移植機
【課題】各条ごとに畝上面の傾斜に応じて覆土輪を上下移動させて、全ての条で覆土状態を均一にする。
【解決手段】 植付部11の苗載台21上に載置した苗120を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部11の左右中央に配置した軸12を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部11の両側より後方に覆土フレーム91を後方に延設し、該覆土フレーム91後部に覆土輪90をローリング可能に連結した。
【解決手段】 植付部11の苗載台21上に載置した苗120を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部11の左右中央に配置した軸12を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部11の両側より後方に覆土フレーム91を後方に延設し、該覆土フレーム91後部に覆土輪90をローリング可能に連結した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗トレイから苗植付爪によって取出した一株分の玉ネギ、葉ネギ、白ネギなどの苗をそのまま直接的に圃場に植え付けるようにした移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移植機の機体後部にスライド軸を左右方向に横設し、該スライド軸に摺動自在に苗載台を配し、該苗載台上に苗を収納した苗トレイを載置し、横送り駆動によって苗載台を左右に往復移動させ、左右の終端位置に至ると苗トレイの縦送り駆動が行われるようにし、苗植付爪によって苗トレイ上から苗を取り出し、そのまま直接的に圃場に植え付け、植付直後の苗に覆土輪で覆土を行うようにした移植機は公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−274710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のような多条型の移植機では、各条の覆土輪が一つのフレームに一体的に支持されているため、畝上面が水平ではなく凹凸があったり傾斜していたりする場合の作業時には、各条の覆土輪がそれぞれ独立して畝上面に合わせて上下移動できず、植付直後の苗に覆土を行うことができない条が発生したり、条ごとに覆土状態が異なる場合が発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、植付部の苗載台上に載置した苗を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部の左右中央に配置した軸を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部の両側より後方に覆土フレームを後方に延設し、該覆土フレーム後部に覆土輪をローリング可能に連結したものである。
【0006】
請求項2においては、前記覆土フレーム後部に二条の覆土輪をローリング可能に支持したものである。
【0007】
請求項3においては、前記左右の覆土フレームを連結フレームで連結するとともに、2条の覆土輪を独立してローリング可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、畝上面が傾斜している場合でも、植付部をローリングさせて畝上面と略平行に保持して、更に覆土輪をローリングさせて、植付位置の面の傾斜に合わせ、植付直後の苗に覆土を行うことができるため、左右の傾斜が異なって覆土ができない条が発生することがなくなり、各条での覆土状態を略均一にすることができ、移植精度も向上することができる。
【0010】
請求項2においては、各条ごとに覆土輪を畝上面の傾斜に応じて上下移動させて、覆土を行うことができる。そのため、全ての条の覆土状態を略均一にすることができる。
【0011】
請求項3においては、覆土輪は独立してローリングして、畝表面形状に追随して覆土することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る移植機の全体的な構成を示した側面図、図2は苗植付爪部の側面図、図3は苗植付ユニットの駆動説明図、図4は苗植付爪の駆動説明図、図5はロータリケースの断面図、図6はロータリケース内部の説明図、図7は揺動カム部の説明図、図8は苗植付爪部の側面説明図、図9は苗植付爪部の平面説明図、図10は苗押出部材の説明図、図11は覆土輪部の側面説明図、図12は覆土輪部の背面説明図、図13は傾斜面における覆土輪部の背面説明図、図14は傾斜面における覆土輪部の背面説明図、図15は苗植付爪の0°、180°位置の説明図、図16は苗植付爪の45°、225°位置の説明図、図17は苗植付爪の90°、270°位置の説明図、図18は苗植付爪の135°、315°位置の説明図である。
【0013】
図1に示すように、移植機においては、走行部1の前下部に操向輪となる前車輪2が支承され、後下部に後車輪3が支承されている。走行部1の前部上にエンジン4が搭載され、該エンジン4の後方にミッションケース5が配設されて、エンジン4の出力軸からミッションケース5を介して前車輪2及び後車輪3に動力が伝達され、前車輪2及び後車輪3が駆動するように構成されている。
【0014】
走行部1の中央上には運転操作部6が設けられ、該運転操作部6に操向ハンドル7と座席8とが配設されている。また、走行部1の前部に配置されたボンネット9の両側には予備苗台10が配設され、走行部1の後方に植付部11が配設されている。植付部11はその前部にローリング支点軸12を介して設けた支持フレーム13で走行部1の後端部とトップリンク14及びロアリンク15を介して連結され、走行部に対しローリング可能とされるとともに、座席8の下方に配設された昇降シリンダ16の伸縮動作により昇降可能とされている。
【0015】
植付部11には、図2に示すように、多数のセル成形苗120を有する苗トレイ20を戴置する苗載台21と、苗植付爪22を有する複数の苗植付ユニット24とが備えられ、走行部1の走行時に該苗植付ユニット24の苗植付爪22により苗トレイ20からセル成形苗120が取り出されて圃場の畝上面に一定間隔ごとに植付けが行われるように構成されている。苗トレイ20は碁盤の目状に多数の凹部(ポット)を有し、用土が充填された各ポットでセル成形苗120を育てるものである。
【0016】
苗載台21は進行方向に対して前記苗植付ユニット24の前方に配置され、該苗載台21上に複数、本実施例では二つの苗トレイ20が左右に並設されている。図3に示すように、苗載台21の下方にはエンジン4からの動力を植付部11に伝達するための伝動ケース25が配設され、該伝動ケース25から左右方向に突出される軸26の一側が横送り軸26aとされている。そして、横送り軸26aと苗載台21とが連結され、該横送り軸26aの回転駆動により苗載台21、つまり苗トレイ20がガイドローラにガイドされながら左右方向に往復移動するように構成されている。
【0017】
前記伝動ケース25から突出される軸26の他側にはカム26b・26cが設けられ、該カム26b又はカム26cと軸26と軸27に設けられたカム27aとが当接可能とされている。該軸27は苗載台21の下部に軸26と平行に軸架されており、その左右両側に備えられたワンウェイクラッチ28を介して左右の苗トレイ20に対し備えられた縦送り軸29と連動連結されている。
【0018】
前記縦送り軸29の左右両側にはスプロケット30が設けられ、該スプロケット30に巻回されたチェーンに前記苗トレイ20が係止されて、縦送り軸29の回転駆動により苗トレイ20が苗載台21上を下方に移動するように構成されている。そして、縦送り軸29が間欠駆動とされて、苗トレイ20が右端または左端に至ると縦送り軸29が苗トレイ20の1ポット分下方へ移動され、苗トレイ20を左右方向へ往復移動させるための駆動系と下方へ移動させるための駆動系の一本化が図られている。これにより、苗トレイ20を移動させる構造が簡単な構成とされ、部品点数が低減可能とされている。
【0019】
そして、左右の各苗トレイ20に対して二つの苗植付ユニット24が左右平行に並設され、これらの苗植付ユニット24により一つの苗トレイ20からそれぞれセル成形苗120が取り出されて、同時に二株のセル成形苗120の植付けが行われるように構成されている。よって、本実施例では二つの苗トレイ20から四つの苗植付ユニット24によりそれぞれセル成形苗120が取り出され、一度に四株のセル成形苗120が圃場の畝上面に植付けられる。
【0020】
図2に示すように、前記苗植付ユニット24には二つの苗植付爪22・22が備えられ、これらの苗植付爪22により一つの苗トレイ20でセル成形苗120の取り出し及び植付けが連続して行われるように構成されている。すなわち、苗植付ユニット24において、二組の苗植付爪22・22が同一植付軌跡A上に180度位相を異ならせて位置するように設けられ、これらの苗植付爪22により一つの植付軌跡A中で二回のセル成形苗120の取り出し及び植付けが行われて、二株のセル成形苗120が圃場に移植されるように構成されて、植付作業の高速化が図られている。
【0021】
さらに、前記苗植付ユニット24には、二つの苗植付爪22に加えて、第一ロータリケース31、該第一ロータリケース31の両側に配置される第二ロータリケース32、各第二ロータリケース32の側方に配置される爪ケース33、該爪ケース33に支持される苗植付爪22・22を首振り動作させるための首振り用溝カム34(図6参照)、苗植付爪22・22の左右の爪体73・74(図9参照)を開閉する開閉カム35、左右の爪体73・74で挟持されるセル成形苗120を押出すための苗押出部材80を動作させるための苗押出カム36が備えられている。
【0022】
各苗植付ユニット24は前記支持フレーム13に固設された植付フレーム17から後方に延出されるチェーンケース37の後部に鉛直方向に対し左右内側に傾斜するよう支持されて、左右一対の苗植付ユニット24が一つの苗トレイ20に対し後面視で「ハ」字状に配置されている。これらの苗植付ユニット24を支持するチェーンケース37はその前部で植付フレーム17の左右両側と左右中央にステー38(図11参照)を介して固定され、所定間隔で左右平行に配置されている。すなわち、内側で左右に隣接する二つの苗植付ユニット24は一つのチェーンケース37の左右両側にそれぞれ支持されるように構成されている。
【0023】
また、各チェーンケース37前部を貫通するように前記伝動ケース25から伝動軸40が軸26と平行に左右方向に突出され、伝動軸40に各チェーンケース37内でスプロケット41が固設されている。そして、該スプロケット41とチェーケース37後部内に支持された入力軸42に固設されたスプロケット43とにチェーン44が巻回されて、伝動ケース25からの動力がチェーン44を介して入力軸42より苗植付ユニット24に伝達されるように構成されている。
【0024】
図4から図7に示すように、前記チェーンケース37の後部においては、その内側側面に受軸45が所定角度で固定されるとともに、前記入力軸42が内側側方に突出され、該入力軸42の先端に外筒軸46がスプライン嵌合されている。外筒軸46はその中央で受軸45に回転自在に支持され、その先端で第一ロータリケース31の中央に固定されている。
【0025】
そして、第一ロータリケース31内において、前記外筒軸46上にサンギヤ47が遊嵌され、該サンギヤ47の一端が受軸45に噛合されている。また、第一ロータリケース31の入力軸42の両側に中間軸48が支持され、該中間軸48上に遊嵌されたアイドルギヤ49が前記サンギヤ47に噛合されている。
【0026】
さらに、第一ロータリケース31の両端に出力軸51が回転自在に支持され、該出力軸51に固設されたプラネタリギヤ52が前記アイドルギヤ49に噛合されている。こうして、プラネタリギヤ52がサンギヤ47とアイドルギヤ49を介して連動され、サンギヤ47とアイドルギヤ49とが同一歯数に、プラネタリギヤ52とサンギヤ47(アイドルギヤ49)とのギヤ比が1:3とされて、第一ロータリケース31が一方向に一回転するときに、出力軸51が逆方向に二回転するように構成されている。
【0027】
また、第一ロータリケース31の左右一側の長手方向両端に第二ロータリケース32が配置され、該第二ロータリケース32の一端に前記出力軸51が固定されている。出力軸51には爪出力軸53が第一ロータリケース31から第二ロータリケース32にわたって回転自在に内挿され、該爪出力軸53の第一ロータリケース31側にギヤ53aが形成されている。そして、図7に示すように、該ギヤ53aに揺動アーム54の一端側に形成された扇形状の部分ギヤ55が噛合されている。
【0028】
一方、揺動アーム54の他端側にローラ56が回転自在に支持され、該揺動アーム54がその中間部で第一ロータリケース31に支点軸57により揺動自在に支持されている。そして、ローラ56が前記受軸45に入力軸42を略中心として形成されたエンドレス状の溝カム34内に嵌合されて、該ローラ56により揺動アーム54が案内されながら揺動するように構成されている。
【0029】
また、前記爪出力軸53の第二ロータリケース32側にはサンギヤ59が固設され、該サンギヤ59に第二ロータリケース32の略中央に支持された中間軸60に遊嵌された第一アイドルギヤ61が噛合されている。そして更に、第二ロータリケース32の爪出力軸53と反対側に出力軸62が回動自在に支持され、該出力軸62の一端に形成されたプラネタリギヤである出力ギヤ63に前記第一アイドルギヤ61が噛合されている。
【0030】
さらに、第二ロータリケース32の左右一側に爪ケース33が配置され、該爪ケース33の一端に前記出力軸62が固定されている。出力軸62にはカム軸64が第二ロータリケース32から爪ケース33にわたって回転自在に内挿され、該カム軸64の第二ロータリケース32側にプラネタリギヤである出力ギヤ65が設けられている。
【0031】
そして、出力ギヤ65に前記第一アイドルギヤ61と一体的に構成された第二アイドルギヤ66が噛合されて、出力軸62の出力ギヤ63及びカム軸64の出力ギヤ65が爪出力軸53のサンギヤ59とそれぞれ第一及び第二アイドルギヤ61・66を介して連動され、爪出力軸53の回転駆動により出力軸62とカム軸64とが同時に回転駆動されるように構成されている。
【0032】
前記サンギヤ59と第一及び第二アイドルギヤ61・66とカム軸64の出力ギヤ65とが同一歯数に、第一アイドルギヤ61と出力軸62の出力ギヤ63とのギヤ比が2:3とされて、出力軸62の出力ギヤ63とカム軸64の出力ギヤ65の回転差が一回転となるように設定されている。そして、出力軸62に連結される苗植付爪22の揺動時にカム軸64が苗植付爪22に対し常に一定回転され、無理のない溝カム34形状でカム軸64上の開閉カム35及び苗押出カム36がスムーズに回転されるように構成されている。
【0033】
こうして、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として図2における反時計回り方向に一回転されるときに、その両端に支持された第二ロータリケース32が図2における時計回り方向に二回転され、苗植付爪22の支点部となるカム軸64によって図2におけるKに示すような略三角形状の植付基本軌跡Kが描かれる。
【0034】
図8、図9に示すように、カム軸64の爪ケース33側には板状の開閉カム35と苗押出カム36とが平行に固設されている。爪ケース33の一側には、カム軸64に対し直角方向に左右の開閉軸71・72が回動可能に支持され、爪ケース33より突出されている。そして、これらの開閉軸71・72の突出部に苗植付爪22の左右の爪体73・74がそれぞれ固定され、爪ケース33内側の基部に左右の開閉板75・76が左右中央側に突出するように固設され、その先端が爪ケース33の中央で当接(係合)するように構成されている。
【0035】
また、爪ケース33において、左右の開閉板75・76の後方に凹部33aが形成され、該凹部33a内に開用バネ77が収納されている。該凹部33aは開閉板75・76側が開放するように配置されて、開用バネ77の一側が左開閉板75に当接されている。つまり、左開閉板75と爪ケース33との間に開用バネ77が介設され、該開用バネ77の付勢力により開閉板75・76が押されて爪体73・74が開く方向に付勢されている。右開閉板76の左開閉板75と反対側には開閉用操作部76aが第二ロータリケース32側に突出するように形成されている。
【0036】
そして、前記開閉用操作部76aとカム軸64上の開閉カム35との間に中間部材78が配置されている。中間部材78は爪ケース33に支持された中間軸79に揺動可能に支持され、その一側が開閉用操作部76aに当接され、他側が開閉カム35の外周面に当接されている。開閉カム35には大径部35aと小径部35bとが形成され、該開閉カム35の回動により中間部材78が揺動されて、小径部35bに中間部材78の一側が当接されたときに開用バネ77の付勢力により爪体73・74が開くように構成されている。
【0037】
そして、カム軸64の回転駆動により開閉カム35が回転されて、該開閉カム35の大径部に中間部材78が当接されると、中間部材78が爪体73・74側へ揺動される。該中間部材78の揺動により右開閉板76の開閉用操作部も爪体73・74側へ押されて、右開閉板76が左開閉板75とともに開用バネ77の付勢力に抗してカム軸64側に回動され、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における反時計回り方向に、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における時計回り方向に回動される。このようにして苗植付爪22が閉じられた状態とされ、左右の爪体73・74でセル成形苗120が挟持可能とされている。
【0038】
前述のように苗植付爪22が閉じられた状態から、カム軸64の回転に伴って開閉カム35が更に回転され、該開閉カム35の小径部35bに中間部材78が当接されると、左開閉板75が開用バネ77の付勢力により常時開方向に付勢されていることから、左開閉板75が右開閉板76とともに開用バネ77に押されて爪体73・74側へ回動され、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における反時計回り方向に、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における時計回り方向に回動される。このようにして苗植付爪22が開かれた状態とされ、左右の爪体73・74により挟持されたセル成形苗120が開放可能とされている。
【0039】
また、図10に示すように、左右の爪体73・74により挟持したセル成形苗120を圃場の畝上面に植付ける際に押出すための苗押出部材80が爪ケース33から左右の爪体73・74の間にわたって挿入されている。苗押出部材80は二枚のゴム或いは樹脂材などの弾性板81と一枚の取付棒82とから構成されており、左右の弾性板81の先端側が爪体73・74の内側にそれぞれ摺接され、該弾性板81の基端側が爪ケース33内から突出される取付棒82の先端側に固定されて、平面視で「Y」字状に形成されている。そして、爪ケース33内において取付棒82がその中途部でガイド部材83により位置規制され、基端側で押出アーム85の先端側に回動可能に支持された軸86に枢支されている。
【0040】
押出アーム85は、その基端側で爪ケース33にカム軸64と平行に配置されたアーム軸87に回動可能に枢支され、カム軸64に対し左右の爪体73・74と反対側に配置されている。そして、押出アーム85と爪ケース33との間に弾性部材としてバネ88が介装されてアーム軸87上に外嵌され、該バネ88の付勢力により押出アーム85がアーム軸87を中心として左右の爪体73・74側へ回動するように付勢されている。
【0041】
また、前記押出アーム85の基端側に凸部85aがカム軸64側に突出するように形成され、前記カム軸64に固設された苗押出カム36の外周面に当接されている。苗押出カム36には大径部36aと小径部36bとが形成され、大径部36aに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88の付勢力に抗して爪体73・74と反対側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し後退した位置に移動される。
【0042】
そして、カム軸64の回転に伴って苗押出カム36が更に回転され、該苗押出カム36の小径部36bに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88に押されて爪体73・74側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し進出した位置に移動される。このとき、苗押出部材80の弾性板81がその先端側が左右爪体73・74の内面に沿って摺動するように移動されて、爪体73・74の内面に付着した土が落とされる。
【0043】
こうして、苗押出カム36の回転により押出アーム85を介して苗押出部材80が往復移動可能とされ、セル成形苗120が左右の爪体73・74に挟持される際には爪体73・73に対し後退した位置に移動され、左右の爪体73・74に挟持されたセル成形苗120が圃場の畝上面に植付ける際には爪体73・74に対し進出した位置にセル成形苗120を押出しながら移動されるように構成されている。
【0044】
さらに、図1に示すように、各苗植付ユニット24の後部下方にはそれぞれ左右一対の覆土輪90が設けられている。覆土輪90は苗植付ユニット24の苗植付爪22を中心として後面視で略「V」字状に傾斜して配置され、植付直後のセル成形苗120に覆土を行うように構成されている。
【0045】
すなわち、図11、図12に示すように、前記植付フレーム17の左右両側にステーが後方に突出され、覆土フレーム91の先端が所定間隔をあけて前記ステーに軸89を介して枢支され、その後端が苗植付ユニット24後端よりも後方まで左右平行に延出されている。そして、左右の覆土フレーム91がその後端部で後面視「門」字状に形成された連結フレーム92により互いに連結されている。こうして植付後の苗に連結フレーム92が当たらないように覆土フレーム91が補強されている。
【0046】
覆土フレーム91の前記連結フレーム92よりも後側には、覆土輪90を左右揺動自在、つまり、前後方向の軸心となる覆土フレーム91に対して覆土輪支持フレーム96がローリング可能に支持されて装着されている。該覆土輪支持フレーム96は横「E」形に構成されて、左右中央の縦フレーム96aの下部に設けられたボス96bで覆土フレーム91の後部に回転自在に嵌合されている。前記ボス96bには左右方向に延出する支持ステー93が固設され、該支持ステー93の左右両側にはそれぞれ覆土アーム94が前方へ突出して設けられ、該覆土アーム94に覆土輪90が回転自在に支持される。該覆土アーム94の先端部内側に一対の覆土輪90のうち、一方の覆土輪90Aが軸95を介して外側斜め上方を向くように支持されている。該覆土輪90は左右一対設けた一条であっても、本実施例のように左右二対設けた二条、またはそれ以上の条数であっても覆土フレーム91に揺動自在に支持することもできる。
【0047】
さらに、縦フレーム96aの上端には後面視「門」字状に形成されたパイプ96cの左右中央が連結されている。パイプ96cは連結フレーム92と前後平行に配置され、その両端が前記覆土輪90Aよりも外側に延出されている。
【0048】
そして、パイプ96cの両端下部に支持ステー98がそれぞれ固設されて、各支持ステー98の外側に覆土アーム94が前方へ突出するように設けられ、該覆土アーム94の先端部内側に他方の覆土輪90Bが軸95を介して内側斜め上方を向くように支持されている。こうして、内側の覆土輪90Aと外側の覆土輪90Bとが苗植付ユニット24の苗植付爪22を中心として左右方向に傾斜した状態で対向するように配置され、それぞれが覆土フレーム91を中心として上下方向にローリング可能とされて、各条ごとに畝上面の傾斜に応じて上下揺動するように構成されている。つまり、本実施例では二条ごとに揺動できるように構成している。前記覆土輪90は円錐台状に形成されて、左右の覆土輪90によりその間に植付られた苗の根元部を押圧して土を被せるように構成されている。
【0049】
ここで、前記連結フレーム92の左右両側に平面視「U」又は「コ」又は「V」字状の規制部材99が、その開放側が後方を向くように固設され、該規制部材99の内側に前記覆土輪支持フレーム96が配置されて、覆土フレーム91を中心とする外側の覆土輪90Bのローリングが規制されている。つまり、連結フレーム92の上下中途部の後面に規制部材99がその前端で固設されて後方へ突設され、該規制部材99の開放部に覆土輪支持フレーム96の左右中央の縦フレーム96aが挿入される構成とされている。該規制部材99は鋼棒又はプレートを折り曲げたり、鋼板を打ち抜き加工等により容易に、かつ、安価に構成することができ、取付も溶接等により容易に行うことができる。なお、内側の覆土輪90A・90Aは覆土フレーム91の後部に支持ステー93で枢支されるように構成することも可能である。この場合、支持ステー93の上両側の縁部が前方へ折り曲げられて前記縦フレーム96aを所定幅を有して挟むように構成して、覆土輪90A・90Aのローリングを規制することができる。
【0050】
また、前記連結フレーム92の左右中央から前方にステー101が突設され、該ステー101に連結アーム102の一端(下端)が枢支され、該連結アーム102の他端(上端)が支持フレーム103に枢支されたL字状のアーム104の一端に枢結されている。支持フレーム103は平面視で「E」字状に形成されており、その三つに分かれた前端が各チェーケースの後端にステー105を介して連結され、後端が覆土輪90A・90Bの後方まで延出されている。
【0051】
前記アーム104はその中央部で支持フレーム103の後部に軸106により回動可能に枢支され、他端が上方に延出されている。そして、該アーム104の他端にワイヤー107の一端がバネ108を介して接続され、ワイヤー107の他端が走行部1側に備えられた操作手段に接続されている。こうして、該操作手段の操作によりアーム104が回動され、覆土フレーム91が軸89を中心として上下方向に回動されるように構成されて、覆土輪90A・90Bの畝上面に対する高さが調節可能とされている。
【0052】
また、前記覆土フレーム91の後端にロッド111の下端が枢支され、該ロッド111は上方に延設されて、支持フレーム103の後端に支持された筒状のガイド部材112に摺動可能に挿入されている。そして、ロッド111の上部に前記ガイド部材112のストッパピンが貫設され、下部に受部材113が上下移動可能に固定され、該ガイド部材112と受部材113との間にバネ114が介装されて、該バネ114の付勢力により覆土フレーム91を介して覆土輪90A・90Bが畝上面に接するように下方に付勢されている。なお、覆土輪の付勢状態は、受部材113の取付位置の調節によりバネ114の付勢力を変更して調節可能とされている。
【0053】
このように覆土輪90A・90Bが構成されるため、例えば、図13に示すように、圃場の四条のうち、二条で畝上面が傾斜している場合や、図14に示すように、一側の二条の畝上面が他側の二条の畝上面よりも高い位置となる場合でも、畝上面に形状に応じて各条ごとに覆土輪90A・90Bが支点部となる覆土フレーム91を中心としてローリングされて、苗植付爪22による苗植付直後に全ての条で覆土状態が略均一となるように覆土が行われる。また、構造が簡単となり、部品点数が低減される。
【0054】
以上のように構成することにより、苗載台21に戴置された苗トレイ20が横送り軸26aにより左右方向に、又は縦送り軸29により下方に移動されて、各苗植付ユニット24の苗植付爪22によるセル成形苗120の取出位置付近で略垂直姿勢に保持される。そして、苗トレイ20の開口取出側が機体後方を向くように配置された各ポットに、その後方に配置された苗植付爪22A・22Bが後方下側から略水平に突入されて、該苗植付爪22A・22Bによりセル成形苗120の取り出しが行われる。
【0055】
すなわち、図2、図15から図18に示すように、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として反時計回り方向(実線矢印方向)に一回転されるとき、第二ロータリケース32は出力軸51を中心として時計回り方向(破線矢印方向)に二回転される。この回転中において、図7に示すように、第一ロータリケース31の受軸45に設けられた首振り用溝カム34に揺動アーム54の一端に設けられたローラ56が転動自在に嵌合されていることから、揺動アーム54が支点軸57を中心として揺動され、該揺動アーム54の他端に設けた部分ギヤ55と噛合するギア53aが回転される。
【0056】
そして、前記ギヤ53aの回転により爪出力軸53のサンギヤ59が回転され、該サンギヤ59と噛合する第一アイドルギヤ61を介して出力軸62上の出力ギヤ63が回転されて、爪ケース33が揺動される。これにより、苗植付爪22が首振り動作され、該苗植付爪22によりセル成形苗120の取り出しが行われる。このときのカム軸64の回転軌跡が図2に示すような略三角形の基本軌跡Kとされ、苗植付爪22の先端の回動軌跡が植付軌跡Aとされている。
【0057】
具体的には、各苗植付ユニット24に備えられる二つの苗植付爪22のうち、一方の苗植付爪22は、図15に示される苗植付爪22Aのように、苗トレイ20のポットに挿入されるときには、略水平方向に左右の爪体73・74が開いた状態で挿入される。このとき、第一ロータリケース31及び第二ロータリケース32は略一直線状に水平方向に位置した状態とされる。そして、苗植付爪22Aが苗トレイ20のポットに挿入された状態で、カム軸64上の開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が閉じて、ポット内のセル成形苗120が根鉢部分120aで挟持される。
【0058】
そして、第一ロータリケース31の先端が下方へ回動されるに従って、苗トレイ20のポットから苗植付爪22Aが抜き出されてセル成形苗120が取り出される。この際、第二ロータリケース32が第一ロータリケース31に対し逆回転していることから、図16に示すように、苗植付爪22Aが後方に略水平方向で戻るように移動されて、その挟持するセル成形苗120の苗トレイ20などとの接触による落下が防止される。
【0059】
図17に示すように、第一ロータリケース31が更に下方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32が回動されるに従って、苗植付爪22Aは徐々に下方を向くように姿勢が変更される。そして、図18に示すように、苗植付爪22Aが鉛直方向を向いた位置において、開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が開くと同時に、苗押出カム36の回転により押出アーム85が回動され、苗押出部材80が爪体73・74側に移動され、該苗押出部材80により爪体73・74間のセル成形苗120が押されて圃場の畝上面に植付けられる。
【0060】
植付後には第一ロータリケース31が上方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32も回動され、図15の苗植付爪22Bのように、苗植付爪22は略下方から若干後下方を向いたまま上昇される。また、前記覆土輪90により畝上面に植え付けられたセル成形苗120に覆土が行われる。
【0061】
そして、苗植付爪22は垂直方向を向いた姿勢のまま更に上昇され、セル成形苗120の植付姿勢の変化と、苗植付爪22の回動により植付けられたセル成形苗120が倒されることが防止される。このとき、第一ロータリケース31が半回転され、第二ロータリケース32が略一回転されている。なお、苗押出部材80は苗植付爪22が十分に上昇した位置で、苗押出カム36の回転により元の位置に戻される。
【0062】
そして更に、第一ロータリケース31が回動され、図16、図17、図18の苗植付爪22Bのように、苗植付爪22は垂直方向を向いた状態から徐々に水平方向を向くように姿勢が変更され、元の位置に戻される。こうして、第一ロータリケース31が一回転され、第二ロータリケース32が二回転されて、この回転中に二つの苗植付爪22により二株のセル成形苗120が圃場の畝上面に植付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例に係る移植機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】苗植付爪部の側面図。
【図3】苗植付ユニットの駆動説明図。
【図4】苗植付爪の駆動説明図。
【図5】ロータリケースの断面図。
【図6】ロータリケース内部の説明図。
【図7】揺動カム部の説明図。
【図8】苗植付爪部の側面説明図。
【図9】苗植付爪部の平面説明図。
【図10】苗押出部材の説明図。
【図11】覆土輪部の側面説明図。
【図12】覆土輪部の背面説明図。
【図13】傾斜面における覆土輪部の背面説明図。
【図14】傾斜面における覆土輪部の背面説明図。
【図15】苗植付爪の0°、180°位置の説明図。
【図16】苗植付爪の45°、225°位置の説明図。
【図17】苗植付爪の90°、270°位置の説明図。
【図18】苗植付爪の135°、315°位置の説明図。
【符号の説明】
【0064】
1 走行部
11 植付部
12 ローリング支点軸
20 苗トレイ
21 苗載台
22 苗植付爪
24 苗植付ユニット
31 第一ロータリケース(第一ロータリ部材)
32 第二ロータリケース(第二ロータリ部材)
80 苗押出部材
90 覆土輪
120 セル成形苗
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗トレイから苗植付爪によって取出した一株分の玉ネギ、葉ネギ、白ネギなどの苗をそのまま直接的に圃場に植え付けるようにした移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移植機の機体後部にスライド軸を左右方向に横設し、該スライド軸に摺動自在に苗載台を配し、該苗載台上に苗を収納した苗トレイを載置し、横送り駆動によって苗載台を左右に往復移動させ、左右の終端位置に至ると苗トレイの縦送り駆動が行われるようにし、苗植付爪によって苗トレイ上から苗を取り出し、そのまま直接的に圃場に植え付け、植付直後の苗に覆土輪で覆土を行うようにした移植機は公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−274710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のような多条型の移植機では、各条の覆土輪が一つのフレームに一体的に支持されているため、畝上面が水平ではなく凹凸があったり傾斜していたりする場合の作業時には、各条の覆土輪がそれぞれ独立して畝上面に合わせて上下移動できず、植付直後の苗に覆土を行うことができない条が発生したり、条ごとに覆土状態が異なる場合が発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、植付部の苗載台上に載置した苗を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部の左右中央に配置した軸を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部の両側より後方に覆土フレームを後方に延設し、該覆土フレーム後部に覆土輪をローリング可能に連結したものである。
【0006】
請求項2においては、前記覆土フレーム後部に二条の覆土輪をローリング可能に支持したものである。
【0007】
請求項3においては、前記左右の覆土フレームを連結フレームで連結するとともに、2条の覆土輪を独立してローリング可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、畝上面が傾斜している場合でも、植付部をローリングさせて畝上面と略平行に保持して、更に覆土輪をローリングさせて、植付位置の面の傾斜に合わせ、植付直後の苗に覆土を行うことができるため、左右の傾斜が異なって覆土ができない条が発生することがなくなり、各条での覆土状態を略均一にすることができ、移植精度も向上することができる。
【0010】
請求項2においては、各条ごとに覆土輪を畝上面の傾斜に応じて上下移動させて、覆土を行うことができる。そのため、全ての条の覆土状態を略均一にすることができる。
【0011】
請求項3においては、覆土輪は独立してローリングして、畝表面形状に追随して覆土することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る移植機の全体的な構成を示した側面図、図2は苗植付爪部の側面図、図3は苗植付ユニットの駆動説明図、図4は苗植付爪の駆動説明図、図5はロータリケースの断面図、図6はロータリケース内部の説明図、図7は揺動カム部の説明図、図8は苗植付爪部の側面説明図、図9は苗植付爪部の平面説明図、図10は苗押出部材の説明図、図11は覆土輪部の側面説明図、図12は覆土輪部の背面説明図、図13は傾斜面における覆土輪部の背面説明図、図14は傾斜面における覆土輪部の背面説明図、図15は苗植付爪の0°、180°位置の説明図、図16は苗植付爪の45°、225°位置の説明図、図17は苗植付爪の90°、270°位置の説明図、図18は苗植付爪の135°、315°位置の説明図である。
【0013】
図1に示すように、移植機においては、走行部1の前下部に操向輪となる前車輪2が支承され、後下部に後車輪3が支承されている。走行部1の前部上にエンジン4が搭載され、該エンジン4の後方にミッションケース5が配設されて、エンジン4の出力軸からミッションケース5を介して前車輪2及び後車輪3に動力が伝達され、前車輪2及び後車輪3が駆動するように構成されている。
【0014】
走行部1の中央上には運転操作部6が設けられ、該運転操作部6に操向ハンドル7と座席8とが配設されている。また、走行部1の前部に配置されたボンネット9の両側には予備苗台10が配設され、走行部1の後方に植付部11が配設されている。植付部11はその前部にローリング支点軸12を介して設けた支持フレーム13で走行部1の後端部とトップリンク14及びロアリンク15を介して連結され、走行部に対しローリング可能とされるとともに、座席8の下方に配設された昇降シリンダ16の伸縮動作により昇降可能とされている。
【0015】
植付部11には、図2に示すように、多数のセル成形苗120を有する苗トレイ20を戴置する苗載台21と、苗植付爪22を有する複数の苗植付ユニット24とが備えられ、走行部1の走行時に該苗植付ユニット24の苗植付爪22により苗トレイ20からセル成形苗120が取り出されて圃場の畝上面に一定間隔ごとに植付けが行われるように構成されている。苗トレイ20は碁盤の目状に多数の凹部(ポット)を有し、用土が充填された各ポットでセル成形苗120を育てるものである。
【0016】
苗載台21は進行方向に対して前記苗植付ユニット24の前方に配置され、該苗載台21上に複数、本実施例では二つの苗トレイ20が左右に並設されている。図3に示すように、苗載台21の下方にはエンジン4からの動力を植付部11に伝達するための伝動ケース25が配設され、該伝動ケース25から左右方向に突出される軸26の一側が横送り軸26aとされている。そして、横送り軸26aと苗載台21とが連結され、該横送り軸26aの回転駆動により苗載台21、つまり苗トレイ20がガイドローラにガイドされながら左右方向に往復移動するように構成されている。
【0017】
前記伝動ケース25から突出される軸26の他側にはカム26b・26cが設けられ、該カム26b又はカム26cと軸26と軸27に設けられたカム27aとが当接可能とされている。該軸27は苗載台21の下部に軸26と平行に軸架されており、その左右両側に備えられたワンウェイクラッチ28を介して左右の苗トレイ20に対し備えられた縦送り軸29と連動連結されている。
【0018】
前記縦送り軸29の左右両側にはスプロケット30が設けられ、該スプロケット30に巻回されたチェーンに前記苗トレイ20が係止されて、縦送り軸29の回転駆動により苗トレイ20が苗載台21上を下方に移動するように構成されている。そして、縦送り軸29が間欠駆動とされて、苗トレイ20が右端または左端に至ると縦送り軸29が苗トレイ20の1ポット分下方へ移動され、苗トレイ20を左右方向へ往復移動させるための駆動系と下方へ移動させるための駆動系の一本化が図られている。これにより、苗トレイ20を移動させる構造が簡単な構成とされ、部品点数が低減可能とされている。
【0019】
そして、左右の各苗トレイ20に対して二つの苗植付ユニット24が左右平行に並設され、これらの苗植付ユニット24により一つの苗トレイ20からそれぞれセル成形苗120が取り出されて、同時に二株のセル成形苗120の植付けが行われるように構成されている。よって、本実施例では二つの苗トレイ20から四つの苗植付ユニット24によりそれぞれセル成形苗120が取り出され、一度に四株のセル成形苗120が圃場の畝上面に植付けられる。
【0020】
図2に示すように、前記苗植付ユニット24には二つの苗植付爪22・22が備えられ、これらの苗植付爪22により一つの苗トレイ20でセル成形苗120の取り出し及び植付けが連続して行われるように構成されている。すなわち、苗植付ユニット24において、二組の苗植付爪22・22が同一植付軌跡A上に180度位相を異ならせて位置するように設けられ、これらの苗植付爪22により一つの植付軌跡A中で二回のセル成形苗120の取り出し及び植付けが行われて、二株のセル成形苗120が圃場に移植されるように構成されて、植付作業の高速化が図られている。
【0021】
さらに、前記苗植付ユニット24には、二つの苗植付爪22に加えて、第一ロータリケース31、該第一ロータリケース31の両側に配置される第二ロータリケース32、各第二ロータリケース32の側方に配置される爪ケース33、該爪ケース33に支持される苗植付爪22・22を首振り動作させるための首振り用溝カム34(図6参照)、苗植付爪22・22の左右の爪体73・74(図9参照)を開閉する開閉カム35、左右の爪体73・74で挟持されるセル成形苗120を押出すための苗押出部材80を動作させるための苗押出カム36が備えられている。
【0022】
各苗植付ユニット24は前記支持フレーム13に固設された植付フレーム17から後方に延出されるチェーンケース37の後部に鉛直方向に対し左右内側に傾斜するよう支持されて、左右一対の苗植付ユニット24が一つの苗トレイ20に対し後面視で「ハ」字状に配置されている。これらの苗植付ユニット24を支持するチェーンケース37はその前部で植付フレーム17の左右両側と左右中央にステー38(図11参照)を介して固定され、所定間隔で左右平行に配置されている。すなわち、内側で左右に隣接する二つの苗植付ユニット24は一つのチェーンケース37の左右両側にそれぞれ支持されるように構成されている。
【0023】
また、各チェーンケース37前部を貫通するように前記伝動ケース25から伝動軸40が軸26と平行に左右方向に突出され、伝動軸40に各チェーンケース37内でスプロケット41が固設されている。そして、該スプロケット41とチェーケース37後部内に支持された入力軸42に固設されたスプロケット43とにチェーン44が巻回されて、伝動ケース25からの動力がチェーン44を介して入力軸42より苗植付ユニット24に伝達されるように構成されている。
【0024】
図4から図7に示すように、前記チェーンケース37の後部においては、その内側側面に受軸45が所定角度で固定されるとともに、前記入力軸42が内側側方に突出され、該入力軸42の先端に外筒軸46がスプライン嵌合されている。外筒軸46はその中央で受軸45に回転自在に支持され、その先端で第一ロータリケース31の中央に固定されている。
【0025】
そして、第一ロータリケース31内において、前記外筒軸46上にサンギヤ47が遊嵌され、該サンギヤ47の一端が受軸45に噛合されている。また、第一ロータリケース31の入力軸42の両側に中間軸48が支持され、該中間軸48上に遊嵌されたアイドルギヤ49が前記サンギヤ47に噛合されている。
【0026】
さらに、第一ロータリケース31の両端に出力軸51が回転自在に支持され、該出力軸51に固設されたプラネタリギヤ52が前記アイドルギヤ49に噛合されている。こうして、プラネタリギヤ52がサンギヤ47とアイドルギヤ49を介して連動され、サンギヤ47とアイドルギヤ49とが同一歯数に、プラネタリギヤ52とサンギヤ47(アイドルギヤ49)とのギヤ比が1:3とされて、第一ロータリケース31が一方向に一回転するときに、出力軸51が逆方向に二回転するように構成されている。
【0027】
また、第一ロータリケース31の左右一側の長手方向両端に第二ロータリケース32が配置され、該第二ロータリケース32の一端に前記出力軸51が固定されている。出力軸51には爪出力軸53が第一ロータリケース31から第二ロータリケース32にわたって回転自在に内挿され、該爪出力軸53の第一ロータリケース31側にギヤ53aが形成されている。そして、図7に示すように、該ギヤ53aに揺動アーム54の一端側に形成された扇形状の部分ギヤ55が噛合されている。
【0028】
一方、揺動アーム54の他端側にローラ56が回転自在に支持され、該揺動アーム54がその中間部で第一ロータリケース31に支点軸57により揺動自在に支持されている。そして、ローラ56が前記受軸45に入力軸42を略中心として形成されたエンドレス状の溝カム34内に嵌合されて、該ローラ56により揺動アーム54が案内されながら揺動するように構成されている。
【0029】
また、前記爪出力軸53の第二ロータリケース32側にはサンギヤ59が固設され、該サンギヤ59に第二ロータリケース32の略中央に支持された中間軸60に遊嵌された第一アイドルギヤ61が噛合されている。そして更に、第二ロータリケース32の爪出力軸53と反対側に出力軸62が回動自在に支持され、該出力軸62の一端に形成されたプラネタリギヤである出力ギヤ63に前記第一アイドルギヤ61が噛合されている。
【0030】
さらに、第二ロータリケース32の左右一側に爪ケース33が配置され、該爪ケース33の一端に前記出力軸62が固定されている。出力軸62にはカム軸64が第二ロータリケース32から爪ケース33にわたって回転自在に内挿され、該カム軸64の第二ロータリケース32側にプラネタリギヤである出力ギヤ65が設けられている。
【0031】
そして、出力ギヤ65に前記第一アイドルギヤ61と一体的に構成された第二アイドルギヤ66が噛合されて、出力軸62の出力ギヤ63及びカム軸64の出力ギヤ65が爪出力軸53のサンギヤ59とそれぞれ第一及び第二アイドルギヤ61・66を介して連動され、爪出力軸53の回転駆動により出力軸62とカム軸64とが同時に回転駆動されるように構成されている。
【0032】
前記サンギヤ59と第一及び第二アイドルギヤ61・66とカム軸64の出力ギヤ65とが同一歯数に、第一アイドルギヤ61と出力軸62の出力ギヤ63とのギヤ比が2:3とされて、出力軸62の出力ギヤ63とカム軸64の出力ギヤ65の回転差が一回転となるように設定されている。そして、出力軸62に連結される苗植付爪22の揺動時にカム軸64が苗植付爪22に対し常に一定回転され、無理のない溝カム34形状でカム軸64上の開閉カム35及び苗押出カム36がスムーズに回転されるように構成されている。
【0033】
こうして、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として図2における反時計回り方向に一回転されるときに、その両端に支持された第二ロータリケース32が図2における時計回り方向に二回転され、苗植付爪22の支点部となるカム軸64によって図2におけるKに示すような略三角形状の植付基本軌跡Kが描かれる。
【0034】
図8、図9に示すように、カム軸64の爪ケース33側には板状の開閉カム35と苗押出カム36とが平行に固設されている。爪ケース33の一側には、カム軸64に対し直角方向に左右の開閉軸71・72が回動可能に支持され、爪ケース33より突出されている。そして、これらの開閉軸71・72の突出部に苗植付爪22の左右の爪体73・74がそれぞれ固定され、爪ケース33内側の基部に左右の開閉板75・76が左右中央側に突出するように固設され、その先端が爪ケース33の中央で当接(係合)するように構成されている。
【0035】
また、爪ケース33において、左右の開閉板75・76の後方に凹部33aが形成され、該凹部33a内に開用バネ77が収納されている。該凹部33aは開閉板75・76側が開放するように配置されて、開用バネ77の一側が左開閉板75に当接されている。つまり、左開閉板75と爪ケース33との間に開用バネ77が介設され、該開用バネ77の付勢力により開閉板75・76が押されて爪体73・74が開く方向に付勢されている。右開閉板76の左開閉板75と反対側には開閉用操作部76aが第二ロータリケース32側に突出するように形成されている。
【0036】
そして、前記開閉用操作部76aとカム軸64上の開閉カム35との間に中間部材78が配置されている。中間部材78は爪ケース33に支持された中間軸79に揺動可能に支持され、その一側が開閉用操作部76aに当接され、他側が開閉カム35の外周面に当接されている。開閉カム35には大径部35aと小径部35bとが形成され、該開閉カム35の回動により中間部材78が揺動されて、小径部35bに中間部材78の一側が当接されたときに開用バネ77の付勢力により爪体73・74が開くように構成されている。
【0037】
そして、カム軸64の回転駆動により開閉カム35が回転されて、該開閉カム35の大径部に中間部材78が当接されると、中間部材78が爪体73・74側へ揺動される。該中間部材78の揺動により右開閉板76の開閉用操作部も爪体73・74側へ押されて、右開閉板76が左開閉板75とともに開用バネ77の付勢力に抗してカム軸64側に回動され、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における反時計回り方向に、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における時計回り方向に回動される。このようにして苗植付爪22が閉じられた状態とされ、左右の爪体73・74でセル成形苗120が挟持可能とされている。
【0038】
前述のように苗植付爪22が閉じられた状態から、カム軸64の回転に伴って開閉カム35が更に回転され、該開閉カム35の小径部35bに中間部材78が当接されると、左開閉板75が開用バネ77の付勢力により常時開方向に付勢されていることから、左開閉板75が右開閉板76とともに開用バネ77に押されて爪体73・74側へ回動され、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における反時計回り方向に、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における時計回り方向に回動される。このようにして苗植付爪22が開かれた状態とされ、左右の爪体73・74により挟持されたセル成形苗120が開放可能とされている。
【0039】
また、図10に示すように、左右の爪体73・74により挟持したセル成形苗120を圃場の畝上面に植付ける際に押出すための苗押出部材80が爪ケース33から左右の爪体73・74の間にわたって挿入されている。苗押出部材80は二枚のゴム或いは樹脂材などの弾性板81と一枚の取付棒82とから構成されており、左右の弾性板81の先端側が爪体73・74の内側にそれぞれ摺接され、該弾性板81の基端側が爪ケース33内から突出される取付棒82の先端側に固定されて、平面視で「Y」字状に形成されている。そして、爪ケース33内において取付棒82がその中途部でガイド部材83により位置規制され、基端側で押出アーム85の先端側に回動可能に支持された軸86に枢支されている。
【0040】
押出アーム85は、その基端側で爪ケース33にカム軸64と平行に配置されたアーム軸87に回動可能に枢支され、カム軸64に対し左右の爪体73・74と反対側に配置されている。そして、押出アーム85と爪ケース33との間に弾性部材としてバネ88が介装されてアーム軸87上に外嵌され、該バネ88の付勢力により押出アーム85がアーム軸87を中心として左右の爪体73・74側へ回動するように付勢されている。
【0041】
また、前記押出アーム85の基端側に凸部85aがカム軸64側に突出するように形成され、前記カム軸64に固設された苗押出カム36の外周面に当接されている。苗押出カム36には大径部36aと小径部36bとが形成され、大径部36aに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88の付勢力に抗して爪体73・74と反対側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し後退した位置に移動される。
【0042】
そして、カム軸64の回転に伴って苗押出カム36が更に回転され、該苗押出カム36の小径部36bに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88に押されて爪体73・74側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し進出した位置に移動される。このとき、苗押出部材80の弾性板81がその先端側が左右爪体73・74の内面に沿って摺動するように移動されて、爪体73・74の内面に付着した土が落とされる。
【0043】
こうして、苗押出カム36の回転により押出アーム85を介して苗押出部材80が往復移動可能とされ、セル成形苗120が左右の爪体73・74に挟持される際には爪体73・73に対し後退した位置に移動され、左右の爪体73・74に挟持されたセル成形苗120が圃場の畝上面に植付ける際には爪体73・74に対し進出した位置にセル成形苗120を押出しながら移動されるように構成されている。
【0044】
さらに、図1に示すように、各苗植付ユニット24の後部下方にはそれぞれ左右一対の覆土輪90が設けられている。覆土輪90は苗植付ユニット24の苗植付爪22を中心として後面視で略「V」字状に傾斜して配置され、植付直後のセル成形苗120に覆土を行うように構成されている。
【0045】
すなわち、図11、図12に示すように、前記植付フレーム17の左右両側にステーが後方に突出され、覆土フレーム91の先端が所定間隔をあけて前記ステーに軸89を介して枢支され、その後端が苗植付ユニット24後端よりも後方まで左右平行に延出されている。そして、左右の覆土フレーム91がその後端部で後面視「門」字状に形成された連結フレーム92により互いに連結されている。こうして植付後の苗に連結フレーム92が当たらないように覆土フレーム91が補強されている。
【0046】
覆土フレーム91の前記連結フレーム92よりも後側には、覆土輪90を左右揺動自在、つまり、前後方向の軸心となる覆土フレーム91に対して覆土輪支持フレーム96がローリング可能に支持されて装着されている。該覆土輪支持フレーム96は横「E」形に構成されて、左右中央の縦フレーム96aの下部に設けられたボス96bで覆土フレーム91の後部に回転自在に嵌合されている。前記ボス96bには左右方向に延出する支持ステー93が固設され、該支持ステー93の左右両側にはそれぞれ覆土アーム94が前方へ突出して設けられ、該覆土アーム94に覆土輪90が回転自在に支持される。該覆土アーム94の先端部内側に一対の覆土輪90のうち、一方の覆土輪90Aが軸95を介して外側斜め上方を向くように支持されている。該覆土輪90は左右一対設けた一条であっても、本実施例のように左右二対設けた二条、またはそれ以上の条数であっても覆土フレーム91に揺動自在に支持することもできる。
【0047】
さらに、縦フレーム96aの上端には後面視「門」字状に形成されたパイプ96cの左右中央が連結されている。パイプ96cは連結フレーム92と前後平行に配置され、その両端が前記覆土輪90Aよりも外側に延出されている。
【0048】
そして、パイプ96cの両端下部に支持ステー98がそれぞれ固設されて、各支持ステー98の外側に覆土アーム94が前方へ突出するように設けられ、該覆土アーム94の先端部内側に他方の覆土輪90Bが軸95を介して内側斜め上方を向くように支持されている。こうして、内側の覆土輪90Aと外側の覆土輪90Bとが苗植付ユニット24の苗植付爪22を中心として左右方向に傾斜した状態で対向するように配置され、それぞれが覆土フレーム91を中心として上下方向にローリング可能とされて、各条ごとに畝上面の傾斜に応じて上下揺動するように構成されている。つまり、本実施例では二条ごとに揺動できるように構成している。前記覆土輪90は円錐台状に形成されて、左右の覆土輪90によりその間に植付られた苗の根元部を押圧して土を被せるように構成されている。
【0049】
ここで、前記連結フレーム92の左右両側に平面視「U」又は「コ」又は「V」字状の規制部材99が、その開放側が後方を向くように固設され、該規制部材99の内側に前記覆土輪支持フレーム96が配置されて、覆土フレーム91を中心とする外側の覆土輪90Bのローリングが規制されている。つまり、連結フレーム92の上下中途部の後面に規制部材99がその前端で固設されて後方へ突設され、該規制部材99の開放部に覆土輪支持フレーム96の左右中央の縦フレーム96aが挿入される構成とされている。該規制部材99は鋼棒又はプレートを折り曲げたり、鋼板を打ち抜き加工等により容易に、かつ、安価に構成することができ、取付も溶接等により容易に行うことができる。なお、内側の覆土輪90A・90Aは覆土フレーム91の後部に支持ステー93で枢支されるように構成することも可能である。この場合、支持ステー93の上両側の縁部が前方へ折り曲げられて前記縦フレーム96aを所定幅を有して挟むように構成して、覆土輪90A・90Aのローリングを規制することができる。
【0050】
また、前記連結フレーム92の左右中央から前方にステー101が突設され、該ステー101に連結アーム102の一端(下端)が枢支され、該連結アーム102の他端(上端)が支持フレーム103に枢支されたL字状のアーム104の一端に枢結されている。支持フレーム103は平面視で「E」字状に形成されており、その三つに分かれた前端が各チェーケースの後端にステー105を介して連結され、後端が覆土輪90A・90Bの後方まで延出されている。
【0051】
前記アーム104はその中央部で支持フレーム103の後部に軸106により回動可能に枢支され、他端が上方に延出されている。そして、該アーム104の他端にワイヤー107の一端がバネ108を介して接続され、ワイヤー107の他端が走行部1側に備えられた操作手段に接続されている。こうして、該操作手段の操作によりアーム104が回動され、覆土フレーム91が軸89を中心として上下方向に回動されるように構成されて、覆土輪90A・90Bの畝上面に対する高さが調節可能とされている。
【0052】
また、前記覆土フレーム91の後端にロッド111の下端が枢支され、該ロッド111は上方に延設されて、支持フレーム103の後端に支持された筒状のガイド部材112に摺動可能に挿入されている。そして、ロッド111の上部に前記ガイド部材112のストッパピンが貫設され、下部に受部材113が上下移動可能に固定され、該ガイド部材112と受部材113との間にバネ114が介装されて、該バネ114の付勢力により覆土フレーム91を介して覆土輪90A・90Bが畝上面に接するように下方に付勢されている。なお、覆土輪の付勢状態は、受部材113の取付位置の調節によりバネ114の付勢力を変更して調節可能とされている。
【0053】
このように覆土輪90A・90Bが構成されるため、例えば、図13に示すように、圃場の四条のうち、二条で畝上面が傾斜している場合や、図14に示すように、一側の二条の畝上面が他側の二条の畝上面よりも高い位置となる場合でも、畝上面に形状に応じて各条ごとに覆土輪90A・90Bが支点部となる覆土フレーム91を中心としてローリングされて、苗植付爪22による苗植付直後に全ての条で覆土状態が略均一となるように覆土が行われる。また、構造が簡単となり、部品点数が低減される。
【0054】
以上のように構成することにより、苗載台21に戴置された苗トレイ20が横送り軸26aにより左右方向に、又は縦送り軸29により下方に移動されて、各苗植付ユニット24の苗植付爪22によるセル成形苗120の取出位置付近で略垂直姿勢に保持される。そして、苗トレイ20の開口取出側が機体後方を向くように配置された各ポットに、その後方に配置された苗植付爪22A・22Bが後方下側から略水平に突入されて、該苗植付爪22A・22Bによりセル成形苗120の取り出しが行われる。
【0055】
すなわち、図2、図15から図18に示すように、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として反時計回り方向(実線矢印方向)に一回転されるとき、第二ロータリケース32は出力軸51を中心として時計回り方向(破線矢印方向)に二回転される。この回転中において、図7に示すように、第一ロータリケース31の受軸45に設けられた首振り用溝カム34に揺動アーム54の一端に設けられたローラ56が転動自在に嵌合されていることから、揺動アーム54が支点軸57を中心として揺動され、該揺動アーム54の他端に設けた部分ギヤ55と噛合するギア53aが回転される。
【0056】
そして、前記ギヤ53aの回転により爪出力軸53のサンギヤ59が回転され、該サンギヤ59と噛合する第一アイドルギヤ61を介して出力軸62上の出力ギヤ63が回転されて、爪ケース33が揺動される。これにより、苗植付爪22が首振り動作され、該苗植付爪22によりセル成形苗120の取り出しが行われる。このときのカム軸64の回転軌跡が図2に示すような略三角形の基本軌跡Kとされ、苗植付爪22の先端の回動軌跡が植付軌跡Aとされている。
【0057】
具体的には、各苗植付ユニット24に備えられる二つの苗植付爪22のうち、一方の苗植付爪22は、図15に示される苗植付爪22Aのように、苗トレイ20のポットに挿入されるときには、略水平方向に左右の爪体73・74が開いた状態で挿入される。このとき、第一ロータリケース31及び第二ロータリケース32は略一直線状に水平方向に位置した状態とされる。そして、苗植付爪22Aが苗トレイ20のポットに挿入された状態で、カム軸64上の開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が閉じて、ポット内のセル成形苗120が根鉢部分120aで挟持される。
【0058】
そして、第一ロータリケース31の先端が下方へ回動されるに従って、苗トレイ20のポットから苗植付爪22Aが抜き出されてセル成形苗120が取り出される。この際、第二ロータリケース32が第一ロータリケース31に対し逆回転していることから、図16に示すように、苗植付爪22Aが後方に略水平方向で戻るように移動されて、その挟持するセル成形苗120の苗トレイ20などとの接触による落下が防止される。
【0059】
図17に示すように、第一ロータリケース31が更に下方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32が回動されるに従って、苗植付爪22Aは徐々に下方を向くように姿勢が変更される。そして、図18に示すように、苗植付爪22Aが鉛直方向を向いた位置において、開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が開くと同時に、苗押出カム36の回転により押出アーム85が回動され、苗押出部材80が爪体73・74側に移動され、該苗押出部材80により爪体73・74間のセル成形苗120が押されて圃場の畝上面に植付けられる。
【0060】
植付後には第一ロータリケース31が上方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32も回動され、図15の苗植付爪22Bのように、苗植付爪22は略下方から若干後下方を向いたまま上昇される。また、前記覆土輪90により畝上面に植え付けられたセル成形苗120に覆土が行われる。
【0061】
そして、苗植付爪22は垂直方向を向いた姿勢のまま更に上昇され、セル成形苗120の植付姿勢の変化と、苗植付爪22の回動により植付けられたセル成形苗120が倒されることが防止される。このとき、第一ロータリケース31が半回転され、第二ロータリケース32が略一回転されている。なお、苗押出部材80は苗植付爪22が十分に上昇した位置で、苗押出カム36の回転により元の位置に戻される。
【0062】
そして更に、第一ロータリケース31が回動され、図16、図17、図18の苗植付爪22Bのように、苗植付爪22は垂直方向を向いた状態から徐々に水平方向を向くように姿勢が変更され、元の位置に戻される。こうして、第一ロータリケース31が一回転され、第二ロータリケース32が二回転されて、この回転中に二つの苗植付爪22により二株のセル成形苗120が圃場の畝上面に植付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例に係る移植機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】苗植付爪部の側面図。
【図3】苗植付ユニットの駆動説明図。
【図4】苗植付爪の駆動説明図。
【図5】ロータリケースの断面図。
【図6】ロータリケース内部の説明図。
【図7】揺動カム部の説明図。
【図8】苗植付爪部の側面説明図。
【図9】苗植付爪部の平面説明図。
【図10】苗押出部材の説明図。
【図11】覆土輪部の側面説明図。
【図12】覆土輪部の背面説明図。
【図13】傾斜面における覆土輪部の背面説明図。
【図14】傾斜面における覆土輪部の背面説明図。
【図15】苗植付爪の0°、180°位置の説明図。
【図16】苗植付爪の45°、225°位置の説明図。
【図17】苗植付爪の90°、270°位置の説明図。
【図18】苗植付爪の135°、315°位置の説明図。
【符号の説明】
【0064】
1 走行部
11 植付部
12 ローリング支点軸
20 苗トレイ
21 苗載台
22 苗植付爪
24 苗植付ユニット
31 第一ロータリケース(第一ロータリ部材)
32 第二ロータリケース(第二ロータリ部材)
80 苗押出部材
90 覆土輪
120 セル成形苗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付部の苗載台上に載置した苗を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部の左右中央に配置した軸を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部の両側より後方に覆土フレームを後方に延設し、該覆土フレーム後部に覆土輪をローリング可能に連結したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記覆土フレーム後部に二条の覆土輪をローリング可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載
【請求項3】
前記左右の覆土フレームを連結フレームで連結するとともに、2条の覆土輪を独立してローリング可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
【請求項1】
植付部の苗載台上に載置した苗を取り出して圃場に複数条植付ける多条型の移植機であって、植付部の左右中央に配置した軸を中心としてローリング可能に構成するとともに、植付部の両側より後方に覆土フレームを後方に延設し、該覆土フレーム後部に覆土輪をローリング可能に連結したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記覆土フレーム後部に二条の覆土輪をローリング可能に支持したことを特徴とする請求項1に記載
【請求項3】
前記左右の覆土フレームを連結フレームで連結するとともに、2条の覆土輪を独立してローリング可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−101843(P2006−101843A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296768(P2004−296768)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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