移動式間仕切装置
【課題】
移動パネルの下端部の転動輪で床面上を走行し、上端部のガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させ、リフト機構で転動輪を浮上させて移動規制状態にでき、移動パネルの走行安定性が高く、全ての移動パネルを同じ構造にでき、ガイドレールも小型化でき、隙間も塞ぐことが可能な移動式間仕切装置を提供する。
【解決手段】
ガイドレール4は、上板26の両側縁部に下設した両垂下板27の下端に対向状態で一対の摺動片28を形成し、移動パネル1の上枠12の凹溝部内に連係部材7を遊嵌し、中央部で上枠と連係部材とを自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結し、連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラ3,3を、両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持した。
移動パネルの下端部の転動輪で床面上を走行し、上端部のガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させ、リフト機構で転動輪を浮上させて移動規制状態にでき、移動パネルの走行安定性が高く、全ての移動パネルを同じ構造にでき、ガイドレールも小型化でき、隙間も塞ぐことが可能な移動式間仕切装置を提供する。
【解決手段】
ガイドレール4は、上板26の両側縁部に下設した両垂下板27の下端に対向状態で一対の摺動片28を形成し、移動パネル1の上枠12の凹溝部内に連係部材7を遊嵌し、中央部で上枠と連係部材とを自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結し、連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラ3,3を、両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式間仕切装置に係わり、更に詳しくは大部屋を小部屋に区画するために天井から床面にわたる全面を閉止可能又は開放可能となした移動式間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大部屋内の天井に設けたレールに沿って、複数の移動パネルをそのパネル表面に平行な方向(面内方向)へ移動可能とするとともに、全ての移動パネルをレールの一側終端部で90度回転させて格納することを可能とした移動式間仕切装置は各種提供されている。この種の移動式間仕切装置は、レールの一側終端部で、移動パネルをパネル表面がレールと直交するように90度回転させて、その表面同士を重ねてコンパクトに格納し、大部屋の空間を開放した態様と、移動パネルを90度回転させてレールの一側終端部からレールに沿って引き出し、各移動パネルを連設し、大部屋を小部屋に区画する態様とを実現するものである。そして、移動パネルを所定位置に設置したときに移動不能とするとともに、床面と天井との間の隙間を塞ぐことができるようになっている。
【0003】
この種の移動式間仕切装置は、特許文献1に記載されるように、移動パネルの下端部に設けた複数の転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部の中央部に設けた1個のガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる構造である。通常、ガイドレールに沿って移動パネルを移動させる際の走行安定性を持たせるために、ガイドレールの両側縁に形成した垂下板を移動パネルの上枠に設けた凹溝部内にスライド可能に遊嵌している。そして、前記移動パネルを回転させる方向転換部では、ガイドレールの垂下板を切欠して移動パネルの上端とガイドレールとの間に隙間を設けたのである。そのため、大部屋を仕切る際に、最後にガイドレールの方向転換部に沿って配置する移動パネルとガイドレールとの間に隙間が生じるので、この隙間を塞ぐための該移動パネルの上枠の凹溝部内に、閉塞部材を上方へ弾性付勢して設けたのである。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の移動式間仕切装置では、天井に固定したガイドレールの大部分に上下幅が大きな垂下板が存在するので、ガイドレールの上下寸法が大きくなり、大部屋を仕切らないときには、ガイドレールが視覚に入りやすく、目障りとなる。また、ガイドレールは、垂下板が存在する直列保持部と、垂下板の一部を切り欠いた方向転換部の境界に大きな段差が生じるので、その部分でも外観性を損なうことになる。更に、移動パネル自体においても、直列保持部に位置する多数の移動パネルと、方向転換部に位置する少数の移動パネルとでは上部構造が異なり、複数種類を扱うことになり、製造コストと管理、保管コストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−297830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、下部に設けたリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置において、移動パネルの走行安定性が高く、全ての移動パネルを同じ構造にすることが可能であり、ガイドレールも目立たないように小型化でき、移動パネルとガイドレールの間の隙間も塞ぐことが可能な移動式間仕切装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であり、前記移動パネルの上枠の凹溝部内に下向きに開放した断面略コ字形の連係部材を遊嵌し、中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラを、前記ガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したことを特徴とする移動式間仕切装置を構成した(請求項1)。
【0008】
ここで、前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなるものである(請求項2)。
【0009】
また、前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなることが好ましい(請求項3)。
【0010】
そして、前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなることが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる請求項1に係る発明の移動式間仕切装置によれば、ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であるので、ガイドレールの上下寸法を小さく、しかも全長にわたって同じ断面形状にすることができるので、施工性と外観性の向上が図れ、また移動パネルの上端の左右両端部に設けたガイドローラをガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したので、走行安定性に優れ、また両端部にガイドローラを設けた連係部材を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に遊嵌し、左右中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結したので、床面の不陸、床面と天井の間隔の変動、リフト機構によって移動パネルを上昇させた際の変位を吸収することができ、そしてガイドレールを全長にわたって同じ断面形状とし、全ての移動パネルを同じ構造にすることができるので、製造コストと管理、保管コストの低減化を図れるのである。
【0012】
請求項2によれば、前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなるので、床面の不陸、床面と天井の間隔の変動、リフト機構によって移動パネルを上昇させた際の変位を前記支軸のスライドにより確実に吸収することができ、また走行中に移動パネルが面内方向に傾斜しても弾性付勢力が、移動パネルを立起させる方向に作用するので、走行安定性が更に増すのである。
【0013】
請求項3によれば、前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなるので、簡単且つ強固にガイドローラを連係部材に取付けることができ、またガイドレールと連係部材との間の隙間を最小にすることができる。
【0014】
請求項4によれば、前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなるので、ガイドレールと連係部材との間の隙間を接触部材で塞ぐことができ、また移動パネルをガイドレールに沿って移動させる際、あるいは90度方向を変換する際にも、接触部材が変形するので抵抗が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】移動式間仕切装置の動作原理を説明するための簡略平面図であり、(a)は移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態、(b)は各移動パネルを一側に集めて格納し、室内空間を全開した状態をそれぞれ示している。
【図2】移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態の簡略正面図である。
【図3】本発明の移動式間仕切装置の部分斜視図である。
【図4】パネル本体の分解斜視図である。
【図5】ガイドレールと連係部材の関係を示す部分分解斜視図である。
【図6】本発明に係る移動パネルの移動可能状態における簡略正面図である。
【図7】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動可能状態を示す縦断面図である。
【図8】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す簡略正面図である。
【図9】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す縦断面図である。
【図10】直列に整列した移動パネルの壁面側部分の横断面図である。
【図11】移動パネル下端部に設けたリフト機構の分解斜視図である。
【図12】移動パネル下端部に設けたリフト機構を示し、(a)は巾木部材が上昇した移動可能状態の部分縦断面図、(b)は巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態を示す部分縦断面図である。
【図13】リフト機構の部分拡大断面図である。
【図14】同じくリフト機構を構成する案内部材の変形例を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図3は本発明に係る移動式間仕切装置の動作原理を説明するための説明図、図4は移動パネルの分解斜視図、図5は上部構造を示す分解斜視図、図6〜図14はその詳細を示し、図中符号1は移動パネル、2は転動輪、3はガイドローラ、4はガイドレール、5はリフト機構、6はドアパネル、7は連係部材、8は自由連結手段、Fは床面、Sは天井、Wは壁面をそれぞれ示している。
【0017】
本発明に係る移動式間仕切装置は、図1〜図6に示すように、移動パネル1の下端部に設けた転動輪2で床面F上を走行するとともに、移動パネル1の上端部に設けたガイドローラ3,3を天井Sに設けたガイドレール4に沿って移動案内し、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させ、またガイドレール4の一側終端部に重ねて格納し、天井Sから床面Fにわたる全面を閉止可能又は開放可能となした下荷重方式の構造のものである。そして、本実施形態では、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させた状態では、該移動パネル1の移動を規制するため、下端部に設けたリフト機構5を操作して該移動パネル1を上昇させ、もって前記転動輪2,…を床面Fから浮上させるのである。
【0018】
更に詳しくは、本実施形態では、前記ガイドローラ3は移動パネル1の両端部上位に一対設けられ、端部に位置する前記移動パネル1と壁面Wとの間に、各移動パネル1,…を90度回転して向きを変えるための空間と、通路となる空間を確保するために、ドアパネル6を設けている。そして、前記ドアパネル6は、壁面Wに蝶着されている。前記ガイドレール4は、大部屋を小部屋に区画するための間取りに応じて予め天井に固定されており、前記ドアパネル6の近傍で前記移動パネル1,…を格納するための格納空間部は分岐構造となっている。つまり、ガイドレール本線部4Aと平行にガイドレール副線部4Bを設けるとともに、前記ガイドレール本線部4Aから分岐し前記ガイドレール副線部4Bの一端に連続するガイドレール分岐部4Cとを有している。前記ガイドレール本線部4Aとガイドレール副線部4Bの中心間隔は、前記移動パネル1の両端部に設けたガイドローラ3,3の回転軸芯間隔と略一致させている。
【0019】
そして、所定位置まで移動パネル1を移動させて直列に配置して前記リフト機構5にて転動輪2,…を浮上させて移動不能とした状態で、この状態を確実に維持するために、移動方向後側の下端部に後述のストッパーを設け、床面Fに係止するようにしている。
【0020】
前記移動パネル1は、パネル本体9の下端に前記転動輪2,…とリフト機構5を設け、上端に連係部材7を自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結し、該連係部材7の両端部上位にそれぞれガイドローラ3,3を設け、更に両端面に硬質ゴム製若しくは合成樹脂製のパッキン10,10を取付けて構成している。ここで、前記パネル本体9は、本実施形態では、アルミ押出し型材からなる両側縦枠11,11と上枠12と下枠13及び横桟14でフレーム構成し、それらで半透明のアクリル樹脂製のパネル板15,15を保持した構造である。本発明に係る移動パネル1は、天井Sから床面Fにわたって閉止するものであるから、実際には縦長の長方形の形状である。
【0021】
前記縦枠11は、扁平な中空形状部材であり、一側面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部16を形成するとともに、他側面の両側部に沿って断面L字形の一対の係止片17,17を突設している。ここで、前記両係止片17,17の先端部の屈曲部は互いに対向するように向け、該係止片17,17に前記パッキン10を嵌着するとともに、ストッパー77を上下スライド可能に係合している。前記上枠12と下枠13は同一の型材であり、前記縦枠11と同様な扁平中空状の補強杆18の両側に垂直板19,19を形成し、内部に凹溝部20を形成したものであり、前記補強杆18の外側面には前記パネル板15を保持する溝部21を形成し、更に前記垂直板19,19の凹溝部20内に面する先端部に係合溝22,22をそれぞれ形成している。また、前記横桟14は、上下に扁平な中空形状部材であり、上下面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部23,23を形成したものである。
【0022】
前記パネル本体9は、前記縦枠11の上下端部の内側面に、前記上枠12と下枠13の端部を突き合わせた状態でL金具24を用いて連結するとともに、両縦枠11,11の上下中間部に前記横桟14の端部を突き合わせてネジ止め等の適宜な手段で連結し、これら部材の溝部16,18,23に前記パネル板15の縁部を、パッキンを介して保持している。ここで、前記縦枠11の上下端部の内側面であって、前記上枠12及び下枠13の端部を突き合わせる位置を切欠するとともに、上下端部の外側面であって、前記上枠12及び下枠13の凹溝部20の内部に対応する位置で、前記両係止片17,17の外側位置に縦長のスリット溝25,25を端部に開放して形成している。
【0023】
そして、前記ガイドレール4は、図3〜図5に示すように、上板26の両側縁部に下設した両垂下板27,27を下設し、該両垂下板27,27の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片28,28を全長にわたって形成した長尺部材である。ここで、前記ガイドレール4の垂下板27の上下幅は、前記摺動片28,28の上位に前記ガイドローラ3の回転部分が収容できる程度で済むので、ガイドレール4の上下寸法を小さくすることが可能である。また、前記ガイドレール4の上板26は、前記垂下板27よりも若干側方へ延び、強度が高い形状となっている。
【0024】
また、図3〜図7に示すように、前記移動パネル1の上枠12の凹溝部20内に連係部材7を遊嵌し、中央部で前記上枠12と前記連係部材7とを自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材7の両端部上位に垂直な回転軸を有するガイドローラ3を設けている。更に詳しくは、前記連係部材7は、水平板29の両側縁に垂直板30,30を垂下し、下向きに開放した断面略コ字形の部材であり、長さは移動パネル1の全幅と略同じである。また、前記連係部材7の垂直板30,30の間隔は、前記ガイドレール4の垂下板27,27の間隔と一致させている。尚、前記連係部材7を前記上枠12の凹溝部20内に遊嵌した状態では、両垂直板30,30が、前記縦枠11の上端部のスリット溝25,25に受け入れられる。
【0025】
前記自由連結手段8は、上端部を前記連係部材7の水平板29に固定した支軸31を前記移動パネル1の上枠12の凹溝部20内の底面に固定した保持台32に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸31の下端の係止環33と保持台32の上面板34との間に圧縮コイルばね35を介装し、前記支軸31の上昇に対して下向きに弾性付勢したものである。本実施形態で、前記支軸31の上端に取付板36を固定し、前記連係部材7の水平板29の下面に該取付板36を密接し、水平板29の上面に配した連結板37と該水平板29を貫通させたネジ38,38を前記取付板36に螺合して取付けている。
【0026】
そして、前記ガイドローラ3の回転軸39の下端を固定板40に固定し、前記連係部材7の水平板29の両端部に開放した切欠溝41,41を形成し、前記固定板40を水平板29の下面に配置するとともに、前記回転軸39を前記切欠溝41に受け入れ、前記水平板29を貫通したネジ42,42を前記固定板40に螺合して取付ける。尚、前記ガイドローラ3の代わりにガイドスライダーを用いることも可能であるが、移動パネル1をスムーズに移動するには、ガイドローラ3を用いることが好ましい。
【0027】
更に、前記連係部材7の水平板29の上面両側縁に沿って係合溝43,43を形成し、該係合溝43,43に可撓性を有する接触部材44,44を突設し、該接触部材44,44を前記ガイドレール4の摺動片28,28の下面に常に当接するようにして、ガイドレール4と連係部材7の間の隙間を塞いでいる。ここで、前記接触部材44は、ブラシやスポンジのようなもので構成することができる。また、図7に示すように、前記上枠12の両垂直板19,19に形成した係合溝22,22に、前記接触部材44と同様の接触部材45,45を嵌着し、該接触部材45,45が前記ガイドレール4の両垂下板27,27の外面に摺接して、前記移動パネル1の移動がスムーズに行えるようにするとともに、隙間を塞いで区画室の機密性、防音性を高めている。
【0028】
図1に示すように、格納状態にある移動パネル1の一方のガイドローラ3はガイドレール本線部4Aに位置し、他方のガイドローラ3はガイドレール副線部4Bに位置している。その状態から大部屋を区画するためにガイドレール4に沿って引き出すには、先ず移動パネル1をガイドレール本線部4Aとガイドレール副線部4Bを共に平行移動させ、一方のガイドローラ3を直線上に移動させながら、他方のガイドローラ3をガイドレール分岐部4Cで直角に方向を変えてガイドレール本線部4Aの方向へ移動パネル1を回転させながら移動させ、他方のガイドローラ3もガイドレール本線部4Aに至ると、移動パネル1をガイドレール4に沿って移動させることができる。この操作を順次行い、全ての移動パネル1,…をガイドレール4に沿って整列させた後、前記ドアパネル6を閉止すれば、区画作業は完成する。区画を開放する場合には、上述の逆の手順で移動パネル1,…を格納する。尚、前記ガイドローラ3の位置が目視できない場合のために、各移動パネル1の上枠12の両垂直板19,19の外面に三角マーク等の目印を付けておくことにより、各ガイドローラ3が分岐点や屈曲点に位置したことが容易に分かり、移動作業をスムーズに行える。
【0029】
本実施形態では、前記ドアパネル6は壁面Wに設けた端部部材46にヒンジ47にて回動可能に連結している。尚、前記ドアパネル6は、端部に位置する移動パネル1に蝶着することも可能である。
【0030】
そして、所定位置に移動させた移動パネル1の姿勢を安定に維持するために、各移動パネル1の下端に設けたリフト機構5を操作して床面Fに圧接し、前記転動輪2を床面Fから浮上させる。図6及び図7は移動パネル1が移動可能な状態(移動可能状態)、図8及び図9は移動パネル1を前記リフト機構5によって浮上させた移動不能な状態(移動規制状態)をそれぞれ示している。前記リフト機構5によってパネル本体9を上昇させた場合でも、前記連係部材7は変位せず、上枠12の凹溝部20内に嵌合する深さが変化するだけであるので、上部の外観性が統一される。このように、パネル本体9の変位は上枠12の凹溝部20と連係部材7との嵌合関係と、前記自由連結手段8によって吸収されるのである。
【0031】
次に、図6〜図9、図11〜図14に基づいて前記リフト機構5の実施形態を説明する。尚、本実施形態では、前記転動輪2,…を含めてユニット化し、そのユニットを前記下枠13の凹溝部20内に装着するようになっている。前記ユニットは、前記下枠13の凹溝部20内に配置する下向き開放の断面略コ字形の載荷部材48と、上方開放の断面略コ字形の巾木部材49を備え、前記載荷部材48の凹溝50内の両端部と中央部に固定した転動輪2,…を有している。前記載荷部材48は、巾木部材49の凹溝内に内挿し得る横幅であり、該巾木部材49の下面51には前記転動輪2,…を貫通する開口52,…を形成している。そして、前記載荷部材48の左右両側端部に、傾斜案内面54を形成した案内部材53を取付けるとともに、前記巾木部材49の上面側に前記傾斜案内面54を下方から受けて転動するローラ55,55を支持部材56に水平な回転軸57にて回動可能に設け、更に前記載荷部材48と巾木部材49の間に互いに接近する方向に弾性付勢するための引張りコイルばね58を係着している。そして、前記載荷部材48を前記下枠13の凹溝部20内に取付けた状態では、前記転動輪2,…がパネル本体9の下端より突出するようになっている。
【0032】
更に詳しくは、前記案内部材53は、合成樹脂製又はアルミダイカスト製のブロック状の部材であり、中央部に表裏に貫通した傾斜孔59を形成し、該傾斜孔59の上縁部を前記傾斜案内面54とし、該傾斜孔59の下縁部を規制部60としている。前記支持部材56はコ字形に金属板を折曲したものであり、両立起板62,62の間に一対のローラ55,55を配して前記回転軸57で保持している。そして、前記回転軸57を前記案内部材53の傾斜孔59に貫通し、両ローラ55,55の間に前記規制部60を挟みこんで位置決めし、両ローラ55,55が前記傾斜案内面54に接触して転動するようにしている。また、前記巾木部材49に不意に下方への力が加わっても前記回転軸57が規制部60に当接することにより、それ以上の巾木部材49の下方変位を制限することができる。
【0033】
そして、前記案内部材53の傾斜案内面54は、最上部と最下部とに前記ローラ55を準安定状態に係合する凹部63,63を形成し、その間を滑らかな傾斜曲面で連続させた形状である。そして、前記引張りコイルばね58は、前記ローラ55が最上部の凹部63に係合するように前記巾木部材49を斜め上方に弾性付勢している。具体的には、前記巾木部材49の下面51に固定した係止片64と、前記案内部材53の一端部に形成した係止部65とに引張りコイルばね58を傾斜させて両端を係止している。ここで、前記巾木部材49が無負荷状態では、前記引張りコイルばね58の弾性付勢力によって上昇し、前記傾斜案内面54の最上部の凹部63に前記ローラ55が係合するとともに、移動パネル1の移動方向前側の側端から前記巾木部材49の一端部が側方へ突出するように設定されている。前記案内部材53の一端部には、前記転動輪2としてキャスターを取付けるための台座部66が形成され、両端部の転動輪2,2は案内部材53を介して前記載荷部材48に固定され、中央部の転動輪2は前記台座部66と同高の取付金具67にて固定されている。
【0034】
また、図14は、前記案内部材53の変形例であり、前記傾斜孔59の上縁に沿って表裏の傾斜案内面54,54の間に、前記規制部60と同一幅の突条部61を形成している。この場合、前記規制部60と突条部61の間は、前記回転軸57が通過するのに最小限の間隔になっている。
【0035】
前述のように、前記リフト機構5は、前記パネル本体9の下端に沿って設けた下方開放した凹溝部20内に載荷部材48と巾木部材49を上下に配置し、該載荷部材48の少なくとも両端部に転動輪2,2を設け、前記巾木部材49を載荷部材48に対して昇降することにより、前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態と前記巾木部材49が床面Fに圧接した移動規制状態とを実現するものである。そして、本実施形態では、前記載荷部材48をパネル本体9の凹溝部20内に取付ける構造に特徴がある。つまり、本発明は、前記載荷部材48の中央部上面を弾性変形可能又は回動可能な連結部材68を介在させて前記凹溝部20内の上面に上下揺動可能に連結することを特徴としている。更に、前記移動パネル1を直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材48の上面と凹溝部20内の上面との間に圧縮ばね69を介装すればより好ましいのである。
【0036】
具体的には、前記リフト機構5は、前記巾木部材49が上昇して前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態では、該巾木部材49の一端の先端部がパネル本体9の側端面から突出し、移動パネル1を直線状に整列させる際に前記巾木部材49の突出した先端部が他の物に当接した際の反力により該巾木部材49が下降して床面Fに圧接した移動規制状態では、該巾木部材49がパネル本体9の直下に位置する機構であり、前記圧縮ばね69は、移動可能状態で前記巾木部材49の先端部が突出する側とは反対側の端部に設けている。更に、前記載荷部材48の両端部の上面に、該載荷部材48が前記連結部材68を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部70,70を突設するとともに、一方の当止部70にコイルばねからなる前記圧縮ばね69を巻装している。ここで、前記当止部70は、前記案内部材53の上部に一体形成し、前記載荷部材48の上面に形成した孔71から上方へ突出させている。
【0037】
また、前記連結部材68として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して前記載荷部材48の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面との間に空間を形成して連結している。前記連結部材68は、ゴム製の本体部72の上下面に金属製の取付板73,73を強固に固定した構造であり、各取付板73,73を前記載荷部材48の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面にネジ止めして取付けている。前記連結部材68は弾性変形可能であるので、パネル本体9は載荷部材48に対して上下揺動可能となり、またパネル本体9の一端部は前記圧縮ばね69によって上方へ弾性付勢されている。尚、前記連結部材68として、回動可能なヒンジを用いても良い。ここで、床面Fの不陸に応じて前記載荷部材48及び巾木部材49が傾斜して、前記パネル本体9を垂直姿勢にするが、そのために必要な最小限の揺動を許容し、また前記移動パネル1の移動中における不必要な揺動を制限するように、前記当止部70の高さは設定されている。
【0038】
そして、図12(a)に示すように、前記巾木部材49が上昇した状態では、該巾木部材49は前記下枠13の凹溝部20に収まり、その両立上板74,74は前記縦枠11のスリット溝25,25内に位置している。また、前記巾木部材49の突出端部には、端部形状が前記パッキン10の外形と同じ硬質合成樹脂製の当接部材75を設けている。また、前記下枠13の垂直板19,19の下端内面の係合溝22,22には、前記巾木部材49の外面に摺接する接触部材76,76を設け、表裏方向のガタツキを防止している。
【0039】
そして、前記移動パネル1を前記ガイドレール4に沿って移動させ、壁面W又は先行する他の移動パネル1の側端に前記巾木部材49の突出部の当接部材75を衝突させると、その衝撃力によって相対的にパネル本体9の下方に前記巾木部材49が押し込まれるような横方向の外力が加わる。実際には、前記巾木部材49が当止されて移動規制されるが、パネル本体9の慣性力によって相対的な横方向の外力が作用するのである。それにより、前記ローラ55が前記傾斜案内面54を下方へ転動するのに従って前記巾木部材49が下降し、該巾木部材49が床面Fに接触した後には、前記ローラ55の上に前記傾斜案内面54が競り上がりパネル本体9を上昇させ、ついには最下部の凹部63がローラ55に係合する位置まで来ると、前記巾木部材49はパネル本体9の直下に位置するようになる。結果的に、前記転動輪2,…は浮上し、巾木部材49が床面Fに圧接して移動規制状態となるのである(図12(b)参照)。
【0040】
ここで、前記巾木部材49が床面Fに圧接し、パネル本体9の直下に位置した移動規制状態では、前記ローラ55が前記傾斜案内面54の最下部の凹部63に準安定状態で係合しているのみであり、しかも前記引張りコイルばね58の弾性付勢力はパネル本体9を後退させる方向に作用し、つまり前記凹部63がローラ55から外れる方向に作用するので、安定とは言い難い。
【0041】
そこで、図10に示すように、隣接する移動パネル1,1の側端のパッキン10,10同士が凹凸嵌合するように、該パッキン10の断面形状を工夫するとともに、移動パネル1の移動方向後側の下端部に前記床面Fに係止するストッパー77を設けている。ここで、前記パッキン10は、中心線で対称形であり、表側の凹凸と裏側の凹凸が互いに係合する形状としている。従って、移動パネル1の左右両側に取付けるパッキン10,10は同じ向きにして、前記縦枠11の両係止片17,17に上下スライド係合させて装着する。
【0042】
前記ストッパー77は、図3〜図6に示すように、横断面形状が前記パッキン10の外形断面形状と同じである硬質合成樹脂製の本体部78の下端に金属製のピン79を突設し、前記本体部78の両側に形成した縦溝80,80を前記縦枠11の一対の係止片17,17の先端屈曲部にスライド可能に係合し、該本体部78を下降させて前記ピン79を前記床面Fの所定位置に予め形成しておいた係合穴81に落とし込み係合する構造である。ここで、前記ストッパー77を設ける位置は、前記パッキン10の下端を短くして確保し、該ストッパー77を上昇させた状態では、前記パッキン10に当接して外観が一体となる。また、前記ストッパー77は、前記縦溝80,80と係止片17,17の先端屈曲部との摩擦力によって、自重では下降しないようにしている。また、前記ストッパー77の本体部78の外側面で上下中間部には、指を掛けるための凹陥部82を形成し、操作性を良くしている。
【0043】
尚、先行して直列に並んだ移動パネル1の前記ストッパー77の本体部78は、後続の移動パネル1の前記巾木部材49の先端部の当接部材75が衝突するとともに、前記本体部78に当接部材75が当接したまま下方へ変位するが、何れも硬質合成樹脂製で形成しているので摺動性に優れているため、スムーズな摺動動作を実現できるのである。
【0044】
そして、前記巾木部材49が床面Fに圧接して前記転動輪2,…が浮き上がった状態(移動規制状態)から、移動パネル1をガイドレール4に沿って移動させて格納する場合には、先ず前記ストッパー77を上昇させてピン79を床面Fの係合穴81から抜き、パネル本体9の側部を持って引くことにより、最下部の凹部63とローラ55との係合が外れ、前記パネル本体9の重量によって該パネル本体9が下降して前記転動輪2,…が床面Fに接地するとともに、引張りコイルばね58の弾性付勢力によって巾木部材49が上昇して移動可能状態となるのである。
【符号の説明】
【0045】
F 床面、 S 天井、
W 壁面、
1 移動パネル、 2 転動輪、
3 ガイドローラ、 4 ガイドレール、
5 リフト機構、 6 ドアパネル、
7 連係部材、 8 自由連結手段、
9 パネル本体、 10 パッキン、
11 縦枠、 12 上枠、
13 下枠、 14 横桟、
15 パネル板、 16 溝部、
17 係止片、 18 補強杆、
19 垂直板、 20 凹溝部、
21 溝部、 22 係合溝、
23 溝部、 24 L金具、
25 スリット溝、 26 上板、
27 垂下板、 28 摺動片、
29 水平板、 30 垂直板、
31 支軸、 32 保持台、
33 係止環、 34 上面板、
35 圧縮コイルばね、 36 取付板、
37 連結板、 38 ネジ、
39 回転軸、 40 固定板、
41 切欠溝、 42 ネジ、
43 係合溝、 44 接触部材、
45 接触部材、 46 端部部材、
47 ヒンジ、 48 載荷部材、
49 巾木部材、 50 凹溝、
51 下面、 52 開口、
53 案内部材、 54 傾斜案内面、
55 ローラ、 56 支持部材、
57 回転軸、 58 引張りコイルばね、
59 傾斜孔、 60 規制部、
61 突条部、 62 立起板、
63 凹部、 64 係止片、
65 係止部、 66 台座部、
67 取付金具、 68 連結部材、
69 圧縮ばね、 70 当止部、
71 孔、 72 本体部、
73 取付板、 74 立上板、
75 当接部材、 76 接触部材、
77 ストッパー、 78 本体部、
79 ピン、 80 縦溝、
81 係合穴、 82 凹陥部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式間仕切装置に係わり、更に詳しくは大部屋を小部屋に区画するために天井から床面にわたる全面を閉止可能又は開放可能となした移動式間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大部屋内の天井に設けたレールに沿って、複数の移動パネルをそのパネル表面に平行な方向(面内方向)へ移動可能とするとともに、全ての移動パネルをレールの一側終端部で90度回転させて格納することを可能とした移動式間仕切装置は各種提供されている。この種の移動式間仕切装置は、レールの一側終端部で、移動パネルをパネル表面がレールと直交するように90度回転させて、その表面同士を重ねてコンパクトに格納し、大部屋の空間を開放した態様と、移動パネルを90度回転させてレールの一側終端部からレールに沿って引き出し、各移動パネルを連設し、大部屋を小部屋に区画する態様とを実現するものである。そして、移動パネルを所定位置に設置したときに移動不能とするとともに、床面と天井との間の隙間を塞ぐことができるようになっている。
【0003】
この種の移動式間仕切装置は、特許文献1に記載されるように、移動パネルの下端部に設けた複数の転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部の中央部に設けた1個のガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って直線状に整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる構造である。通常、ガイドレールに沿って移動パネルを移動させる際の走行安定性を持たせるために、ガイドレールの両側縁に形成した垂下板を移動パネルの上枠に設けた凹溝部内にスライド可能に遊嵌している。そして、前記移動パネルを回転させる方向転換部では、ガイドレールの垂下板を切欠して移動パネルの上端とガイドレールとの間に隙間を設けたのである。そのため、大部屋を仕切る際に、最後にガイドレールの方向転換部に沿って配置する移動パネルとガイドレールとの間に隙間が生じるので、この隙間を塞ぐための該移動パネルの上枠の凹溝部内に、閉塞部材を上方へ弾性付勢して設けたのである。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の移動式間仕切装置では、天井に固定したガイドレールの大部分に上下幅が大きな垂下板が存在するので、ガイドレールの上下寸法が大きくなり、大部屋を仕切らないときには、ガイドレールが視覚に入りやすく、目障りとなる。また、ガイドレールは、垂下板が存在する直列保持部と、垂下板の一部を切り欠いた方向転換部の境界に大きな段差が生じるので、その部分でも外観性を損なうことになる。更に、移動パネル自体においても、直列保持部に位置する多数の移動パネルと、方向転換部に位置する少数の移動パネルとでは上部構造が異なり、複数種類を扱うことになり、製造コストと管理、保管コストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−297830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、下部に設けたリフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置において、移動パネルの走行安定性が高く、全ての移動パネルを同じ構造にすることが可能であり、ガイドレールも目立たないように小型化でき、移動パネルとガイドレールの間の隙間も塞ぐことが可能な移動式間仕切装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であり、前記移動パネルの上枠の凹溝部内に下向きに開放した断面略コ字形の連係部材を遊嵌し、中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラを、前記ガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したことを特徴とする移動式間仕切装置を構成した(請求項1)。
【0008】
ここで、前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなるものである(請求項2)。
【0009】
また、前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなることが好ましい(請求項3)。
【0010】
そして、前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなることが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる請求項1に係る発明の移動式間仕切装置によれば、ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であるので、ガイドレールの上下寸法を小さく、しかも全長にわたって同じ断面形状にすることができるので、施工性と外観性の向上が図れ、また移動パネルの上端の左右両端部に設けたガイドローラをガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したので、走行安定性に優れ、また両端部にガイドローラを設けた連係部材を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に遊嵌し、左右中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結したので、床面の不陸、床面と天井の間隔の変動、リフト機構によって移動パネルを上昇させた際の変位を吸収することができ、そしてガイドレールを全長にわたって同じ断面形状とし、全ての移動パネルを同じ構造にすることができるので、製造コストと管理、保管コストの低減化を図れるのである。
【0012】
請求項2によれば、前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなるので、床面の不陸、床面と天井の間隔の変動、リフト機構によって移動パネルを上昇させた際の変位を前記支軸のスライドにより確実に吸収することができ、また走行中に移動パネルが面内方向に傾斜しても弾性付勢力が、移動パネルを立起させる方向に作用するので、走行安定性が更に増すのである。
【0013】
請求項3によれば、前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなるので、簡単且つ強固にガイドローラを連係部材に取付けることができ、またガイドレールと連係部材との間の隙間を最小にすることができる。
【0014】
請求項4によれば、前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなるので、ガイドレールと連係部材との間の隙間を接触部材で塞ぐことができ、また移動パネルをガイドレールに沿って移動させる際、あるいは90度方向を変換する際にも、接触部材が変形するので抵抗が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】移動式間仕切装置の動作原理を説明するための簡略平面図であり、(a)は移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態、(b)は各移動パネルを一側に集めて格納し、室内空間を全開した状態をそれぞれ示している。
【図2】移動パネルを直列に整列させて室内空間を閉止した状態の簡略正面図である。
【図3】本発明の移動式間仕切装置の部分斜視図である。
【図4】パネル本体の分解斜視図である。
【図5】ガイドレールと連係部材の関係を示す部分分解斜視図である。
【図6】本発明に係る移動パネルの移動可能状態における簡略正面図である。
【図7】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動可能状態を示す縦断面図である。
【図8】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す簡略正面図である。
【図9】ガイドレールの直列保持部に移動パネルが位置し、移動規制状態を示す縦断面図である。
【図10】直列に整列した移動パネルの壁面側部分の横断面図である。
【図11】移動パネル下端部に設けたリフト機構の分解斜視図である。
【図12】移動パネル下端部に設けたリフト機構を示し、(a)は巾木部材が上昇した移動可能状態の部分縦断面図、(b)は巾木部材が下降して床面に圧接した移動規制状態を示す部分縦断面図である。
【図13】リフト機構の部分拡大断面図である。
【図14】同じくリフト機構を構成する案内部材の変形例を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図3は本発明に係る移動式間仕切装置の動作原理を説明するための説明図、図4は移動パネルの分解斜視図、図5は上部構造を示す分解斜視図、図6〜図14はその詳細を示し、図中符号1は移動パネル、2は転動輪、3はガイドローラ、4はガイドレール、5はリフト機構、6はドアパネル、7は連係部材、8は自由連結手段、Fは床面、Sは天井、Wは壁面をそれぞれ示している。
【0017】
本発明に係る移動式間仕切装置は、図1〜図6に示すように、移動パネル1の下端部に設けた転動輪2で床面F上を走行するとともに、移動パネル1の上端部に設けたガイドローラ3,3を天井Sに設けたガイドレール4に沿って移動案内し、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させ、またガイドレール4の一側終端部に重ねて格納し、天井Sから床面Fにわたる全面を閉止可能又は開放可能となした下荷重方式の構造のものである。そして、本実施形態では、複数の移動パネル1,…をガイドレール4に沿って列設させた状態では、該移動パネル1の移動を規制するため、下端部に設けたリフト機構5を操作して該移動パネル1を上昇させ、もって前記転動輪2,…を床面Fから浮上させるのである。
【0018】
更に詳しくは、本実施形態では、前記ガイドローラ3は移動パネル1の両端部上位に一対設けられ、端部に位置する前記移動パネル1と壁面Wとの間に、各移動パネル1,…を90度回転して向きを変えるための空間と、通路となる空間を確保するために、ドアパネル6を設けている。そして、前記ドアパネル6は、壁面Wに蝶着されている。前記ガイドレール4は、大部屋を小部屋に区画するための間取りに応じて予め天井に固定されており、前記ドアパネル6の近傍で前記移動パネル1,…を格納するための格納空間部は分岐構造となっている。つまり、ガイドレール本線部4Aと平行にガイドレール副線部4Bを設けるとともに、前記ガイドレール本線部4Aから分岐し前記ガイドレール副線部4Bの一端に連続するガイドレール分岐部4Cとを有している。前記ガイドレール本線部4Aとガイドレール副線部4Bの中心間隔は、前記移動パネル1の両端部に設けたガイドローラ3,3の回転軸芯間隔と略一致させている。
【0019】
そして、所定位置まで移動パネル1を移動させて直列に配置して前記リフト機構5にて転動輪2,…を浮上させて移動不能とした状態で、この状態を確実に維持するために、移動方向後側の下端部に後述のストッパーを設け、床面Fに係止するようにしている。
【0020】
前記移動パネル1は、パネル本体9の下端に前記転動輪2,…とリフト機構5を設け、上端に連係部材7を自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結し、該連係部材7の両端部上位にそれぞれガイドローラ3,3を設け、更に両端面に硬質ゴム製若しくは合成樹脂製のパッキン10,10を取付けて構成している。ここで、前記パネル本体9は、本実施形態では、アルミ押出し型材からなる両側縦枠11,11と上枠12と下枠13及び横桟14でフレーム構成し、それらで半透明のアクリル樹脂製のパネル板15,15を保持した構造である。本発明に係る移動パネル1は、天井Sから床面Fにわたって閉止するものであるから、実際には縦長の長方形の形状である。
【0021】
前記縦枠11は、扁平な中空形状部材であり、一側面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部16を形成するとともに、他側面の両側部に沿って断面L字形の一対の係止片17,17を突設している。ここで、前記両係止片17,17の先端部の屈曲部は互いに対向するように向け、該係止片17,17に前記パッキン10を嵌着するとともに、ストッパー77を上下スライド可能に係合している。前記上枠12と下枠13は同一の型材であり、前記縦枠11と同様な扁平中空状の補強杆18の両側に垂直板19,19を形成し、内部に凹溝部20を形成したものであり、前記補強杆18の外側面には前記パネル板15を保持する溝部21を形成し、更に前記垂直板19,19の凹溝部20内に面する先端部に係合溝22,22をそれぞれ形成している。また、前記横桟14は、上下に扁平な中空形状部材であり、上下面の中央に沿って前記パネル板15を保持する溝部23,23を形成したものである。
【0022】
前記パネル本体9は、前記縦枠11の上下端部の内側面に、前記上枠12と下枠13の端部を突き合わせた状態でL金具24を用いて連結するとともに、両縦枠11,11の上下中間部に前記横桟14の端部を突き合わせてネジ止め等の適宜な手段で連結し、これら部材の溝部16,18,23に前記パネル板15の縁部を、パッキンを介して保持している。ここで、前記縦枠11の上下端部の内側面であって、前記上枠12及び下枠13の端部を突き合わせる位置を切欠するとともに、上下端部の外側面であって、前記上枠12及び下枠13の凹溝部20の内部に対応する位置で、前記両係止片17,17の外側位置に縦長のスリット溝25,25を端部に開放して形成している。
【0023】
そして、前記ガイドレール4は、図3〜図5に示すように、上板26の両側縁部に下設した両垂下板27,27を下設し、該両垂下板27,27の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片28,28を全長にわたって形成した長尺部材である。ここで、前記ガイドレール4の垂下板27の上下幅は、前記摺動片28,28の上位に前記ガイドローラ3の回転部分が収容できる程度で済むので、ガイドレール4の上下寸法を小さくすることが可能である。また、前記ガイドレール4の上板26は、前記垂下板27よりも若干側方へ延び、強度が高い形状となっている。
【0024】
また、図3〜図7に示すように、前記移動パネル1の上枠12の凹溝部20内に連係部材7を遊嵌し、中央部で前記上枠12と前記連係部材7とを自由連結手段8にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材7の両端部上位に垂直な回転軸を有するガイドローラ3を設けている。更に詳しくは、前記連係部材7は、水平板29の両側縁に垂直板30,30を垂下し、下向きに開放した断面略コ字形の部材であり、長さは移動パネル1の全幅と略同じである。また、前記連係部材7の垂直板30,30の間隔は、前記ガイドレール4の垂下板27,27の間隔と一致させている。尚、前記連係部材7を前記上枠12の凹溝部20内に遊嵌した状態では、両垂直板30,30が、前記縦枠11の上端部のスリット溝25,25に受け入れられる。
【0025】
前記自由連結手段8は、上端部を前記連係部材7の水平板29に固定した支軸31を前記移動パネル1の上枠12の凹溝部20内の底面に固定した保持台32に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸31の下端の係止環33と保持台32の上面板34との間に圧縮コイルばね35を介装し、前記支軸31の上昇に対して下向きに弾性付勢したものである。本実施形態で、前記支軸31の上端に取付板36を固定し、前記連係部材7の水平板29の下面に該取付板36を密接し、水平板29の上面に配した連結板37と該水平板29を貫通させたネジ38,38を前記取付板36に螺合して取付けている。
【0026】
そして、前記ガイドローラ3の回転軸39の下端を固定板40に固定し、前記連係部材7の水平板29の両端部に開放した切欠溝41,41を形成し、前記固定板40を水平板29の下面に配置するとともに、前記回転軸39を前記切欠溝41に受け入れ、前記水平板29を貫通したネジ42,42を前記固定板40に螺合して取付ける。尚、前記ガイドローラ3の代わりにガイドスライダーを用いることも可能であるが、移動パネル1をスムーズに移動するには、ガイドローラ3を用いることが好ましい。
【0027】
更に、前記連係部材7の水平板29の上面両側縁に沿って係合溝43,43を形成し、該係合溝43,43に可撓性を有する接触部材44,44を突設し、該接触部材44,44を前記ガイドレール4の摺動片28,28の下面に常に当接するようにして、ガイドレール4と連係部材7の間の隙間を塞いでいる。ここで、前記接触部材44は、ブラシやスポンジのようなもので構成することができる。また、図7に示すように、前記上枠12の両垂直板19,19に形成した係合溝22,22に、前記接触部材44と同様の接触部材45,45を嵌着し、該接触部材45,45が前記ガイドレール4の両垂下板27,27の外面に摺接して、前記移動パネル1の移動がスムーズに行えるようにするとともに、隙間を塞いで区画室の機密性、防音性を高めている。
【0028】
図1に示すように、格納状態にある移動パネル1の一方のガイドローラ3はガイドレール本線部4Aに位置し、他方のガイドローラ3はガイドレール副線部4Bに位置している。その状態から大部屋を区画するためにガイドレール4に沿って引き出すには、先ず移動パネル1をガイドレール本線部4Aとガイドレール副線部4Bを共に平行移動させ、一方のガイドローラ3を直線上に移動させながら、他方のガイドローラ3をガイドレール分岐部4Cで直角に方向を変えてガイドレール本線部4Aの方向へ移動パネル1を回転させながら移動させ、他方のガイドローラ3もガイドレール本線部4Aに至ると、移動パネル1をガイドレール4に沿って移動させることができる。この操作を順次行い、全ての移動パネル1,…をガイドレール4に沿って整列させた後、前記ドアパネル6を閉止すれば、区画作業は完成する。区画を開放する場合には、上述の逆の手順で移動パネル1,…を格納する。尚、前記ガイドローラ3の位置が目視できない場合のために、各移動パネル1の上枠12の両垂直板19,19の外面に三角マーク等の目印を付けておくことにより、各ガイドローラ3が分岐点や屈曲点に位置したことが容易に分かり、移動作業をスムーズに行える。
【0029】
本実施形態では、前記ドアパネル6は壁面Wに設けた端部部材46にヒンジ47にて回動可能に連結している。尚、前記ドアパネル6は、端部に位置する移動パネル1に蝶着することも可能である。
【0030】
そして、所定位置に移動させた移動パネル1の姿勢を安定に維持するために、各移動パネル1の下端に設けたリフト機構5を操作して床面Fに圧接し、前記転動輪2を床面Fから浮上させる。図6及び図7は移動パネル1が移動可能な状態(移動可能状態)、図8及び図9は移動パネル1を前記リフト機構5によって浮上させた移動不能な状態(移動規制状態)をそれぞれ示している。前記リフト機構5によってパネル本体9を上昇させた場合でも、前記連係部材7は変位せず、上枠12の凹溝部20内に嵌合する深さが変化するだけであるので、上部の外観性が統一される。このように、パネル本体9の変位は上枠12の凹溝部20と連係部材7との嵌合関係と、前記自由連結手段8によって吸収されるのである。
【0031】
次に、図6〜図9、図11〜図14に基づいて前記リフト機構5の実施形態を説明する。尚、本実施形態では、前記転動輪2,…を含めてユニット化し、そのユニットを前記下枠13の凹溝部20内に装着するようになっている。前記ユニットは、前記下枠13の凹溝部20内に配置する下向き開放の断面略コ字形の載荷部材48と、上方開放の断面略コ字形の巾木部材49を備え、前記載荷部材48の凹溝50内の両端部と中央部に固定した転動輪2,…を有している。前記載荷部材48は、巾木部材49の凹溝内に内挿し得る横幅であり、該巾木部材49の下面51には前記転動輪2,…を貫通する開口52,…を形成している。そして、前記載荷部材48の左右両側端部に、傾斜案内面54を形成した案内部材53を取付けるとともに、前記巾木部材49の上面側に前記傾斜案内面54を下方から受けて転動するローラ55,55を支持部材56に水平な回転軸57にて回動可能に設け、更に前記載荷部材48と巾木部材49の間に互いに接近する方向に弾性付勢するための引張りコイルばね58を係着している。そして、前記載荷部材48を前記下枠13の凹溝部20内に取付けた状態では、前記転動輪2,…がパネル本体9の下端より突出するようになっている。
【0032】
更に詳しくは、前記案内部材53は、合成樹脂製又はアルミダイカスト製のブロック状の部材であり、中央部に表裏に貫通した傾斜孔59を形成し、該傾斜孔59の上縁部を前記傾斜案内面54とし、該傾斜孔59の下縁部を規制部60としている。前記支持部材56はコ字形に金属板を折曲したものであり、両立起板62,62の間に一対のローラ55,55を配して前記回転軸57で保持している。そして、前記回転軸57を前記案内部材53の傾斜孔59に貫通し、両ローラ55,55の間に前記規制部60を挟みこんで位置決めし、両ローラ55,55が前記傾斜案内面54に接触して転動するようにしている。また、前記巾木部材49に不意に下方への力が加わっても前記回転軸57が規制部60に当接することにより、それ以上の巾木部材49の下方変位を制限することができる。
【0033】
そして、前記案内部材53の傾斜案内面54は、最上部と最下部とに前記ローラ55を準安定状態に係合する凹部63,63を形成し、その間を滑らかな傾斜曲面で連続させた形状である。そして、前記引張りコイルばね58は、前記ローラ55が最上部の凹部63に係合するように前記巾木部材49を斜め上方に弾性付勢している。具体的には、前記巾木部材49の下面51に固定した係止片64と、前記案内部材53の一端部に形成した係止部65とに引張りコイルばね58を傾斜させて両端を係止している。ここで、前記巾木部材49が無負荷状態では、前記引張りコイルばね58の弾性付勢力によって上昇し、前記傾斜案内面54の最上部の凹部63に前記ローラ55が係合するとともに、移動パネル1の移動方向前側の側端から前記巾木部材49の一端部が側方へ突出するように設定されている。前記案内部材53の一端部には、前記転動輪2としてキャスターを取付けるための台座部66が形成され、両端部の転動輪2,2は案内部材53を介して前記載荷部材48に固定され、中央部の転動輪2は前記台座部66と同高の取付金具67にて固定されている。
【0034】
また、図14は、前記案内部材53の変形例であり、前記傾斜孔59の上縁に沿って表裏の傾斜案内面54,54の間に、前記規制部60と同一幅の突条部61を形成している。この場合、前記規制部60と突条部61の間は、前記回転軸57が通過するのに最小限の間隔になっている。
【0035】
前述のように、前記リフト機構5は、前記パネル本体9の下端に沿って設けた下方開放した凹溝部20内に載荷部材48と巾木部材49を上下に配置し、該載荷部材48の少なくとも両端部に転動輪2,2を設け、前記巾木部材49を載荷部材48に対して昇降することにより、前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態と前記巾木部材49が床面Fに圧接した移動規制状態とを実現するものである。そして、本実施形態では、前記載荷部材48をパネル本体9の凹溝部20内に取付ける構造に特徴がある。つまり、本発明は、前記載荷部材48の中央部上面を弾性変形可能又は回動可能な連結部材68を介在させて前記凹溝部20内の上面に上下揺動可能に連結することを特徴としている。更に、前記移動パネル1を直線状に整列させる際に移動方向の後側になる一端部で前記載荷部材48の上面と凹溝部20内の上面との間に圧縮ばね69を介装すればより好ましいのである。
【0036】
具体的には、前記リフト機構5は、前記巾木部材49が上昇して前記転動輪2,…が床面Fに接地した移動可能状態では、該巾木部材49の一端の先端部がパネル本体9の側端面から突出し、移動パネル1を直線状に整列させる際に前記巾木部材49の突出した先端部が他の物に当接した際の反力により該巾木部材49が下降して床面Fに圧接した移動規制状態では、該巾木部材49がパネル本体9の直下に位置する機構であり、前記圧縮ばね69は、移動可能状態で前記巾木部材49の先端部が突出する側とは反対側の端部に設けている。更に、前記載荷部材48の両端部の上面に、該載荷部材48が前記連結部材68を中心として上下揺動する際の最大変位を規制する当止部70,70を突設するとともに、一方の当止部70にコイルばねからなる前記圧縮ばね69を巻装している。ここで、前記当止部70は、前記案内部材53の上部に一体形成し、前記載荷部材48の上面に形成した孔71から上方へ突出させている。
【0037】
また、前記連結部材68として防振ゴムを用い、該防振ゴムを介して前記載荷部材48の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面との間に空間を形成して連結している。前記連結部材68は、ゴム製の本体部72の上下面に金属製の取付板73,73を強固に固定した構造であり、各取付板73,73を前記載荷部材48の上面とパネル本体9の凹溝部20の上面にネジ止めして取付けている。前記連結部材68は弾性変形可能であるので、パネル本体9は載荷部材48に対して上下揺動可能となり、またパネル本体9の一端部は前記圧縮ばね69によって上方へ弾性付勢されている。尚、前記連結部材68として、回動可能なヒンジを用いても良い。ここで、床面Fの不陸に応じて前記載荷部材48及び巾木部材49が傾斜して、前記パネル本体9を垂直姿勢にするが、そのために必要な最小限の揺動を許容し、また前記移動パネル1の移動中における不必要な揺動を制限するように、前記当止部70の高さは設定されている。
【0038】
そして、図12(a)に示すように、前記巾木部材49が上昇した状態では、該巾木部材49は前記下枠13の凹溝部20に収まり、その両立上板74,74は前記縦枠11のスリット溝25,25内に位置している。また、前記巾木部材49の突出端部には、端部形状が前記パッキン10の外形と同じ硬質合成樹脂製の当接部材75を設けている。また、前記下枠13の垂直板19,19の下端内面の係合溝22,22には、前記巾木部材49の外面に摺接する接触部材76,76を設け、表裏方向のガタツキを防止している。
【0039】
そして、前記移動パネル1を前記ガイドレール4に沿って移動させ、壁面W又は先行する他の移動パネル1の側端に前記巾木部材49の突出部の当接部材75を衝突させると、その衝撃力によって相対的にパネル本体9の下方に前記巾木部材49が押し込まれるような横方向の外力が加わる。実際には、前記巾木部材49が当止されて移動規制されるが、パネル本体9の慣性力によって相対的な横方向の外力が作用するのである。それにより、前記ローラ55が前記傾斜案内面54を下方へ転動するのに従って前記巾木部材49が下降し、該巾木部材49が床面Fに接触した後には、前記ローラ55の上に前記傾斜案内面54が競り上がりパネル本体9を上昇させ、ついには最下部の凹部63がローラ55に係合する位置まで来ると、前記巾木部材49はパネル本体9の直下に位置するようになる。結果的に、前記転動輪2,…は浮上し、巾木部材49が床面Fに圧接して移動規制状態となるのである(図12(b)参照)。
【0040】
ここで、前記巾木部材49が床面Fに圧接し、パネル本体9の直下に位置した移動規制状態では、前記ローラ55が前記傾斜案内面54の最下部の凹部63に準安定状態で係合しているのみであり、しかも前記引張りコイルばね58の弾性付勢力はパネル本体9を後退させる方向に作用し、つまり前記凹部63がローラ55から外れる方向に作用するので、安定とは言い難い。
【0041】
そこで、図10に示すように、隣接する移動パネル1,1の側端のパッキン10,10同士が凹凸嵌合するように、該パッキン10の断面形状を工夫するとともに、移動パネル1の移動方向後側の下端部に前記床面Fに係止するストッパー77を設けている。ここで、前記パッキン10は、中心線で対称形であり、表側の凹凸と裏側の凹凸が互いに係合する形状としている。従って、移動パネル1の左右両側に取付けるパッキン10,10は同じ向きにして、前記縦枠11の両係止片17,17に上下スライド係合させて装着する。
【0042】
前記ストッパー77は、図3〜図6に示すように、横断面形状が前記パッキン10の外形断面形状と同じである硬質合成樹脂製の本体部78の下端に金属製のピン79を突設し、前記本体部78の両側に形成した縦溝80,80を前記縦枠11の一対の係止片17,17の先端屈曲部にスライド可能に係合し、該本体部78を下降させて前記ピン79を前記床面Fの所定位置に予め形成しておいた係合穴81に落とし込み係合する構造である。ここで、前記ストッパー77を設ける位置は、前記パッキン10の下端を短くして確保し、該ストッパー77を上昇させた状態では、前記パッキン10に当接して外観が一体となる。また、前記ストッパー77は、前記縦溝80,80と係止片17,17の先端屈曲部との摩擦力によって、自重では下降しないようにしている。また、前記ストッパー77の本体部78の外側面で上下中間部には、指を掛けるための凹陥部82を形成し、操作性を良くしている。
【0043】
尚、先行して直列に並んだ移動パネル1の前記ストッパー77の本体部78は、後続の移動パネル1の前記巾木部材49の先端部の当接部材75が衝突するとともに、前記本体部78に当接部材75が当接したまま下方へ変位するが、何れも硬質合成樹脂製で形成しているので摺動性に優れているため、スムーズな摺動動作を実現できるのである。
【0044】
そして、前記巾木部材49が床面Fに圧接して前記転動輪2,…が浮き上がった状態(移動規制状態)から、移動パネル1をガイドレール4に沿って移動させて格納する場合には、先ず前記ストッパー77を上昇させてピン79を床面Fの係合穴81から抜き、パネル本体9の側部を持って引くことにより、最下部の凹部63とローラ55との係合が外れ、前記パネル本体9の重量によって該パネル本体9が下降して前記転動輪2,…が床面Fに接地するとともに、引張りコイルばね58の弾性付勢力によって巾木部材49が上昇して移動可能状態となるのである。
【符号の説明】
【0045】
F 床面、 S 天井、
W 壁面、
1 移動パネル、 2 転動輪、
3 ガイドローラ、 4 ガイドレール、
5 リフト機構、 6 ドアパネル、
7 連係部材、 8 自由連結手段、
9 パネル本体、 10 パッキン、
11 縦枠、 12 上枠、
13 下枠、 14 横桟、
15 パネル板、 16 溝部、
17 係止片、 18 補強杆、
19 垂直板、 20 凹溝部、
21 溝部、 22 係合溝、
23 溝部、 24 L金具、
25 スリット溝、 26 上板、
27 垂下板、 28 摺動片、
29 水平板、 30 垂直板、
31 支軸、 32 保持台、
33 係止環、 34 上面板、
35 圧縮コイルばね、 36 取付板、
37 連結板、 38 ネジ、
39 回転軸、 40 固定板、
41 切欠溝、 42 ネジ、
43 係合溝、 44 接触部材、
45 接触部材、 46 端部部材、
47 ヒンジ、 48 載荷部材、
49 巾木部材、 50 凹溝、
51 下面、 52 開口、
53 案内部材、 54 傾斜案内面、
55 ローラ、 56 支持部材、
57 回転軸、 58 引張りコイルばね、
59 傾斜孔、 60 規制部、
61 突条部、 62 立起板、
63 凹部、 64 係止片、
65 係止部、 66 台座部、
67 取付金具、 68 連結部材、
69 圧縮ばね、 70 当止部、
71 孔、 72 本体部、
73 取付板、 74 立上板、
75 当接部材、 76 接触部材、
77 ストッパー、 78 本体部、
79 ピン、 80 縦溝、
81 係合穴、 82 凹陥部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であり、前記移動パネルの上枠の凹溝部内に下向きに開放した断面略コ字形の連係部材を遊嵌し、中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラを、前記ガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したことを特徴とする移動式間仕切装置。
【請求項2】
前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなる請求項1記載の移動式間仕切装置。
【請求項3】
前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなる請求項1又は2記載の移動式間仕切装置。
【請求項4】
前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなる請求項1〜3何れか1項に記載の移動式間仕切装置。
【請求項1】
移動パネルの下端部に設けた転動輪で床面上を走行するとともに、移動パネルの上端部に設けたガイドローラを天井に設けたガイドレールに沿って移動案内し、複数の移動パネルをガイドレールに沿って整列させるとともに、リフト機構によって転動輪を浮上させて移動規制状態としてなる移動式間仕切装置であって、前記ガイドレールは、上板の両側縁部に下設した両垂下板の下端に内向きに対向状態で一対の摺動片を全長にわたって形成した長尺部材であり、前記移動パネルの上枠の凹溝部内に下向きに開放した断面略コ字形の連係部材を遊嵌し、中央部で前記上枠と前記連係部材とを自由連結手段にて弾性的に揺動可能且つ昇降可能に連結するとともに、前記連係部材の両端部上位に設けた垂直な回転軸を有するガイドローラを、前記ガイドレールの両垂下板間で両摺動片の上位に転動可能に保持したことを特徴とする移動式間仕切装置。
【請求項2】
前記自由連結手段は、上端部を前記連係部材の水平板に固定した支軸を前記移動パネルの上枠の凹溝部内に固定した保持台に上下スライド可能に設けるとともに、前記支軸の下端の係止環と保持台の上面板との間に圧縮コイルばねを介装し、前記支軸の上昇に対して下向きに弾性付勢してなる請求項1記載の移動式間仕切装置。
【請求項3】
前記ガイドローラの回転軸の下端を固定板に固定し、前記連係部材の水平板の両端部に開放した切欠溝を形成し、前記固定板を水平板の下面に配置するとともに、前記回転軸を前記切欠溝に受け入れ、前記水平板を貫通したネジを前記固定板に螺合して取付けてなる請求項1又は2記載の移動式間仕切装置。
【請求項4】
前記連係部材の水平板の上面両側縁に沿って可撓性を有する接触部材を突設し、該接触部材を前記ガイドレールの摺動片の下面に常に当接してなる請求項1〜3何れか1項に記載の移動式間仕切装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−12797(P2012−12797A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148681(P2010−148681)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
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