説明

移植機の苗受渡し装置

【目的】 植付爪内に常に一定の姿勢で確実に苗を供給できる移植機の苗受渡し装置を提供するものである。
【構成】 苗供給装置8 から苗案内筒13を経て、該苗案内筒13の下方位置に来た植付爪19内に苗12を供給する。苗案内筒13の下端に開閉自在にシャッター14を設け、植付爪19が苗案内筒13の下方に来たときにシャッター14が開くように、該植付爪19の動作に同期してシャッター14を開閉する開閉駆動機構45を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移植機の苗受渡し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】野菜の苗等を圃場に移植する移植機において、苗供給装置から苗案内筒を経て、この苗案内筒の下方に来た植付爪内に苗を自然落下により供給し、その後、植付爪の動作により苗を圃場に植付けるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の移植機は、苗供給装置と植付爪との間に苗案内筒があるため、移植機全体の姿勢が多少傾斜する場合でも、苗案内筒によって苗を植付爪に確実に案内できる利点がある。しかし、従来は単に苗案内筒を設けただけであるため、苗案内筒を経て植付爪まで苗が落下する間に苗の姿勢が変化することがあり、植付爪内で苗が倒れる等、姿勢にバラツキが生じる惧れがある。
【0004】本発明は、かかる点に鑑み、植付爪内に常に一定の姿勢で確実に苗を供給できる移植機の苗受渡し装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、苗供給装置8 から苗案内筒13を経て、該苗案内筒13の下方位置に来た植付爪19内に苗12を供給するようにした移植機の苗受渡し装置において、苗案内筒13の下端に開閉自在にシャッター14を設け、植付爪19が苗案内筒13の下方に来たときにシャッター14が開くように、該植付爪19の動作に同期してシャッター14を開閉する開閉駆動機構45を設けたものである。
【0006】
【作用】移植に際しては、苗供給装置8 から苗案内筒13を経て植付爪19内に苗12を供給する。この時、苗案内筒13のシャッター14が閉じており、苗供給装置8 から供給された苗12は、苗案内筒13内でシャッター14により受けられる。そして、植付爪19が苗案内筒13の下方に来ると、その動作に同期して開閉駆動機構45によりシャッター14が開き、苗12が植付爪19内へと落下する。
【0007】従って、苗案内筒13のシャッター14により一旦苗12を受け止めてから植付爪19内に落下させるので、落下距離が短かくなり、植付爪19内に常に一定姿勢で確実に苗12を供給できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。図1において、1は移植機本体で、前輪2 及び後輪3 を有し、圃場の畝Aを跨いで走行するようになっている。前輪2 は本体1 に伝動ケース4 を介して支持され、エンジン5 により駆動される。エンジン5は伝動装置6 と共に本体1 の前部に搭載され、また本体1 の後部には歩行用のハンドル7 が取付けられている。
【0009】8は苗供給装置で、本体1 上に固定された支柱9 の上端に、ポット部10付きの回転テーブル11を備え、回転テーブル11の間欠回転により苗供給位置に来たポット部10の底が開いて、その内部の苗12を1個づつ下方に落下させるようになっている。13は苗案内筒で、苗供給装置8 の回転テーブル11の下側で苗供給位置に配置され、図外のステーにより本体1 上に支持されている。この苗案内筒13は図2に示すように角筒又は円筒状であって、上部側が広くなっており、下端にはシャッター14が設けられている。
【0010】シャッター14は一端の枢支ピン15により苗案内筒13の下端部のブラケット16に開閉自在に枢支され、またこのシャッター14の遊端側の突片17と苗案内筒13との間には、シャッター14を開放方向に付勢する円弧状のバネ18が設けられている。なお、バネ18は左右両側に設けられているが、一方のみでも良い。19はくちばし状の植付爪で、駆動円板20と従動円板21とを介して本体1 に支持されている。植付爪19は駆動円板20の周縁部に等間隔をおいて複数個配置されている。そして、各植付爪19は角筒状の支持筒22と、この支持筒21の下端に開閉自在に設けられた一対の爪片23とから構成されている。
【0011】各爪片23は、図3及び図4に示すように、支持筒22の前後両側に設けられたコ字状の支持リンク24に取付けられ、また各支持リンク24はピン25で支持筒22の左右両側に枢支されている。各支持リンク24の遊端にはピン26を介してリンク27が連結され、その各リンク27はカムローラ28、リンク29と共にピン30で枢支されている。そして、リンク29は支持筒22の上部のブラケット31にピン32で枢着されている。各爪片23間にはこれを閉方向に付勢するバネ33が設けられている。
【0012】支持筒22には、図5に示すようにその一側に取付ブラケット34が装着され、この取付ブラケット34は前後両端のボルト35により取付板36に着脱自在に取付けられている。駆動円板20は本体1 に駆動軸37を介して支持され、また駆動軸37はチェーン伝動機構38を介して伝動装置6 に連動連結されている。従動円板21は従動軸39を介して本体1 に支持されている。駆動円板20と従動円板21は前後左右に近接して配置されており、各円板20,21 には等ピッチで連結ピン40,41 が周方向に複数個挿支されている。駆動円板20の連結ピン40は取付板36の中央部に固定されたボス部42に挿抜自在に挿入してピン43で固着されている。そして、両連結ピン40,41 は両軸37,39 を結ぶ線分と平行な連結リンク44により一体に連結されている。従って、両円板20,21 、軸37,39 、連結ピン40,41 、連結リンク44は平行リンク機構を構成し、各植付爪19を垂直姿勢に保持するようになっている。
【0013】45は苗案内筒13のシャッター14を開閉する開閉駆動機構で、植付爪19が苗案内筒13の下方に来たときにシャッター14が開くように、植付爪19の動作に連動してシャッター14を開閉するためのものである。この開閉駆動機構45は、図2に示すように苗案内筒13の一側にピン46で枢支された開閉アーム47と、開閉アーム47の下端に枢支されかつシャッター14の下側に転動自在に当接するローラ48と、苗案内筒13の下端部のブラケット49にピン50で枢支された揺動アーム51と、揺動アーム51の下端に枢支されたカムローラ52と、開閉アーム47及び揺動アーム51の上端間を連結する連結ロッド53と、各植付爪19に対応して駆動円板20の外周に設けられた開閉カム54とを備え、揺動アーム51はカムローラ52が駆動円板20側に当接するようにバネ55で付勢されている。
【0014】56は植付爪19の各爪片23を前後に開放するためのカム板で、図外のステーを介して本体1 に固定されており、植付爪19が駆動軸37の直下に来た時にカムローラ28を上方に押上げるようになっている。57はシャッター14の開放限界用のストッパーである。上記構成において、苗12を畝Aに移植する際には、苗供給装置8 のポット部10から苗案内筒13に苗12を供給する。この時、苗案内筒13のシャッター14はローラ48により閉状態に保持されているため、苗12はシャッター14上に受止められる。
【0015】一方、伝動装置6 からチェーン伝動機構38を介して駆動軸37へと回転動力が伝達され、駆動円板20、従動円板21が連動回転するため、各植付爪19が垂直姿勢を保持したままで駆動軸37廻りにa矢示方向に回転する。そして、植付爪19が苗案内筒13の下方に来ると、駆動円板20のカム54がカムローラ52を押し、揺動アーム51がバネ55に抗してピン50廻りにb矢示方向に揺動する。このためロッド53を介して開閉アーム47が引かれ、この開閉アーム47がピン46廻りにc矢示方向に揺動し、ローラ48が前方に移動する。そして、シャッター14がバネ18によりピン15廻りにd矢示方向に回動し、苗案内筒13の下端を開放するため、シャッター14上の苗12はその下方の植付爪19内へと落下して行く。
【0016】従って、苗12は一旦、苗案内筒13のシャッター14で受止められた後、植付爪19へと落下するため、苗供給装置8 から直接植付爪19へと落下する場合に比べて、苗12の一回の落下距離が短かくなり、苗12を植付爪19に常に一定姿勢で確実に供給でき、植付爪19内での苗12の姿勢のバラツキを少なくできる。植付爪19は下死点まで達すると、畝Aの土中に突刺さる。そして、その後、ローラ28がカム板56により上方に押されるので、リンク27、支持リンク24等を介して植付爪19の各爪片23がピン25廻りに夫々前後に回動し、植付爪19内の苗12を落下させて植付ける。
【0017】植付爪19を交換する場合には、ボルト35を抜いて取付板36から取付ブラケット34を取外せば良く、従って、各植付爪19を簡単に着脱できる。また植付爪19を 180度ピッチで2個にする場合にも、同様にして他の植付爪19を取外せば良い。なお、苗供給装置8 は回転テーブル型のものに限られず、例えばコンベヤ型のものを用いても良い。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、苗案内筒13の下端に開閉自在にシャッター14を設け、植付爪19が苗案内筒13の下方に来たときにシャッター14が開くように、該植付爪19の動作に同期してシャッター14を開閉する開閉駆動機構45を設けているので、苗12の一回当りの落下距離が短かくなり、植付爪19内に常に一定姿勢で確実に苗12を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す要部の側面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す植付爪の破断平面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す植付爪の平面図である。
【図5】本発明の一実施例を示す植付爪取付部の側面図である。
【符号の説明】
1 移植機本体
8 苗供給装置
12 苗
13 苗案内筒
14 シャッター
19 植付爪
20 駆動円板
45 開閉駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗供給装置(8) から苗案内筒(13)を経て、該苗案内筒(13)の下方位置に来た植付爪(19)内に苗(12)を供給するようにした移植機の苗受渡し装置において、苗案内筒(13)の下端に開閉自在にシャッター(14)を設け、植付爪(19)が苗案内筒(13)の下方に来たときにシャッター(14)が開くように、該植付爪(19)の動作に同期してシャッター(14)を開閉する開閉駆動機構(45)を設けたことを特徴とする移植機の苗受渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−115203
【公開日】平成5年(1993)5月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−279956
【出願日】平成3年(1991)10月25日
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)