説明

磁石健康装着具

【課題】簡易な構成により身体の多様な使用箇所に自在に対応でき、装着者に金属アレルギを生じさせない磁石健康装着具を提供する。
【解決手段】磁石健康装着具1は、円柱状の磁性体4a,4bの長手方向の一方の側面を陽極9に磁化し、円柱状の磁性体4a,4bの長手方向の他方の側面を陰極8に磁化した複数の磁石ユニット5を帯状に並列させ、相互の磁力のみにより所定の長さに連結させた連結磁石2と、布を縫い合わせて連結磁石2の挿入及び抜取りが可能な、長さ方向に連続して閉断面を形成する磁石収納布袋3と、から構成され、連結磁石2を磁石収納布袋3に挿入して身体の一部に巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石健康装着具に係り、特に、永久磁石を環状に連結させて身体の一部に巻付け、磁石により生じた磁界を利用して装着者の健康を補助する磁石健康装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石が身体の健康補助作用を発揮し、肩凝り、頭痛、腰痛、眼の疲れといった症状を改善することが知られている。これは、永久磁石により生じる磁界の作用で筋肉内の血行を促進して筋肉の凝りをほぐすことよる。この永久磁石の健康補助作用を利用した様々な装身具やブレスレットなどの腕輪及び足輪が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、装身具およびその装飾物体のコーティング方法が開示されている。ここでは、装身具が、ニッケルチタン超弾性合金製の芯線または透明ウレタンゴム製の芯線に、ポリイミド樹脂を含む塗料でコーティングした磁石ビーズを取付け、接触留め具を用いずに一重の略円環状となることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ブレスレット・リングが開示されている。ここでは、C字形状に湾曲させた板状のリングの内側面の所要箇所に、磁石などの磁極/つぼ刺激部材を固定し、リングの弾性あるいは塑性変形でリング直径を自在に変更できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−275724号公報
【特許文献2】登録実用新案第3014867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁石を身体の一部に接触させると装着者に金属アレルギが発生する虞がある。そこで、磁石をシリコンゴムにより覆う、或いは塗装など施すといった技術が提案されている。また、磁石を身体の一部に環状に巻き付けるには、磁石のユニットを相互に接続しなければならない。さらに、身体の一部に巻き付けるには、環の長さを調節しなければならない。
【0007】
永久磁石を環状にして身体の一部に巻き付けるには、上述した3つの課題を解決しなければならず、その装置としての磁石健康装着具は複雑な機構となってしまうという問題がある。すなわち、シリコンゴムにより覆われた永久磁石を相互に接続しなければならないが、環の長さを可変にするには、シリコンゴムなどに覆われた永久磁石を相互に着脱自在に接続しなければならない。
【0008】
本願の目的は、かかる課題を解決し、簡易な構成により身体の多様な使用箇所に自在に対応でき、装着者に金属アレルギを生じさせない磁石健康装着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る磁石健康装着具は、円柱状の磁性体の長手方向の一方の側面を陽極に磁化し、円柱状の磁性体の長手方向の他方の側面を陰極に磁化した複数の磁石ユニットを帯状に並列させ、相互の磁力のみにより所定の長さに連結させた連結磁石と、布を縫い合わせて連結磁石の挿入及び抜取りが可能な、長さ方向に連続して閉断面を形成する磁石収納布袋と、から構成され、連結磁石を磁石収納布袋に挿入して身体の一部に巻き付けることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、磁石健康装着具は、磁石収納布袋を介して身体に接触するため、装着者に金属アレルギの発生を生じさせない磁石健康装着具を提供することができる。また、磁石ユニットが相互に引き付け合う磁力のみにより連結磁石を構成して磁石収納布に収納されるために簡易な接続となる。さらに、磁石ユニットについてその個数を準備することで任意の長さに自在に連結させことができる。従って、例えば腕周り、首周り、腰周り、背中周りなど長さの異なる身体の部分に合わせた長さのバリエーションを用意することで身体の多様な使用箇所に自在に対応できる。
【0011】
また、磁石健康装着具は、連結磁石が、その全長を越える長さを有する磁石収納布袋に収納され、連結磁石の両端部に設けられた磁石収納布袋の余長同士を結ぶことで身体の一部に環状に巻き付けることが好ましい。これにより、磁石収納布袋の両端の余長を活用して簡易に連結することができる。
【0012】
また、磁石健康装着具は、連結磁石が収納された複数の磁石収納布袋をそれぞれの磁石収納布袋の余長同士を結ぶことで一組の磁石健康装着具を構成し、身体の一部に巻き付けることが好ましい。これにより、複数の磁石健康装着具を相互に結び合わせて1組の磁石健康装着具とし、例えば背中周り、腰周りなどに対して簡易に巻き付けることができる。
【0013】
さらに、磁石健康装着具は,連結磁石が、磁石収納布袋に挿入され、両端部の磁石ユニット同士を相互の磁力のみにより連結させて身体の一部に環状に巻き付けることが好ましい。これにより、連結磁石は、磁石収納布袋を介して身体に接触するため、装着者に金属アレルギを発生させない。また、両端部の磁石ユニット同士を相互の磁力のみにより連結させることから、連結方法が簡易となり、腕周りなどの筋肉の動きが少ない身体の使用箇所に自在に対応することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る磁石健康装着具によれば、簡易な構成により身体の多様な使用箇所に自在に対応でき、装着者に金属アレルギを生じさせない磁石健康装着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る磁石健康装着具の1つの実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】身体の一部に取り付けた磁石健康装着具の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を用いて本発明に係る磁石健康装着具の実施形態につき、詳細に説明する。
【0017】
図1に、磁石健康装着具1の1つの実施形態の概略構成を斜視図で示す。図1(a)は連結磁石2を示し、図1(b)は、連結磁石2が磁石収納布袋3に納まった状態の磁石健康装着具1を示し、図1(c)は、磁性体4a,4bからなる一組の磁石ユニット5を示す。磁石健康装着具1は、連結磁石2と磁石収納布袋3とから構成される。
【0018】
連結磁石2は、図1(c)に示すように円柱状の磁性体4a,4bの長手方向の一方の側面を陽極9に磁化し、円柱状の磁性体4a,4bの長手方向の他方の側面を陰極8に磁化した複数の磁石ユニット5を帯状に並列させる。これにより、隣接する磁性体4a,4bの陽極9と陰極8が引付け合い磁石ユニット5が相互の磁力のみにより連結される。また、磁性体4a,4bにより磁界が発生する。
【0019】
本実施形態では、磁性体4はネオジウム磁石を用いるが、これに限らず一般的に磁力を発生させるものであれば良い。ネオジウム磁石は、ネオジウム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)の一種であり、永久磁石としては最も強力な磁石である。このネオジウム磁石は錆びやすいため、本実施形態ではニッケル鍍金をして使用する。
【0020】
このネオジウム磁石からなる磁性体4を円柱状に加工して上述した磁化を行い磁石ユニット5とし、後述する所定の環長になるように磁石ユニット5を連結させて連結磁石2とする。この連結磁石2の各磁石ユニット5同士は手に力を入れて引離さなければならないほど強固に連結される。すなわち、図3(c)に示すように、隣接する磁石ユニット5同士は、相互に引き付け合う磁力により、相互に引離す方向(X)、及び磁石ユニット5を相互にずらす方向(Y)の2方向に抵抗する。また、図1(a)に示す最縁部の磁石ユニット5a,5bを相互に接近させると、磁石ユニット5a,5b相互の陽極9と陰極8とにより強力に引き付けあう力が発生する。このネオジウム磁石からなる磁性体4は、上述した磁力により直接身体に接触させると装着者に金属アレルギを生じさせる虞がある。
【0021】
本実施形態では、磁性体4は円柱状であるが、正方形、長方形などの多角形の断面を有する角柱であっても良い。また、磁性体4は球形、或いは円盤状であっても良い。しかし、円柱であることにより磁性体4同士はほぼ線接触することで身体の一部の曲線の曲率に自在に対応して相互の角度を持つことができる。正方形、長方形などの多角形の断面の場合には、磁性体4同士の接触面が大きくなり相互の連結力は増大するが、身体の一部の曲線の曲率に対する対応には限界が生じる。そのため、曲率半径の大きな身体の一部、例えば後述する背中横装着具などに適している。一方、球形や円盤状の場合には、磁性体4同士の接触面が小さくなり相互の連結力は減少するが、身体の一部の曲線の曲率に対しては柔軟に対応できる。そのため、曲率半径の小さな身体の一部、例えば後述する腕装着具などに適している。
【0022】
磁石収納布袋3は布製であり、連結磁石2の挿入及び抜取りが可能なように、また、長さ方向に連続して閉断面を形成するように縫い合わされる。本実施形態では、連結磁石2は、その全長を越える長さを有する磁石収納布袋3に収納される。これにより、磁石収納布袋3は、図1(b)に示すように、連結磁石2が収納される収納部6、及び収納部6の両端に余長部7を設けることができる。この連結磁石2の両端部に設けられた磁石収納布袋3の余長部7同士を結ぶことで、容易に身体の一部に環状に巻き付けることができる。
【0023】
連結磁石2を磁石収納布袋3に収納させることで、磁石を身体の一部に接触させることで装着者に発生する虞のある金属アレルギを回避することができる。また、連結磁石2の各磁石ユニット5同士は手に力を入れて引離さなければならないほど強固に連結されるが、身体の一部にそのまま巻きつけられた連結磁石2は、筋肉の瞬間的な動作により相互に離間する場合がある。しかし、連結磁石2を磁石収納布袋3に収納させることで、磁石収納布袋3に収納された連結磁石2には筋肉の動作の影響が直接伝達されない。従って、身体のあらゆる場所に適用できる。また、磁石収納布袋3を吸湿性の高い素材からなる布とすることで、装着者の汗を吸収させることができる。また、磁石収納布袋3に絹素材などのファッション性の高い素材を用いることで、おしゃれのアイテムとすることができる。
【0024】
図2に、装着者12の身体の一部11に巻き付けた磁石健康装着具1の実施例を示す。例えば、首装着具10a、肩装着具10b、背中横装着具10c、背中縦装着具10d、腰装着具10e、手首装着具10f、膝装着具10g、肘装着具10h、足首装着具10jなどを示す。しかし、本磁石健康装着具1は、これらの適用例には限らず、身体のあらゆる部位に適用可能である。
【0025】
首装着具10aは、首回りの筋肉のこりをほぐす効果があるほか、風邪やジンマシンのどのツボがありそれらのツボを刺激する効果がある。また、磁石収納布袋3の素材やデザインを凝らすことでネッカチーフとして着用することができる。また、肩装着具10bは、の筋肉のこりをほぐすほか、五十肩などにも効果がある。また、背中横装着具10cは、背中の筋肉のこりをほぐすほか、肺や心臓などの機能を補助する効果がある。また、背中縦装着具10dは、背筋の筋肉のこりをほぐすほか、胃、肝臓、腎臓、胆臓などの働きを補助する効果がある。また、腰装着具10eは、腰周りの筋肉のこりをほぐすほか、大腸や小腸の働きを補助する効果がある。手首装着具10fは、手首回りの筋肉のこりをほぐす効果があるほか、運動時などの腕の汗止めにも使用できる。膝装着具10gは、膝の関節周りの筋肉のこりをほぐすほか、膝の関節を保護する効果がある。また、肘装着具10hは、肘の関節周りの筋肉のこりをほぐすほか、肘の関節を保護する効果がある。されに、足首装着具10jは、足首回りの筋肉のこりをほぐすほか、足首の関節を保護する効果がある。
【0026】
また、肩装着具10b及び背中横装着具10cのように、連結磁石2が収納された複数の磁石収納布袋3をそれぞれの磁石収納布袋3の余長部7同士を結ぶことで一組の磁石健康装着具1を構成し、身体の一部11に巻き付けることができる。すなわち、磁石収納布袋3の余長部7同士を結ぶことで、1つの磁石収納布袋3では巻き付けない身体の一部11にも組合せにより容易に巻き付けることができる。
【0027】
他の実施形態として、磁石収納布袋3に挿入された連結磁石2のうち図1(a)に示す最縁部の磁石ユニット5a,5bを相互に接触させ、両端部の磁石ユニット5a,5b同士を相互の磁力のみにより連結させて身体の一部に環状に巻き付けても良い。これは、例えば、首装着具10a、手首装着具10fなどのように、輪の長さが短く筋肉の動きが少ない部位では有効であり、簡易な連結方法となる。
【符号の説明】
【0028】
1 磁石健康装着具、2 連結磁石、3 磁石収納布袋、4,4a,4b 磁性体、5,5a,5b 磁石ユニット、6 収納部、7 余長部、8 陰極、9 陽極、10a 首装着具、10b 肩装着具、10c 背中横装着具、10d 背中縦装着具、10e 腰装着具、10f 手首装着具、10g 膝装着具、10h 肘装着具、10j 足首装着具、11 身体の一部、12 装着者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の磁性体の長手方向の一方の側面を陽極に磁化し、円柱状の磁性体の長手方向の他方の側面を陰極に磁化した複数の磁石ユニットを帯状に並列させ、相互の磁力のみにより所定の長さに連結させた連結磁石と、
布を縫い合わせて連結磁石の挿入及び抜取りが可能な、長さ方向に連続して閉断面を形成する磁石収納布袋と、から構成され、
連結磁石を磁石収納布袋に挿入して身体の一部に巻き付けることを特徴とする磁石健康装着具。
【請求項2】
請求項1に記載の磁石健康装着具であって、連結磁石は、その全長を越える長さを有する磁石収納布袋に収納され、連結磁石の両端部に設けられた磁石収納布袋の余長同士を結ぶことで身体の一部に環状に巻き付けることを特徴とする磁石健康装着具。
【請求項3】
請求項2に記載の磁石健康装着具であって、連結磁石が収納された複数の磁石収納布袋をそれぞれの磁石収納布袋の余長同士を結ぶことで一組の磁石健康装着具を構成し、身体の一部に巻き付けることを特徴とする磁石健康装着具。
【請求項4】
請求項1に記載の磁石健康装着具であって、連結磁石は、磁石収納布袋に挿入され、両端部の磁石ユニット同士を相互の磁力のみにより連結させて身体の一部に環状に巻き付けることを特徴とする磁石健康装着具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の磁石健康装着具であって、磁性体は、ネオジウム磁石であることを特徴とする磁石健康装着具。

【図1】
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【図2】
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