説明

移動体通信装置

【目的】 CDMA/TDD方式の無線通信システムにおいて、間欠通信での基地局送信ダイバーシチおよび送信パワ制御の実現を可能にする。
【構成】 基地局は、複数のアンテナ101、201で受信した信号を逆拡散回路104、204でチャネル毎に逆拡散した相関レベルを比較回路106、206で各チャネル毎にアンテナ間で比較し、その結果を基に選択回路110、210で送信時に各チャネル毎にいずれのアンテナから送信するかを選択する。各移動局は、間欠通信において、送受信停止区間後に最初に受信するフレームの直前の送信フレームの固定パタンを送信する手段を備え、基地局はこの固定パタンの受信パワをもとに、移動局送信パワ制御および送信アンテナの選択を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル自動車電話・携帯電話等での符号分割多元接続および送受信同一帯域方式(CDMA/TDD方式)をとる移動体通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多元接続方式とは、同一の帯域で複数の局が同時に通信を行なう際の回線接続方式のことである。CDMA(Code Division Multiple Access )とは、符号分割多元接続のことで、情報信号のスペクトルを、本来の情報帯域幅に比べて十分に広い帯域に拡散して伝送するスペクトル拡散通信によって多元接続を行なう技術である。直接拡散方式とは、拡散において拡散系列符号をそのまま情報信号に乗じる方式である。CDMA方式では、拡散符号系列の数とスペクトル拡散された伝送信号の伝送速度により一意に1チャネル当たりのビットレート(一定時間で伝送できる情報量)が決定する。伝送する情報のビットレートが、CDMAで伝送可能なビットレートより少ない場合には、必要な情報量を伝送する時間だけ送信/受信を動作させ、それ以外の時間は送信/受信を停止させる(以下間欠通信と言う)ことにより、停止期間で他のチャンネルへの干渉(他局間干渉)をなくし、周波数の有効利用を図ることができる。
【0003】TDD(Time Division Duplex)とは、送受信同一帯域方式のことで、ピンポン方式とも呼ばれ、同一の無線周波数を送信/受信に時間分割して通信を行なう方式であり、1回の送信/受信を1フレームという。TDD方式の場合は、送受信同一帯域方式であることから、送信波と受信波のフェージング変動の周波数相関性は1であり、また両者の切り替え時間が十分短かければ、相互のフェージング変動等の伝搬路状態の時間相関性が高いため、移動局において基地局からの受信レベルを用いて送信パワの制御を行なう(オープンループパワ制御)か、または基地局において移動局からの受信波レベルを用いて移動局送信パワ制御情報を決定し、基地局から移動局への送信情報に上記情報を加えて送信する(クローズドループパワ制御)ことにより、基地局での受信レベルをある一定範囲に抑えることができる。また、基地局が複数のアンテナを有する場合に、各アンテナでの受信レベルから最適な送信アンテナを選択する送信ダイバーシチを適用することにより、移動局において空間ダイバーシチが不要になり、移動局の小型化を図ることが可能である。
【0004】図9に2つの移動局PS1、PS2からみたCDMA/TDD方式の送受信タイミングの一例を示す。図9において、移動局PS1とPS2は、伝送可能な伝送量の1/2の情報量の伝送を行なっており、他局間干渉を減らし、周波数有効利用を図るために、時間をずらして4フレーム単位で間欠通信している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のCDMA/TDD方式による移動体通信装置では、移動局送信パワ制御および基地局送信ダイバーシチのためのアンテナ選択は、直前のフレームでの受信結果から決定されるが、1チャネル当たりの伝送ビット量が少ない時に間欠通信を行なう場合、複数フレーム間連続で送受信を行なった後に、複数フレーム間連続で送受信を停止するため、停止区間前後において受信と送信との間が長くなり、その間に伝搬路状態が変化し、送受信を開始する時点で正確な移動局送信パワ制御および送信アンテナ選択制御ができないという問題を有していた。
【0006】本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、CDMA/TDD方式による間欠通信において、オープンループ制御またはクローズドループ制御による移動局送信パワ制御および基地局送信ダイバーシチのためのアンテナ選択を可能とする優れた移動体通信装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、直接拡散方式をとるCDMA/TDD方式を用いて、基地局および移動局が複数フレーム間連続で送受信を行なった後、複数フレーム間連続で送受信を停止して通信を行なう移動体通信装置において、基地局が、複数のアンテナと、各アンテナ毎に設けられた無線送受信手段と、各アンテナで受信信号をチャネル毎に逆拡散する手段と、逆拡散により得られた相関レベルを各チャネル毎にアンテナ間で比較する手段と、比較結果をもとに、送信時に拡散された送信信号を各チャネル毎にいずれのアンテナから送信するかを選択する手段とを備えたものである。
【0008】本発明はまた、移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信する手段を備え、基地局が、固定パタンの受信結果により送信アンテナの選択を行なうようにしたものである。
【0009】本発明はまた、移動局が、基地局において選択されたアンテナから送信された信号の受信レベルに応じて送信パワ制御を行なう手段を備えたものである。
【0010】本発明はまた、直接拡散方式をとるCDMA/TDD方式を用いて、基地局および移動局が複数フレーム間連続で送受信を行なった後、複数フレーム間連続で送受信を停止して通信を行なう移動体通信装置において、基地局が、各チャネル毎の受信パワおよびまたは希望波電力対干渉電力比により移動局の送信パワ制御情報を算出する手段と、送信パワ制御情報を各移動局に送信する手段とを備え、移動局が、受信した送信パワ制御情報により送信パワを制御する手段を備えたものである。
【0011】本発明はまた、移動局が、送受信を開始する前にあらかじめ決まったパワで固定パタンを送信する手段を備え、基地局が、固定パタンの受信結果により送信パワ制御情報を算出し、送信パワ制御情報により各移動局が送信パワを制御するようにしたものである。
【0012】
【作用】したがって、本発明によれば、基地局が、複数のアンテナで受信した信号を逆拡散して得られた受信相関レベルを各チャネル毎にアンテナ間で比較し、その比較結果をもとに送信に最適なアンテナを選択するので、基地局における送信ダイバーシチの実現が可能であり、移動局においては、空間ダイバーシチが不要になり、装置の小型化を図ることができる。
【0013】また、移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信することにより、基地局がその固定パタンの受信結果をもとに送信アンテナの選択を行ない、移動局が、基地局からの信号の受信レベルに応じて送信パワ制御を行なうことにより、送信開始点から最適なオープンループパワ制御を行なうことができる。
【0014】さらに、基地局が、受信相関レベルの比較結果をもとに移動局の送信パワ制御情報を算出して各移動局に送信し、その送信パワ情報をもとに各移動局が送信パワ制御を行なうことにより、最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【0015】さらにまた、移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信することにより、基地局がその固定パタンの受信結果をもとに送信パワ制御情報を算出して各移動局に送信し、その送信パワ情報をもとに各移動局が送信パワ制御を行なうことにより、送信開始点から最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)図1は本発明の第1の実施例における移動体通信装置の2つの移動局PS1、PS2に対する基地局の構成を示すものであり、2本のアンテナA、Bを持つ場合の例である。図1において、101はアンテナA、201はアンテナB、102はアンテナA101のための送受信切替スイッチ、202はアンテナB201のための送受信切替スイッチ、103はアンテナA101のための無線受信部、203はアンテナB201のための無線受信部である。104、105はアンテナA101のための逆拡散回路、204、205はアンテナB201のための逆拡散回路であり、それぞれPS1用回路100およびPS2用回路200に振り分けられて、受信データを拡散符号を用いて逆拡散する。106、206は逆拡散回路104、105および204、205における逆拡散によって得られた相関レベル(受信信号電力レベル)をアンテナA101およびアンテナB201間で比較する比較回路である。107、207は逆拡散回路104、105または204、205における逆拡散された受信信号を合成する合成回路、108、208は合成された受信信号を復号する復号回路である。109、209は送信データを拡散符号により拡散する拡散回路、110、210は拡散された送信信号をいずれのアンテナから送信するかを選択する送信アンテナ選択回路、111、211はその送信アンテナ選択信号である。112は拡散された送信信号をアンテナA101について加算する加算回路、212は拡散された送信信号をアンテナB201について加算する加算回路、113はアンテナA101のための無線送信部、213はアンテナB201のための無線送信部、300は送受信切替スイッチ102および202を動作させるための送受信切替タイミング信号である。
【0017】次に、上記実施例の動作について説明する。アンテナA101およびB201で受信した受信信号は、送受信切替スイッチ102および202を介して無線受信部103および203で1次復調され、ダウンコンバートおよび検波を経て、逆拡散回路104、105および204、205で相関検出が行なわれる。2本のアンテナA101およびB201から独立に得られた相関検出結果は、PS1用回路100およびPS2用回路200のそれぞれにおいて、比較回路106、206で相関レベル(受信信号電力レベル)のフレーム平均パワの演算処理を行ない、その結果からアンテナA101とアンテナB201の伝送路状態(伝送路伝達関数)を求め、次の送信タイミングでA101またはB201のどちらのアンテナから送信するかを決定し、送信アンテナ選択信号111、211を出力する。比較回路106、206を通過した受信信号は、合成回路107、207で合成され、復号回路108、208で復号処理して受信データを得る。
【0018】一方、送信データは、割り当てられた拡散符号により拡散回路109、209で帯域拡散された後、送信アンテナ選択信号111、211により切り替えられた送信アンテナ選択回路110、210を介して、加算回路112または212で同じアンテナを選択したすべての送信信号が加算され、無線送信部113または213でアップコンバートされ、送受信切替タイミング信号300により切り替えられる送受信切替スイッチ102または202を介して、それぞれアンテナA101またはアンテナB201から送信される。なお、この基地局構成例では、2つの移動局(PS1、PS2)用の回路構成となっており、PS1用回路100もPS2用回路200も同一の構成であるが、拡散符号および逆拡散符号は異なる。また、より多い移動局の送受信を行なうことが可能である。この場合、接続可能な移動局に対応した数だけPS1用回路100および加算回路112および212の加算可能回数が追加される。
【0019】図2は移動局からみたCDMA/TDD方式の送受信タイミングの一例を示す。図2において、移動局PS1とPS2は、伝送可能な伝送量の1/2の情報量の伝送を行なっており、時間をずらして4フレーム単位で間欠通信している。直接拡散方式のCDMA通信において、通信品質を上げるかまたは容量(収容チャネル数、多重チャネル数)を増やすためには、他局間干渉を減らすことが必要である。間欠通信する際には、各移動局を数フレーム単位の複数ブロックに分割(群分け)して基地局と通信を行なうことにより、同時多重数を減らすことができる。図2では、8フレームを4フレーム単位の2ブロックBL1、BL2に分割し、一方のブロックBL1でPS1との通信を、またもう一方のブロックBL2でPS2との通信を行なうことになる。
【0020】図1に示した本実施例の基地局は、アンテナA101、B201で受信した間欠送受信開始後、1フレーム目の各アンテナでの受信相関レベルの比較により、2フレーム目の送信に用いるアンテナを選択する。以降3フレーム、4フレームの送信アンテナ選択も同様にして行なう。
【0021】このように、本実施例によれば、間欠通信において間欠通信開始から2フレーム目以降のフレームにおいて、基地局の2本のアンテナ101、201で受信し、比較回路106、206により求めた受信相関レベルから、最適な送信アンテナを選択する送信ダイバーシチを適用することができ、移動局において空間ダイバーシチが不要になり、移動局の小型化を図ることができる。なお、送受信タイミングを逆にすれば1フレーム目からの送信ダイバーシチも可能である。
【0022】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例における基地局の構成は図1に示した第1の実施例と同じである。図3は本実施例における移動局の構成を示している。図3において、301は基地局からの信号を受信し、基地局へ信号を送信するアンテナ、302は送受信切替タイミング信号により送受信の切り替えを行なう送受信切替スイッチ、303は基地局から受信した信号の復調検波を行なう無線受信部、304は受信信号の相関検出を行なう逆拡散回路、305は受信信号を復号して受信データを得る復号回路、306は受信信号の受信電力レベルを検出する受信電力レベル検出回路である。307は送信データを符号化する符号回路、308は受信電力レベル検出回路306で検出された受信電力レベルに基づいて送信電力レベルを決定する送信電力レベル制御回路、309は送信データに拡散符号を加えて拡散する拡散回路、310は送信フレームの固定パタンと同じガイドパタンを同じタイミングで発生させるガイドパタン発生回路、311は拡散信号とガイドパタン信号とを加えて送信信号を作成する加算回路、312は送信信号を無線信号に変調してアンテナ301から出力させる無線送信部である。なお、送信電力レベル制御回路308は、送信電力を決定するために、上記受信電力レベルの他にSIR(希望波電力対干渉電力比)を用いることもできる。また、これらを組み合わせて決定することも可能である。
【0023】図4は本実施例におけるフレーム構成の一例を示す。図4において、1フレームは受信区間401と送信区間402からなり、各送受信区間は、伝送路での遅延による送信と受信の重複を避けるためのガードタイム403と、フレームの同期および移動局識別のための固定パタン404と、情報信号405とで構成される。
【0024】図5は移動局からみたCDMA/TDD方式の送受信タイミングの一例を示す。図5において、移動局PS1とPS2は、伝送可能な伝送量の1/2の情報量の伝送を行なっており、時間をずらして2フレーム単位で間欠通信している。すなわち、4フレームを2フレーム単位の2ブロックBL1、BL2に分割し、一方のブロックBL1でPS1との通信を、またもう一方のブロックBL2でPS2との通信を行なうことを示している。移動局PS1、PS2はそれぞれの送受信停止区間終了すなわち送受信開始区間の直前フレームの送信区間において、図3のガイドパタン発生回路310からガイドパタン(固定パタン)406を送信する。基地局は、アンテナ101、201で受信したガイドパタン406の受信相関レベルを比較回路106、206で比較することにより、間欠送信開始時の送信に用いるアンテナを選択する。そして、移動局は、上記選択されたアンテナから送信された信号の受信レベルを受信電力レベル検出回路306で検出し、検出された受信レベルに応じて送信電力を送信電力レベル制御回路308で決める。これにより、送信開始時点から適切な送信オープンループ制御による送信パワ制御を実現することができる。
【0025】このように、本実施例によれば、移動局が、送受信を開始する前にガイドパタン(固定パタン)を送信する手段を備え、基地局がこの固定パタンの受信結果により送信アンテナの選択を行なうので、間欠通信において間欠通信開始のフレームから基地局での各アンテナでの受信相関レベルから最適な送信アンテナを選択する送信ダイバーシチを適用することができ、移動局において空間ダイバーシチが不要になり移動局の小型化を図ることができる。
【0026】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例について説明する。図6は本実施例における基地局の構成を示すものであり、図1に示した実施例1における基地局に受信パワ算出回路114、214、送信パワ制御回路115、215を加えた構成となっており、これら2つの回路以外は図1と同じ構成である。また移動局の構成は、図7に示すように、図3に示す構成からガイドパターン発生回路310を除き、受信電力レベル検出回路306の代わりに送信パワ制御情報検出回路313を設けたものであり、これら以外は図3と同じ構成である。
【0027】図8は、本実施例の基地局からみた伝送情報のフレーム構成例を示すものである。図8において、1フレームは送信区間501と受信区間502からなり、各送受信区間は、伝送路での遅延による送信と受信の重複を避けるためのガードタイム503と、フレームの同期および移動局識別のための固定パタン504と、情報信号505とで構成され、さらに送信区間501においては、情報信号505の前に移動局送信パワ制御情報506が付加されている。
【0028】次に、本実施例の動作について説明する。基地局において、比較回路106、206で選択された受信信号から受信パワ算出回路114、214で現在の移動局からの受信パワを算出し、次の移動局送信時の出力パワまたは出力パワ変化量を送信パワ制御回路115、215で算出し、移動局送信パワ制御情報506として基地局から移動局への送信データの一部に加えて移動局へ送信する。移動局では、この移動局送信パワ制御情報506を送信パワ制御情報検出回路313で検出して、送信電力レベル制御回路308が送信パワを制御する。なお、基地局において、移動局送信パワ制御情報506を算出するための入力としては、上記受信パワの他にSIR(希望波電力対干渉電力比)を用いることもできる。またこれらを組み合わせて算出することも可能である。
【0029】本実施例においても、図2に示すように、PS1とPS2は伝送可能な伝送量の1/2の情報量の伝送を行なっており、時間をずらして4フレーム単位で間欠通信している。基地局は、受信した間欠送受信開始後、1フレーム目の各受信パワにより2フレーム目の送信時の移動局パワ制御情報506を算出し、移動局へ伝送する。移動局は、受信した移動局パワ制御情報506を用いて2フレーム目の送信パワを決定する。以降3フレーム、4フレームの移動局送信パワも同様に制御される。
【0030】このように本実施例によれば、間欠通信において間欠通信開始より2フレーム目以降のフレームで基地局での受信パワによる移動局送信パワ制御を行なうことにより、最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【0031】(実施例4)本実施例における基地局の構成およびフレーム構成は、上記第3の実施例と同様であり、移動局の構成は、図7の構成に、図3に示すようなガイドパタン発生回路310を追加したものである。
【0032】したがって、本実施例の動作は、上記第2と第3の実施例を組み合わせたものである。図5に示すように、PS1とPS2は伝送可能な伝送量の1/2の情報量の伝送を行なっており、時間をずらして2フレーム単位で間欠通信している。PS1、PS2は、それぞれの送受信停止区間終了の直前フレームの送信区間でガイドパタン(固定パタン)406を送信する。基地局は、受信したガイドパタンの受信パワにより、上記第3の実施例のように移動局送信パワ制御情報を算出し、間欠送信開始時の送信から移動局にパワ制御情報を送信し、移動局は、受信したパワ制御情報をもとに送信パワの制御を行なうことにより、送信開始点から最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【0033】
【発明の効果】本発明は、上記実施例から明らかなように、基地局が、複数のアンテナで受信した信号を逆拡散して得られた受信相関レベルを各チャネル毎にアンテナ間で比較し、その比較結果をもとに送信に最適なアンテナを選択するので、基地局における送信ダイバーシチの実現が可能であり、移動局においては、空間ダイバーシチが不要になり、装置の小型化を図ることができる。
【0034】また、移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信することにより、基地局がその固定パタンの受信結果をもとに送信アンテナの選択を行ない、移動局が、基地局からの信号の受信レベルに応じて送信パワ制御を行なうことにより、送信開始点から最適なオープンループパワ制御を行なうことができる。
【0035】さらに、基地局が、受信相関レベルの比較結果をもとに移動局の送信パワ制御情報を算出して各移動局に送信し、その送信パワ情報をもとに各移動局が送信パワ制御を行なうことにより、最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【0036】さらにまた、移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信することにより、基地局がその固定パタンの受信結果をもとに送信パワ制御情報を算出して各移動局に送信し、その送信パワ情報をもとに各移動局が送信パワ制御を行なうことにより、送信開始点から最適なクローズドループパワ制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施例における基地局の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1および第3の実施例における間欠送受信のタイミング例を示す模式図
【図3】本発明の第2の実施例における移動局の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2および第4の実施例におけるフレーム構成の一例を示す模式図
【図5】本発明の第2および第4の実施例における間欠送受信タイミング例を示す模式図
【図6】本発明の第3および第4の実施例における基地局の構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施例における移動局の構成を示すブロック図
【図8】本発明の第3および第4の実施例におけるフレーム構成の一例を示す模式図
【図9】従来の間欠送受信のタイミング例を示す模式図
【符号の説明】
101、201 基地局アンテナA
102、202 送受信切り替えスイッチ
103、203 無線受信部
104、105、204、205 逆拡散回路
106、206 比較回路
107、207 合成回路
108、208 復号回路
109、209 拡散回路
110、210 送信アンテナ選択回路
111、211 送信アンテナ選択信号
112、212 加算回路
113、213 無線送信部
114、214 受信パワ算出回路
115、215 送信パワ制御回路
300 送受信切替タイミング信号
301 アンテナ
302 送受信切替スイッチ
303 無線受信部
304 逆拡散回路
305 復号回路
306 受信電力レベル検出回路
307 符号回路
308 送信電力レベル制御回路
309 拡散回路
310 ガイドパタン発生回路
311 加算回路
312 無線送信部
313 送信パワ制御情報検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 直接拡散方式をとるCDMA/TDD方式を用いて、基地局および移動局が複数フレーム間連続で送受信を行なった後、複数フレーム間連続で送受信を停止して通信を行なう移動体通信装置において、基地局が、複数のアンテナと、前記各アンテナ毎に設けられた無線送受信手段と、前記各アンテナで受信信号をチャネル毎に逆拡散する手段と、前記逆拡散により得られた相関レベルを各チャネル毎にアンテナ間で比較する手段と、前記比較結果をもとに、送信時に拡散された送信信号を各チャネル毎にいずれのアンテナから送信するかを選択する手段とを備えた移動体通信装置。
【請求項2】 移動局が、送受信を開始する前に固定パタンを送信する手段を備え、基地局が、前記固定パタンの受信結果により送信アンテナの選択を行なう請求項1記載の移動体通信装置。
【請求項3】 移動局が、基地局において選択されたアンテナから送信された信号の受信レベルまたは希望波電力対干渉電力比に応じて送信パワ制御を行なう手段を備えた請求項2記載の移動体通信装置。
【請求項4】 直接拡散方式をとるCDMA/TDD方式を用いて、基地局および移動局が複数フレーム間連続で送受信を行なった後、複数フレーム間連続で送受信を停止して通信を行なう移動体通信装置において、基地局が、各チャネル毎の受信パワまたは希望波電力対干渉電力比により移動局の送信パワ制御情報を算出する手段と、前記送信パワ制御情報を各移動局に送信する手段とを備え、移動局が、受信した前記送信パワ制御情報により送信パワを制御する手段を備えた移動体通信装置。
【請求項5】 基地局が、請求項1記載の移動体通信装置における比較手段の比較結果をもとに移動局の送信パワ制御情報を算出する請求項4記載の移動体通信装置。
【請求項6】 移動局が、送受信を開始する前にあらかじめ決まったパワで固定パタンを送信する手段を備え、基地局が、前記固定パタンの受信結果により送信パワ制御情報を算出し、前記送信パワ制御情報により各移動局が送信パワを制御する請求項4または5記載の移動体通信装置。

【図4】
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【図1】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開平9−8716
【公開日】平成9年(1997)1月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−151515
【出願日】平成7年(1995)6月19日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)