説明

移動式間仕切装置

【課題】
移動式パネルの上部が天井に設けたガイドレールで案内され、下部が床面上を走行する下荷重方式であり、移動パネルを直線状に整列させた際に、床面に多少の不陸があっても何ら調節することなく、隣接する移動パネル間、壁面に設けた端部部材と移動パネル間に隙間が発生しない移動式間仕切装置を提供する。
【解決手段】
リフト機構5は、パネル本体9の下端の凹溝部20内に載荷部材39と巾木部材40を上下に配置し、載荷部材に転動輪2を設け、巾木部材を載荷部材に対して昇降することで、転動輪が床面に接地した移動可能状態と巾木部材が床面に圧接した移動規制状態とを実現し、載荷部材の中央部上面を弾性変形可能な連結部材58を介在させて凹溝部内の上面に上下揺動可能に連結し、移動パネルの移動方向の後側端部で載荷部材と凹溝部内の上面との間に圧縮ばね59を介装した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式間仕切装置に係わり、更に詳しくは大部屋を小部屋に区画するために天井から床面にわたる全面を閉止可能又は開放可能となした移動式間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大部屋内の天井に設けたレールに沿って、複数の移動パネルをそのパネル表面に平行な方向(面内方向)へ移動可能とするとともに、全ての移動パネルをレールの一側終端部で90度回転させることを可能とした移動式間仕切装置は各種提供されている。この種の移動式間仕切装置は、レールの一側終端部で、移動パネルをパネル表面がレールと直交するように90度回転させて、その表面同士を重ねてコンパクトに格納し、大部屋の空間を開放した態様と、移動パネルを90度回転させてレールの一側終端部からレールに沿って引き出し、各移動パネルを直線上に連設し、大部屋を小部屋に区画する態様とを実現するものである。そして、移動パネルを所定位置に設置したときに移動不能とするとともに、床面と天井との間の隙間を塞ぐのである。
【0003】
特許文献1には、天井レールに多数吊下され、そのレールに沿って移動可能なパネルにおいて、パネルに基部端を枢着した廻動片の他端と笠木又は巾木に基部端を枢着した廻動片の他端とをピン連結し、このピン及びパネル側廻動片の軸に両廻動片を所定角度に保持するバネをそれぞれ設けた間仕切パネルの圧接装置が開示されている。そして、パネルが移動可能な状態では笠木と巾木はパネルに接近し、天井レールと床面から離れた位置にあり、更にパネルの移動方向先頭側に笠木と巾木の端部が突出した姿勢をとり、それからパネルを移動させ壁面や先行するパネルの端部に前記笠木と巾木の端部が衝突することにより、前記両廻動片がバネの弾性力に抗して回転して笠木と巾木がそれぞれ天井レールと床面に圧接し、その隙間を埋める点も開示されている。ここで、前記笠木と巾木がそれぞれ天井レールと床面に圧接した状態では、該笠木と巾木はパネルの横幅内に収まる上下に位置している。
【0004】
特許文献2には、天井に架設されたレールに吊支され、かつ前記レールによって形成された移動経路に沿って移動する複数枚の間仕切パネルにより室内を仕切るようにした移動間仕切装置において、いずれかの間仕切パネルに、パネル本体の上下端より上下方向に進出することにより、パネル本体と天井及び床面との間の間隙を閉塞する上下部塞ぎ部材を、常時はパネル本体における一側端から外側方に突出し、その突出端部が壁面または他の間仕切パネルの側端に当接してパネル本体内に押し込まれることにより、他側端側に移動しつつ上昇または下降するように支持した移動間仕切装置が開示されている。ここで、上下部塞ぎ部材を支持する手段が、一端が上下部塞ぎ部材に前後方向を向く軸をもって枢着され、かつ他端部に設けた長孔がパネル本体の上下の端部に設けられた前後方向を向くピンに遊嵌するようにした起倒可能なリンク部材と、上下部塞ぎ部材における前記軸から若干離れた部分と前記ピンとに各端部が係止され、それらを互いに離れる方向に付勢するばねとからなる点も開示されている。
【0005】
ここで、特許文献1、2に記載のものは、何れも床面と天井とに圧接するタイプのものであり、圧接機構がパネルの上下に有するとともに、リンク機構であるので、部品点数が多くなるとともに、組立工数が増えてコスト高となる傾向にあり、また天井と床面との間隔に応じてパネルの高さを調節し、圧接強さを設定することになるので、施工も難しくなるといった課題を有している。
【0006】
そこで、前述の課題を解決すべく、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラ又はガイドスライダーを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させた後、下部に設けたリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置が考慮される。しかし、この場合、床面の不陸により移動パネル間、あるいは壁面に設けた端部部材と移動パネル間に隙間が発生といった新たな課題が生じる。この隙間が発生しないようにするためには、各移動パネル毎に、それを設置する床面の不陸に応じて、床面に圧接して転動輪を浮上させるリフト機構を構成する巾木部材の高さを、アジャスターで調節して水平出しする必要がある。この調節作業は非常に手間がかかることが予想され、作業性が非常に悪くなる。
【特許文献1】実開昭48−087815号公報
【特許文献2】特開2002−155676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラ又はガイドスライダーを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させるとともに、下部に設けたリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置において、移動パネルを所定位置へ移動させて移動規制状態にしたときに、床面に多少の不陸があっても何ら調節することなく、隣接する移動パネル間、あるいは壁面に設けた端部部材と移動パネル間に隙間が発生しないようにした移動式間仕切装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラ又はガイドスライダーを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記リフト機構は、前記パネル本体の下端に沿って設けた下方開放した凹溝部内に載荷部材と巾木部材を上下に配置し、該載荷部材の少なくとも両端部に転動輪を設け、前記巾木部材を載荷部材に対して昇降することにより、前記転動輪が床面に接地した移動可能状態と前記巾木部材が床面に圧接した移動規制状態とを実現し、更に前記載荷部材の中央部上面を、連結部材を介在させて前記凹溝部内の上面に上下揺動可能に連結したことを特徴とする移動式間仕切装置を構成した(請求項1)。
【0009】
ここで、前記リフト機構は、前記巾木部材が上昇して前記転動輪が床面に接地した移動可能状態では、該巾木部材の一端の先端部がパネル本体の側端面から突出し、移動パネルを直線状に整列させる際に前記巾木部材の突出した先端部が他の物に当接した際の反力により該巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態では、該巾木部材がパネル本体の直下に位置する機構であることが好ましい(請求項2)。
【0010】
また、前記連結部材が、弾性変形可能又は回動可能な部材であること(請求項3)、また前記移動パネルを直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材の上面と凹溝部内の上面との間に圧縮ばねを介装してなること(請求項4)がより好ましい。
【0011】
また、前記載荷部材の両端部の上面に、該載荷部材が前記連結部材を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部を突設するとともに、一方の当止部にコイルばねからなる前記圧縮ばねを巻装してなることが好ましい(請求項5)。
【0012】
更に、前記連結部材として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して前記載荷部材の上面とパネル本体の凹溝部の上面との間に空間を形成して連結してなることがより好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の移動式間仕切装置は、移動パネルをガイドレールに沿って移動させ、先行して移動規制状態とした他の移動パネルの後側の側端面に、あるいは壁面に設けた端部部材に、移動パネルの前側の側端面を圧接して直線状に整列させるとともに、リフト機構によって巾木部材を床面に圧接して転動輪を浮上させて移動規制状態とすると、パネル本体は巾木部材と載荷部材を介してその荷重が支持され、その際にパネル本体は載荷部材に対して中央部の連結部材にて上下揺動可能に連結されているので、床面に不陸があってもパネル本体を垂直姿勢にすることができる。
【0014】
請求項2によれば、移動パネルをガイドレールに沿って移動させ、移動方向の前側の他端部に突出した巾木部材の先端部を、先行して移動規制状態とした他の移動パネルの後側の側端面に、あるいは壁面に設けた端部部材に追突させ、その反力により巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態とした際に、当該移動パネルは、その移動の慣性力により先行の移動パネル又は端部部材に密接させることができる。
【0015】
請求項3によれば、前記連結部材が、弾性変形可能又は回動可能な部材であるので、載荷部材とパネル本体とを互に上下揺動可能に連結することができる。
【0016】
請求項4によれば、前記移動パネルを直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材の上面と凹溝部内の上面との間に圧縮ばねを介装してなるので、該圧縮ばねによって当該移動パネルの後側が弾性的に持ち上げられ、それにより当該移動パネルの前側の側端面が他の移動パネルの側端面又は壁面に設けた端部部材に密着してその間に隙間が発生しないのである。上下揺動連結可能な連結部材と一端部に配した圧縮ばねとによるフレキシブルな支持構造であるので、巾木部材を床面に圧接すると同時に、移動パネルの前側の側端面を他の移動パネルの側端面又は壁面に設けた端部部材に圧接することができるのである。
【0017】
請求項5によれば、載荷部材の両端部の上面に、該載荷部材が前記連結部材を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部を突設するとともに、一方の当止部にコイルばねからなる圧縮ばねを巻装してなるので、床面に接地した巾木部材又は転動輪が接地した状態の載荷部材に対してパネル本体の過度の揺動を抑制することがきるとともに、圧縮ばねを安定に保持することができる。
【0018】
請求項6によれば、連結部材として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して載荷部材の上面とパネル本体の凹溝部の上面との間に空間を形成して連結してなるので、パネル本体に対して載荷部材を上下揺動可能に連結することができ、言い換えれば載荷部材に対してパネル本体を上下揺動可能に連結することができ、しかも防振ゴムは振動に対して耐久性が高いので信頼性のある機構となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図3は本発明に係る移動式間仕切装置の動作原理を説明するための説明図、図4は移動パネルの分解斜視図、図5〜図23はその詳細を示し、図中符号1は移動パネル、2は転動輪、3はガイドローラ、4はガイドレール、5はリフト機構、6は開閉パネル、7はスムーザー、8はストッパー、Fは床面、Sは天井、Wは壁面をそれぞれ示している。
【0020】
本発明に係る移動式間仕切装置は、図1〜図5に示すように、移動パネル1の下端部に設けた転動輪2で床面F上を走行するとともに、移動パネル1の上端部に設けたガイドローラ3を天井Sに設けたガイドレール4に沿って移動案内し、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させ、またガイドレール4の一側終端部に重ねて格納し、天井Sから床面Fにわたる全面を閉止可能又は開放可能となした下荷重方式の構造のものである。そして、本発明では、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させた状態では、該移動パネル1の移動を規制するため、下端部に設けたリフト機構5を操作して該移動パネル1を上昇させ、もって前記転動輪2,…を床面Fから浮上させるのである。
【0021】
更に詳しくは、本実施形態では、前記ガイドローラ3は移動パネル1の上端中央部に設けられ、端部に位置する前記移動パネル1と壁面Wとの間に、各移動パネル1,…を90度回転して向きを変えるための空間と、通路となる空間を確保するために、開閉パネル6を設けている。そして、本実施形態では、前記開閉パネル6は、壁面Wに蝶着されている。前記ガイドレール4には、一側終端部に対応する方向変換部4Aと、それ以外の直列保持部4Bとからなり、方向変換部4Aは直列保持部4Bの下半分を切り欠いた構造であり、その境界には傾斜段差4Cを有している。そして、方向変換部4Aから直列保持部4Bへの移動パネル1の移動をスムーズに行えるように、該移動パネル1の移動方向前側の上端部にスムーザー7を設けている。そして、所定位置まで移動パネル1を移動させて直列に配置して前記リフト機構5にて転動輪2,…を浮上させて移動不能とした状態で、この状態を確実に維持するために、移動方向後側の下端部に床面Fに係止するストッパー8を設けている。
【0022】
前記移動パネル1は、パネル本体9に前記転動輪2,…、ガイドローラ3、リフト機構5、スムーザー7、ストッパー8及び両端面に硬質ゴム製若しくは合成樹脂製のパッキン10,10を取付けて構成している。ここで、前記パネル本体9は、本実施形態では、アルミ押出し型材からなる両側縦枠11,11と上枠12と下枠13及び横桟14でフレーム構成し、それらで半透明のアクリル樹脂製のパネル板15,15を保持した構造である。本発明に係る移動パネル1は、天井Sから床面Fにわたって閉止するものであるから、実際には縦長の長方形の形状である。
【0023】
前記縦枠11は、扁平な中空形状部材であり、一側面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部16を形成するとともに、他側面の両側部に沿って断面L字形の一対の係止片17,17を突設している。ここで、前記両係止片17,17の先端部の屈曲部は互いに対向するように向け、該係止片17,17に前記パッキン10を嵌着するとともに、前記ストッパー8を上下スライド可能に係合している。前記上枠12と下枠13は同一の型材であり、前記縦枠11と同様な扁平中空状の補強杆18の両側に垂直板19,19を形成し、内部に凹溝部20を形成したものであり、前記補強杆18の外側面には前記パネル板15を保持する溝部21を形成し、更に前記垂直板19,19の凹溝部20内に面する先端部に係合溝22,22をそれぞれ形成している。また、前記横桟14は、上下に扁平な中空形状部材であり、上下面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部23,23を形成したものである。
【0024】
前記パネル本体9は、前記縦枠11の上下端部の内側面に、前記上枠12と下枠13の端部を突き合わせた状態でL金具24を用いて連結するとともに、両縦枠11,11の上下中間部に前記横桟14の端部を突き合わせてネジ止め等の適宜な手段で連結し、これら部材の溝部16,18,23に前記パネル板15の縁部をパッキンを介して保持している。ここで、前記縦枠11の上下端部の内側面であって、前記上枠12及び下枠13の端部を突き合わせる位置を切欠するとともに、上下端部の外側面であって、前記上枠12及び下枠13の凹溝部20の内部に対応する位置で、前記両係止片17,17の外側位置に縦長のスリット溝25,25を端部に開放して形成している。
【0025】
そして、前記ガイドレール4は、図2〜図4に示すように、上板26の両側縁から垂下板27,27を下設した下方開放の断面略コ字形の長尺部材で、両垂下板27,27の内面に対向状態で一対の摺動片28,28を全長にわたって突設したものである。また、図3及び図5に示すように、前記移動パネル1の横方向中央部で前記上枠12の凹溝部20内から垂直な回転軸29を有するガイドローラ3を上方へ突設し、該ガイドローラ3を前記両垂下板27,27間で両摺動片28,28の上位に転動可能に保持している。更に詳しくは、前記ガイドローラ3の回転軸29は、図3〜図5に示すように、前記上枠12の凹溝部20内に固定したハット型の保持台30に回転可能且つ上下スライド可能に設けるとともに、前記回転軸29の下端の係止環31と保持台30の上面板32との間に圧縮コイルばね33を介装し、前記回転軸29とガイドローラ3の上昇に対して下向きに弾性付勢している。また、図6に示すように、前記上枠12の両垂直板19,19に形成した係合溝22,22にスライダー34,34を嵌着し、該スライダー34,34が前記ガイドレール4の両垂下板27,27の外面に摺接して、前記移動パネル1の移動がスムーズに行えるようにしている。
【0026】
尚、前記ガイドローラ3の代わりにガイドスライダーを用いることも可能であるが、移動パネル1をスムーズに移動するには、ガイドローラ3を用いることが好ましい。また、前記スライダー34,34は、前記ガイドレール4の両垂下板27,27の外面に設け、前記凹溝部20を形成する両垂直板19,19の内面に摺接しても良いが、外観性の観点から本実施形態のように両垂直板19,19の内面に設けることが好ましい。
【0027】
更に詳しくは、前記ガイドレール4は、両垂下板27,27の上下中間位置に前記摺動片28,28を形成した長尺のアルミ押出し型材で形成し、一側終端部に対応する前記方向変換部4Aの両摺動片28,28より下方の両垂下板27,27を切除して切欠部35を形成し、前記移動パネル1が垂直姿勢で且つ前記転動輪2が床面Fに接した状態で、前記直列保持部4Bの垂下板27,27に前記移動パネル1の垂直板19,19のスライダー34,34が摺接し且つ前記方向変換部4Aの垂下板27,27より前記移動パネル1の垂直板19,19が低くなるように高さ設定している。本実施形態では、前記ガイドレール4は、方向変換部4Aと直列保持部4Bとで分離して施工時に接合するようにしている。そして、前記ガイドレール4の直列保持部4Bの一端部には、両摺動片28,28より下方の両垂下板27,27を斜めに切断して前記傾斜段差4Cを形成している。
【0028】
それにより、前記移動パネル1が垂直姿勢で且つ転動輪2が床面Fに接した状態において、ガイドレール4の直列保持部4Bの垂下板27,27に、移動パネル1の垂直板19,19のスライダー34,34が摺接するので、該移動パネル1が回転することなく、ガイドレール4に沿って安定に直線移動させることができるとともに、複数の移動パネル1,…を直線上に整列させることができる(図1(a)参照)。また、ガイドレール4の方向変換部4Aでは、該方向変換部4Aに切欠部35を形成し、垂下板27,27より移動パネル1の垂直板19,19が低くなるように高さ設定しているので、前記垂直な回転軸29を中心として移動パネル1を回転させることができる。こうして、ガイドレール4の方向変換部4Aにおいて、次々と移動パネル1,…を回転させて、互に平行に重ね合せてコンパクトに格納することができるのである(図1(b)参照)。そして、前記方向変換部4Aでガイドレール4の方向に略平行に向けた移動パネル1を、該方向変換部4Aに沿って走行させて前記直列保持部4Bに移すが、この際に当該移動パネル1の端部の両スリット溝25,25内に直列保持部4Bの両垂下板27,27を受け入れる必要がある。ここで、前記移動パネル1は垂直でガイドレール4に平行であれる理想的な姿勢を維持することは稀で、普通は理想的な姿勢から崩れているが、その場合でも前記傾斜段差4Cを形成しているので、両スリット溝25,25が両垂下板27,27の端部に面接触することがなく、容易に誘い込むことができるのである。
【0029】
ここで、前記ガイドレール4の方向変換部4Aの壁側端部には、前記各移動パネル1,…を方向変換部4Aに受け入れるための空間を確保するためと、通路を確保するために、水平回転可能な開閉パネル6を設けている。本実施形態では、前記開閉パネル6は壁面Wに設けた端部部材92にヒンジ36にて回動可能に連結している。尚、前記開閉パネル6は、端部に位置する移動パネル1に蝶着することも可能である。その場合には、前記ガイドレール4を室内の天井Sに複数本平行に設けておき、それらに交差する補助ガイドレールを設け、選択した前記ガイドレール4に補助ガイドレールを利用して移動パネル1,…と開閉パネル6を回送し、室内空間の区画広さを調整できるようにすることができる。
【0030】
そして、所定位置に移動させた移動パネル1の姿勢を安定に維持するために、各移動パネル1の下端に設けたリフト機構5を操作して床面Fに圧接し、前記転動輪2を床面Fから浮上させる。図5及び図6は直列保持部4Bに位置する移動パネル1が移動可能な状態(移動可能状態)、図7及び図8は直列保持部4Bに位置する移動パネル1を前記リフト機構5によって浮上させた移動不能な状態(移動規制状態)をそれぞれ示している。また、図9は方向変換部4Aに位置する移動パネル1が移動可能な状態(移動可能状態)、図10及び図11は方向変換部4Aに位置する移動パネル1を前記リフト機構5によって浮上させた移動不能な状態(移動規制状態)をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、方向変換部4Aに位置する移動パネル1は、前記リフト機構5によって浮上させても、前記上枠12の垂直板19,19の上端と前記ガイドレール4の垂下板27,27の切欠部35との間に空間を有するので、この空間を埋めるために前記上枠12の凹溝部20内に閉塞部材37を弾性的に高さ調節可能に設けるとともに、該閉塞部材37の上面の両側縁に沿って、前記摺動片28,28の下面に当接する可撓性を有する接触部材38,38を突設している。尚、前記閉塞部材37の外面は、前記方向変換部4Aの垂下板27,27の延長線に位置し、前記直列保持部4Bの垂下板27,27と外観的に類似しているので、前記ガイドレール4の切欠部35の存在を目立たなくしている。そして、前記閉塞部材37の一端部には、前記ガイドレール4に形成した傾斜段差4Cと同じ傾斜の斜縁37Aを形成し、直線状の整列させた際に、前記傾斜段差4Cと斜縁37Aが接触、若しくは若干の隙間を設けて平行になるようにしている。
【0032】
次に、図5〜図11、図15〜図18に基づいて前記リフト機構5の実施形態を説明する。尚、本実施形態では、前記転動輪2,…を含めてユニット化し、そのユニットを前記下枠13の凹溝部20内に装着するようになっている。前記ユニットは、前記下枠13の凹溝部20内に配置する下向き開放の断面略コ字形の載荷部材39と、上方開放の断面略コ字形の巾木部材40を備え、前記載荷部材39の凹溝41内の両端部と中央部に固定した転動輪2,…を有している。前記載荷部材39は、巾木部材40の凹溝内に内挿し得る横幅であり、該巾木部材40の下面42には前記転動輪2,…を貫通する開口43,…を形成している。そして、前記載荷部材39の左右両側端部に、傾斜案内面45を形成した案内部材44を取付けるとともに、前記巾木部材40の上面側に前記傾斜案内面45を下方から受けて転動するローラ46,46を支持部材47に水平な回転軸48にて回動可能に設け、更に前記載荷部材39と巾木部材40の間に互いに接近する方向に弾性付勢するための引張りコイルばね49を係着している。そして、前記載荷部材39を前記下枠13の凹溝部20内に取付けた状態では、前記転動輪2,…がパネル本体9の下端より突出するようになっている。
【0033】
更に詳しくは、前記案内部材44は、合成樹脂製又はアルミダイカスト製のブロック状の部材であり、中央部に表裏に貫通した傾斜孔50を形成し、該傾斜孔50の上縁部を前記傾斜案内面45とし、該傾斜孔50の下縁部を規制部51としている。前記支持部材47はコ字形に金属板を折曲したものであり、両立起板52,52の間に一対のローラ46,46を配して前記回転軸48で保持している。そして、前記回転軸48を前記案内部材44の傾斜孔50に貫通し、両ローラ46,46の間に前記規制部51を挟みこんで位置決めし、両ローラ46,46が前記傾斜案内面45に接触して転動するようにしている。また、前記巾木部材40に不意に下方への力が加わっても前記回転軸48が規制部51に当接することにより、それ以上の巾木部材40の下方変位を制限することができる。
【0034】
そして、前記案内部材44の傾斜案内面45は、最上部と最下部とに前記ローラ46を準安定状態に係合する凹部53,53を形成し、その間を滑らかな傾斜曲面で連続させた形状である。そして、前記引張りコイルばね49は、前記ローラ46が最上部の凹部53に係合するように前記巾木部材40を斜め上方に弾性付勢している。具体的には、前記巾木部材40の下面42に固定した係止片54と、前記案内部材44の一端部に形成した係止部55とに引張りコイルばね49を傾斜させて両端を係止している。ここで、前記巾木部材40が無負荷状態では、前記引張りコイルばね49の弾性付勢力によって上昇し、前記傾斜案内面45の最上部の凹部53に前記ローラ46が係合するとともに、移動パネル1の移動方向前側の側端から前記巾木部材40の一端部が側方へ突出するように設定されている。前記案内部材44の一端部には、前記転動輪2としてキャスターを取付けるための台座部56が形成され、両端部の転動輪2,2は案内部材44を介して前記載荷部材39に固定され、中央部の転動輪2は前記台座部56と同高の取付金具57にて固定されている。
【0035】
また、図18は、前記案内部材44の変形例であり、前記傾斜孔50の上縁に沿って表裏の傾斜案内面45,45の間に、前記規制部51と同一幅の突条部57を形成している。この場合、前記規制部51と突条部57の間は、前記回転軸48が通過するのに最小限の間隔になっている。
【0036】
次に、本発明の要部を図5、図15〜図18に基づき説明する。前述のように、前記リフト機構5は、前記パネル本体9の下端に沿って設けた下方開放した凹溝部20内に載荷部材39と巾木部材40を上下に配置し、該載荷部材39の少なくとも両端部に転動輪2,2を設け、前記巾木部材40を載荷部材39に対して昇降することにより、前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態と前記巾木部材40が床面Fに圧接した移動規制状態とを実現するものである。そして、本発明では、前記載荷部材39をパネル本体9の凹溝部20内に取付ける構造に特徴がある。つまり、本発明は、前記載荷部材39の中央部上面を弾性変形可能又は回動可能な連結部材58を介在させて前記凹溝部20内の上面に上下揺動可能に連結することを特徴としている。更に、前記移動パネル1を直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材39の上面と凹溝部20内の上面との間に圧縮ばね59を介装すればより好ましいのである。
【0037】
具体的には、前記リフト機構5は、前記巾木部材40が上昇して前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態では、該巾木部材40の一端の先端部がパネル本体9の側端面から突出し、移動パネル1を直線状に整列させる際に前記巾木部材40の突出した先端部が他の物に当接した際の反力により該巾木部材40が下降して床面Fに圧接した移動規制状態では、該巾木部材40がパネル本体9の直下に位置する機構であり、前記圧縮ばね59は、移動可能状態で前記巾木部材40の先端部が突出する側とは反対側の端部に設けている。更に、前記載荷部材39の両端部の上面に、該載荷部材39が前記連結部材58を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部60,60を突設するとともに、一方の当止部60にコイルばねからなる前記圧縮ばね59を巻装している。ここで、前記当止部60は、前記案内部材44の上部に一体形成し、前記載荷部材39の上面に形成した孔61から上方へ突出させている。
【0038】
また、前記連結部材58として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して前記載荷部材39の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面との間に空間を形成して連結している。前記連結部材58は、ゴム製の本体部62の上下面に金属製の取付板63,63を強固に固定した構造であり、各取付板63,63を前記載荷部材39の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面にネジ止めして取付けている。前記連結部材58は弾性変形可能であるので、パネル本体9は載荷部材39に対して上下揺動可能となり、またパネル本体9の一端部は前記圧縮ばね59によって上方へ弾性付勢されている。尚、前記連結部材58として、回動可能なヒンジを用いても良い。ここで、床面Fの不陸に応じて前記載荷部材39及び巾木部材40が傾斜して、前記パネル本体9を垂直姿勢にするが、そのために必要な最小限の揺動を許容し、また前記移動パネル1の移動中における不必要な揺動を制限するように、前記当止部60の高さは設定されている。
【0039】
そして、図16(a)に示すように、前記巾木部材40が上昇した状態では、該巾木部材40は前記下枠13の凹溝部20に収まり、その両立上板64,64は前記縦枠11のスリット溝25,25内に位置している。また、前記巾木部材40の突出端部には、端部形状が前記パッキン10の外形と同じ硬質合成樹脂製の当接部材65を設けている。また、前記下枠13の垂直板19,19の下端内面の係合溝22,22には、前記巾木部材40の外面に摺接するスライダー66,66を設け、表裏方向のガタツキを防止している。
【0040】
そして、前記移動パネル1を前記ガイドレール4に沿って移動させ、壁面W又は先行する他の移動パネル1の側端に前記巾木部材40の突出部の当接部材65を衝突させると、その衝撃力によって相対的にパネル本体9の下方に前記巾木部材40が押し込まれるような横方向の外力が加わる。実際には、前記巾木部材40が当止されて移動規制されるが、パネル本体9の慣性力によって相対的な横方向の外力が作用するのである。それにより、前記ローラ46が前記傾斜案内面45を下方へ転動するのに従って前記巾木部材40が下降し、該巾木部材40が床面Fに接触した後には、前記ローラ46の上に前記傾斜案内面45が競り上がりパネル本体9を上昇させ、ついには最下部の凹部53がローラ46に係合する位置まで来ると、前記巾木部材40はパネル本体9の直下に位置するようになる。結果的に、前記転動輪2,…は浮上し、巾木部材40が床面Fに圧接して移動規制状態となるのである(図16(b)参照)。
【0041】
ここで、前記巾木部材40が床面Fに圧接し、パネル本体9の直下に位置した移動規制状態では、前記ローラ46が前記傾斜案内面45の最下部の凹部53に準安定状態で係合しているのみであり、しかも前記引張りコイルばね49の弾性付勢力はパネル本体9を後退させる方向に作用し、つまり前記凹部53がローラ46から外れる方向に作用するので、安定とは言い難い。特に、前記方向変換部4Aに位置する移動パネル1は、上端中央部でガイドローラ3で支持されているだけであるので、回転したり、前後左右方向にずれる恐れがある。
【0042】
そこで、図12〜図14に示すように、隣接する移動パネル1,1の側端のパッキン10,10同士が凹凸嵌合するように、該パッキン10の断面形状を工夫するとともに、移動パネル1の移動方向後側の下端部に前記床面Fに係止するストッパー8を設けている。ここで、前記パッキン10は、中心線で対称形であり、表側の凹凸と裏側の凹凸が互いに係合する形状としている。従って、移動パネル1の左右両側に取付けるパッキン10,10は同じ向きにして、前記縦枠11の両係止片17,17に上下スライド係合させて装着する。
【0043】
前記ストッパー8は、図3〜図5、図19及び図20に示すように、横断面形状が前記パッキン10の外形断面形状と同じである硬質合成樹脂製の本体部67の下端に金属製のピン68を突設し、前記本体部67の両側に形成した縦溝69,69を前記縦枠11の一対の係止片17,17の先端屈曲部70,70にスライド可能に係合し、該本体部67を下降させて前記ピン68を前記床面Fの所定位置に予め形成しておいた係合穴71に落とし込み係合する構造である。ここで、前記ストッパー8を設ける位置は、前記パッキン10の下端を短くして確保し、該ストッパー8を上昇させた状態では、前記パッキン10に当接して外観が一体となる。また、前記ストッパー8は、前記縦溝69,69と係止片17,17の先端屈曲部70,70との摩擦力によって、自重では下降しないようにしている。
【0044】
また、前記ストッパー8の本体部67の外側面で上下中間部には、指を掛けるための凹陥部72を形成し、操作性を良くしている。また、前記パッキン10と同様に、本体部67の中央部には台形の突条73が突設されているので、前記凹陥部72の深さが浅くても前記突条73の端部に確実に指を掛けることができる。また、本体部67の下端部には、前記縦枠11の下端に当止する膨出部74を形成している。そして、前記ピン68は、本体部67の下端中央部に形成した円孔75に下方から嵌挿するとともに、本体部67の突条73の背面側に形成した凹部76から前記円孔75に連通する通孔77に通したネジ78を前記ピン68に螺合して固定する。
【0045】
尚、先行して直列に並んだ移動パネル1の前記ストッパー8の本体部67は、後続の移動パネル1の前記巾木部材40の先端部の当接部材65が衝突するとともに、前記本体部67に当接部材65が当接したまま下方へ変位するが、何れも硬質合成樹脂製で形成しているので摺動性に優れているため、スムーズな摺動動作を実現できるのである。
【0046】
そして、前記巾木部材40が床面Fに圧接して前記転動輪2,…が浮き上がった状態(移動規制状態)から、移動パネル1をガイドレール4に沿って移動させて格納する場合には、先ず前記ストッパー8を上昇させてピン68を床面Fの係合穴71から抜き、パネル本体9の側部を持って引くことにより、最下部の凹部53とローラ46との係合が外れ、前記パネル本体9の重量によって該パネル本体9が下降して前記転動輪2,…が床面Fに接地するとともに、引張りコイルばね49の弾性付勢力によって巾木部材40が上昇して移動可能状態となるのである。
【0047】
次に、図3、図4及び図7に基づいて、前記移動パネル1の移動方向前側の上端部に設けたスムーザー7を説明する。前述のように、前記ガイドレール4の方向変換部4Aと直列保持部4Bとの境界には傾斜段差4Cを有しているため、方向変換部4Aから直列保持部4Bへの移動パネル1の移動をスムーズに行えるようにスムーザー7を設けている。
【0048】
前記スムーザー7は、前記パネル本体9の上枠12の凹溝部20内の移動方向端部に正面視Z字形の取付金具79を固定し、該取付金具79の上片80に垂直な回転軸を有する一対のローラ81,81を、一部が前記パネル本体9の側端部から移動方向へ突出するように前記凹溝部20内に設けている。両ローラ81,81の外側間隔は、前記ガイドレール4の両垂下板27,27の間隔と一致するか、若干狭く設定している。そして、前記移動パネル1を方向変換部4Aから直列保持部4Bへ移動させる際に、前記傾斜段差4Cに対応する直列保持部4Bの両垂下板27,27に最初に前記ローラ81,81が接触し、両垂下板27,27の間にローラ81,81が誘い込まれるのである。その後は、直列保持部4Bの両垂下板27,27は、前記上枠12の凹溝部20内に位置するので、両垂直板19,19の上端内面に設けたスライダー34,34が両垂下板27,27の外面に摺接して案内するのでスムーズに直線移動するのである。
【0049】
尚、本実施形態では、一対のローラ81,81を設けたが、ローラは一個でもよく、またローラの代わりにスライダーでもよい。一個のローラを設ける場合、あるいはスライダーを設ける場合の何れの場合も、真っ先に直列保持部4Bの両垂下板27,27に接触するように、その一部が前記パネル本体9の側端部から移動方向へ突出していることが必要である。
【0050】
ここで、前記ガイドレール4の方向変換部4Aに位置して直列に整列する移動パネル1には、前記スムーザー7は不要であるが、前述の閉塞部材37は必要である。前記閉塞部材37を図9〜図11、図21〜図23に基づいて更に詳細に説明する。前記閉塞部材37は、下向きに開放した断面略コ字形の型材であり、前記ガイドレール4の垂下板27,27と外形寸法と同じ外形を有し、前記パネル本体9の上枠12の凹溝部20内に両端部が定位置で昇降可能に保持されているとともに、上方へ弾性付勢している。つまり、前記凹溝部20の両終端部にL字形金具からなる基準部材82,82を取付けるとともに、前記閉塞部材37の溝部内の両端部に下方へ向けて取付けた保持部材83,83で前記基準部材82,82を外側から包囲して、前記閉塞部材37の移動を上下方向のみに制限している。そして、前記上枠12の凹溝部20の底面と前記閉塞部材37の上面との間に、前記基準部材82と保持部材83で支持して圧縮コイルばね84を介装している。
【0051】
具体的には、前記基準部材82は、上枠12の凹溝部20内にネジ止めする水平板82Aと垂直板82Bとを有し、水平板82Aには前記圧縮コイルばね84の下部を位置決めする開口部82Cを形成するとともに、垂直板82Bの上部には左右一対の螺孔82D,82Dを適宜設けている。また、前記保持部材83は、前記閉塞部材37の上面板にネジ止めする水平板83Aと前記基準部材82の垂直板82Bを摺動可能に受け入れる断面コ字形の垂直板83Bを有し、水平板83Aの端部には前記圧縮コイルばね84の上部を係合する突片83Cを下向きに形成するとともに、垂直板82Bには前記基準部材82の螺孔82D,82Dと同間隔で縦長の長孔83D,83Dを適宜形成している。そして、前記基準部材82の垂直板82Bが、前記保持部材83の垂直板83Bの凹溝内に受け入れられ、前記圧縮コイルばね84の下部が基準部材82の開口部82C内に位置するとともに、上部が保持部材83の突片83Cに係合した状態で介装され、前記閉塞部材37を上方へ弾性付勢する。
【0052】
前記ガイドレール4の方向変換部4Aに位置した移動パネル1の上端部に前記閉塞部材37を上方へ弾性付勢して設けたことにより、該移動パネル1がどのような状態でも、また床面Fに不陸があっても、該閉塞部材37の上端の両側縁に沿って設けた接触部材38,38が方向変換部4Aの摺動片28,28の下面に圧接し、隙間を塞ぐことができる。尚、前記接触部材38,38が摺動片28,28の下面に接触した状態で、前記保持部材83の長孔83D,83Dに外側から通したネジ85を、前記基準部材82の螺孔82D,82Dに螺合して垂直板82Bと垂直板83Bを固定し、前記閉塞部材37の位置を固定することも可能である。また、当然ではあるが、図9及び図11に示すように、前記ガイドローラ3の回転軸29を挿通できる開口86を前記閉塞部材37の上面板に形成している。
【0053】
ここで、前記巾木部材40を下降させて床面Fに圧接した移動規制状態では、前記転動輪2,…が浮上する分だけ、前記パネル本体9は若干上昇するが、前記閉塞部材37を昇降可能且つ上方へ弾性付勢しているので、その変位を吸収することができ、常に接触部材38,38をガイドレール4の摺動片28,28の下面に当接することができる。
【0054】
次に、図2及び図14に基づいて、前記開閉パネル6の構造を簡単に説明する。この開閉パネル6の構造は前記閉塞部材37を備えた移動パネル1において、前記リフト機構5の代わりに下枠13の凹溝部20内に前記閉塞部材37と同様の閉塞部材87を上下調節可能に設けている。ここで、前記閉塞部材87の上下調節機構は、前記基準部材82,82と保持部材83,83をネジ85で締付けて行うのである。尚、前記開閉パネル6では、前記横桟14の代わりに横桟88を用いている。この横桟88は、斜め上方から見た形状は前記横桟14と同様であるが、溝部23の両側の下面に下方開放した溝部を形成し、該溝部を引手として利用できるようにしている。
【0055】
また、前記開閉パネル6の遊端側の縦枠11の表裏両側で上下中間位置の前後面にスライドボタン89を設けるとともに、前記縦枠11の内部に通した操作杆90の上端を前記スライドボタン89に連結するとともに、該操作杆90の下端を縦枠11の下端から出没可能となしている。そして、前記開閉パネル6を他の移動パネル1と直列にして閉止した状態で、前記スライドボタン89を下げて、前記操作杆90の下端を下方に突出させて床面Fに予め形成しておいた係合穴71に係止することで閉止状態を維持する。
【0056】
また、前記開閉パネル6の遊端側の端部と、それに対応する端部側の移動パネル1の端部とに戸当りパッキン91,91を縦枠11,11に前記同様に嵌着している。当該開閉パネル6は、前記壁面Wに取付けた端部部材92にヒンジ36にて開閉可能に蝶着している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】移動式間仕切装置の動作原理を説明するための簡略平面図であり、(a)は移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態、(b)は各移動パネルを一側に集めて格納し、室内空間を全開した状態をそれぞれ示している。
【図2】移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態の簡略正面図である。
【図3】本発明の移動式間仕切装置の部分斜視図である。
【図4】パネル本体の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る移動パネルの移動可能状態における簡略正面図である。
【図6】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動可能状態を示す縦断面図である。
【図7】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す簡略正面図である。
【図8】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す縦断面図である。
【図9】ガイドレールの方向変換部に移動パネルが位置し、移動可能状態を示す縦断面図である。
【図10】ガイドレールの方向変換部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す簡略正面図である。
【図11】ガイドレールの方向変換部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す縦断面図である。
【図12】直列に整列した移動パネルの壁面側部分の横断面図である。
【図13】直列に整列した移動パネルの中間部分の横断面図である。
【図14】直列に整列した移動パネルの開閉パネルを含む部分の横断面図である。
【図15】移動パネル下端部に設けたリフト機構の分解斜視図である。
【図16】移動パネル下端部に設けたリフト機構を示し、(a)は巾木部材が上昇した移動可能状態の部分縦断面図、(b)は巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態を示す部分縦断面図である。
【図17】リフト機構の部分拡大断面図である。
【図18】同じくリフト機構を構成する案内部材の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図19】ストッパー構造を示し、(a)は要部の部分正面図、(b)は要部の部分側面図である。
【図20】ストッパーの本体部を示し、(a)は表側から見た斜視図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は縦断面図である。
【図21】閉塞部材の構造を示す要部拡大断面図である。
【図22】閉塞部材を上下昇降可能に保持するための構造を示す分解斜視図である。
【図23】同じく閉塞部材を上下昇降可能に保持するための構造を示し、(a)は保持部材の側面図、(b)は保持部材の正面図、(c)は基準部材の側面図、(d)は基準部材の正面図である。
【符号の説明】
【0058】
F 床面、 S 天井、
W 壁面。
1 移動パネル、 2 転動輪、
3 ガイドローラ、 4 ガイドレール、
4A 方向変換部、 4B 直列保持部、
4C 傾斜段差、 5 リフト機構、
6 開閉パネル、 7 スムーザー、
8 ストッパー、 9 パネル本体、
10 パッキン、 11 縦枠、
12 上枠、 13 下枠、
14 横桟、 15 パネル板、
16 溝部、 17 係止片、
18 補強杆、 19 垂直板、
20 凹溝部、 21 溝部、
22 係合溝、 23 溝部、
24 L金具、 25 スリット溝、
26 上板、 27 垂下板、
28 摺動片、 29 回転軸、
30 保持台、 31 係止環、
32 上面板、 33 圧縮コイルばね、
34 スライダー、 35 切欠部、
36 ヒンジ、 37 閉塞部材、
38 接触部材、 39 載荷部材、
40 巾木部材、 41 凹溝、
42 下面、 43 開口、
44 案内部材、 45 傾斜案内面、
46 ローラ、 47 支持部材、
48 回転軸、 49 引張りコイルばね、
50 傾斜孔、 51 規制部、
51A 突条部 52 立起板、
53 凹部、 54 係止片、
55 係止部、 56 台座部、
57 取付金具、 58 連結部材、
59 圧縮ばね、 60 当止部、
61 孔、 62 本体部、
63 取付板、 64 立上板、
65 当接部材、 66 スライダー、
67 本体部、 68 ピン、
69 縦溝、 70 先端屈曲部、
71 係合穴、 72 凹陥部、
73 突条、 74 膨出部、
75 円孔、 76 凹部、
77 通孔、 78 ネジ、
79 取付金具、 80 上片、
81 ローラ、 82 基準部材、
83 保持部材、 84 圧縮コイルばね、
85 ネジ、 86 開口、
87 閉塞部材、 88 横桟、
89 スライドボタン、 90 操作杆、
91 戸当りパッキン、 92 端部部材。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラ又はガイドスライダーを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記リフト機構は、前記パネル本体の下端に沿って設けた下方開放した凹溝部内に載荷部材と巾木部材を上下に配置し、該載荷部材の少なくとも両端部に転動輪を設け、前記巾木部材を載荷部材に対して昇降することにより、前記転動輪が床面に接地した移動可能状態と前記巾木部材が床面に圧接した移動規制状態とを実現し、更に前記載荷部材の中央部上面を、連結部材を介在させて前記凹溝部内の上面に上下揺動可能に連結したことを特徴とする移動式間仕切装置。
【請求項2】
前記リフト機構は、前記巾木部材が上昇して前記転動輪が床面に接地した移動可能状態では、該巾木部材の一端の先端部がパネル本体の側端面から突出し、移動パネルを直線状に整列させる際に前記巾木部材の突出した先端部が他の物に当接した際の反力により該巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態では、該巾木部材がパネル本体の直下に位置する機構である請求項1記載の移動式間仕切装置。
【請求項3】
前記連結部材が、弾性変形可能又は回動可能な部材である請求項1又は2記載の移動式間仕切装置。
【請求項4】
前記移動パネルを直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材の上面と凹溝部内の上面との間に圧縮ばねを介装してなる請求項1〜3何れかに記載の移動式間仕切装置。
【請求項5】
前記載荷部材の両端部の上面に、該載荷部材が前記連結部材を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部を突設するとともに、一方の当止部にコイルばねからなる前記圧縮ばねを巻装してなる請求項1〜4何れかに記載の移動式間仕切装置。
【請求項6】
前記連結部材として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して前記載荷部材の上面とパネル本体の凹溝部の上面との間に空間を形成して連結してなる請求項1〜5何れかに記載の移動式間仕切装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−297830(P2008−297830A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146328(P2007−146328)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)