説明

移植機

【課題】駆動輪と従動輪に巻き掛けた苗送りベルトの搬送作用側を苗載台のマット苗載置面に臨ませ、前記苗送りベルトを張り側に付勢する緊張手段を設けると共に、該緊張手段の付勢力に抗して苗送りベルトを緩めることによって苗送りを停止させる苗送りクラッチを設備えた苗縦送り装置において、条止め植付け作業を行なうにあたり、非搬送作用側に膨出する苗送りベルトが駆動輪に接触して連れ回りが起こることを防止する。
【解決手段】苗送りクラッチ71によって緊張手段81の付勢力に抗して苗送りベルト64を緩め、該苗送りベルト64によるマット苗Nの苗送りを停止させた時、当該苗送りベルト64のマット苗Nに対する非搬送作用側D´への膨出を防止可能な規制体19dを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全ての苗送りベルトと移植装置を作動させる全条植付け作業と、任意の苗送りベルトと該苗送りベルトに対応する移植装置を停止させて、残条の植付けを行う条止め植付け作業とを切換可能になした乗用型田植機等の移植機にする。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用型田植機等の移植機においては、複数の植付け条分のマット苗を載置すべく苗載台を左右方向に区画してマット苗載置面を形成し、各マット苗載置面に、駆動輪と従動輪に巻き掛けた苗送りベルトと、該苗送りベルトを張り側に付勢するスプリングを備えた苗縦送り装置を臨ませると共に、苗載台の下方に、各マット苗載置面に対応する移植装置を設け、更に全ての苗送りベルトと移植装置を作動させる全条植付け作業と、任意の苗送りベルトと該苗送りベルトに対応する移植装置を停止させて残条の植付けを行う条止め植付け作業とを切換可能になし、この条止め植付け作業を行う時は、前記スプリングに抗して従動輪を移動させることにより該当する苗送りベルトを緩めて駆動輪との伝動回転を断ち、それによって任意の苗送りベルトによる苗送りを停止できるように構成した、所謂テンションクラッチ式の苗送りクラッチを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平6−14811号公報(第2−3頁、図3−図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1のものは、条止め植付け作業を行なうにあたり、苗送りベルトを張り側に付勢するスプリングに抗して従動輪を移動させて苗送りベルトを緩めた時、駆動輪と従動輪に巻き掛けられている苗送りベルトの下側、即ちマット苗に対する苗送りベルトの非搬送作用側への膨出が起こるので、当該駆動輪に苗送りベルトが接触することによる苗送りベルトの連れ回りが起こって、確実に苗送りを停止させることができないといった不具合を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、複数の植付け条分のマット苗を載置すべく苗載台を左右方向に区画してマット苗載置面を形成し、各マット苗載置面に駆動輪と従動輪に巻き掛けた苗送りベルトの搬送作用側を臨ませ、この苗送りベルトを張り側に付勢する緊張手段を備えた苗縦送り装置を苗載台の下部裏側に配設すると共に、前記緊張手段の付勢力に抗して苗送りベルトを緩めることによって苗送りを停止させる苗送りクラッチを設け、また各マット苗載置面に対応する移植装置を苗載台の下方に設けて、全ての苗送りベルトと移植装置を作動させる全条植付け作業と、任意の苗送りベルトと該苗送りベルトに対応する移植装置を停止させて残条の植付けを行う条止め植付け作業とを切換可能に構成した移植機において、前記苗送りクラッチによって緊張手段の付勢力に抗して苗送りベルトを緩め、該苗送りベルトによるマット苗の苗送りを停止させた時、当該苗送りベルトのマット苗に対する非搬送作用側への膨出を防止可能な規制体を設けたことを第一の特徴としている。
そして、前記規制体を苗載台に一体形成してなることを第二の特徴としている。
更に、前記苗送りベルトによる苗送りを停止させた時、当該苗送りベルトを制動するブレーキ体を設けたことを第三の特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、条止め植付け作業を行なうにあたり、苗送りクラッチによって緊張手段の付勢力に抗して苗送りベルトを緩め、該苗送りベルトによるマット苗の苗送りを停止させた時、当該苗送りベルトのマット苗に対する非搬送作用側への膨出を防止可能な規制体を設けたことによって、駆動輪と従動輪に巻き掛けられている苗送りベルトの下側、即ちマット苗に対する苗送りベルトの非搬送作用側への不要な膨出を防止できるようになり、それによって駆動輪に苗送りベルトが接触することによる苗送りベルトの連れ回りを回避して確実な苗送りの停止がなされる。
そして、請求項2の発明によれば、前記規制体を苗載台に一体形成してなるので、特別な規制体を別個に設けることなく安価で簡潔な規制体を提供することができる。
更に、請求項3の発明によれば、記苗送りベルトによる苗送りを停止させた時、当該苗送りベルトを制動するブレーキ体を設けたので、緩んだ状態の苗送りベルトがマット苗の自重によって下向きに連れ回りすることを強制的に防止して、確実な苗送りの停止がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、移植機の一例である乗用型田植機1の側面図、また図2は、植付部の拡大側面図であって、この乗用型田植機1は、左右一対の前輪2及び後輪3に支持された走行機体4を有し、その左右一側には、走行機体4の前方から後部に亘って延設される折畳み式の予備苗載台5を配設している。
【0007】
そして、走行機体4の前側には、ボンネット8で覆われた図示しないエンジンを搭載すると共に、ボンネット8の後方には、ステアリングホイール9、運転操作パネル11、及び主変速レバー12等を備えた操縦部13と、この操縦部13の床面を形成するステップ14、座席15を支持する機体カバー16を設けている。尚、機体カバー16には、座席15後方の左右両側に、前記ステップ14より一段高い平坦な苗供給用ステップ16a,16aを形成している。
【0008】
また、走行機体4の後方には、昇降リンク機構17を介して植付作業機18を昇降自在に連結している。植付作業機18は、前高後低状に傾斜して設けた樹脂製の苗載台19と、該苗載台19から苗を掻取って植え付ける複数の植付爪21を備えた移植装置22と、この移植装置22の下方には、植付け田面を整地するフロート23等を設けているが、これらの基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【0009】
そして、ボンネット8の左右両側に形成されているフロントステップ24の左側下方には、走行機体4から外側方に延出させて2本の支柱25f,25rを立ち上げると共に、両支柱25f,25rの上端に前高後低状に固設したステー26に折畳み式の予備苗載台5を構成する固定苗台5aを螺設している。
【0010】
この固定苗台5aの前側及び後側には、該固定苗台5aに対して回動可能な第1可動苗台5bと第2可動苗台5cとを連結してあり、予備苗載せ台5は、第2可動苗台5cと第1可動苗台5bが固定苗台5aの上方に折畳まれた図示しない格納姿勢状態と、各苗台5a,5b,5cが側面視で前高後低の略一直線状に展開される展開姿勢状態とに姿勢変更できるようになっている。
【0011】
尚、予備苗載台5が上述したように展開姿勢状態にある時は、第1可動苗台5bは、ボンネット8より高い位置に展開して走行機体4の前端から大きく突出するので、圃場面からの段差が大きい畦際の道路や畦等から当該予備苗載台5へマット苗(予備苗)Nを補給する際の作業性がよい。また、第2可動苗台5cの終端は、苗供給用ステップ16a,16aの上方近傍に位置するので、第2可動苗台5cから苗載台19への予備苗の供給がスムーズに行える。
【0012】
また、昇降リンク機構17の後端にリンクホルダ31を取付けると共に、このリンクホルダ31の下部には、走行機体4の幅方向に向けて植付フレーム32を延設している。そして、植付フレーム32には、上述の移植装置22を作動させる図示しないチェン伝動機構を内装した植付伝動ケース33を走行機体4の幅方向に所定の間隔で取付けている。
【0013】
そして、植付フレーム32の上方には、左右往復動する苗載台19を前高後低状の傾斜姿勢で配設してあり、この苗載台19に載置されているマット苗Nをエプロン34の苗受け部34bで受け止め、当該苗載台19の横移動に連係しながら作動する植付爪21によって、エプロン34の苗受け部34bで受け止めたマット苗Nを掻取って圃場に植付けることができるようになっている。尚、図中符号35は、植付伝動ケース33を植付フレーム32に取付けるための取付けブラケットである。また、図2において、植付爪21の掻取り(静止植付)軌跡を二点鎖線Aで示している。
【0014】
更に詳しくは、植付伝動ケース33の略中央上部は、傾斜支持面を有する突起部33aを形成してあり、前記傾斜支持面には、エプロン34を走行機体4の幅方向に支持するためのブラケット36を取付けている。エプロン34は、アルミニウム合金の引抜き成形体であり、該エプロン34の苗受け部34bは、その基端部である断面が略角パイプ状部分34aから一体的に延設されている。
【0015】
そして、エプロン34の基端部46aの前側には、植付伝動ケース33の突起部33aに形成した傾斜支持面と直交するT溝34cを形成してあり、このT溝34cにボルト37を嵌挿すると共に図示しない圧縮スプリング及びロックナットを介して、当該エプロン34がブラケット36に常時圧接状態で支持されるように構成している。
【0016】
また、エプロン34に形成したT溝34cの前側開口部には、エプロン34の苗受け部34bで受け止めたマット苗Nの掻取り量を調節操作すべく、掻取量調節レバー41に連係させたエプロン昇降カム42の先端膨大部42aを遊嵌している。このエプロン昇降カム42は、植付伝動ケース33の突起部33aの前側にホルダプレート43を介して回転自在に支承した回動軸(筒軸)44に固設してある。
【0017】
そして、回転軸44には、前方に延出する中間アーム45を一体的に固設しあり、その先端に長孔45aを穿設し、この長孔45aに嵌入するように掻取量調節レバー41の基端部にピン41aを突設すると共に、植付フレーム32の後側に取付けたブラケット46に装着されるピン47を介して当該掻取量調節レバー41を回動操作自在に支持することによって、掻取量調節レバー41からエプロン34に至る掻取り量調節機構Bを構成している。
【0018】
また、植付フレーム32に立設して苗載台19を前高後低状の傾斜姿勢で支持する左右一対の苗載台支持ステー51のうち、左側の支持ステー51の側方には、掻取量調節レバー41のレバーガイド52が螺設してあり、このレバーガイド52に設けた図示しない複数段の係止溝の所望位置に、掻取量調節レバー41に備える図示しない係止片を係止することにより、上述した掻取り量調節機構Bを介してエプロン34を上動または下動させ、それによってエプロン34の苗受け部34bで受け止めたマット苗Nの植付爪21による掻取り量を調節することができるようになっている。
【0019】
そして、図3は、苗載台19の左右移動端においてマット苗Nを下方に繰り出す苗縦送り装置Cの概要を示す一部を省略した側断面図であり、苗載台19は、スクリューシャフト61を含む図示しない横送り駆動系に備える変速機構を介してマット苗Nの幅分ほど左右に往復動すると共に、苗載台19の上下方向中途部から下部にかけてその裏側に配設した当該苗縦送り装置Cによって、苗載台19のマット苗載置面19aに載置されているマット苗Nを上方から下方に向けて搬送(縦送り)することができる。
【0020】
更に詳しく説明すると、苗縦送り装置Cは、下側に配置した駆動輪62と上側に配置した従動輪63との間に巻き掛けたゴム製の苗送りベルト(無端帯ベルト)64を有しており、この苗送りベルト64の搬送作用側(苗送り作用面側)Dを苗載台19のマット苗載置面19aに臨ませている。即ち、苗載台19には、苗送りベルト64の搬送作用側Dがマット苗載置面19aに臨む開口部19bを設けている。尚、苗送りベルト64の表面には、マット苗Nの根部の保持性を高めるために多数の係止突起64aを設けている。
【0021】
そして、苗載台19は、図4に示すように、乗用型田植機1の植付け条数に対応する複数の植付け条分(本実施例では5条分)のマット苗Nを載置できるように、左右方向に区画してマット苗載置面19aを形成すると共に、上述の如くマット苗Nを載置するために区画した各マット苗載置区画内の下部側に左右一対の苗送りベルト64(苗縦送り装置C)を設けている。
【0022】
また、上述したスクリューシャフト61は、図示しないネジ溝が正逆方向に形成されていて、このスクリューシャフト61が回転すると、前記ネジ溝に係合するスライドブロックを介して苗載台19はスクリューシャフト61にそって正逆(左右)方向に移動する。そして、スクリューシャフト61の端部には、図中E矢印方向に回転する回転アーム65が取付けてあり、この回転アーム65の先端部で縦送りレバー68を上方に間欠的に叩き上げることによって、図示しないワンウェイクラッチにより苗送りベルト64を一方向に所定のタイミングで回転させることができる公知の間歇回転機構を備えている。
【0023】
そして、苗載台19の左右移動端において、上述の間歇回転機構を介して上方から下方に向けて所定量搬送(縦送り)されるマット苗Nは、苗載台19の下方に備えるエプロン34の苗受け部34bで受け止められ、この苗受け部34bに形成されている図示しない切欠部から植付爪21により掻き取られて田面に植付けられる。
【0024】
次に、上述した苗縦送り装置Cの苗送りクラッチ71について説明する。この苗送りクラッチ71は、テンションクラッチ式のクラッチ機構を採用しており、苗載台19の裏側に近接させて走行機体4の後部に配置した条止め操作レバー72を、図1の実線で示す苗送り操作位置から二点鎖線の苗送り停止位置に操作すると、苗送りベルト64を緊張せしめた苗送り状態から、従動輪63を下方に移動させて苗送ベルト6を緩めた状態、即ち駆動輪62から苗送りベルト64への伝動を不能にして苗送りを停止させる非苗送り状態に切り換えることができるように構成している。
【0025】
また、条止め操作レバー72による苗送りクラッチ71の切り操作によってマット苗Nの苗送りを停止させた時、前記苗送りクラッチ71の切り操作に連係して苗送りベルト64を制動する棒状のブレーキ体73を図5に示すように横設している。このブレーキ体73は、詳細は後述するように、緩められた状態の苗送りベルト64に接触することにより当該苗送りベルト64を制動する。
【0026】
そして、マット苗Nの苗送り停止した苗送りベルト64に対応する植付け条の各植付爪21は、苗送りクラッチ71の切り操作に連係して植付伝動ケース33内の図示しない植付クラッチ機構が切り作動すると同時に駆動が停止するので、全ての苗送りベルト64と移植装置22を作動させる全条植付け作業と、任意の苗送りベルト64と該苗送りベルト64に対応する移植装置22を停止させて残条の植付けを行う条止め植付け作業とを、簡単且つ速やかに切り換え操作することができる。
【0027】
本実施例の植付作業機18は、植付け条が5条分のマット苗Nを載置できるように苗載台19を区画しているので、上述の条止め植付け作業の切り換え操作は、苗載台19の左右両側で相隣する2条分の苗送ベルト64(苗縦送り装置C)と植付爪21(移植装置22)を対応させてその駆動及び停止を同時に行い、苗載台19の中央部に位置する1条分の苗送ベルト64と植付爪21の駆動及び停止は単独で行なえるように構成している。尚、苗載台19の左右両側で相隣する2条分の苗送ベルト64を巻き掛ける従動輪63を遊転可能に取り付けた左右(2本)の従動軸76と、苗載台19の中央部に位置する1条分の苗送ベルト64を巻き掛ける従動輪63を遊転可能に取り付けた一本の従動軸77は、それぞれ苗載台19の裏側に突設した複数の取付ブラケット78に支持されている。
【0028】
更に詳しく説明すると、各従動軸76,77は、各取付ブラケット78に苗載台19の上下方向に沿って長孔状に形成した図示しないガイド溝に挿入支持されており、条止め操作レバー72が操作されると、前記ガイド溝に沿って各従動軸76,77が上下方向に作動する。また、左右両側に位置する2本の従動軸76は、その両端と中途部とを苗送りベルト64を張り側に付勢する緊張手段である引張スプリング81によって付勢支持されると共に、中央部に位置する1本の従動軸77は、その両端を苗送りベルト64を張り側に付勢する緊張手段である引張スプリング81によって付勢支持されている。尚、前記ガイド溝は、従動軸76,77の苗送ベルト64の張り方向及び苗送りクラッチ71の切り方向への移動を妨げない長孔状に形成されている。
【0029】
そして、左右両側に位置する2本の従動軸76は、その左右方向略中間部において隣接する苗送りベルト64,64の間に、条止め操作レバー72に連係するワイヤ82を介して連結せしめたプレート状の連結部材83の長孔83aに挿入支持すると共に、当該連結部材83の上部と苗載台19の裏面側リブ19cとの間に上述の引張スプリング81を係止せしめている。同様に中央部に位置する1本の従動軸77も、その左右方向略中間部において隣接する苗送りベルト64,64の間に、条止め操作レバー72に連係するワイヤ84を介して連結せしめたプレート状の連結部材85の長孔83aに挿入支持している。
【0030】
また、図4〜図7に示すように、連結部材83,85の上部に苗送りベルト64を制動する棒状のブレーキ体73を螺設してあり、条止め操作レバー72による苗送りクラッチ71の切り操作によってマット苗Nの苗送りを停止させた時、当該ブレーキ体73は、図7に示す如く緩められた状態の苗送りベルト64に強固に接触して、緩んだ状態の苗送りベルト64がマット苗Nの自重によって下向きに連れ回りすることを強制的に防止できるので、確実な苗送りの停止がなされる。
【0031】
一方、苗送りベルト64のマット苗Nに対する非搬送作用側(非苗送り作用面側)D´に相当する苗載台19の下面側(裏側)には、条止め操作レバー72に連係する苗送りクラッチ71によって引張スプリング81の付勢力に抗して苗送りベルト64を緩め、この苗送りベルト64によるマット苗Nの苗送りを停止させた時、当該苗送りベルト64のマット苗Nに対する非搬送作用側D´への膨出を防止可能な規制体19dを設けている(図3、図5、図6、及び図7参照)。
【0032】
更に詳しく説明すると、苗載台19には、苗送りベルト64の搬送作用側Dをマット苗載置面19aに臨ませるために開口部19bを設けているが、この開口部19bの上下方向に亘って上述の規制体19dを苗載台19に一体形成しているので、特別な規制体を別個に設けることなく安価で簡潔な規制体を提供することができる。そして、条止め植付け作業を行なうにあたり、苗送りクラッチ71によって緊張手段である引張スプリング81の付勢力に抗して苗送りベルト64を緩め、この苗送りベルト64によるマット苗Nの苗送りを停止させた時、当該苗送りベルト64のマット苗Nに対する非搬送作用側D´への膨出を防止可能な前記規制体19dを設けたことで、駆動輪62と従動輪63に巻き掛けられている苗送りベルト64の下側、即ちマット苗Nに対する苗送りベルト64の非搬送作用側D´への不要な膨出を防止できるようになり、それによって駆動輪62に苗送りベルト64が接触することによる苗送りベルト64の連れ回りを回避して確実な苗送りの停止がなされる。
【0033】
尚、図3及び図4に示すワイヤ86は、エプロン34の苗受け部34bで受け止めたマット苗Nの掻取り量を調節操作する掻取量調節レバー41に、当該ワイヤ86を介して縦送りレバー68を連係させることによって、この縦送りレバー68による駆動輪62の間歇回転量、即ち図示しないワンウェイクラッチを介しての苗送りベルト64によるマット苗Nの苗送り量をマット苗Nの掻取り量に対して比例的に変更できるように構成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】植付部の拡大側面図。
【図3】苗縦送り装置の概要を示す一部を省略した側断面図。
【図4】苗載台の正面図。
【図5】苗載台の拡大正面図。
【図6】図4におけるF矢視図(苗縦送りベルト周辺の一部を省略した側断面図)。
【図7】ブレーキ体及び規制体の作用状態を示す一部を省略した側断面図。
【符号の説明】
【0035】
19 苗載台
19a マット苗載置面
19d 規制体
22 移植装置
62 駆動輪
63 従動輪
34b 苗受け部
41 掻取量調節レバー
53 操作荷重軽減手段
64 苗送りベルト
71 苗送りクラッチ
73 ブレーキ体
81 緊張手段
C 苗縦送り装置
D 搬送作用側
D´ 非搬送作用側
N マット苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の植付け条分のマット苗(N)を載置すべく苗載台(19)を左右方向に区画してマット苗載置面(19a)を形成し、各マット苗載置面(19a)に駆動輪(62)と従動輪(63)に巻き掛けた苗送りベルト(64)の搬送作用側(D)を臨ませ、この苗送りベルト(64)を張り側に付勢する緊張手段(81)を備えた苗縦送り装置(C)を苗載台(19)の下部裏側に配設すると共に、前記緊張手段(81)の付勢力に抗して苗送りベルト(64)を緩めることによって苗送りを停止させる苗送りクラッチ(71)を設け、また各マット苗載置面(19a)に対応する移植装置(22)を苗載台(19)の下方に設けて、全ての苗送りベルト(64)と移植装置(22)を作動させる全条植付け作業と、任意の苗送りベルト(64)と該苗送りベルト(64)に対応する移植装置(22)を停止させて残条の植付けを行う条止め植付け作業とを切換可能に構成した移植機において、前記苗送りクラッチ(71)によって緊張手段(81)の付勢力に抗して苗送りベルト(64)を緩め、該苗送りベルト(64)によるマット苗(N)の苗送りを停止させた時、当該苗送りベルト(64)のマット苗(N)に対する非搬送作用側(D´)への膨出を防止可能な規制体(19d)を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記規制体(19d)を苗載台(19)に一体形成してなる請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記苗送りベルト(64)による苗送りを停止させた時、当該苗送りベルト(64)を制動するブレーキ体(73)を設けた請求項1または請求項2に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−284854(P2009−284854A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142583(P2008−142583)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】