説明

移動間仕切の支持装置

【課題】少ない種類のレールの組合せであっても、両レール間の釣車(ローラ)の乗り移りを円滑に行うことができる移動間仕切の支持装置を提供すること。
【解決手段】両レール部15a,15bに、長手方向に伸びる上下一対の走行部17,23を形成し、該走行部17,23に対して対応して、間仕切パネル3に取り付けた吊支杆8の軸心周りに回動する上下一対のローラ9,10が滑動することによって、間仕切パネル3を移動可能に支持し、吊支杆8が貫通する上下ガイド溝17a,23aの両脇底部のうち一方を傾斜底部21、26とし、他方を略水平底部18,25として、両レール部15a、15bは、上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転させた傾斜面16a、16b同士で接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井の下面に敷設されたガイドレールを構成する複数のレール部材に、長手方向に伸びる上下一対の走行部を形成し、上下方向を向く間仕切パネルに取り付けた吊支杆の軸心周りに回動する上下一対のローラが、前記上下一対の走行部にそれぞれ対応して滑動することによって、間仕切パネルが複数のレール部材に沿って直線方向および該直線方向に直交する方向に移動可能とし、前記走行部には、上下の底部を開口して長手方向を向き、前記吊支杆が貫通するガイド溝を形成し、該上下ガイド溝の両脇底部のうち一方を前記ガイド溝に向けて下方に傾斜させた傾斜底部とし、他方を略水平底部として構成し、前記上下の傾斜底部は左右に振り分けて設けられている移動間仕切の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部屋の空間を間仕切り分割可能なパネルは、部屋上部に縦横にクロスするように敷設した上下二層走行レール内で、上下に延在する釣軸の軸周りに上下層毎に各々回動可能に設けられた2つの釣車(ローラ)によって支持されており、二層走行レールに沿って各釣車の回動によりパネルを移動可能になっている。各釣車は二層走行レール内の上下位置で互い違いに対向する方向に突設された車輪底の上面が内向きに傾斜された突出部により各釣車がそれぞれ点接触で下支えされ支持されている。
【0003】
二層走行レールのレール形状は、平面視で直線または直角方向のT字、L字、十字型の組み合わせで構成され、直線をなすレールに対してパネルを横から縦方向に転換を促す平面視T字型あるいはL字型等の直交する折れ曲がり部を有するレールの組み合わせで形成されている。そこで、レールの直交する位置でパネルの縦進行または横進行を切り換えて移動可能となっており、例えば、複数のパネルを横向きにして横一列で連接することで、部屋の間仕切りが行われ、複数のパネルを縦向きにして部屋の隅部に横方向に重ね合わせることで、これらパネルの収納が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−130883号公報(第3頁右欄上段20行〜右欄下段8行,第4頁左欄上段13行〜右欄上段13行、第3図〜第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっての二層走行レールの形状においては、釣車の円滑な走行を維持するために、直線、T字、L字、十字型の各レールの組み合わせにおいて、常にレール同士の釣車を支持する上下の突出部の位置を揃えて連結する必要があるため、突出部の形成位置の組み合わせパターンを予め数多く備えたレールを用意する必要があり、という問題があった。
【0006】
しかし、レールのパターンを減らしてレール同士を連結してしまうと、向かい合う突出部同士の位置が反対の配置関係にある場合において、一方のレールから他方のレールに向けて釣車が乗り移る際に、この継ぎ目の部分で上下の釣車の回転方向がそれぞれ同時に逆回転し、釣車の乗り移りがスムーズ行われず、パネルの移動時に一瞬抵抗が掛かり移動しづらくなる虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、少ない種類のレールの組合せであっても、両レール間の釣車(ローラ)の乗り移りを円滑に行うことができる移動間仕切の支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の移動間仕切の支持装置は、天井の下面に敷設されたガイドレールを構成する複数のレール部材に、長手方向に伸びる上下一対の走行部を形成し、上下方向を向く間仕切パネルに取り付けた吊支杆の軸心周りに回動する上下一対のローラが、前記上下一対の走行部にそれぞれ対応して滑動することによって、間仕切パネルが複数のレール部材に沿って直線方向および該直線方向に直交する方向に移動可能とし、前記走行部には、上下の底部を開口して長手方向を向き、前記吊支杆が貫通するガイド溝を形成し、該上下ガイド溝の両脇底部のうち一方を前記ガイド溝に向けて下方に傾斜させた傾斜底部とし、他方を略水平底部として構成し、前記上下の傾斜底部は左右に振り分けて設けられている移動間仕切の支持装置であって、前記左右の傾斜底部の配置が異なるレール部材同士の連結箇所において、各レール部材の接続端部は上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転させた傾斜面同士で接合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、上下一対のローラが傾斜面同士で接合された連結箇所を通過する際、いずれか一方のローラが両傾斜底部に接地され、他方のローラが略水平底部から離間するので、一方のローラで吊支杆の姿勢を垂直に保持し、他方のローラは摩擦抵抗なしに水平底部から離間した状態で次の傾斜底部への乗り移ることができ、ローラの円滑な乗り移りが実現できる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の移動間仕切の支持装置は、請求項1に記載の移動間仕切の支持装置であって、前記両レール部材は直線状のレールで構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切パネルを直線方向がら直交する方向に移動する場合に用いられる上面視L字、T字、十字型の各レール部材同士において、直線状のレールを両レール部材を連結する中間の補助レール部材として使用することで、ガイドレールに用いられるレール部材の種類を多く用意することなく各レール部材の共有化を図れ、ガイドレールに必要な各レール部材の種類を削減して余分な製造コストを低減することが可能となる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の移動間仕切の支持装置は、請求項1または2に記載の移動間仕切の支持装置であって、前記ガイド溝の左右幅を前記吊支杆の振れ幅を規制する長さとしたことを特徴としている。
この特徴によれば、吊支杆の左右の振れをガイド溝で確実に規制することで、ローラの左右の傾きが抑えられ、特にローラの進路が直交方向に曲がるときにローラの乗り移りを安定した状態で行うことができる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の移動間仕切の支持装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の移動間仕切の支持装置であって、前記レール部材同士の連結箇所における前記傾斜底部の略水平底部との接続端部上面は、対面する該略水平底部の上面に向かうなだらかな傾斜面が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、略水平底部を滑動していたローラが走行先の傾斜底部に乗り移る際、あるいは逆に傾斜底部を滑動していたローラが走行先の略水平底部に乗り移る際、段差による衝撃をなくしローラを円滑に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1(a)は、本発明の実施例1における各間仕切パネルによって部屋が仕切られた状態を示す斜視図であり、図1(b)は、各間仕切パネルを移動させて壁面側に収納し、部屋を開放する過程を示す斜視図であり、図2は、ガイドレールを構成するレール部材同士の連結に用いられる補助レール部材に吊持された間仕切パネルを示す一部破断斜視図であり、図3(a)は、図2のA−A線に沿う断面図であり、図3(b)は、図2のB−B線に沿う断面図であり、図4(a)は、補助レール部材の上部および下部傾斜底部の形成箇所を示す平面視概略図であり、図4(b)は、図2のC−C線に沿う断面図であり、図4(c)は、図4(a)のD−D線に沿う断面図であり、図5(a)は、補助レール部材を用いずに各レール部材の組み合わせでガイドレールを構成した第1パターンを示す平面視概略図であり、図5(b)は、ガイドレールに補助レール部材を用いた第1パターンを示す平面視概略図であり、図6(a)は、補助レール部材を用いずに各レール部材の組み合わせでガイドレールを構成した第2パターンを示す平面視概略図であり、図6(b)は、ガイドレールに補助レール部材を用いた第2パターンを示す平面視概略図であり、図7は、ガイドレールの第1及び第2パターンに用いられる各レール部材および補助レール部材を示す概略平面図である。
【0014】
図1(a)に示されるように、部屋の空間を仕切る複数の間仕切パネル3は天井Rに設けられた金属材からなる上面視枠状のガイドレール11に移動自在に吊持されている。ガイドレール11は後述する数種類(上面視L字、T字、十字型、直線)のレール部材の組み合わせで構成され、このガイドレール11に沿って床面Fから天井Rを閉塞するように立設される複数の間仕切パネル3を直線状に並設することで、部屋の仕切りが行われている。間仕切パネル3の上端両部には、上下一対のローラを回転自在に支持した一対の吊支杆8,8が立設されており、これらローラがガイドレール11内に形成された後述する上下一対の走行部にそれぞれに支持されることで間仕切パネル3が吊持されている。
【0015】
図1(b)に示されるように、ガイドレール11の壁面2側には複数の間仕切パネル3を順次一枚毎に格納可能な格納部4が形成されており、間仕切パネル3を格納部4に移動して格納する際に、吊支杆8,8を軸にして間仕切パネル3が上面視で直線方向から直角方向に回動されることで、複数の間仕切パネル3が次々と壁面2側に重ね合わされて格納され、部屋の空間が連通される。
【0016】
図2に示されるように、前述した格納部4に用いられる各レール部材の組み合わせの一部連結箇所には、両レール部材を繋ぐ直線状の補助レール部材15が用いられている。補助レール部材15は第1補助レール部15aと第2補助レール部15bとを接合して構成され、第1,第2補助レール部15a,15bには、後述する各レール部材と共通して、吊支杆8の軸心周りに回動する上ローラ9および下ローラ10を遊嵌可能な上下一対の上部走行部17と下部走行部23とが長手方向に向けて形成されている。
【0017】
これら上部走行部17と下部走行部23の両底部には、吊支杆8を上下に貫通し、長手方向に向けて移動可能な上部ガイド溝17aおよび下部ガイド溝23aが形成されている。第1補助レール部15aと第2補助レール部15bの接続端部は、上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転させた傾斜面16a、16b同士で接合されている。第1補助レール部15aは上部ガイド溝17a両脇底部のうち、一方はガイド溝17aに向けて下方に傾斜した上部傾斜底部21が形成され、他方に上部略水平底部18が形成されている。
【0018】
同様に、下部ガイド溝23a両脇底部のうち、一方はガイド溝23aに向けて下方に傾斜した下部傾斜底部26が形成され、他方に下部略水平底部25が形成されている。そして図2、図3(a)に示されるように、第1補助レール部15aの上部走行部17側の傾斜底部21が補助レール部材15の長手方向を中心として右側に形成されると、下部走行部23側の下部傾斜底部26は逆の左側に形成され、上部傾斜底部21の上面には、上ローラ9の下端縁9aが接地され、下部傾斜底部26の上面には、下ローラ10の下端縁10aが接地され、左右バランスを取って間仕切パネル3が吊持されている。そして上ローラ9、10共に略水平底部18,25には接触していない。
【0019】
そして第2補助レール部15bは、図3(b)に示されるように、上部走行部17の両脇底部の左方には上部傾斜底部20が形成され、右方には上部略水平底部19が形成されている。下部走行部23の左方には下部略水平底部24が形成され、右方には下部傾斜底部27が形成されている。上部傾斜底部20の上面には、上ローラ9の下端縁9aが接地され、下部傾斜底部27の上面には、下ローラ10の下端縁10aが接地されることで、第1補助レール部15aと同様に、吊支杆8が両傾斜底部20,27の左右位置で安定した状態を保ちながら支持されている。図3(a)および図3(b)に示されるように、上部ガイド溝17aおよび下部ガイド溝23aの左右幅が吊支杆8に近接する寸法で設計することにより、吊支杆8の左右の振れ幅を規制することができる。
【0020】
図4(a)、(b)に示されるように、第1補助レール部15aと第2補助レール部15bは、上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転(時計方向に回転)させた傾斜面16a、16b同士で接合されているため、第1補助レール部15aと第2補助レール部15bとの傾斜面16a,16bの位置関係は、第1補助レール部15aの下部傾斜底部26と上部略水平底部18が、下部略水平底部25と上部傾斜底部21よりも前方(図4aにおいて右方)にあり、一方、第2補助レール部15bの下部略水平底部24と上部傾斜底部20が、下部傾斜底部26と上部略水平底部19より後方にある。そのため第1補助レール部15aの下部傾斜底部26および第2補助レール部15bの下部傾斜底部27が互いに上下ローラ9,10の進行方向(図4aにおいて2点鎖線で示す)に対して前後に重なった領域(連結箇所)が確保される。
【0021】
この前後に重なり合った下部傾斜部27,26の連結箇所に上下ローラ9,10が通過すると、上ローラ9が上部傾斜底部21から徐々に離間されるとともに、下ローラ10が進行方向先の下部傾斜底部27に接地される。そして、図4(c)に示されるように、上下ローラ9,10が下部傾斜底部27,26の連結箇所に移動されると、下ローラ10の下端縁10aが下部傾斜底部27,26の左右2箇所に接地されるとともに、上ローラ9が左右の上部略水平底部18,19から上方に離間されて上部走行部17内に遊嵌された状態で維持される。
【0022】
さらに、上下ローラ9,10が進行方向前方に移動されると、図4(a)の右方に示されるように、下ローラ10が下部傾斜底部26から離間されるとともに、上ローラ9が上部傾斜底部20に乗り移ることで、この下ローラ10が下部傾斜底部27のみに接地された状態となる。上下ローラ9,10が連結箇所を通過する際、回転方向が通過前後で変更するが、下ローラ10が左右の下部傾斜底部26,27に接地され、上ローラ9が略水平底部18,19から離間し回転変更移行時にフリーになるので、下ローラ10の姿勢を正しく保持した状態で、離間した上ローラ9側の上部傾斜底部20への乗り移りが円滑に行われる。
【0023】
図4(b)に示されるように、第1補助レール部15aの左方の上部略水平底部18と対面する第2補助レール部15bの上部傾斜底部20の接続端部20aの上面は、上部略水平底部18の上面に向けて傾斜した面取りが施されており、上部傾斜底部20の乗り移り時に上ローラ9の下端縁9aに引っ掛かりを生じさせることなく摺接しながら進行方向先の上部傾斜底部20に移動できる。同様に、下部略水平底部24と対面する下部傾斜底部26の接続端部26aの上面も傾斜した面取りが施されて、引っ掛かりを生じさせることなく円滑な移動が可能である。そして反対側に設けられた上部傾斜底部21、下部傾斜底部27についても同じように面取りが施されている。
【0024】
尚、特に図示しないが補助レール部材15の右方の上部傾斜底部21の接続端部上面は、上部略水平底部19の上面に向けて傾斜した面で形成され、下部傾斜底部27の接続端部上面は、下部略水平底部25の上面に向けて傾斜した面で形成されており、前述と同様に上下ローラ9,10の乗り移りにおける摩擦抵抗を傾斜面で低減して、進行方向の前後への移動を円滑に行える構成となっている。
【0025】
次に、ガイドレール11を構成する各レール部材の組み合わせにおける上部傾斜底部と下部傾斜底部との接合関係について説明する。図5(a)、(b)には、第1パターンのガイドレールが示され、図6(a)、(b)には、第2パターンのガイドレールが示されており、図5(a)および図6(a)の第1パターンと第2パターンには、前述した補助レール部材15を用いていない例が示され、図5(b)および図6(b)の第1パターンと第2パターンには、補助レール部材15が用いられた例が示されている。
【0026】
図7に示されるように、これら第1、2パターンのガイドレールに用いられる各レール部材としては、補助レール部材15以外の各レール部材として、レールが直交する十字型のレール部材R+、コーナーを形成するL字型のレール部材RL、上部傾斜底部と下部傾斜底部との配設位置関係に違いがあるT字型のレール部材RT1,RT2,RT3,RT4、直線型のレール部材R−が適宜選択され用いられている。
【0027】
図5(a)に示される第1パターンの構築に際しては、レール部材としてRT1、RT1、RT4、RL、R−が用いられ組み合わされている。これらの接合端部は傾斜底部および略水平底部同士が互いに対面するように接合されている。
【0028】
しかしながら、図5(b)に示されるように、同じ第1パターンを構築するのに、本発明の補助レール部材15を2つ使えば、T字型のレール部材としてはRT1のみで済ませることができる。ただし補助レールと接合するレール部材は補助レールが挿入される長さ分、標準レールから端部を一部切り落として使うことになる。
【0029】
同様にして、図6(a)に示される第2パターンの構築に際しては、レール部材としてRT2、RT3、RL、R+、R−、R−が用いられ組み合わされている。これらの接合端部は傾斜底部および略水平底部同士が互いに対面するように接合されている。
【0030】
しかしながら、図6(b)に示されるように、同じ第2パターンを構築するのに、本発明の補助レール部材15を3つ使えば、T字型のレール部材としてはRT1のみで済ませることができる。このように補助レールを使用することによりレール部材を共用化して使用することができるので、種類の異なる各種のレール部材を多数用意しないで済み、部品の製造コストを低減させることができる。
【0031】
以上の説明により実施例1では、連結する両レール部材間の連結箇所に上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転(時計方向に回転)させた傾斜面16a、16b同士で接合される補助レール部材15を用いたことで、各種ガイドレールパターンに対して少ない種類のレール部材で済み、かつレール間の乗り移りを円滑に行えるので、ガイドレール11に沿って間仕切パネル3の移動がスムーズに行える。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の実施例2を図8に基づいて説明する。図8(a)は、実施例2における補助レール部材の上部および下部傾斜底部の形成箇所を示す平面視概略図であり、図8(b)は、図8(a)のE−E線に沿う断面図である。尚、以下の実施例2において前述の実施例1と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付し、対応箇所については符号にダッシ「’」を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0033】
図8(a)に示されるように、補助レール部材15’は、第1補助レール部15a’と第2補助レール部15b’とで構成されており、第1および第2補助レール部15a’、15b’は、上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転(反時計方向に回転)させた傾斜面16a’,16b’同士で接合され、第1補助レール部15a’の上部傾斜底部21’が下部傾斜底部26’よりも図8(a)において右方にあり、第2補助レール部15b’の上部傾斜底部20’が下部傾斜底部27’よりも図8(a)において左方にある位置関係となっている。
【0034】
そして、図8(b)に示されるように、上下ローラ9,10が上部傾斜底部20’と上部傾斜底部21’の連結箇所に移動されると、上ローラ9の下端縁9aが上部傾斜底部20’,21’の左右2箇所に接地されるとともに、下ローラ10が左右の下部略水平底部24’,25’から上方に離間されて下部走行部23内に遊嵌された状態で維持される。さらに、上下ローラ9,10が進行方向前方に移動されると、図8(a)の右側に示されるように、上ローラ9が上部傾斜底部21’から離れて上部傾斜底部20’に、下ローラ10が下部傾斜底部27’に乗り移る。
【0035】
このように、補助レール部材15’の接合面が、第1実施例と比べ反時計方向に回転させた傾斜面16a’傾斜面16b’であったとしても、実施例1の場合と同様に、接続箇所において上下ローラ9,10が接地される傾斜底部の位置が上下逆になるだけで、乗り移りは円滑に行うことができる。
【0036】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、連結される両レール部材の間に補助レール部材15を設けたことで、各レール部材の組み合わせ部品の点数を低減できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、図6(b)に示されるように、補助レール部材15を用いることなく、両レール部材(RT1、RL)の対面する接続端部面が同一角度を持った所定の傾斜面(30,30’)に形成されることで、直接両レール部材(RT1、RL)の接続端部を接合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)は、本発明の実施例1における各間仕切パネルによって部屋が仕切られた状態を示す斜視図であり、(b)は、各間仕切パネルを移動させて壁面側に収納し、部屋を開放する過程を示す斜視図である。
【図2】ガイドレールを構成するレール部材同士の連結に用いられる補助レール部材に吊持された間仕切パネルを示す一部破断斜視図である。
【図3】(a)は、図2のA−A線に沿う断面図であり、(b)は、図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】(a)は、補助レール部材の上部および下部傾斜底部の形成箇所を示す平面視概略図であり、(b)は、図2のC−C線に沿う断面図であり、(c)は、図4(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図5】(a)は、補助レール部材を用いずに各レール部材の組み合わせでガイドレールを構成した第1パターンを示す平面視概略図であり、(b)は、ガイドレールに補助レール部材を用いた第1パターンを示す平面視概略図である。
【図6】(a)は、補助レール部材を用いずに各レール部材の組み合わせでガイドレールを構成した第2パターンを示す平面視概略図であり、(b)は、ガイドレールに補助レール部材を用いた第2パターンを示す平面視概略図である。
【図7】ガイドレールの第1及び第2パターンに用いられる各レール部材および補助レール部材を示す概略平面図である。
【図8】(a)は、実施例2における補助レール部材の上部および下部傾斜底部の形成箇所を示す平面視概略図であり、(b)は、図8(a)のE−E線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0038】
2 壁面
3 間仕切パネル(移動間仕切装置の一部)
4 格納部
8 吊支杆
9 上ローラ
9a 下端縁
10 下ローラ
10a 下端縁
11 ガイドレール(移動間仕切装置の一部)
15、15’ 補助レール部材
15a、15a’ 第1補助レール部
15b、15b’ 第2補助レール部
16a、16a’ 第1傾斜面
16b、16b’ 第2傾斜面
17 上部走行部
17a 上部ガイド溝
18 上部略水平底部
19 上部略水平底部
20、20’ 上部傾斜底部
20a 接続端部
21、21’ 上部傾斜底部
23 下部走行部
23a 下部ガイド溝
24 下部略水平底部
25 下部略水平底部
26、26’ 下部傾斜底部
26a 接続端部
27、27’ 下部傾斜底部
30、30’ 傾斜面
F 床面
R 天井
RL L字型のレール部材
RT1、RT2 T字型のレール部材
RT3、RT4 T字型のレール部材
R+ 十字型のレール部材
R− 直線型のレール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井の下面に敷設されたガイドレールを構成する複数のレール部材に、長手方向に伸びる上下一対の走行部を形成し、上下方向を向く間仕切パネルに取り付けた吊支杆の軸心周りに回動する上下一対のローラが、前記上下一対の走行部にそれぞれ対応して滑動することによって、間仕切パネルが複数のレール部材に沿って直線方向および該直線方向に直交する方向に移動可能とし、前記走行部には、上下の底部を開口して長手方向を向き、前記吊支杆が貫通するガイド溝を形成し、該上下ガイド溝の両脇底部のうち一方を前記ガイド溝に向けて下方に傾斜させた傾斜底部とし、他方を略水平底部として構成し、前記上下の傾斜底部は左右に振り分けて設けられている移動間仕切の支持装置であって、
前記左右の傾斜底部の配置が異なるレール部材同士の連結箇所において、各レール部材の接続端部は上面視でレール部の長手方向に対して垂直な断面よりそれぞれ同一方向に同一角度回転させた傾斜面同士で接合されていることを特徴とする移動間仕切の支持装置。
【請求項2】
前記両レール部材は直線状のレールで構成されている請求項1に記載の移動間仕切の支持装置。
【請求項3】
前記ガイド溝の左右幅を前記吊支杆の振れ幅を規制する長さとした請求項1または2に記載の移動間仕切の支持装置。
【請求項4】
前記レール部材同士の連結箇所における前記傾斜底部の略水平底部との接続端部上面は、対面する該略水平底部の上面に向かうなだらかな傾斜面が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の移動間仕切の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−2160(P2008−2160A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172681(P2006−172681)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)