出する(ステップS106)。そして、利得補正値算出部82は、算出した利得補正値を補正値記憶部71に記憶させる(ステップS107)。
【0089】
続いて、ライトクロック生成器58は、ヘッド13によって読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成する(ステップS108)。続いて、測定部59は、ライトクロック生成器58によって生成されたライトクロックの位相を測定する(ステップS109)。また、測定部59は、ヘッド13によって読み出されたリード再生信号の位相を測定する(ステップS110)。
【0090】
続いて、MPU80の位相補正値算出部81は、測定部59によって測定されたリード再生信号の位相と、ライトクロックの位相との位相差である位相補正値を算出する(ステップS111)。そして、位相補正値算出部81は、算出した位相補正値を補正値記憶部71に記憶させる(ステップS112)。
【0091】
次に、実施例1に係る磁気記録装置100によるリード処理の手順について説明する。図10は、実施例1に係る磁気記録装置100によるリード処理手順を示すフローチャートである。リード処理を行う場合、まず、磁気記録装置100のヘッド13は、磁気記録媒体11からデータを読み出す(ステップS201)。
【0092】
このとき、MPU80の位相補正値出力部83は、補正値記憶部71に記憶されている位相補正値をタイミングリカバリ57へ出力する。また、利得補正値出力部84は、補正値記憶部71に記憶されている利得補正値をAGC56へ出力する。
【0093】
続いて、ライトクロック生成器58は、ヘッド13によって読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成する(ステップS202)。続いて、タイミングリカバリ57は、ライトクロック生成器58から入力されたライトクロックの位相を、位相補正値を用いて補正することによりリードクロックを生成する(ステップS203)。
【0094】
また、AGC56は、ヘッド13によって読み出されたライト再生信号に基づいて、ライト再生信号利得を算出する(ステップS204)。続いて、AGC56は、ライト再生信号利得を、利得補正値を用いて補正することによりデータ再生信号利得を生成する(ステップS205)。
【0095】
そして、磁気記録装置100は、生成したリードクロックおよびデータ再生信号利得を用いて、リード処理を行う(ステップS206)。具体的には、AGC56は、データ再生信号利得をVGA51へ出力する。そして、VGA51は、データ再生信号を、データ再生信号利得に応じて増幅する。また、タイミングリカバリ57は、リードクロックをADC53へ出力する。そして、ADC53は、かかるリードクロックに応じてデータ再生信号をサンプリングしてADコンバートする。
【0096】
なお、上述したように、タイミングリカバリ57は、Resyncマークを検出するたびに、リードクロックを生成する。そして、ADC53は、かかるリードクロックに応じてデータ再生信号をサンプリングしてADコンバートする。
【0097】
上述してきたように、実施例1に係る磁気記録装置100は、リード同期用プリアンブルが設けられていない磁気記録媒体11を用いるので、データを記憶するための容量を増大させることができる。
【0098】
また、磁気記録装置100は、検査時において、位相補正値と利得補正値とを補正値記憶部71に記憶させておく。これにより、磁気記録装置100は、磁気記録媒体11にリード同期用プリアンブルが設けられていない場合であっても、正確なタイミングでリード処理を行うことを可能にするリードクロックを生成することができる。さらに、磁気記録装置100は、データ再生信号に適したデータ再生信号利得を算出することができる。
【0099】
また、磁気記録装置100は、検査時において、MPU80の指示に従って、ヘッド13がデータ領域に所定のデータを一時的に記録させ、かかる所定のデータを用いて位相補正値と利得補正値とを算出する。すなわち、磁気記録装置100は、位相補正値や利得補正値が個体差によってばらつく場合であっても、固体ごとに適した位相補正値および利得補正値を算出することができる。その結果、磁気記録装置100は、各個体に適したリードクロックおよびデータ再生信号利得を算出することができる。
【実施例2】
【0100】
ところで、上記実施例1では、磁気記録媒体11にリード同期用プリアンブルが設けられない例を示した。しかし、磁気記録媒体11は、Syncマークの直後のみにリード同期用プリアンブルが設けられてもよい。そこで、実施例2では、Syncマークの直後のみにリード同期用プリアンブルが設けられた磁気記録媒体21の例について説明する。
【0101】
以下に、磁気記録装置200が有する磁気記録媒体21の構成、磁気記録装置200によるリード処理時の動作、磁気記録装置200によるリード処理手順について順に説明する。なお、磁気記録装置200の断面図、概略構成、要部構成については、それぞれ、図1、図4、図5および図6に示した断面図、概略構成、要部構成と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0102】
まず、実施例2における磁気記録媒体21の構成について説明する。図11は、実施例2における磁気記録媒体21の構成を示す図である。図11に示すように、磁気記録媒体21は、図2の下段に示した磁気記録媒体11と比較して、サーボ領域111、ライト同期用プリアンブル121、Syncマーク131の後に、リード同期用プリアンブル261aを有する。
【0103】
ここで、磁気記録媒体21は、データセクタごとにリード同期用プリアンブルを有さず、Syncマーク131の後のみに、リード同期用プリアンブルを有する。図11に示した例では、磁気記録媒体21は、データセクタD1の先頭にリード同期用プリアンブルを有するが、データセクタD2の先頭にはリード同期用プリアンブルを有さない。そして、磁気記録媒体21は、サーボ領域112以降も、ライト同期用プリアンブル、Syncマークの直後に、リード同期用プリアンブルを有する。
【0104】
実施例2に係る磁気記録装置200は、リード処理を行う場合、リード同期用プリアンブル261aから読み出したリード再生信号に基づいて、データ再生信号利得を算出する。また、磁気記録装置200は、上記実施例1において説明した手法と同様にして、ライトクロックを補正することによりリードクロックを生成する。
【0105】
ここで、リード同期用プリアンブルを用いてリードクロックを生成しない理由について説明する。Syncマークの直後のみにリード同期用プリアンブルが設けられる場合、リードクロックは、次にリード同期用プリアンブルが読み出されるまでに位相が補正されないことになる。一般に、クロックの位相は、徐々にずれていくものであり、定期的に補正されることが望ましい。したがって、磁気記録装置200は、Resyncマーク151等によって位相が定期的に補正されるライトクロックを用いてリードクロックを生成する手法を採用する。
【0106】
一方、振幅は、急激には変化しないので、磁気記録装置200は、データ再生信号利得については、リード同期用プリアンブルから読み出したリード再生信号に基づいて生成する。
【0107】
このように、実施例2に係る磁気記録装置200は、リード同期用プリアンブルに基づいて、データ再生信号利得を生成する。これにより、磁気記録装置200は、利得補正値を算出して、さらに、かかる利得補正値を用いてライト再生信号利得からデータ再生信号利得を生成する処理を行うことなく、リード処理を行うことができる。
【0108】
次に、実施例2に係る磁気記録装置200によるリード処理時の動作について説明する。図12は、実施例2に係る磁気記録装置200によるリード処理時の動作を説明するための図である。図12に示すように、磁気記録装置200は、まず、ライト同期用プリアンブル121から読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成したり、ライト再生信号利得を算出したりする。
【0109】
続いて、磁気記録装置200は、リード同期用プリアンブル261aを検出した場合に、リード同期用プリアンブル261aから読み出されたリード再生信号に基づいて、データ再生信号利得を生成する。そして、磁気記録装置200は、AGC56が用いる利得をライト再生信号利得からデータ再生信号利得へ切り替える。また、磁気記録装置200は、位相補正値を用いてライトクロックを補正することによりリードクロックを生成する。
【0110】
そして、磁気記録装置200は、データ領域241から読み出されたデータ再生信号を、データ再生信号利得に応じて増幅し、前述において生成したリードクロックを用いて、増幅後のデータ再生信号からデータを取得する。続いて、磁気記録装置200は、Resyncマーク151を検出するたびに、ライトクロックの位相を補正して、かかるライトクロックを、位相補正値により補正することによりリードクロックを生成する。そして、磁気記録装置200は、生成したリードクロックを用いて、データ領域142から読み出されたデータ再生信号からデータを取得する。
【0111】
次に、実施例2に係る磁気記録装置200によるリード処理の手順について説明する。図13は、実施例2に係る磁気記録装置200によるリード処理手順を示すフローチャートである。リード処理を行う場合、まず、磁気記録装置200のヘッド13は、磁気記録媒体21からデータを読み出す(ステップS301)。このとき、MPU80の位相補正値出力部83は、補正値記憶部71に記憶されている位相補正値をタイミングリカバリ57へ出力する。
【0112】
続いて、ライトクロック生成器58は、ヘッド13によって読み出されたライト再生信号に基づいて、ライトクロックを生成する(ステップS302)。続いて、タイミングリカバリ57は、ライトクロック生成器58から入力されたライトクロックの位相を、位相補正値を用いて補正して、リードクロックを生成する(ステップS303)。
【0113】
また、AGC56は、ヘッド13によって読み出された再生信号のうち、リード同期用プリアンブルから読み出されたリード再生信号を検出した後に(ステップS304)、かかるリード再生信号に基づいて、データ再生信号利得を算出する(ステップS305)。そして、磁気記録装置200は、生成したリードクロックおよびデータ再生信号利得を用いて、リード処理を行う(ステップS306)。
【0114】
上述してきたように、実施例2における磁気記録媒体21は、Syncマークの直後のみにリード同期用プリアンブルが設けられ、実施例2に係る磁気記録装置200は、リード同期用プリアンブルに基づいて、データ再生信号利得を生成する。これにより、磁気記録装置200は、利得補正値を算出して、データ再生信号利得を生成する処理を行うことなく、データを記憶するための容量を増大させることができる。
【実施例3】
【0115】
さて、これまで本願に開示する磁気記録装置の実施例について説明したが、本願に開示する磁気記録装置は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0116】
(1)システム構成1
例えば、上記実施例1および2では、MPU80が有する位相補正値算出部81および利得補正値算出部82によって、位相補正値と利得補正値とを算出する例を示した。しかし、磁気記録装置は、RDC内部の所定のハードウェアによって位相補正値および利得補正値を算出してもよい。
【0117】
図14は、実施例3に係る磁気記録装置300の要部構成を示す図である。図14に示すように、磁気記録装置300は、図5に示したRDC50と比較して、RDC250が、位相補正値算出部251と、利得補正値算出部252とを新たに有する。
【0118】
位相補正値算出部251は、ライトクロック生成器58から入力されたライトクロックと、アナログフィルタ52から入力されるリード再生信号との位相差である位相補正値を算出する。そして、位相補正値算出部251は、算出した位相補正値を補正値記憶部71に記憶させる。
【0119】
利得補正値算出部252は、アナログフィルタ52から入力されるライト再生信号の振幅と、アナログフィルタ52から入力されるリード再生信号の振幅とに基づいて、利得補正値算を算出する。そして、利得補正値算出部252は、算出した利得補正値を補正値記憶部71に記憶させる。
【0120】
(2)システム構成2
また、図4〜6および図14に示した磁気記録装置100または200の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、磁気記録装置100または200の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0121】
(3)磁気記録媒体
また、上記実施例1および2では、磁気記録媒体がパターンドメディアであることを前提として説明してきたが、本願に開示する磁気記録装置は、データセクタごとにプリアンブルを設ける他の磁気記録媒体にも適用することができる。例えば、本願に開示する磁気記録装置は、磁気記録媒体がディスクリートトラックである場合においても適用することができる。
【0122】
(4)Resyncマーク
また、上記実施例1および2では、磁気記録媒体にResyncマークを設ける例を示した。しかし、クロックの位相が徐々にずれない磁気記録装置であれば、かかる磁気記録装置は、Resyncマークを設けない磁気記録媒体を用いてもよい。
【0123】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0124】
(付記1)データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置であって、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段と、
前記磁気記録媒体から信号を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正手段と、
前記位相補正手段によって位相が補正されたことにより生成されたクロックに基づいて、前記読出手段によって前記データ領域から読み出された信号であるデータ再生信号に含まれるデータを取得するデータ取得手段と
を備えたことを特徴とする磁気記録装置。
【0125】
(付記2)所定の利得に応じて前記ライト再生信号または前記データ再生信号を増幅する増幅手段と、
前記ライト再生信号に基づいて算出された利得であるライト再生信号利得を補正する利得補正手段とをさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記ライト再生信号利得を補正するための利得補正値をさらに記憶し、
前記利得補正手段は、前記補正値記憶手段に記憶されている利得補正値に基づいて、前記ライト再生信号利得を補正し、
前記増幅手段は、前記利得補正手段によって補正されたことにより生成された利得であるデータ再生信号利得に応じて、前記データ再生信号を増幅し、
前記データ取得手段は、前記増幅手段によって増幅されたデータ再生信号からデータを取得することを特徴とする付記1に記載の磁気記録装置。
【0126】
(付記3)前記読出手段によって読み出されたライト再生信号とデータ再生信号との位相差に基づいて、前記位相補正値を算出する位相補正値算出手段をさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記位相補正値算出手段によって算出された位相補正値を記憶することを特徴とする付記1または2に記載の磁気記録装置。
【0127】
(付記4)前記読出手段によって読み出されたライト再生信号の振幅と、データ再生信号の振幅とに基づいて、前記利得補正値を算出する利得補正値算出手段をさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記利得補正値算出手段によって算出された利得補正値を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の磁気記録装置。
【0128】
(付記5)前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックに基づいて、前記データ領域に、所定の再生信号が読み出されるデータを書き込む書込手段をさらに備え、
前記読出手段は、前記書込手段によって書き込まれたデータを読み出し、
前記位相補正値算出手段は、前記読出手段によって読み出された再生信号と、前記ライト再生信号との位相差に基づいて、前記位相補正値を算出し、
前記利得補正値算出手段は、前記読出手段によって読み出された再生信号の振幅と、前記ライト再生信号の振幅とに基づいて、前記利得補正値を算出することを特徴とする付記4に記載の磁気記録装置。
【0129】
(付記6)データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置を制御する制御装置であって、
前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【0130】
(付記7)所定の利得に応じて前記ライト再生信号または前記データ再生信号を増幅する増幅手段と、
前記ライト再生信号に基づいて算出された利得であるライト再生信号利得を補正する利得補正手段とをさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記ライト再生信号利得を補正するための利得補正値をさらに記憶し、
前記利得補正手段は、前記補正値記憶手段に記憶されている利得補正値に基づいて、前記ライト再生信号利得を補正し、
前記増幅手段は、前記利得補正手段によって補正されたことにより生成された利得であるデータ再生信号利得に応じて、前記データ再生信号を増幅することを特徴とする付記6に記載の制御装置。
【0131】
(付記8)データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置を制御する磁気記録装置制御方法であって、
前記磁気記録装置が、
前記磁気記録媒体から信号を読み出す読出工程と、
前記読出工程によって前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成工程と、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成工程によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正工程と、
前記位相補正工程によって位相が補正されたことにより生成されたクロックに基づいて、前記読出工程によって前記データ領域から読み出された信号であるデータ再生信号に含まれるデータを取得するデータ取得工程と
を含んだことを特徴とする磁気記録装置制御方法。
【0132】
(付記9)所定の利得に応じて前記ライト再生信号または前記データ再生信号を増幅する増幅工程と、
前記ライト再生信号に基づいて算出された利得であるライト再生信号利得を補正する利得補正工程とをさらに含み、
前記補正値記憶手段は、前記ライト再生信号利得を補正するための利得補正値をさらに記憶し、
前記利得補正工程は、前記補正値記憶手段に記憶されている利得補正値に基づいて、前記ライト再生信号利得を補正し、
前記増幅工程は、前記利得補正工程によって補正されたことにより生成された利得であるデータ再生信号利得に応じて、前記データ再生信号を増幅し、
前記データ取得工程は、前記増幅工程によって増幅されたデータ再生信号からデータを取得することを特徴とする付記8に記載の磁気記録装置制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施例1に係る磁気記録装置の断面図である。
【図2】比較例の磁気記録媒体の構成と、実施例1における磁気記録媒体の構成を示す図である。
【図3】磁気記録装置による補正値算出処理を説明するための図である。
【図4】実施例1に係る磁気記録装置の概略構成を示す図である。
【図5】補正値算出処理を行う磁気記録装置の要部構成を示す図である。
【図6】リード処理を行う磁気記録装置の要部構成を示す図である。
【図7】図5および図6に示したライトクロック生成器の構成を示す図である。
【図8】実施例1に係る磁気記録装置によるリード処理時の動作を説明するための図である。
【図9】実施例1に係る磁気記録装置による補正値算出処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施例1に係る磁気記録装置によるリード処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例2における磁気記録媒体の構成を示す図である。
【図12】実施例2に係る磁気記録装置によるリード処理時の動作を説明するための図である。
【図13】実施例2に係る磁気記録装置によるリード処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例3に係る磁気記録装置の要部構成を示す図である。
【図15】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0134】
11、21 磁気記録媒体
12 アーム
13 ヘッド
14 VCM
15 SPM
16 軸
17 ヘッドIC
18 共有バス
20 ホストIF制御部
30 バッファ制御部
31 バッファメモリ
40 フォーマット制御部
50、250 RDC
51 VGA
52 アナログフィルタ
53 ADC
54 FIR
55 復号器
56 AGC
57 タイミングリカバリ
58 ライトクロック生成器
58a Sync/Resyncmark検出器
58b ライトクロック生成コントローラ
58c 位相比較器
58d ループフィルタ
58e VCO
59 測定部
60 メモリ
70 不揮発メモリ
71 補正値記憶部
80 MPU
81 位相補正値算出部
82 利得補正値算出部
83 位相補正値出力部
84 利得補正値出力部
90 サーボ制御部
91 磁気記録媒体
100、200、300 磁気記録装置
251 位相補正値算出部
252 利得補正値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置であって、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段と、
前記磁気記録媒体から信号を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正手段と、
前記位相補正手段によって位相が補正されたことにより生成されたクロックに基づいて、前記読出手段によって前記データ領域から読み出された信号であるデータ再生信号に含まれるデータを取得するデータ取得手段と
を備えたことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
所定の利得に応じて前記ライト再生信号または前記データ再生信号を増幅する増幅手段と、
前記ライト再生信号に基づいて算出された利得であるライト再生信号利得を補正する利得補正手段とをさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記ライト再生信号利得を補正するための利得補正値をさらに記憶し、
前記利得補正手段は、前記補正値記憶手段に記憶されている利得補正値に基づいて、前記ライト再生信号利得を補正し、
前記増幅手段は、前記利得補正手段によって補正されたことにより生成された利得であるデータ再生信号利得に応じて、前記データ再生信号を増幅し、
前記データ取得手段は、前記増幅手段によって増幅されたデータ再生信号からデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記読出手段によって読み出されたライト再生信号とデータ再生信号との位相差に基づいて、前記位相補正値を算出する位相補正値算出手段をさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記位相補正値算出手段によって算出された位相補正値を記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記読出手段によって読み出されたライト再生信号の振幅と、データ再生信号の振幅とに基づいて、前記利得補正値を算出する利得補正値算出手段をさらに備え、
前記補正値記憶手段は、前記利得補正値算出手段によって算出された利得補正値を記憶することを特徴とする請求項2または3に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックに基づいて、前記データ領域に、所定の再生信号が読み出されるデータを書き込む書込手段をさらに備え、
前記読出手段は、前記書込手段によって書き込まれたデータを読み出し、
前記位相補正値算出手段は、前記読出手段によって読み出された再生信号と、前記ライト再生信号との位相差に基づいて、前記位相補正値を算出し、
前記利得補正値算出手段は、前記読出手段によって読み出された再生信号の振幅と、前記ライト再生信号の振幅とに基づいて、前記利得補正値を算出することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録装置。
【請求項6】
データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置を制御する制御装置であって、
前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成手段によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
データを書き込むタイミングであるライトクロックを生成するための情報を記録するライト同期用領域と、データを記録するデータ領域とを含む磁気記録媒体を有する磁気記録装置を制御する磁気記録装置制御方法であって、
前記磁気記録装置が、
前記磁気記録媒体から信号を読み出す読出工程と、
前記読出工程によって前記ライト同期用領域から読み出された信号であるライト再生信号に基づいて、前記ライトクロックを生成するライトクロック生成工程と、
前記ライトクロックの位相を補正するための位相補正値を記憶する補正値記憶手段に記憶されている位相補正値に基づいて、前記ライトクロック生成工程によって生成されたライトクロックの位相を補正する位相補正工程と、
前記位相補正工程によって位相が補正されたことにより生成されたクロックに基づいて、前記読出工程によって前記データ領域から読み出された信号であるデータ再生信号に含まれるデータを取得するデータ取得工程と
を含んだことを特徴とする磁気記録装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−73295(P2010−73295A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243176(P2008−243176)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】