説明

磁気記録装置

【課題】磁気記録装置の廃棄時に完全に情報を読み書きできないようにする。
【解決手段】磁気記録装置1は、エンクロージャケース2内に密閉容器21が設けられると共に、カバー4には密閉容器21に針32を挿入可能な挿通孔28が設けられている。密閉容器21内には、腐食物質25が収容されている。磁気記録装置1の廃棄時には、針32をエンクロージャケース2内に挿入して密閉容器21に孔を形成する。この孔から腐食物質25が放出されて磁気ディスク25の磁気記録層を破壊する。これにより、磁気ディス5から情報を読み出したり、書き込んだりすることができなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録装置としては、例えばコンピュータ等の記録装置として使用されるハードディスクがあげられる。この種の磁気記録装置では、回動自在なアームの先端にサスペンションを介して磁気ヘッドが取り付けられている。磁気ヘッドは、ヘッド素子を搭載したスライダを有し、ヘッド素子を介して磁気ディスクに保存されたデータにアクセスする構成を有する。
【0003】
ここで、ハードディスクなどの磁気記録装置を廃棄する際には、記録された情報を完全に消去する必要がある。これは、磁気記録装置に残された情報が第三者に漏洩することを防止するためである。ところが、磁気的な消去方法は、磁気情報を上書き記録するだけなので、完全に情報を消去できない可能性があった。このため、廃棄時に磁気記録装置の磁気記録媒体を機械的に破壊して情報の読み書きが全くできなくなるようにすることが望まれていた。
【0004】
従来の磁気記録装置の廃棄時の処理について、磁気カードを磁気記録媒体として使用する磁気リーダライタを例にして説明する。磁気リーダライタには、磁気ヘッドとサーマルヘッドが設けられ、磁気リーダライタに取り込まれる磁気カードには予め破壊可能層が設けられている。そして、破壊可能層の上に磁気記録装置が形成される。磁気リーダライタは、磁気カードを廃棄すべきものである場合、サーマルヘッドで破壊可能層を破壊する。これによって、破壊可能層の上に形成されている磁気記録層が破壊され、情報の読み書きができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO97/48096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の磁気カードを廃棄するための装置構成は、磁気記録媒体がエンクロージャケース内に収容されているハードディスクには使用することができなかった。
また、磁気記録装置がハードディスクである場合に、情報を磁気的に消去する方法では、磁気記録装置に電力を供給できない場合や、電力を供給しても磁気記録装置が動作しない場合には、磁気記録媒体に記録された情報を消去できなかった。
【0007】
さらに、磁気記録装置がコンピュータ等に使用されるハードディスク装置である場合、コンピュータ等からハードディスク装置を取り出して別のコンピュータに搭載したり、磁気記録媒体を取り出したりすることで、その磁気記録装置の情報を読み出すことができる場合があるので、磁気記録装置から完全に情報を読み書きできないようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一観点によれば、磁気記録媒体と、磁気記録媒体への情報の書き込み、及び前記磁気記録媒体からの情報の読み取りを行う磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体及び前記磁気ヘッドを収容するケースと、前記ケース内に配置され、前記磁気記録媒体の磁気記録層を
破壊する破壊材料を収容し、かつ機械的に一部が破壊されることで前記破壊材料を放出する収容部と、を含むことを特徴とする磁気記録装置が提供される。
【0009】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収容部から破壊材料を放出させることで磁気記録媒体の磁気記録層を破壊するようにしたので、磁気記録媒体からの情報の読み出しを確実に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る磁気記録装置のエンクロージャケースのカバーを外した状態の平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線に沿った断面図である。
【図3】図3は、磁気記録装置の廃棄時の動作を説明する図である。
【図4】図4は、針の形状の一例を示す図である。
【図5】図5は、破壊デバイスの一例を示す断面図である。
【図6】図6は、破壊デバイスの変形例を示す断面図である。
【図7】図7は、破壊デバイスの変形例を示す断面図である。
【図8】図8は、磁気ヘッドの浮上試験の結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気記録装置の一部断面図である。
【図10】図10は、磁気ヘッドの浮上試験の結果を示す図である。
【図11】図11は、磁気記録装置の変形例における平面図である。
【図12】図12は、図11のII−II線に沿った断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1に、磁気記録装置の一例としてハードディスク装置の平面図を示す。ここでは、エンクロージャケースのカバーが外された状態が示されている。また、図2に、図1のI−I線に沿った断面図を示す。
【0014】
磁気記録装置1は、エンクロージャ本体2と、エンクロージャ本体2の上部の開口を塞ぐカバー3とからなるエンクロージャケース4を有している。
エンクロージャ本体2は、内部空間の略中央に磁気記録媒体である磁気ディスク5がスピンドルモータによって回転可能に配置されている。さらに、エンクロージャ本体2内には、キャリッジアーム6が回転軸7を中心に回動可能に取り付けられている。キャリッジアーム6は、板ばね状のサスペンション8を有し、サスペンション8の先端部には磁気ヘッド9が取り付けられている。磁気ヘッド9は、磁気ディスク5の情報を読み込んだり、磁気ディスク5に情報を書き込んだりできるように構成されている。
【0015】
さらに、エンクロージャ本体2には、制御装置10が搭載されている。制御装置10は、回転軸7の回動制御等、磁気記録装置1の動作を制御する。例えば、制御装置10が回転軸7を回動させるとキャリッジアーム6が磁気ディスク3の上方を回動する。これにより、磁気ヘッド9が磁気ディスク5のトラック幅方向に移動して所望のトラックにロード
される。
【0016】
ここで、エンクロージャ本体2は、底板と底板を囲む壁面とからなり、中央部分が凹形状になっている。さらに、エンクロージャ本体2の底板と壁面とで形成される4つの隅部の内の磁気ディスク5に近い1つ隅部2Aには、収容部である密閉容器21が固定されている。図2に示すように、密閉容器21は、有底筒形状の容器本体22と、容器本体22の開放された端部を密閉する蓋23とからなり、容器本体22の底部が例えば接着剤でエンクロージャ本体2に固定されている。蓋23は、破壊デバイス31によって破壊可能な厚さ及び強度になっている。このような密閉容器21は、例えば、ポリエチレンのような樹脂、又は肉薄のアルミニウムのような金属から製造されている。
【0017】
さらに、密閉容器21内には、破壊物質として腐食物質25が収容されている。腐食物質25としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸や塩酸、テトラフルオロプロピオン酸などの酸性物質、アンモニアなどのアルカリ性物質があげられる。腐食物質25は、常温での蒸気圧が高い、つまり揮発性のある液体であることが好ましい。さらに、人体に対する影響がないか、影響が極めて少ない物質であることが望ましい。なお、腐食物質25は、揮発性が高く、磁気ディスク5の磁気記録層を腐食可能な物質であれば固体でも良い。
【0018】
また、エンクロージャケース4のカバー3には、密閉容器21の接着位置に対応して挿通孔27が形成されている。挿通孔27の中心位置は、密閉容器21の蓋23の中央に一致させてある。なお、挿通孔27の中心位置は、蓋23上であれば必ずしも中央に一致していなくても良い。
【0019】
挿通孔27の大きさは、破壊デバイス31を挿通可能な大きさであり、例えば直径1mm〜3mmになっている。さらに、挿通孔27は隔壁28で閉鎖されている。隔壁28は、気密性を有する薄膜からなり、破壊デバイス31で破壊可能な厚さ及び強度になっている。隔壁28を設けることで、挿通孔28を通って異物が磁気記録装置1の内部に侵入することが防止される。また、破壊デバイス31を使用したときは隔壁28が破壊されるので、破壊デバイス31の使用を外側から確認できるようになる。なお、ハードディスク装置1は、隔壁28を設けずに挿通孔27のみを設けても良い。
【0020】
図3に示すように、破壊デバイス31は、先端が鋭利な針32を有する。密閉容器21の蓋23に腐食物質25を流出させるのに十分な大きさの孔を形成できる形状の開封部材である。
【0021】
ここで、図4に例示するように、針32の先端部分に、内側に凸となる凹部33を形成しても良い。この場合の針32の先端部分の断面形状は、三角形や四角形などの多角形、星形などになる。これにより、針32と密閉容器21の蓋23との間に、隙間ができ易くなり、針32を蓋23に刺したままでも針32の凹部33と蓋23とが形成する隙間を通って腐食物質25が容易に流出するようになる。
【0022】
また、図示を省略するが、針32の一部分のみに切り欠きを設けたり、針32に孔を設けて針32を密閉容器21に刺入したときに密閉容器21内とエンクロージャ本体2とが切り欠きや孔を通して連通するようにしても良い。これらの場合は、針32が蓋21に刺さったままでも切り欠きや孔を通って腐食物質25が容易に流出するようになる。
【0023】
破壊デバイス31が針32のみから構成される場合、その使用時には作業員が手で針32を挿入することで、隔壁28を破壊してエンクロージャケース4内に進入させ、密閉容器21の蓋23を貫通させる。手動で針32を刺入する場合には、針32の操作が容易になるように、手元側の針32の頭部を大径にしたり、グリップを設けたりすることが好ま
しい。
【0024】
また、図5に例示するように、破壊デバイス31は、針32と、針32を駆動させる駆動装置34を有する構成にしても良い。駆動装置34としては、例えば、カバー3から外側に露出する針32の端部をレバーで機械的に押し込む構成や、ソレノイドコイルを利用して針32を電気的に駆動させる構成があげられる。駆動装置34を含む破壊デバイス31は、磁気記録装置1に取り付けられても良いし、磁気記録装置1が搭載される他の機器に取り付けられても良い。
【0025】
さらに、図6に示すように、破壊デバイス31は、コイルバネ35を含んでも良い。コイルバネ35は、針32の頭部32Aとカバー3の間に挿入され、針32を密閉容器21から離れる方向に付勢する。廃棄時には、手又は駆動装置34で針32の頭部32Aを押し込んでコイルバネ35を圧縮させながら密閉容器21に刺入させる。その後、手又は駆動装置34から入力される力を解除すると、コイルバネ35の復元力によって針32が密閉容器21から退避する。針32が蓋23から退避することで、腐食物質25が放出するための穴の開口面積が大きくなり、腐食物質25をさらに放出し易くなる。なお、コイルバネ35の代わりに、板バネを用いても良い。
【0026】
また、図7に例示するように、破壊デバイス31は、カバー3の外側に挿通孔28を囲む壁部40を含んでも良い。壁部40は、カバー3から略環状に突設されており、壁部40が形成する開口部40Aが板材41で密閉されている。さらに、板材41の内側には、針32が取り付けられている。針32の先端部分は、挿通孔28を通って、エンクロージャケース4内に挿入されている。このような破壊デバイス31では、板材41で挿通孔28の周囲を覆うので隔壁28が不要になる。
【0027】
針32を押し込むときは、手又は駆動装置34で板材41をカバー3に向って押し込む。これにより、針32が密閉容器21の蓋23に刺さって腐食物質25が放出される。ここで、板材41が弾性変形可能な材料から製造されている場合には、針32を押し込む力が取り除かれると、針32が元の位置に戻るので、針32が密閉容器21の蓋23から抜けて腐食物質25がさらに放出され易くなる。また、板材41は、針32を押し込んだときに破壊されるような材料から製造しても良い。この場合は、針32を押し込んだときに板材41が破壊されるので、データを消去したことを目視で確認できるようになる。このため、磁気ディスク5の破壊を確認し易くなる。
【0028】
なお、開封部材は、密閉容器21の蓋23を機械的に破壊できる構成であれば良く、針32に限定されない。例えば、針31の代わりに先端が鋭利に加工されたネジを使用しても良い。この場合、カバー3の挿通孔28には、ネジに対応する溝を刻んでおく。このようにすることで、ドライバーなどでネジを回転させながら押し込むだけで腐食物質25を放出できるようになる。さらに、隔壁28がなくてもエンクロージャケース4の密閉性が高くなると共に、ネジと密閉容器21の蓋23との位置ずれが生じ難くなる。
【0029】
また、破壊デバイス31は、磁気記録装置1に取り付けられていても良いし、磁気記録装置1とは別に設けられても良い。例えば、破壊デバイス31が針32のみで構成される場合、エンクロージャケース2のカバー4等に針32を収容する凹部を設け、破壊デバイス31を使用しないときは針32を凹部に収容しても良い。また、破壊デバイス31は、磁気記録装置1を搭載する他の装置、例えばパーソナルコンピュータなどに取り付けても良い。他の装置に取り付ける場合には、他の装置に破壊デバイス31を駆動させるためのスイッチ等を設けると廃棄作業が容易になる。
【0030】
このように、腐食物質25を収容した密閉容器21を設置することで、磁気ディスク5
の磁気記録層を化学的に破壊することが可能になるので、磁気記録装置1を安全に廃棄することが可能になる。密閉容器21を針32で破壊して腐食物質25を放出するようにしたので、磁気記録装置1に電力が供給されていないときでも磁気ディスク5の磁気記録層を破壊することが可能になる。
【0031】
(実施例1)
密閉容器21は、ポリエチレン製とし、その寸法は内径が10mm、高さが2mmで蓋23の板圧を0.5mmとした。密閉容器21には、腐食物質25としてトリフルオロ酢酸を充填すると共に、エンクロージャ本体2に接着剤で固定した。カバー3の挿通孔28は、密閉容器21の真上に外径1mmで形成した。
さらに、磁気ヘッド9に圧電素子からなるAE(アコーステックエミッション)センサを取り付けて、磁気ヘッド9が磁気ディスク5に接触したときに信号が出力されるようにした。
【0032】
このような磁気記録装置1を用いて、磁気ヘッド9の浮上試験を行った結果を図8に示す。横軸は時間経過を示し、縦軸はAEセンサの出力を示す。試験時の磁気ディスク5の回転数は7200rpmとした。この浮上試験は、磁気記録装置1の廃棄時に磁気ディスク5の磁気記録層が破壊されることを確認するためのテストとして実施した。すなわち、AEセンサの出力がグランドレベルのときは磁気ヘッド9が磁気ディスク5から正常に浮上していることを示す。AEセンサから信号出力があるときは磁気ヘッド9が磁気ディスク5に対して正常に浮上していないこと、例えば磁気ヘッド9が磁気ディスク5に接触していることを示す。
【0033】
試験開始から1800秒で、針32を挿入して密閉容器21に穴を開けたところ、徐々にAEセンサの出力が増加した。これは、密閉容器21内のトリフルオロ酢酸が磁気記録装置1内に拡散し、磁気ディスク5の表面から内部をかけて腐食させ、化学反応によって磁気ディスク5の磁気記録層を破壊させたためである。そして、磁気ディスク5の腐食によって、磁気ディスク5と磁気ヘッド9が接触したため、AEセンサの出力が増加したと考えられる。この結果、この磁気記録装置1では、磁気記録情報の読み込み及び書き込みを不可能にすることができることがわかった。
【0034】
(第2の実施の形態)
図9に示すように、この実施の形態に係る磁気記録装置1は、密閉容器21を有し、密閉容器21内には破壊物質としてパーティクル51が収容されている。パーティクル51には、例えばアルチック粉やガラス粉、ダイヤモンド粉など、直径が100μm程度の固体が用いられる。その他の装置構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0035】
この磁気記録装置1では、破壊デバイス31で密閉容器21が破壊されると、パーティクル51がエンクロージャケース4内に放出可能になる。磁気記録装置1に電力を供給して磁気ディスク5を回転させると、エンクロージャケース4内に対流が生じ、この対流によってパーティクル51がエンクロージャケース4内で拡散し、磁気ディスク5に付着して磁気ディスク5の磁気記録層を破壊する。
【0036】
ここで、破壊材料としてパーティクル51を使用する場合には、パーティクル51が放出可能になった後に磁気ディスク5を回転させるか、他の手段でエンクロージャケース4内に対流を生じさせる必要がある。なお、密閉容器21の蓋23を破壊してパーティクル51を放出可能した状態で磁気記録装置1を放置し、次に電力を供給されたときに磁気ディスク5の磁気記録層を破壊させても良い。
【0037】
この磁気記録装置1では、パーティクル51を収容した密閉容器21を設置することで
、磁気ディスク5の磁気記録層を機械的に破壊することが可能になるので、磁気記録装置1を安全に廃棄することが可能になる。
【0038】
(実施例2)
図10に磁気ヘッド9の浮上試験の結果を示す。パーティクル51にはアルチック粉を用い、他の試験の条件及び装置構成は第1の実施の形態と同様にした。試験開始から1800秒で針32を使って密閉容器21に穴を開けたところ、AEセンサの出力が増加した。これは、密閉容器21内のアルチック粉が磁気ヘッド9と磁気ディスク5の間の隙間に入ることで噛み込みを生じ、磁気ディスク5が傷付いたためである。この結果、磁気記録情報1の読み込み及書き込みが不可能になった。
なお、パーティクル51を用いることで、図8に示す浮上試験の結果に比べて磁気ヘッド9が磁気ディスク5に衝突するまでに要する時間が短くなった。
【0039】
なお、各実施の形態の変形例を以下に説明する。
図11及び図12に示すように、エンクロージャ本体2の隅部2Aが肉厚に成形されている場合は、肉厚な隅部2Aに凹部61を形成すると共に、カバー3に面する凹部61の開口に蓋23を取り付けて密閉容器62を形成しても良い。ここで、蓋23とカバー4の間に腐食物質25やパーティクル51を拡散させるのに十分な空間がない場合には、隅部2Aにガイド溝63を設け、凹部61から磁気ディスク5に向う流路を形成すると良い。この場合、密閉容器62の蓋23は、ガイド溝63の底部と略同じ高さ、又はより低い位置に取り付けられる。
【0040】
この磁気記録装置1では、腐食物質25やパーティクル51は蓋23に形成された穴からガイド溝63を通って磁気ディスク5に到達する。蓋23とカバー4の間に腐食物質25やパーティクル51を拡散させるのに十分な空間がある場合には、その空間を利用することができるのでガイド溝63は設けなくても良い。
【0041】
さらに、挿通孔28を外側からシールするシートをカバー3に貼り付けても良い。このシートは、破壊デバイスの針32が貫通不能な材料から製造される。磁気記録装置1を廃棄するときは、シートを剥がしてから針32を刺入する。シートは、一度剥がすと張り直しができない接着剤で貼り付けることが好ましい。シートが剥がれていなければ、磁気記録装置1が破壊されていないことになるので、作業時の確認作業が容易になる。
【0042】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【符号の説明】
【0043】
1 磁気記録装置
2 エンクロージャ本体(ケース)
3 カバー(ケース)
4 エンクロージャケース
5 磁気ディスク(磁気記録媒体)
9 磁気ヘッド
21,62 密閉容器(収容部)
23 蓋
25 腐食物質(破壊材料)
31 破壊デバイス
32 針(開封部材)
51 パーティクル(破壊材料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体と、
磁気記録媒体への情報の書き込み、及び前記磁気記録媒体からの情報の読み取りを行う磁気ヘッドと、
前記磁気記録媒体及び前記磁気ヘッドを収容するケースと、
前記ケース内に配置され、前記磁気記録媒体の磁気記録層を破壊する破壊材料を収容する収容部と、
を含むことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
前記ケースに前記収容部の一部を破壊する開封部材を挿入可能な挿通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記開封部材は、針であることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記破壊材料は、前記磁気記録媒体の磁気記録層を腐食させる腐食物質であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記破壊材料は、直径100μm以下のパーティクルであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−218625(P2010−218625A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64034(P2009−64034)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)