説明

移動体端末用プラットフォーム・システム

【課題】無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供する。
【解決手段】プラットフォーム・システムは、インタフェース・コンポーネントの少なくとも1つのインタフェースを介して、移動体端末プラットフォーム・アセンブリにロードされ、インストールされ、実行されたアプリケーション・ソフトウエアを備えている。移動体端末プラットフォーム・アセンブリは、ユニットして製造され、ユーザに譲渡され、該ユーザは移動体端末プラットフォーム・アセンブリにアプリケーション・ソフトウエアをロードし、インストールし、実行してプラットフォーム・システムを用意する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線通信に関し、より詳細には、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2002年2月15日出願の米国特許予備出願第60/357366号、2002年2月15日出願の米国予備特許出願第60/357291号、2002年9月23日出願の米国予備特許出願第60/412756号、2002年9月23日出願の米国予備特許出願第60/412763号、及び2002年9月23日出願の米国予備特許出願第60/412875号の優先権を主張するものである。
【0003】
1980年代にセルラ通信システムが最初に導入されてから、システムで使用される移動体端末(移動局)はますます複雑になってきている。最初は、移動体端末は主に音声の電話サービスを提供するため、すなわち、音声通信の受信及び送信のために設計された。後年、音声の電話呼のユーザデータには関連のないユーザデータを転送する能力も備えた移動体端末が開発された。そのようなユーザデータは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)を介して開始されたダイヤルアップ・ネットワーク接続によって転送されるべきデータを含んでいる。
【0004】
現在、将来のセルラ通信システムのために、いわゆる「第3世代」(3G)システムが開発されている。3Gシステムは、高速インターネット・アクセスを従来の音声通信と組み合せ、音声通信に加えて、インターネットのブラウジング、音声/動画のストリーミング、位置決め、ビデオ会議及び他の多くの可能性への手段をユーザに提供するであろう。
【0005】
第3世代のパートナーシップ・プロジェクト(3GPP)は、世界中で開発されているいくつかの3Gシステム間の互換性を保証するために設立された。音声、データ及びマルチメディアを世界のあらゆるところに配信できる地上及び衛星システムを含む3Gシステムを提供するために、世界規模の移動体通信サービス(UMTS)が3GPPにより開発されている。
【0006】
3GPPの標準化によってセルラ通信システムに含まれている機能は急激に増加し、システムで使用される端末の開発者に実質的な要求として課せられている。この要求は、移動体端末がサイズ、メモリ及びパワーが制限された「資源の乏しい」環境であるという事実により一層困難なものとなっている。
【0007】
従来より、移動体端末の製造者は、彼等の市場の要求の認識に基づいて、端末の基本的動作に必要な全てのハードウエア及びソフトウエア、並びに製造者又は特定のユーザが望む機能及び能力を提供するのに必要なハードウエア及びソフトウエアを含む、実質的に完成した移動体端末システムを、設計し、製造し、市場に出してきた。そのような手法は、市場の要求の急速な変化に素早く適応する柔軟性、あるいは多数のユーザの多様な要求を満たす柔軟性を提供することはできない。
【0008】
従って、各ユーザについて移動体端末を再設計することを必要とせずに、多数のユーザが標準化されたアプリケーションを実行するのを可能とする、3G及び他の無線通信システムの移動体端末用のシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、各ユーザについて移動体端末を再設計することを必要とせずに、多数のユーザが標準化されたアプリケーションを実行するのを可能とすべく一貫した環境を提供する、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供するものである。
【0010】
本発明による無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムは、移動体端末プラットフォーム・アセンブリを備えており、該移動体端末プラットフォーム・アセンブリは、複数の機能的ソフトウエア・ユニットを有するソフトウエア・サービス・コンポーネント、複数の機能的ソフトウエア・ユニットと関連しており、かつそれらによって制御される複数のハードウエア・ユニットを有するハードウエア・コンポーネント、及び移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する少なくとも1つのインタフェースを有するインタフェース・コンポーネントを含んでおり、上記プラットフォーム・システムは更に、インタフェース・コンポーネントの少なくとも1つのインタフェースを介して、移動体端末プラットフォーム・アセンブリにロードされ、インストールされ、実行されたアプリケーション・ソフトウエアを備えている(本明細書において使用される「ロード」という用語は、例えば、インターネットからのダウンロードやハードウエア・チップの実装を含む、アプリケーション・ソフトウエアがインタフェースを介して移動体端末プラットフォーム・アセンブリのソフトウエアと組み合わされ得るあらゆる仕組みを含むように意図している)。
【0011】
本発明では、複数の機能的に相補的なソフトウエア及びハードウエアのユニットを、ソフトウエアへのアクセスを提供するインタフェース・コンポーネントを含むアセンブリ内で組み合せることによって、複数のユーザに販売され得る移動体端末プラットフォーム・アセンブリを提供することができると認識している(本明細書で使用する「ユーザ」という用語は、製造者、エンドユーザ、又は他の顧客やユーザを含む)。そしてユーザは、移動体端末のプラットフォーム・システムを完成させるために、彼等自身のアプリケーション・ソフトウエアをアセンブリ内にロードし、インストールし、実行することができる。本発明によれば、移動体端末プラットフォーム・アセンブリとアプリケーション・ソフトウエアとは別個に開発され、プラットフォーム・システムを完成させるために、後で組み合わされてもよい。
本発明のその他の利点及び特定の詳細事項は、添付の図面と共に以下に記載する詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の代表的実施形態による、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムの概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の別の代表的実施形態による、図1のプラットフォーム・システムの移動体端末プラットフォーム・アセンブリの概略を示す展開ブロック図である。
【図3】本発明の別の代表的実施形態による、図1及び図2の移動体端末プラットフォーム・アセンブリのソフトウエア・アーキテクチャの概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の別の代表的実施形態による、図1及び図2の移動体端末プラットフォーム・アセンブリに組み込まれ得るセキュリティ・メカニズムの概略を示すブロック図である。
【図5】本発明の別の代表的実施形態による、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供する方法のステップを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の代表的実施形態による、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムの概略を示すブロック図である。全体を参照番号10で示すプラットフォーム・システムは、移動体端末プラットフォーム・アセンブり12と、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ内にロードされ、インストールされ、実行された1つ以上のアプリケーション(すなわち、アプリケーション・ソフトウエア)14を含んでいる。プラットフォーム・システム10は、全体を破線16で示す移動体端末に組み込まれるように構成されている。
【0014】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、ソフトウエア・サービス・コンポーネント22、ハードウエア・コンポーネント24及びインタフェース・コンポーネント26を含んでいる。
【0015】
ソフトウエア・サービス・コンポーネント22は、インタフェース・コンポーネント26を介してユーザに提供されるサービスを供与する、複数のよく構成された機能的ソフトウエアユニットを含んでいる。図1に示した代表的な実施形態では、複数のソフトウエアユニットは、UMTSアクセスサービス・ソフトウエア・スタック30と、データ通信サービス・ソフトウエア・スタック32と、MMI(マン−マシン・インタフェース)サービス・ソフトウエア・スタック34と、アプリケーション・プラットフォーム・サービス・ソフトウエア・スタック36と、運用及びサービス・ソフトウエア・スタック38を含む、複数の縦(垂直)方向の機能的スタックを備えている。
【0016】
ハードウエア・コンポーネント24は、機能的ソフトウエア・スタックそれぞれに関連しており、かつそれらによって制御されるハードウエアユニットのセットを備えている。図1に示された代表的実施形態では、ハードウエアユニットは、UMTSアクセスサービス・ハードウエア40と、データ通信サービス・ハードウエア42と、MMIサービス・ハードウエア44と、アプリケーション・プラットフォーム・サービス・ハードウエア46と、運用及びサービス・ハードウエア48とを含んでいる。
【0017】
インタフェース・コンポーネント26は好ましくは、特定のユーザ・アプリケーションの開発のためのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)オプションを少なくとも1つ含む、ミドルウエア・サービス・レイヤを備えている。これらのAPIは、標準化された(非ネイティブの)インタフェース、事実上の標準インタフェース及び/又はオープン・ネイティブ・インタフェースを含んでいてもよい。例えば、標準化されたインタフェースは、MDIP/CLDC(移動体情報機器プロファイル/接続制限された機器の構成:Mobile Information Device Profile/Connected Limited Device Configuration)に従った、J2ME(JAVA(登録商標)2 Micro Edition)環境を含んでいるであろう。以下で記載するように、ミドルウエア・サービス・レイヤは、1つ以上のインタフェースを介して、アセンブリがユーザ・アプリケーションから分離されるようにも働く。
【0018】
プラットフォーム・システム10の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、アプリケーション・ソフトウエア14(本明細書で使用される「アプリケーション・ソフトウエア」という用語は、ユーザが利用できることを望む可能性がある機能を提供するあらゆるソフトウエアであってよい)から分離させ、完成されまとまったユニットとして、設計され、実現され(アセンブルされ)テストされる。従ってユーザは、彼等自身のアプリケーション・ソフトウエアを開発すること、そうでなければ取得することができ、プラットフォーム・システム10を完成させるために、後でそのシフトウエアを移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12に追加することができる。そのため本発明によれば、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、販売されるかそうでなければ複数の様々なユーザに譲渡され得、その各ユーザは、彼等自身のプラットフォーム・システムに対する特定の要件を満足させるべく、彼等自身のアプリケーション・ソフトウエアをアセンブリにロードし、インストールし、実行することによってプラットフォーム・システム10を完成させることができる。
【0019】
ソフトウエア・サービス・コンポーネント22のソフトウエア・スタック30−38及びそれらに関連するハードウエア・ユニット40−48は、機能及びインタフェースが明確に定義された管理可能な構成要素(ソフトウエア・モジュール及びハードウエア・ブロック)内に構成された機能的スタックを画定する。移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12のユーザは、機能的スタック内部の詳細に関心を持たなくてもよいが、所望のアプリケーション・ソフトウエアを設計するのに必要な機能を得るために、ミドルウエア・サービス・レイヤ26を介してスタックにアクセスすることができる。
【0020】
図2は、本発明の代表的実施形態による、図1の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12を展開した状態を概略的に示すブロック図である。しかしながら、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、多くの様々な方法で設計され、所望するあらゆる機能を提供する所望の数の機能ユニットを含んでもよく、図示した実施形態に本発明を制限することを意図したものではないことは、はっきりと理解されたい。
【0021】
図2に示されたように、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、メインCPU50内で実行されているソフトウエアによって制御される。メインCPU50は、マイクロプロセッサ、マイクロプログラミングプロセッサ、又はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)のようなプロセッサを1つ以上含んでいてもよい。MMIソフトウエア・サービス・スタック34用のDSPが52で示されている。ソフトウエア・コンポーネント22のソフトウエア・スタック30〜38のそれぞれは、各スタックに関連したハードウエアを動作させるために、ハードウエア駆動ソフトウエア60〜68を含んでいる。図2に示されたように、機能的ソフトウエア・スタックによって制御されるハードウエア・ユニットの代表例は、受信器、送信器、パワー及び周波数コントローラ、GSM送受信器、ブルートゥース・モジュール、様々な通信及びマン−マシン・ペリフェラル、パワー管理及びSIMインタフェース、メモリ及びセキュリティ・ハードウエアを含んでいる。
【0022】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12に組み込まれているソフトウエアは、好ましくはソフトウエアの構成が分かりやすくなるような方法で配置される。このような可能性は、複雑なソフトウエア・システムを開発あるいは改訂するときに特に重要である。図3は、本発明の好適な実施形態による、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12のソフトウエア・アーキテクチャの概略を示すブロック図である。
【0023】
図3に示されているように、ソフトウエア・サービス・コンポーネント22は、上記で説明したように、複数の縦の、機能的ソフトウエア・スタックに組織化されているのに加え、ミドルウエア・サービス・レイヤ26のソフトウエアとソフトウエア・サービス・コンポーネント22のソフトウエアとが共に、全体が参照番号70で示される階層化アーキテクチャを画定するように複数の横(水平)のレイヤを画定するようにも配置されており、階層化アーキテクチャ70において、高いレベルのサービス・レイヤから低いレベルのサービス・レイヤに降順でレイヤが配置されている。
【0024】
本発明の代表的実施形態によるソフトウエア・アーキテクチャは、縦に区切られた複数のソフトウエア・レイヤを補完する横に区切られた複数の機能的ソフトウエア・ユニットを含む点で、ISO/OSI(ISO開放型システム間相互接続)標準モデルと異なっている。横方向の区切りは、独立したモジュール型(サービス)コンポーネントの生成に大きく寄与している。
【0025】
階層化アーキテクチャの最も高いレベルのレイヤは、ミドルウエア・サービス・レイヤ26であり、該レイヤは、上記で示したように、1つ以上のインタフェースを移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12に提供し、またプラットフォーム・アセンブリをそれを使用するアプリケーションから分離させる。ミドルウエア・サービス・レイヤ26も、アプリケーションに他の環境的サービスを提供する。ソフトウエア・サービス・コンポーネント22のレイヤは、アプリケーション・サービスを提供するアプリケーション・サーバ・レイヤ80と、プラットフォームに特有のアプリケーションのサービスを提供するプラットフォーム・サービス・レイヤ82と、セッション・プロトコル及びアプリケーション特有のプロトコルを提供するプラットフォーム・プロトコル・レイヤ84と、音声アクセス/制御、データ通信転送プロトコル、メッセージ転送プロトコルなどを提供するトランスポート・レイヤ86と、外部データIFアクセス、構造化記憶サービス及び他のローレベル・プラットフォーム・サポート・サービスを提供するデータ・アクセス・レイヤ88と、論理ドライバ・レイヤ90と、ハードウエアの依存性をまとめる物理ドライバ・レイヤ92とを含んでいる。加えて、ソフトウエア・サービス・コンポーネント22は、プラットフォーム・アセンブリによって要求される汎用的サービスを提供する、基本システムサービス・レイヤ94を含んでいる。
【0026】
下側の2つのレイヤ90及び92は、ソフトウエアとハードウエアとの間の依存性を分離させるハードウエア・アブストラクション・レイヤ(HAL)を構成する。物理ドライバ・レイヤだけがハードウエアの詳細事項(すなわち、ASICハードウエアのどのレジスタが割り当てられるか)と関連している。論理ドライバ・レイヤ90は、ハードウエアについての論理マッピングを提供する。すなわち、このレイヤは、移動体端末プラットフォーム・アセンブリのハードウエア及びソフトウエアの部品間のブリッジを提供する。
【0027】
ソフトウエア自体は、例えば、モジュール102、104,106などの複数のソフトウエア・モジュールに組織化される。ソフトウエア・サービス・コンポーネント22において、単一のモジュールは、1つの縦方向の機能的スタック内にだけあり、そのスタック内の1つの横方向レイヤにだけ存在し得る。各レイヤは1つから多数のモジュールを含んでいてもよく、特定のスタック内の特定のレイヤ内の全てのモジュールは、抽象化(abstraction)レベルが同じである。様々なモジュール間の通信は、ソフトウエアのモジュールからモジュールへのアクセスについての基本的規則のセットに従う、ソフトウエア・バックプレーン(SwBP)112によって達成される。これらの規則の概略は以下の通りである。
【0028】
−ソフトウエア・モジュールは、自身のレイヤの下側の全レイヤインタフェースの中の機能を呼び出してもよい。
−チャネル・イベントやデータストリームの方向についての制限は無い。それらはあらゆる方向に行ける。
−ソフトウエア・モジュールは、モジュールが属するレイヤとは無関係に、自身のレイヤの上側のレイヤインタフェースの中の(SwBPの中の)機能を呼び出すことは決してない。
−ソフトウエア・モジュールは、同じ縦方向スタック内の自身のレイヤの中のレイヤインタフェースの中の機能を呼び出してもよい。
−ソフトウエア・モジュールは、別の縦方向スタック内の同じレイヤ内のソフトウエア・モジュールの機能を呼び出してもよい(この能力は、縦方向スタック内のレイヤの数を制限するために許可される)。
【0029】
様々なモジュールとSwBP内のインタフェースとの間には強い結合は無い。その結果、モジュール及び/又はインタフェースの実現を、インタフェースのクライアントに影響を与えることなく自由に変更できる。これによりプラットフォーム・アセンブリ内の他のモジュールに影響を与えずに、個々のモジュールの追加、削除又は変更が可能となるので、これは重要な能力である。
【0030】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリ内でのモジュール間の内部通信を可能とするSwBPソフトウエアの構造を含む、階層化アーキテクチャの更なる特定の特徴及び詳細事項は、譲渡人が同じで本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人文書番号53807−00023USPT]号に記載されており、該出願の内容を参照により本明細書に組み込む。
【0031】
ミドルウエア・サービス・レイヤ26は、アプリケーションの開発のためのある範囲の様々なアプリケーション環境を提供しサポートする。各アプリケーション環境はそれ自体の特性を有し、以下に応じて定義される。
【0032】
−アプリケーションが開発される方法(プログラミング言語のサポート、コンパイル及びリンク)。
−アプリケーションが実行される方法(例えば、インタープリタあるいはネイティブ・コードの実行)。
−提供される機能サービス。
−使用の際の考えられる制限。
【0033】
多数のアプリケーション環境の代替を提供することで、コスト、使用の容易さ、販売時期、機能セット、サイズ、携帯性などの要求が異なる幅広い製品への対応が容易となる。図3に示したように、ミドルウエア・レイヤによって提供されるそのような環境は、Java(登録商標)実行環境ドメイン、オープン・アプリケーション・フレームワーク(OAF)ドメイン及びオープン・プラットフォームAPI(OPA)ドメインを含み得る。
【0034】
上記で示したように、ミドルウエア・サービス・レイヤ26は、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12をまとめた状態とし(カプセル化)、ミドルウエア・サービス・レイヤによって提供されるインタフェースを介して、プラットフォーム・アセンブリをアプリケーション14から分離させるようにも働く。
【0035】
ミドルウエア・サービス・レイヤの更なる特徴及び詳細事項は、譲渡人が同じで本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人文書番号53807−00024USPT]号に記載されており、該出願を参照により本明細書に組み込む。
【0036】
本発明のプラットフォーム・システムの重要な特徴は、コスト及びサイズが制限された装置の開発に要求されるサービスの構成を可能とするという意味で、拡張可能であることである。移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12によって提供されるサービスは、プラットフォーム・アセンブリの内部構造及びデータのタイプには依存しない。従って、機能が変更されない限り、アプリケーションはプラットフォーム・アセンブリ内部の変更には影響を受けない。これは既存のアプリケーションに影響を与えずに、プラットフォーム・アセンブリが修正やその他の理由で更新、改良されるのを可能とする。
【0037】
上記で説明したように、UMTSは移動体端末が従来の音声通信に加え様々なアプリケーションで利用されるのを可能とするであろう。これらのアプリケーションのいくつか、例えば、電子決済、ギャンブル、発券及び/又は法人アクセス・サービスは、有効なセキュリティ・メカニズムを必要とするであろう。現在の移動体端末アプリケーションのセキュリティ・メカニズムは、PC市場での手法を厳密に追従しており、セキュリティ・ソフトウエアはアプリケーションと縦に統合される。ソフトウエアの縦の統合は、特に、移動体端末がセキュリティ・メカニズムを必要とする様々な複数のアプリケーションをサポートしなければならないときには、ソフトウエアの縦の統合は様々なアプリケーションでのセキュリティ機能の重複及び端末の資源の浪費となるので、資源が乏しい移動体端末や他の装置には適切でない。
【0038】
本発明の別の代表的実施形態によれば、プラットフォーム・システム10の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12は、そのような能力を必要とするアプリケーションを保護するためのセキュリティ・メカニズムを更に備えており、また該メカニズムは同時に、計算能力、電池寿命及びメモリに関する要件を減少させるために、様々なアプリケーションのできるだけ多くで共通に使用する機能を共有する。
【0039】
本発明の代表的実施形態によるセキュリティ・メカニズムは、移動体端末プラットフォーム・アセンブリ12の階層化されたモジュール型の設計原理を、PKCS#11のような汎用暗号化APIの能力と組み合せる。実現されたアーキテクチャは、取り外し可能な及び取り外しできない(固定して組み込みされた)スマートカードあるいはマルチメディアカード(例えば、MMCやSDカード)と、統合されたセキュリティ・メカニズムとをまとめる(一体化する)のを容易にする。
【0040】
図4は、本発明の別の代表的実施形態による、プラットフォーム・システムの移動体端末プラットフォーム・アセンブリに組み込まれ得るセキュリティ・メカニズム120の概略を示すブロック図である。図4に示した実施形態では、プラットフォーム・システムは3つの顧客用決済アプリケーション122、124、126を含んでおり、1つはブラウザとその環境を使用し、1つはJava(登録商標)アプリケーションとして実装され、1つはネイティブな(デバイス動作環境について)アプリケーションとして含まれている。図4はまた、機能的ソフトウエア・コンポーネントとハードウエア・コンポーネントの両方を含む、機能的スタック128を示している。詳細には、ハードウエアは、暗号化サービスのために、取り外し可能なスマートカード130及び132、組み込みスマートカード134及び特別な組み込み型暗号化ハードウエア136の形態で、取り外し可能な及び固定されたハードウエアを含んでいる。
【0041】
図4にも示されているように、セキュリティ・メカニズム120は、図3を参照して説明した、それぞれが1つ以上のソフトウエア・モジュールを含む複数のレイヤ140−152にソフトウエアが配置された、階層化、モジュール型機能の手法を用いて実現される。階層化され、モジュール型の機能的ソフトウエア・アーキテクチャは、機能は一度だけ実現されればよいので、初期の設計及びテストの間だけでなく設計の実現の間にも開発コストを減少させる。その上、ソフトウエアのメモリコストが減少され、例えば、暗号化ハードウエア・アクセラレータの追加により、アプリケーション・ソフトウエアに影響を与えずに装置(コスト)の相違を実現することができる。
【0042】
図5は、本発明の別の代表的実施形態による、無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供する方法のステップを概略的に示すフローチャートである。この方法は全体が参照番号150で示され、ソフトウエア・サービス・コンポーネント、ハードウエア・コンポーネント及びインタフェース・コンポーネントを含む、移動体端末プラットフォーム・アセンブリを組み立てるステップで始まる(ステップ152)。プラットフォーム・アセンブリが十分に組み立てられた後、プラットフォーム・アセンブリを完成させるために該アセンブリにアプリケーション・ソフトウエアが追加される(ステップ156)。アプリケーション・ソフトウエアは、プラットフォーム・アセンブリがユーザに販売あるいは譲渡された(ステップ154)後に、顧客又は他のユーザによって追加され得る。
【0043】
以上説明したのは本発明の代表的な実施形態を構成するものであるが、本発明はその範囲から逸脱せずに様々な方法で変更することができることに留意されたい。例えば、本発明を主に第3世代のセルラ通信システムで使用されるものとして記載したが、本発明は第2世代及び他のセルラ通信システム、及び例えば、ブルートゥース・システムなどの他の無線通信システムでも使用できる。本発明は様々な方法で変更できるので、本発明は特許請求の範囲で規定される程度にだけ限定されるべきであると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリであって、複数の機能的ソフトウエア・ユニットを有するソフトウエア・サービス・コンポーネント、前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットと関連しており、かつそれらによって制御される複数のハードウエア・ユニットを有するハードウエア・コンポーネント、及び前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する少なくとも1つのインタフェースを有するインタフェース・コンポーネントを含む、移動体端末プラットフォーム・アセンブリと、
前記インタフェース・コンポーネントの前記少なくとも1つのインタフェースを介して前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリにロードされ、インストールされ、実行されたアプリケーション・ソフトウエアと、を備えることを特徴とする無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システム。
【請求項2】
前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットが、複数の縦方向の機能的スタックを備えることを特徴とする請求項1に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項3】
前記複数の縦方向の機能的スタックのそれぞれが更に、前記ハードウエア・コンポーネントの関連するハードウエアを含むことを特徴とする請求項2に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項4】
前記インタフェース・コンポーネントが、前記アプリケーション・ソフトウエアに前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する前記少なくとも1つのインタフェースを含む、ミドルウエア・サービス・レイヤを備えることを特徴とする請求項1に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項5】
前記ミドルウエア・サービス・レイヤが更に、前記少なくとも1つのインタフェースを介して前記アプリケーション・ソフトウエアを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリから分離させることを特徴とする請求項4に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項6】
前記ソフトウエア・サービス・コンポーネントのソフトウエアが、高いレベルのサービス・レイヤから低いレベルのサービス・レイヤへの順に配置された複数の横方向レイヤにも組織化されていることを特徴とする請求項2に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項7】
前記ソフトウエア・サービス・コンポーネントのソフトウエアが更に、複数のソフトウエア・モジュールに組織化されていることを特徴とする請求項6に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項8】
前記複数の機能的ソフトウエア・スタックの少なくとも1つが、アプリケーションにセキュリティ機能を提供するセキュリティ・メカニズムを備えることを特徴とする請求項6に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項9】
前記無線通信システムが、セルラ通信システムを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項10】
前記セルラ通信システムが、第3世代のセルラ通信システムを含むことを特徴とする請求項9に記載のプラットフォーム・システム。
【請求項11】
無線通信システム用のプラットフォーム・システムの移動体端末プラットフォーム・アセンブリであって、
複数の機能的ソフトウエア・ユニットを有するソフトウエア・サービス・コンポーネントと、
前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットに関連しており、かつそれらによって制御される複数のハードウエア・ユニットを有するハードウエア・コンポーネントと、
少なくとも1つのアプリケーションを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリにロードし、インストールし、実行させるために、前記少なくとも1つのアプリケーションに前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する、少なくとも1つのインタフェースを有するインタフェース・コンポーネントと、を備えることを特徴とする移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットが、複数の縦方向の機能的スタックを含むことを特徴とする請求項11に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項13】
前記複数の縦方向の機能的スタックのそれぞれが更に、前記ハードウエア・コンポーネントの関連するハードウエアを含むことを特徴とする請求項12に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアプリケーションに前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する前記少なくとも1つのインタフェースを含むと共に、前記少なくとも1つのインタフェースを介したのを除いて、前記少なくとも1つのアプリケーションを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリから分離させる、ミドルウエア・サービス・レイヤを備えることを特徴とする請求項11に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項15】
前記ソフトウエア・サービス・コンポーネントのソフトウエアが、高いレベルのサービス・レイヤから低いレベルのサービス・レイヤへの順に配置された複数の横方向レイヤにも組織化されていることを特徴とする請求項12に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項16】
前記ソフトウエア・サービス・コンポーネントのソフトウエアが更に、複数のソフトウエア・モジュールに組織化されていることを特徴とする請求項15に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項17】
前記無線通信システムが、セルラ通信システムを含むことを特徴とする請求項11に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項18】
前記セルラ通信システムが、第3世代のセルラ通信システムを含むことを特徴とする請求項17に記載の移動体端末プラットフォーム・アセンブリ。
【請求項19】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリであって、複数の機能的ソフトウエア・ユニットを有するソフトウエア・サービス・コンポーネント、前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットによって制御される複数のハードウエア・ユニットを有するハードウエア・コンポーネント、及び前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する少なくとも1つのインタフェースを有するインタフェース・コンポーネントを含む、移動体端末プラットフォーム・アセンブリを組み立てるステップと、
その後で、前記インタフェース・コンポーネントの前記少なくとも1つのインタフェースを介して、少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを、前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに追加するステップと、を備えることを特徴とする無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供する方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを追加するステップは、前記プラットフォーム・システムのユーザが、前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに追加するステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに追加する前記ステップの前に、前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリを前記ユーザに譲渡するステップを更に含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを追加するステップは、前記インタフェース・コンポーネントの前記少なくとも1つのインタフェースを介して、前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアをロードし、インストールし、実行するステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
移動体端末プラットフォーム・アセンブリであって、複数の機能的ソフトウエア・ユニットを有するソフトウエア・サービス・コンポーネント、前記複数の機能的ソフトウエア・ユニットによって制御される複数のハードウエア・ユニットを有するハードウエア・コンポーネント、及び前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリへのアクセスを提供する少なくとも1つのインタフェースを有するインタフェース・コンポーネントを含む、移動体端末プラットフォーム・アセンブリを製造者が製造するステップと、
前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリをユーザに譲渡するステップと、
その後で、前記ユーザが、前記インタフェース・コンポーネントの前記少なくとも1つのインタフェースを介して、前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを追加するステップと、を備えることを特徴とする無線通信システムの移動体端末用のプラットフォーム・システムを提供する方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを前記移動体端末プラットフォーム・アセンブリに追加する前記ステップの前に、前記ユーザが、前記少なくとも1つのアプリケーション・ソフトウエアを開発することを特徴とする請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−205672(P2011−205672A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−108701(P2011−108701)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【分割の表示】特願2003−568521(P2003−568521)の分割
【原出願日】平成15年2月13日(2003.2.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】