説明

磁気駆動装置

【課題】磁石を保持するディスクの間の滑りを軽減することができる磁気駆動装置を提供する。
【解決手段】一次ディスク10および二次ディスク14、16はそれぞれ、ディスクの中心点から半径方向線に沿って配置され、かつ各ディスクの回転軸に対して概ね横方向に配置された、典型的には同じ極性の永久磁石の形をした、磁石手段を備える。これらの磁石はまた、ディスクの周囲にまたはディスクの周囲に隣接して配置される。一次ディスク10に埋め込まれた各磁石22は、二次ディスク14に埋め込まれた磁石28のN極に揃えられたN極を有する。磁石22の各S極は、他方の二次ディスク16に埋め込まれた磁石30のS極に揃えられたS極を有する。いくつかの態様では、一次ディスクおよび二次ディスク上の磁石は互いに平行に配置され、それぞれの細長い直線側の縁部が互いに揃えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は概して磁気駆動装置に関し、特に、磁気的に結合された変速機を使用する駆動装置および軸受に関するが、それに限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
背景
エンジンおよびモータからの駆動を歯車箱、ポンプ、交流発電機、発電機、および圧縮機に伝達する公知の方法は、プリー・ベルト、チェーン、歯車、ディスク、コグ、およびその他の継手を含む様々な形態の物理的継手によって実現される。歯車に定期的に潤滑油を注す要件、様々な構成要素を互いに厳密に揃える要件、および摩耗および引き裂きの問題のような、機械的継手に関連する多数の問題がある。摩擦の形のエネルギー損失および熱損失は、このような装置ではかなりの量になることがある。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
第1の局面では、本発明は、
各々が回転軸の周りを回転可能な1つの一次支持部材および2つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
二次支持部材が互いに間隔をあけて概ね平行に配置され、かつ、所与の時間に少なくともいくつかの一次磁石が各二次支持部材の二次磁石の少なくともいくつかの間に位置するるように、使用時に二次支持部材の間の空間に入るように一次支持部材が配置される、磁気駆動装置を提供する。
【0004】
一態様では、一次および二次支持部材の磁石はそれぞれ、少なくともいくつかの一次磁石の極が少なくともいくつかの二次磁石に反発磁力を与えるように方向付けることができる。
【0005】
一態様では、一次支持部材は、一次シャフトの端部で回転するように取り付けられ、二次支持部材はそれぞれ、共通の二次シャフトで回転するように取り付けられる。この一形態では、使用時に一次シャフトは二次シャフトに対して平行であってよい。
【0006】
さらなる形態では、二次ディスクはそれぞれ同じ直径を有し、該直径は一次ディスクの直径よりも小さくてよい。
【0007】
一態様では、少なくとも1つの支持部材上の磁石を少なくとも1つの電磁石によって励磁し、一次支持部材と二次支持部材の間で回転を引き起こすことができる。
【0008】
一態様では、各磁石は、トルクの発生を改善するように形作ることができる。一形態では、各磁石は卵形であってよい。他の形態では、各磁石は長円形であってよい。
【0009】
一態様では、各磁石は細長く、各支持部材の中心から延びる半径に対して傾斜した細長い軸を有する。一形態では、細長い軸は、半径に対して鋭角または直角を形成し、または各支持部材上の磁石はこれらの向きの様々な組み合わせを有する。
【0010】
またさらなる態様では、各磁石は、正方形、三角形、卵形、長円形、菱形、または先端を切り取った(truncated)円柱のうちの1つまたは複数から選択される形状を有してよい。
【0011】
いくつかの態様では、各支持部材内の磁石は、支持部材の外周を越えて突き出るように取り付けることができ、または外周に対して凹状に取り付けられる。
【0012】
第2の局面では、本発明は、
各々が他方の軸に対して平行であるかまたは傾斜した回転軸の周りを回転可能な、一次および二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りに配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
各支持部材が概ね円錐形状を有し、使用時に、一方の支持部材の主円錐面が他方の支持部材の主円錐面に面する磁石駆動装置を提供する。
【0013】
一態様では、各磁石は細長くてよく、かつ、円錐の頂点から底面の方へ延びるように主円錐面内に配置される。この一形態では、各磁石は、円錐台セグメントの形状を有してよい。
【0014】
一態様では、一方の支持部材内の磁石は、他方の支持部材内の磁石に反発磁力を与えるように方向付けられる。
【0015】
一態様では、支持部材はそれぞれ、各シャフトの端部で回転するように取り付けることができる。一形態では、一方のシャフトの軸は使用時に、他方のシャフトの軸に直交する。
【0016】
一態様では、各支持部材は円錐台形状であってよい。
【0017】
第3の局面では、本発明は、
各々が回転軸の周りを回転可能な、1つの一次支持部材および1つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
磁石が細長く、かつ、概ね各支持部材の回転軸に揃えて配置される、磁気駆動装置を提供する。
【0018】
一態様では、一次および二次支持部材を互いに間隔をあけて配置することができる。
【0019】
一態様では、一次支持部材は、一次シャフトで回転するように取り付けられたディスクであってよく、二次支持部材も、二次シャフトで回転するように取り付けられたディスクであってよい。
【0020】
一態様では、使用時に一次シャフトは二次シャフトに平行であってよい。
【0021】
この一形態では、一次支持部材上の磁石は使用時に、二次支持部材上の磁石に平行に配置することができる。
【0022】
一態様では、二次ディスクは、一次ディスクの直径よりも小さな直径を有してよい。
【0023】
一態様では、各磁石は、平面図または断面図で見たときに矩形を有してよい。
【0024】
一態様では、各支持部材内の磁石は、支持部材の外周を越えて突き出るように取り付けるか、または外周に対して凹状に取り付けることができる。
【0025】
第4の局面では、本発明は、
各々が回転軸の周りを回転可能な、1つの一次支持部材および1つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
磁石が細長く、かつ、概ね各支持部材の回転軸を横切るように配置される、磁気駆動装置を提供する。
【0026】
一態様では、各磁石は、各支持部材の中心から延びる半径に対して傾斜した軸を有してよい。
【0027】
他の態様では、細長い軸は、半径に対して鋭角または直角を形成してよく、または、各支持部材上の磁石は、これらの向きの様々な組み合わせを有してよい。
【0028】
さらに他の態様では、各磁石は、各支持部材の中心から延びる半径に揃えられた軸を有してよい。
【0029】
一態様では、第4の局面の磁気駆動装置は、他の点では第3の局面に定義されたものと同様である。
【0030】
第5の局面では、本発明は、
各々が使用時に互いに揃えられる細長い軸を有し、かつ各々がその細長い軸の周りを回転可能な、細長い一次および二次シャフト;
一次シャフトの第1の端部の周りに配置された、1つまたは複数の一次磁石;ならびに
使用時に一次シャフトの第1の端部に隣接して位置する二次シャフトの端部に配置される、1つまたは複数の二次磁石であって、一次磁石が使用時に二次磁石内を回転するように配置されるように配置される、二次磁石
を含む、磁気結合装置を提供する。
【0031】
一態様では、一次および二次磁石は、一次磁石の極が二次磁石に反発磁力を与えるように互いに方向付けることができる。
【0032】
一態様では、複数の一次磁石は一次シャフトの第1の端部を囲むことができる。
【0033】
一態様では、二次磁石は、二次シャフト端部と共に回転するように二次シャフト端部に取り付けられたハウジング内に配置することができ、一次シャフトの第1の端部は、使用時にハウジング内に配置される。この一形態では、ハウジングは、2つの半部を形成するように組み立てられ、その後、ハウジングを形成するように二次シャフト端部に取り付けられる、ケーシングである。
【0034】
一態様では、ハウジングは、一次シャフトが使用時に内部で回転できるように支持されるように延びるハウジングの入口に配置された軸受を有してよい。
【0035】
一態様では、一次および二次磁石は細長くてよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書では、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明すると好都合である。添付の図面の詳細および関連する説明は、本発明の上記の広義の説明の一般概念に優先するものではないと理解されたい。
【図1】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の一態様の側面図を示す。
【図2】図1に示されている態様の平面図である。
【図3】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の他の態様の側面図を示す。
【図4】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の他の態様の側面図を示す。
【図5】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の他の態様の側面図を示す。
【図6】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の他の態様の側面図を示す。
【図7】図6に示されている態様の平面図である。
【図8】本発明による磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の一態様の側面図を示す。
【図9】図8に示されている態様の平面図である。
【図10】磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の一態様の側面図を示す。
【図11】図10に示されている態様の平面図である。
【図12】図10および11に示されている態様の端面図である。
【図13】磁気駆動装置の一部を構成するディスクの形をした一次および二次支持部材の一態様の側面図を示す。
【図14】図13に示されている態様の端面図である。
【図15】磁気駆動装置の一部を構成する概ね円錐の形をした一次および二次支持部材の一態様の側面図を示す。
【図16】図15に示されている態様の側面図である。
【図17】本発明による磁気結合装置の一態様の端面図である。
【図18】図17に示されている態様の部分断面側面図である。
【図19】本発明による磁気結合装置の一態様の端面図である。
【図20】図19に示されている態様の部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の態様の詳細な説明
添付の図面を参照すると、磁気駆動装置の一部の一態様が図1および2に示されている。円形の一次ディスク10が第1のシャフト12上に位置し、やはり円形であり互いに間隔をあけて配置された2つの二次ディスク14、16が二次シャフト18上に位置している。第1のシャフト12および第2のシャフト18は、概ね平行に揃えられている。第1のシャフト12は、一次ディスクの中心点20に、一次ディスクに直交するように位置している。同様に、第2のシャフト18は、第2のディスク14、16の各々に直交するように位置し、各ディスクの中心点21を通過している。図示の態様では、一次シャフト12および二次シャフト18はどちらも同じ長手方向平面に方向付けられているが互いにずれている。一次シャフト12および二次シャフト18はまた、互いに逆方向に延びている。互いに間隔をあけて配置された二次ディスク14、16は、互いに概ね平行であり、使用時には、一次ディスク10は、ディスク10、14、16がある程度重なり合うように二次ディスク14、16間の空間内を移動するように配置される。
【0038】
図示の一次ディスク10および二次ディスク14、16はそれぞれ、ディスクの中心点から半径方向線に沿って配置されかつそれぞれのディスク支持部材の回転軸に対して概ね横方向に配置された、通常同じ極性の永久磁石の形をした磁石手段を備えている。図示されているように、これらの磁石はまた、ディスクの周囲にまたはディスクの周囲に隣接して配置されている。各磁石は、磁石の各面が一次ディスク10および二次ディスク14、16の外面と同一の平面を形成するように一次ディスク10および二次ディスク14、16のそれぞれに埋め込まれている。図示の態様では、一次ディスク10に埋め込まれた磁石22はそれぞれ、各磁石の外面24、26(すなわち、一次ディスク10の両面に配置された面)の極性が2枚の二次ディスク14、16の各ディスク内に位置する磁石28の外面の極性に一致するように向きを定められている。図2に示されている態様では、一次ディスク10に埋め込まれた各磁石22は、二次ディスク14に埋め込まれた磁石28のN極に揃えられたN極を有している。一次ディスク10に埋め込まれた磁石22の各S極は、他方の二次ディスク16に埋め込まれた磁石30のS極に揃えられたS極を有している。
【0039】
一次ディスク10は、一次ディスク10および二次ディスク14、16のそれぞれの上の磁石22、28、30の中心が垂直方向(または水平方向)に揃うように2枚の二次ディスク14、16間に位置している。一次ディスク10および二次ディスク14、16は、2枚の二次ディスク14、16が二次シャフト18によって回転したときに、反発力によって一次ディスク10が回転させられ、それによって第1のシャフト12が回転するように方向付けられている。または、一次ディスク10を第1のシャフト12によって回転させると、二次ディスク14、16が反発力のために回転させられ、それによって第2のシャフト18が回転する。一次ディスク10および二次ディスク14、16は、モータ、タービン、風車のような任意の回転エネルギー源に独立に接続され、かつこのエネルギー源によって回転させられる。いくつかの態様では、所与の時間に、一次ディスク10上の磁石22の少なくとも一部が二次ディスク14、16上の磁石28、30の少なくともいくつかの間に配置されるかぎり、磁気相互作用の程度を制御するように第1のシャフトと第2のシャフトの間のずれを調整することができる。
【0040】
さらに、他の態様では、第1および第2のシャフトは、図2に示されているように逆方向からではなく、同じ方向から延びることができる。図1および2に示されている態様では、第1のシャフト12および第2のシャフト18は同じ直径を有しているが、他の態様では、第1および第2のシャフトは互いに対して異なる直径を有してよい。図1および2に示されている態様では、一次ディスク10および二次ディスク14、16は、二次ディスク14、16のそれぞれよりも大きな直径を有する一次ディスク10とは異なる直径を有するが、他の態様では、各ディスクが同じ直径を有してよく、またはそればかりでなく二次ディスクが一次ディスクよりも大きな直径を有してよい。
【0041】
図1および2に示されているように、一次ディスク10上の磁石22および二次ディスク14、16上の磁石28、30は長円形(すなわち、ピル状)である。各ディスク上の長円形の磁石は、軸方向にそれぞれのディスク10、14、16の中心点20、21から外側に方向付けられている。一次ディスクおよび二次ディスクの両面上の埋め込まれた磁石の最外面の形状は同じである。図3および4を参照すると、図示の、一次ディスク10A上の磁石22Aおよび二次ディスク14A上の磁石28Aも長円形であるが、二次ディスク上の磁石28Aは、それぞれの軸(たとえば、線A-A)がディスクの周囲(たとえば、線B-B)に対して鋭角A-Bになるように配置され、一方、一次ディスク10A上の磁石22Aは、図1の場合と同様に半径方向軸方向にディスク10Aの中心点20Aから外側に方向付けられている。図5を参照すると、一次ディスク10C上には、複数の長円形の磁石22Cが、一次ディスク10C上に概ね端部から端部まで(ただし互いに間隔をあけて)、ディスク10Cの周囲に隣接して配置された同心リング構成32として互いに揃えられている。これらの磁石22Cはそれぞれ、ディスク10Cの半径に対して直角に配置された細長い軸を備えている。二次ディスク14C上の磁石は、図1の場合と同様に、半径方向軸方向にディスク14Cの中心点から外側に方向付けられている。
【0042】
さらなる態様では、磁石の任意の組み合わせは、(a)半径方向に揃えられるか、(b)鋭角に配置されるか、または(c)支持ディスクの半径に直交するように配置されるか、あるいはそれらが任意に組み合わされた配置を有するそれぞれの細長い軸を備えてよい。
【0043】
本発明者は、これらのディスク上に配置された磁石の配置および種類を変えることによって一次ディスクと二次ディスクの間のトルクを増大させることができたと考えている。本発明者は、一次ディスクおよび二次ディスク上で非円形の磁石を使用することによって、ディスクの間に生じるトルク相互作用が増大すると考えている。回転するディスクの間の相互作用が増大すると、ディスクの間で伝達する力を増大させることができる。本発明者は、細長い磁石は、それぞれの互いに隣接する磁石に対するより細長い磁界の重なりが増大するため(たとえば、丸いボタン磁石と比べて)磁石の間でより強い力を伝達することができると仮定している。
【0044】
本発明者は、細長い磁石(たとえば、いくつかの形態では平坦なまたは直線状の側縁部を有する)が他の細長い磁石と相互作用すると、各磁石を保持する支持部材の間の滑りが少なくなることにも注目した。「コギング効果」、すなわち、従来のメッシュ状歯車システムにおいて各構成要素の回転時に生じることが多い、より動作の鈍い「ラフ・スポット」の発生が低減することも分かっている。最後に、本発明者は、細長い磁石を使用することが、使用時に一次支持ディスクと二次支持ディスクの間に生じうる位置ずれに対する対処の助けになり、より円滑な動作が可能になることも認識している。
【0045】
図6および7に示されている態様では、図示の装置は他のすべての点で、図1および2で説明した装置と類似しているが、埋め込まれた磁石22D、28D、30Dは、正三角形の形状を有している。図示の態様では、第1のシャフト12Dおよび第2のシャフト18Dは、どちらも同じ長手方向平面に方向付けられているが、互いにずれており、かつ同じ方向に延びている。第1および第2のシャフトはまた、互いに異なる直径を有している。図8および9に示されている態様では、埋め込まれた磁石は菱形22D、28D、30Dである。他の態様では、埋め込まれた磁石は、正方形、矩形、非正三角形、卵形、または先端を切り取った円柱のうちの1つまたは複数から選択される形状を有してよい。これらの磁石形状の任意の組み合わせを適宜使用してよい。
【0046】
さらなる態様では、一次ディスク上の埋め込まれた磁石の形状の向きを二次ディスク上の埋め込まれた磁石の向きに揃える必要はない。さらに、一次ディスクおよび二次ディスクに埋め込まれる磁石の数は、それぞれのディスクの直径(磁気密度の違い)に応じて変えることができる。また、一次ディスクに埋め込まれる磁石のそれぞれの数量は、二次ディスクに埋め込まれる磁石の数量と等しくする必要はない。
【0047】
またさらなる態様では、互いに隣接する回転支持部材の間に各磁石を部分的に揃えることができるかぎり、磁石用の一次支持部材および二次支持部材を非円形、たとえば楕円形または場合によっては正方形にすることが可能である。
【0048】
次に図10〜12を参照すると、本発明は、概ね矩形の断面を有し直線状の側面を有する細長い円筒形のセグメントとして形作られた複数の埋め込まれた磁石、ならびに一次ディスク10Fの最外周34が二次ディスク14Fの最外周36に近接して配置されるように方向付けられた一次ディスク10Fおよび二次ディスク14Fを有している。12個の磁石22Fおよび9個の磁石28Fが、各磁石22F、28Fがディスクの最外周34、36およびこれらのディスクの両平面状端面38、40と同一の平面を形成するように一次ディスク10Fおよび二次ディスク14Fのそれぞれに埋め込まれている。図示の態様では、一次ディスク10Fに埋め込まれた磁石22Fはそれぞれ、各磁石の外面(すなわち、一次ディスク10Fの最外周34に配置された面)の極性が、隣接する二次ディスク14Fの周囲36の所に位置する磁石28Fの外面の極性に一致するように方向付けられている。図10に示されている態様では、一次ディスク10Fに埋め込まれた各磁石は、二次ディスク14Fに埋め込まれた磁石28FのN極に揃えられたN極を有している。
【0049】
図11に示されているように、磁石22Fは第1のシャフト12Fに揃うように示されており、磁石28Fは第2のシャフト18Fに揃うように示されている。理想的には、使用時には、一次ディスク10Fおよび二次ディスク14F上の磁石(それぞれ磁石22Fおよび28F)は互いに平行になり、そのそれぞれの細長い直線側の縁部が互いに揃うように配置される。本発明者は、使用時には、このような配置が、それぞれ磁石22F、28Fを保持するディスク10F、14F間の滑りを少なくし、使用時に一次ディスク10Fと二次ディスク14Fの間に生じうる位置ずれに対する対処を助け、したがって、より円滑な動作を可能にすることを認識している。
【0050】
次に、図13および14に示され、多くの点で図10〜12に示されている装置に類似している装置を参照すると、複数の細長い形状の磁石22G、28Gが、一次ディスク10Gおよび二次ディスク14Gの各ディスクのそれぞれの半径方向周囲に、図10〜12に示されているようにディスクに対して凹状に形成されるかまたはディスクに挿入されるのではなく半径方向周囲を越えて延びるように外側に取り付けられるように示されている。この配置は、上記に図10〜12に示されている装置に関連して論じたのと同じ動作上の利点の多くを有している。
【0051】
図15および16に示されているさらなる態様には、互いに直交するように傾斜した2本の回転可能なシャフト12H、18Hを含む磁気駆動装置が示されており、各シャフトは、それぞれ概ね円錐状のそれぞれの末端ヘッド10H、14Hを有している。図示の特定の態様では、末端ヘッド10H、14Hは円錐台の形状を有している。各末端ヘッド10H、14Hの周りに、スカート状の主円錐面42、44上に配置された複数の磁石が配置されている。使用時には、互いに隣接するスカート状の主円錐面42、44が互いに近接して移動するようにそれぞれの末端ヘッド10H、14Hが回転させられる。スカート状の各主円錐面42、44は、概ね円錐状のヘッドの概念上の頂点から底面の方へ延びるように配置された細長い円錐台セグメント22H、28Hの形をした複数の磁石を有している。これらの磁石は、各末端ヘッド10H、18Hのスカート状の主円錐面42、44と同一の平面を形成するように主円錐面42、44に対して凹状に形成されている。図示の態様では、スカート状の主円錐面42、44に埋め込まれた磁石22H、28Hはそれぞれ、各磁石の外面(末端ヘッドの最外周に配置された面)の極性が隣接する末端ヘッド内に位置させられた対応する磁石の面の極性に一致するように方向付けられている。したがって、互いに隣接する末端ヘッド上の対応する磁石の間の反発磁力のために、第1のシャフトが回転すると、第2のシャフトが回転することができ、第2のシャフトが回転すると、第1のシャフトが回転することができる。
【0052】
またさらなる態様では、直交以外の他のそれぞれの傾斜角度を2つの回転可能なシャフトの間に配置することができる。
【0053】
次に、図17〜18に示されている態様を参照すると、細長い一次シャフト12Jおよび細長い二次シャフト18Jを磁気的に結合する磁気継手が示されている。図示の態様では、各シャフト12J、18Jは、使用時に互いに揃えられる細長い軸を有している。各シャフト12J、18Jはその細長い軸の周りを回転可能である。
【0054】
図17および18に示されている態様では、一次シャフト12Jの端部の周りに4つの細長い磁石22Jが配置されている。二次シャフト18Jの端部は、キャビティ52を密閉する円筒形のケーシング50の形をしたハウジングにねじ留めされている。ケーシング50の内壁54にも4つの細長い磁石28Jが取り付けられている。一次シャフト12Jの端部(および4つの磁石22J)をキャビティ内に位置させ、一次シャフト12Jの端部とケーシング50の内壁54の間に環状空間が配置されると、一次シャフト12Jの磁石22Jとケーシング50の磁石28Jの間の反発力によって、一次シャフトおよび二次シャフトの一方または他方のシャフトを最初に回転させる場合に一次シャフトおよび二次シャフトを相対的に回転させることができる。ケーシング50の内壁54に取り付けられた磁石28Jは、ケーシングの内壁と同一の平面を形成するようには埋め込まれず、内壁54から突き出るように配置されるようにねじまたはその他の手段によって取り付けられる。
【0055】
図19および20に示されている態様では、磁石28Kは、ケーシング58の内壁56と同一平面を形成するように埋め込まれている。ケーシング58は、2つの半円筒から組み立てられ、ねじ60によって第2のシャフト18Kの所に保持されるように構成されている。または、ケーシングは、一体的に形成することができ、この形態または他の形態では、任意の手段によって二次シャフト18Kに取り付けることができる。ケーシング58の内壁56に埋め込まれる磁石28Kは、各磁石の外面の極性が、キャビティ内に配置された一次シャフト上に取り付けられたそれぞれの磁石の外面の極性に一致するように方向付けられている。軸受62が一次シャフト12Kの円周の周りにキャビティ64の入口を横切って配置され、使用時に一次シャフト12Kおよび二次シャフト18Kの真の位置合わせを支持し、たとえば位置ずれを制限する。
【0056】
さらなる態様では、図示のように、特に4つの磁石を使用する必要はなく、一次シャフトの周端部の周りにおよびケーシングの内壁に沿って任意の数の細長い磁石を配置することができる。
【0057】
本明細書で開示された本発明の形態のいずれに関しても、他の態様では、使用される磁石は、非円形に形成された電磁石または任意のその他の磁化可能な材料を含んでもよい。磁石に関連して「細長い」という用語を使用する際、たとえば単一の細長い磁石としても機能する細長い磁気ストリップを形成するようにより短い一連の互いに揃えられた磁石を配置できることを理解されたい。
【0058】
さらに、本明細書で磁石に関連して「細長い」という用語を使用する際、いくつかの形態では、磁石の両側面が互いに平行であってよく、他のいくつかの形態では、これらの両側面が直線状の縁部を形成してよい。しかし、「細長い」という用語はこのようには限定されず、単に幅よりも長さの方が大きい非直線状で互いに平行でない側面を有する形態の磁石を含んでよい。
【0059】
本発明について特定の態様を参照して説明したが、本発明を他の多くの形態で実施できることを理解されたい。
【0060】
本明細書で先行技術情報を参照する場合、そのような参照は、その情報が、オーストラリアにおいても他の国においても、当技術分野における一般常識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
【0061】
添付の特許請求の範囲および本発明についての上記の説明では、他の状況で明示的な文言または必要な暗示のために文脈上必要になる場合を除いて、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形例は、包含的な意味で使用されており、すなわち、上述の特徴の存在を指定するのに使用されているが、本発明の様々な態様における他の特徴の存在または追加を妨げるのに使用されているわけではない。
【0062】
添付の図面に示されている本発明の好ましい態様について説明する際、説明を明確にするために特定の用語が使用される。しかし、本発明は、そのように選択された用語に限定されるものではなく、それぞれの特定の用語が、同様の技術的目的を実現するように同様に動作するすべての技術的均等物を含むことを理解されたい。「前方」、「後方」、「半径方向」、「周方向」、「上向き」、「下向き」などの用語は、基準点を示すのに好都合な語として使用されており、限定的な用語として解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が回転軸の周りを回転可能な1つの一次支持部材および2つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
二次支持部材が間隔をあけて概ね平行に配置され、かつ、所与の時間に少なくともいくつかの一次磁石が各二次支持部材の二次磁石の少なくともいくつかの間に位置するように、使用時に二次支持部材の間の空間に入るように一次支持部材が配置される、磁気駆動装置。
【請求項2】
一次および二次支持部材の磁石がそれぞれ、該少なくともいくつかの一次磁石の極が該少なくともいくつかの二次磁石に反発磁力を与えるように方向付けられる、請求項1記載の磁気駆動装置。
【請求項3】
一次支持部材が、一次シャフトの端部で回転するように取り付けられたディスクであり、二次支持部材がそれぞれ、共通の二次シャフトで回転するように取り付けられたディスクである、請求項1または2記載の磁気駆動装置。
【請求項4】
使用時に一次シャフトが二次シャフトに対して平行である、請求項3記載の磁気駆動装置。
【請求項5】
二次ディスクがそれぞれ同じ直径を有し、該直径が一次ディスクの直径よりも小さい、請求項3または4記載の磁気駆動装置。
【請求項6】
少なくとも1つの支持部材上の磁石が、少なくとも1つの電磁石によって励磁されて、一次支持部材と二次支持部材の間で回転を引き起こす、前記請求項のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項7】
各磁石が、トルクの発生を改善するように形作られる、前記請求項のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項8】
各磁石が卵形または長円形である、請求項7記載の磁気駆動装置。
【請求項9】
各磁石が、細長く、かつ、各支持部材の中心から延びる半径に対して傾斜した細長い軸を有する、前記請求項のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項10】
細長い軸が、半径に対して鋭角または直角を形成するか、または、各支持部材上の磁石がこれらの向きの様々な組み合わせを有する、請求項9記載の磁気駆動装置。
【請求項11】
各磁石が、正方形、三角形、卵形、長円形、菱形、または先端を切り取った(truncated)円柱のうちの1つまたは複数から選択される形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項12】
各支持部材内の磁石が、支持部材の外周を越えて突き出るように取り付けられるか、または外周に対して凹状に取り付けられる、前記請求項のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項13】
各々が、他方の軸に対して平行であるかまたは傾斜した回転軸の周りを回転可能な、一次および二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りに配置された複数の磁石
を含む、磁石駆動装置であって、
各支持部材が概ね円錐形状を有し、使用時に、一方の支持部材の主円錐面が他方の支持部材の主円錐面に面する、磁石駆動装置。
【請求項14】
各磁石が細長く、かつ、円錐の頂点から底面の方へ延びるように主円錐面内に配置される、請求項13記載の磁気駆動装置。
【請求項15】
各磁石が、円錐台セグメントの形状を有する、請求項14記載の磁気駆動装置。
【請求項16】
一方の支持部材内の磁石が、他方の支持部材内の磁石に反発磁力を与えるように方向付けられる、請求項13〜15のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項17】
支持部材がそれぞれ、各シャフトの端部で回転するように取り付けられる、請求項13〜16のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項18】
一方のシャフトの軸が、使用時に、他方のシャフトの軸に直交する、請求項17記載の磁気駆動装置。
【請求項19】
各支持部材が円錐台形状である、請求項13〜18のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項20】
各々が回転軸の周りを回転可能な、1つの一次支持部材および1つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
各磁石が細長く、かつ、概ね各支持部材の回転軸に揃えて配置される、磁気駆動装置。
【請求項21】
一次および二次支持部材が互いに間隔をあけて配置される、請求項20記載の磁気駆動装置。
【請求項22】
一次支持部材が、一次シャフトで回転するように取り付けられたディスクであり、二次支持部材もまた、二次シャフトで回転するように取り付けられたディスクである、請求項20または21記載の磁気駆動装置。
【請求項23】
一次シャフトが使用時に二次シャフトに平行である、請求項22記載の磁気駆動装置。
【請求項24】
一次支持部材上の磁石が、使用時に、二次支持部材上の磁石に平行に配置される、請求項22または23記載の磁気駆動装置。
【請求項25】
二次ディスクが、一次ディスクの直径よりも小さな直径を有する、請求項22〜24のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項26】
各磁石が、平面図または断面図で見たときに矩形を有する、請求項20〜25のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項27】
各支持部材内の磁石が、支持部材の外周を越えて突き出るように取り付けられるか、または外周に対して凹状に取り付けられる、請求項20〜26のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項28】
各々が回転軸の周りを回転可能な、1つの一次支持部材および1つの二次支持部材;ならびに
各支持部材の周りにおよび各支持部材の周囲にまたは各支持部材の周囲に隣接して配置された複数の磁石
を含む、磁気駆動装置であって、
各磁石が細長く、かつ、概ね各支持部材の回転軸を横切るように配置される、磁気駆動装置。
【請求項29】
各磁石が、各支持部材の中心から延びる半径に対して傾斜した軸を有する、請求項28記載の磁気駆動装置。
【請求項30】
細長い軸が、半径に対して鋭角または直角を形成し、または、各支持部材上の磁石が、これらの向きの様々な組み合わせを有する、請求項28または29記載の磁気駆動装置。
【請求項31】
各磁石が、各支持部材の中心から延びる半径に揃えられた軸を有する、請求項28記載の磁気駆動装置。
【請求項32】
他の点では請求項21〜27のいずれか一項に定義された磁気駆動装置と同様の、請求項28〜31のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項33】
以下を含む磁気結合装置:
各々が使用時に互いに揃えられる細長い軸を有し、かつ各々がその細長い軸の周りを回転可能な、細長い一次および二次シャフト;
一次シャフトの第1の端部の周りに配置された、1つまたは複数の一次磁石;ならびに
使用時に一次シャフトの第1の端部に隣接して位置する二次シャフトの端部に配置される、1つまたは複数の二次磁石であって、一次磁石が使用時に二次磁石内を回転するように配置されるように配置される、二次磁石。
【請求項34】
一次および二次磁石が、一次磁石の極が二次磁石に反発磁力を与えるように互いに方向付けられる、請求項33記載の磁気結合装置。
【請求項35】
複数の一次磁石が一次シャフトの第1の端部を囲む、請求項33または34記載の磁気結合装置。
【請求項36】
二次磁石が、二次シャフト端部と共に回転するように二次シャフト端部に取り付けられたハウジング内に配置され、一次シャフトの第1の端部が、使用時にハウジング内に位置する、請求項33〜35のいずれか一項記載の磁気駆動装置。
【請求項37】
ハウジングが、2つの半部を形成するように組み立てられ、その後ハウジングを形成するように二次シャフト端部に取り付けられたケーシングである、請求項36記載の磁気結合装置。
【請求項38】
ハウジングが、使用時に一次シャフトが内部で回転できるように支持されるように延びるハウジングの入口に配置された軸受を有する、請求項33〜37のいずれか一項記載の磁気結合装置。
【請求項39】
一次および/または二次磁石が細長い、請求項33〜38のいずれか一項記載の磁気結合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−180934(P2012−180934A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−80588(P2012−80588)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−504583(P2008−504583)の分割
【原出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(507335377)