説明

移動局の緊急ベアラサービスの処理方法

【課題】従来技術における緊急ベアラサービスに関する問題を解決する。
【解決手段】移動局の緊急ベアラサービスの処理方法を開示する。移動局は端末アダプタと端末機器とを有する。本方法は、端末アダプタが移動局の端末機器に緊急ベアラサービスの第1の登録状態を示す段階を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスシステムで用いる方法に関し、より具体的には、アタッチされた(attached)移動局の緊急ベアラサービスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2011年1月3日に出願された米国仮出願第61/429,296号(発明の名称「緊急アタッチされたMSのPDPコンテキストを開始するアプリケーションの処理方法」)の利益を請求するものであり、その出願の内容はここに参照援用する。
[背景技術]
GSM(登録商標)(global system for mobile communication)システムは、3GPP(third generation partnership project)により規定されているが、今日では、高データレート、低レイテンシ、パケット最適化、及び改善されたシステムキャパシティとカバレッジを提供する新しい無線インタフェース及び無線ネットワークアーキテクチャとみなされている。GSM(登録商標)システムでは、UMTS(universal mobile telecommunication system)が複数の基地局を含み、複数の移動局(MS)と通信する。移動局はユーザ機器(UE)とも呼ばれる。
【0003】
GPRS(General Packet Radio Service)は、GSM(登録商標)セルラー通信システムにおけるパケット指向の移動データサービスである。GPRSは、第2世代(2G)電話を改良して、より高速にデータを送受信できるようにするものである。GPRS接続すると、電話は「常にオン」の状態であり、データをすぐに、速い速度で(一般的には32−48kbps)転送できる。別の利点として、音声呼(voice call)と同時にデータを転送できる。GPRSは現在ほとんどの新しい電話で利用可能である。GPRSは、2Gネットワークを3G(第3世代)ネットワークの性能に近づけるように設計された一連の技術の一部である。3Gネットワークの主な特徴は、大量のデータを(2Mbpsまでの)高速に転送でき、テレビ電話(video calling)、ビデオダウンロード、ウェブブラウズ、電子メールなどのアプリケーションが可能になることである。2Gネットワークを高速にすることにより、これらのアプリケーションの一部が、例えばウェブブラウズや大きな添付データを有する電子メールの受信などが、可能となる。
【0004】
GPRSデタッチ手順(detach procedure)は次の場合に用いられる:
(1)GPRSサービスのみのIMSIのデタッチ。ネットワーク動作モードによらず、この手順は全種類のGPRS MSにより用いられる。
(2)ネットワークがネットワーク動作モードIで動作し、回路切り換えされたトランザクションが進行中でなければ、MS動作モードAまたはBで動作しているGPRS MSにより用いられる組み合わせGPRSデタッチ手順として、GPRSと非GPRSサービス、または非GPRSサービスのみのIMSIをデタッチする。
(3)ネットワークに故障がある場合に、MSに、再アタッチ(re-attach)して、それに続けて、その前にアクティブであったPDPコンテキストをアクティブ化することを示す。この場合、MSは、その前にアクティブなマルチキャストサービスをアクティブ化するために必要な手順も実行する。
(4)IMSIまたは緊急ベアラサービス用のIMSIのデタッチ。アタッチタイプ情報要素は「GPRSアタッチ」を示す。MSが緊急ベアラサービスにアタッチする場合、アタッチタイプ情報要素は「緊急アタッチ(emergency attach)」を示す。
【0005】
PDP(Protocol Data Packet)コンテキストアクティブ化はMSにより開始されてもよいし、その開始はネットワークにより要求されてもよい。緊急ベアラサービスにアタッチするMSは、要求タイプを「緊急」に設定したPDPコンテキストを要求するのみである。緊急ベアラサービスのためのPDN接続がすでに確立されているとき、MSは、緊急ベアラサービスのためのPDN接続を別途要求はしない。MSは、A/GbモードまたはGERAN Iuモードでは、緊急ベアラサービスを要求しない。
【0006】
3GPP TS24.008v10.1.0、セクション2、サブクローズ6.1.3.1によると、緊急ベアラサービスのためアタッチされたMSは、通常サービスのためにPDPコンテキストをアクティブ化できない。MSは、通常セルで緊急ベアラサービスのためアタッチされているとき、3GPP TS24.008v10.1.0、セクション3によると、パラメータ「+CGREG:1 registered, home network」または「+CGREG:5 registered, roaming network」を送信する。この場合、アプリケーションは、デバイスが緊急ベアラサービスのためにアタッチされていることは知らず、通常サービスのためのPDPコンテキストをアクティブ化できない。アプリケーションは通常サービスのためにPDPコンテキストをアクティブ化しようとするが、常に拒絶される。このため、無線モデム(radio modem)はビジー状態となる。アプリケーションは、要求「+CGREG?」を送り、これに対してMSが請求応答(solicited response)「+CEREG:1,1」または「+CEREG:1,5」を送ることにより、登録状態(registration status)を問い合わせるとき、同様の問題が発生する。
【0007】
さらに、MSは、デタッチ後、再度アタッチして、緊急ベアラサービスのためにアタッチしたデバイスから通常サービスを得なければならない。現在、デバイスが緊急ベアラサービスのためにアタッチしていることをアプリケーションが知る方法はない。S1モードをサポートしているMSにも同じ問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえ本開示は、移動局の緊急ベアラサービスの処理方法を提供する。
【0009】
移動局の緊急ベアラサービスの処理方法を開示する。移動局は端末アダプタと端末機器とを有する。本方法は、端末アダプタが移動局の端末機器に緊急ベアラサービスの第1の登録状態を示す段階を有する。
【0010】
移動局を開示する。移動局は端末機器と端末アダプタとを有する。端末アダプタは、端末機器に結合され、その移動局の端末機器に緊急ベアラサービスの第1の登録状態を示す。
【0011】
当業者には、様々な図面に示した好ましい実施形態の詳細な説明を読めば、本発明の上記その他の目的が明らかにあるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】無線通信システムの一例を示す図である。
【図2】通信デバイスの一例を示すブロック図である。
【図3】移動局を示すブロック図である。
【図4】方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照するに、無線通信システム10の一例を示す図である。簡潔に説明するが、無線通信システム10はネットワークと複数の移動デバイスとを含む。無線通信システム10は、GPRS(General Packet Radio Service)システムであってもよいし、その他の同様な、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、LTE(Long-Term Evolution)、LTEアドバンス(LTE-Advance)システムなどのネットワークシステムであってもよい。GPRSシステムでは、ネットワークはUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)と呼ばれ、複数のノードB(Node BまたはNB)を有する。GPRSによりセルラーネットワークを介してデータを転送できる。GPRSはモバイルインターネット、MMS、その他のデータ通信に用いられる。理論的には、GPRSの速度の限界は115kbpsであるが、ほとんどのネットワークでは訳35kbpsである。移動デバイスは、ユーザ機器(UE)または移動局(MS)とも呼ばれ、上記のRATをサポートし、携帯電話やコンピュータシステムなどのデバイスである。参照を容易にするために、本出願ではこの用語を用いるが、これをもって本開示が何らかの特定のネットワークに限定されると解してはならない。実施例によっては、ネットワークとMSは、送信方向に応じて送信器または受信器とみなせる。例えば、アップリンク(UL)の場合、MSは送信器でありネットワークが受信器である。ダウンリンク(DL)の場合、ネットワークが送信器であり、UEが受信器である。
【0014】
移動局(MS)は、次の場合に、緊急ベアラのためアタッチ(attach)されているものとする:(1)MSが、アタッチタイプ「緊急(Emergency)」でアタッチ手順を実行して成功した場合。(2)MSが、通常セルで、HPLMN(Home Public Land Mobile Network)又はVPLMN(Visited Public Land Mobile Network)にアタッチされ、緊急ベアラサービスのためのPDN(Packet Data Network)のみを有する場合。(3)通常にアタッチされたMSが、緊急ベアラサービスのためのPDN接続のみを有する場合。
【0015】
図2を参照するに、通信デバイス20の一例を示すブロック図である。通信デバイス20は、図1に示した移動デバイスまたはネットワークであってもよく、マイクロプロセッサやASICのようなプロセッサ200と、メモリユニット210と、通信インタフェースユニット220とを含む。メモリユニット210は、プロセッサ200がアクセスするプログラムコード214を記憶できる任意のデータ記憶デバイスである。メモリユニット210の例としては、加入者識別モジュール(SIM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD−ROM、及び光データ記憶デバイスなどがあるが、これらに限定されない。通信インタフェースユニット220は、好ましくは無線トランシーバであり、プロセッサ200の処理結果に応じて無線信号を適宜交換する。
【0016】
図3を参照するに、他の実施例による移動局30を示すブロック図である。移動局30は図1に示した移動デバイスであってもよい。移動局30は、端末アダプタ320と端末機器340とを含む。端末アダプタ320は、移動局30に組み込まれたモデム、またはモデムソフトウェアであり得る。端末機器340は、移動局30のアプリケーションレイヤ(例えば、ウィンドウズ(登録商標)やアンドロイドのオペレーティングシステム)であってもよい。端末機器340と端末アダプタ320との間のインタフェースは、既存のシリアル(ITU-T Recommendation V.24)ケーブル、赤外線リンク、又は同様の振る舞いをするすべてのリンクタイプを介して動作するものである。モデムソフトウェアとアプリケーションレイヤは、好ましくは別々のプロセッサ上で実行される。例えば、モデムソフトウェアはARM9プロセッサ上で実行され、アプリケーションレイヤはARM11プロセッサ上で実行される。
【0017】
図4を参照するに、方法40の一例を示すフローチャートである。方法40は、移動局の緊急ベアラサービス(emergency bearer service)の処理に用いられる。移動局は、通信デバイス20または移動デバイス30であってもよい。移動局は、通常セルにおいて、緊急ベアラサービスのためにアタッチされる。方法40は、プログラムコード214にまとめられ、次のステップを含む:
ステップ400:開始
ステップ402:端末アダプタ320が移動局の端末機器340に緊急ベアラサービスの新しい登録状態を示す。
ステップ404:端末機器340は、端末アダプタ320から新しい登録状態を受け取ると、それを表示する。
ステップ406:終了
方法40によると、端末アダプタ320(例えば、モデムソフトウェア/モデム)は、移動局が緊急ベアラサービスにアタッチされると、新しい登録状態(new registration status)を端末機器340(例えば、ウィンドウズ(登録商標)やアンドロイドなどのオペレーティングシステム)に示す。新しい登録状態は、移動局が登録され、緊急ベアラサービスのためにアタッチされていることを示す。端末機器340は、端末アダプタ320から応答を受け取り、新しい登録状態を表示する。すなわち、新しい登録状態を、端末機器340に緊急ベアラサービスを示すために用いる。端末機器340は、新しい登録状態を受け取ると、緊急ベアラサービスのために移動局がアタッチされていることが分かる。そのため、端末機器340は通常サービスのためにPDPコンテキストをアクティブ化(activate)しない。これにより、端末機器340からの登録状態問い合わせ(registration status query)のために端末アダプタ320がビジーとなることを回避できる。
【0018】
また、端末アダプタ320は、請求応答(solicited response)又は非請求応答(unsolicited response)「+CREG:<STAT>」により、新しい登録状態を示す。ここで、<stat>は整数タイプであり、好ましくは<stat>=6または現在使われている値1−5より大きい任意の新しい値である。例えば、移動局は、緊急ベアラサービスのためにアタッチされていると考えられるとき、Iuモードをサポートしていれば、CGREG非請求応答がイネーブルであれば、非請求応答+CGREG:6、registered, emergency bearer servicesにより(through an unsolicited response +CGREG: 6, registered, emergency bearer services)、請求要求(solicited request)が来ればそれに対して請求応答(solicited response)により、アプリケーションレイヤへの緊急アタッチメントの状態を示す。他の一例では、S1モードをサポートしているMSは、例えば、CGREG非請求応答がイネーブルのときは、非請求応答+CEREG:6, registered, emergency bearer servicesにより、または請求要求が来たときは、請求応答により、アプリケーションレイヤに緊急アタッチメントの状態を示す。
【0019】
一方、移動局が通常サービスにアタッチされているとき、端末アダプタ320は、移動局の端末機器340に、通常サービスのための既存の登録状態を示す。例えば、移動局は、通常サービスのための請求応答「+CGREG:1, registered, home network」または「+CGREG:5, registered, roaming network」を送る。換言すると、方法40によると、端末アダプタ320は、通常サービスと緊急ベアラサービスとで異なる登録状態を示す。
【0020】
端末機器340は、受け取った登録状態に応じて、ユーザに、登録状態(registration statuses)を異なるように(例えば、異なる言葉、アイコン、または画像を用いて)表示する。
【0021】
示唆したステップも含め上記のステップは、ハードウェア、(ハードウェアデバイスと、そのハードウェアデバイスで読み取り専用ソフトウェアとして組み込まれたコンピュータ命令及びデータとの組み合わせとして知られている)ファームウェア、または電子システムにより実現できる。ハードウェアの例としては、マイクロ回路、マイクロチップ、またはシリコンチップとして知られたアナログ、デジタル、及びミクストシグナル回路がある。電子システムの例としては、システムオンチップ(SOC)、システムインパッケージ(Sip)、コンピュータオンモジュール(COM)、及び通信デバイス20がある。通信デバイス20は、その中の処理手段200が上記方法に関連するプログラムコード214を処理し、その処理結果により無線通信システム10中の緊急セッションを処理する。
【0022】
まとめると、移動局が緊急ベアラサービスのためにアタッチされているとき、その移動局のモデムソフトウェアは、緊急ベアラサービスのために、通常サービスとは異なる登録状態をアプリケーションレイヤに示す。これに応じて、アプリケーションレイヤは、緊急ベアラサービスと通常サービスとで、登録状態を、異なるように表示する。アプリケーションレイヤは緊急ベアラサービスに関して通知されているので、端末機器340は通常サービスのためのPDPコンテキストをアクティブ化(activate)しない。これにより、アプリケーションレイヤからの登録状態問い合わせ(registration status query)のために無線モデム(radio modem)がビジーとなることを回避できる。
【0023】
当業者には言うまでもないが、本発明の教示を保持しつつ、上記のデバイスと方法について、多数の修正や変更をすることができる。したがって、上記の開示は添付した特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末アダプタと端末機器とを有する移動局のための緊急ベアラサービスを処理する方法であって、
前記端末アダプタが前記移動局の前記端末機器に前記緊急ベアラサービスの第1の登録状態を示す段階を有する、方法。
【請求項2】
前記移動局は、通常セルにおいて、前記緊急ベアラサービスのためにアタッチされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末アダプタは、応答を介して前記第1の登録状態を示す前記端末アダプタを有する前記移動局のアプリケーションユニットに、前記緊急ベアラサービスの前記第1の登録状態を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記応答は非請求応答または請求応答である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記端末アダプタが前記移動局の前記端末機器に、通常サービスの第2の登録状態を示す段階をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記端末機器が前記第1の登録状態と前記第2の登録状態とを異なるように表示する段階をさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の登録状態のインデックスは5より大きい整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
移動局であって、
端末機器と、
前記端末機器に結合され、前記移動局の前記端末機器に緊急ベアラサービスの第1の登録状態を示す端末アダプタとを有する、移動局。
【請求項9】
前記移動局は、通常セルにおいて、前記緊急ベアラサービスのためにアタッチされる、請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記端末アダプタは、応答を介して前記第1の登録状態を示す、請求項8に記載の移動局。
【請求項11】
前記応答は非請求応答または請求応答である、請求項10に記載の移動局。
【請求項12】
前記端末アダプタが前記移動局の前記端末機器に、通常サービスの第2の登録状態をさらに示す、請求項10に記載の移動局。
【請求項13】
前記端末機器が前記第1の登録状態と前記第2の登録状態とを異なるように表示する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の登録状態のインデックスは5より大きい整数である、請求項8に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142940(P2012−142940A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288225(P2011−288225)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(502160992)宏達國際電子股▲ふん▼有限公司 (97)
【Fターム(参考)】