説明

磁着性掛止具

【課題】本発明は、テコ作用を利用して曲げモ−メントに対する大きな反力を生起せしめ、磁石体の磁着力とも相まって常に重量の大な物品を吊下げ状に確実に掛止保持せしめることが出来る、磁着性掛止具を提供するものである。
【解決手段】所要の強磁性体2壁面に磁着自在とされた略盤状の磁石体1と、該磁石体1の表面に回動自在に枢着された取付けア−ム7と、該取付けア−ム7に垂下状に取付けられた掛止部材9a・9bとよりなり、上記掛止部材9a・9bの下端には強磁性体2壁面に当接して水平支持せしめるべく所要長の当接部材12が後方に向けて突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁着性掛止具に関し、さらに詳細には、スチ−ル製キャビネットやマグネッ
トシ−トなど所要の強磁性体壁面に磁着せしめ、事務用品、台所用品、日用品、あるいは
陳列用商品などを吊下げ状に掛止せしめるさいに使用する、磁着性掛止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の磁着性掛止具としては、例えば、合成樹脂製筐体の下部にフックが
垂設されると共に、同筐体の裏面に永久磁石が固着された所謂マグネットフックが広く知
られている。そして、かかるマグネットフックは、所要の強磁性体壁面に永久磁石を介し
て磁着せしめつつ、フックに所要の物品を吊下げ状に掛止せしめるものとされている。
【0003】
しかしながら、上述の如く構成された従来例は、単に永久磁石を強磁性体壁面に磁着せ
しめるにすぎないものであるから、物品の吊下げ荷重に起因する曲げモ−メントに対して
反力が非常に小さく、掛止保持力が弱いものであって、ひいては、非常に軽量な物品の吊
下げにのみしか使用することが出来ないものである。
【0004】
かかる従来例の問題点を解決するものとして、実開昭50−133327号公報や実開
昭54−176424号公報には、所要の本体裏面に永久磁石とゴム板などの弾性板とが
順次固着されると共に、同本体の表面側に鉤部が突設されてなる掛止具が開示されている

そして、上述の如く構成された掛止具は、永久磁石により所要の強磁性体壁面に磁着せ
しめて使用に供するものであって、鉤に所要の物品を吊下げ状に掛止せしめたさいには永
久磁石の磁着面を支点とする曲げモ−メントが弾性板に加わり、強磁性体壁面に強く押圧
せしめつつ摩擦抵抗を生起せしめるものである。このため、かかる摩擦抵抗により垂直方
向への下降力に対する反力が生起し、永久磁石の磁着力とも相まって比較的重量の大な物
品の場合においても吊下げ状に掛止保持せしめることが出来るものである。
【特許文献1】実開昭50−133327号公報
【特許文献2】実開昭54−176424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の如く構成された従来例は、物品の吊下げ荷重に起因する曲げモ−メン
トを弾性板に加えて摩擦抵抗を生起せしめ、これを下降力に対する反力として利用するに
すぎないものであるから、必ずしも満足すべき反力を生起せしめることが出来ず、ひいて
は、陳列商品など非常に重量の大な物品の掛止には適用せしめることが出来ないものであ
る。
【0006】
本発明は上記従来例の課題を解決し、テコ作用を利用して曲げモ−メントに対する大き
な反力を生起せしめ、磁石体の磁着力とも相まって常に重量の大な物品を吊下げ状に確実
に掛止保持せしめることが出来る、磁着性掛止具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の発明は、所要の強磁性体壁面に磁
着自在とされた略盤状の磁石体と、該磁石体の表面に回動自在に枢着された取付けア−ム
と、該取付けア−ムに垂下状に取付けられた掛止部材とよりなり、上記掛止部材の下端に
は強磁性体壁面に当接して水平支持せしめるべく所要長の当接部材が後方に向けて突設さ
れてなることを特徴とする、磁着性掛止具を要旨とするものである。
【0008】
本発明の請求項2記載の発明は、上記磁石体の裏面に滑り止めシ−トが取付けられてな
ることを特徴とする、請求項1記載の磁着性掛止具を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は上述のように構成されているから、磁石体を介して所要の強磁性
体壁面に磁着せしめて使用に供することが出来るものであって、掛止部材に所要の物品を
吊下げ状に掛止せしめたさいには、取付けア−ムの枢着部を支点とする曲げモ−メントが
取付けア−ム・掛止部材を一体的に回動せしめつつテコ作用的に当接部材に集中的に加わ
り、大きな反力を生起せしめることが出来るものであり、ひいては、従来例に比して、磁
石体の磁着力とも相まって非常に重量の大な物品を常に確実に掛止保持せしめることが出
来るものである。
【0010】
請求項2記載の発明は上述のように構成されているから、物品の吊下げ荷重に起因する
曲げモ−メントに対して磁石体の滑りを有効に防止せしめることが出来るものであって、
ひいては、掛止具の掛止保持力をよりアップせしめることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説
明する。
【0012】
図1及び図2は本発明の一実施例を示す商品陳列用の磁着性掛止具で、同図中、1は所
要の強磁性体2壁面に磁着自在とされた略方形盤状の磁石体、3は該磁石体1を構成する
略方形体状の合成樹脂製筐体、4は該筐体3に内設された永久磁石、5は該永久磁石4を
閉塞せしめるべく筐体3の裏面側に取付けられた滑り止めシ−ト、6は該滑り止めシ−ト
5に対応すべく筐体3の表面に突設された両側一対の軸受、7は該軸受6に軸8を介して
回動自在に枢着された所要長の取付けア−ム、9aは該取付けア−ム7の自由端に垂下状
に取付けられた掛止部材で、該掛止部材9aは上段に形成されたプライスカ−ド支持用バ
−10と、下段に形成された商品陳列用バ−11とより構成されている。12は物品の吊
下げ荷重に起因する曲げモ−メントを強磁性体2壁面に当接支持せしめるべく上記掛止部
材9aの下端部に後方へ向けて突設された当接支持用バ−、13は該当接支持用バ−12
の自由端に止着部材14を介して止着されたゴムなどの弾性を有する滑り止め材で、上記
当接支持用バ−12は強磁性体2壁面に当接して商品陳列用バ−11をほぼ水平に保持せ
しめるべく所要の長さに設定されている。その他、15はプライスカ−ド支持用バ−10
に取付け自在とされたプライスカ−ド、16は商品陳列用バ−11に掛止保持自在とされ
た所要の陳列用商品を各々示す。
【0013】
次に、上述の如く構成された実施例の使用例について説明する。
先ず、永久磁石4により磁石体1を所要の強磁性体2壁面に磁着せしめ、取付けア−ム
7を介して掛止部材9aを下方に回動せしめると共に、当接支持用バ−12の自由端を強
磁性体2壁面に当接せしめ、商品陳列用バ−11をほぼ水平に保持せしめる。しかるのち
、プライスカ−ド支持用バ−10に所要のプライスカ−ド15を取付けると共に、商品陳
列用バ−11に陳列用商品16を吊下げ状に掛止して陳列せしめる。すると、陳列商品1
6の吊下げ荷重が取付けア−ム7の枢着部を支点とする曲げモ−メントとして取付けア−
ム7と掛止部材9aに作用し、取付けア−ム7及び掛止部材9aを一体的に下向きに若干
回動せしめつつテコ作用的に当接支持用バ−12の自由端を強磁性体2壁面に圧接して反
力を生起せしめる。このさい、陳列商品16の吊下げ荷重に応じて相応の曲げモ−メント
がテコ作用的に当接支持用バ−12の自由端に作用するため、陳列商品16の吊下げ荷重
が大である場合には相応の大きな曲げモ−メントが当接支持用バ−12の自由端に作用し
て大きな反力を生起せしめることが出来るものであって、磁石体1の磁着力とも相まって
吊下げ荷重の大な陳列商品16を常に確実に掛止保持せしめることが出来る。また、磁石
体1の裏面には滑り止めシ−ト5が取付けられているから、陳列商品16の吊下げ荷重に
起因する曲げモ−メントに対して磁石体1の滑りを有効に防止せしめ、掛止保持力をより
アップせしめることが出来るものである。
【0014】
図3は本発明の他の実施例を示すもので、掛止部材9bが両側一対のプライスカ−ド支
持用バ−10と商品陳列用バ−11とにより構成されると共に、両側下端に各々後方へ向
けて一対の当接支持用バ−12が突設された点が上記実施例と相違し、他の部分は同一で
あり、同一符号は同一部分を示す。
【0015】
そして、上述の如く構成された実施例は、上記実施例と同様に、磁石体1を介して所要
の強磁性体2壁面に磁着せしめ、両側のプライスカ−ド支持用バ−10に所要のプライス
カ−ド15を取付けると共に、両側の商品陳列用バ−11に各々所要の商品16を吊下げ
状に掛止して陳列せしめ、陳列商品16の吊下げ荷重に起因する曲げモ−メントをテコ作
用的に両側の当接支持用バ−12に作用せしめて大きく反力を生起せしめつつ、吊下げ荷
重の大な陳列商品16の場合においても確実に掛止保持せしめることが出来るものである

【0016】
なお、上記実施例において、掛止部材9a・9bは上下にプライスカ−ド支持用バ−1
0と商品陳列用バ−11とより構成され、商品陳列用に適用せしめるものとされているが
、これに限定されるものではなく、掛止部材を従来例のようにフック状に形成せしめ、事
務用品、台所用品、あるいは日用品などの掛止保持にも適用せしめることが出来るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破断斜視図である。
【図2】実施例の使用状態を示す垂直断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 磁石体
2 強磁性体
4 永久磁石
5 滑り止めシ−ト
6 軸受
7 取付けア−ム
8 軸
9a・9b 掛止部材
10 プライスカ−ド支持用バ−
11 商品陳列用バ−
12 当接支持用バ−

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の強磁性体壁面に磁着自在とされた略盤状の磁石体と、該磁石体の表面に回動自在
に枢着された取付けア−ムと、該取付けア−ムに垂下状に取付けられた掛止部材とよりな
り、上記掛止部材の下端には強磁性体壁面に当接して水平支持せしめるべく所要長の当接
部材が後方に向けて突設されてなることを特徴とする、磁着性掛止具。
【請求項2】
上記磁石体の裏面に滑り止めシ−トが取付けられてなることを特徴とする、請求項1記
載の磁着性掛止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106688(P2009−106688A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284712(P2007−284712)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(390007526)
【Fターム(参考)】