説明

種籾消毒乾燥システム

【課題】
種籾を消毒して乾燥する施設について、種籾は消毒及び乾燥を行なった後に、出荷日まで貯蔵する必要があるが、は種籾の消毒から乾燥そして貯蔵までの作業能率を向上させることを課題とする。
【解決手段】
種籾を収容した網袋(f)を消毒装置(22)で温湯に浸漬して消毒し、該消毒後に脱水装置(23)で脱水し、該脱水後に乾燥装置(24)で乾燥し、該乾燥後に種籾が網袋(f)内に袋詰めされた状態のまま複数個ずつ収容容器(g)に収容されて貯蔵庫(28)に貯蔵することを特徴とする種籾消毒乾燥システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾を消毒して乾燥する施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、網袋に籾を収容して消毒装置で温湯に浸漬する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−29815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種籾は消毒及び乾燥を行なった後に、出荷日まで貯蔵する必要がある。本発明は種籾の消毒から乾燥そして貯蔵までの作業能率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、種籾を収容した網袋(f)を消毒装置(22)で温湯に浸漬して消毒し、該消毒後に脱水装置(23)で脱水し、該脱水後に種籾乾燥装置(24)で乾燥し、該乾燥後の網袋(f)を複数個ずつ収容容器(g)に収容して貯蔵庫(28)に貯蔵することを特徴とする種籾消毒乾燥システムとする。
【発明の効果】
【0005】
本願発明によると、消毒、脱水、乾燥及び貯蔵までの工程を袋単位で行なうため、作業能率が良い種籾の消毒脱水乾燥工程を行なうことができる。また、消毒脱水乾燥工程の種籾を貯蔵庫(28)に貯蔵する作業や、貯蔵後の出荷工程では収容容器(g)単位で運搬できるので、作業者が直接種籾に触れることなく種籾の品質を低下させることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明を実施するための最良の形態として、同じ建屋内に荷受した通常の籾を乾燥して調製処理する乾燥調製部と荷受した種籾から整粒を選別して取り出す粗選選別部と、種籾消毒乾燥部とを備えた穀粒処理施設に実施した場合について説明する。
【0007】
建屋A内には乾燥調製部Bと種籾粗選選別部Cと種籾消毒乾燥部Dとを並列して備えている。
乾燥調製部Bは通常の籾を荷受する荷受ホッパ1と、複数の穀粒乾燥機2と、搬送コンベア3と、籾摺装置4と、集塵室5と、籾殻庫6とを備えている。
【0008】
種籾粗選選別部Cは、種籾用の籾を荷受する種籾用荷受ホッパ10と、荷受した種籾に混じる藁屑を除去する粗選機11と、枝梗を取り除く脱芒機12と、一定以上の大きさの籾を取り出す粒選別機13と、籾から脱ぷ粒や枝梗付き籾を取り除き整粒を取り出す精選機14と、整粒から未熟粒を選別除去する比重選別機15と、整粒の種籾を保管する種籾収容タンク16を備えている。
【0009】
また、種籾消毒乾燥部Dは、種籾収容タンク16内の種籾を網袋fに設定量ずつ供給する計量装置20と、種籾を収容した網袋fを搬送する網袋搬送装置21と、温湯に網袋fを浸漬して種籾を消毒する消毒装置22と、消毒装置22で浸漬した網袋fを脱水する脱水装置23と、脱水装置23で脱水した網袋fを乾燥する種籾乾燥装置24と、種籾乾燥装置24で乾燥された複数の網袋fを紙袋gに収容する紙袋収容部25と、複数の網袋fを収容した紙袋gの開口部を袋綴じする袋綴じ部27と、袋綴じされた紙袋gを低温貯蔵する貯蔵庫28とを備えている。
【0010】
網袋搬送装置21は平面視で周回するレール21aと、網袋fを吊り下げてレール21aに沿って移動するクレーン21bとを備えている。
レール21aの下方には温湯を収容する消毒装置22と遠心力で脱水容器23aが縦軸芯に回転する脱水装置23とを隣接して備え、脱水装置23に隣接して種籾乾燥装置24を備えている。
【0011】
種籾乾燥装置24は内部に格子状の網袋搬送コンベア30が貫通されており、網袋fの供給側と排出側にはそれぞれ網袋fの作用で開くと共に網袋fが通過すると自動に閉じる供給側開閉扉31と排出側開閉扉32を設けている。また、乾燥風発生装置24aを種籾乾燥装置24の下部に設け、乾燥風送り出し装置24bを種籾乾燥装置24の上部に設けている。
【0012】
網袋搬送コンベア30の終端側は紙袋収容部25の上方に対向する構成とし、紙袋収容部25と紙袋搬送部26はそれぞれ別駆動の紙袋収容部コンベア25aと紙袋搬送部コンベア26aで構成している。そして、紙袋搬送部26の搬送途中には袋綴じ装置27を備え、紙袋搬送部26の搬送終端部は貯蔵庫28の出し入れ部28aに対向する構成である。
【0013】
次に乾燥調製部Bと種籾粗選選別部Cと種籾消毒乾燥部Dの配置構成について説明する。
建屋Aの一側に荷受部mを設け、他側に出荷部nを設け、荷受部mには荷受ホッパ1と、荷受ホッパ1の近傍に種籾用荷受ホッパ10を設けている。荷受ホッパ1から出荷部nに向かって搬送コンベア3を設け、搬送コンベア3に沿って穀粒乾燥機2を複数並列して設けている。搬送コンベア3の搬送終端側には籾摺機投入エレベータ7を設け、その排出側には一時貯留タンク8と籾摺装置4と粒選別機9を設けている。
【0014】
なお、40は玄米揚穀エレベータで41は出荷用貯留タンク、42は出荷用計量袋詰め装置である。そして、出荷用計量袋詰め装置42は出荷部nに面している。
種籾用荷受けホッパ10からは出荷部nに向かって粗選機11、脱芒機12、粒選別機13、精選機14、比重選別機15、種籾収容タンク16を備え装置同士は搬送経路で結ばれている。種籾収容タンク16は出荷部nに面している。
【0015】
種籾収容タンク16の下方には計量装置20を設け、出荷部nから荷受部mに向かって消毒装置22と、脱水装置23と、種籾乾燥装置24を備えている。そして、種籾乾燥装置24を通過した網袋搬送コンベア30は荷受部m側から出荷部n側に旋回し、その搬送終端側に紙袋収容部25を設け、さらに出荷部n側に向かって紙袋搬送部26を設け、その搬送終端側に貯蔵庫28を設け、貯蔵庫28は出荷部nに面する配置構成である。
【0016】
次に種籾粗選選別部Cと種籾消毒乾燥部Dの作用について説明する。
種籾粗選選別部Cの作用について説明すると、種籾用荷受けホッパ10で荷受した種籾は粗選機11により藁屑等の長尺物が除去され、脱芒機12により枝梗を取り除から、粒選別機13により一定以上の大きさの籾を選別され、精選機14により脱ぷ粒や枝梗付き籾を精選され、比重選別機15により未熟粒を選別除去されて種籾収容タンク16に収容される。
【0017】
種籾消毒乾燥部Dの作用について以下説明する。
計量装置20の網袋fのセット場所に網袋fをセットし、設定量ずつ網袋fに種籾収容タンク16内の籾を供給する。網袋搬送装置21のクレーン部21bに吊り上げられた種籾入りの網袋Gはレール部21aに沿って搬送され、消毒装置22の上方で停止して、種籾入りの網袋Gはクレーン部21bに吊り下げられた状態で消毒装置22内の温湯(例えば約60度)に設定時間(例えば10分)浸漬されて消毒される。消毒された網袋fはクレーン部21bで吊り上げられてレール部21aに沿って搬送され脱水装置23内に収容される。そして、脱水された網袋fはクレーン部21bで再度吊り上げられて網袋搬送コンベア30の搬送始端部まで搬送される。網袋搬送コンベア30の搬送始端部に網袋f載置するとクレーン部21bは網袋fを離して再度計量装置20側に戻る。
【0018】
網袋搬送コンベア30は設定速度で駆動し、網袋fは供給側開閉扉31を開けて種籾乾燥装置21内に入り込み、乾燥風発生装置24aからの乾燥風が格子状の網袋搬送コンベア30を通過して網袋f内の籾に作用される。なお、網袋fは種籾乾燥装置21内で反転部材(図示せず)で上下を反転させて均一に種籾を乾燥させる構成としても良い。乾燥風に作用されながら少しずつ排出側に移動した網袋fは排出側開閉扉32を開けて種籾乾燥装置21の外側に搬送される。そして、網袋搬送コンベア30の搬送終端側まで搬送された網袋fは紙袋収容部25に載置している紙袋gに落下投入される。なお、網袋搬送コンベア30には網袋fの個数をカウントするカウント装置50を設け、設定個数ずつ網袋を紙袋gに投入する構成としている。紙袋g内に設定個数の網袋fが投入されることを検出すると紙袋収容部コンベア25aが設定時間駆動して紙袋gを紙袋搬送部コンベア26aに搬送する。その後紙袋収容部コンベア25aは停止して次の紙袋gがセットされる。紙袋搬送部コンベア26aで搬送される紙袋gは搬送途中で袋綴じ装置27により開口部を綴じられて紙袋搬送部コンベア26aの搬送終端部まで搬送される。そして、貯蔵庫22に貯蔵され、必要に応じて出荷部nから出荷される。
【0019】
本実施の形態では、種籾を温湯に浸漬して消毒する消毒装置22と、該消毒装置で温湯に浸漬した種籾を脱水する脱水装置23と、脱水装置23で脱水された種籾を乾燥する種籾乾燥装置24と、種籾乾燥装置24で乾燥された種籾を保管する貯蔵庫28とを備え、種籾は網袋fに袋詰めされ、該袋詰された網袋fは網袋搬送装置21で搬送され、前記消毒装置22と脱水装置23と種籾乾燥装置24に順次搬送され、種籾が網袋f内に袋詰めされた状態のまま消毒、脱水、乾燥される構成とし、種籾乾燥装置24で乾燥された種籾入り網袋fは複数個ずつ収容容器である紙袋Gに収容してから貯蔵庫28に貯蔵する構成とした種籾消毒乾燥施設にすることで、粗選選別工程を経た種籾を消毒、脱水、乾燥及び貯蔵までの工程を袋単位で連続して行なうため、作業能率が良い種籾の消毒脱水乾燥工程を行なうことができる。また、貯蔵庫28に貯蔵する作業や貯蔵後の出荷工程では紙袋g単位で運搬できるので、作業者が直接種籾に触れることがなく、種籾の品質が低下することを防止することができる。また、紙袋単位で出荷を行なうことで出荷作業を迅速に行なうことができる。
【0020】
また、計量装置20で網袋には設定量ずつの種籾を収容することで、消毒、乾燥を均一に行なうことができるため、品質のバラツキが少ない種籾にすることができる。
荷受部mに荷受けホッパ1と種籾用荷受ホッパ2を設け、出荷部nに面して種籾用収容タンク16、紙袋搬送部コンベア26aの搬送終端部、貯蔵庫28と乾燥調製部Bの出荷用計量袋詰め装置42をそれぞれ備えることで、籾及び種籾の荷受作業を同じ荷受場で行なうことができるため荷受け作業を行ない易くすることができる。また、玄米、ばらの種籾、紙袋gに収容された種籾の出荷作業をいずれも同じ出荷場で行なうことができるため出荷作業を行ない易くすることができる。
【0021】
また、網袋fを吊り下げ式の搬送装置で消毒装置22、脱水装置23、乾燥装置24に搬送することで、網袋fを把持した状態で消毒装置22で消毒でき、かつ脱水装置23や乾燥装置24へは網袋f離すことができるため、作業内容に適した搬送を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】種籾消毒乾燥部の工程を示す図
【図2】種籾粗選選別部Cと種籾消毒乾燥部Dの工程を示す図
【図3】乾燥調製部Bの工程を示す図
【図4】穀粒処理施設を平面から見た内部を示す図
【符号の説明】
【0023】
f 網袋
g 収容容器(紙袋)
22 消毒装置
23 脱水装置
24 種籾乾燥装置
28 貯蔵庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種籾を収容した網袋(f)を消毒装置(22)で温湯に浸漬して消毒し、該消毒後に脱水装置(23)で脱水し、該脱水後に種籾乾燥装置(24)で乾燥し、該乾燥後の網袋(f)を複数個ずつ収容容器(g)に収容して貯蔵庫(28)に貯蔵することを特徴とする種籾消毒乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−5800(P2008−5800A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181599(P2006−181599)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】