種類の異なる複数の電気掃除機およびその製造方法
【課題】本体ケースの共通化を維持し、クリーン排気の電気掃除機の捕集性能の向上と、ハイパワー吸塵力の電気掃除機の吸込性能の向上を図る。
【解決手段】電気掃除機本体の外郭をなす本体ケース1Aが共通する種類の異なる電気掃除機において、第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して、吸込仕事率が高く、集塵部から電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長い。前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して、排気がきれいで、前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタ10Aの捕塵率が高い。第1、第2の種類の電気掃除機は、前記本体ケース1Aに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、前記排気カバーの形状は、前記第2の種類の電気掃除機の方が、前記第1の種類の電気掃除機のものよりも大きい。
【解決手段】電気掃除機本体の外郭をなす本体ケース1Aが共通する種類の異なる電気掃除機において、第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して、吸込仕事率が高く、集塵部から電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長い。前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して、排気がきれいで、前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタ10Aの捕塵率が高い。第1、第2の種類の電気掃除機は、前記本体ケース1Aに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、前記排気カバーの形状は、前記第2の種類の電気掃除機の方が、前記第1の種類の電気掃除機のものよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動送風機からでる排気音を集塵フィルタで下げる低騒音の電気掃除機、吸引力の強い電動送風機を備えたハイパワー吸塵力の電気掃除機がある。低騒音の電気掃除機は東芝製品(型式VC−PS300X)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機は東芝製品(型式VC−P200D)である。この異なるタイプの電気掃除機は本体ケースが同じ寸法形状で共通の本体ケースになっているものと思われる。本体ケースの全長は367mmである。
【0003】
上記ハイパワー吸塵力の電気掃除機は、クリーンな排気性能であると同製品のカタログに記載されている。また、電動送風機からの排気中に含まれる微細な塵埃の捕集するULPAフィルタ(高集塵フィルタ)を備えたクリーン排気の電気掃除機は既に存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TOSHIBA 総合カタログ2009-冬号 クリーナー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
東芝製品(型式VC−PS300X)は、クリーンな排気性能であると同製品のカタログに記載されているが、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)に関する記述はない。
【0006】
しかし、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)を搭載すると、高集塵フィルタが収められるサイズアップした大きさに本体ケースを作り換えなければならない。この作り換えにともないクリーン排気性能である電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機とは本体ケース共通化が難しくなる。また、本体ケースの大型化は電気掃除機の小型化に逆行するので好ましくない。
【0007】
また、ハイパワー吸塵力の電気掃除機には更に強い吸塵力で吸塵する吸込性能の向上が求められている。吸込性能の向上に応えて電動送風機のサイズを大きくすると、本体ケースが大きくなるので小型化に反する。また、クリーン排気性能である電気掃除機との本体ケースの共通化もできなくなるので、電動送風機のサイズを大きくすることなく、または電動送風機をいじらずに吸込性能を上げることが求められている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、本体ケースをいじらずに本体ケースの共通化を維持し、クリーン排気の電気掃除機の捕集性能の向上と、ハイパワー吸塵力の電気掃除機の吸込性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機において、第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、前記排気カバーの形状は、電気掃除機の種類に応じて異なり、前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本体ケースの取り付け開口部に電気掃除機の種類に応じた排気カバー取り付けることで、本体ケースをいじらずに本体ケースの共通化を維持し、クリーン排気の電気掃除機の捕集性能の向上と、ハイパワー吸塵力の電気掃除機の吸込性能の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、本体ケースの取り付け開口部に電気掃除機の種類に応じた排気カバー取り付けるだけで、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機の本体ケースの共通化を図っているため、電気掃除機の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係るもので、集塵室外蓋を開いた状態で電気掃除機本体を上から斜視図である。この図はクリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)、およびハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)を共通に示している。
【図2A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)の縦断面図である。
【図2B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の縦断面図である。
【図3A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を後側から見た斜視図である。
【図3B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の後側から見た斜視図である。
【図4A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を上側から見た斜視図である。
【図4B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図5A】本発明の実施例に係るもので、上本体ケースが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を上側から見た斜視図である。
【図5B】本発明の実施例に係るもので、上本体ケースが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図6A】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を側面から見た斜視図である。
【図6B】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図7A】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を後側から見た斜視図である。
【図7B】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の後側から見た斜視図である。
【図8A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に設ける排気カバーを表側から見た斜視図である。
【図8B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)に設ける排気カバーを表側から見た斜視図である。
【図9A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる電動送風機ユニットを上側から見た斜視図である。
【図9B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)備わる電動送風機ユニットを上側から見た斜視図である。
【図10A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる電動送風機ユニットを後側から見た斜視図である。
【図10B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)備わる電動送風機ユニットを後側から見た斜視図である。
【図11A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に設けた排気カバーから排出する排気の流れを模式的に示した図である。
【図11B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)に設けた排気カバーから排出する排気の流れを概略的に示した図である。
【図12】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる高集塵フィルタから排出された排気が本体ケース内を流れる態様を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る実施例について、図に沿い以下に説明する。
【0014】
電気掃除機本体の本体ケース1は、図1に示すように、上本体ケース2、下本体ケース3から構成される。本体ケース1の内部には、前側に集塵室4、後側に電動送風機室が備わる。通気性のある格子状の仕切りで、集塵室4と電動送風機室は仕切られる。
【0015】
集塵室4には、集塵袋や、サイクロン式の集塵部が着脱自在に備えられる。また、集塵袋や、集塵部に付着した塵埃を除塵する除塵装置も備えられる。集塵室4の前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5が設けられる。上本体ケース2には、集塵室4を開け閉めする集塵室外蓋6が設けられ、この集塵室外蓋6を開いて集塵袋や、集塵部の着脱が行われる。
【0016】
電動送風機室には、電動送風機ユニットが備えられる。この図1はクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)、およびハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)を共通に示している。つまり、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)とハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)とでは、上本体ケース2の形状、大きさ、下本体ケース3の形容、大きさ、集塵室4の形状、大きさ、電動送風機室の形状、大きさが共通である。
【0017】
次に図2〜図12を沿い、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)に関する本体ケースの小型化、共通化、捕集性能、吸込性能等について述べる。
【0018】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)を第1の種類の電気掃除機と云う。クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)を第2の種類の電気掃除機と云う。第1の種類の電気掃除機は第2の種類の電気掃除機に比べ、吸込仕事率が高い。吸込仕事率が高いので、第1の種類の電気掃除機をハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)とした。また、第2の種類の電気掃除機は第1の種類の電気掃除機に比べ、排気がきれいで、第1の電気掃除機に比べ、電動送風機からの排気を浄化するフィルタの除塵率が高い。
【0019】
図2A、図3A、図4A、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図111Aは、クリーン排気の掃除機本体(Aタイプ)を示す。図2B、図3B、図4B、図5B、図6B、図7B、図8B、図9B、図10B、図11Bは、ハイパワー吸塵力の掃除機本体(Bタイプ)を示す。
【0020】
図2Aに示すように、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)の外郭を形成する本体ケース1Aは、上本体ケース2A、下本体ケース3Aから構成される。本体ケース1Aの内部には、前側に集塵室4A、後側に電動送風機室7Aが備わる。集塵室4Aの前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5Aが設けられる。上本体ケース2Aには、集塵室4Aを開け閉めする集塵室外蓋6Aが設けられ、この集塵室外蓋6Aを開いて集塵袋15Aの着脱が行われる。
【0021】
通気性のある格子状の仕切り8Aで、集塵室4Aと電動送風機室7Aは仕切られる。電動送風機室7Aには、電動送風機ユニット9Aが備えられる。ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aは電動送風機ユニット9Aに搭載される。ULPAフィルタ10Aは、略四角形状の枠体に、ひだ状に折られたフィルタ材が一体に成形されたものである。フィルタ材がひだ状に折られているため、ある程度の大きさ(体積)を有する。ULPAフィルタに代えて、HEPAフィルタであってもよい。HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)とは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)は、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタであり、HEPAフィルタの粒子捕集効率よりも高い粒子捕集効率を有する。
【0022】
電動送風機ユニット9Aの主要部である電動送風機は、電動機11A、送風部12Aを有する。電動機11A、送風部12Aは電動送風機ハウジングカバー13Aで包囲される。電動送風機気密防振パッキング14Aは、送風部12Aの外周に接合する筒部14A−1と、送風部12Aの前面外周側に接合する環状鍔部14A−2を有する。
【0023】
筒部14A−1は外周側が電動送風機ハウジングカバー13の内周側に嵌る。このため、筒部14A−1は送風部12Aの外周と電動送風機ハウジングカバー13Aの内周に挟持されるので、電動送風機ハウジングカバー13Aの気密が良く行われる。また、気密用のテープで電動送風機ハウジングカバー13Aの端部と筒部14A−1の外周が巻かれ気密は更に向上する。
【0024】
電動送風機ハウジングカバー13Aには、電動送風機の排気を高集塵フィルタ10Aに流す排気口が設けられる。電動送風機の排気は、もっぱら、その排気口、および高集塵フィルタ10Aを通じて電動送風機ユニット9Aから排出されるので、電動送風機ハウジングカバー13の内圧は高くなる。この高い内圧に耐えるように、前述した筒部14A−1を挟持する構造、気密用のテープを巻く構成を採用した。
【0025】
このように電動送風機からの排気は全部がULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aで微細な塵埃をもらさず捕集される。捕塵性能の良いクリーン排気の電気掃除機が提供できる。
【0026】
図2Bに示すように、ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)について述べる。
【0027】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケース1Bは、上本体ケース2B、下本体ケース3Bから構成される。この上本体ケース2B、下本体ケース3Bは、前述したクリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)の上本体ケース2A、下本体ケース3Aと共通である。同一の成型金型で作られた上本体ケースや、下本体ケースがハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)としての上本体ケース2B、下本体ケース3Bや、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)としての上本体ケース2A、下本体ケース3Aとして用いられる。
【0028】
成型金型の共用化によるコストダウンを図ることができる。また、上本体ケース、下本体ケースの種類低減により部品管理がしやすくなる。
【0029】
本体ケース1Bの内部には、前側に集塵室4B、後側に電動送風機室7Bが備わる。集塵室4Bの前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5Bが設けられる。上本体ケース2Bには、集塵室4Bを開け閉めする集塵室外蓋6Bが設けられ、この集塵室外蓋6Bを開いて集塵袋15Bの着脱が行われる。
【0030】
通気性のある格子状の仕切り8Bで、集塵室4Bと電動送風機室7Bは仕切られる。電動送風機室7Bには、電動送風機ユニット9Bが備えられる。このハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)は、高集塵フィルタを備えない。よって、電動送風機からの排気は、排気カバー17Bから排出される。ただし、ULPAフィルタ10Aよりも小さい、平面状のフィルタを備えていてもよい。
【0031】
電動送風機ユニット9Bの主要部である電動送風機は、電動機11B、送風部12Bを有する。電動機11B、送風部12Bは、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)のものと共通である。
【0032】
しかし、電動送風機ハウジングカバー13Bは、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)のものと非共通で、異なる形状である。電動送風機ハウジングカバー13Bは、図9B、図10Bに示すように上側ハウジングカバー部材13B−1、下側ハウジングカバー部材13B−2を抱合わせいて形成している。また、上側ハウジングカバー部材13B−1には排気口13B−3を設ける。下側ハウジングカバー部材13B−2にも排気口13B−4を設ける。ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)では、電動送風機ハウジングカバー13Bに設けた複数の排気口から排気されるので電動送風機ハウジングカバー13Bの排気圧は高くならない。
【0033】
電子部品を備えた制御基板16Bは電動送風機ハウジングカバー13Bの上側に備える。電動送風機ハウジングカバー13Bには、制御基板16Bの裏側になるところにも排気口が設けられているので、電子部品は排気によって冷却される。
【0034】
図9A、図10Aに示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aは、電動機11A、送風部12Aの外周側を包む筒部13A−1、電動機11Aの後端側を被う後側部13A−2を有し、後側部13A−2の反対側である前側に開口がある一体成型の構造である。そして、電動送風機ハウジングカバー13Aの開口には、電動送風機の送風部12Aを嵌合し、電動送風機ハウジングカバー13Aの上側に搭載するULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aのところに通じるところに排気口を設けた。
【0035】
一体成型の構造で、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aに通じる排気口しか設けないのは、電動送風機ハウジングカバー13Aの密閉性を高め、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10A以外からの排気漏れをなくすることで捕集性能を高めた。
【0036】
電子部品を備えた制御基板16Aは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側部13A−2の背面に備えた。この制御基板16Aの排気冷却に関しては後で述べる。
【0037】
ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aは、図2A、図5A、図9A、図10Aに示すように、フィルタ部10A−1、フィルタケース部10A−2、フィルタカバー部10A−3を有し、全体が丈の低い箱型をしている。高集塵フィルタの通気性を確保したり、捕集性能を上げるには、大きくしなければならい。このため、図2Aに示すように、高集塵フィルタ10Aは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側部13A−2よりも後方に突出している。突出量の寸法LA−4は30mmである。
【0038】
高集塵フィルタ10Aを覆う排気カバー17Aは、本体ケース1Aの後側に取り付けられ、ねじ止めされる。排気カバー17Aは高集塵フィルタ10Aの突き出しに合わせて中央が外方向に膨れる膨出部17A−1を有する。図2Aに示すように、下本体ケース3Aの後端から膨出部17A−1までの長さは、LA−5である。
【0039】
一方、高集塵フィルタを搭載しない図2Bに示す本体ケース1Bの後側に取り付けられ、ねじ止めされる排気カバー17Bは前記排気カバー17Aと異なり、膨出部17がない。このため、下本体ケース3Bの後端から排気カバー17Bの後端までの長さはLB−5である。排気カバー17Aおよび排気カバー17Bには、流れの偏りを低減し、また騒音を低減するために、平面状のスポンジが備えられている。
【0040】
クリーン排気の電気掃除機は全長LA−1が330mmである。ハイパワー吸塵力の電気掃除機は全長LB−1が313mmである。クリーン排気の電気掃除機もハイパワー吸塵力の電気掃除機も同じ長さの共通の本体ケースを用いているので、LA−5はLB−5よりも17mm長い。排気カバー17Aは膨出により、排気カバー17Bよりも後側へ17mm大きく突き出ていることになる。つまり、排気カバー17Aの後方への膨出が排気カバー17Bよりも大きくなっている。
【0041】
〔背景技術〕の欄で述べた低騒音の電気掃除機〔(東芝製品(型式VC−PS300X)〕、ハイパワー吸塵力の電気掃除機〔東芝製品(型式VC−PS200D)〕は、367mmである。これに比べ、本発明の実施例に係るクリーン排気の電気掃除機は全長LA−1が330mmであるので37mm短い小型化されたものになっている。本発明の実施例に係るハイパワー吸塵力の電気掃除機にあっては全長LB−1が313mmであるので54mm短い小型化されたものになっている。
【0042】
また、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機は電気掃除機本体の外郭の大部分を占める上本体ケース、下本体ケースが共通で、本体ケースより小さな排気カバーだけが形状の違いで非共通の部品になる。
【0043】
したがって、小さな排気カバーの成型に用いる小さな金型は2種類になるが、上下本体ケースの成型に用いる大きな金型は共用化できるので、コストダウンを図ることができる。
【0044】
また、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを除くと、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機には本体ケース内に収まる部品の大きさ、レイアウトには大きな違いがない。共通の本体ケースを用いるクリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機でも、当然、電気掃除機本体の小型化を考慮した部品の大きさ、レイアウトの設計になる。
【0045】
微細塵の捕集性能を高めるために、電動送風機ユニットにULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを搭載すると、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aだけが後側に突き出る。この突き出しに対し、本体ケースをいじると(本体ケースの形状を変えると)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機との本体ケースの共通化、小型化に影響がでるので、本体ケースをいじらないで、本体ケースを後側に備える排気カバーで対応した。すなわち、クリーン排気用の排気カバーと、ハイパワー吸塵力用の排気カバーをそれぞれ用意することで対処するので、本体ケースはいじらずに済む。ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを搭載しても本体ケースの共通化、小型化は維持される。
【0046】
電動送風機気密防振パッキング14Aは、図2Aに示すように、環状鍔部14A−2が二段になっている。先端側段部の厚みLA−3は6mmである。また、通気性のある格子状の仕切り8Aから電動送風機の送風部12Aに向かって突き出る受台18Aは電動送風機気密防振パッキング14Aの前面を受け止める。仕切り8Aから受台18Aの先端までの長さLA−2は20mmである。
【0047】
電動送風機気密防振パッキング14Bは、図2Bに示すように、送風部12Bの外周に接合する筒部14B−1と、送風部12Bの前面外周側に接合する環状鍔部14B−2を有する。環状鍔部14B−2は二段になっている。先端側段部の厚みLB−3は10mmである。また、通気性のある格子状の仕切り8Bから電動送風機の送風部12Bに向かって突き出る受台18Bは電動送風機気密防振パッキング14Bの前面を受け止める。仕切り8Bから受台18Bの先端までの長さLB−2は20mmである。
【0048】
送風部12Bの吸い込み口の先端と環状鍔部14B−2の先端面は面一であるので、仕切り8Bと送風部12Bの吸い込み口との間隔は20mmである。これに対し、クリーン排気の電気掃除機では、仕切り8Bと送風部12Bの吸い込み口との間隔は16mmである。仕切りと送風部の吸い込み口との間隔は、仕切りを集塵部の下流端面と考えると、集塵部と吸い込み口との距離とも云える。
【0049】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機に比べ、クリーン排気の電気掃除機が電動送風機ユニット9Aを仕切り8Aに4mm寄せたのは、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aの後方への突出量をできるだけ抑えるためである。小型化のためには、電気掃除機本体の全長をおさえなければならないので膨出部17A−1の膨出を抑えると、排気カバー17A内の風路が狭くなって排気の流れを阻害する。これらを考慮して電動送風機ユニット9Aを仕切り8Aに4mm寄せたのである。
【0050】
但し、仕切りと送風部の吸い込み口との間隔を狭めると、電動送風機の吸い込み力は、低下する傾向を示す。これは仕切りの近い領域で発生する乱流の影響が考えられる。
【0051】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機は仕切り8Bと送風部の吸い込み口との間隔が20mmで電動送風機の吸い込み力は、その間隔が16mmであるクリーン排気の電気掃除機に比べ電動送風機の吸い込み力が強まり、ハイパワー吸塵力を得ることができる。この吸い込み力は、通常の電気掃除機がその間隔を18mmにしているので、それに比べても強い。
【0052】
すなわち、ハイパワー吸塵力の電気掃除機は集塵部と送風部の吸い込み口との距離がクリーン排気の電気掃除機に比べて長いので、吸込性能の向上し、クリーン排気の電気掃除機よりも高い吸い込み仕事率になる。
【0053】
排気カバー17Aは、図8Aに示すように、横幅がWA−2、丈がHA−2である。
図7Aに示すように、電気掃除機本体の内部を露呈しているところが排気カバーの取り付け開口部19Aである。取り付け開口部19Aは横幅がWA−1、丈がHA−1である。
【0054】
排気カバー17Bは、図8Bに示すように、横幅がWB−2、丈がHB−2である。
図7Bに示すように、電気掃除機本体の内部を露呈しているところが排気カバーの取り付け開口部19Bである。取り付け開口部19Aは横幅がWB−1、丈がHB−1である。
【0055】
WA−2、WA−1、WB−2、WB−1は、共通の寸法になっている。HA−2、HA−1、HB−2、HB−1は共通の寸法になっている。このように二種類の排気カバーと、二種類の本体ケースの取り付け開口部は寸法関係が共通になっている。本体ケースがクリーン排気の電気掃除機として組み立てられると、クリーン排気用の排気カバー17Aを取り付け開口部19Aに取り付ける。本体ケースがハイパワー吸塵力の電気掃除機として組み立てられると、ハイパワー吸塵力用の排気カバー17Bを取り付け開口部19Bに取り付ける。
【0056】
排気カバー17Aは、図11Aが示すように、膨出部17A−1のところに分散排気口17A−2が設けられる。分散排気口17A−2より上側のところには、排気カバー17Aの幅方向に延びる上側集中排気口17A−3を設ける。分散排気口17A−2より下側のところには、排気カバー17Aの幅方向に延びる下側集中排気口17A−4を設ける。
【0057】
上側集中排気口17A−3は排気カバー17Aの内側に向かって延在するガイド17A−3A、17A−3Bがある。また、上側集中排気口17A−3の下位置側吐出口縁には17A−3Aを延長する突出ガイド部17A−3Cを有する。これにより、上側集中排気口17A−3は吐出(空気)するところが突出ガイド部17A−3Cの突出分で段差になっている。
【0058】
下側集中排気口17A−4は排気カバー17Aの内側に向かって延在する上位置側ガイド17A−4A、排気カバー17Aの内側から外側に向かって延在する下位置側ガイド17A−4Bを有する。上位置側ガイド17A−4Aは下位置側ガイド17A−4Bの外側端よりも外側に延びている。これにより、下側集中排気口17A−4は吐出(空気)するところが上位置側ガイド17A−4Aの外側延び分で段差になっている。
【0059】
また、分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4は、成型用金型の型抜きの関係で並行向きになっている。
【0060】
さて、図11Aに示すように、排気カバー17Aの内側で流れる内部排気流11A−F1は、分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4から外部排気流11A−F2、11A−F3、11A−F4となって流出する。分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4が前述したように並行向であるので、本来なら外部排気流11A−F2、11A−F3、11A−F4は並行に吹くはず。
【0061】
しかし、指向性のある強い流れの外部排気流11A−F3、11A−F4は外部排気流11A−F2を間にして先に行くに従い互いが近づくように偏向する流れになる。
【0062】
これは、前述した上側集中排気口17A−3の吐出(空気)するところが突出ガイド部17A−3Cの突出分で段差になっていること、および下側集中排気口17A−4の吐出(空気)するところが上位置側ガイド17A−4Aの外側延び分で段差になっていることによる。
【0063】
一般に流体は壁に寄りそう流れになる。上側集中排気口17A−3、および下側集中排気口17A−4から吐出する空気の流れは、上記段差分だけ寄りそう流れ長さが多く、偏向した流れになる。分散排気口17A−2からの分散流は、先に行くに従いに近づいて行く流れである外部排気流11A−F3、11A−F4によって一つにまとめられる。
【0064】
また、排気カバー17Bは、図11Bが示すように、分散排気口17B−2と、分散排気口17B−2より上側のところに設ける排気カバー17Bの幅方向に延びる上側集中排気口17B−3を有する。
【0065】
上側集中排気口17B−3は排気カバー17Bの内側および外側に向かって延在するガイド17B−3A、17B−3Bがある。分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3は、成型用金型の型抜きの関係で並行向きになっている。
【0066】
さて、図11Bに示すように、排気カバー17Bの内側で流れる内部排気流11B−F1は、分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3から外部排気流11B−F2、11B−F3となって流出する。分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3、が前述したように並行向であるので、本来なら外部排気流11B−F2、11B−F3は並行に吹くはず。
【0067】
しかし、分散流の外部排気流11B−F2は、指向性のある強い流れの外部排気流11B−F3に誘引されて一つのまとまった流れになる。
【0068】
クリーン排気の電気掃除機の排気について述べる。
【0069】
図12、図2A、図9A、図10Aが示すように、電動送風機ユニット9Aの送風部12Aに吸い込まれた空気は電動機11A内を通り、図2Aの矢印FA1、矢印FA2で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aの排気口から排出され、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10A内を流れる。高集塵フィルタ10Aで空気に含まれている微細な塵埃はもらさず除去される。電動機11Aから出るカーボンブラシの微細塵までも捕集される。微細塵の捕集により濾過された空気は高集塵フィルタ10Aのフィルタ部10A−1を出てフィルタカバー部10A−3で案内される。その後、その空気は図12の矢印FA3、矢印FA4、矢印FA5、矢印FA6、図2Aの点線矢印FA7で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aの外側両側面に沿って下流する。
【0070】
下流した空気は、図2Aの矢印FA8、矢印FA9、矢印FA10で示すように上向き流になる。この上向き流れは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側背面と下本体ケースの間を通る。この上向きの空気流のより、電動送風機ハウジングカバー13Aの後側背面に備えた制御基板16Aは冷やされる。制御基板16Aを冷却した空気は前述したように、排気カバー17Aの分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17から排気流となって排気される。
【0071】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機の排気について述べる。
【0072】
図2Bが示すように、電動送風機ユニット9Bの送風部12Bに吸い込まれた空気は電動機11B内を通り、図2Bの矢印FB1、矢印FB2で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Bの排気口から排出され、電動送風機ハウジングカバー13Bと下本体ケースとの間を矢印FB3、矢印FB4で示すように流れる。そして、排気カバー17Bの分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3から排気流となって排気される。
【0073】
図6Aに示すように、クリーン排気の電気掃除機にあって、(高集塵フィルタ)10Aが取り付け開口部19Aから飛び出している。これに対し、図6Bに示すようにハイパワー吸塵力の電気掃除機にあっては、(高集塵フィルタ)10Aを搭載しないので内部部品の飛び出しがない。この飛び出しの有無に対し、本体ケースに比べ、小さい部品である排気カバーを2種類用意することで対処するので大きなコスト削減になる。
【0074】
また、2種類の排気カバーは排気口、後方への膨出の大小による形状を異にしているが、外回りサイズやねじ止めは共通であるので共通の大きさである本体ケースの取り付け開口部に嵌合し、ねじ止めができる。
【符号の説明】
【0075】
1A…本体ケース
1B…本体ケース
10A…高集塵フィルタ
15A…集塵袋(集塵部)
15B…集塵袋(集塵部)
19A…取り付け開口部
19B…取り付け開口部
9A…電動送風機ユニット
9B…電動送風機ユニット
17A…排気カバー
17B…排気カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動送風機からでる排気音を集塵フィルタで下げる低騒音の電気掃除機、吸引力の強い電動送風機を備えたハイパワー吸塵力の電気掃除機がある。低騒音の電気掃除機は東芝製品(型式VC−PS300X)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機は東芝製品(型式VC−P200D)である。この異なるタイプの電気掃除機は本体ケースが同じ寸法形状で共通の本体ケースになっているものと思われる。本体ケースの全長は367mmである。
【0003】
上記ハイパワー吸塵力の電気掃除機は、クリーンな排気性能であると同製品のカタログに記載されている。また、電動送風機からの排気中に含まれる微細な塵埃の捕集するULPAフィルタ(高集塵フィルタ)を備えたクリーン排気の電気掃除機は既に存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TOSHIBA 総合カタログ2009-冬号 クリーナー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
東芝製品(型式VC−PS300X)は、クリーンな排気性能であると同製品のカタログに記載されているが、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)に関する記述はない。
【0006】
しかし、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)を搭載すると、高集塵フィルタが収められるサイズアップした大きさに本体ケースを作り換えなければならない。この作り換えにともないクリーン排気性能である電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機とは本体ケース共通化が難しくなる。また、本体ケースの大型化は電気掃除機の小型化に逆行するので好ましくない。
【0007】
また、ハイパワー吸塵力の電気掃除機には更に強い吸塵力で吸塵する吸込性能の向上が求められている。吸込性能の向上に応えて電動送風機のサイズを大きくすると、本体ケースが大きくなるので小型化に反する。また、クリーン排気性能である電気掃除機との本体ケースの共通化もできなくなるので、電動送風機のサイズを大きくすることなく、または電動送風機をいじらずに吸込性能を上げることが求められている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、本体ケースをいじらずに本体ケースの共通化を維持し、クリーン排気の電気掃除機の捕集性能の向上と、ハイパワー吸塵力の電気掃除機の吸込性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機において、第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、前記排気カバーの形状は、電気掃除機の種類に応じて異なり、前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本体ケースの取り付け開口部に電気掃除機の種類に応じた排気カバー取り付けることで、本体ケースをいじらずに本体ケースの共通化を維持し、クリーン排気の電気掃除機の捕集性能の向上と、ハイパワー吸塵力の電気掃除機の吸込性能の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明によれば、本体ケースの取り付け開口部に電気掃除機の種類に応じた排気カバー取り付けるだけで、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機の本体ケースの共通化を図っているため、電気掃除機の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係るもので、集塵室外蓋を開いた状態で電気掃除機本体を上から斜視図である。この図はクリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)、およびハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)を共通に示している。
【図2A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)の縦断面図である。
【図2B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の縦断面図である。
【図3A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を後側から見た斜視図である。
【図3B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の後側から見た斜視図である。
【図4A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を上側から見た斜視図である。
【図4B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図5A】本発明の実施例に係るもので、上本体ケースが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を上側から見た斜視図である。
【図5B】本発明の実施例に係るもので、上本体ケースが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図6A】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を側面から見た斜視図である。
【図6B】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の上側から見た斜視図である。
【図7A】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)を後側から見た斜視図である。
【図7B】本発明の実施例に係るもので、排気カバーが外されたハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)の後側から見た斜視図である。
【図8A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に設ける排気カバーを表側から見た斜視図である。
【図8B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)に設ける排気カバーを表側から見た斜視図である。
【図9A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる電動送風機ユニットを上側から見た斜視図である。
【図9B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)備わる電動送風機ユニットを上側から見た斜視図である。
【図10A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる電動送風機ユニットを後側から見た斜視図である。
【図10B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)備わる電動送風機ユニットを後側から見た斜視図である。
【図11A】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に設けた排気カバーから排出する排気の流れを模式的に示した図である。
【図11B】本発明の実施例に係るもので、ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)に設けた排気カバーから排出する排気の流れを概略的に示した図である。
【図12】本発明の実施例に係るもので、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)に備わる高集塵フィルタから排出された排気が本体ケース内を流れる態様を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る実施例について、図に沿い以下に説明する。
【0014】
電気掃除機本体の本体ケース1は、図1に示すように、上本体ケース2、下本体ケース3から構成される。本体ケース1の内部には、前側に集塵室4、後側に電動送風機室が備わる。通気性のある格子状の仕切りで、集塵室4と電動送風機室は仕切られる。
【0015】
集塵室4には、集塵袋や、サイクロン式の集塵部が着脱自在に備えられる。また、集塵袋や、集塵部に付着した塵埃を除塵する除塵装置も備えられる。集塵室4の前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5が設けられる。上本体ケース2には、集塵室4を開け閉めする集塵室外蓋6が設けられ、この集塵室外蓋6を開いて集塵袋や、集塵部の着脱が行われる。
【0016】
電動送風機室には、電動送風機ユニットが備えられる。この図1はクリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)、およびハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)を共通に示している。つまり、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)とハイパワー吸塵力の電気掃除機本体(Bタイプ)とでは、上本体ケース2の形状、大きさ、下本体ケース3の形容、大きさ、集塵室4の形状、大きさ、電動送風機室の形状、大きさが共通である。
【0017】
次に図2〜図12を沿い、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)に関する本体ケースの小型化、共通化、捕集性能、吸込性能等について述べる。
【0018】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)を第1の種類の電気掃除機と云う。クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)を第2の種類の電気掃除機と云う。第1の種類の電気掃除機は第2の種類の電気掃除機に比べ、吸込仕事率が高い。吸込仕事率が高いので、第1の種類の電気掃除機をハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)とした。また、第2の種類の電気掃除機は第1の種類の電気掃除機に比べ、排気がきれいで、第1の電気掃除機に比べ、電動送風機からの排気を浄化するフィルタの除塵率が高い。
【0019】
図2A、図3A、図4A、図5A、図6A、図7A、図8A、図9A、図10A、図111Aは、クリーン排気の掃除機本体(Aタイプ)を示す。図2B、図3B、図4B、図5B、図6B、図7B、図8B、図9B、図10B、図11Bは、ハイパワー吸塵力の掃除機本体(Bタイプ)を示す。
【0020】
図2Aに示すように、クリーン排気の電気掃除機本体(Aタイプ)の外郭を形成する本体ケース1Aは、上本体ケース2A、下本体ケース3Aから構成される。本体ケース1Aの内部には、前側に集塵室4A、後側に電動送風機室7Aが備わる。集塵室4Aの前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5Aが設けられる。上本体ケース2Aには、集塵室4Aを開け閉めする集塵室外蓋6Aが設けられ、この集塵室外蓋6Aを開いて集塵袋15Aの着脱が行われる。
【0021】
通気性のある格子状の仕切り8Aで、集塵室4Aと電動送風機室7Aは仕切られる。電動送風機室7Aには、電動送風機ユニット9Aが備えられる。ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aは電動送風機ユニット9Aに搭載される。ULPAフィルタ10Aは、略四角形状の枠体に、ひだ状に折られたフィルタ材が一体に成形されたものである。フィルタ材がひだ状に折られているため、ある程度の大きさ(体積)を有する。ULPAフィルタに代えて、HEPAフィルタであってもよい。HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)とは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)は、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタであり、HEPAフィルタの粒子捕集効率よりも高い粒子捕集効率を有する。
【0022】
電動送風機ユニット9Aの主要部である電動送風機は、電動機11A、送風部12Aを有する。電動機11A、送風部12Aは電動送風機ハウジングカバー13Aで包囲される。電動送風機気密防振パッキング14Aは、送風部12Aの外周に接合する筒部14A−1と、送風部12Aの前面外周側に接合する環状鍔部14A−2を有する。
【0023】
筒部14A−1は外周側が電動送風機ハウジングカバー13の内周側に嵌る。このため、筒部14A−1は送風部12Aの外周と電動送風機ハウジングカバー13Aの内周に挟持されるので、電動送風機ハウジングカバー13Aの気密が良く行われる。また、気密用のテープで電動送風機ハウジングカバー13Aの端部と筒部14A−1の外周が巻かれ気密は更に向上する。
【0024】
電動送風機ハウジングカバー13Aには、電動送風機の排気を高集塵フィルタ10Aに流す排気口が設けられる。電動送風機の排気は、もっぱら、その排気口、および高集塵フィルタ10Aを通じて電動送風機ユニット9Aから排出されるので、電動送風機ハウジングカバー13の内圧は高くなる。この高い内圧に耐えるように、前述した筒部14A−1を挟持する構造、気密用のテープを巻く構成を採用した。
【0025】
このように電動送風機からの排気は全部がULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aで微細な塵埃をもらさず捕集される。捕塵性能の良いクリーン排気の電気掃除機が提供できる。
【0026】
図2Bに示すように、ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)について述べる。
【0027】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケース1Bは、上本体ケース2B、下本体ケース3Bから構成される。この上本体ケース2B、下本体ケース3Bは、前述したクリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)の上本体ケース2A、下本体ケース3Aと共通である。同一の成型金型で作られた上本体ケースや、下本体ケースがハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)としての上本体ケース2B、下本体ケース3Bや、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)としての上本体ケース2A、下本体ケース3Aとして用いられる。
【0028】
成型金型の共用化によるコストダウンを図ることができる。また、上本体ケース、下本体ケースの種類低減により部品管理がしやすくなる。
【0029】
本体ケース1Bの内部には、前側に集塵室4B、後側に電動送風機室7Bが備わる。集塵室4Bの前側には、吸い込むホースが着脱自在に接続されるホース差し込み口5Bが設けられる。上本体ケース2Bには、集塵室4Bを開け閉めする集塵室外蓋6Bが設けられ、この集塵室外蓋6Bを開いて集塵袋15Bの着脱が行われる。
【0030】
通気性のある格子状の仕切り8Bで、集塵室4Bと電動送風機室7Bは仕切られる。電動送風機室7Bには、電動送風機ユニット9Bが備えられる。このハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)は、高集塵フィルタを備えない。よって、電動送風機からの排気は、排気カバー17Bから排出される。ただし、ULPAフィルタ10Aよりも小さい、平面状のフィルタを備えていてもよい。
【0031】
電動送風機ユニット9Bの主要部である電動送風機は、電動機11B、送風部12Bを有する。電動機11B、送風部12Bは、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)のものと共通である。
【0032】
しかし、電動送風機ハウジングカバー13Bは、クリーン排気の電気掃除機(Aタイプ)のものと非共通で、異なる形状である。電動送風機ハウジングカバー13Bは、図9B、図10Bに示すように上側ハウジングカバー部材13B−1、下側ハウジングカバー部材13B−2を抱合わせいて形成している。また、上側ハウジングカバー部材13B−1には排気口13B−3を設ける。下側ハウジングカバー部材13B−2にも排気口13B−4を設ける。ハイパワー吸塵力の電気掃除機(Bタイプ)では、電動送風機ハウジングカバー13Bに設けた複数の排気口から排気されるので電動送風機ハウジングカバー13Bの排気圧は高くならない。
【0033】
電子部品を備えた制御基板16Bは電動送風機ハウジングカバー13Bの上側に備える。電動送風機ハウジングカバー13Bには、制御基板16Bの裏側になるところにも排気口が設けられているので、電子部品は排気によって冷却される。
【0034】
図9A、図10Aに示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aは、電動機11A、送風部12Aの外周側を包む筒部13A−1、電動機11Aの後端側を被う後側部13A−2を有し、後側部13A−2の反対側である前側に開口がある一体成型の構造である。そして、電動送風機ハウジングカバー13Aの開口には、電動送風機の送風部12Aを嵌合し、電動送風機ハウジングカバー13Aの上側に搭載するULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aのところに通じるところに排気口を設けた。
【0035】
一体成型の構造で、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aに通じる排気口しか設けないのは、電動送風機ハウジングカバー13Aの密閉性を高め、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10A以外からの排気漏れをなくすることで捕集性能を高めた。
【0036】
電子部品を備えた制御基板16Aは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側部13A−2の背面に備えた。この制御基板16Aの排気冷却に関しては後で述べる。
【0037】
ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aは、図2A、図5A、図9A、図10Aに示すように、フィルタ部10A−1、フィルタケース部10A−2、フィルタカバー部10A−3を有し、全体が丈の低い箱型をしている。高集塵フィルタの通気性を確保したり、捕集性能を上げるには、大きくしなければならい。このため、図2Aに示すように、高集塵フィルタ10Aは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側部13A−2よりも後方に突出している。突出量の寸法LA−4は30mmである。
【0038】
高集塵フィルタ10Aを覆う排気カバー17Aは、本体ケース1Aの後側に取り付けられ、ねじ止めされる。排気カバー17Aは高集塵フィルタ10Aの突き出しに合わせて中央が外方向に膨れる膨出部17A−1を有する。図2Aに示すように、下本体ケース3Aの後端から膨出部17A−1までの長さは、LA−5である。
【0039】
一方、高集塵フィルタを搭載しない図2Bに示す本体ケース1Bの後側に取り付けられ、ねじ止めされる排気カバー17Bは前記排気カバー17Aと異なり、膨出部17がない。このため、下本体ケース3Bの後端から排気カバー17Bの後端までの長さはLB−5である。排気カバー17Aおよび排気カバー17Bには、流れの偏りを低減し、また騒音を低減するために、平面状のスポンジが備えられている。
【0040】
クリーン排気の電気掃除機は全長LA−1が330mmである。ハイパワー吸塵力の電気掃除機は全長LB−1が313mmである。クリーン排気の電気掃除機もハイパワー吸塵力の電気掃除機も同じ長さの共通の本体ケースを用いているので、LA−5はLB−5よりも17mm長い。排気カバー17Aは膨出により、排気カバー17Bよりも後側へ17mm大きく突き出ていることになる。つまり、排気カバー17Aの後方への膨出が排気カバー17Bよりも大きくなっている。
【0041】
〔背景技術〕の欄で述べた低騒音の電気掃除機〔(東芝製品(型式VC−PS300X)〕、ハイパワー吸塵力の電気掃除機〔東芝製品(型式VC−PS200D)〕は、367mmである。これに比べ、本発明の実施例に係るクリーン排気の電気掃除機は全長LA−1が330mmであるので37mm短い小型化されたものになっている。本発明の実施例に係るハイパワー吸塵力の電気掃除機にあっては全長LB−1が313mmであるので54mm短い小型化されたものになっている。
【0042】
また、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機は電気掃除機本体の外郭の大部分を占める上本体ケース、下本体ケースが共通で、本体ケースより小さな排気カバーだけが形状の違いで非共通の部品になる。
【0043】
したがって、小さな排気カバーの成型に用いる小さな金型は2種類になるが、上下本体ケースの成型に用いる大きな金型は共用化できるので、コストダウンを図ることができる。
【0044】
また、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを除くと、クリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機には本体ケース内に収まる部品の大きさ、レイアウトには大きな違いがない。共通の本体ケースを用いるクリーン排気の電気掃除機とハイパワー吸塵力の電気掃除機でも、当然、電気掃除機本体の小型化を考慮した部品の大きさ、レイアウトの設計になる。
【0045】
微細塵の捕集性能を高めるために、電動送風機ユニットにULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを搭載すると、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aだけが後側に突き出る。この突き出しに対し、本体ケースをいじると(本体ケースの形状を変えると)、ハイパワー吸塵力の電気掃除機との本体ケースの共通化、小型化に影響がでるので、本体ケースをいじらないで、本体ケースを後側に備える排気カバーで対応した。すなわち、クリーン排気用の排気カバーと、ハイパワー吸塵力用の排気カバーをそれぞれ用意することで対処するので、本体ケースはいじらずに済む。ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aを搭載しても本体ケースの共通化、小型化は維持される。
【0046】
電動送風機気密防振パッキング14Aは、図2Aに示すように、環状鍔部14A−2が二段になっている。先端側段部の厚みLA−3は6mmである。また、通気性のある格子状の仕切り8Aから電動送風機の送風部12Aに向かって突き出る受台18Aは電動送風機気密防振パッキング14Aの前面を受け止める。仕切り8Aから受台18Aの先端までの長さLA−2は20mmである。
【0047】
電動送風機気密防振パッキング14Bは、図2Bに示すように、送風部12Bの外周に接合する筒部14B−1と、送風部12Bの前面外周側に接合する環状鍔部14B−2を有する。環状鍔部14B−2は二段になっている。先端側段部の厚みLB−3は10mmである。また、通気性のある格子状の仕切り8Bから電動送風機の送風部12Bに向かって突き出る受台18Bは電動送風機気密防振パッキング14Bの前面を受け止める。仕切り8Bから受台18Bの先端までの長さLB−2は20mmである。
【0048】
送風部12Bの吸い込み口の先端と環状鍔部14B−2の先端面は面一であるので、仕切り8Bと送風部12Bの吸い込み口との間隔は20mmである。これに対し、クリーン排気の電気掃除機では、仕切り8Bと送風部12Bの吸い込み口との間隔は16mmである。仕切りと送風部の吸い込み口との間隔は、仕切りを集塵部の下流端面と考えると、集塵部と吸い込み口との距離とも云える。
【0049】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機に比べ、クリーン排気の電気掃除機が電動送風機ユニット9Aを仕切り8Aに4mm寄せたのは、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10Aの後方への突出量をできるだけ抑えるためである。小型化のためには、電気掃除機本体の全長をおさえなければならないので膨出部17A−1の膨出を抑えると、排気カバー17A内の風路が狭くなって排気の流れを阻害する。これらを考慮して電動送風機ユニット9Aを仕切り8Aに4mm寄せたのである。
【0050】
但し、仕切りと送風部の吸い込み口との間隔を狭めると、電動送風機の吸い込み力は、低下する傾向を示す。これは仕切りの近い領域で発生する乱流の影響が考えられる。
【0051】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機は仕切り8Bと送風部の吸い込み口との間隔が20mmで電動送風機の吸い込み力は、その間隔が16mmであるクリーン排気の電気掃除機に比べ電動送風機の吸い込み力が強まり、ハイパワー吸塵力を得ることができる。この吸い込み力は、通常の電気掃除機がその間隔を18mmにしているので、それに比べても強い。
【0052】
すなわち、ハイパワー吸塵力の電気掃除機は集塵部と送風部の吸い込み口との距離がクリーン排気の電気掃除機に比べて長いので、吸込性能の向上し、クリーン排気の電気掃除機よりも高い吸い込み仕事率になる。
【0053】
排気カバー17Aは、図8Aに示すように、横幅がWA−2、丈がHA−2である。
図7Aに示すように、電気掃除機本体の内部を露呈しているところが排気カバーの取り付け開口部19Aである。取り付け開口部19Aは横幅がWA−1、丈がHA−1である。
【0054】
排気カバー17Bは、図8Bに示すように、横幅がWB−2、丈がHB−2である。
図7Bに示すように、電気掃除機本体の内部を露呈しているところが排気カバーの取り付け開口部19Bである。取り付け開口部19Aは横幅がWB−1、丈がHB−1である。
【0055】
WA−2、WA−1、WB−2、WB−1は、共通の寸法になっている。HA−2、HA−1、HB−2、HB−1は共通の寸法になっている。このように二種類の排気カバーと、二種類の本体ケースの取り付け開口部は寸法関係が共通になっている。本体ケースがクリーン排気の電気掃除機として組み立てられると、クリーン排気用の排気カバー17Aを取り付け開口部19Aに取り付ける。本体ケースがハイパワー吸塵力の電気掃除機として組み立てられると、ハイパワー吸塵力用の排気カバー17Bを取り付け開口部19Bに取り付ける。
【0056】
排気カバー17Aは、図11Aが示すように、膨出部17A−1のところに分散排気口17A−2が設けられる。分散排気口17A−2より上側のところには、排気カバー17Aの幅方向に延びる上側集中排気口17A−3を設ける。分散排気口17A−2より下側のところには、排気カバー17Aの幅方向に延びる下側集中排気口17A−4を設ける。
【0057】
上側集中排気口17A−3は排気カバー17Aの内側に向かって延在するガイド17A−3A、17A−3Bがある。また、上側集中排気口17A−3の下位置側吐出口縁には17A−3Aを延長する突出ガイド部17A−3Cを有する。これにより、上側集中排気口17A−3は吐出(空気)するところが突出ガイド部17A−3Cの突出分で段差になっている。
【0058】
下側集中排気口17A−4は排気カバー17Aの内側に向かって延在する上位置側ガイド17A−4A、排気カバー17Aの内側から外側に向かって延在する下位置側ガイド17A−4Bを有する。上位置側ガイド17A−4Aは下位置側ガイド17A−4Bの外側端よりも外側に延びている。これにより、下側集中排気口17A−4は吐出(空気)するところが上位置側ガイド17A−4Aの外側延び分で段差になっている。
【0059】
また、分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4は、成型用金型の型抜きの関係で並行向きになっている。
【0060】
さて、図11Aに示すように、排気カバー17Aの内側で流れる内部排気流11A−F1は、分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4から外部排気流11A−F2、11A−F3、11A−F4となって流出する。分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17A−4が前述したように並行向であるので、本来なら外部排気流11A−F2、11A−F3、11A−F4は並行に吹くはず。
【0061】
しかし、指向性のある強い流れの外部排気流11A−F3、11A−F4は外部排気流11A−F2を間にして先に行くに従い互いが近づくように偏向する流れになる。
【0062】
これは、前述した上側集中排気口17A−3の吐出(空気)するところが突出ガイド部17A−3Cの突出分で段差になっていること、および下側集中排気口17A−4の吐出(空気)するところが上位置側ガイド17A−4Aの外側延び分で段差になっていることによる。
【0063】
一般に流体は壁に寄りそう流れになる。上側集中排気口17A−3、および下側集中排気口17A−4から吐出する空気の流れは、上記段差分だけ寄りそう流れ長さが多く、偏向した流れになる。分散排気口17A−2からの分散流は、先に行くに従いに近づいて行く流れである外部排気流11A−F3、11A−F4によって一つにまとめられる。
【0064】
また、排気カバー17Bは、図11Bが示すように、分散排気口17B−2と、分散排気口17B−2より上側のところに設ける排気カバー17Bの幅方向に延びる上側集中排気口17B−3を有する。
【0065】
上側集中排気口17B−3は排気カバー17Bの内側および外側に向かって延在するガイド17B−3A、17B−3Bがある。分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3は、成型用金型の型抜きの関係で並行向きになっている。
【0066】
さて、図11Bに示すように、排気カバー17Bの内側で流れる内部排気流11B−F1は、分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3から外部排気流11B−F2、11B−F3となって流出する。分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3、が前述したように並行向であるので、本来なら外部排気流11B−F2、11B−F3は並行に吹くはず。
【0067】
しかし、分散流の外部排気流11B−F2は、指向性のある強い流れの外部排気流11B−F3に誘引されて一つのまとまった流れになる。
【0068】
クリーン排気の電気掃除機の排気について述べる。
【0069】
図12、図2A、図9A、図10Aが示すように、電動送風機ユニット9Aの送風部12Aに吸い込まれた空気は電動機11A内を通り、図2Aの矢印FA1、矢印FA2で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aの排気口から排出され、ULPAフィルタ(高集塵フィルタ)10A内を流れる。高集塵フィルタ10Aで空気に含まれている微細な塵埃はもらさず除去される。電動機11Aから出るカーボンブラシの微細塵までも捕集される。微細塵の捕集により濾過された空気は高集塵フィルタ10Aのフィルタ部10A−1を出てフィルタカバー部10A−3で案内される。その後、その空気は図12の矢印FA3、矢印FA4、矢印FA5、矢印FA6、図2Aの点線矢印FA7で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Aの外側両側面に沿って下流する。
【0070】
下流した空気は、図2Aの矢印FA8、矢印FA9、矢印FA10で示すように上向き流になる。この上向き流れは電動送風機ハウジングカバー13Aの後側背面と下本体ケースの間を通る。この上向きの空気流のより、電動送風機ハウジングカバー13Aの後側背面に備えた制御基板16Aは冷やされる。制御基板16Aを冷却した空気は前述したように、排気カバー17Aの分散排気口17A−2、上側集中排気口17A−3、下側集中排気口17から排気流となって排気される。
【0071】
ハイパワー吸塵力の電気掃除機の排気について述べる。
【0072】
図2Bが示すように、電動送風機ユニット9Bの送風部12Bに吸い込まれた空気は電動機11B内を通り、図2Bの矢印FB1、矢印FB2で示すように、電動送風機ハウジングカバー13Bの排気口から排出され、電動送風機ハウジングカバー13Bと下本体ケースとの間を矢印FB3、矢印FB4で示すように流れる。そして、排気カバー17Bの分散排気口17B−2、上側集中排気口17B−3から排気流となって排気される。
【0073】
図6Aに示すように、クリーン排気の電気掃除機にあって、(高集塵フィルタ)10Aが取り付け開口部19Aから飛び出している。これに対し、図6Bに示すようにハイパワー吸塵力の電気掃除機にあっては、(高集塵フィルタ)10Aを搭載しないので内部部品の飛び出しがない。この飛び出しの有無に対し、本体ケースに比べ、小さい部品である排気カバーを2種類用意することで対処するので大きなコスト削減になる。
【0074】
また、2種類の排気カバーは排気口、後方への膨出の大小による形状を異にしているが、外回りサイズやねじ止めは共通であるので共通の大きさである本体ケースの取り付け開口部に嵌合し、ねじ止めができる。
【符号の説明】
【0075】
1A…本体ケース
1B…本体ケース
10A…高集塵フィルタ
15A…集塵袋(集塵部)
15B…集塵袋(集塵部)
19A…取り付け開口部
19B…取り付け開口部
9A…電動送風機ユニット
9B…電動送風機ユニット
17A…排気カバー
17B…排気カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機において、
第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、
前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、
各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、
前記排気カバーの形状は、電気掃除機の種類に応じて異なり、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも大きいことを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記フィルターが前記本体ケースの取り付け開口部に取り付けられた状態において、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも前記電気掃除機本体の後側へ長いことを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターの後端は、前記フィルターが前記本体ケースの取り付け開口部に取り付けられた状態において、前記本体ケースの後端よりも後側に位置することを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターは、前記本体ケースの取り付け開口部から外部へ飛び出して配置され、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記フィルターを覆うように配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかにおいて、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターは、前記電動送風機の後部の上面に配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項6】
請求項1乃至請求5の何れかにおいて、
各種類の電気掃除機は、前記電動送風機を制御する制御回路を備え、
前記第1の種類の電気掃除機の前記制御回路は、前記電動送風機の上面に配置され、
前記第2の種類の電気掃除機の前記制御回路は、前記電動送風機の後面に配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項7】
電気掃除機本体の外郭を形成する共通の本体ケースを用いて、種類の異なる複数の電気掃除機を製造する電気掃除機の製造方法であって、
第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、
前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、
各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、
前記第2の種類の電気掃除機には、前記第1の種類の電気掃除機の排気カバーよりも大きい排気カバーを取り付けることを特徴とする電気掃除機の製造方法。
【請求項1】
電気掃除機本体の外郭を形成する本体ケースが共通する種類の異なる複数の電気掃除機において、
第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、
前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、
各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、
前記排気カバーの形状は、電気掃除機の種類に応じて異なり、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも大きいことを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記フィルターが前記本体ケースの取り付け開口部に取り付けられた状態において、前記第1の種類の電気掃除機の前記排気カバーよりも前記電気掃除機本体の後側へ長いことを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターの後端は、前記フィルターが前記本体ケースの取り付け開口部に取り付けられた状態において、前記本体ケースの後端よりも後側に位置することを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターは、前記本体ケースの取り付け開口部から外部へ飛び出して配置され、
前記第2の種類の電気掃除機の前記排気カバーは、前記フィルターを覆うように配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかにおいて、
前記第2の種類の電気掃除機の前記フィルターは、前記電動送風機の後部の上面に配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項6】
請求項1乃至請求5の何れかにおいて、
各種類の電気掃除機は、前記電動送風機を制御する制御回路を備え、
前記第1の種類の電気掃除機の前記制御回路は、前記電動送風機の上面に配置され、
前記第2の種類の電気掃除機の前記制御回路は、前記電動送風機の後面に配置されることを特徴とする種類の異なる複数の電気掃除機。
【請求項7】
電気掃除機本体の外郭を形成する共通の本体ケースを用いて、種類の異なる複数の電気掃除機を製造する電気掃除機の製造方法であって、
第1の種類の電気掃除機は、第2の種類の電気掃除機に比較して吸込仕事率が高く、前記第2の種類の電気掃除機に比較して前記電気掃除機本体の集塵部から前記電気掃除機本体内に配置された電動送風機の吸込口に至るまでの距離が長く、
前記第2の種類の電気掃除機は、前記第1の電気掃除機に比較して排気がきれいで、前記第1の電気掃除機に比較して前記電動送風機からの排気を浄化するフィルタの捕塵率が高く、
各種類の電気掃除機は、前記本体ケースに形成された取り付け開口部に取り付けられ、前記電動送風機からの排気が排出される排気カバーを備え、
前記第2の種類の電気掃除機には、前記第1の種類の電気掃除機の排気カバーよりも大きい排気カバーを取り付けることを特徴とする電気掃除機の製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2012−24372(P2012−24372A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166711(P2010−166711)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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