説明

稲若葉粉末が添加された加工食品

【課題】 稲若葉の持つ高い栄養価を保持し、健康機能を有し、且つ甘味が改善された加工食品を提供する。
【解決手段】 化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで、あるいは化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いず微生物製剤のEM菌を散布して稲を育成し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈りとる。次いで刈り取った稲若葉を従来行われている方法を用いて洗浄、加熱、脱水・乾燥する。更にこれを粉末化し、加工食品に対し1〜10重量%の範囲で添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稲若葉粉末が添加された加工食品に関する。更には化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで生育し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈り取った稲若葉粉末が添加された甘味が改善された加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
稲若葉はビタミン類、ミネラル類、食物繊維等に富み、活性酸素消去機能、酸化防止機能及びラジカル消去機能等あるいは腸内環境の改善等に寄与することが知られている。このため、稲若葉は休耕田を活用して専用栽培されたり、田植え時期に発生する余剰の稲苗の活用及び減反のための青刈り稲の活用により栽培されたり、あるいは最終的には米を収穫する稲を若葉の段階で刈り取り、再度成長させ米を収穫する方法等で栽培されていることが報告されている。こうして得られた稲若葉を粉砕して得られる粉末が添加された加工食品が知られている(特許文献1〜5)。しかしながら特許文献1は稲に含まれる成分が活性酸素消去機能、酸化防止機能及びラジカル消去機能を発揮することを発見して達成された健康機能食品に関するものである。また、特許文献2は栄養価を損なわないように後処理した方法を用いて得られた緑葉を含有する加工食品に関するものである。また、特許文献3は効率的に収穫された稲若葉を栄養価が損なわれないように後処理した方法を用いて得られた稲若葉を添加した加工食品に関するものである。また、特許文献4は栄養価が高いことに着目した加工食品に関するものである。更に特許文献5は食感を悪化させることなく、賞味期限および日持ちの向上を図ることを目的としたものである。
【特許文献1】特許第3425406号公報
【特許文献2】特開2002−58443号公報
【特許文献3】特開2002−191322号公報
【特許文献4】特開2002−330724号公報
【特許文献5】特開2004−222515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のように、稲若葉粉末を添加して得られる加工食品は健康によく、栄養価も高く、更に加工食品の日持ちを改善することは知られているが、加工食品そのものの味を改善することは知られていない。本発明は加工食品の味を改善し甘味を呈する稲若葉粉末添加加工食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで育成し、あるいは化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いず微生物製剤のEM菌を散布して生育し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈り取った稲若葉を粉砕して得られる粉末を加工食品に添加することにより、加工食品が甘味を呈することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明の第一は、化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで育成し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈り取った稲若葉の粉末が添加された加工食品、である。
【0006】
本発明の第二は、化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いず微生物製剤のEM菌を散布して育成し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈り取った稲若葉の粉末が添加された加工食品、である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで育成した、あるいは化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いず微生物製剤のEM菌を散布して育成した稲若葉の粉末を加工食品に添加することにより、加工食品が甘味を呈すると言う効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における若葉とは葉、茎及び幼穂を言う。
【0009】
本発明において、用いられる畜産排泄物のC/N比は15以下、好ましくは18以下である。
【0010】
本発明において、肥料として植物遺骸を用いることができる。
【0011】
本発明においてEM菌は田植え終了後1週間以内に、1反当たり30kg程度を散布する。
【0012】
本発明において、刈り取り時期は分けつ開始期から穂ばらみ前の期間である。
【0013】
本発明における刈り取り後の処理について説明する。
【0014】
刈り取った稲の若葉を水洗する。ここで泥等の異物や不良若葉を除去する。
【0015】
次に酵素を失活させ、若葉の褪色化を防止するために加熱処理を行う。洗浄処理した若葉を水温90〜100℃の水槽に1〜5分間浸漬する。
【0016】
加熱処理された緑葉は脱水・乾燥処理を行い、水分を5〜10%程度にする。
【0017】
次に粉末化する。得られた粉末の成分を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
得られた粉末を加工食品に添加する。加工食品としてはうどん類、パン類、練り製品、菓子、氷菓子等がある。粉末の加工食品への添加量は1〜10重量%の範囲、好ましくは2〜5重量%の範囲である。少なすぎると甘味が得られない。また多すぎると加工食品の成形性が損なわれるので好ましくない。
【0020】
以下に実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0021】
肥料として植物遺骸のみを用いて育成し穂ばらみ直前に刈り取り、粉砕して得られた稲若葉の粉末及び市販の稲若葉の粉末を、それぞれうどんに対して5重量%添加して得られたうどんAとうどんB、更にいずれも添加しないうどんCを製造した。これらのうどんを調理して9名に食べてもらい食感を比較してもらった。結果を表2に示す。
【0022】
【表2】

【0023】
表2から、甘味を呈するうどんは本発明の方法で得られた稲若葉粉末を添加したうどんAのみで他はしょっぱさやえぐさがあることがわかる。
【0024】
以上説明してきたように、本発明の加工食品は稲若葉のもつ健康機能を備えかつ加工食品に甘味が付与されるので食べやすくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学肥料及びC/N比15以下の畜産排泄物を用いないで生育し、分けつ開始期から穂ばらみ前の期間に刈り取った稲若葉の粉末が添加された加工食品
【請求項2】
微生物製剤のEM菌を散布して生育した請求項1に記載された加工食品。

【公開番号】特開2007−20504(P2007−20504A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209349(P2005−209349)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(305000150)
【Fターム(参考)】