説明

移植機の苗振分け装置

【課題】 個々の苗の間を離して搬送し、その苗を左右に振分けて2箇所の苗植付装置に受け渡して本圃に移植する苗振分け装置の、振分け方向の切り換えに際して苗傷みが発生したり苗が詰まる虞のない苗振分け装置を提供する。
【解決手段】 右側に搬送する右搬送ベルト41と左側に搬送する左搬送ベルト42を設け、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はその搬送始端44,47が互いの搬送方向に僅かに重合する複数本のベルトであり、その重合部に苗転送装置30a,30bからの苗Pを供給し、右搬送ベルト41または左搬送ベルト42の重合部を持上体43によりもう一方のベルトより高く持ち上げるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙筒苗のような集合苗を分離し個々の苗の間を離して搬送し、その苗を左右に振分けて2箇所の苗植付装置に受け渡して本圃に移植する移植機の苗振分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数条を植え付ける移植機において、装置を小型化し作業者を減らすために一つの苗供給装置から苗を振分けて二つの苗植付装置に受け渡すものは、特開2003−79209として知られている。
【0003】
この移植機の苗振分け装置は、苗転送ベルトの苗搬送速度は苗受入ベルトの苗搬送速度より速くして個々の苗を離間して搬送し、苗転送ベルトの送出端に苗を複数本ごとに左右に振分ける苗振分け装置を設け、苗振分け装置の左右には各々苗整列装置を連ねて設け、苗整列装置は不揃いになった苗列を密着整列し、各々の苗整列装置に各々の苗植付装置を連ねて設けたものである。
【0004】
そして、この苗振分け装置は、その背面視が略水滴形状で苗の紙筒長さにほぼ対応する細長い形状で、右側転送路としての苗選別装置に苗を振分ける位置と、左側転送路としての苗選別装置に苗を振分ける位置との間でその先端部を約70度往復回動させ、苗を複数本ごとに左右に振分けるものである。
【0005】
【特許文献1】特開2003−79209公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特開2003−79209に示される従来の技術では、苗振分け装置の先端部が個々の苗が通過した後で次の苗が挿しかかる前に往復回動させるものであるが、近年の高速化した移植機では個々の苗の通過が約0.2秒毎という短時間となり、次の苗が挿しかかるときに苗振分け装置の先端部の回動が済んでおらずに、苗振分け装置に苗が衝突して苗傷みが発生したり、苗が詰まって植付不能となることがあった。
【0007】
そこで本発明は、苗振分け装置の振分け方向の切り換えに際して苗傷みが発生したり苗が詰まる虞のない移植機の苗振分け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明による移植機の苗振分け装置は、紙筒苗のような集合苗を分離し個々の苗Pの間を離して搬送する苗転送装置10a,10b,30a,30bを設け、苗転送装置10a,10b,30a,30bの送出端に苗Pを左右に振分ける苗振分け装置40a,40bを設け、苗振分け装置40a,40bには各々の苗植付装置70a,70b,70c,70dを連ねて設けた移植機において、苗振分け装置40a,40bに右側に搬送する右搬送ベルト41と左側に搬送する左搬送ベルト42を設け、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はほぼ同一平面を苗Pの搬送面とし、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はその搬送始端44,47が互いの搬送方向に重合する複数本のベルトであり、その重合部55に苗転送装置10a,10b,30a,30bからの苗Pを供給し、右搬送ベルト41または左搬送ベルト42の重合部55を持上体43によりもう一方のベルトより高く持ち上げるようにしたものである。
【0009】
請求項2の発明による移植機の苗振分け装置は、右搬送ベルト41または左搬送ベルト42のいずれか一方の重合部55を持上体43によりもう一方のベルトより高く持ち上げ、かつ持上体43が持ち上げないときにはもう一方のベルトより低くなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、苗振分け装置に右側に搬送する右搬送ベルトと左側に搬送する左搬送ベルトを設け、右搬送ベルトと左搬送ベルトはほぼ同一平面を苗の搬送面とし、右搬送ベルトと左搬送ベルトはその搬送始端が互いの搬送方向に重合する複数本のベルトであり、その重合部に苗転送装置からの苗を供給し、右搬送ベルトまたは左搬送ベルトの重合部を持上体によりもう一方のベルトより高く持ち上げるようにし、苗は重合部の高い方のベルトにより搬送されるから、苗振分け装置の振分け方向の切り換えに際して苗傷みが発生したり苗が詰まる虞がない。
【0011】
請求項2の発明によれば、右搬送ベルトまたは左搬送ベルトのいずれか一方の重合部を持上体によりもう一方のベルトより高く持ち上げ、かつ持上体が持ち上げないときにはもう一方のベルトより低くなるようにし、いずれか一方のベルトを持ち上げる持上体としたから、動く部分が少なく簡単な構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
苗振分け装置の振分け方向の切り換えに際して苗傷みが発生したり苗が詰まる虞のない移植機の苗振分け装置を提供するという目的を、苗振分け装置40a,40bに右側に搬送する右搬送ベルト41と左側に搬送する左搬送ベルト42を設け、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はほぼ同一平面を苗Pの搬送面とし、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はその搬送始端44,47が互いの搬送方向に重合する複数本のベルトであり、その重合部55に苗転送装置10a,10b,30a,30bからの苗Pを供給し、右搬送ベルト41または左搬送ベルト42のいずれか一方の重合部55を持上体43によりもう一方のベルトより高く持ち上げ、かつ持上体43が持ち上げないときにはもう一方のベルトより低くなるようにしたことにより実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係る移植機の苗振分け装置の背面図であって、四条を一度に本圃に移植する四畦用の移植機を示している。
【0014】
この移植機に用いる集合苗として、紙筒集合育苗容器による根部が培土に覆われた紙筒苗を示している。この紙筒集合育苗容器は、展開すると六角柱状の上下が開口した多数の紙筒を、整然と糊で貼り合わせたものである。この紙筒中に培土を詰めて播種して育苗すると苗が生長して紙筒集合苗となり、移植時には適度の連結強度を保って個々の苗Pに分離可能に整然と連結している。
【0015】
集合苗から横一列の列状の苗Pに分離する分離具は公知のもので、当板を集合苗の側面に沿わせ、円弧状針を集合苗の紙筒上面から突き刺し、分離具を手前下方に傾けて横一列の苗Pの全体を反らせて分離するものである。
【0016】
つぎに、横一列に分離した苗Pを一箇所の苗受入部2に供給する苗供給装置と、苗受入部2に受入れた苗Pを苗供給装置の二つの苗振分け装置40a,40bに受け渡し、苗振分け装置40a,40bが苗Pを左右に振分けて四つの苗植付装置70a,70b,70c,70dに受け渡し、苗植付装置70a,70b,70c,70dが本圃に移植する、四条を一度に本圃に移植する四畦用の移植機について説明する。
【0017】
移植機はトラクターに取り付けられて牽引され、図示奥方向に進行する。苗供給装置の下方に四つの苗植付装置70a,70b,70c,70dを設け、四つの苗植付装置70a,70b,70c,70dは各々苗供給装置に連なり苗Pを供給され、四条を一度に本圃に移植する。
【0018】
苗供給装置には、左右一対の苗供給装置枠1a,1bが設けられ、苗供給装置枠1a,1bは移植機の機枠に固定される。左右の苗供給装置枠1a,1b上方から、中央方向に水平に左右一対の苗受入ベルト3a,3bを設け、苗受入ベルト3a,3bは中央側から第一苗受入ベルト4a,4bと第二苗受入ベルト5a,5bで構成される。
【0019】
左右一対の苗受入ベルト3a,3bの中央部側に位置する一対の第一苗受入ベルト4a,4bは、作業者が一人の場合における一箇所の苗受入部2とする。一対の第一苗受入ベルト4a,4bはプーリー間に掛け渡されその上面が水平な一直線状とし、互いに反対方向つまりその上面が外側に回動する。
【0020】
一対の第一苗受入ベルト4a,4bの送出端、つまり外側方向に、各々第二苗受入ベルト5a,5bを連ねて設ける。各々左右の片側の第一苗受入ベルト4a,4bと第二苗受入ベルト5a,5bは、作業者が二人の場合における二箇所の苗受入部とする。
【0021】
一対の第二苗受入ベルト5a,5bはプーリー間に掛け渡されその上面が第一苗受入ベルト4a,4bと同一な水平な一直線状とし、互いに反対方向つまりその上面が外側に回動する。
【0022】
苗受入ベルト3a,3bの送出端としての、一対の第二苗受入ベルト5a,5bの送出端には苗転送装置としての一対の苗転送ベルト10a,10bを連ねて設ける。
【0023】
第一苗受入ベルト4a,4bの送出端側のプーリーと第二苗受入ベルト5a,5bの始端側のプーリーは鎖車により駆動連結され、第一苗受入ベルト4a,4bの搬送速度と第二苗受入ベルト5a,5bの搬送速度を同一とする場合と、第一苗受入ベルト4a,4bの搬送速度を第二苗受入ベルト5a,5bの搬送速度より大とする場合に変更可能とする。
【0024】
ここで、第一苗受入ベルト4a,4bの搬送速度を変更可能としているのは、苗供給の作業者が一人の場合と二人の場合に対応するためである。つまり、作業者が一人の場合一箇所の苗受入部2としての一対の第一苗受入ベルト4a,4bの両方に渡って供給し、第一苗受入ベルト4a,4bの搬送速度を第二苗受入ベルト5a,5bの搬送速度より大とする。また、作業者が二人の場合二箇所の苗受入部としての左右の第一苗受入ベルト4a,4bと第二苗受入ベルト5a,5bに渡って供給し、第一苗受入ベルト4a,4bの搬送速度と第二苗受入ベルト5a,5bの搬送速度を同一とする。
【0025】
一対の苗転送ベルト10a,10bは第二苗受入ベルト5a,5bの送出端から下方に設けられ、苗転送ベルト10a,10bは互いに対接面が対向して苗Pを挟持し、苗転送ベルト10a,10bの苗搬送速度は苗受入ベルト3a,3bの苗搬送速度としての第二苗受入ベルト5a,5bの搬送速度より速くして個々の苗Pを離間して搬送する。
【0026】
苗転送ベルト10a,10bの苗搬送速度が苗受入ベルト3a,3bの苗搬送速度より速いため、第二苗受入ベルト5a,5b上の密着した苗P列は、苗転送ベルト10a,10bにより分離され、個々の苗Pの間を離した状態で挟持されて下方に搬送される。
【0027】
左右一対の苗転送ベルト10a,10bの送出端である下方から内側に各々苗選別装置20a,20bを設ける。
【0028】
苗選別装置20a,20bは苗受入ベルト3a,3bに供給された苗Pから成長しなかった欠株苗(不良苗)を除去するもので、倒置された苗Pの葉部を挟むベルトと紙筒下部を支持するベルトにより、苗Pの葉部の欠損した欠株苗がベルトに挟まれないで、連続的に搬送される苗P列から欠株苗のみを落下させて系外に排出する。
【0029】
苗選別装置20a,20bの内側に一対の苗転送装置30a,30bを連ねて設ける。
【0030】
苗転送装置30a,30bには、細幅の複数本のベルトである良苗受取りベルト31を水平に張設し、良苗受取りベルト31の搬送終端上方に苗押えスポンジ輪32を設け、良苗受取りベルト31の搬送終端に対向して苗分離スポンジ輪33を設け、良苗受取りベルト31の搬送終端下方で苗分離スポンジ輪33の下方にゴムローラ34を、同じくベルト31の下方にゴムローラ35を設ける。
【0031】
苗選別装置20a,20bで良苗のみとなった苗Pは、良苗受取りベルト31の上面で搬送され、良苗受取りベルト31の搬送終端で良苗受取りベルト31の搬送速度とほぼ同じ周速の苗押えスポンジ輪32に挟まれて繰り出され、良苗受取りベルト31の搬送速度より速い周速の苗分離スポンジ輪33により苗Pの間をより離される。
【0032】
良苗受取りベルト31の搬送終端から送出された苗Pは、苗分離スポンジ輪33の周速とほぼ同じ周速のゴムローラ34,35により挟持されて下方に繰り出される。
【0033】
苗転送装置30a,30bの送出端としてのゴムローラ34,35の下方に、苗Pを左右に振分ける一対の苗振分け装置40a,40bを設ける。
【0034】
苗振分け装置40a,40bには、苗Pを右側に搬送する右搬送ベルト41と、苗Pを左側に搬送する左搬送ベルト42を設ける。以下の説明は右側の苗振分け装置40aを基に説明する。
【0035】
右搬送ベルト41は、ゴムローラ34,35の下方のプーリー44と苗選別装置20a側のプーリー45と下方のプーリー46の間に背面視で三角形状に張設し、プーリー44とプーリー45の間の上面を苗Pの搬送面とし、その上面が右側に回行する。プーリー44,45は苗供給装置枠1aから設けた回転する軸51,52に固定される。
【0036】
左搬送ベルト42は、伸縮するゴムベルトであり、ゴムローラ34,35の下方のプーリー47と苗選別装置20aとは反対側のプーリー48と下方のプーリー49の間に背面視で三角形状に張設し、プーリー47とプーリー48の間の上面を苗Pの搬送面とし、その上面が左側に回行する。プーリー47,48は苗供給装置枠1aから設けた回転する軸53,54に固定される。
【0037】
右搬送ベルト41と左搬送ベルト42はほぼ同一平面を苗Pの搬送面とするが、実施例では図2に示すように、通常は右搬送ベルト41の方が左搬送ベルト42より僅かに高く(実施例では約5mm高く)張設する。
【0038】
右搬送ベルト41と左搬送ベルト42は各々互いに平行な細幅の複数本のベルト(実施例では各3本)で構成され、その搬送始端としてのプーリー44,47が互いの搬送方向に僅かに重合する。
【0039】
つまり、図4に示すように、平面視では右搬送ベルト41と左搬送ベルト42の搬送始端が相手のベルトの間にはまり込んでいるが重なり合わず、図2に示すように、背面視では右搬送ベルト41の搬送始端としてのプーリー44が左搬送ベルト42の搬送始端としてのプーリー47より左方に位置している。
【0040】
このプーリー44とプーリー47の間の、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42が重合する部分を重合部55とし、その重合部55に苗転送装置30a,30bの送出端としてのゴムローラ34,35からの苗Pを供給する。なお、この重合部55が長いと、振分け方向を切り換えた際に、苗Pが重合部55から送出される前に切り換り、苗Pが今までと反対方向に搬送される事となる。
【0041】
右搬送ベルト41または左搬送ベルト42のいずれか一方の重合部55を持上体43によりもう一方のベルトより高く持ち上げる。実施例では、左搬送ベルト42の重合部55を持ち上げる例を示している。
【0042】
プーリー44の左方の苗供給装置枠1aから上下動する持上体43を設ける。
【0043】
持上体43には、垂直方向の板である基部43aと、基部43aの上端から重合部55方向に水平に設けた持上板43bと、持上板43bの先端から下方に向かって斜めに設けた案内板43cとを設け、持上板43bと案内板43cは左搬送ベルト42が位置する部分にのみ複数を設ける。持上板43bの上面が左搬送ベルト42の下面に接当し持ち上げる。
【0044】
持上体43が上昇して左搬送ベルト42を持ち上げた状態を図3および図6に示すが、この持ち上げた状態では重合部55において左搬送ベルト42の方が右搬送ベルト41より僅かに高く(実施例では約5mm高く)なる。持上体43が上昇すると、ゴムローラ34,35から落下した苗Pは、左搬送ベルト42により左方に搬送される。
【0045】
この状態で、左搬送ベルト42は持上体43からプーリー47の間が緩く傾斜し、この傾斜部にゴムローラ34,35からの苗Pが落下しないよう、持上体43の持上板43bと案内板43cと境界はゴムローラ34,35から苗Pが落下する位置よりプーリー47側とする。
【0046】
また、持上体43が下降して左搬送ベルト42を持ち上げないときには、図2および図5に示すように、重合部55において左搬送ベルト42がもう一方の右搬送ベルト41より低くなる。持上体43が下降すると、ゴムローラ34,35から落下した苗Pは、右搬送ベルト41により右方に搬送される。
【0047】
このとき、持上板43bの上面が左搬送ベルト42の下面から僅かに離れるようにする。
【0048】
一対の苗振分け装置40a,40bの左右から下方には転送路を介し、その転送路に連ねて各々苗整列装置60a,60b,60c,60dを設ける。
【0049】
苗整列装置60a,60b,60c,60dは複数本の苗Pを保留し、苗選別装置20a,20bで欠株苗を除去したり、苗振分け装置40a,40bが他方へ苗Pを供給することにより、不揃いに粗となった苗P列を密着整列させて等間隔として、苗植付装置70a,70b,70c,70dに受け渡すものである。
【0050】
苗整列装置60a,60b,60c,60dには、苗Pの過不足を検知する光電スイッチを設け、苗Pの過剰を検知すると他方へ苗Pを供給するよう苗振分け装置40a,40bを切り換える。つまり、苗振分け装置40a,40bは不特定な苗Pの本数毎に振分け方向を切り換える。また、光電スイッチが苗Pの不足を検知すると、苗整列装置60a,60b,60c,60dから上流側を増速させる。
【0051】
四つの苗整列装置60a,60b,60c,60dに各々の苗植付装置70a,70b,70c,70dを連ねて設ける。苗植付装置70a,70b,70c,70dはオープナーと弾性円盤と鎮圧輪によるもので、オープナーにより植付溝を開溝し、一対の弾性円盤により苗Pを挟み本圃に植え付け、一対の鎮圧輪により苗Pの左右を鎮圧する。苗植付装置70a,70b,70c,70dの弾性円盤と苗整列装置60a,60b,60c,60dの間は、伸縮自在な一対の縦搬送ベルトにより連結する。
【0052】
以上により、一箇所の苗受入部2に供給された苗Pを左右に分け、一対の苗振分け装置40a,40bにより四つの苗植付装置70a,70b,70c,70dに受け渡し、四条を一度に本圃に移植する。
【0053】
つぎに、移植機の苗振分け装置の作動を説明する。
【0054】
作業者が一人の場合は、立垂状態の集合苗から分離具により苗Pを横一列に列状に分離し、一箇所の苗受入部2としての一対の第一苗受入ベルト4a,4bの両方に渡って倒置して供給する。
【0055】
一対の第一苗受入ベルト4a,4bの両方に渡って供給された苗Pは一対の第一苗受入ベルト4a,4bが互いに反対方向に回動することにより一対の第一苗受入ベルト4a,4bの間で左右に分割される。
【0056】
作業者が二人の場合は、立垂状態の集合苗から分離具により苗Pを横一列に列状に分離し、二箇所の苗受入部としての左右の第一苗受入ベルト4a,4bと第二苗受入ベルト5a,5bに渡って倒置して供給する。
【0057】
つぎに、第二苗受入ベルト5a,5bの送出端に達した苗Pは、苗転送ベルト10a,10bにより個々の苗Pに分離され離間して下方に搬送され、苗選別装置20a,20bに受け渡される。
【0058】
苗選別装置20a,20b,20c,20dで欠株苗を除去され、苗振分け装置40a,40bにより不特定な複数本ごとに左右に振分けられた苗Pは、苗整列装置60a,60b,60c,60dで不揃いになった苗P列を密着整列される。
【0059】
苗整列装置60a,60b,60c,60dから所定間隔毎に離間して送出された苗Pは、四つの苗植付装置70a,70b,70c,70dにより本圃に移植される。
【0060】
以上の実施例では、苗Pとして紙筒集合育苗容器による紙筒集合苗のものを示したが、育苗培地そのものが育苗容器を形成している無機物繊維や高分子化合物によるものでも、育苗容器から取り出された苗でも、個々の苗の間を離して搬送するものであれば良い。
【0061】
また、作業者が分離具を使用して手で苗Pを供給する例を示したが、自動供給装置により機械的に供給するようにしても良い。
【0062】
また、左搬送ベルト42の重合部55を持上体43により右搬送ベルト41より高く持ち上げ、かつ持上体43が持ち上げないときには右搬送ベルト41より低くなる例を示したが、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42を入れ替えても良いのはもちろん、右搬送ベルト41と左搬送ベルト42を交互に持ち上げるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】移植機の苗振分け装置の一実施例を示す背面図である。
【図2】その要部を示す部分拡大図である。
【図3】図2の作動状態を示す図である。
【図4】図2の一部を切り欠いた平面図である。
【図5】図2の部分拡大図である。
【図6】図3の部分拡大図である。
【図7】図1の平面図である。
【図8】持上体の斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10a,10b 苗転送装置しとての苗転送ベルト
30a,30b 苗転送装置
40a,40b 苗振分け装置
41 右搬送ベルト
42 左搬送ベルト
43 持上体
44 搬送始端としてのプーリー
47 搬送始端としてのプーリー
55 重合部
70a,70b,70c,70d 苗植付装置
P 苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙筒苗のような集合苗を分離し個々の苗の間を離して搬送する苗転送装置を設け、苗転送装置の送出端に苗を左右に振分ける苗振分け装置を設け、苗振分け装置には各々の苗植付装置を連ねて設けた移植機において、苗振分け装置に右側に搬送する右搬送ベルトと左側に搬送する左搬送ベルトを設け、右搬送ベルトと左搬送ベルトはほぼ同一平面を苗の搬送面とし、右搬送ベルトと左搬送ベルトはその搬送始端が互いの搬送方向に重合する複数本のベルトであり、その重合部に苗転送装置からの苗を供給し、右搬送ベルトまたは左搬送ベルトの重合部を持上体によりもう一方のベルトより高く持ち上げるようにした移植機の苗振分け装置。
【請求項2】
右搬送ベルトまたは左搬送ベルトのいずれか一方の重合部を持上体によりもう一方のベルトより高く持ち上げ、かつ持上体が持ち上げないときにはもう一方のベルトより低くなるようにした請求項1記載の移植機の苗振分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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