説明

種籾温湯消毒冷却装置

【課題】種籾の一連の温湯消毒処理が簡単な作業で実現できる小型で大容量の種籾温湯消毒冷却装置を提供すること。
【解決手段】所定長の温湯タンクと、冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、さらに温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアの後段に、種籾収納袋受け渡しコンベアを備え、種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送速度を温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度よりも速くしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾に付着した病原菌を、温水を浴びせて殺菌、滅菌または除菌(以下、「消毒」という)をする種籾の温湯消毒装置、及びそれを用いた温湯消毒方法に関する。本発明は、特に、ネットに入れた種籾を、所定時間だけ温水中を潜らせて消毒する種籾の消毒装置およびその方法に関し、特に、小形で大容量の連続式温湯消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種子を所定温度の温水に所定時間浸すことにより、種子に付着している病原菌を殺菌する方法およびその装置は、特許文献1(特許第2876001号公報)において既に知られている。特許文献1には、一度に大量の種子を短時間で効果的に消毒処理することのできる種子の消毒装置として、消毒槽内に温水を貯留し、この消毒漕内で種子保持容器を搬送するコンベヤを敷設し、消毒漕に、この消毒槽内に貯留された温水を汲み上げるとともに、この汲み上げた温水をコンベヤにより搬送される種子保持容器内に保持された種子に対して所定の水圧を以て散布する撹拌装置を設けたものが記載されている。
【0003】
本出願人は、種籾に温水を浴びせて消毒する種籾消毒装置を早くから開発してきており、種籾を収納した容器を温水タンクに沈め、温水噴射部を種籾を収納した容器の下に位置させて温水を噴き上げ、温水噴射部に設定温度の加圧温水を設定時間供給するバッチ式の種籾消毒装置およびその方法は、既に、特許文献2乃至8として公開している。
【0004】
また、本出願人は、温湯消毒浴槽と水冷浴槽を並べて配置し、種籾容器をコンベアによって連続的に移送しながら種籾を消毒する種籾消毒装置およびその方法についても、既に、特許文献9乃至18として公開している。
【0005】
この種の種籾消毒装置およびその方法については、特許文献19乃至24としても公開されている。この内の特許文献24には、平面視で実質上十字状に区画された4つの作業部として、第1温浴槽と第2温浴槽と1つの冷浴槽と移し替え部とがその順に配置され、その上部には巡回クレーン手段が設けられ、種子を収容した籠状のコンテナが、着脱可能に吊支されており、各作業部に対してそれぞれのコンテナを一斉に昇降動させ、且つ上昇位置にて、駆動モータにより十字状の中心部の回りに一定方向に間欠的に巡回するようにしたものが開示されている。
【0006】
また、これに関連して、種籾を収容した袋自体をハンガーに吊り下げて、並べて配置された温湯消毒浴槽及び水冷浴槽を潜らせる種籾消毒装置およびその方法が特許文献25乃至30として公開されている。
【0007】
そして、消毒すべき種籾を袋に収納し、複数の収納袋をロープで吊り下げて一定時間加熱水中をコンベアにより移動させる搬送手段自体は、既に、特許文献31においても知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2876001号公報
【特許文献2】特開2000−316321号公報
【特許文献3】特開2000−342018号公報
【特許文献4】特開2002−330605号公報
【特許文献5】特開2003−235308号公報
【特許文献6】特開2003−235309号公報
【特許文献7】特開2003−009612号公報
【特許文献8】特開2004−000261号公報
【特許文献9】特開2004−290011号公報
【特許文献10】特開2004−000090号公報
【特許文献11】特開2006−230270号公報
【特許文献12】特開2006−280387号公報
【特許文献13】特開2006−314330号公報
【特許文献14】特開2006−050982号公報
【特許文献15】特開2006−081426号公報
【特許文献16】特開2007−049921号公報
【特許文献17】特開2006−320928号公報
【特許文献18】特開2006−320929号公報
【特許文献19】特開2005−328723号公報
【特許文献20】特開2005−052023号公報
【特許文献21】特開2006−158302号公報
【特許文献22】特開2006−320260号公報
【特許文献23】特開2006−042745号公報
【特許文献24】特開2007−116987号公報
【特許文献25】特開2006−320929号公報
【特許文献26】特開2007−151406号公報
【特許文献27】特開2008−000149号公報
【特許文献28】特開2008−000150号公報
【特許文献29】特開2008−022864号公報
【特許文献30】特開2008−035870号公報
【特許文献31】実公平7−42249号公報
【0009】
さらに、農産物を温湯内を潜って搬送するコンベアによって連続的に洗浄しようとする技術自体は、下記製品として既に知られている。
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://www.showa−jet.co.jp/01product/06vsk_vpk.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、種籾等の農産物の温湯消毒装置或いは洗浄装置は既に広く知られた技術となっており、種々の観点から多くの改良が加えられてきている。そこで、本発明が解決しようとする課題は、第1には、種籾の一連の温湯消毒処理が簡単な作業で実現できる小型で大容量の種籾温湯消毒冷却装置を提供することである。
【0012】
つまり、従来の種籾の温湯消毒処理装置及び温湯消毒方法では、種籾を収納した容器を、移送コンベアを用いて温湯タンクから冷却タンクに順次移送するものであっても、作業者は装置に張り付いた状態で作業から目を離さずにいる必要があった。また、種籾を収容した袋を走行コンベアに設けたハンガーに吊り下げて、並べて配置された温湯消毒浴槽及び水冷浴槽を潜らせる種籾消毒装置であっても、種籾を収容した袋をハンガーに吊り下げたり、ハンガーから外したりするためには、作業者が装置から長い時間離れることは難しいものであった。
【0013】
また、装置に吊り下げるハンガーは隙間無く設けることはできず、装置の処理量を上げようとすれば装置を大型化して、温湯消毒浴槽及び水冷浴槽内をより高速で搬送する必要があった。
【0014】
また、バケット式のコンベアを設けたものも見受けられているが、これもバケットを設けるための構造が複雑になり、さらにバケットを隙間無く設けることができないので、処理量を上げようとすると、装置の大型化やバケット自体の大型化に繋がってしまうものであった。
【0015】
また、一般的な野菜洗浄装置をそのまま種籾の温湯消毒装置に使用して10分間の温湯消毒を達成しようとすると、装置に対する種籾の搬入・搬出作業との関係で簡単には達成できないものであった。つまり、温湯消毒時間の10分間を正確に維持しようすると、搬入・搬出にかかる時間を短くする必要がある。つまり搬入・搬出にロボット等の特別な手段を講じるか、コンベア自体の搬送スピードを上げて、搬入・搬出に必要な時間を短くするかの手段が考えられる。しかし、前者の手段では装置が複雑化し高価になるし、後者の手段では10分間の温湯時間を得るための温湯タンクの長さが巨大なものとなってしまう。
【0016】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置においては、種籾の収容袋を温湯中を走行するコンベアに形成された搬送区画内に並べて収容する作業だけで、完全自動式で10分間の温湯消毒と5分間の冷水冷却後に自動的にスノコ状の処理籾収納容器に収納されるために、作業者への作業負担も小さく、消毒処理が終了した種籾収容袋の後段処理(乾燥処理等)への移送も作業の合間を見てできるようにしたものである。このスノコ状の処理籾収納容器は複数準備しておくことも可能であり、より作業に余裕ができる。
【0017】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、種籾温湯消毒冷却処理の自動化を達成しながら、処理量のアップと装置の小型化を同時に達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
種籾の温湯消毒装置としては、大規模農家や協同組合にとっては処理量のアップに加えて装置の小型化は必須の条件であるといっても良い。どのような装置も、一般的には、処理量をアップするには装置の大型化を余儀なくされるものであった。そこで、本発明は処理量のアップと装置の小型化を同時に達成することを最大の課題と捉えてその解決手段を見つけ出したものである。
【0019】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
さらに前記温湯タンク内には前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に、種籾収納袋受け渡しコンベアを備え、
該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送速度を前記温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度よりも速くしたことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク及び冷却タンクの夫々は、温湯中或いは冷水中を走行する搬送コンベアを備え、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、該温湯タンクの始端部においてタンク外に露出した種籾収納袋装填領域を備えており、
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、該冷却タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋排出領域を備えており、
さらに、前記温湯タンク内には、種籾収納袋を前記温湯タンク内搬送コンベアから受け取り前記冷却タンク内搬送コンベアへ受け渡すための、種籾収納袋受け渡しコンベアを前記温湯タンク内搬送コンベアの後段側に備え、
前記種籾収納袋受け渡しコンベアは、該温湯タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋受け渡し領域を備え、該種籾収納袋受け渡しコンベアの走行速度は、前記温湯タンク内搬送コンベアの走行速度に比して大きく構成したことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記温湯タンク内搬送コンベアの終端側は、前記種籾収納袋受け渡しコンベアに種籾収納袋を受け渡すために温湯内で傾斜した上り坂領域を形成したことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、当該温湯タンク内搬送コンベアの走行速度をVw(mm/min)とし、種籾収納袋の温湯内搬送時間を10分とすると、タンク外に露出した前記種籾収納袋装填領域に続く温湯消毒領域の所定距離Lwは、下記式によって算出される長さと実質的に等しくされることを特徴とする。
Lw(mm)=Vw(mm/min)×10
【0023】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、当該温湯タンク内搬送コンベアの搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該温湯タンク内搬送コンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成し、当該搬送区画としての種籾収納袋の温湯内搬送時間を得るように構成したことを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、当該冷却タンク内搬送コンベアの走行速度をVc(mm/min)とし、種籾収納袋の冷水内搬送時間を5分とすると、タンク外に露出した前記種籾収納袋排出領域の前に冷却領域の所定距離Lcは、下記式によって算出される長さと実質的に等しくされることを特徴とする。
Lc(mm)=Vc(mm/min)×5
【0025】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、当該冷却タンク内搬送コンベアの搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該冷却タンク内搬送コンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成し、当該搬送区画としての種籾収納袋の冷水内搬送時間を得るように構成したことを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置において、
前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に備えた前記種籾収納袋受け渡しコンベアは、その搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成したことを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
該温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、該温湯タンクの外側に種籾収納袋投入コンベアを備え、
さらに前記温湯タンク内には前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に、種籾収納袋受け渡しコンベアを備え、
該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送速度を前記温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度よりも速くしたことを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
前記温湯タンク内に備えた温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度と、該温湯タンク外に備えた前記種籾収納袋投入コンベアの搬送速度とを、同期手段を設けることにより同期するように構成したことを特徴とする。
【0029】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
前記温湯タンク外に備えた前記種籾収納袋投入コンベアは、比較的に低い位置に配置した種籾収納袋供給領域と、前記温湯タンクを乗り越えて該温湯タンク内の前記温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、比較的高い位置に配置された種籾収納袋投入領域とを備えていることを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
該温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、該温湯タンクの外側に種籾収納袋投入コンベアを備え、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、該温湯タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋受け渡し領域を備え、且つ、前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、該冷却タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋排出領域を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、以上の構成により、温湯タンクと冷却タンクを直線的に設け、搬送コンベアの走行面上に種籾収納袋の搬送区画を隙間なく隣接させて設けたことにより、ハンガー方式やバケット方式に比しても、小型で大容量の使い易い種籾温湯消毒冷却装置及び方法を提供できるものである。
【0032】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、温湯タンク及び冷却タンク内に配置された温湯タンク内搬送コンベア及び冷却タンク内搬送コンベア上に、種籾収納袋が隣接して投入できるので温湯タンク及び冷却タンクの移送方向の距離が最小にすることが可能であり、装置の小型化に加え処理量の増大化を達成できる。単に処理量の増大化を図るだけであったら横方向の寸法を大きくして、1列に並べる種籾収納袋の装填数を上げるか、搬送コンベアの搬送速度を上げて温湯内に浸される列数を増やすかすれば良い。
【0033】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、温湯タンクの始端部においてタンク外に露出した種籾収納袋装填領域の分割された区画に、所定数(実施例においては5kg×3袋)の種籾収納袋を装填するのみであり、極めて楽な作業により装填が可能なものであり、冷却タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋排出領域においては種籾収納袋の装置外への排出は自動的に行うことができる。
【0034】
さらに本発明の種籾温湯消毒冷却装置は、各搬送コンベアに設けた板状体が種籾収納袋の搬送方向に温湯或いは冷水を攪拌することになり、タンク中の温湯或いは冷水の温度の均一化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の斜視図
【図2】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の側面図
【図3】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の平面図
【図4】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の部分詳細図
【図5】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の部分詳細図
【図6】本発明の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の作業実態図
【図7】本発明の別の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の斜視図
【図8】本発明の更に別の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置100の第1の実施例は、その装置全体の斜視図を図1に示すように、所定長の温湯タンク10と、該温湯タンク10よりも短い長さの冷却タンク30とを直線状に並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置である。各タンクの長さは、種籾の温湯消毒時間(約60℃10分間)と、冷水による冷却時間(約13℃5分間)が達成できる距離により決定される。
【0037】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置100での種籾の消毒は、ネット状の種籾収納袋に種籾を所定重量(5kg)収納して口を閉じた種籾収納袋1,1,1・・・を、温湯タンク10及び冷却タンク30内の温水及び冷水を所定時間潜らせて搬送することにより達成される。このために、温湯タンク10及び冷却タンク30の夫々は、温湯中或いは冷水中を走行する搬送コンベア11,31を夫々備えている。温湯タンク10内に設けられたコンベアは温湯タンク内搬送コンベア11であり、冷却タンク30内に設けられたコンベアは冷却タンク内搬送コンベア31である。
【0038】
図2に示すように、温湯タンク10内を走行する温湯タンク内搬送コンベア11は、該温湯タンク10の始端部(図1中右側端部)においてタンク10外に露出した種籾収納袋装填領域(a)を備えており、続いて、下り坂領域(b)、温湯潜り込み領域(c)、温湯消毒領域(d)、種籾収納袋受け渡し領域(e)を備えている。
【0039】
さらに、温湯タンク10内には、種籾収納袋1,1,1・・・を温湯タンク内搬送コンベア11から受け取り、後述する冷却タンク内搬送コンベア31へ受け渡すための、種籾収納袋受け渡しコンベア12を温湯タンク内搬送コンベア11の後段側(図1中左側)に備えている。この種籾収納袋受け渡しコンベア12は、温湯タンク内搬送コンベア11の種籾収納袋受け渡し領域(e)からの種籾収納袋1,1,1・・・を受け取る種籾収納袋受け取り領域(f)に続いて上り坂領域(g)を設けており、さらに、温湯タンク10の終端部(図1中左側)においてタンク10外に露出した種籾収納袋受け渡し領域(h)を備えている。
【0040】
次に、冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31は、種籾収納袋受け渡しコンベア12の種籾収納袋受け渡し領域(h)からの種籾収納袋1,1,1・・・を受け取り種籾を冷却する冷却領域(i)に続いて上り坂領域(j)を設けており、さらに、冷却タンク30の終端部(図1中左側端部)においてタンク30外に露出した種籾収納袋排出領域(k)を備えている。冷却タンク内搬送コンベア31の種籾収納袋排出領域(k)の後段には、消毒冷却後の種籾収納袋1,1,1・・・を収納する収納容器50を備えている。
【0041】
温湯タンク10内を走行する温湯タンク内搬送コンベア11は、タンク外に露出した種籾収納袋装填領域(a)の後段の所定距離の温湯消毒領域(d)を備えており、当該温湯消毒領域(d)の距離をLwは、当該温湯タンク内搬送コンベア11の走行速度をVw(mm/min)とすると、実質的に下記式1であり、
Lw(mm)=Vw(mm/min)×10 ・・・・・・・・(式1)
冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31は、タンク外に露出した種籾収納袋排出領域(k)の前段に所定距離の冷却領域(i)を備えており、当該冷却領域(i)の距離をLcは、当該冷却タンク内搬送コンベア31の走行速度をVc(mm/min)とすると、実質的に下記式2であり、
Lc(mm)=Vc(mm/min)×5 ・・・・・・・・(式2)
該種籾収納袋受け渡しコンベア12の走行速度(Vt)は、温湯タンク内搬送コンベア11の走行速度(Vw)に比して大きく構成されている。
【0042】
温湯タンク10内の一部詳細断面図を図4に示すように、温湯タンク10内を走行する温湯タンク内搬送コンベア11は、当該コンベアの搬送方向に直角な棒状体14,14,14・・・を多数本並列に並べて搬送面15を形成している。この棒状体の内の2本の棒状体14,14を用いて所定高さ(10cm)の板状体16,16,16・・・を所定間隔(25cm)で複数枚備えることにより、当該温湯タンク内搬送コンベア11の搬送面15上に所定幅(25cm)の搬送区画20,20,20・・・を複数個形成する。この搬送区画20の幅は、種籾収納袋1が丁度収納される幅にするのが好ましい。また、コンベアの横幅は種籾収納袋1が複数袋(実施例では3袋)並べて収納される幅にするのが好ましい。この板状体16,16,16・・・は、種籾収納袋1,1,1の滑り止めの効果もある。図5においても示しているが、温湯タンク内搬送コンベア11の搬送面15の下方にはバブル噴出(図示なし)のための高圧空気噴出し管25,25,25・・・が、前記板状体16,16,16・・・の間隔と略同一の間隔で配置されている。これについては図5により後述する。
【0043】
図示はしないが、同様に、冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31は、当該コンベアの搬送方向に直角な棒状体を多数本並列に並べて搬送面を形成している。この棒状体の内の2本の棒状体を用いて所定高さ(5cm)の板状体を所定間隔(25cm)で複数枚備えることにより、当該冷却タンク内搬送コンベア31の搬送面上に所定幅(25cm)の搬送区画を複数個形成する。この搬送区画の幅は、種籾収納袋が丁度収納される幅にするのが好ましい。また、コンベアの横幅は種籾収納袋が複数袋(実施例では3袋)並べて収納される幅にするのが好ましい。
【0044】
さらに、同様に、温湯タンク内搬送コンベア11の後段に備えた前記種籾収納袋受け渡しコンベア12は、当該コンベアの搬送方向に直角な棒状体を多数本並列に並べて搬送面を形成している。この棒状体の内の2本の棒状体を用いて所定高さ(10cm)の板状体を所定間隔(25cm)で複数枚備えることにより、当該種籾収納袋受け渡しコンベア12の搬送面上に所定幅(25cm)の搬送区画を複数個形成する。この搬送区画の幅は、温湯タンク内搬送コンベア11から受け渡される種籾収納袋が丁度収納される幅にするのが好ましい。また、同様に、コンベアの横幅は種籾収納袋が複数袋(実施例では3袋)並べて収納される幅にするのが好ましい。
【0045】
図3を用いて、温湯及び冷水の供給手段を説明する。まず、温湯タンク10内には60℃近傍の温湯が供給され、温湯の60℃の温度制御は、温度検知手段(図示なし)で実温度を検知しながら、蒸気ボイラ40から供給される100℃程度の蒸気により達成される。蒸気ボイラ40からの100℃の蒸気は供給配管41,42から供給され、排気部45,46から排気される。温湯タンク10内の温湯を加熱制御するために、蒸気管路内に熱交換配管43,44が配置されている。これにより、蒸気ボイラ40からの一対の熱交換手段41−43−45,42−44−46が構成される。この一対の熱交換配管43,44は、図示するように、温湯タンク10内の温湯消毒領域(d)全面に設けられる。
【0046】
温湯タンク10内の温湯消毒領域(d)を搬送される種籾収納袋1,1,1・・・に対して下からジェットバブルを吹き付けるために、温湯タンク内搬送コンベア11の搬送面15の下方に、多数の細孔29,29,29・・・を形成した噴気管25,25,25・・・を配設している。噴気管25,25,25・・・への空気流は、ブロア26から配管27を解して行われる。
【0047】
温湯タンク10内の温湯の温度制御は、蒸気ボイラ40の運転制御により行われるが、温湯タンク10内の温湯温度は、温湯タンク内搬送コンベア11が温湯タンク10内を搬送運動することにより撹拌されることにより均一化される。特に、搬送面15から伸び出した板状体16,16,16・・・が撹拌翼の作用をすることにより、効率よく短時間に温度が均一化される。さらには、より高速搬送を達成している種籾収納袋受け渡しコンベア12の搬送面から伸び出した板状体は、高速で温湯タンク10内の温湯を撹拌する。また、その搬送方向から種籾収納袋受け渡しコンベア12の下面の板状体は、温湯タンク10の中心側に向かって走行することになり、より温度の均一化に効果的である。
【0048】
冷却タンク30内の冷水は、クーラ35により冷却された冷水が冷水供給管36を介して冷却タンク30内に供給され、戻り配管37を介してクーラ35に戻される。クーラ35内には、冷水の温度を検知する温度検知手段(図示せず)が設けられており、この温度検知手段で検知された冷水の温度によりクーラ35の運転が制御される。
【0049】
冷却タンク30内の種籾冷却領域(i)を搬送される種籾収納袋1,1,1・・・に対して下からジェットバブルを吹き付けるために、冷却タンク内搬送コンベア31の搬送面の下方に、多数の細孔29,29,29・・・を形成した噴気管25,25,25・・・を配設している。これは、温湯タンク10内の配置図の図5と同じである。噴気管25,25,25・・・への空気流は、ブロア26から配管28を解して行われる。
【0050】
冷却タンク30内の冷水は、ク−ラ35の運転制御により行われるが、冷却タンク内搬送コンベア31が冷却タンク30内を搬送運動することにより撹拌されることにより均一化される。搬送面から伸び出した板状体が撹拌翼の作用にも寄与している。
【0051】
以下、本発明の実施例の種籾温湯消毒装置100による種籾の温湯消毒冷却処理の手順に沿って、本装置の機能を詳細に説明する。
【0052】
種籾は、縦横500mm×400mmのネット状の籾収納袋40に、事前に5Kg或いは4Kg毎に収納され、紐状物により口を閉められている。このように種籾が袋詰めされたネット状の種籾収納袋1は、図2或いは図6の右手端において、一袋ずつ温湯タンク内搬送コンベア11の種籾収納袋装填領域(a)に置かれる。温湯タンク内搬送コンベア11の搬送面15には、それから立設された板状体16,16により複数の搬送区画20,20,20・・・に区画されており、その一つの搬送区画20内に3袋の種籾収納袋1,1,1を置く。種籾収納袋装填領域(a)では3区画分の搬送区画20,20,20が水平面を形成する程度の大きさで十分である。温湯タンク内搬送コンベア11の搬送速度は1区画分が1分間で進む程度のスピードで設定すると良い。勿論、それより早くすれば装置としては長くなるが処理量はアップする。因みに、1区画分が1分間で進むスピードで処理をすると、処理量は900kg/hである。勿論、本装置は全ての搬送区画20,20,20・・・の全てに3袋ずつの種籾収納袋1,1,1を装填する必要はない。一つの搬送区画20を作業の合間に飛ばしたとしても、或いは一つの搬送区画20に二つ或いは一つの種籾収納袋を装填した状態でも良い。その場合においても、後段において何らの問題となることもない。
【0053】
種籾収納袋装填領域(a)で次々と搬送区画20内に装填された種籾収納袋1,1,1・・・は、続いて、下り坂領域(b)を経て、温湯潜り込み領域(c)において種籾収納袋1の下の方から温湯内に漬かりだす(温湯潜り込み領域(c))。種籾収納袋1が完全に温湯内に漬かってから、温湯タンク内搬送コンベア11上の種籾収納袋1は温湯内を水平に搬送され、その温湯消毒領域(d)内で搬送面15の下方からのジェットバブルにより種籾収納袋1の種籾が均一に温湯消毒される。
【0054】
温湯タンク内搬送コンベア11は、温湯消毒領域(d)を越えると温水面に向かって上り勾配となり、種籾収納袋受け渡し領域(e)を形成している。種籾収納袋1は、この種籾収納袋受け渡し領域(e)を越えて、温湯タンク内搬送コンベア11の端部に達すると、重力により、後段に設けられた種籾収納袋受け渡しコンベア12の種籾収納袋受け取り領域(f)により受け取られる。温湯タンク内搬送コンベア11の種籾収納袋受け渡し領域(e)からは、一つの搬送区画20内に装填されている3袋の種籾収納袋1,1,1が一度に落ちてくることになるが、温湯タンク内搬送コンベア11と種籾収納袋受け渡しコンベア12とは回転を適当に同期させることにより、種籾収納袋受け渡しコンベア12の一つの搬送区画内で受け渡しを達成させることができる。この種籾収納袋受け渡しコンベア12の搬送速度は、温湯タンク内搬送コンベア11の搬送速度よりも速いので、種籾収納袋受け渡しコンベア12の搬送区画には飛び飛びに装填されることとなる。
【0055】
種籾収納袋受け渡しコンベア12は、種籾収納袋1を受け取る種籾収納袋受け取り領域(f)に続いて上り坂領域(g)を設けており、さらに、温湯タンク10の終端部(図2中左側)においてタンク10外に露出した種籾収納袋受け渡し領域(h)を備えている。種籾収納袋受け渡しコンベア12上の種籾収納袋1は、温湯消毒が終了すると冷却タンク30内の冷水に落とされる。
【0056】
次に、冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31は、種籾収納袋受け渡しコンベア12の種籾収納袋受け渡し領域(h)からの種籾収納袋1,1,1を受け取り種籾を冷却する冷却領域(i)に続いて上り坂領域(j)を設けている。この冷却領域(i)において、種籾収納袋1は完全に冷水内に漬かり、冷却タンク内搬送コンベア31上の種籾収納袋1は冷水内を水平に搬送され、その冷却領域(i)内で搬送面の下方からのジェットバブルにより種籾収納袋1の種籾が均一に冷却される。この構成は図5に示す温湯タンク10内の構成と実質的に同一である。
【0057】
さらに、冷却タンク30の終端部(図1中左側端部)において、タンク30外に露出した種籾収納袋排出領域(k)を備えている。冷却タンク内搬送コンベア31の種籾収納袋排出領域(k)の後段には、消毒冷却後の種籾収納袋1,1,1・・・を収納する収納容器50を備えている。収納容器50は、図においては、下部にスノコ51を形成したシンク状の容器52を示したが、これに限る必要ななく、大きな容器を用意すれば、温湯消毒冷却が終了後の種籾の後処理については、作業の合間を利用して効率的な作業が実現できる。
【0058】
次に、本発明の種籾温湯消毒冷却装置100の第2の実施例を図7に沿って説明する。なお、第2の実施例において、第1の実施例と同様の機能を有した要素については、その添付数字として同じ添付数字を用いている。
【0059】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置100の第2の実施例は、その装置全体の斜視図を図7に示すように、所定長の温湯タンク10と、該温湯タンク10よりも短い長さの冷却タンク30とを直線状に並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置である。各タンクの長さは、種籾の温湯消毒時間(約60℃10分間)と、冷水による冷却時間(約13℃5分間)が達成できる距離により決定される。第2の実施例の種籾温湯消毒冷却装置100では、常に10列の種籾収納袋1,1,1・・・が温湯内に没するように構成し、各種籾収納袋1,1,1・・・の列は10分かけて、温湯内を潜って移送されることになる。また、第2の実施例の種籾温湯消毒冷却装置100では、常に5列の種籾収納袋1,1,1・・・が冷水内に没するように構成し、各種籾収納袋1,1,1・・・の列は5分かけて、冷水内を潜って移送されることになる。
【0060】
本発明の種籾温湯消毒冷却装置100での種籾の消毒は、ネット状の種籾収納袋に種籾を所定重量(5kg)収納して口を閉じた種籾収納袋1,1,1・・・を、温湯タンク10及び冷却タンク30内の温水及び冷水を所定時間(実施例では10分間及び5分間)潜らせて搬送することにより達成される。このために、温湯タンク10及び冷却タンク30の夫々は、温湯中或いは冷水中を走行する搬送コンベア11,31を夫々備えている。温湯タンク10内に設けられたコンベアは温湯タンク内搬送コンベア11であり、冷却タンク30内に設けられたコンベアは冷却タンク内搬送コンベア31である。
【0061】
図7に示すように、温湯タンク内搬送コンベア11に対する種籾収納袋1,1,1・・・の投入は、種籾収納袋投入コンベア71によって達成される。この種籾収納袋投入コンベア71は、種籾収納袋投入側で温湯タンクの外側に設けられ、比較的に低い位置に配置した種籾収納袋供給領域(m)と、前記温湯タンクを乗り越えて該温湯タンク内の前記温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、比較的高い位置に配置された種籾収納袋投入領域(n)を備えている。これにより、種籾収納袋投入コンベア71に対する種籾収納袋1,1,1・・・の供給高さを腰の高さよりも低い位置にすることが可能であり、楽な姿勢での供給作業が実現できる。
【0062】
図7に示す第2の実施例は、温湯タンク10の供給側端部(図7の右端部)において、種籾収納袋投入コンベア71を設けている以外は第1の実施例の種籾温湯消毒冷却装置の構成と実質的に同一構成であるので、同一構成部分の重複した説明は避ける。
【0063】
次に、本発明の種籾温湯消毒冷却装置100の第3の実施例を図8に沿って説明する。なお、第3の実施例においても、第1の実施例或いは第2の実施例と同様の機能を有した要素については、その添付数字として同じ添付数字を用いている。
【0064】
第1及び第2の実施例として説明した種籾温湯消毒冷却装置100は、温湯タンク内に温湯タンク内搬送コンベアとは別の種籾収納袋投入コンベアを備えたものであるが、第3の実施例においては、この種籾収納袋投入コンベアを温湯タンク内搬送コンベアと一体的なコンベア構成としたものである。図8では全体の温湯タンク内搬送コンベアを11として表示している。これにより、本発明の第3の実施例の種籾温湯消毒冷却装置100の温湯タンク10内を走行する温湯タンク内搬送コンベア11は、温湯内を走行するように配置した温湯消毒領域(o)と、種籾収納袋1,1,1・・・を後述する冷却タンク内搬送コンベア31へ受け渡すために温湯タンク10外に露出した種籾収納袋受け渡し領域(p)を備える構成としている。これにより、第1及び第2の実施例に比較しても、温湯タンク10の走行方向の寸法を小さくすることが可能である。
【0065】
次に、冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31は、温湯タンク内搬送コンベア11からの種籾収納袋1,1,1・・・を受け取り、種籾を冷却する冷却領域(q)を設けており、さらに、冷却タンク30の終端部(図中左側端部)において該タンク30外に露出した種籾収納袋排出領域(r)を備えている。冷却タンク内搬送コンベア31の種籾収納袋排出領域(r)の後段には、消毒冷却後の種籾収納袋1,1,1・・・を収納する収納容器50を備えている。
【0066】
温湯タンク10内を走行する温湯タンク内搬送コンベア11の温湯消毒領域(o)の距離Lwは、温湯タンク内搬送コンベア11の走行速度をVw(mm/min)とすると、実質的に下記式3(第1実施例の式1と同一の式)であり、そして、温湯内に沈む種籾収納袋1,1,1・・・の列数は10列である。従って、1列の種籾収納袋1が1分かけて1列分の距離を移送されることになる。
Lw(mm)=Vw(mm/min)×10 ・・・・・・・・(式3)
【0067】
冷却タンク30内を走行する冷却タンク内搬送コンベア31の冷却領域(q)の距離をLcは、当該冷却タンク内搬送コンベア31の走行速度をVc(mm/min)とすると、実質的に下記式4(第1実施例の式2と同一の式)である。そして、冷水内に沈む種籾収納袋1,1,1・・・の列数は5列である。従って、1列の種籾収納袋1が1分かけて1列分の距離を移送されることになる。
Lc(mm)=Vc(mm/min)×5 ・・・・・・・・(式4)
【0068】
以上、複数の実施例により本発明の種籾温湯消毒冷却装置を説明したが、これ以外の実施態様であっても、当業者が適宜実施可能な本発明の発明思想の範囲内のものであれば、当然に本発明の範疇に入るものである。
【符号の説明】
【0069】
100・・・種籾温湯消毒冷却装置、
1・・・種籾収納袋、10・・・温湯タンク、11・・・温湯タンク内搬送コンベア、12・・・種籾収納袋受け渡しコンベア、15・・・搬送面、20・・・搬送区画
30・・・冷却タンク、31・・・冷却タンク内搬送コンベア
収納容器50
(a)・・・種籾収納袋装填領域、(b)・・・下り坂領域、(c)・・・温湯潜り込み領域、(d)・・・温湯消毒領域、(e)・・・種籾収納袋受け渡し領域、(f)・・・種籾収納袋受け取り領域、(g)・・・上り坂領域、(h)・・・種籾収納袋受け渡し領域、(i)・・・種籾冷却領域、(j)・・・上り坂領域、(k)・・・種籾収納袋排出領域、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
さらに前記温湯タンク内には前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に、種籾収納袋受け渡しコンベアを備え、
該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送速度を前記温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度よりも速くしたことを特徴とする種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項2】
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク及び冷却タンクの夫々は、温湯中或いは冷水中を走行する搬送コンベアを備え、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、該温湯タンクの始端部においてタンク外に露出した種籾収納袋装填領域を備えており、
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、該冷却タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋排出領域を備えており、
さらに、前記温湯タンク内には、種籾収納袋を前記温湯タンク内搬送コンベアから受け取り前記冷却タンク内搬送コンベアへ受け渡すための、種籾収納袋受け渡しコンベアを前記温湯タンク内搬送コンベアの後段側に備え、
前記種籾収納袋受け渡しコンベアは、該温湯タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋受け渡し領域を備え、該種籾収納袋受け渡しコンベアの走行速度は、前記温湯タンク内搬送コンベアの走行速度に比して大きく構成したことを特徴とする種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項3】
前記温湯タンク内搬送コンベアの終端側は、前記種籾収納袋受け渡しコンベアに種籾収納袋を受け渡すために温湯内で傾斜した上り坂領域を形成したことを特徴とする請求1項又は請求項2記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項4】
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、当該温湯タンク内搬送コンベアの走行速度をVw(mm/min)とし、種籾収納袋の温湯内搬送時間を10分とすると、タンク外に露出した前記種籾収納袋装填領域に続く温湯消毒領域の所定距離Lwは、下記式によって算出される長さと実質的に等しくされることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の種籾温湯消毒冷却装置。
Lw(mm)=Vw(mm/min)×10
【請求項5】
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、当該温湯タンク内搬送コンベアの搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該温湯タンク内搬送コンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成し、当該搬送区画としての種籾収納袋の温湯内搬送時間を得るように構成したことを特徴とする請求項4記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項6】
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、当該冷却タンク内搬送コンベアの走行速度をVc(mm/min)とし、種籾収納袋の冷水内搬送時間を5分とすると、タンク外に露出した前記種籾収納袋排出領域の前に冷却領域の所定距離Lcは、下記式によって算出される長さと実質的に等しくされることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の種籾温湯消毒冷却装置。
Lc(mm)=Vc(mm/min)×5
【請求項7】
前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、当該冷却タンク内搬送コンベアの搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該冷却タンク内搬送コンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成し、当該搬送区画としての種籾収納袋の冷水内搬送時間を得るように構成したことを特徴とする請求項6記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項8】
前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に備えた前記種籾収納袋受け渡しコンベアは、その搬送面に所定高さの板状体を複数枚備えることにより、当該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送面に所定幅の搬送区画を複数個形成したことを特徴とする請求項5又は請求項7記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項9】
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
該温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、該温湯タンクの外側に種籾収納袋投入コンベアを備え、
さらに前記温湯タンク内には前記温湯タンク内搬送コンベアの後段に、種籾収納袋受け渡しコンベアを備え、
該種籾収納袋受け渡しコンベアの搬送速度を前記温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度よりも速くしたことを特徴とする種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項10】
前記温湯タンク内に備えた温湯タンク内搬送コンベアの搬送速度と、該温湯タンク外に備えた前記種籾収納袋投入コンベアの搬送速度とを、同期手段を設けることにより同期するように構成したことを特徴とする請求項9記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項11】
前記温湯タンク外に備えた前記種籾収納袋投入コンベアは、比較的に低い位置に配置した種籾収納袋供給領域と、前記温湯タンクを乗り越えて該温湯タンク内の前記温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、比較的高い位置に配置された種籾収納袋投入領域とを備えていることを特徴とする請求項9又は10記載の種籾温湯消毒冷却装置。
【請求項12】
所定長の温湯タンクと、該温湯タンクよりも短い長さの冷却タンクとを並べて配置した種籾温湯消毒冷却装置であって、
前記温湯タンク内には温湯タンク内搬送コンベアを備え、前記冷却タンク内には冷却タンク内搬送コンベアを備え、
該温湯タンク内搬送コンベアに種籾収納袋を投入するために、該温湯タンクの外側に種籾収納袋投入コンベアを備え、
前記温湯タンク内を走行する温湯タンク内搬送コンベアは、該温湯タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋受け渡し領域を備え、且つ、前記冷却タンク内を走行する冷却タンク内搬送コンベアは、該冷却タンクの終端部においてタンク外に露出した種籾収納袋排出領域を備えたことを特徴とする種籾温湯消毒冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−191954(P2012−191954A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154212(P2012−154212)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2009−122334(P2009−122334)の分割
【原出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000132792)株式会社タイガーカワシマ (48)
【Fターム(参考)】