移動農機の燃料タンク装置

【課題】エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを、操縦席下方のステップ板下部の機体フレーム内に収納する移動農機において、作業中、操縦者が直接燃料供給口を踏み、燃料供給口を泥で汚し、燃料供給時にキャップを外す時、手を汚したり、更に、泥が燃料供給口から燃料タンク内に入る虞がなくし、かつ操縦者が、快適に作業出来るようにする。
【解決手段】燃料タンク１１の給油口１１ｄに臨むステップ板１３上に前記給油口を覆うカバー１５を装着し、かつ、前記カバーの上面を操縦者側に傾斜させて、足載せ台とし、更に、前記カバーを、前記給油口及び燃料ゲージを覆うようにする。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、農作業用の車輛に係り、詳しくは、移動農機の燃料タンク装置構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、移動農機のエンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを、操縦席下方に固定されたステップ板下部の機体フレーム内に収納し、ステップ板の前部に開口部を設け、燃料タンクの燃料供給口のみをステップ板表面から突出させた移動農機の燃料タンク装置構造は、既に知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】従来既に知られている、移動農機のエンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを、操縦席下方に固定されたステップ板下部の機体フレーム内に収納し、ステップ板の前部に開口部を設け、燃料タンクの燃料供給口のみをステップ板表面から突出させた移動農機の燃料タンク装置構造では、ステップ板から突出している燃料供給口がステップ板の表面積を狭くするばかりでなく、無意識に操縦者が踏み、燃料供給口が泥で汚れて、燃料供給時にキャップを外す時、手を汚したり、更に、泥が燃料供給口から燃料タンク内に入る虞もあった。
【０００４】そこで、本発明は、ステップ板上に前記燃料供給口を覆うカバーを装着して、燃料供給口が泥で汚れないようにし、かつ、前記カバーの上面を操縦者側に傾斜させて、足載せ台として快適に操縦可能とし、更に前記カバーを、燃料供給口のみならず、燃料ゲ−ジも保護することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、エンジン（７）に供給する燃料を貯留する燃料タンク（１１）を、操縦席（８）下方のステップ板（１３）下部の機体フレーム（２ｂ）内に収納する移動農機（１）において、前記燃料タンク（１１）の給油口（１１ｄ）に臨むステップ板（１３）上に前記燃料給油口（１１ｄ）を覆うカバー（１５）を装着し、かつ、前記カバー（１５）の上面を操縦者側に傾斜させて、足載せ台とし、更に、前記カバー（１５）を、前記給油口（１１ｄ）及び燃料ゲージ（１１ｃ）を覆うようにしてなるように構成して、上記の課題を解決した。
【０００６】（作用）移動農機（１）で農作業をする時は、運転者は操縦席（８）に座り、前方下部のカバー（１５）上面の傾斜面に片足を載せ、操縦装置（９）を操作して作業するが、燃料タンク（１１）へ燃料を補給する時は、前記足載せ台としたカバー（１５）を取り外し、前記給油口（１１ｄ）及び燃料ゲージ（１１ｃ）を露出させて、給油口（１１ｄ）のキャップ（１１ｆ）を外し、燃料ゲージ（１１ｃ）を見ながら給油口（１１ｄ）から燃料を補給する。燃料補給が終了すると、給油口（１１ｄ）のキャップ（１１ｆ）を締め、前記カバー（１５）を装着し、再び作業を開始する。
【０００７】なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
【０００８】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実施の形態例について説明する。
【０００９】米麦の刈取、脱穀、収納をするコンバイン１は、図１に示すように、走行フレーム２に装着されたクローら３の駆動によって前進しながら走行フレーム２の前部に装着された刈取部４で米麦を刈り取って後方に搬送し、中央に配設された脱穀部５で脱穀され、脱穀された穀粒は走行フレーム２の後部に搭載された穀粒タンク６に収納される。
【００１０】前記刈取部４と穀粒タンク６の中間の右側方の走行フレーム２上にエンジン７が搭載され、エンジン７のエンジンカバー７ａの上方に操縦席８、更にその前方に操向操作装置９が配設されている。
【００１１】走行フレーム２の最前部は図２に示すように、運転フレーム２ａが装着され、運転フレーム２ａには、前後左右及び底部を障害物から防護された収納部２ｂが設けられ、該収納部２ｂの内部には、前後の取付部１１ａ，１１ｂによって燃料タンク１１が固定されている。
【００１２】燃料タンク１１の上面は、ステップ板１３に覆われているが、前方右寄りの一部に開口部１３ｄを設け、ステップ板１３を貫いて、燃料供給口１１ｄが突出し、燃料供給口１１ｄにはフィルタ１１ｅ及びキャップ１１ｆが装着されている。
【００１３】前記燃料供給口１１ｄの開口部１３ｄのステップ板１３面上には、図２（ａ）に示すように、防泥と防護を兼用した着脱自在の給油口ガード１５が設けられ、かつ、前記給油口ガード１５の上面は操縦者側に傾斜させて、図２（ｂ）に示すように、作業中操縦者が足を載せ、快適に運転出来るように形成されている。
【００１４】更に、図３に示すように、前記開口部１３ｄを燃料供給口１１ｄのみならず、前方中央に、上面が透明で可視の燃料ゲージ１１ｃまで含めて拡大し、前記給油口ガード１５を燃料供給口１１ｄ及び燃料ゲージ１１ｃを覆い、両者を防泥・防護している。
【００１５】この際、図２（ａ）に示すように、ステップ板１３面上において、前記給油口ガード１５の後縁とエンジンカバー７ａの前縁との距離は、操縦者の靴の長さが充分納まるように形成されて、操縦時の操縦者の足が邪魔にならないように配慮いる。
【００１６】また、前記給油口ガード１５を図４に示すように、ステップ板１３角面に蝶番を設け、外側に開閉自在に形成して給油・点検時には、給油口ガード１５を１８０度開いて燃料供給口１１ｄからの給油又は燃料ゲージ１１ｃの点検を容易にすることができる。
【００１７】また、前記給油口ガード１５の装着を図５に示すように、給油口ガード１５の内面に給油口ガード１５（ａ）のように前記キャップ１１ｆに直接嵌合するゴムキャップ１６を給油口ガード１５（ａ）と一体に接着形成し、給油・点検時には、給油口ガード１５（ａ）を直接キャップ１１ｆに脱着するだけで、何ら工具等を使用することなく、燃料供給口１１ｄからの給油又は燃料ゲージ１１ｃの点検を容易にすることができる。
【００１８】また、前記給油口ガード１５の装着を図６に示すように、ステップ板１３の開口部１３ｄに周囲にフランジ部１３ｆを設け、給油口ガード１５を弾性体で前記フランジ部１３ｆに嵌合するように形成して、何ら工具等を使用することなく、燃料供給口１１ｄからの給油又は燃料ゲージ１１ｃの点検を容易にすることができる。
【００１９】また、前記給油口ガード１５の装着を図７に示すように、燃料タンク１１を樹脂構造とし燃料タンク１１の上面の燃料供給口１１ｄ周囲にフランジ部１１ｇを形成し、給油口ガード１５を弾性体で前記フランジ部１１ｇに嵌合するように形成して、何ら工具等を使用することなく、燃料供給口１１ｄからの給油又は燃料ゲージ１１ｃの点検を容易にすることができる。
【００２０】また、前記給油口ガード１５の装着を図８に示すように、給油口ガード１５を後方に延長し、延長部に２個のピン１７併用の弾性体グロメットをステップ板１３の孔に係合するように形成し、前記ピン１７を脱着することにより、何ら工具等を使用することなく、燃料供給口１１ｄからの給油又は燃料ゲージ１１ｃの点検を容易にすることができる。
【００２１】また、給油口ガード１５の上面に滑止め部材１５ｂを装着して、走行中の操縦者の足の滑りを防止している。
【００２２】更に、図９に示すように、給油口ガード１５を燃料ゲージ１１ｃ部のみとし、燃料供給口１１ｄをステップ板１３面上に露出させ、斜め外方に突出させることにより、燃料供給口１１ｄからの給油を容易にすることができる。
【００２３】また、図１０に示すように、前記燃料ゲージ１１ｃを臨むステップ板１３面の開口部に僅かに、縁立部１３ｇを設けることにより、給油口ガード１５を開放時、操縦者が靴で踏んでも、透明で可視のゲージ面を汚損することがない。
【００２４】次に本実施の形態例の作用について説明する。
【００２５】上記構造に基づき、コンバイン１で収穫作業をする時は、運転者は操縦席８に座り、前方の操向操作装置９を操作して作業するが、燃料タンク１１へ燃料を給油する時、又は燃料ゲージ１１ｃを点検する時は、前記足載せ台とした給油口ガード１５を取り外し、前記燃料給油口１１ｄ及び燃料ゲージ１１ｃを露出させて、燃料給油口１１ｄのキャップ１１ｆを外し、燃料ゲージ１１ｃを見ながら燃料給油口１１ｄから燃料を補給する。
【００２６】燃料補給が終了すると、燃料給油口１１ｄのキャップ１１ｆを締め、前記給油口ガード１５を装着し、再び作業を開始する。
【００２７】
【発明の効果】本発明は、エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを、操縦席下方のステップ板下部の機体フレーム内に収納する移動農機において、前記燃料タンクの給油口に臨むステップ板上に前記燃料給油口を覆うカバーを装着し、かつ、前記カバーの上面を操縦者側に傾斜させて、足載せ台とし、更に、前記カバーを、前記燃料給油口及び燃料ゲージを覆うようにしてなるように構成したので、作業中、操縦者が直接燃料供給口を踏み、燃料供給口を泥で汚し、燃料供給時にキャップを外す時、手を汚したり、更に、泥が燃料供給口から燃料タンク内に入る虞がなくなった。また前記カバーを足載せ台としたので操縦者は、快適に作業出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図１】コンバインの側面図である。
【図２】（ａ）は、コンバインの前部の側面図である。（ｂ）は、足載せ台の側面図である。
【図３】給油口ガードの斜視図である。
【図４】他の実施の形態の給油口ガードの斜視図である。
【図５】他の実施の形態の給油口ガード装着の断面図である。
【図６】他の実施の形態の給油口ガード装着の断面図である。
【図７】他の実施の形態の給油口ガード装着の断面図である。
【図８】（ａ）は、他の実施の形態の給油口ガード装着の平面図である。（ｂ）は、（ａ）の実施の形態の断面図である。
【図９】他の実施の形態の燃料供給口の斜視図である。
【図１０】燃料ゲージ保護のステップ板の断面図である。
【符号の説明】
１コンバイン
２走行フレーム
８操縦席
１１燃料タンク
１３ステップ板
１５給油口ガード

【特許請求の範囲】
【請求項１】エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクを、操縦席下方のステップ板下部の機体フレーム内に収納する移動農機において、前記燃料給油口に臨むステップ板上に前記燃料給油口を覆うカバーを装着してなる、ことを特徴とする移動農機の燃料タンク装置。
【請求項２】前記カバーの上面を操縦者側に傾斜させて、足載せ台とした、ことを特徴とする請求項１記載の移動農機の燃料タンク装置。
【請求項３】前記カバーを、前記給油口及び燃料ゲージを覆うようにしてなる、ことを特徴とする請求項１記載の移動農機の燃料タンク装置。

【図１】