説明

磁着支持具及びこれを用いた磁着型什器

【課題】極力コストアップを抑えた状態で、従来より重い被支持物を支持可能となる磁着支持具を提供できるよう、開発して実現させる。
【解決手段】壁面Wに磁着される磁力手段1と、磁力手段1の下方となる位置にて壁面Wに当接する凭れ部2と、磁力手段1と凭れ部2とに亘って架設される支持部3とを有するとともに、支持部3の側面視形状が、支持部3における磁力手段1を支持する箇所3aと凭れ部2を支持する箇所3bとが上下に非連続となる迂回形状(横向きコ字形状)に設定されている磁着支持具A。支持部3は、磁力手段1を基端に備えて水平突出する上横梁部材3Aと、凭れ部2を基端に備えて水平突出する下横梁部材3Bと、上横梁部材3Aの先端部と下横梁部材3Bの先端部とを連結する縦部材3Cとを有するコ字状に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の側壁、仕切り壁、天井壁などの磁力吸着可能な壁面に好適に使用される磁着支持具、並びにそれを用いた壁面型什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の磁着支持具としては、特許文献1において開示される吊下具や、特許文献2において開示される吊り金具などが知られている。特許文献1の吊下具(1)は、吊り下げ用のフック(4)を設けるベース(2)の裏側にマグネット(3)が収容装備されており、滑り止めシート(5)が貼着されている裏面をマグネット(3)の磁力で壁面(W)に磁着させる構造のものである。
【0003】
特許文献2の吊り金具(8)は、磁石(1)の両側にL字形の鉄板(2),(3)が配され、各鉄板(2),(3)を一体的に繋ぐ橋部(5)を吊下げ用の構造部分とするものである。例えば、その図3にて示されるように、複数の吊り金具(8)を天井壁に磁着させ、生産性や施工性良く、かつ、支持強度十分に配管やダクト(12)を吊下げ支持することが可能である。
【0004】
上述のように便利な磁着支持具であるが故に、その使用範囲の拡大化が望まれている。その代表例は、重量物でも剥がれることなく支えることができる磁着支持具である。たとえば、濡れたコートやスキーウェア一式などの重い衣類の吊下げが可能な壁面磁着型ハンガーとか、壁面に磁着させて使用可能な物置棚や収納容器(磁着型什器)などである。これらが実現できれば、例えば、会場の一部を借りての臨時出店や、期間限定販売業務において、間仕切り壁やドアなどにハンガー、飾り棚、ショウケース等の被支持物を簡単に設営でき、また撤収も簡単に行えるものとなる。つまり、便利で使い易い利点を維持しながら結構な重さの商品も支持可能となり、磁着支持具としての使用範囲が拡大できると考えられる。
【0005】
そのためには、磁着力のより強い磁石を装着するのが手っ取り早い手段であるが、例えば、磁石の個数を2倍や3倍として磁力を2倍、3倍とする手段では、磁石コストも2倍、3倍になってしまい、得策ではない。磁石の大きさを増やす手段でも同様である。また、強力磁石(例:サマリウムコバルト磁石)や超強力磁石(例:ネオジウム磁石)を用いる手段も考えられるが、これらの採用によってコストが飛躍的に高くなってしまい、現実的ではない。従って、従来よりも重いものを支持できる磁着支持具を実現するには更なる工夫が必要とされているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−159683号公報
【特許文献2】特開平8−303651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、極力コストアップを抑えた状態で、従来より重い被支持物を支持可能となる磁着支持具、並びにそれを用いて成る磁着型什器を提供できるよう、開発して実現させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、磁着支持具において、壁面Wに磁着される磁力手段1と、前記磁力手段1の下方となる位置にて前記壁面Wに当接する凭れ部2と、前記磁力手段1と前記凭れ部2とに亘って架設される支持部3とを有するとともに、前記支持部3の側面視形状が、前記支持部3における前記磁力手段1を支持する箇所3aと前記凭れ部2を支持する箇所3bとが上下に非連続となる迂回形状に設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の磁着支持具において、前記支持部3が、前記磁力手段1を基端に備えて横方向に突出する上横梁部材3Aと、前記凭れ部2を基端に備えて横方向に突出する下横梁部材3Bと、前記上横梁部材3Aの先端部と前記下横梁部材3Bの先端部とを連結する縦部材3Cとを有して構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の磁着支持具において、前記支持部3が、前記磁力手段1を基端に備えて横方向に突出する上横梁部材3Aと、前記凭れ部2を基端に備えて横斜め上方に突出して先端部が前記上横梁部材3Aの先端部に連結される斜交い部材3Dとを有して構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁着支持具において、前記凭れ部2が、壁面Wとの当接によって滑り止め作用を発揮可能な弾性材8で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁着支持具において、前記凭れ部2が、壁面Wに磁着される磁力手段1で構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、磁着型什器において、請求項1〜5の何れか一項に記載の磁着支持具Aの複数が横又は縦に並べられるとともに、それら複数の磁着支持具Aに亘って架設される桟部材11を設けて成ることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の磁着型什器において、前記支持部3が矩形形状の断面を有する角型材3Aを有して成り、前記桟部材11には前記角型材3Aに被さって止着される取付部15が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、磁力手段と凭れ部とを上下に非連続として支持部を側面視で迂回形状とするだけのシンプル構造工夫により、支持部として十分な強度や剛性を持って軽量化やコストダウンを可能としながら、壁面から剥がれて落下することない磁着状態を維持しての耐荷重を、磁力手段を変えることなく飛躍的に増大させることが可能となる。その結果、極力コストアップを抑えた状態で、従来より重い被支持物を支持可能となる磁着支持具を提供することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、支持部が側面視でコ字状に形成される状態となるので、上横梁部材や下横梁部材に被支持対象を吊下げたり、引っ掛け支持したりがし易いとともに、縦部材の存在によって強度剛性十分なラーメン構造とすることも可能であり、より強くかつ扱い易い磁着支持具とすることができる利点がある。
【0017】
請求項3の発明によれば、上横梁部材の全部又は一部と斜交い部材とによる三角構造により、材料的に無駄の無い経済的な支持部としながら、請求項1又は2の発明による前記効果を奏することができる利点がある。
【0018】
請求項4の発明のように、弾性材で凭れ部を構築すれば、壁面に対する有効な滑り止め作用が発揮されて磁力手段による磁着維持性能を効率良く得られ、請求項5のように、磁力手段で凭れ部を構築すれば、構造簡単ながらも耐せん断荷重も明確に増大させることが可能となる利点がある。
【0019】
請求項6の発明によれば、前記のように種々の利点を有する磁着支持具の複数と桟部材とにより、壁面などに磁着維持可能な商品棚、展示台、陳列ケースなどの什器、即ち、磁着型什器を得ることができる。この場合、請求項7のように、桟部材をその取付部が支持部を構成する角型材に被さって止着される構造とすれば、桟部材を支持部に位置決めしながら取付けることができる合理構造の磁着型什器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】磁着支持具の側面図(実施例1)
【図2】(a)図1の磁着支持具の平面図、(b)図1の磁着支持具の正面図
【図3】図1の磁着支持具の要部を示し、(a)は磁力手段と支持部との連結部の一部切欠き側面図、(b)は支持部と凭れ部との連結部の一部切欠き側面図
【図4】磁着型棚受を示す一部切欠きの正面図(実施例2)
【図5】図4の磁着型棚受の支持部と桟部材との連結構造の要部を示し、(a)は平面図、(b)は一部切欠きの正面図
【図6】実施例3による磁着支持具を示し、(a)は平面図、(b)は側面図
【図7】(a)実施例4による磁着支持具の左側面図、(a)は実施例5による磁着支持具の右側面図
【図8】概略の力学作用図を示し、(a)は従来の磁着支持具、(b)は本発明の磁着支持具
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明による磁着支持具、並びに磁着型什器の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
〔実施例1〕
実施例1による磁着支持具Aは、図1,図2に示すように、鋼板製等の磁着可能な壁面Wに磁着保持可能なものであって、壁面Wに磁着される磁力手段1と、磁力手段1の下方となる位置にて壁面Wに当接する凭れ部2と、被支持対象を支持すべく磁石1と凭れ部2とに亘って架設される支持部3とを有して構成されている。図1は、仕切り壁等の壁面Wに磁着されている使用状態を示している。
【0023】
磁力手段1は、図1,図2,図3(a)に示すように、矩形の永久磁石4と鉄製の金属板5とを交互に並べてなる大小の磁石部1A,1Bを、プラスチック板材製の基板6の裏面6bに貼着する等の手段によって取付けられて構成されている。大磁石部1Aと小磁石部1Bとの間には明確な隙間が空けられており、その隙間部分の基板6には、表面6aに基端部3aが位置される状態で支持部3がビス7止めされている。なお、図示は省略るが、大小の磁石部1A,1Bにおける複数の金属板5の磁着側面には、壁面Wを傷付けず保護するためのガード布が添着されている。
【0024】
支持部3は、図1,図2に示すように、磁着支持具Aが垂直な壁面Wに磁着される使用状態において、磁力手段1を基端に備えて水平方向(横方向の一例)に突出する上横梁部材3Aと、凭れ部2を基端に備えて水平方向(横方向の一例)に突出する下横梁部材3Bと、上横梁部材3Aの先端部と下横梁部材3Bの先端部とを連結する縦部材3Cとを一体的に有して構成されている。各部材3A,3B,3Cは、いずれも中実角断面を有する金属棒(金属製の角型材)で形成されている。支持部3は、側面視形状が壁面W側に開放されるコ字形状となる形に形成されており、それによって磁力手段1を支持する箇所である上側の基端部3aと凭れ部2を支持する箇所である下側の基端部3bとが上下に非連続となる迂回形状に設定されている。
【0025】
凭れ部2は、図1,図3(b)に示すように、略円筒状のゴムクッション8を、その中央に形成される凹み8a及び貫通孔8bを通すビス10を用いて、下横梁部材3Bの基端面9に取付けることで構成されている。つまり、凭れ部2は、壁面Wとの当接によって滑り止め作用を発揮可能な弾性材(ゴム)で構成されている。
【0026】
このような構成の磁着支持具Aは、その上部が永久磁石4で壁面Wに磁着され、支持部3の迂回形状故に明確に下方に離れた下部はゴムクッション8を介して壁面Wに当接されている。その利点は、上側の基端部3aと下側の基端部3bとを上下に非連続とするだけのシンプル構造でありながら、壁面Wから剥がれて落下することなく支持部3に作用する荷重を飛躍的に増大させることが可能となることである。次に、その理論を説明する。
【0027】
まず、図8(a)に従来の一般的な磁着支持具Aの一例を示し、磁力手段1の上下中央に支持部3が突設される構造である。支持部3の壁面Wからの水平方向の突出量をL、磁力手段1の壁面Wに対する上下の磁着長さの半分をD、磁力手段1による磁着力をFとし、、磁力手段1の下端を壁面Wからの剥がれ支点Pとするモーメントの釣合いより、支持部3の先端に作用する最大荷重M1は、M1=F×D/L…(1)となる。
【0028】
次に、図8(b)に本発明による磁着支持具Aの一例を示す。図1などに示すものと同等であって、側面視でコ字状を呈する支持部3を有し、磁力手段1及び支持部3の壁面Wからの突出量は図8(a)に示すものと同じとし、磁力手段1の上下中央と凭れ部2の当接箇所Pとの上下間距離を3Dとする。この場合、支持部3の先端に作用する最大荷重M2は、M2=F×3D/L…(2)となり、これは上記式(1)によるM1の3倍である。つまり、ハンガーや棚などの支持部3に作用する被支持対象の耐荷重が、従来の3倍に増大している。
【0029】
しかも、側面視で迂回形状となる支持部3は、荷重の作用する先端部側において上下の横梁部材3A,3Bが連結される構造であるから、例えば、側面視でL字形状や本発明とは逆向きのコ字形状を呈するなど、上下の基端部3a,3bが連続する構造の磁着支持具に比べて、支持部としての耐剛性、耐強度が明確に向上するから、支持部3として十分な強度や剛性を持ちながら軽量化やコストダウンが可能になる。支持部3が側面視でコ字状に形成されているので、上横梁部材3Aや下横梁部材3Bに被支持対象を吊下げたり、引っ掛け支持したりがし易いとともに、縦部材3Cの存在によって強度剛性十分なラーメン構造のものに構成されている。
【0030】
ところで、ビス7の操作により、大磁石部1Aと小磁石部1Bとが、図1に示す場合と上下逆さまとなる状態に磁力手段1と支持部3とを構成して、実質的に磁力手段1と凭れ部2との上下間隔を広げ、より耐剥がれ力を向上させた磁着支持具Aとして使うことが可能である。つまり、壁面などの磁着場所の条件や被支持対象の大きさや重さなどの諸条件により、磁力手段1の上下の向きを2種類に対応して使うことが可能である。
【0031】
〔実施例2〕
次に、図1に示す磁着支持具Aを複数用いて成る磁着型什器(壁面磁着型什器)である棚受(磁着型棚受)Bについて説明する。棚受けBは、図4に示すように、磁着支持具Aの2個(複数の一例)が間仕切り12の壁面Wに磁着される状態で横に並べられるとともに、それら左右一対の磁着支持具A,Aそれぞれの支持部3,3に亘って架設される桟部材11を設けて構成されている。例えば、図4に仮想線で示すように、桟部材11と左右の上横梁部材3A,3Aに亘って載置される棚板17を設ければ、棚として使用することができる。なお、図4にて仮想線で示すように、基板6の表面6aの左右中央領域に木目やその他の化粧部分21を設けても良い。
【0032】
桟部材11は、図4,図5に示すように、左右端の長さの短い端角材13,13と左右中央の長い主角材14と、一対の取付金具(取付部の一例)15,15と、一対のエンドプレート16,16とを有して成る長尺状のものに構成されている。即ち、取付金具15は、主角材14の一端に固着される側壁部15aと、端角材13の主角材側端に固着される側壁部15bと、各側壁部15a,15bの上端どうしを繋ぐ頂壁部15cとを備えて、前後方向視で下向き開放のコ字状を呈する板金材で形成されている。端角材13は中実四角断面を有するものであり、主角材14は、中実四角断面を有する端角材13と同様のもの、或いは角パイプ材から成るものでも良い。
【0033】
取付金具15は、図5(a),(b)に示すように、丁度上横梁部材3Aを跨いだ状態で載置されるとともに、上横梁部材3Aの先端部にて下方に凹入形成されている雌ねじ18と、頂壁部15cのテーパー孔20に挿入される皿ビス19とを用いて上横梁部材3Aの先端部に被さって止着されている。エンドプレート16は、端角材13の外側端に皿ビス22を用いて止着されており、その止着状態では、端角材13の上面13aよりエンドプレート16の上端縁16aが若干上方に突出するように設定されている。つまり、支持部3が矩形形状の断面を有する角型材から成り、桟部材11には角型材に嵌合して止着される取付部15が設けられている。
【0034】
主角材14の上面14aと、取付金具15の上面15dと、端角材13の上面13aとは同一高さで面一となる状態に形成されている。また、支持部3としての最大突出端の位置と、桟部材11の壁面W側の反対側となる前端とが合致する状態で、これら一対の磁着支持具A,Aと桟部材11とが一体化されている。左右のエンドプレート16,16は、棚板17などの載置物の移動止め手段(ストッパー)として機能させることが可能である。このように、各取付金具15が、対応する磁着支持具Aの上横梁部材3A先端にビス止めされることで三者A,11,Aが一体化されて壁面Wに磁着支持されることが可能な磁着型什器Bが構成されている。
【0035】
〔実施例3〕
磁着支持具Aは、図6(a),(b)に示すように、磁力手段1を基端に備えて横方向に突出する上横梁部材3Aと、凭れ部2を基端に備えて横斜め上方に突出して先端部が上横梁部材3Aの先端部に連結される斜交い部材3Dとを有して構成されるとともに、凭れ部2が磁力手段1で形成される構造の磁着支持具Aでも良い。磁力手段1は、中実円筒形の磁石4の2個を横並列状態で基板6に止着して成り、それと全く同じものを凭れ部2として採用している。基端が基板6に溶着されている上横梁部材3Aの先端と、基端が斜め傾斜する状態で基板6に溶着されている斜交い部材3Dの先端とは溶着一体化されている。支持部3は、磁力手段1と凭れ部2とが上下に非連続となるように側面視で迂回形状に形成されている。
【0036】
この実施例3の磁着支持具Aは、磁力手段1で凭れ部2としてあるので、剥がれ支点P(図8参照)を中心としての揺動剥がれモーメントは、図1に示す実施例1の磁着支持具Aと同じか微増程度ではある。しかしながら、図6(a)に示すように、支持部3の壁面Wに近い箇所に荷重Qが作用する荷重に対する力、即ち耐せん断荷重については磁力手段1の最大2倍となり、磁力手段1として互いに同じものを用いた場合には図1に示す実施例1の磁着支持具Aのほぼ2倍となる利点がある。つまり、磁力手段1で凭れ部2が兼用されるので部品種類数の増加を抑制しながら、かつ、剥がれ強さ(耐剥がれ力)の強化を図りながら、耐せん断荷重の倍増が可能となる磁着支持具Aが得られている。
【0037】
〔実施例4〕
図7(a)に示す実施例4の磁着支持具Aでも良い。この磁着支持具Aは、ゴムクッション8を用いた凭れ部2と、側面視で図6(b)に示すものと同様な三角形状を呈する支持部3とを有するものである。支持部3は、互いの先端部どうしが相対角度調節可能かつ相対係止されるように枢支連結(枢着)される上横梁部材3Aと、斜交い部材3Dと、を有して構成されている。上横梁部材3Aの基端に磁力手段1が取付けられ、斜交い部材3Dの基端にもゴムクッション8が取付けられている。
【0038】
例えば、一対又は3個以上の磁着支持具Aの上横梁部材3Aに亘る棚板17を載置し、上横梁部材3Aにおける壁面Wから遠い箇所と近い箇所とで棚板17をビス止めするなどして止着すれば、壁面磁着型什器(壁面棚)Bとして使用することが可能である。
【0039】
〔実施例5〕
図7(b)に示す実施例5の磁着支持具Aでも良い。この磁着支持具Aは、互いに先端部が連結された下横梁部材3Bと斜交い部材3Dとを有して構成され、側面視で下拡がりの三角形を呈する支持部3とされた以外は、図7(a)に示す実施例4のものと同じである。例えば、一対又は3個以上の磁着支持具Aの下横梁部材3Bに亘る棚板17を載置し、下横梁部材3Bにおける壁面Wから遠い箇所と近い箇所とで棚板17をビス止め止着すれば、壁面磁着型什器(壁面棚)Bとして使用することが可能である。
【0040】
〔別実施例〕
磁着支持具Aの一対又は3個以上を上下に並べ、各支持部3のサイドに位置して上下に延びる金網板や多孔ボードなどの桟部材を、各支持部3に止着して成る縦形の磁着型什器(図示省略)を構成することも可能である。磁力手段1として、電磁石などの永久磁石以外のものを用いることが可能であり、凭れ部2として、ゴム以外の弾性材や合成樹脂、或いは粘性材料などを用いることが可能である。実施例3における凭れ部2は、その上側の磁力手段1とは異なる要素(形状、大きさ、磁力など)を持つなどの他の磁力手段1を有して構成されるものでも良い。
【0041】
図4に示す磁着型什器Bにおいて、各支持部3,3に亘ってビス止めされる桟部材11を2個以上設けて、それら複数の桟部材11に商品、飾り、展示物などの被支持対象が直接に載置支持できるようにして、棚板17を省略可能としたものも可能である。また、上側とな磁力手段1が左右や上下に複数備えるとか、凭れ部2が左右や上下に複数備えられた磁着支持具Aも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 磁力手段
2 凭れ部
3 支持部
3A 上横梁部材、角型材
3B 下横梁部材
3C 縦部材
3D 斜交い部材
3a 磁力手段を支持する箇所
3b 凭れ部を支持する箇所
8 弾性材
11 桟部材
15 取付部
A 磁着支持具
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に磁着される磁力手段と、前記磁力手段の下方となる位置にて前記壁面に当接する凭れ部と、前記磁力手段と前記凭れ部とに亘って架設される支持部とを有するとともに、前記支持部の側面視形状が、前記支持部における前記磁力手段を支持する箇所と前記凭れ部を支持する箇所とが上下に非連続となる迂回形状に設定されている磁着支持具。
【請求項2】
前記支持部が、前記磁力手段を基端に備えて横方向に突出する上横梁部材と、前記凭れ部を基端に備えて横方向に突出する下横梁部材と、前記上横梁部材の先端部と前記下横梁部材の先端部とを連結する縦部材とを有して構成されている請求項1に記載の磁着支持具。
【請求項3】
前記支持部が、前記磁力手段を基端に備えて横方向に突出する上横梁部材と、前記凭れ部を基端に備えて横斜め上方に突出して先端部が前記上横梁部材の先端部に連結される斜交い部材とを有して構成されている請求項1に記載の磁着支持具。
【請求項4】
前記凭れ部が、壁面との当接によって滑り止め作用を発揮可能な弾性材で構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の磁着支持具。
【請求項5】
前記凭れ部が、壁面に磁着される磁力手段で構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の磁着支持具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の磁着支持具の複数が横又は縦に並べられるとともに、それら複数の磁着支持具に亘って架設される桟部材を設けて成る磁着型什器。
【請求項7】
前記支持部が矩形形状の断面を有する角型材を有して成り、前記桟部材には前記角型材に被さって止着される取付部が設けられている請求項6に記載の磁着型什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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