説明

移動通信端末、サービスポイント付与サーバ及びサービスポイント付与方法

【課題】公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントが付与される移動通信端末と、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバと、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法とを提供すること。
【解決手段】移動通信端末2への着信がサービス提供の場所においてサービス提供の時間にあり且つマナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定し、移動通信端末2への着信が着信条件を満たしていると判定した場合に、着信条件が満たされたこと及びこの着信に移動通信端末2が応答しなかったことを条件に含むサービスポイントの付与条件を満たした移動通信端末に対しサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバ8宛に、判定部26による判定結果を示すデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マナーモードに設定可能な移動通信端末と、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバと、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯電話の発する着信音を消音するためのマナー操作の設定に対してポイントを付与する方法と、取得ポイントに応じて特典を還元するサービスシステムとが開示されている。このような特許文献1の技術によれば、着信音の消音設定が必要となる公共性の高い場所において、マナーモードの設定が促進される。
【特許文献1】特開2005−130410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公共性の高い環境においては、着信音だけでなく、通話中の話し声も控える必要がある。しかし、特許文献1の技術では、マナーモードの設定、すなわち着信音の消音設定の有無のみに応じてサービスポイントが付与されるので、マナーモードの設定中に着信に応答し通話した場合であってもサービスポイントが付与されてしまう。従って、公共性に配慮した携帯電話の使用の促進を図るのは困難である。
【0004】
そこで本発明の目的は、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントが付与される移動通信端末と、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバと、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マナーモードに設定可能な移動通信端末であって、当該移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つ上記マナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、上記着信が上記着信条件を満たしていると上記判定手段により判定された場合に、上記着信条件が満たされたこと、及び、上記着信に応答しなかったこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件を満たした端末に付与するこのサービスポイントをこの端末に関連付けてメモリに記録するサービスポイント付与サーバ宛に、上記判定手段による判定結果を示すデータを送信する送信手段とを備える、ことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、予め設定された場所及び時間に着信があった場合にマナーモードに設定されているということと、この着信に移動通信端末が応答しなかったこととがサービスポイントの付与条件を構成しているので、単に、予め設定された場所及び時間にマナーモードが設定されているというだけでなく、着信があっても応答しなかった場合でなければ、サービスポイントは付与されない。従って、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントが付与される移動通信端末が実現できる。
【0007】
本発明は、移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバであって、上記移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つマナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしている旨を示す第1のデータと、上記移動通信端末が上記着信に応答したか否かを示す第2のデータとを受信する受信手段と、上記移動通信端末が上記着信に応答したか否かを上記第2のデータに基づいて判定する判定手段と、上記第1のデータが上記受信手段により受信されたこと、及び、上記移動通信端末が上記着信に応答しなかったと上記判定手段により判定されたこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、このサービスポイントを上記移動通信端末に関連付けてメモリに記録するサービスポイント付与手段とを備える、ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、予め設定された場所及び時間に着信があった場合にマナーモードに設定されているということと、この着信に移動通信端末が応答しなかったこととがサービスポイントの付与条件を構成しているので、単に、予め設定された場所及び時間にマナーモードが設定されているというだけでなく、着信があっても応答しなかった場合でなければ、サービスポイントは付与されない。従って、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントの付与が可能なサービスポイント付与サーバが提供できる。
【0009】
本発明では、上記受信手段は、上記着信を行った発信端末の位置と上記移動通信端末の位置とを含む第3のデータを受信し、上記判定手段は、上記発信端末の位置が上記移動通信端末の位置から所定の範囲内に有るか否かを上記第3のデータに基づいて判定し、上記ポイント付与手段は、上記発信端末の位置が上記移動通信端末の位置から上記範囲内に無いと上記判定手段により判定されたことを更に条件に含む上記サービスポイントの付与条件が満たされた場合に、上記サービスポイントを上記移動通信端末に関連付けてメモリに記録してもよい。
【0010】
発信端末が移動通信端末に着信を行うことと、この着信に対する応答を移動通信端末が行わないこととを複数回繰り返すことにより、サービスポイントが不正に取得される虞がある。このような二つの端末は、互に連絡が取りやすく共謀しやすい場所、すなわち、同一時間内において所定の範囲内にある場合が多い。そこで、本発明のように、発信端末が、移動通信端末から所定の範囲内に無い場合を条件にサービスポイントが付与されれば、サービスポイントの不正取得を防止できる。
【0011】
本発明は、マナーモードに設定可能な移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法であって、上記移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つ上記マナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する第1の判定ステップと、上記移動通信端末が上記着信に応答したか否かを判定する第2の判定ステップと、上記着信が上記着信条件を満たしていると上記第1の判定ステップにおいて判定されたこと、及び、上記移動通信端末が上記着信に応答しなかったと上記第2の判定ステップにおいて判定されたこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、このサービスポイントを上記移動通信端末に関連づけてメモリに記録するサービスポイント付与ステップとを有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、予め設定された場所及び時間に着信があった場合にマナーモードに設定されているということと、この着信に移動通信端末が応答しなかったこととがサービスポイントの付与条件を構成しているので、単に、予め設定された場所及び時間にマナーモードが設定されているというだけでなく、着信があっても応答しなかった場合でなければ、サービスポイントは付与されない。従って、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントの付与が可能なサービスポイント付与方法が提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントが付与される移動通信端末と、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバと、この移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法とが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1に、実施形態に係る通信システム1の構成を示す。通信システム1は、移動通信端末2、呼制御装置4、加入者情報管理装置6、サービスポイント付与サーバ8、サービス提供事業者サーバ10及び認証装置12を備える。移動通信端末2は、呼制御装置4及び加入者情報管理装置6を含む移動通信ネットワークNと無線通信が可能である。呼制御装置4は加入者情報管理装置6に接続されており、加入者情報管理装置6はサービスポイント付与サーバ8に接続されており、サービス提供事業者サーバ10はサービスポイント付与サーバ8に接続されている。認証装置12はサービス提供事業者サーバ10に接続されている。
【0015】
移動通信端末2は、マナーモードの設定が可能な携帯電話等であり、呼制御装置4及び加入者情報管理装置6を含む移動通信ネットワークNを介して通話やデータ通信(以下、通話やデータ通信を単に通信という場合がある。)を行う。呼制御装置4は、外部(発信した移動通信端末であり、以下、発信端末という。)から移動通信ネットワークNを介して移動通信端末2に着信がある場合に、移動通信端末2に呼接続を行う。加入者情報管理装置6は、移動通信端末2の位置の登録を行い、この登録済みの位置を、移動通信端末2の電話番号に紐付けて管理する。
【0016】
サービスポイント付与サーバ8は、移動通信端末2に対してサービスポイントを付与する。なお、サービスポイント付与サーバ8は、移動通信端末2に対するペナルティー等に応じてサービスポイントの減算を行う場合もある。サービスポイント付与サーバ8は、サービスポイントを移動通信端末2の電話番号に紐付けて管理する。サービスポイント付与サーバ8は、サービスポイントを、サービス提供事業者サーバ10に通知可能である。
【0017】
サービス提供事業者サーバ10は、各種サービスを提供するサービス提供業者の有するサーバである。このサービス提供業者の提供するサービスとしては、例えば、音楽会、演劇、学術会議等の開催や、交通機関、医療等の提供等であり、何れも着信音を消音して通話を控えるべき公共性の高いサービスである。認証装置12は、このようなサービスの提供される場所に設置されており、例えば、非接触ICカードリーダライタ等を有する改札装置等である。この場合、移動通信端末2は、非接触ICカードを搭載する。
【0018】
次に、図2及び図3を参照して、移動通信端末2の構成を説明する。移動通信端末2は、物理的には、CPU2a、RAM2b、ROM2c、入力装置2d、出力装置2e、通信装置2f、記録装置2g、測位装置2h及びバイブレータ2iを有しており、これらはバス2jに接続されている。CPU2aは、ROM2c等の内蔵メモリに格納された所定のコンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)をRAM2bにロードして実行することにより、移動通信端末2を統括的に制御する。また、CPU2aは、現在の日時を計時する。
【0019】
入力装置2dは、データ入力用デバイスであり、例えば各種入力キーである。入力装置2dは、入力されたデータをCPU2aに出力する。出力装置2eは、LCD等を有する表示装置であり、CPU2aから入力されたデータをLCD等に表示する。通信装置2fは、移動通信ネットワークNを介して、呼制御装置4及び加入者情報管理装置6と通信し、外部からの発信端末と通信するためのインターフェイスを有している。
【0020】
記録装置2gは、読み出し/書き込み自在なメモリであり、サービス提供事業者サーバ10から発行される入場券データや、CPU2aの実行可能なコンピュータソフトウェア等を格納する。この入場券データは、例えば、音楽会、演劇、学術会議の入場券、病院の診察予約券、交通機関の切付等の電子データである。入場券データには、サービスの名称、サービスの提供場所、サービスの提供時間(開始日時及び終了日時)等、サービスの提供に必要な各種データが含まれている。なお、サービスの提供時間に終了日時が設定されていない場合、移動通信端末2は、サービスの提供時間の開始日時から、予め設定されたデフォルトの時間(例えば、サービスの名称に応じた複数の時間が利用可能である。)の経過した日時を算出し、この算出した日時を終了日時に設定する。また、サービス提供事業者サーバ10は、移動通信端末2に発行した入場券データと同一のデータを、移動通信端末2の電話番号に紐付けて管理している。
【0021】
測位装置2hは、GPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて移動通信端末2の現在位置を算出する。バイブレータ2iは、マナーモードに設定されている場合に、振動によってユーザに着信を知らせるための装置である。
【0022】
移動通信端末2のCPU2aは、図3に示す複数の機能を実現する。すなわち、移動通信端末2は、機能的には、記録部22、確認部24、判定部26及び送信部28を有する。これらの記録部22〜送信部28は、CPU2aがコンピュータソフトウェアを実行し、図2に示す移動通信端末2の各構成部を動作させることにより実現される機能である。特に、CPU2aは、記録部22〜送信部28を用いて、図6のシーケンスの処理を実行する。
【0023】
記録部22は、サービス提供事業者サーバ10から発行された入場券データを記録装置2gに記録する。確認部24は、記録装置2gに記録された入場券データに含まれるサービスの提供場所及びサービスの提供時間を示すデータを参照して、移動通信端末2がサービスの提供時間内にサービスの提供場所に有ることを確認する。例えば、移動通信端末2が認証装置12を通過すると、確認部24は、移動通信端末2の電話番号を認証装置12を介してサービス提供事業者サーバ10に送信し、サービス提供事業者サーバ10は、この送信された移動通信端末2の電話番号に紐付けられた入場券データのコピーを検索し、移動通信端末2がサービスの提供時間内にサービスの提供場所に有ることを確認し、この確認結果を移動通信端末2に通知する。そして、確認部24は、この確認結果の通知をサービス提供事業者サーバ10から受けると、この通知を入場券データに紐付けて記録装置2gに記録する。このようにして、移動通信端末2がサービスの提供時間内にサービスの提供場所に有るということが、確認部24によって確認される。
【0024】
判定部26は、移動通信端末2に着信があると、この着信が、確認部24によって確認されたサービスの提供場所(予め設定された場所であって、記録装置2gに格納された入場券データに含まれているサービスの提供場所)において、確認部24によって確認されたサービスの提供時間(予め設定された時間であって、記録装置2gに格納された入場券データに含まれているサービスの提供時間)内にあり、且つ、マナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する。
【0025】
送信部28は、移動通信端末2に対する着信が上記の着信条件を満たしていると判定部26により判定された場合に、判定部26による判定結果(すなわち、移動通信端末2に対する着信が着信条件を満たしている旨)を示す第1のデータ(移動通信端末2の電話番号と発信端末の電話番号とを含む。以下、同様。)を、サービスポイント付与サーバ8宛に送信する。なお、サービスポイント付与サーバ8は、着信条件が満たされたこと(第1のデータを受信したこと)、及び、第1のデータに係る着信に移動通信端末2が応答しなかったこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件を満たした移動通信端末2に付与するサービスポイントを、移動通信端末2の電話番号に紐付けて(関連づけて)記録装置8eに記録する。
【0026】
次に、図4及び図5を参照して、サービスポイント付与サーバ8の構成を説明する。サービスポイント付与サーバ8は、物理的には、CPU8a、RAM8b、ROM8c、通信装置8d及び記録装置8eを有しており、これらはバス8fに接続されている。CPU8aは、ROM8c等の内蔵メモリに格納された所定のコンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)をRAM8bにロードして実行することにより、サービスポイント付与サーバ8を統括的に制御する。
【0027】
通信装置8dは、移動通信ネットワークNを介して加入者情報管理装置6と通信するためのインターフェイスや、サービス提供事業者サーバ10と通信するためのインターフェイス等を有している。記録装置8eは、読み出し/書き込み自在なメモリであり、移動通信端末2に付与するサービスポイントを、移動通信端末2の電話番号に紐付けて記録する。
【0028】
サービスポイント付与サーバ8のCPU8aは、図5に示す複数の機能を実現する。すなわち、サービスポイント付与サーバ8は、機能的には、受信部82、判定部84及びサービスポイント付与部86を有する。これらの受信部82〜サービスポイント付与部86は、CPU8aがコンピュータソフトウェアを実行し、図4に示すサービスポイント付与サーバ8の各構成部を動作させることにより実現される機能である。特に、CPU8aは、受信部82〜サービスポイント付与部86を用いて、図6のシーケンスの処理を実行する。
【0029】
受信部82は、移動通信端末2への着信が着信条件を満たしている旨を示す第1のデータを加入者情報管理装置6から受信する。受信部82は、移動通信端末2が着信に応答したか否かを示す第2のデータ(移動通信端末2の電話番号を含む。以下、同様。)を呼制御装置4から受信する。受信部82は、移動通信端末2に着信を行った発信端末の位置と移動通信端末2の位置とを含む第3のデータ(発信端末の位置と発信端末の電話番号とは紐付けされており、移動通信端末2の位置と移動通信端末2の電話番号とは紐付けされている。以下、同様。)を加入者情報管理装置6から受信する。なお、受信部82は、呼制御装置4から第1のデータを直接受信してもよい。この場合、加入者情報管理装置6は、第1のデータをサービスポイント付与サーバ8に送信しない。
【0030】
判定部84は、サービスの提供場所及び提供時間内に移動通信端末2にあった着信(受信部82により受信された第1のデータに係る着信)に移動通信端末2が応答したか否かを、受信部82により受信された第2のデータに基づいて判定する。また、判定部84は、移動通信端末2への着信を行った発信端末の位置が移動通信端末2の位置から所定の範囲E内にあるか否かを、受信部82により受信された第3のデータに基づいて判定する。この範囲Eとは、入場券データに含まれるサービスの提供場所内にある。
【0031】
サービスポイント付与部86は、第1のデータが受信部82により受信されたこと(すなわち、着信条件が満たされたこと)、サービスの提供場所及び提供時間内に移動通信端末2にあった着信(第1のデータに係る着信)に移動通信端末2が応答しなかったと判定部84により判定されたこと、及び、この着信を行った発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内に無いと判定部84により判定されたこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、移動通信端末2に付与するサービスポイントを移動通信端末2の電話番号に紐付けて記録装置8eに記録する。サービスポイント付与部86は、移動通信端末2に付与した全サービスポイントの合計と、既に利用済みのサービスポイントの合計と、サービスポイントの現在高(両合計の差分)と、サービスポイントの付与及び利用の履歴と、を記録装置8eに記録する。
【0032】
なお、サービスポイント付与部86は、第1のデータが受信部82により受信されたこと(すなわち、着信条件が満たされたこと)、及び、サービスの提供場所及び提供時間内に移動通信端末2にあった着信(第1のデータに係る着信)に移動通信端末2が応答しなかったと判定部84により判定されたことのみを条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、サービスポイントを移動通信端末2の電話番号に紐付けて記録装置8eに記録してもよい。
【0033】
次に、図6を参照して、通信システム1の動作を説明する。まず、移動通信端末2の記録部22は、サービス提供事業者サーバ10から発行された入場券データを記録装置2gに格納する(ステップS1、第1の判定ステップ)。ステップS1の後、移動通信端末2の確認部24は、移動通信端末2がサービスの提供時間にサービスの提供場所にあることをサービス提供事業者サーバ10に確認する(ステップS2)。そして、移動通信端末2は、このステップS2の処理をトリガとして、後述のステップS4〜ステップS6の処理を行う。
【0034】
なお、確認部24は、移動通信端末2がサービスの提供時間にサービスの提供場所にあることを、認証装置12及びサービス提供事業者サーバ10を用いずに確認してもよい。例えば、確認部24は、入場券データを参照してサービスの提供時間の開始時に至ったと判断すると、測位装置2hを用いて移動通信端末2の現在位置を測位し、この測位により得られた移動通信端末2の現在位置がサービスの提供場所にあることを確認してもよい。
【0035】
ステップS2の後、外部の発信端末から移動通信端末2への着信要求が呼制御装置4に行われると(ステップS3)、移動通信端末2は呼制御装置4を介してこの着信を受ける(ステップS4)。そして、ステップS4の後、移動通信端末2の判定部26は、この着信が着信条件を満たしているか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、ステップS4の着信が着信条件を満たしていないと判定部26により判定された場合(ステップS5;No)、処理は終了され(又は、他の端末からの着信待ちとなり)、ステップS4の着信が着信条件を満たしていると判定部26により判定された場合(ステップS5;Yes)、送信部28は、サービスポイント付与サーバ8宛の第1のデータを呼制御装置4に送信する(ステップS6)。
【0036】
ステップS6の後、呼制御装置4は、移動通信端末2から第1のデータを受けると(ステップS7)、この第1のデータを加入者情報管理装置6に送信する(ステップS8)。ステップS8の後、加入者情報管理装置6は、呼制御装置4から第1のデータを受けると(ステップS9)、この第1のデータをサービスポイント付与サーバ8に送信し(ステップS10)、サービスポイント付与サーバ8の受信部82は、この加入者情報管理装置6からの第1のデータを受ける(ステップS11)。ステップS11の後、サービスポイント付与部86は、移動通信端末2に対するサービスポイント付与処理(ステップS16〜ステップS20)を開始する(ステップS12)。
【0037】
呼制御装置4は、ステップS7において第1のデータを受けた後、移動通信端末2が着信に応答したことによって、又は、発信端末が通信を切断したことによって着信要求が終了すると(ステップS13)、移動通信端末2が第1のデータに係る着信に応答したか否かを示す第2のデータをサービスポイント付与サーバ8に送信する(ステップS14)。加入者情報管理装置6は、ステップS9において第1のデータを受けた後、第1のデータに含まれている発信端末の電話番号と移動通信端末2の電話番号とをキーに、発信端末の位置と移動通信端末2の位置とを検索し、この検索によって得られた発信端末の位置と移動通信端末2の位置とを含む第3のデータをサービスポイント付与サーバ8に送信する(ステップS15)。
【0038】
サービスポイント付与サーバ8の受信部82がステップS12の後に第2のデータを呼制御装置4から受けると(ステップS16)、判定部84は、移動通信端末2が第1のデータに係る着信に応答したか否かを第2のデータに基づいて判定する(ステップS17、第2の判定ステップ)。受信部82がステップS12の後に第3のデータを加入者情報管理装置6から受けると(ステップS18)、判定部84は、発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内にあるか否かを第3のデータに基づいて判定する(ステップS19)。なお、第2のデータについては、サービスポイント付与サーバ8が、ステップS12の後に呼制御装置4に要求して取得するようにしても良いし、第3のデータについては、サービスポイント付与サーバ8が、ステップS12の後に加入者情報管理装置6に要求して取得するようにしても良い。
【0039】
そして、ステップS17において移動通信端末2が着信に応答しなかったと判定部84によって判定された場合(ステップS17;No、サービスポイント付与ステップ)、更に、ステップS19において発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内に無いと判定部84によって判定された場合(ステップS19;No)に(すなわち、サービスポイントの付与条件が満たされた場合に)、サービスポイント付与部86は、サービスポイントを移動通信端末2の電話番号に紐付けて記録装置8eに記録する(すなわち、移動通信端末2の電話番号に紐付けられたサービスポイントを加算)する(ステップS20、サービスポイント付与ステップ)。一方、ステップS17において移動通信端末2が着信に応答したと判定部84によって判定された場合(ステップS17;Yes)、又は、ステップS19において発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内にあると判定部84によって判定された場合(ステップS19;Yes)には、処理が終了する。
【0040】
なお、ステップS17の実行タイミングがステップS16の後であり、且つ、ステップS19の実行タイミングがステップS18の後であれば、ステップS16の実行タイミングとステップS18の実行タイミングとは、何れが先であってもよいし、ステップS17の実行タイミングとステップS19の実行タイミングとは、何れが先であってもよい。また、ステップS15及びステップS19を省略して、ステップS20(サービスポイントの付与)を行っても良い。
【0041】
次に、サービスポイント付与サーバ8によって付与されたサービスポイントの利用形態について説明する。まず、電話事業者がサービスポイントを用いる場合の一例について説明する。電話事業者は、移動通信端末から着信要求を受けると、この移動通信端末の電話番号に紐付けされたサービスポイントが所定の閾値を越えているか否かを判定し、サービスポイントがこの閾値を越えていると判定した場合には、そのまま呼接続を行い、サービスポイントがこの閾値以下であると判定した場合には、例えば二回に一回の割合(50%の接続率)で呼接続を行う。
【0042】
このように、電話事業者は、サービスポイントに応じて、呼接続の接続率に優劣を付けることが可能となる。ユーザは、良好な呼接続の維持を希望するので、閾値を越えたサービスポイントの維持に努めるようになる。これにより、公共性に配慮した移動通信端末の使用が促進可能となる。
【0043】
次いで、サービス提供事業者がサービスポイントを用いる場合の一例について説明する。サービス提供事業者は、移動通信端末からサービス提供の要求(例えば、チケット購入の申し込み等)を受けると、サービス提供が可能か否か(例えば、空席の有無)を確認し、サービス提供が可能な場合に、この移動通信端末の電話番号に紐付けされたサービスポイントの照会をサービスポイント付与サーバ8に行う。サービス提供事業者はサービスポイント付与サーバ8からサービスポイントの通知を受けると、このサービスポイントが所定の閾値を越えているか否かを判定し、サービスポイントがこの閾値を越えていると判定した場合には、サービス提供の契約を優先的に行い、サービスポイントがこの閾値以下であると判定した場合には、サービス提供の優先的契約が終了した時点でサービス提供の余地がある場合にのみサービス提供の契約を行う。
【0044】
このように、サービス提供事業者は、サービスポイントに応じて、サービス提供の契約順位に優劣(先後)を付けることが可能となる。ユーザは、サービス提供の優先的な契約を希望するので、閾値を越えたサービスポイントの維持に努めるようになる。これにより、公共性に配慮した移動通信端末の使用が促進可能となる。
【0045】
次に、移動通信端末2及びサービスポイント付与サーバ8の作用・効果を説明する。移動通信端末2は、マナーモードに設定可能な携帯電話等である。移動通信端末2は、判定部26及び送信部28を有する。判定部26は、移動通信端末2への着信が、入場券データに含まれている予め設定されたサービス提供の場所において入場券データに含まれている予め設定されたサービス提供の時間内にあり且つマナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する。送信部28は、移動通信端末2への着信が着信条件を満たしていると判定部26により判定された場合に、着信条件が満たされたこと、及び、この着信に移動通信端末2が応答しなかったこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件を満たした移動通信端末に付与するサービスポイントをこの移動通信端末の電話番号に関連付けて記録装置8eに記録するサービスポイント付与サーバ8宛に、この判定部26による判定結果を示すデータ(第1のデータ)を送信する。
【0046】
このような移動通信端末2によれば、予め設定された場所及び時間に着信があった場合にマナーモードに設定されているということと、この着信に移動通信端末2が応答しなかったこととがサービスポイントの付与条件を構成しているので、単に、予め設定された場所及び時間にマナーモードが設定されているというだけでなく、着信があっても応答しなかった場合でなければ、サービスポイントは付与されない。従って、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントが付与される移動通信端末2が実現できる。
【0047】
サービスポイント付与サーバ8は、移動通信端末2にサービスポイントを付与する。サービスポイント付与サーバ8は、受信部82、判定部84及びサービスポイント付与部86を有する。受信部82は、移動通信端末2への着信が、入場券データに含まれている予め設定されたサービス提供の場所において入場券データに含まれている予め設定されたサービス提供の時間内にあり且つマナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしている旨を示す第1のデータと、移動通信端末2が第1のデータに係る着信に応答したか否かを示す第2のデータとを受信する。判定部84は、移動通信端末2が第1のデータに係る着信に応答したか否かを第2のデータに基づいて判定する。サービスポイント付与部86は、第1のデータが受信部82により受信されたこと(すなわち、着信条件が満たされたこと。)、及び、移動通信端末2が第1のデータに係る着信に応答しなかったと判定部84により判定されたことを条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、サービスポイントを移動通信端末2の電話番号に関連づけて記録装置8eに記録する。
【0048】
このようなサービスポイント付与サーバ8によれば、予め設定された場所及び時間に着信があった場合にマナーモードに設定されているということと、この着信に移動通信端末2が応答しなかったこととがサービスポイントの付与条件を構成しているので、単に、予め設定された場所及び時間にマナーモードが設定されているというだけでなく、着信があっても応答しなかった場合でなければ、サービスポイントは付与されない。従って、公共性に配慮した移動通信端末の使用を促進するためのサービスポイントの付与が可能なサービスポイント付与サーバ8が提供できる。
【0049】
受信部82は、着信を行った発信端末の位置と移動通信端末2の位置とを含む第3のデータを受信し、判定部84は、発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内に有るかを判定し、サービスポイント付与部86は、発信端末の位置が移動通信端末2の位置から範囲E内に無いと判定部84により判定されたことを更に条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、サービスポイントを移動通信端末2の電話番号に関連づけて記録装置8eに記録しても良い。
【0050】
発信端末が移動通信端末2に着信を行うことと、この着信に対する応答を移動通信端末2が行わないこととを複数回繰り返すことにより、サービスポイントが不正に取得される虞がある。このような二つの端末は、互に連絡が取りやすく共謀しやすい場所、すなわち、同一時間内において所定の範囲内にある場合が多い。そこで、発信端末が、移動通信端末2から範囲E内に無い場合を条件にサービスポイントが付与されれば、サービスポイントの不正取得を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る移動通信端末の構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る移動通信端末の構成を示す図である。
【図4】実施形態に係るサービスポイント付与サーバの構成を示す図である。
【図5】実施形態に係るサービスポイント付与サーバの構成を示す図である。
【図6】実施形態に係る通信システムの動作を説明するためのシーケンスである。
【符号の説明】
【0052】
1…通信システム、10…サービス提供事業者サーバ、12…認証装置、2…移動通信端末、22…記録部、24…確認部、26,84…判定部、28…送信部、2a,8a…CPU、2b,8b…RAM、2c,8c…ROM、2d…入力装置、2e…出力装置、2f,8d…通信装置、2g,8e…記録装置、2h…測位装置、2i…バイブレータ、2j,8f…バス、4…呼制御装置、6…加入者情報管理装置、8…サービスポイント付与サーバ、82…受信部、86…サービスポイント付与部、N…移動通信ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マナーモードに設定可能な移動通信端末であって、
当該移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つ前記マナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、
前記着信が前記着信条件を満たしていると前記判定手段により判定された場合に、前記着信条件が満たされたこと、及び、前記着信に応答しなかったこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件を満たした端末に付与する該サービスポイントを該端末に関連付けてメモリに記録するサービスポイント付与サーバ宛に、前記判定手段による判定結果を示すデータを送信する送信手段と
を備える、ことを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与サーバであって、
前記移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つマナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしている旨を示す第1のデータと、前記移動通信端末が前記着信に応答したか否かを示す第2のデータとを受信する受信手段と、
前記移動通信端末が前記着信に応答したか否かを前記第2のデータに基づいて判定する判定手段と、
前記第1のデータが前記受信手段により受信されたこと、及び、前記移動通信端末が前記着信に応答しなかったと前記判定手段により判定されたこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、該サービスポイントを前記移動通信端末に関連づけてメモリに記録するサービスポイント付与手段と
を備える、ことを特徴とするサービスポイント付与サーバ。
【請求項3】
前記受信手段は、
前記着信を行った発信端末の位置と前記移動通信端末の位置とを含む第3のデータを受信し、
前記判定手段は、
前記発信端末の位置が前記移動通信端末の位置から所定の範囲内に有るか否かを前記第3のデータに基づいて判定し、
前記ポイント付与手段は、
前記発信端末の位置が前記移動通信端末の位置から前記範囲内に無いと前記判定手段により判定されたことを更に条件に含む前記サービスポイントの付与条件が満たされた場合に、前記サービスポイントを前記移動通信端末に関連付けて前記メモリに記録することを特徴とする請求項2に記載のサービスポイント付与サーバ。
【請求項4】
マナーモードに設定可能な移動通信端末にサービスポイントを付与するサービスポイント付与方法であって、
前記移動通信端末への着信が、予め設定された場所において予め設定された時間内にあり且つ前記マナーモードの実行中にある、という着信条件を満たしているか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記移動通信端末が前記着信に応答したか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記着信が前記着信条件を満たしていると前記第1の判定ステップにおいて判定されたこと、及び、前記移動通信端末が前記着信に応答しなかったと前記第2の判定ステップにおいて判定されたこと、を条件に含むサービスポイントの付与条件が満たされた場合に、該サービスポイントを前記移動通信端末に関連づけてメモリに記録するサービスポイント付与ステップと
を有する、ことを特徴とするサービスポイント付与方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−117996(P2009−117996A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286510(P2007−286510)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】