説明

種子温湯消毒施設及び該施設における品質管理方法

【課題】種子温湯消毒施設において、温湯消毒処理した種籾の消毒効果等の品質管理方法を提供するものである。
【解決手段】
本発明によると、原料種子をロット単位で消毒容器に小分けして少なくとも温湯消毒処理、乾燥処理及び計量包装処理を行って消毒済種子を製品にするとともに、該製品に原料種子のロットの識別表示をする一方、前記製品の消毒済種子サンプルを採取して該サンプルをテスト育苗し、該テスト育苗した苗の外観状態を撮像して該苗画像を任意のデータベースに入力管理し、前記苗画像に基づいて各ロットの消毒済種子の消毒効果を評価可能にしたので、前記種子温湯消毒施設において施した温湯消毒効果を前記苗画像(テスト育苗画像)を基にして評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意ロットの原料種子(種籾(もみ)など)を温湯に浸漬して消毒処理を連続的に行う種子温湯消毒装置を備えた種子温湯消毒施設に係り、特に、該種子温湯消毒装置による種子の消毒効果等の品質管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水稲苗用の種籾を播種・育苗するに先立って、あらかじめ前記種籾を温湯に浸漬して種々の雑菌を減菌消毒する種子温湯消毒装置を備えた種子温湯消毒施設が知られている。例えば、本出願人が開示した特許文献1の種子温湯消毒装置は、複数の消毒容器が、無端搬送チェーン等の搬送装置によって温浴槽と冷浴槽とに順次搬送・浸漬されるようになっており、この外、前記各消毒容器に原料種籾を供給する供給部、及び温湯浸漬消毒を終えた消毒容器内の消毒済種籾を排出する排出部を備えて、大量の原料種籾を連続的に効率よく温湯消毒することを可能にしたものである。
【0003】
一方、特許文献2に開示された種子温湯消毒装置は、原料種籾を供給したかご状の複数の各コンテナ(消毒容器)を、循環移動可能に構成した搬送装置によって昇降可能に吊り掛けて搬送し、温浴槽と冷浴槽との各位置において、前記搬送装置によって順次昇降して浸漬させるものである。
【0004】
【特許文献1】特開2008−29245号公報
【特許文献2】特開2006−42745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記種子温湯消毒装置には、以下の問題点があった。すなわち、上記種子温湯消毒装置で処理された各消毒済種籾の消毒効果の確認が困難な点である。一般的に、原料種籾は、該原料種籾に付着している雑菌の量などが常に一定レベルではないことが予測され、また、その保管環境等によって雑菌の付着量などが多かったり少なかったりすることなどが推測される。このため、例えば雑菌の付着量が多い原料種籾については、上記種子温湯消毒装置で消毒処理を施しても消毒効果が不十分であることが懸念される。このため、仮に、消毒効果の不十分な種籾が後工程に流れてそのまま製品・出荷されたり、又は他の原料種籾と混合されて製品・出荷されたりすると、当該製品(消毒済種籾)を使って育苗した場合には、その育苗段階になって残った雑菌が基となって発病(ばか苗病やいもち病など)する可能性があるため、このような事態が生じると苗の生産計画等に悪影響を及ぼすことが懸念される。
そこで、本発明は、上記問題点にかんがみ、前記種子温湯消毒施設において、種子温湯消毒装置(温湯消毒処理)によって施された種籾の消毒効果等の品質管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1により、
ロット単位の原料種子を消毒容器に供給して温湯消毒装置で温湯処理を行った後に、少なくとも乾燥装置及び包装装置を経て消毒済種子の製品を得るとともに、該製品に原料種子のロットを識別表示する一方、前記製品から消毒済種子サンプルを採取して該サンプルをテスト育苗し、該テスト育苗した苗の外観状態を撮像して該苗画像を任意のデータベースに入力管理し、前記苗画像に基づいて各ロットの消毒済種子の消毒効果を評価する、という技術的手段を講じるものである。
【0007】
また、請求項2から請求項3により、
前記前記消毒済種子サンプルについて残留農薬測定及び/又はDNA品種鑑定を行い、この残留農薬測定値ほかの測定値を加味して消毒済種子の品質管理を行うとよい。
【0008】
さらに、請求項4により、
前記任意ロットの原料種子が温湯槽と冷水槽とに浸漬されたときの時間及び/又は温湯・冷水の各温度を測定し、該測定時間・測定温度を加味して消毒済種子の品質管理を行うとよい。
【0009】
また、請求項5により、
前記温湯消毒装置の具体的な構成としては、
原料種子を入れた複数の消毒容器を搬送手段によって、温湯を張った温浴槽と冷水を張った冷浴槽とに、順次、搬送・浸漬して消毒を行うものであって、
前記各消毒容器は、種子をばら状態で供給・排出する開閉部を備えて密閉状で、かつ籠状に構成し、
前記搬送手段は、前記複数の消毒容器を連結した無端搬送チェーンと、該無端搬送チェーンに連結した各消毒容器を、該各消毒容器に種子を供給する種子供給部、前記温浴槽と冷浴槽とからなる浸漬部及び浸漬後の各消毒容器内の種子を排出する種子排出部の順からなる経路で搬送する搬送駆動部とを有してなり、
前記搬送経路における前記種子供給部の下流側及び種子排出部の上流側には各消毒容器の開閉部の開閉手段をそれぞれ配設してなるものとすることができる。
【0010】
さらに、請求項6により、種子温湯消毒施設は、
ロット単位の原料種子を消毒容器に供給して温湯消毒装置で温湯処理を行った後に、少なくとも乾燥装置及び包装装置を経て消毒済種子の製品を得る種子温湯消毒施設であって、
前記各ロットの原料種子における生産者等のデータ入力ができ、かつ、該生産者等のデータに対応した個別のロット識別データを付与するとともに当該ロットの原料種子に係る複数のデータを管理するデータ管理装置を備えるとともに、
前記包装装置は、前記データ管理装置に入力された前記ロット識別データを包装袋に識別表示するとともに、該包装袋に識別表示されたロット識別データに対応した消毒済種子を当該包装袋に包装して前記製品にするものとする一方、
前記データ管理装置は、前記各ロット識別データの製品から採取した消毒済種子サンプルをテスト育苗して得た苗の外観を撮像した苗画像を入力するようにする、という技術的手段を講じたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ロット単位の原料種子を消毒容器に供給して温湯消毒装置で温湯処理を行った後に、少なくとも乾燥装置及び包装装置を経て消毒済種子の製品を得るとともに、該製品に原料種子のロットを識別表示する一方、前記製品から消毒済種子サンプルを採取して該サンプルをテスト育苗し、該テスト育苗した苗の外観状態を撮像して該苗画像を任意のデータベースに入力管理し、前記苗画像に基づいて各ロットの消毒済種子の消毒効果を評価するようにしたので、前記種子温湯消毒施設において施した温湯消毒効果を前記苗画像(テスト育苗画像)を基にして、出荷検査等において照会等して評価することができる。このため、後工程(市場)に不良品を流すことを防ぎ、製品品質の向上により前記種子温湯消毒施設の品質の信頼性を維持することができる。
【0012】
また、万一、前記製品購入者(後工程)が上記製品種籾を使って育苗した苗にいもち病などが発病した場合には、前記種子温湯消毒施設での消毒効果(有効性)が問題視されるが、前記データベース(品質管理データ表)により、その製品種籾のテスト育苗画像を当該製品のロット識別表示(例えば、識別NO.)を検索キーとして照会することができるので、前記問題点について前記種子温湯消毒施設による影響度合を早期に分析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における種子温湯消毒施設1の実施例を説明する。本実施例では原料種子は、種籾として説明する。該種子温湯消毒施設1は、図1に示したように、原料種籾を順次浸漬させるための温湯槽と冷水槽とからなる温湯消毒装置1a(温湯消毒工程)と、該温湯消毒装置1aから排出された消毒済種子を水切りする水切装置47(水切工程)と、該水切装置47から排出された水切り後の種子を乾燥する乾燥装置48(乾燥工程)と、該乾燥装置48から排出された乾燥後の種子に含まれた脱ぷ粒を選別する選別装置64(選別工程)と、該選別装置64から排出された種子を袋詰めして製品にする包装装置66(包装工程)とを備える。また、前記種子温湯消毒施設1は、上記各装置の外に、前記温湯消毒装置1aにおける温湯槽の温湯温度など、当該種子温湯消毒施設1で処理された消毒済種子の品質を管理するための各種データを入力管理(データベース管理)するとともに、各ロットの原料種籾の処理状況を監視制御するデータ管理装置67を備える。以下、前記各装置の構成について順に説明する。
【0014】
温湯消毒装置1a:(温湯消毒処理)
図2は、前記温湯消毒装置1aの側断面図である。該温湯消毒装置1aは、種子を浸漬して消毒する浸漬部2と、ばらの原料種籾を入れる複数の消毒容器(後述する)10と、該消毒容器10を順次前記浸漬部2(温湯槽4と冷水槽5)に搬送・浸漬させる搬送手段3とが備えてある。
【0015】
前記浸漬部2は、温湯を張った温浴槽4と冷水を張った冷浴槽5とを併設してなり、前記温浴槽4及び冷浴槽5のぞれぞれの槽内には、温度測定手段4a,5a(例えば、温度センサ4a,5a)を配設して温湯温度と冷水温度の測定ができるようにしてある。前記温度測定手段4a,5aの各温度(温湯温度と冷水温度)は、後述するデータ管理装置67に対して、オペレータによる測定入力(本実施例)、又はオンラインで自動的に入力できるようにしてある。なお、前記温浴槽4及び冷浴槽5の各底部には排水用の開閉弁4b,5bを備える。
【0016】
前記搬送手段3は、無端状の搬送チェーン(以後、「無端搬送チェーン」という。)6と、該無端搬送チェーン6を移送させる搬送駆動部7とからなる。前記搬送駆動部7は、前記無端搬送チェーン6を移送させる複数のスプロケット8を任意位置に備える。該スプロケット8は、図2に示すように、前記浸漬部2(温浴槽4及び冷浴槽5)の上方位置に一対を対設(8a,8b)するとともに、前記温浴槽4の開口上端部に一つ(8d)、前記冷浴槽5の開口上端部に一つ(8c)、さらに、前記温浴槽4及び冷浴槽5の各槽内に一対(8e,8e)(8f,8f)、をそれぞれ配設する。また、前記温浴槽4と冷浴槽5とが接する壁面2aの上方位置には、前記無端搬送チェーン6の搬送ガイド4bを設ける。そして、これら全てのスプロケット8(8a〜8f)及び搬送ガイド4bには、前記無端搬送チェーン6が掛け渡してある。前記スプロケット8のうち、前記スプロケット8a,8b,8dには駆動ベルト9aを介してモータ9が接続され、前記各モータ9の駆動によって、前記スプロケット8a,8b,8dが回転駆動して前記無端搬送チェーン6を所定の方向(図2に示す矢印Y方向)に移送できるようにしてある。なお、前記無端搬送チェーン6,6は、2本を並設し、後述する各消毒容器10をその両側と連結して搬送できるようにしてある(図3)。
【0017】
(消毒容器10:)
前記消毒容器10は、前記無端搬送チェーン6,6の長手方向に対して等間隔ごとに複数が連結されている(図2)。前記消毒容器10は、例えば図3に示したように、前記種籾が通過しない大きさの複数の孔11を設けた有孔板12を用い、横長状でかつ縦断面6角形とした閉塞(そく)状に形成してある。前記消毒容器10は、前記無端搬送チェーン6,6に連結した状態で、その上面側(前記6角形の一面)を、種籾供給・排出用の開閉部13としてある。該開閉部13は、扉状の開閉扉14とした。該開閉扉14は、長手方向の一側縁部を丁番15を介して容器本体10a側の開口縁部と接続し、開閉可能にしてある。前記開閉扉14は、容器本体10aの開口に対して付勢力をもって開閉するように、開閉扉14における短側縁部14aと容器本体10aの側面10bとに取付部14b,10cを設け、この両者間にスプリング16を掛渡してある。また、前記開閉扉14には、前記丁番15を配設した位置の反対側に、開閉扉14の開き具合を制限保持するための断面く形状のストッパー板17を設ける。
【0018】
また、前記開閉扉14において、前記短側縁部14aの反対側の短側縁部14cには当接プレート18を設ける。該当接プレート18は、前記開閉扉14を前記付勢力に抗して開く(消毒済種籾の排出時)ための後述のプッシュロッド27(開閉手段)が当接できる大きさで四角形状に形成してある。前記容器本体10aは、前記無端搬送チェーン6,6に対し、両側の各側面10b,10bに連結棒19の一端側を溶接し、その他端側を例えば前記無端搬送チェーン6,6の各側面6aに固着(例えば溶接)又は任意の固着部材を介して連結する。なお、前記搬送手段3は、各消毒容器10が、後述する種子供給部22に搬送された際に、前記開閉扉14が上向きとなって原料供給できるように構成する。
【0019】
(種子供給部22:)
前記種子供給部22は、前述のように、前記スプロケット8a,8bの間における各消毒容器10の上方に配設する。前記種子供給部22は、ロータリーバルブ23を排出口に設けた種子供給タンク24からなり、後述する制御装置36からの制御信号により、前記ロータリーバルブ23を消毒容器10の移送に合わせて断続的に駆動して原料種籾を各消毒容器10に供給するようにしてある。前記種子供給タンク24を設けた位置よりも搬送方向(図2中:矢印Y)の下流側には、各消毒容器10における開いた状態の開閉扉14を閉めるためのプッシュロッド(開閉手段)25が配設してある。該プッシュロッド25は、後述する制御装置36からの出力信号によってエアー圧がオン・オフされてロッドを出没できるようにしたものである。
なお、前記種子供給タンク24への原料種籾の搬送・供給は、前記温湯消毒装置1aの近傍に併設した昇降機24aによって行われ、該昇降機24aの供給側には、原料種籾の張込部24bが設けてある。
【0020】
(種子排出部26:)
前記種子排出部26は、前記冷浴槽5の開口上端部に設けたスプロケット8cと前記スプロケット8bとの間に配設する。前記種子排出部26は、プッシュロッド(開閉手段)27及び排出散水部28から構成される。前記種子排出部26において各消毒容器10は、前記開閉扉14が下面となるように搬送され、後述する制御装置36からの出力信号により、エアー圧がオン・オフされてロッドが出没して前記当接プレート18に当接・押圧して開閉扉14を開放状態にする構成してある(図4参照)。前記排出散水部28は、前記開閉扉14が開放状態になった消毒容器10に対して上方から水を散水し、該消毒容器10内に残留した種籾を洗い流すためのものである。前記排出散水部28も、後述する制御装置36からの出力信号により、散水をオン・オフするようにしてある。なお、前記プッシュロッド27及び排出散水部28の下方には、排出された種籾を次の水切装置47に搬送するためのホッパー29及び搬送路30が配設してある。
【0021】
(制御装置36:)
次に、前記制御装置36は、例えば図5に示したように、中央演算装置(以下「CPU」という)37を中心とし、該CPU37に対して、入出力回路(以下「I/O」という)38,39及び読み出し専用記憶部(以下「ROM」という)40がそれぞれ接続してある。また、前記I/O38には、運転開始ボタン42及び運転停止ボタン43を接続し、該ボタンはオペレータによって運転開始及び運転停止の際にボタン操作される。前記I/O39には、前記各モータ9、前記ロータリーバルブ23(種子供給タンク24)、前記プッシュロッド25,27及び前記排出散水部28がぞれぞれ接続してあり、これらのそれぞれは、前記ROM40に予め記憶した運転プログラムに基づく出力信号によって駆動するようにしてある。
【0022】
水切装置47:
前記水切り装置47は、無端状のネットコンベヤー47aを横設し、該ネットコンベア47a上に供給した種籾を搬送しながら水切りするものである(図1参照)。前記ネットコンベヤー47aの搬送始端側の位置には、前記温湯消毒装置1aにおける排出路30と連通した供給ホッパー49を備える。前記ネットコンベヤー47a上において、前記供給ホッパー49を設けた位置よりも搬送下流側には、ネットコンベヤー47a上に供給された種籾を平らに均(なら)す均板50が配設してある。さらに、その搬送下流側の上方には、温風送風装置51,51を配設して、ネットコンベヤー47a上の種籾に温風を送風して種籾を水切りするようにしてある。なお、前記ネットコンベヤー47aの下方の底部52には排出口53が設けてある。
【0023】
乾燥装置48:
前記乾燥装置48(乾燥工程)は複数の循環式穀物乾燥機48a,48b,48c・・・から構成し、該各循環式穀物乾燥機48a,48b,48c・・・は一般的に知られている循環式穀物乾燥機を用いる。該循環式穀物乾燥機48は、貯留タンク、熱風通風乾燥部及び穀粒排出部を上から順に重設した乾燥機本体部を立設してなり、穀物水分計を装備して穀物水分値が常時管理されるものであり(図1参照)、これらは、一般的に用いられているもののため詳細説明は省略する。
【0024】
前記水切装置47から排出された種籾は、図1に示したように、昇降機59、調整タンク60、昇降機61及び横搬送コンベヤー62を介して前記循環式穀物乾燥機48a(NO.1),48b(NO.2),48c(NO.3)・・・のいずれかに供給可能にしてある。前記横搬送コンベヤー62には、前記循環式穀物乾燥機48a,48b,48c・・・のそれぞれに対応した供給弁63a,63b,63c・・・配設する。前記循環式穀物乾燥機48a,48b,48c・・・の下方には、乾燥後の種籾を次の選別装置64に搬送するための前記横搬送コンベヤー65が配設してある。
【0025】
選別装置64(選別工程):
前記選別装置64は比重選別機を用いる。該比重選別機は、一般的によく知られている、原料精白米中に混入した石などを選別して除去する石抜き装置を用いる。前記比重選別機(石抜き装置)は、網目状でかつ傾斜状の選別板上に穀粒を供給し、選別板の下方からの送風及び揺動作用によって選別するものである。本発明においては、原料の前記消毒済種籾を前記比重選別機にかけると、前記消毒済種籾に混入した脱ぷ粒が前記選別板の傾斜上流側に選別・排出され、脱ぷしてない種籾(良品)は傾斜下流側に排出される。排出された前記種籾(良品)は、次工程の包装装置66(包装工程)に送られて包装され製品となる。
【0026】
包装装置66(包装工程):
前記包装装置66も一般的に用いられているもので、前記選別装置64(比重選別機)から排出された前記消毒済種籾(良品)を任意量ごとに計量してネット袋に包装して製品にする自動計量包装機であればよい。該自動計量包装機は印字装置を備えるとともに、前記データ管理装置67(詳細後述)と電気的に接続しており、前記印字装置はデータ管理装置67に入力管理されている原料種籾ロットの識別NO.(ロット識別データ)を、消毒済種籾を包装する包装袋(ネット袋)に印字するようにしてある(識別NO.を記した識別票を前記ネット袋の中に入れるようにしてもよい。)。
【0027】
なお、前記における各昇降機24a,59,61,64a,66a及び横搬送コンベヤー62,65等には、穀粒の残留防止用のエアーノズルを任意の箇所に配設し、原料種籾のロット切換え時に前後の原料種籾が混合されることが防止されている。
【0028】
データ管理装置67:(本発明の特徴的事項)
前記データ管理装置67は、前述のように、前記温湯消毒装置1aにおける温湯槽の温湯温度など、当該種子温湯消毒施設1で処理された消毒済種子についての品質の各種データ(処理条件等の履歴データ)を管理し、かつ、各ロットの原料種籾の処理状況を監視制御するためのものであり、例えばパソコンを用いて行うとよい。前記データ管理装置67は、任意のデータ管理ソフト(データベースソフト)を使って、前記温湯温度の測定値の外、前記消毒済種子の品質管理を行うための各種データをオペレータによる入力、及び/又は各装置(1a,48,64,66)とのオンラインによる入力が可能に構成してある。また、前記データ管理装置67は、前記各装置(1a,48,64,66)の各搬送経路の間に光学センサ(図示せず)を配設して当該施設の工程で処理中の種籾の有無を監視して各ロットの原料種籾の処理状況をモニター画面等で監視制御するようにしてある。
【0029】
前記データ管理装置67に入力管理する各種データにおいて、前記消毒済種子の品質管理のために重要な品質管理データの項目としては以下の(1)〜(5)とするのがよい。各品質管理データの入手・測定方法については後述する。
品質管理データ項目:
(1)識別NO.データ
(2)テスト育苗データ
(3)残留農薬測定データ
(4)DAN品種鑑定データ
(5)温度測定データ(温湯槽及び冷水槽)
【0030】
作用:
次に、前記種子温湯消毒施設1における温湯消毒装置1a外の各装置の作用・運転について説明する(図1参照)。まず、前記種子温湯消毒施設1における温湯消毒装置1a外の各装置(水切装置47、乾燥装置48、選別措置64、包装装置66、前記各装置間等の搬送手段である各昇降機、各コンベヤー)を起動させる。前記種子温湯消毒施設1における原料種籾の温湯消毒等処理は、例えば生産者ごとのロット単位で行い、他のロットと混ざらないように、前記データ管理装置67のモニター画面で他のロットの処理状況をチェックしながら原料張込等の運転を行う。
【0031】
オペレータ(作業者)は、これから温湯消毒処理を行う原料種籾について、事前にロットごとに、例えばロットAについては生産者:Aさん、圃場:a、品種:○○○のように原料種籾の生産者データを前記データ管理装置67のデータベースに入力する。そして、この入力により、ロットAの原料種籾は、前記データベースにおいて例えば識別NO.703141(品質管理データ)などのように任意の識別番号を付けてデータ管理される。
【0032】
次に、オペレータによって前記張込部24bに張り込まれた前記ロットAの原料種籾は、前記昇降機24aを介して前記温湯消毒装置1aの種子供給タンク24に供給される。前記温湯消毒装置1aは、前記制御装置36の運転プログラムによって前記各モータ9・・・を断続的に駆動し、各消毒容器10・・・を前記無端搬送チェーン6によって順次所定距離ずつ断続的に搬送する。前記各モータ9・・・を断続駆動する時間的な間隔は、消毒容器10を前記温浴槽4及び冷水槽5の各槽内への浸漬時間に合わせて任意に設定する。前記種子供給タンク24内の原料種籾は、前記制御装置36からの出力信号による前記ロータリーバルブ23の定時間駆動により、図3のように開閉扉14を開いた消毒容器10内に定量供給される。定量供給を終えた消毒容器10は次の空の消毒容器10が搬送されてくるまで待機し、搬送されてきた空の消毒容器10には原料種籾が定量供給され、これが繰り返される。
【0033】
原料種籾が供給された消毒容器10は、搬送されて前記プッシュロッド25の位置に至り、プッシュロッド25の出没作用を受けて開閉扉14が閉じられる。該開閉扉14を閉じた消毒容器10は、前記無端搬送チェーン6によって搬送され前記温浴槽4及び冷水槽5の各槽内に順次浸漬しながら搬送される。このとき、前記ロットAの原料種籾が浸漬した温浴槽4の実際の温湯温度(設定温度は60度とする。)を、オペレータが前記温度センサ(温度検出器)4aをチェックして前記データ管理装置67に入力するか、又はオンラインで自動的に入力できるようにする。同様に、前記冷水槽5においても冷水温度(設定温度は20度とする。)が前記温度センサ(温度検出器)5aによって測定されてデータ管理装置67(データベース)に品質管理データとして入力される。
【0034】
前記消毒容器10・・・は、前記温浴槽4及び冷水槽5内で浸漬された後、前記スプロケット8cを通って種子排出部26に前記開閉扉14を下向き状態にして搬送される。該種子排出部26に搬送された消毒容器10は、前記制御装置36からの出力信号を受けて出没駆動した前記プッシュロッド27の先端と前記当接プレート18との当接により、前記開閉扉14が開き状態とされ、当該消毒容器10内の消毒済種子(ロットA)は排出される(図4参照)。該消毒済種子(ロットA)を排出した消毒容器10は、隣の前記排水散水部28の位置に搬送されて散水を受け、消毒容器10内に残留した消毒済種子が前記散水によって排出される。このようにして排出された前記消毒済種子は、前記ホッパー29に落下した後、前記搬送路30を通って次の前記水切装置47に搬送される。
【0035】
前記水切装置(水切工程)47に搬送された前記消毒済種子(ロットA)は、供給ホッパー49に入り、該供給ホッパー49の排出口から前記ネットコンベヤー47a上に順次供給されて搬送される。そして、前記消毒済種子は、前記ネットコンベヤー47a上で均されて搬送される間に、前記温風送風装置51から温風送風を受けて水切りされる。この水切りされた消毒済種子(ロットA)は機外排出された後、前記昇降機59、調整タンク60、昇降機61及び横搬送コンベヤー62を介して乾燥装置48に搬送・供給される。この搬送・供給の際は、前記消毒済種子(ロットA)が他の消毒済種子(ロット)と混じらないようにしながら、予め定めた空状態の乾燥装置(例えば48c)に供給するべく前記横搬送コンベヤー62の供給弁63cを駆動し、乾燥装置48cに供給する。
【0036】
そして、前記消毒済種子(ロットA)は乾燥装置48cにおいて乾燥され、このとき、消毒済種子(ロットA)の乾燥履歴データについてはオペレータがチェックして、前記データ管理装置67(データベース)に品質管理データとして入力するか、又はオンラインで自動的に入力できるようにする。前記乾燥履歴データとしては、穀物水分値の時間的変化や乾燥熱風温度、外気温度・湿度、乾減率、乾燥開始日時、排出日時などとする。前記乾燥装置48cにおいては、前記穀物水分計による自動計測により、消毒済種子の水分値が所定の水分値(14%〜16%の任意値)に達した時点で乾燥運転が自動停止される。
【0037】
前記乾燥装置48cで乾燥を終えた消毒済種子(ロットA)は、他の乾燥装置の消毒済種子の排出と同期しないようにオペレータの操作で、又は、前記データ管理装置67からの出力信号によって排出され、排出後は前記横搬送コンベヤー65と昇降機64aとを通って前記選別装置(比重選別機)64に搬送・供給される。該比重選別機64に供給された消毒済種子(ロットA)は、前記選別板上において当該選別板の下方からの送風及び揺動作用によって脱ぷ粒が脱ぷしてない消毒済種子(良品)から選別排除される。そして、選別を終えた良品の消毒済種子は昇降機66aを介して前記包装装置66に順次搬送・供給される。
【0038】
前記包装装置66は、供給された前記良品の消毒済種子を順次計量してネット袋に袋詰めを行い製品とする。この袋詰工程においては、データ管理装置67(データベース)で入力管理された消毒済種子(ロットA)の識別No.703141(ロット識別データ)等を前記包装装置66の印字装置によってネット袋に印字するとともに、消毒済種子(ロットA)を計量して前記印字済みのネット袋への包装が行われる。このとき、前記包装装置66の運転は、ネット袋への印字が、データ管理装置67における前記各ロットの原料種籾の処理状況が表示されたモニター画面をチェックしながら、他のロットの識別No.が印字されないように行う。一方、前記消毒済種子(ロットA)の包装開始・終了日時のデータは、前記データ管理装置67に、オペレータによる入力、又はオンライン(例えば、搬送経路の間の昇降機66aの排出側に配設した前記光学センサによって検出した排出中の消毒済種籾の有り時刻と無くなった時刻による。)で自動的に入力される。
【0039】
ところで、前記品質管理データ項目のうち、前記(2)テスト育苗データ、(3)残留農薬測定データ及び(4)DAN品種鑑定データをそれぞれ測定入力するために、前記包装装置66において、ロットAの消毒済種子サンプルを採取する。該消毒済種子サンプルは包装済みの製品(一袋又は二袋)とする。
【0040】
前記(2)テスト育苗データの取得については、前記ロットAの消毒済種子サンプル(製品)を、例えば小さな容器Yに前記サンプルをまいてテスト的に育苗し、例えば20日経過した時点での当該苗の外観をカメラで撮影して行う。テスト育苗データ(苗画像)の例としては、図6に示したような温湯消毒効果が確認された良好な苗N1の苗画像であったり、又は、図7に示したような温湯消毒効果が十分でなく発病した異常な苗N2の苗画像であったりする。これらの苗画像は前記データ管理装置67(データベース)に入力する。
【0041】
前記(3)残留農薬測定データの取得についても前記ロットAの消毒済種子サンプル(製品)を、例えば該サンプルを一般的に用いられている任意の残留農薬測定装置にかけて残留農薬を検出し、この測定結果を残留農薬測定データとして前記データ管理装置67(データベース)に入力する。なお、残留農薬測定・検査を行う専門機関に依頼して得た測定結果をデータ入力するようにしてもよい。
【0042】
前記(4)DAN品種鑑定データの取得についても上記と同様に前記ロットAの消毒済種子サンプル(製品)を、例えば、一般的に用いられている任意のDNA品種鑑定装置にかけて品種鑑定し、この鑑定結果をDAN品種鑑定データとして前記データ管理装置67(データベース)に入力する。なお、前記と同様に、専門機関に依頼して得たDAN品種鑑定結果をデータ入力するようにしてもよい。
【0043】
以上のように前記データ管理装置67に入力された前記品質管理データ項目は、例えば図8に示したような形式の品質管理データ表で前記データ管理装置67(データベース)に表示する。そして、前記品質管理データ表において、例えば識別NO.703141(ロット識別データ)の欄をクリックすると、前記で入力済みの識別NO.703141(前記ロットA)における「生産者名」や「収穫圃場等の各データ」が表示(リンクデータ表示)されるようにしてある。また、消毒開始又は消毒終了の欄をクリックした場合には、前記ロットAが温湯消毒されたときの前記温浴槽4の温湯の測定温度及び前記冷水槽5の冷水の測定温度が、例えば、時間推移グラフ等で表示(リンクデータ表示)されるようにしてあり、さらに、乾燥機「3」の欄をクリックすると、乾燥種籾の測定水分値の時間推移グラフ及び外気温度・熱風温度等の時間推移グラフがそれぞれ表示(リンクデータ表示)されるようにしてある。
【0044】
さらに、図8に示した品質管理データ表において、テスト育苗の欄をクリックすると、前記図6及び図7に示したようなテスト育苗結果の苗画像が表示(リンクデータ表示)されるようになっており、同様に、残留農薬の欄及びDNA品種の欄をそれぞれクリックすると、上記で測定入力したそれぞれの詳細データが表示(リンクデータ表示)されるようにしてある。このようにして形成された品質管理データ表を、例えば製品出荷検査の工程においてデータチェックすることにより、温湯消毒効果を確認済みの良品のみを後工程(市場)に流すことができる。
【0045】
上記実施例は、前記ロットAについて述べたが、ロットBやロットC・・・なども上記と同様にして行い前記品質管理データ表(前記データ管理装置67のデータベース)に所定のデータを測定して入力する。
【0046】
また、上記実施例では、前記包装装置66から排出された製品をサンプルとして採取し、該サンプルについて残留農薬測定等をして測定値を前記データベースで入力管理するようにしたが、サンプルの測定については、これに加えて、温湯消毒処理される前の原料サンプルを採取(例えば前記張込部24bの近傍において)して、この原料サンプルについて、残留農薬測定及びDAN品種鑑定を行って前記データベースで入力管理するようにして、種子温湯消毒施設1で温湯消毒等処理する前と後についての測定を入力管理するようにしてもよい。これにより、仮に、製品サンプルの残留農薬等の測定値が悪い値であった場合には、原料サンプルの測定値にさかのぼって分析することが可能である。
【0047】
なお、前記原料サンプルについては、食味値測定データも取得するようにして前記データベースで入力管理するようにしてもよい。前記食味値測定データの測定方法については、例えば、一般的に用いられている任意の食味値測定装置(例えば、特公平7−104279号公報)よって行うか、又は、専門機関に依頼して得た測定結果としてもよい。
【0048】
以上のように、本発明によると、前記種子温湯消毒施設1で製品化された消毒済種籾について、前記品質管理データ表(前記データ管理装置67のデータベース)によって消毒効果やその外の品質管理項目を出荷工程等で検査することができるので、後工程(市場)に不良品(消毒効果が未完全なもの)の流出を防止でき、製品品質を向上することができる。また、万一、製品購入者(後工程)が上記製品種籾を使って育苗した際に発病した場合には、前記種子温湯消毒施設1での消毒効果が問題視されるが、この場合、品質管理データ表から当該製品における前記温湯消毒処理等の処理履歴や前記苗画像等を当該問題製品の識別NO.(ロット識別データ)を基に照会・調査することができるので、早期に原因分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明における種子温湯消毒施設の全体構成図
【図2】前記種子温湯消毒施設における温湯消毒装置の全体構成図
【図3】消毒容器の上方斜視図(原料種籾の供給時)
【図4】消毒容器の下方斜視図(原料種籾の排出時)
【図5】制御装置のブロック図
【図6】テスト育苗した様子を示した図(消毒効果を発揮した良好な苗)
【図7】テスト育苗した様子を示した図(消毒効果が不十分な発病した苗)
【図8】データ管理装置に表示される品質管理データ表
【符号の説明】
【0050】
1 種子温湯消毒施設
1a 温湯消毒装置
2 浸漬部
2a 壁面
3 搬送手段
4 温浴槽
4a 温度センサ
4b 開閉弁
5 冷浴槽
5a 温度センサ
5b 開閉弁
6 無端搬送チェーン
6a 側面
7 搬送駆動部
8(8a,8b,8c・・・) スプロケット
9 モータ
9a 駆動ベルト
10 消毒容器
10a 容器本体
10b 側面
10c 取付部
11 孔
12 有孔板
13 開閉部
14 開閉扉
14a 短側縁部
14b 取付部
14c 短側縁部
15 丁番
16 スプリング
17 ストッパー
18 当接プレート
19 連結棒
22 種子供給部
23 ロータリーバルブ
24 種子供給タンク
24a 昇降機
24b 張込部
25 プッシュロッド(開閉手段)
26 種子排出部
27 プッシュロッド(開閉手段)
28 排出散水部
29 ホッパー
30 排出路
36 制御装置
37 中央演算装置(CPU)
38 入出力回路(I/O)
39 入出力回路(I/O)
40 読み出し専用記憶部(ROM)
42 運転開始ボタン
43 運転停止ボタン
47 水切り装置
47a ネットコンベヤー
48(48a,48b,48c・・・) 乾燥装置
49 供給ホッパー
50 均板
51 温風送風装置
52 底部
53 排出口
59 昇降機
60 調整タンク
61 昇降機
62 横搬送コンベヤー
63a,63b,63c・・・ 供給弁
64 選別装置(比重選別機)
64a 昇降機
65 横搬送コンベヤー
66 包装装置
66a 昇降機
67 データ管理装置
N1 テスト育苗した苗(良好苗の例)
N2 テスト育苗した苗(発病・異常苗の例)
K カメラ
Y 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロット単位の原料種子を消毒容器に供給して温湯消毒装置で温湯処理を行った後に、少なくとも乾燥装置及び包装装置を経て消毒済種子の製品を得るとともに、該製品に原料種子のロットを識別表示する一方、前記製品から消毒済種子サンプルを採取して該サンプルをテスト育苗し、該テスト育苗した苗の外観状態を撮像して該苗画像を任意のデータベースに入力管理し、前記苗画像に基づいて各ロットの消毒済種子の消毒効果を評価することを特徴とする種子温湯消毒施設における品質管理方法。
【請求項2】
前記消毒済種子サンプルについて残留農薬測定を行い、該残留農薬測定の測定値を加味して消毒済種子の品質を評価する請求項1に記載の種子温湯消毒施設における品質管理方法。
【請求項3】
前記消毒済種子サンプルについてDNA品種鑑定を行い、該DNA品種鑑定の結果を加味して消毒済種子の品質を評価する請求項1に記載の種子温湯消毒施設における品質管理方法。
【請求項4】
前記任意ロットの原料種子が温湯槽と冷水槽とに浸漬されたときの時間及び/又は温湯・冷水の各温度を測定し、該測定時間・測定温度を加味して消毒済種子の品質を評価する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の種子温湯消毒施設における品質管理方法。
【請求項5】
前記温湯消毒装置は、
原料種子を入れた複数の消毒容器を搬送手段によって、温湯を張った温浴槽と冷水を張った冷浴槽とに、順次、搬送・浸漬して消毒を行うものであって、
前記各消毒容器は、種子をばら状態で供給・排出する開閉部を備えて密閉状で、かつ籠状に構成し、
前記搬送手段は、前記複数の消毒容器を連結した無端搬送チェーンと、該無端搬送チェーンに連結した各消毒容器を、該各消毒容器に種子を供給する種子供給部、前記温浴槽と冷浴槽とからなる浸漬部及び浸漬後の各消毒容器内の種子を排出する種子排出部の順からなる経路で搬送する搬送駆動部とを有してなり、
前記搬送経路における前記種子供給部の下流側及び種子排出部の上流側には各消毒容器の開閉部の開閉手段をそれぞれ配設してなるものである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の種子温湯消毒施設における品質管理方法。
【請求項6】
ロット単位の原料種子を消毒容器に供給して温湯消毒装置で温湯処理を行った後に、少なくとも乾燥装置及び包装装置を経て消毒済種子の製品を得る種子温湯消毒施設であって、
前記各ロットの原料種子における生産者等のデータ入力ができ、かつ、該生産者等のデータに対応した個別のロット識別データを付与するとともに当該ロットの原料種子に係る複数のデータを管理するデータ管理装置を備えるとともに、
前記包装装置は、前記データ管理装置に入力された前記ロット識別データを包装袋に識別表示するとともに、該包装袋に識別表示されたロット識別データに対応した消毒済種子を当該包装袋に包装して前記製品にするものとする一方、
前記データ管理装置は、前記各ロット識別データの製品から採取した消毒済種子サンプルをテスト育苗して得た苗の外観を撮像した苗画像を入力するようにしたことを特徴とする種子温湯消毒施設。
【請求項7】
前記消毒済種子サンプルについて残留農薬測定及び/又はDNA品種鑑定を測定し、該測定値を前記データ管理装置で入力管理するようにした請求項6に記載の種子温湯消毒施設。
【請求項8】
前記任意ロットの原料種子が温湯槽と冷水槽とに浸漬されたときの時間及び/又は温湯・冷水の各温度を測定し、該測定時間・測定温度を前記データ管理装置で入力管理するようにした請求項6又は請求項7に記載の種子温湯消毒施設。
【請求項9】
前記温湯消毒装置は、
原料種子を入れた複数の消毒容器を搬送手段によって、温湯を張った温浴槽と冷水を張った冷浴槽とに、順次、搬送・浸漬して消毒を行うものであって、
前記各消毒容器は、種子をばら状態で供給・排出する開閉部を備えて密閉状で、かつ籠状に構成し、
前記搬送手段は、前記複数の消毒容器を連結した無端搬送チェーンと、該無端搬送チェーンに連結した各消毒容器を、該各消毒容器に種子を供給する種子供給部、前記温浴槽と冷浴槽とからなる浸漬部及び浸漬後の各消毒容器内の種子を排出する種子排出部の順からなる経路で搬送する搬送駆動部とを有してなり、
前記搬送経路における前記種子供給部の下流側及び種子排出部の上流側には各消毒容器の開閉部の開閉手段をそれぞれ配設してなるものとした請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の種子温湯消毒施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−261280(P2009−261280A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112544(P2008−112544)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】