説明

秤量機能を有する切り出し計数装置

【課題】 錠剤などの被計数物の正確な所定数の切り出しを可能とする切り出し計数装置を提供する。
【解決手段】 錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパの排出部3aに連結されて、回転しながら被計数物を切り出す少なくとも一つの秤量用切り出し筒4と、この秤量用切り出し筒4を回転させる回転手段5と、秤量用切り出し筒から排出された被計数物を受ける受け部材6と、被計数物を秤量する秤量器7と、受け部材の排出口6aに設けられた開閉蓋8と、この開閉蓋を開閉動作させる開閉手段9と、ホッパの排出部に連結されて、被計数物を切り出す少なくとも一つの計数用切り出し筒24と、計数用切り出し筒から排出された被計数物を計数する計数用センサ16と、計数用切り出し筒の排出側の端部4dに被計数物を個別に収納する溝24caを有し円筒形で回転可能に設けられた計数アダプタ24cとを備える秤量機能を有する計数装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤などの粒体からなる被計数物を秤量および計量して投入する秤量機能を有する切り出し計数装置に関し、特に、被計数物を秤量して切り出す秤量用切り出し筒と、被計数物を計数して切り出す計数用切り出し筒とを各々少なくとも一つを組み合わせて用いることによって、個片形状の錠剤の正確な所定数の切り出しを可能とし、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の切り出し計数装置として、例えば、微粒や粉状のかやくを袋に収納するなど計量して小袋に袋詰めする切り出し秤量装置を用いて、錠剤などの小粒の粒体の秤量値を1個当たりの重さを用いて所定数だけ小袋に袋詰めする切り出し計数装置がある。以下にその計数を行わせる切り出し秤量装置を説明する。
図6は、従来の切り出し秤量装置の概略を示す正面断面図である。
図6に示すように、切り出し秤量装置110は、被秤量物111を収納するホッパ112と、このホッパ112の排出部112aに連結されて、被秤量物111を切り出す下方傾斜した適度な長さの切り出し筒113と、この切り出し筒113を回転させる回転手段(モータ回転機構)115と、排出口116aに開閉蓋117が設けられて、切り出し筒113から投下された被秤量物111を受ける受け部材116と、この受け部材116が受けた被秤量物111を秤量する秤量器118と、受け部材116に設けられた開閉蓋117を開閉する開閉手段(ソレノイド)119とを備えている。
なお、ここでいう被秤量物111とは、ホッパ112内から切り出し可能な粉粒体、片状体、小塊状体などをいう。
【0003】
また、この切り出し秤量装置110は、ホッパ112の排出部112aと切り出し筒113との間に、被秤量物111の切り出し調整可能な筒状のアタッチメント141を着脱可能に設けるように構成されている。このアタッチメント141は、内部流路の内径を異ならせて被秤量物111の切り出し調整をするものである。
このアタッチメント141には、ホッパ112側の端部に被秤量物111の切り出し突起141aが設けられ、また、ホッパ112側の排出部112aに被秤量物111の切り出し螺旋体141dが設けられている。
【0004】
これによってホッパ112の排出部112aから排出された被秤量物111は、回転手段115により回転している下方傾斜した切り出し筒113から、連続的に切り出されて受け部材116内に投下され、秤量器118により秤量され、所定重量に達したら開閉手段119により受け部材116の開閉蓋116aを開いて、秤量された被秤量物111を排出するので、正確な所定量の切り出しができて、被秤量物111の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。ここで、特に回転する下方傾斜した適度な長さの切り出し筒113内を被秤量物111が徐々に流れるので、被秤量物111の均一化が行なわれ、切り出し筒113の下端から定量排出が行なわれる。また、切り出し量の調整は、切り出し筒113の回転速度及び/又は傾斜を変えることによって可能である。
【0005】
また、ホッパ112の排出部112aと切り出し筒113との間に着脱可能なアタッチメント141を装着するので、ホッパ内の被秤量物を切り出し筒113内へ導入する切り出し調整が、被秤量物111の大きさや形状などの品種に応じてできる。
【0006】
さらに、ホッパ112の排出部112aから排出された流動性の良い被秤量物(例えば胡麻)111は、アタッチメント141を通過する際に、その内径が異なる(有効通過断面積が異なる)内部流路を通過して流量調整されるので、粒径の小さな被秤量物111の流量調整が容易にできる。
【0007】
そして、切り出し筒113と共にアタッチメント141が回転すると、その切り出し突起141aが、例えばホッパ112の排出部112a付近にある固まった被秤量物111を掻き崩すので、切り出しにおいて、被秤量物111がホッパ112の排出部112a付近で詰まり難い。
【0008】
また、切り出し筒113と共にアタッチメント141が回転すると、その切り出し螺旋体141dが所定方向へ回転するが、切り出し螺旋体141dの曲がり方向と同一方向に回転する場合には、ホッパ112の排出部112a付近にある被秤量物111の切り出し筒113側への流入を促進し、また切り出し螺旋体141dの曲がり方向と反対方向に回転する場合には、ホッパ112の排出部112a付近の被秤量物111の切り出し筒113側への流入を抑制し、被秤量物111の品種に合わせて、その回転方向を正逆選択することにより、被秤量物111の切り出し調整の幅が広がる。このようにホッパ112内の被秤量物111を、軸芯aが下方傾斜した切り出し筒113を、回転手段130により回転させながら、徐々に受け部材116に投下し、それを秤量器118により秤量するようにしたので、正確な所定量の切り出しができて、被秤量物111の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
特に、ホッパ112の排出部112aに着脱可能に装着されたアタッチメント141により、ホッパ112内の被秤量物111を切り出し筒113内へ導入する切り出し調整が、被秤量物111の大きさや形状などの品種に応じて簡単にできる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2649335号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、微粒や粉状のかやくを袋に収納するなど計量して小袋に袋詰めする切り出し秤量装置を用いて、錠剤などの小粒の粒体を計量して所定量を小袋に袋詰めて所定数の錠剤の計数に兼用した場合に一個でも計数を間違うと再工事をしなければならず余分な工数が発生する可能性があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、錠剤などの粒体からなる被計数物を秤量および計量して投入する秤量機能を有する切り出し計数装置に関し、特に、被計数物を秤量して切り出す秤量用切り出し筒と、被計数物を計数して切り出す計数用切り出し筒とを各々少なくとも一つを組み合わせて用いることによって、個片形状の錠剤の正確な所定数の切り出しを可能とし、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明の秤量機能を有する切り出し計数装置1は、錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパ3の排出部3aに連結されて、回転しながら前記計数物2を切り出す少なくとも一つの秤量用切り出し筒4と、この秤量用切り出し筒4を回転させる回転手段5と、前記秤量用切り出し筒4から排出された前記被計数物2を受ける受け部材6と、この受け部材6が受けた被計数物2を秤量する秤量器7と、この受け部材6の排出口6aに設けられた開閉蓋8と、この開閉蓋8を開閉動作させる開閉手段9と、前記ホッパ3の排出部3aに連結されて、前記被計数物2を切り出す少なくとも一つの計数用切り出し筒24と、この計数用切り出し筒24を回転させる前記回転手段5と、前記計数用切り出し筒24から排出された前記被計数物2を計数する計数用センサ16と、前記計数用切り出し筒24の排出側の端部4dに被計数物2を個別に収納する溝24caを有し円筒形で回転可能に設けられた計数アダプタ24cと、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記秤量用切り出し筒4及び前記計数用切り出し筒24に設けられた外筒4a、4aと、この外筒4a、4aに着脱自在に外嵌された内筒4b、4bと、前記内筒4b、4bのホッパ3側の端部4ba、4baに形成され、前記外筒4a、4aのホッパ3側の端部4aa、4aaに当接させたフランジ4bb、4bbと、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記外筒4aの周囲に外嵌して固定された第1の歯車10と、前記回転手段5の回転軸5aに固定された第2の歯車11とが咬合するように配設され、前記第2の歯車11に接続された回転駆動力が前記第1の歯車10に伝達されて、前記外筒4a及び前記内筒4bを回転させることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記秤量用切り出し筒4を5つ、前記計数用切り出し筒24を2つ並列に設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記計数アダプタ24cは、前記計数切り出し筒24の排出側の端部4dに挿入可能な円筒形で形成され、前記円筒形の内側には前記円筒中心軸方向に沿って複数の溝24caが設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記計数アダプタ24cは、円筒形の基部24gと、前記基部24gからこの基部24gの円筒中心軸方向に沿って等間隔に設けられた複数の突起24fと、前記基部24g及び前記突起24fの外周の少なくとも一部を囲う囲い部24eと、を備え、隣接する2つの前記突起24fと、前記囲い部24eとの間に溝24caが形成されることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記溝24caは前記円筒軸中心に対して放射状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記溝(24ca)は等間隔に設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置1であって、前記溝24caは隣接する2個の羽状の突起24cbで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、被計数物を秤量する秤量用切り出し筒と被計数物を計数する計数用切り出し筒とを備え、例えば被計数物の所定数の95%の重量を切り分けて個数に換算し、残りの所定数の錠剤などの粒体からなる被計数物を切り出す計数用切り出し筒の排出側の端部に計数アダプタを設けることによって、錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、秤量用切り出し筒及び計数用切り出し筒に設けられた外筒と、この外筒に着脱自在に外嵌された内筒と、この内筒のホッパ側の端部に形成され、外筒のホッパ側の端部に当接させたフランジとを備え、内筒のフランジを外筒に当接させるだけで、内筒と外筒の組込みが容易に再現されることによって、食料品を扱う上で衛生的な切り出し装置においては、装置を毎日頻繁に清掃する必要があるが、内筒と外筒とを着脱可能に嵌挿することによって、かやく類が流動する部品を取り外して洗浄するのに都合の良い構造とすることができ、内筒が簡単に取り外され、かやく類が切り出される内面の洗浄を容易にした衛生的な秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、外筒の周囲に外嵌して固定された第1の歯車と、回転手段の回転軸に固定された第2の歯車とが咬合するように配設されることによって、かやく類が流動する部品を取り外して洗浄するのに都合の良い構造とすることができ、内筒が簡単に取り外され、かやく類が切り出される内面の洗浄を容易にした衛生的な秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、例えば、秤量用切り出し筒を5つ、計数用切り出し筒を2つ並列に設けたことによって、5個の切り出し筒から排出された被計数物を所定数未満に相当する重量をそれぞれのロードセルで測定し、残りの所定数を計数用切り出し筒で合わせ正確な所定数を切り出すことを可能とする。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、計数アダプタを計数切り出し筒の排出側の端部に挿入可能な円筒形で形成し、円筒形の内側には円筒中心軸方向に沿って複数の溝を設けることによって、粒体が溝にきちんと収まり正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、計数アダプタは、円筒形の基部と、基部からこの基部の円筒中心軸方向に沿って等間隔に設けられた複数の突起と、基部及び突起の外周の少なくとも一部を囲う囲い部とを備え、隣接する2つの突起と囲い部との間に溝が形成されることによって、溝が粒体の形状に合った形状に形成され、被計数物である錠剤などの粒体が溝にきちんと収まり一個づつ確実にかつ高速に正確な所定数の切り出しを可能とし、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、溝を円筒軸中心に対して放射状に形成することによって、一個づつ確実にかつ高速に正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、溝を等間隔に設けることによって、均一なスピードで錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、溝を計数アダプタの円筒形内面に隣接する2個の羽状の突起で形成することによって、正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る秤量機能を有する切り出し計数装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を説明するための秤量機能を有する切り出し計数装置の正面図である。図2は、図1に示すA矢視図であり、本発明の実施形態に係る秤量機能を有する切り出し計数装置の側面図である。図3は、図2に示すB―B線の断面を示し、本発明の実施形態に係る秤量用切り出し筒およびその周辺を示す正面図である。図4は、図2に示すC―C線の断面を示し、本発明の実施形態に係る計数用切り出し筒およびその周辺を示す正面図である。図5は、本発明の実施形態に係る計数アダプタを示し、図5の(a)は正面図、図5の(b)は(a)に示すE矢視図、図5の(c)は計数アダプタの斜視図である。
【0031】
図1に示すように、秤量機能を有する切り出し計数装置1は、錠剤などの粒体からなる被計数物2を収納するホッパ3と、このホッパ3の排出部3aに連結されて、被計数物2を切り出す秤量用切り出し筒4および計数用切り出し筒24とを備え、回転しながら計数物2を切り出す少なくとも一つの秤量用切り出し筒4と、この秤量用切り出し筒4を回転させる回転手段5と、秤量用切り出し筒4から排出された被計数物2を受ける受け部材6と、この受け部材6が受けた被計数物2を秤量するロードセルからなる秤量器7と、この受け部材6の排出口6aに設けられた開閉蓋8と、この開閉蓋8を開閉動作させる開閉手段9と、ホッパ3の排出部3aに連結されて、被計数物2を切り出す少なくとも一つの計数用切り出し筒24と、この計数用切り出し筒24を回転させる回転手段5と、計数用切り出し筒24から排出された被計数物2を計数する計数用センサ16と、計数用切り出し筒24の排出側の端部4dに被計数物2を個別に収納する溝24caを有し円筒形で回転可能に設けられた計数アダプタ24cと、計数用切り出し筒24から排出された被計数物2を受ける受け部材6とを備えている。
【0032】
図2に示すように、本実施の形態の秤量機能を有する切り出し計数装置1は、例えば、被計数物2を切り出す秤量用切り出し筒4を5つ、計数用切り出し筒24を2つ並列に設けている。この構成は被計数物2の形状や大きさなどいろんな条件次第で適宜いろんな組み合わせを構成することができる。秤量用切り出し筒4を1つ、計数用切り出し筒24を1つを備えた装置であっても構わないし、多連にしてその中で最適な構成を組み合わせるようにしても構わない。また、互いに隣接する切り出し筒4、4…、24、24…の回転方向は反対方向に設定しているが、同一方向に回転させても構わない。
【0033】
図3に示すように、図2に示すB―B線の断面を示しており、秤量用切り出し筒4は、小径管(パイプ)で構成されている。この小径管の秤量用切り出し筒4は、外筒4a、4a…と、この外筒4a、4a…に着脱自在に外嵌された内筒4b、4b…で構成されている。この内筒4b、4b…のホッパ3側の端部4baには、外筒4aのホッパ3側の端部4aaに当接させたフランジ4bbを備えている。
【0034】
また、秤量用切り出し筒4は、ホッパ3の下部の排出部3aに、横方向に一定間隔をあけて連結されて、被計数物を切り出す、複数個の秤量用切り出し筒4、4…4と、装置の架台12に取り付けられて、秤量用切り出し筒4を回転させる回転手段の一例である複数個のモータ回転機構5と、それぞれの排出口6a、6a…6aに開閉蓋8が設けられて、秤量用切り出し筒4から投下された被計数物を受ける略二等辺三角形の箱体である複数個の受け部材6、6…6と、受け部材6が受けた被計数物を秤量する秤量器7の一例である複数個のロードセル7、7…7と、開閉蓋8の開閉手段9の一例である複数個のソレノイドとを備えている。
【0035】
そしてホッパ3の排出部3aから排出された被計数物2は、回転手段5により回転している秤量用切り出し筒4から、連続的に切り出されて受け部材6内に投下され、ロードセルからなる秤量器7により秤量される。受け部材6の被計量物2が所定重量に達したら、電動の開閉手段9により受け部材6の開閉蓋8を開いて、秤量された被計数物2を排出するので、正確な所定量の切り出しができて、被計数物2の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。ここで、特に、回転駆動される秤量用切り出し筒4内を、被計数物2が徐々に流れるので、被計数物2の均一化が図られ、秤量用切り出し筒4の下端から定量排出が行なわれる。また、切り出し量の調整は、切り出し筒4の回転速度を変えることによって可能である。
【0036】
このような秤量用切り出し筒4は、例えば、5個並列に設けており、それぞれ水平ラインに対して0〜10°、好ましくは2〜5°前後ほど軸芯bが下方傾斜した円筒形の筒体である。ただし、秤量用切り出し筒4の傾斜角は、これらの数値に限定されるものではない。なお、この秤量用切り出し筒4の長さは少なくとも内径の3〜5倍程度となっている。秤量用切り出し筒4は、秤量用切り出し筒4の外筒4aの両端部がリング状のベアリングに嵌挿された状態で架台12上に回転可能に配置され、この切り出し筒4の上部にそれぞれの秤量用切り出し筒4、4…4に対応した個数分のモータ回転機構5、5…5が配置されている。また、外筒4aの周囲に外嵌して固定された第1の歯車(平歯車)10と、回転手段5の回転軸5aに固定された第2の歯車(平歯車)11とが咬合するように配設され、第2の歯車11に接続された回転駆動力が第1の歯車10に伝達されて、外筒4a及び内筒4bを回転させる。架台12は支柱13と支柱14に支持されている。支柱13と架台12とは、軸12aによって回動可能に設けられている。また支柱14には、支柱14の長さを調節することが可能なように高さ調節構造14aが設けられている。支柱14と架台12とは、架台12が軸12aを支点にして上下するように軸12bが架台12の軸穴12bを摺動可能に設けられている。なお、高さ調整構造12cはローレット切りのナットを回転させることで支柱14を上下させるが、電動機で回転させて自動調整させても構わない。これらの機構は、後記する計数切り出し筒24にも適用している。
【0037】
このように、外筒の周囲に外嵌して固定された第1の歯車と、回転手段の回転軸に固定された第2の歯車とが咬合するように配設されることによって、内筒が簡単に取り外され、内筒のフランジを外筒に当接させるだけで、内筒と外筒との組み込みが容易に再現されることによって、食料品を扱う上で衛生的な切り出し装置においては、装置を毎日頻繁に清掃する必要があるが、内筒と外筒とを着脱可能に嵌挿することによって、被計数物が流動する部品を取り外して洗浄するのに都合の良い構造とすることができ、内筒が簡単に取り外され、被計量物が切り出される内面の洗浄を容易にした衛生的な秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。内筒4bは、摩擦係数の小さいジュラコンで形成されている。
【0038】
このように、被計数物を秤量する秤量用切り出し筒と被計数物を計数する計数用切り出し筒とを備え、例えば被計数物の所定数の95%の重量を切り分けて個数に換算し、残りの所定数の錠剤などの粒体からなる被計数物を切り出す計数用切り出し筒を用いて計数して、錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる秤量機能を有する切り出し計数装置を提供することができる。
【0039】
図4及び図5の(a)(b)(c)に示すように、計数アダプタ24cは、円筒形の基部24gと、基部24gから基部24gの円筒中心軸方向に沿って等間隔に設けられた複数の突起24fと、基部24g及び突起24fの外周の少なくとも一部を囲う囲い部24eとを備え、隣接する2つの突起24fと、囲い部24eとの間に溝24caが形成される。すなわち、計数アダプタ24cは、計数用切り出し筒24の排出側の端部4dに挿入可能な円筒形に形成され、円筒形の内側には円筒中心軸方向に沿って複数の溝24caが設けられている。溝24caは粒体の形状に合った形状に形成されている。また、溝24caは円筒軸中心に対して放射状に形成されている。また、溝24caは等間隔に設けられている。また、溝24caの数は6箇所としたが、用途次第で適宜増減可能である。
【0040】
このように、錠剤などの粒体からなる被計数物2を切り出す計数用切り出し筒4の排出側の端部4dに計数アダプタ24cを設けることによって、被計数物である錠剤などの粒体が溝24caにきちんと収まる。また、溝24caを円筒軸中心に対して放射状および等間隔に設けたことによって、均一なスピードで錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しができる。また、溝24caは隣接する2個の羽状の突起24fで形成されている。つまり、隣接する2個の羽(突起)24f、24fに囲まれた空間とその周囲を被っている囲い部24eによってコの字形の溝24caが形成されることになる。このように、計数アダプタ24cの円筒形内面に沿って隣接する2個の羽状の突起24f、24fを設けることによって6か所に溝24caが形成され、錠剤などの粒体2、2…2を一個づつ個別に切り出し続けることができる。
【0041】
また、計数アダプタ24cの円筒形の外周に、計数アダプタ24cが回転摺動可能に溝24caの外側を覆う囲い部24eが設けられ、この囲い部24eには開口部24eaが設けられている。この開口部24eaは計数アダプタ24cが最下点から60〜100度の角度を回転した位置に開口されている。なお、囲い部24eは円筒形でも良いし、被計数物2を排出するまでの一部の溝24caだけを囲う曲面を備えた板であっても構わない。なお、60〜100度の角度は、計数アダプタから錠剤が排出され易いように適宜微調整可能であり、60〜100度の角度の前後に及んでも構わない。
【0042】
開口部24eaから出た位置に計数用センサ16が設けられている。この計数用センサ24eaは光透過型センサを採用しているが、落下する粒体の個数を計数出来るものであればこれに限定するものではなく、反射式センサでも、アクチュエータ式であっても構わない。これによって、円筒形の回転の最下点に来た溝24caの中に錠剤などの被計数物2が収まり、この収まった被計数物2が最下点から60度の角度付近に上がって来たとき、遠心力と重力によって、開口部24eaからこぼれるように受け部材6側へ飛び出す。落下している錠剤などの被計数物2が計数用センサ16を遮ることによって、個数が計数される。受け部材6に所定の個数が収納されると開閉蓋8aが開き、所定の数の錠剤が小袋に収納される。
【0043】
また、図5の(c)に示すように、計数アダプタ24cの内面の溝24caは、基部24gから突き出た羽状の複数の突起24fで構成されている。このように、計数アダプタの内面に複数の突起24fを設けることによって溝24caが形成される。
計数アダプタ24cは、樹脂や金属で形成されているが、本願発明では特にジュラコンで形成した例で説明している。これによれば、計数アダプタをジュラコンで形成することによって、錠剤などの粒体を滑らかに所定数の切り出しができ、被計数物の過剰または過少切り出しによるコスト高や不良品処置の手間などを解消できる。
【0044】
従来の計数装置は、平面状ドラム式が用いられ、大型化する傾向にあったが、本願発明の計数装置は、小径管(パイプ)を用いて計数を可能とした本分野では画期的な計数装置である。
【0045】
続いて、本発明の実施形態に係る秤量機能を有する切り出し計数装置の動作を説明する。図1〜図5に示すように、排出部3aへ送り込まれた被計数物2は、この排出部3aから切り出し筒4へ移送される。切り出し筒4は、約5°下方傾斜して、回転手段(モータ)5により周方向に1.5rpsの速度で、ほとんど振動なく回転させており、被計数物は、この切り出し筒4を通過中に均されて、その排出口から連続的に一定量ずつ受け部材6内へ投下される。かき棒4cは切り出し筒4の内面4baに付着した被計数物があればそれをかき取るように切り出し筒4の内面に沿って切り出し筒4の上部に設けられている。受け部材6は、ロードセル7上に当接しており、予め設定された所定量だけ受け部材6内に被計数物が溜まったら、それをロードセル7が検出し、制御装置(図略)により、切り出し筒4から受け部材6への被計数物の投下を止めて、ソレノイド9によって開閉蓋8が開蓋される。これにより、計量済みの被計数物は、受け部材6の排出口6aから、シュート15を介して、袋詰め装置(図略)に送られる。次いで、切り出し筒4の開閉蓋8を閉め、以下、これまでの秤量操作を繰り返す。
【0046】
また、計数用切り出し筒24では、この計数用切り出し筒24の排出側の端部4dに設けられた計数アダプタ24cに送られてきた被計数物2は、その計数アダプタ24cの円筒形の最下点にある溝24caに落し込まれ、計数アダプタ24cの回転と共に溝24caに位置決めされて上昇して行く。計数アダプタ24cの最下点から60〜100度回転した位置に設けられた、囲み部24eによって囲まれていない開口部24eaから、被計数物2が計数アダプタ24cの外部に放り出され下方へ落下する。このとき計数用センサ16が被計数物2の通過を検出して排出された被計数物2の計数を積算して、予め設定された所定数だけ受け部材6内に被計数物が溜まったときに、制御装置(図略)により、計数用切り出し筒24から受け部材6への被計数物2の投下を止めて、ソレノイドを利用した開閉装置9によって開閉蓋8が開蓋される。これにより、計数済みの被計数物は、受け部材6から、シュート15を介して、袋詰め装置(図略)に送られる。次いで、開閉蓋8を閉め、以下、これまでの計数操作を繰り返す。
【0047】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、ホッパの形状や切り出し筒の形状など、実施例のものに限定されない。被計数物として錠剤を採用したが、食品、お菓子などの固形物などであっても構わないし、ホッパ内から切り出し可能な粒体、片状体、小塊状体などであっても構わない。計数アダプタの形状は、その用途や取り扱う被計数物に応じて、適宜選択しても良い。さらにまた、実施例では、秤量器としてロードセルを採用したが、これに限定しなくても、その他どのような秤量器でも構わない。そして、受け部材や開閉蓋の形状や開閉手段の構造などは、実施例のものに限定しなくても、その用途や取り扱う被計数物に応じて、適宜選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態を説明するための秤量機能を有する切り出し計数装置の正面図である。
【図2】図1に示すA矢視図を示し、本発明の実施形態に係る秤量機能を有する切り出し計数装置の側面図である。
【図3】図2に示すB―B線の断面を示し、本発明の実施形態に係る秤量用切り出し筒およびその周辺を示す正面図である。
【図4】図2に示すC―C線の断面を示し、本発明の実施形態に係る計数用切り出し筒およびその周辺を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る計数アダプタを示し、(a)は正面図、(b)は(a)に示すE矢視図、(c)は計数アダプタの斜視図である。
【図6】従来の実施形態を切り出し秤量装置の正面図である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
錠剤などの粒体の正確な所定数の切り出しを可能とし、切り出し筒の排出側先端に計数アダプタを設けることによって、正確な所定数の切り出しを容易にする計数装置など切り出し計数装置に適用される。
【符号の説明】
【0050】
1 秤量機能を有する切り出し計数装置
2 被計数物
3 ホッパ
4 秤量用切り出し筒
4a 外筒
4aa 端部
4b 内筒
4bb フランジ
4c かき棒
4d 端部
5 回転手段、モータ
6 受け部材
7 秤量器、ロードセル
8 開閉蓋
9 開閉手段、ソレノイド
10 第1の歯車
11 第2の歯車
12 架台
13 支柱
14 支柱
14c 高さ調整構造
15 シュート
16 計数用センサ
24 計数用切り出し筒
24c 計数アダプタ
24ca 溝
24e 囲い部
24ea 開口部
24f 突起、羽
24g 基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤などの粒体からなる被計数物(2)を収納するホッパ(3)と、このホッパ(3)の排出部(3a)に連結されて、回転しながら前記被計数物(2)を切り出す少なくとも一つの秤量用切り出し筒(4)と、この秤量用切り出し筒(4)を回転させる回転手段(5)と、前記秤量用切り出し筒(4)から排出された前記被計数物(2)を受ける受け部材(6)と、この受け部材(6)が受けた被計数物(2)を秤量する秤量器(7)と、この受け部材(6)の排出口(6a)に設けられた開閉蓋(8)と、この開閉蓋(8)を開閉動作させる開閉手段(9)と、
前記ホッパ(3)の排出部(3a)に連結されて、前記被計数物(2)を切り出す少なくとも一つの計数用切り出し筒(24)と、この計数用切り出し筒(24)を回転させる前記回転手段(5)と、前記計数用切り出し筒(24)から排出された前記被計数物(2)を計数する計数用センサ(16)と、
前記計数用切り出し筒(24)の排出側の端部(4d)に被計数物(2)を個別に収納する溝(24ca)を有し円筒形で回転可能に設けられた計数アダプタ(24c)と、を備えることを特徴とする秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項2】
前記秤量用切り出し筒(4)及び前記計数用切り出し筒(24)に設けられた外筒(4a、4a)と、この外筒(4a、4a)に着脱自在に外嵌された内筒(4b、4b)と、
前記内筒(4b、4b)のホッパ(3)側の端部(4ba、4ba)に形成され、前記外筒(4a、4a)のホッパ(3)側の端部(4aa、4aa)に当接させたフランジ(4bb、4bb)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項3】
前記外筒(4a)の周囲に外嵌して固定された第1の歯車(10)と、前記回転手段(5)の回転軸(5a)に固定された第2の歯車(11)とが咬合するように配設され、前記第2の歯車(11)に接続された回転駆動力が前記第1の歯車(10)に伝達されて、前記外筒(4a)及び前記内筒(4b)を回転させることを特徴とする請求項2に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項4】
前記秤量用切り出し筒(4)を5つ、前記計数用切り出し筒(24)を2つ並列に設けたことを特徴とする請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項5】
前記計数アダプタ(24c)は、前記計数切り出し筒(24)の排出側の端部(4d)に挿入可能な円筒形で形成され、前記円筒形の内側には前記円筒中心軸方向に沿って複数の溝(24ca)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項6】
前記計数アダプタ(24c)は、円筒形の基部(24g)と、前記基部(24g)から前記基部(24g)の円筒中心軸方向に沿って等間隔に設けられた複数の突起(24f)と、前記基部(24g)及び前記突起(24f)の外周の少なくとも一部を囲う囲い部(24e)と、を備え、
隣接する2つの前記突起(24f)と、前記囲い部(24e)との間に溝(24ca)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項7】
前記溝(24ca)は前記円筒軸中心に対して放射状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項8】
前記溝(24ca)は等間隔に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。
【請求項9】
前記溝(24ca)は隣接する2個の羽状の突起(24cb)で形成されることを特徴とする請求項5に記載の秤量機能を有する切り出し計数装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−65611(P2011−65611A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218209(P2009−218209)
【出願日】平成21年9月19日(2009.9.19)
【出願人】(599093225)株式会社プラスワンテクノ (13)