説明

移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置および方法

【課題】移動式電力供給車両で電力供給ケーブルを用いて供給先に電力を供給した後に、ケーブル引き摺りや接続状態のまま走行することを回避する。
【解決手段】アウトレット未収納感知部201は、アウトレット104が、移動式電力供給車両の電力供給ケーブル収納庫内の収納コネクタ107から外れていることを感知して、その感知を電気的に通知する感知信号203を出力する。車両走行制限部202は、感知信号203に基づいて、移動式電力供給車両の走行を、例えばイグニッションスイッチ204をオフして制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式電力供給車両において電力供給ケーブルを用いて供給先に電力を供給する際の車両走行制限装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリット車、EV車(エレクトリックビークル:電気自動車)が急速に発展しており(以下「EV車等」または単に「車両」と呼ぶ)、車の充電を行う電力供給スタンドや家庭用充電器等の電力供給ステーションの普及が見込まれる。
【0003】
従来の設置型電力供給スタンドは、移動不可能であったため、車両等の供給先との接続状態によって、ケーブル引き摺りなどの可能性が生じなかった。
しかしながら、設置型スタンドの普及していない地域では、緊急で電力供給可能な移動式電力供給車両が求められる。その際、供給完了後、作業者の不注意により、ケーブル引き摺りや、接続状態のまま走行してしまう可能性があるという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−85262号公報
【特許文献2】特開2004−364426号公報
【特許文献3】特開平7−46711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、移動式電力供給車両において電力供給ケーブルを用いて供給先に電力を供給した後に、ケーブル引き摺りや接続状態のまま走行することを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一端が移動式電力供給車両の電源に固定的に接続されている電力供給ケーブルの他端にあって電力の供給先に接続するためのアウトレットが、移動式電力供給車両の所定の格納位置の収納コネクタから外れていることを感知してその感知を電気的に通知する感知信号を出力するアウトレット未収納感知部と、感知信号に基づいて、移動式電力供給車両の走行を制限する車両走行制限部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動式電力供給車両において電力供給ケーブルを用いて供給先に電力を供給した後に、ケーブル引き摺りや接続状態のまま走行することを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態における移動式電力供給車両のシステム構成図である。
【図2】本実施形態におけるアウトレット未収納感知部と車両走行制限部の構成図である。
【図3】本実施形態におけるアウトレット未収納感知部の詳細なシステム構成図である。
【図4】本実施形態におけるアウトレット未収納感知部の制御動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態における移動式電力供給車両のシステム構成図である。
移動式電力供給車両101から供給先102に電力を供給する場合、電力供給ケーブル収納庫106内の収納コネクタ107から電力供給ケーブル103の先のアウトレット104を脱着して引き出す。そして、アウトレット104を持って電力供給ケーブル103を供給先102まで引き伸ばし、アウトレット104を供給先インレット105に装着して、電力供給を行う。
【0010】
電力供給が終了した後は、アウトレット104を供給先インレット105から脱着し、アウトレット104を持って電力供給ケーブル103を電力供給ケーブル収納庫106内に格納させ、最後にアウトレット104を電力供給ケーブル収納庫106内の収納コネクタ107に装着する。アウトレット104と収納コネクタ107の装着には、アウトレット側コネクタ108と収納コネクタ受け部109とが結合される。
【0011】
図2は、本実施形態におけるアウトレット未収納感知部と車両走行制限部の構成図である。
アウトレット未収納感知部201は、アウトレット104が、図1の電力供給ケーブル収納庫106内の収納コネクタ107から外れていることを感知して、その感知を電気的に通知する感知信号203を出力する。
【0012】
車両走行制限部202は、アウトレット未収納感知部201からの感知信号203に基づいて、図1の移動式電力供給車両101の走行を制限する。具体的には、車両走行制限部202は、感知信号203の受信により移動式電力供給車両101のイグニッションスイッチ204をオフする。あるいは、車両走行制限部202は、感知信号203の受信により移動式電力供給車両101の運転席等で警報音の発音または警報ランプの表示を行う。
【0013】
図2の実施形態の構成により、移動式電力供給車両101において電力供給ケーブル103を用いて供給先102に電力を供給した後に、電力供給ケーブル103を電力供給ケーブル収納庫106内に収納し忘れた場合には、例えばイグニッションスイッチ204が強制的にオフにされるため、運転者はエンジンをかけることができず、電力供給ケーブル103の収納忘れに気が付くことが可能となる。また併せて、警報音の発音または警報ランプの表示によっても同様の効果が期待できる。
【0014】
図3は、本実施形態における図2のアウトレット未収納感知部201の詳細なシステム構成図である。
アウトレット未収納感知部201は、送信装置301、受信装置303、および比較器305を備える。
【0015】
送信装置301は、電力供給ケーブル103または電力供給ケーブル収納庫106内の収納コネクタ107のいずれか一方に送信信号302を送信する。例えば、電力供給ケーブル103側に、通信線306を介して、送信信号302を送信する。
【0016】
受信装置303は、送信信号302の送信後所定時間内に電力供給ケーブル103または収納コネクタ107のいずれか他方から受信信号304を受信する。例えば、収納コネクタ107側から、通信線306を介して、受信信号304を受信する。
【0017】
比較器305は、所定時間の経過後に送信信号302と受信信号304とを比較し、各信号の一致の有無を感知信号203として出力する。
ここで、通信線306による送信装置301と受信装置303間の通信は、例えば電力供給ケーブル103の電力線を用いた電力線通信方式により通信するように構成することができる。あるいは、送信信号302と受信信号304を、電力供給ケーブル103の制御信号線を用いたコントロールパイロット(CPLT)信号通信方式により通信するように構成することができる。
【0018】
図4は、図3の構成を有するアウトレット未収納感知部201の制御動作を示すタイミングチャートである。例えば、図1の供給先102への充電が完了した時点t1から所定期間の間、送信装置301が、例えば図4(a)に示されるパルス波形を有する送信信号302を送信する。この結果、図3のアウトレット側コネクタ108が収納コネクタ受け部109にしっかりと結合していれば、受信装置303は、例えば図4(b)に示される送信信号302と同じパルス波形を有する受信信号304を受信する。比較器305は、例えば送信信号302と受信信号304のアンド論理をとる。この結果、アウトレット104が収納コネクタ107に装着されていればハイレベルの感知信号203を出力し、装着されていなければローレベルの感知信号203を出力する。
【0019】
上述の送信装置301からの送信信号302の送信とその送信から所定時間内の受信信号304の受信の動作は、例えば第1回目にローレベルの感知信号203が出力されて移動式電力供給車両101の走行が制限されたときには、所定時間経過後に、再び同様の制御を行うように構成することができる。これにより、移動式電力供給車両101の操作者が電力供給ケーブル103のアウトレット104を確実に電力供給ケーブル収納庫106内の収納コネクタ107に装着するように、促すことができる。
【0020】
上述の実施形態では、アウトレット側コネクタ108と収納コネクタ受け部109を介した送信信号302と受信信号304の通信により、アウトレット104と収納コネクタ107の装着の有無を感知するように構成された。これに対して、アウトレット側コネクタ108と収納コネクタ受け部109になんらかの固定機構があれば、そこに近接センサを設置してそのセンサをアウトレット未収納感知部201として動作させることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
101 移動式電力供給車両
102 供給先
103 電力供給ケーブル
104 アウトレット
105 供給先インレット
106 電力供給ケーブル収納庫
107 収納コネクタ
108 アウトレット側コネクタ
109 収納コネクタ受け部
201 アウトレット未収納感知部
202 車両走行制限部
203 感知信号
204 イグニッションスイッチ
301 送信装置
302 送信信号
303 受信装置
304 受信信号
305 比較器
306 通信線306

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が移動式電力供給車両の電源に接続される電力供給ケーブルの他端にあって電力の供給先に接続するためのアウトレットが、前記移動式電力供給車両の所定の格納位置の収納コネクタから外れていることを感知して該感知を電気的に通知する感知信号を出力するアウトレット未収納感知部と、
前記感知信号に基づいて、前記移動式電力供給車両の走行を制限する車両走行制限部と、
を備えることを特徴とする移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項2】
前記アウトレット未収納感知部は、
前記電力供給ケーブルまたは前記収納コネクタのいずれか一方に送信信号を送信する送信装置と、
前記送信信号の送信後所定時間内に前記電力供給ケーブルまたは前記収納コネクタのいずれか他方から受信信号を受信する受信装置と、
前記所定時間の経過後に前記送信信号と前記受信信号とを比較し、該各信号の一致の有無を前記感知信号として出力する比較器と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項3】
前記送信信号および前記受信信号を、前記電力供給ケーブルの電力線を用いた電力線通信方式により通信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項4】
前記送信信号および前記受信信号を、前記電力供給ケーブルの制御信号線を用いたコントロールパイロット信号通信方式により通信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項5】
前記車両走行制限部は、前記感知信号の受信により前記移動式電力供給車両のイグニッションスイッチをオフする、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項6】
前記車両走行制限部は、前記感知信号の受信により警報音の発音または警報ランプの表示を行う、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限装置。
【請求項7】
一端が移動式電力供給車両の電源に接続される電力供給ケーブルの他端にあって電力の供給先に接続するためのアウトレットが、前記移動式電力供給車両の所定の格納位置の収納コネクタから外れていることを感知して該感知を電気的に通知する感知信号を出力し、
前記感知信号に基づいて、前記移動式電力供給車両の走行を制限する、
ことを特徴とする移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限方法。
【請求項8】
前記電力供給ケーブルまたは前記収納コネクタのいずれか一方に送信信号を送信し、
前記送信信号の送信後所定時間内に前記電力供給ケーブルまたは前記収納コネクタのいずれか他方から受信信号を受信し、
前記所定時間の経過後に前記送信信号と前記受信信号とを比較し、該各信号の一致の有無を前記感知信号として出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載の移動式電力供給車両における電力供給時の車両走行制限方法。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−110934(P2013−110934A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256359(P2011−256359)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】