説明

移動農機

【課題】エンジンの上方に配置された燃料タンクの上方を覆うボンネットを低コストで取り付けることができる移動農機を提供することを課題としている。
【解決手段】エンジン6の上方に燃料タンク16を配置するように取り付けるブラケット18を共用して、該ブラケット18にボンネット19を取り付け、燃料タンク16の上方を覆うようにボンネット19を燃料タンク16の上方に配置した。ブラケット18の前部には、ボンネット19の前部下方の開口部分を塞ぐカバー28を一体的に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの上方に燃料タンクが配置され、燃料タンクの上方を覆うようにボ燃料タンクの上方にンネットを配置した移動農機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来燃料タンクをエンジンに取り付けるブラケットを設け、エンジンの上方に燃料タンクを配置して取り付け、燃料タンクの上方を覆うようにボンネットを燃料タンクの上方に配置して取り付けた管理機が移動農機として公知となっている。
【特許文献1】特開2005−22434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ボンネットは、複数のステーを介して取り付けられている。このため部品点数が増加し、コストアップになるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の移動農機は、燃料タンク16をエンジン6に取り付けるブラケット18を設け、エンジン6の上方に燃料タンク16を配置して取り付け、燃料タンク16の上方を覆うようにボンネット19を燃料タンク16の上方に配置して取り付けた移動農機において、ボンネット19が、ブラケット18に取り付けられることを第1の特徴としている。
【0005】
第2にブラケット18の前部に、ボンネット19の前部下方の開口部分を塞ぐカバー28を一体的に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の構造によると、ボンネットと燃料タンクが同一のブラケットによってエンジンに取り付けられるため、各々専用の取付け部材が不要となり、部品点数を削減して、コストダウンを図ることができるという利点がある。
【0007】
ブラケットの前部に、ボンネットの前部下方の開口部分を塞ぐカバーを一体的に設けることによって、移動農機の前部を手で持ち上げる際に、カバーが妨げとなり、ボンネット前部下方の開口部分に手を入れるという不都合が防止され、ボンネットの破損等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1,図2は本発明を採用した移動農機である歩行型の管理機の後方斜視図及び側面図である。ミッションケース1が機体フレームの一部を構成している。ミッションケース1から突出する車軸2に車輪3が取り付けられている。車輪3の後方には、耕耘用の耕耘装置であるロータリ4が設けられている。
【0009】
ミッションケース1の上方には、機体フレーム側にエンジン6が搭載されている。エンジン6からミッションケース1内に構成されるトランスミッションには伝動部7を介して駆動力が伝動される。
【0010】
ミッションケース1には、後方斜め上方に向かって突出するハンドル8が取り付けられている。ハンドル8には、クラッチ操作レバー9が揺動自在に設けられている。クラッチ操作レバー9の揺動操作により、伝動部7に設けられたクラッチが操作され、エンジン6からトランスミッションへの駆動力の入り切りが操作される。エンジン6からトランスミッションへの駆動力の伝動によって、車輪3及びロータリ4が回転駆動される。
【0011】
ミッションケース1からは、後方に向かって操作レバー11が突設されている。変速レバー11の揺動操作によって走行速度(車輪3の駆動速度)の変速操作と、ロータリ4の駆動速度及び回転方向の変速操作を行うことができる。
【0012】
本歩行型管理機は、上記構造により、車輪3を接地させて作業者がハンドル8を持ち、エンジン6を作動させ、クラッチ操作レバー9によりエンジン6からトランスミッションに駆動力を伝動させ、変速レバー11により走行速度の変速操作と、ロータリ4の駆動速度及び回転方向の変速を行うことによって、車輪3の駆動により機体を走行させ、この機体の走行に伴って回転するロータリ4により耕耘作業を行うことができる。
【0013】
図3,図4に示されるように、エンジン6の側方にはマフラ12が設けられている。該マフラ12はエンジン6からの排気の導入管15によってエンジン6に支持されて取り付けられている。該マフラ12はマフラカバー13に覆われている。該マフラカバー13の前方からマフラ12の排気パイプ14が突出している。
【0014】
図3,図4に示されるように、エンジン6の上方には、燃料タンク16が設けられている。燃料タンク16は、エンジン6にボルト17を介して一体的に固定されたブラケット18の上部に取り付けられている。燃料タンク16の上方は下方側が開口したボンネット19によって覆われている。
【0015】
燃料タンク16の上面にはキャップ21を備えた給油口22が設けられている。キャップ21及び給油口22はボンネット19から突出している。キャップ21を外すことによって給油口22から燃料を供給することができる。
【0016】
上記ブラケット18は、図5,図6に示されるようにプレートからなる。ブラケット18は、燃料タンク16の底面を受けるタンク受け部23を備えている。該タンク受け部23は燃料タンク16の底面に概ね沿うように湾曲した平板からなる。
【0017】
タンク受け部23の左右両端部分には、下方に突出するエンジン取付部24が設けられている。各エンジン取付部24には取付孔26が設けられている。該取付孔26にボルト17を挿入し、該ボルト17をエンジン6のケースに螺合させることによって、図3,図4に示されるようにブラケット18がエンジン6に固定される。
【0018】
タンク受け部23の後端には、上方に向かって突出するタンク後端固定部27が設けられている。タンク受け部23の前端には、斜め下方に向かって延出するタンク前端固定部28が設けられている。タンク前端固定部28には、上方に向かって突出する取付ブラケット29が溶接等によって一体的に固定されている。
【0019】
図7,図8に示されるように、タンク後端固定部27に、燃料タンク16の後方に設けられたフランジ16aがボルト31によって固定されている。タンク後端固定部27には、ボンネット19の取付け用の補助ステー30が、ボルト31によってフランジ16aと共締めされて固定されている。
【0020】
該補助ステー30は、背面視において略U字状をなすプレートからなる。補助ステー30の左右両方の上端部は外側に向かって折り曲げられ、ボンネット19の取付部30aを構成している。ボンネット19の後方側底面から下方に向かって突出する左右のボス19aと左右の取付部30aとが各々対応してボルトB1によって固定されている。
【0021】
図3,図4に示されるように、燃料タンク16の前方に設けられたフランジ16bが取付ブラケット29にボルト32によって固定されている。図7に示されるように、取付ブラケット29には、ボンネット19の前方側底面から下方に向かって突出するボス19bが、ボルトB2によって固定されている。
【0022】
上記のようにブラケット18のタンク後端固定部27に、ボンネット19と燃料タンク16の後方側が共にボルト31によって固定され、取付ブラケット29にボンネット19と燃料タンク16の前方側がボルト32とボルトB1とによって固定されて、燃料タンク16とボンネット19とがブラケット18に取り付けられる。
【0023】
燃料タンク16はタンク受け部23の上面側に取り付け配置される。タンク受け部23には、燃料タンク16内の燃料の量を検出するフロート用の突出部を避けるように切欠部33が形成されている。タンク受け部23には、燃料タンク16における燃料の送出部をエンジン6側に向けて裸出させる孔部34が形成されている。
【0024】
上記のようにブラケット18が、燃料タンク16とボンネット19の取り付けを兼用するため、各々の取付け用に専用のブラケットを設ける必要がなく、燃料タンク16とボンネット19の取り付けにかかる部品点数を減少させ、コストダウンを図ることができる。
【0025】
ボンネット19の前部下方の開口部分は、タンク前端固定部28がカバーとして概ね塞いでいる。本管理機の前部を手で持ち上げる際には、タンク前端固定部28が妨げとなり、ボンネット19の前部下方の開口部分に手を入れることが規制される。
【0026】
従来上記ボンネット19の前部下方の開口部分に手を入れて管理機の前部を手で持ち上げようとしてボンネット19を破損する等の不都合があったが、ボンネット19の前部下方の開口部分をタンク前端固定部28によって概ね塞ぐことにより、上記ボンネットの破損等が防止される。
【0027】
ブラケット18のタンク受け部23には、左側に突出する略水平な排熱案内板36が溶接等によって一体的に設けられている。該排熱案内板36の左側には、マフラカバー13と燃料タンク16との間に位置する遮蔽板37が上昇傾斜しながら左側(外側)に突出して一体的に設けられている。
【0028】
遮蔽板37の右側方には、排熱案内板36の後方に配置される補助遮蔽板38が、遮蔽板37から突出して一体的に設けられている。マフラ12及びエンジン6からの排熱は遮蔽板37及び補助遮蔽板38によって燃料タンク16に対して遮蔽される。これにより上記排熱による燃料タンク16の温度上昇が抑制される。
【0029】
遮蔽板37,排熱案内板36,補助遮蔽板38がブラケット18に一体的に設けられているため、排熱の遮蔽用の遮蔽部材を専用で設ける必要がなく、排熱遮蔽にかかる部品点数を減少させ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】管理機の斜視図である。
【図2】管理機の側面図である。
【図3】エンジン,燃料タンク,マフラ,ボンネット部分の平面図である。
【図4】エンジン,燃料タンク,マフラ,ボンネット部分の側面図である。
【図5】ブラケットの平面斜視図である。
【図6】ブラケットの底面斜視図である。
【図7】図3のB−B断面図である。
【図8】図4のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0031】
6 エンジン
12 マフラ
16 燃料タンク
18 ブラケット
28 タンク前端固定部(カバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(6)と、燃料タンク(16)と、ボンネット(19)とを備え、燃料タンク(16)をエンジン(6)に取り付けるブラケット(18)を設け、エンジン(6)の上方に燃料タンク(16)を配置して取り付け、燃料タンク(16)の上方を覆うようにボンネット(19)を燃料タンク(16)の上方に配置して取り付けた移動農機において、ボンネット(19)が、ブラケット(18)に取り付けられる移動農機。
【請求項2】
ブラケット(18)の前部に、ボンネット(19)の前部下方の開口部分を塞ぐカバー(28)を一体的に設けた請求項1の移動農機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−302139(P2007−302139A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133529(P2006−133529)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)