説明

移動可能な履物ラック

【課題】所望の場所に簡単に移動させることができ、かつ、収納した履物を簡単に選び出すことができ、かつ、所定の収納空間内に多数の履物を収納することがで、また埃は収納した履物に付着するのを防ぐことがきる履物ラックを提供することにある。
【解決手段】キャスター6を備えた移動可能な支持枠体2と、上下方向に複数の履物を収納できる履物載置用空間部14を円周方向の複数個所に備えて上記支持枠体2の上に設けた本体枠4と、上記本体枠4の各履物載置用空間部14に複数段に設けた履物載置棚5と、からなる構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の各種の履物を収納するのに使用でき、また玄関や下駄箱等に収まりきらない多数の履物を収納して別の場所に移動させて保管しておくことができ、さらには店の履物陳列ラックとしても使用できる移動可能な履物ラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に各家庭ではシューズをはじめ各種の履物を玄関に設置した下駄箱に収納して保管している。また、数が多くて下駄箱に収まりきらない履物は、下駄箱の上に置いたり、玄関に並べたりしている。
【0003】
しかしながら、履物を下駄箱の上に置いたり玄関に並べたりしたのでは見苦しいことであり、玄関の扉を開けた途端にこの光景を目にすることは訪問者にとっては不快なことであり、また家人にとっても見慣れているとはいえ気分のいいものではなかった。
【0004】
なお、本発明の参考文献として下記の特許文献を例示しておく。
【0005】
【特許文献1】特開平8−242944号公報
【特許文献2】登録実用新案第3044943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、円周方向に展開する収納空間の所望の棚に履物を簡単に収納することができ、かつ収納した履物を棚から簡単に選び出すことができ、さらには所望の場所に楽に移動させることができ、また、埃が収納した履物に付着するのを防ぐことができ、さらには地震等の揺れにも対応できる移動可能な履物ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の目的を有効に達成するために、次のような構成にしてある。すなわち、請求項1記載の本発明の移動可能な履物ラックは、キャスターを備えた移動可能な支持枠体と、上下方向に複数の履物を収納できる履物載置用空間部を円周方向の複数個所に備えて上記支持枠体の上に設けた本体枠と、上記本体枠の各履物載置用空間部に複数段に設けた履物載置棚と、からなることを特徴とする構成にしてある。
【0008】
請求項2記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項1記載の移動可能な履物ラックにおいて、履物載置用空間部に設けた複数の履物載置棚は、本体枠の上下方向に取り付け位置調整可能に設けられていることを特徴とする構成にしてある。
【0009】
請求項3記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項1または2記載の移動可能な履物ラックにおいて、 履物載置棚は網体、枠体、透明板、または不透明の板部材であることを特徴とする構成にしてある。
【0010】
請求項4記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項1、2または3記載の移動可能な履物ラックにおいて、本体枠の上部に、本体枠の外周を開閉可能に覆うことができるカバーを設けたことを特徴とする構成にしてある。
【0011】
請求項5記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項4記載の移動可能な履物ラックにおいて、カバーは円筒状または角筒状であることを特徴とする構成にしてある。
【0012】
請求項6記載の本発明の移動可能な履物ラックは、キャスターを備えた移動可能な支持枠体と、上下方向に複数の履物を収納できる履物載置用空間部を円周方向の複数個所に備えて上記支持枠体の上に設けた本体枠と、上記本体枠の各履物載置用空間部に複数段に設けた履物載置棚とを、開閉可能な収納箱に収納した構成を特徴とする。
【0013】
請求項7記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項6記載の移動可能な履物ラックにおいて、収納箱は少なくとも一部を通気性を有する部材によって或いは通気性構造に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の本発明の移動可能な履物ラックは、請求項1,2,3,4,5または6記載の移動可能な履物ラックにおいて、伸縮固定可能なポールが、キャスターを備えた支持枠体を介した本体枠の回転に対して、少なくとも上部が非回転になるようにして本体枠の中心部に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の移動可能な履物ラックでは、本体枠を持って押したり引いたりするだけでキャスターが転動して簡単に所望の場所に移動させることができる。また、複数の履物載置棚を備えて複数の履物を収納できる履物載置用空間部を複数個所に備えた本体枠を、支持枠体と共にキャスターを介して全体を回転させることにより、本体枠のどの位置の履物載置用空間部の履物載置棚に収納した履物も、取り出し側に向けて簡単に取り出すことができる。また、履物を収納する場合も、支持枠体と共に本体枠を回転させることによって空いている履物載置棚を簡単に見つけ出して素早く収納することができる。さらに本体枠の全体を開閉可能なカバーで覆うことにより収納した履物に埃が付着するのを防ぐことができる。また、収納箱に収納して扉を閉じておくことにより玄関等に設置した場合も中が見えずに見栄えがよい。また、収納箱を通気性のいい部材で形成することによって内部に臭いのこもるのを防止できる。さらに、非回転に本体枠の中心部に伸縮固定可能なポールを設けることによって、必要に応じてポールを伸ばし先端を天井に押し当てることにより、地震等の時に履物ラックが転倒したり移動したりするのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図に基いて説明する。図1〜図4は本発明にかかる移動可能な履物ラックに関する図であり、この移動可能な履物ラック1は、支持枠体2と、本体枠4と、本体枠4に複数段に設けた履物載置棚5とからなる。
【0017】
より具体的に説明すると、上記した支持枠体2は、金属パイプを所定の円形状に形成したものであり、下面側の4箇所に等間隔を以ってキャスター6を設け、このキャスター6の転動によって履物ラック1全体を任意の方向に移動させることができるようにしてある。
【0018】
本体枠4は、上記した円形状の支持枠体2に十字状に掛け渡した支持板9、10と、支持板9の一端部9aと支持板10の一端部10aとに掛け渡たすように立設したコ状枠11aと、支持板9の一端部9bと支持板10の一端部10bとの上面に掛け渡たすように立設したコ状枠11bと、対峙するコ状枠11aとコ状枠11bとの上部中央に掛け渡して設けた繋ぎ部材12とからなる。上記支持板9、10の長さは支持枠体2の径よりも少し長く、各支持板9、10の両端部9a、9b、10a、10bは、支持枠体2の外に少し突き出している。
【0019】
上記本体枠4には、円形状の支持枠体2に十字状に掛け渡した支持板9、10を介して上記のようにしてコ状枠11a、11bを設けたことにより、円周方向(周囲)の4箇所(4面方向)に、上下・左右方向に複数の履物13を収納できる履物載置用空間部14が形成される。なお、履物載置用空間部14は、コ状枠等の組み合わせ構成によって回転枠本体4の周囲の2箇所(2面方向)、3箇所(3面方向)、または5箇所(5面方向)以上に設けてもよい。
【0020】
各履物載置用空間部14には、所定間隔を以って3段に履物載置棚5が設けられている。各履物載置棚5には、左右方向に複数の履物13を載置することができる。勿論、1足の履物を載置できる履物載置棚に設計変更するも自由である。この履物載置棚5は、棚部16と、棚部16の両側部を上記したコ状枠11a、11bに係止する係止部17とからなり、金属線材を長方形状に形成すると共に複数箇所に桟16aを設け、さらに載置した履物13が引っ掛かるように下側部16bを上方向に折り曲げ形成してある。係止部材17は、パイプ材からなる上記したコ状枠11a、11bに嵌め込み固着できるように一部を縦割れ形成した1対の円筒材からなる。上記の履物載置棚5は、両側を係止部材17に対して下側部16bを下にして傾斜するようにして固定してある。
【0021】
上記の構成からなる履物載置棚5は、各係止部材17をコ状枠11a、11bに嵌め込むことによって回転枠本体4の各履物載置用空間部14に下側部16bを手前にして斜めに設けてある。図示の例では履物載置棚5は所定間隔を以って3段に設けてあるが、2段でも或いは4段以上に設けてもよい。また、係止部材17はコ状枠11a、11bに対する嵌め込む位置を上下に少し力を入れて滑らすことにより任意に変えることができ、この嵌め込む位置を変えることにより、上下の履物載置棚5の高さ位置や間隔を任意に変えることができる。
【0022】
上記した構成の移動可能な履物ラック1では、本体枠4の例えばコ状枠11a、11bの何れかを握って押すことにより、キャスター6が転動して所望の場所に移動させることができる。また、各履物載置用空間部14の履物載置棚5にはシューズやスリッパ、ブーツ等の各種の履物13を載置することができ、載置した各履物13は履物載置棚5の下側部16bに後部が引掛かかるためズレ落ちることはない。また、支持枠体2と共に本体枠4を回すことにより支持枠体2のキャスター6が転動して、本体枠4の所望の履物載置用空間部14の履物載置棚5を使用者の正面に向けることができ、簡単に履物を所望の履物載置棚5に収納したり、収納した履物載置棚5から履物を取り出すことができる。
【0023】
図5、図6は別の例の本発明にかかる移動可能な履物ラック1であり、この例では、上記した外周の全体を覆うことができるカバー22が本体枠4に設けてある。なお、カバー22以外の構成は上記した例の移動可能な履物ラック1の構成と同様であり説明を省略する。
【0024】
図示の例のカバー22は、移動可能な履物ラック1全体を覆うことができる角筒状のものであり、各隅部23にはファッスナー24が設けられていて、各履物載置用空間部14の両側に位置するファッスナー24を開閉することにより、各履物載置用空間部14を開閉して、履物を履物載置棚5に収納したり、収納した履物載置棚5から履物13を取り出したりすることができる。カバー22を設けたことにより、履物載置棚5に収納した履物13に埃が付着するのを防ぐことができる。また、各履物載置棚5に収納した履物13が外から見えないように目隠しとなる。
【0025】
なお、カバーの構成は図示の例のような構成のものに限定されるものではなく、例えばカバーは円筒状のものであり、所定箇所に縦に切り込みを入れて各履物載置用空間部のカバー部分を上下方向に開閉できるようにしたものでもよい。また、円形または四角形等の枠を本体枠4の上部外周に固定して設け、上記した例のカバー22からファッスナー24を省いたカバーをこの枠に係止させるようにして被せ、各履物載置用空間部14を覆うカバー部分を必要に応じて開閉でき巻き上げて止めバンド等で本体枠の上部側で止めておくことができる構成のものでもよい。さらには、本体枠4の上部に枠部材を設け、この枠部材の本体枠4の各履物載置用空間部の箇所にそれぞれカバーの一種であるロールスクリーンを設け、必要に応じて各履物載置用空間部を上記ロールスクリーンで開閉できるようにしてもよい。また、上記も枠部材の本体枠4の各履物載置用空間部の箇所にそれぞれカバーの一種であるカーテンを設け、このカーテンを左右に移動させて各履物載置用空間部を開閉できるようにしたものであってもよい。カバーの材質は特に限定されるものではない。さらにカバーは透明、半透明、不透明のいずれでもよく或いはいずれかの組み合わせでもよい。勿論、本体枠4の周囲を開閉できれば如何なる形状、構成のカバーであってもよくまた単なる筒状で所定箇所を開閉できものでもよい。
【0026】
本発明は、図7に示すように観音開きの扉25付き収納箱26を備え、この収納箱26に上記した例の構成からなる移動可能な履物ラック1全体を収納した構成の移動可能な履物ラックであってもよい。収納箱26に収納し必要なとき以外は扉25を閉じておけば、玄関等に設置した場合も収納箱の中が見えずに見栄えがよい。また、履物の出し入れの時には扉25を開け、中の本体枠4を適宜回転させて所望の履物を履物載置棚5から取り出したり、所望の履物載置棚5に履物を収納し、最後に扉25を閉じておけば、カバーを備えていない場合でも埃が履物13に付着することがない。
【0027】
また、図8図に示す観音開きの扉25付き収納箱26は、収納箱26内の通気性をよくするために、収納箱26の少なくとも一部または各面部をメッシュ地の部材によって形成してある。勿論、収納箱26の少なくとも一部または各面部を細長部材を格子状に形成した通気性構造や、複数の細長板部材を上下方向に所定間隔を以って平行にかつ少し斜めに設けた通気性構造、その他の通気できる通気性構造にしてもよい。収納箱26の通気性がよければ、収納した履物の臭いが内部にこもることを防止でき、また内部の湿気の除去の一助にもなる。
【0028】
また、図9に示すように収納箱26を備え移動可能な履物ラック1においては、収納箱26の開閉箇所を扉ではなく、ロールスクリーン27を上部に回転自在の設け、必要に応じロールスクリーン27を巻き戻して引き下げて上記の開閉箇所を閉じ、またロールスクリーン27を巻き戻して上記の開閉箇所を開放できるようにしてある。開閉箇所にロールスクリーン27を設けることにより、より見栄えがよくなる。この履物ラック1の他の構成は先に説明した例の履物ラックと同様であり同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
また、図10、図11は、伸縮固定可能なポール28を設けた例の回転式移動可能な履物ラック1であって、回転枠本体4の中心部に上記ポール28が設けてある。ポール28は伸縮可能なように径の異なる複数の円筒からなり、回転枠本体4の中心部に設けた最外側の支持ポール部29は、回転枠本体4に固定して設けてあり、この支持ポール部29に順次挿入されている径の異なるその他のポール部30は、上記支持ポール部29に回動自在に挿入してある。そして上記の各ポール部30は支持ポール部29から引き出して順次
伸ばすことができ、各ポール部30を伸ばした状態で互いに固定機構(図示せず)によって固定することができる。また最も径の小さいポール部30の上端には、天井に当接させる当て板31が固着してある。所望の場所でこの履物ラック1のポール28を伸ばして当て板31に押し当てておくことにより、履物ラック1が何かで押されたり地震等で揺れたりしても移動したり倒れたりするのを防止できる。また、各ポール部30は支持ポール部29に回動自在に挿入してあるので、当て板31を天井に押し当てているときに本体枠4を回転させても、支持ポール部29は本体枠4とともに回るが、他のポール部30は共回りしない。この例の履物ラック1に上記したカバーや収納箱を備える場合は、ポールが伸縮できるように上面の中央部を開口しておく。この履物ラック1の他の構成は先に説明した例の履物ラックと同様であり同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
なお、本発明の移動可能な履物ラックにおいて、履物載置棚は金属や合成樹脂の線材による網体、透明のガラスや合成樹脂板または金属や合成樹脂や木等の不透明の板部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる一例の移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図2】図1の移動可能な履物ラックの使用状態を示す斜視図である。
【図3】図2の移動可能な履物ラックを上から見た斜視図である。
【図4】図1に示す移動可能な履物ラックの一部を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる他の例のカバーを備えた移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図6】図5に示す移動可能な履物ラックのカバーの一部を開けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明にかかる他の例の収納箱を備えた構成の移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図8】本発明にかかる別の例の収納箱を備えた構成の移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図9】本発明にかかる収納箱の開閉箇所にロールスクリーンを備えた構成の移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図10】本発明にかかる伸縮可能なポールを備えた別の例の移動可能な履物ラックの斜視図である。
【図11】伸縮可能なポールを伸ばした状態の斜視図である。
【0032】
1 移動可能な履物ラック
2 支持枠体
4 本体枠
5 履物載置棚
6 キャスター
13 履物
14 履物載置用空間部
22 カバー
25 扉
26 収納箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターを備えた移動可能な支持枠体と、上下方向に複数の履物を収納できる履物載置用空間部を円周方向の複数個所に備えて上記支持枠体の上に設けた本体枠と、上記本体枠の各履物載置用空間部に複数段に設けた履物載置棚と、からなることを特徴とする移動可能な履物ラック。
【請求項2】
履物載置用空間部に設けた複数の履物載置棚は、本体枠の上下方向に取り付け位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の移動可能な履物ラック。
【請求項3】
履物載置棚は網体、枠体、透明板、または不透明の板部材であることを特徴とする請求項1または2記載の移動可能な履物ラック。
【請求項4】
本体枠の上部に、本体枠の外周を開閉可能に覆うことができるカバーを設けたことを特徴とする請求項1,2または3記載の移動可能な履物ラック。
【請求項5】
カバーは円筒状または角筒状であることを特徴とする請求項4記載の移動可能な履物ラック。
【請求項6】
キャスターを備えた移動可能な支持枠体と、上下方向に複数の履物を収納できる履物載置用空間部を円周方向の複数個所に備えて上記支持枠体の上に設けた本体枠と、上記本体枠の各履物載置用空間部に複数段に設けた履物載置棚とを、開閉可能な収納箱に収納した構成を特徴とする移動可能な履物ラック。
【請求項7】
収納箱は、少なくとも一部を通気性を有する部材によって或いは通気性構造に形成されていることを特徴とする請求項6記載の移動可能な履物ラック。
【請求項8】
伸縮固定可能なポールが、キャスターを備えた支持枠体を介した本体枠の回転に対して、少なくとも上部が非回転になるようにして本体枠の中心部に備えられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の移動可能な履物ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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