説明

空気予熱器における2つの処理流れ間の漏洩を最少にするために非接触検出するシステム及び方法

回転式空気予熱器10は、ロータ14を有するハウジング12を包含する。ロータ14は、対向する両端20,24を有すると共に、複数の仕切板48により複数のセクション46に分割されている。複数のセクタ板28は、ロータ14の対向する両端20,24の一方に関して密封関係であるひとつのセクタ板28を包含する。空気予熱器10は、フランジ56と、複数のセクタ板28の少なくともひとつに取り付けられている検出装置49とを包含する。検出装置49は、セクタ板28とフランジ56との間の距離の非接触検出を行う。検出装置49は、圧縮空気のジェットをフランジ56にさし向ける導管54と、第1の圧力センサ60と、第2の圧力センサ70とを包含する。第1の圧力センサ60は、検出装置49の内側の圧力を検出し、また第2の圧力センサ70は検出装置49の外側の圧力を検出する。セクタ板28とフランジ56との間の距離は、第1の圧力センサ60及び第2の圧力センサ70により測定された圧力差である。一実施形態において、第1の圧力センサ60は検出装置49内の背圧を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気予熱器内の処理空気漏洩を最少にするシステム及び方法に関する。より詳細には、本発明は非接触式ロータ位置センサを用いることにより空気予熱器内の処理空気漏洩を最少にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば回転式空気予熱器と称されている空気予熱器は、熱を高温の気体流れ、例えばボイラを去る煙道ガスから1つの流れ又はそれ以上の流れの低温の気体流れ、例えばボイラに入る燃焼用空気流れに伝達する。熱は、空気予熱器のロータ内の再生式熱伝達表面を通して高温の気体流れから低温の気体流れに伝達される。再生式熱伝達表面は、高温の気体流れ及び低温の気体流れの両方を通るように連続して回転する。以下の説明において、高温の気体流れは煙道ガスと称され、一方低温の気体流れは燃焼用空気流れ又は空気流れと称される。
【0003】
再生式熱伝達表面が詰め込まれているロータは、仕切壁又は仕切板と称されている、複数の半径方向に延びている板により複数の区画室に分割されている。これらの区画室はバスケットを保持し、これらのバスケットの中に再生式熱伝達表面が収容されている。
【0004】
空気予熱器は、更に、複数のセクタ板により煙道ガス側通路と1つ又はそれ以上の空気側通路とに分割されている。温度の観点から、空気予熱器は、また、一般にホットエンド及びコールドエンドと称されている2つの領域に分割されているものと考えることができる。従来の回転式空気予熱器において、ホットエンドの領域は高温の煙道ガスが空気予熱器に入る軸端のほぼ付近のすべての固定及び回転要素の領域を意味する。コールドエンドの領域は、ホールドエンドとは反対側であって、低温の燃焼用空気が空気予熱器に入る軸端のほぼ付近の領域を意味する。一般的に設置される回転式空気予熱器においては、リジッド又はフレキシブルな半径方向シールがロータのホットエンド縁及びコールドエンド縁にそれらのそれぞれのホットエンド側セクタ板及びコールドエンド側セクト板に近接して取り付けられる。これらの半径方向シールは、煙道ガス流れへの空気の漏洩、及び更には複数の空気流れ間の漏洩を最少にするのに役立つ。同様に、仕切板の外側縁に取り付けられているリジッド又はフレキシブルな軸方向シールは、ハウジングの内面に取り付けられている軸方向シール板に近接して、それらの間の漏洩を最少にする。軸方向シール及び軸方向シール板は、空気予熱器のホットエンドとコールドエンドとの間のほぼ全体の領域に設けられている。
【0005】
一般的に設置される空気予熱器において、仕切板の数、セクタ板の幅及びシール板の幅は、いつでも、ひとつだけの半径方向シール及びひとつだけの軸方向シールがそれぞれのセクタ板及び軸方向シール板に近接して位置するようにされている。これらのシールは、近接シールであり、セクタ板又は軸方向シール板の密封面に接触するようには設計されていない。これらのシールは、実際に、一般的には、それらのそれぞれのセクタ板又は軸方向シール板に所定のクリアランスギャップを残して取り付けられる。コールドエンド側の半径方向シール及び軸方向シールの場合においては、クリアランスギャップはロータの仕切板の作動熱変形を生じせしめる、比較的大きな密封接触及び摩耗を除去するために用いられる。コールドエンド側の半径方向シール及び軸方向シールの両方において、ロータの仕切板の作動熱変形はこれらのシールをそれらのそれぞれのセクタ板及び軸方向シール板に接近させるように動かす傾向がある。したがって、設置時における所定の密封クリアランスギャップが一般に作動中に減少し、これらのシールにおける漏洩が受動的に最少とされる。ホットエンド側の軸方向シールの場合においては、ロータの仕切板の熱変形はこれらのシールの外側端をホットエンド側のセクタ板から離れるように動かす傾向がある。したがって、ロータの仕切板の熱変形はホットエンド側の軸方向シールを越えての漏洩を増大せしめ、その漏洩の量は空気流れとガス流れとの間の圧力差及びシールとセクタ板との間の熱による拡大したギャップに依存する。
【0006】
ホットエンド側の軸方向シールにおける漏洩を最少にするために、上述した外側端の漏洩ギャップを作動中に減少せしめることができる自動駆動式ホットエンド側セクタ板を使用することはしばしば利点がある。このような調節は、ホットエンド側のセクタ板の外側端の近くに設けた機械的駆動装置を使用することにより行なわれる。適当なオンライン調節を行うために、セクタ板にはしばしばロータ位置検出装置が取り付けられる。一般的に、検出装置は、機械的なリミットスイッチとセンサロッドとを包含し、セクタ板駆動装置と一緒に作動し、ロータの位置を決めるのにロータの検出面との瞬間接触を頼りにしている。ロータの検出面とホットエンド側の軸方向シールの縁との間の位置関係が一定であるとすれば、ロータの検出面を検出することによりセクタ板駆動装置をホットエンド側の半径方向シールの縁に接近して位置させることができる。このような方法によって、ホットエンド側の半径方向シールにおける漏洩を最少にすることができる。
【0007】
長い期間にわたって、検出装置がロータの検出面と接触することが繰り返されると、最終的には、リミットスイッチの故障又はセンサロッドの摩耗が生じることになる。そして、リミットスイッチの故障及びセンサの摩耗は頻繁なメンテナンスを必要とさせることとなる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によれば、回転可能なロータを有する固定ハウジングを包含する回転式空気予熱器が提供される。前記ロータは、気体の流入及び流出を許す、対向する両端を包含する。前記ロータは、複数の半径方向に延びている仕切板により複数のセクションに分割されている。前記空気予熱器は、また、複数のセクタ板を包含し、そのひとつのセクタ板が前記ロータの前記対向する両端の一方に関して密封関係である。フランジが、前記ロータに固着されて、前記ロータの前記対向する両端の少なくとも一方のまわりを周方向に延びている。前記空気予熱器は、更に、前記複数のセクタ板の少なくともひとつに取り付けられている検出装置を包含する。前記検出装置は、前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離を検出する。前記検出装置は、圧縮空気のジェットを前記フランジにさし向ける圧縮空気導管を包含し、また、第1のセンサと第2のセンサとを包含する。前記第1のセンサは、前記検出装置の内側の地点の圧力を検出する。前記第2のセンサは、前記検出装置の外側の地点の圧力を検出する。そして、前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離が前記第1のセンサと前記第2のセンサとの圧力測定の差により決められる。
【0009】
一実施形態において、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは前記検出装置から遠く離れて配置されて、複数の圧力タップからの静圧信号を受ける。前記複数の圧力タップは、圧縮空気を圧縮空気源から前記検出装置へ運ぶ外部の圧縮空気導管に設けられている第1の圧力タップを包含する。また、第2の圧力タップが、前記圧縮空気のジェットが前記フランジに放出される地点の付近で前記検出装置の前記圧縮空気導管に設けられている。更に、第3の圧力タップが内部ダクト圧を検出するダクトの壁に設けられている。
【0010】
一実施形態において、前記検出装置は、更に、前記第1の圧力タップの付近に設けられている温度センサを包含する。前記第1の圧力タップの出力は、前記第2のセンサに供給される。前記温度センサ及び前記第2のセンサの出力は圧縮空気の流量を計算するためにコントローラに供給される。前記第2の圧力タップ及び第3の圧力タップの出力は、前記第1のセンサに供給される。前記第1のセンサは、前記検出装置の前記圧縮空気導管内の圧縮空気と前記ダクト内の圧力との間の圧力差を検出する。前記第1のセンサの出力は、前記検出装置の前記圧縮空気導管内の前記圧縮空気と前記ダクト内の圧力差に基づいて前記ロータの位置を計算するために前記コントローラに供給される。
【0011】
一実施形態において、前記検出装置は、更に、前記圧縮空気導管に接続されているノズルを包含する。前記第2の圧力タップは、前記圧縮空気導管内の背圧を検出するために前記ノズルの付近に設けられている。一実施形態において、前記第1のセンサは差圧変換器から成り、また前記第2のセンサは絶対圧変換器から成る。
【0012】
本発明の他の態様によれば、回転式空気予熱器内の2つの地点間の距離を決める方法が提供される。前記方法は、圧縮空気のジェットをロータに固着されているフランジにさし向けることを包含する。前記フランジは、前記ロータの対向する両端の少なくとも一方のまわりに周方向に延びている。前記方法は、検出装置の内側の地点の第1の圧力を測定すること、前記検出装置の外側の地点の第2の圧力を測定すること、及び前記フランジと前記回転式空気予熱器の複数のセクタ板の少なくともひとつとの間の距離を決めることを包含する。前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離は、前記第1の圧力の測定と前記第2の圧力の測定との差により決められる。
【0013】
上述した及び他の特徴は、添付図面及び下記の説明により明らかになることを認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の特定の一実施形態により改装された空気予熱器を、一部分を切断して示す斜視図である。
【図2】図1の空気予熱器の一実施形態の概略平面図であって、非接触式位置センサを示す。
【図3】図2中の“図3”で示した部分を詳細に示す側面図であって、非接触式位置センサの一実施形態を示す。
【図4】図2の非接触式位置センサを詳細に示す図である。
【図4A】図4中の“図4”で示した部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、例示的な実施形態を示す図面を参照する。これらの図面において、同一の要素には同一の符号が付けられている。
【0016】
図1は、高温の気体流れ、例えば煙道ガス流れから熱を伝達することにより、低温の気体流れ、例えば燃焼用空気流れを予熱するために用いられている空気予熱器10を示す。空気予熱器10は固定ハウジング12を包含し、この固定ハウジング内にロータ14が取り付けられている。ロータ14は、熱を煙道ガスから燃焼用空気に伝達することができる蓄熱式質量体(図示せず)を収容する。ロータ14は、典型的には、中央軸線、例えば中央ポスト16のまわりを連続する方法で回転させられる。一実施形態において、ロータ14の回転は1分につき約1回転(1r.p.m.)である。ロータ14の回転により、熱を煙道ガスから燃焼用空気へ伝達することができる。ロータ14の回転は、矢印18により示されている。矢印18は図1において時計方向を示しているけれども、ロータ14は反時計方向へ回転することができるようにすることもできる。
【0017】
温度の観点から、空気予熱器10は一般にホットエンド24及びコールドエンド20と称されている2つの領域に分割されているものと考えることができる。ホットエンド24の領域は、高温の煙道ガスがガス入口ダクト26に入り(矢印38により示されている)また予熱された空気が空気出口ダクト34を出る(矢印36により示されている)、空気予熱器10の軸端のほぼ付近のすべての固定及び回転要素の領域を意味する。コールドエンド20の領域は、低温の燃焼用空気が空気予熱器10に空気入口ダクト22で入り(矢印32により示されている)また冷たくなった煙道ガスが煙道ガス出口ダクト40を出る(矢印42により示されている)、空気予熱器10の、ホットエンド24とは反対側の軸端のほぼ付近のすべての固定及び回転要素の領域を意味する。ロータ14のホットエンド24及びコールドエンド20の軸端面に隣接する面において、固定ハウジング12は気体の流れを通さない、上方及び下方の固定のセクタ板28の手段により分割されている。図1に示されているように、上方のセクタ板28はロータ14のホットエンド面30に取り付けられている。ホットエンド面30は、ホットエンドにおけるすべての半径方向シール43のシール縁を含む平面を意味する。同様に、コールドエンド面44はコールドエンドにおけるすべての半径方向シール(図示せず)のシール縁を含む平面を意味する。したがって、高温の気体、例えば、ボイラからの煙道ガスはガス入口ダクト26を通して空気予熱器10に入り(矢印38により示されている)、それからロータ14を通して流れ、ロータ14で熱が煙道ガスからロータ14内の蓄熱式質量体へ伝達される。冷たくなった煙道ガスは、それから、ガス出口ダクト40を通して空気予熱器10を出る(矢印42により示されている)。高温の気体とは向流する低温の気体流れ、例えば燃焼用空気は空気入口ダクト22を通して空気予熱器10に入り(矢印32により示されている)、それからロータ14を通して流れ、ロータ14で空気流れはロータ14から熱を取り上げて加熱される。加熱された空気は、それから、空気出口ダクト34を通して空気予熱器10を出る。
【0018】
ホットエンド側セクタ板28は、ロータ14のホットエンド面30に接近して取り付けられている。他のセクタ板(図示せず)が、ロータ14のコールドエンド面44に接近して取り付けられている。ロータ14の対向する両端、すなわち、ホットエンド面30及びコールドエンド面44は煙道ガス及び燃焼用空気の流入及び流出を許す。他方、セクタ板28は、複数のロータ仕切板48、ホットエンド側半径方向シール43及びコールドエンド側半径方向シール(図示せず)と一緒に、ロータ内に煙道ガス側通路と燃焼用空気側通路とを分離して作るようにしている。セクタ板28は、もしセクタ板28とホットエンド面30及びコールドエンド面44との間の隙間を少なく維持することができるならば、煙道ガス流れへの燃焼用空気の漏洩を良好に減少せしめる。
【0019】
図1及び図2に示されているように、ロータ14は半径方向に延びている複数の仕切板48及び半径方向シール43(半径方向シール43の縁が図2に示されている)によって複数のセクション又はセクタ46に分割されている。セクタ板28の外側端は、検出装置49により案内される。一実施形態において、図2に示されているように、セクタ板28の外側端は複数の検出装置49(例えば、図示されている2つの検出装置)により案内される。図2に示されているように、検出装置49は、ホットエンド側セクタ板28の、符号28aで総括的に示されている外側端に取り付けられている。一実施形態において、後述するセクタ板駆動装置が、セクタ板28を実質的に水平の平面に維持しながら、セクタ板28の外側端28aの全体を動かす。図2は2つの検出装置を示しているが、任意の数の検出装置を用いることができるものであり、これには、限定されるものではないが、単一の検出装置も含まれる。検出装置の数は空気予熱器10が設置される適用に基づいて変えることができる。また、検出装置49がセクタ板28の外側端28aに取り付けられていることが示されているけれども、検出装置49はセクタ板28の内側端に取り付けることができることを認識すべきである。
【0020】
図3に示されているように、一実施形態において、検出装置49はスリーブ又はチューブ50を包含し、スリーブ50は対向する両端、すなわち、第1の端50aと第2の端50bとを有する。一実施形態において、検出装置49はその第1の端50aに接続した空気源51を包含する。空気源51は、高圧空気の流れを生じせしめることができる任意の装置とすることができる。空気源51は、例えば、限定されるものではないが、空気圧縮機又は同種の装置から成る。一実施形態において、空気源51は空気予熱器10が設置される設備の現場に存在する。そして、例えば、パイプ,ホース又は同種の導管がこの空気源51を検出装置49に接続する。一実施形態において、圧縮空気の流量は、空気が一定直径の小さなオリフィス(後述する制御オリフィス80)を通過することにより、音速で制御される。この方法において、圧縮空気の流量は制御される。なぜなら、固定オリフィスを去る空気の速度は空気中の音の速度(すなわち、チョークドフロー)を越えることができないからである。この状態を成し遂げるために必要とされる最小オリフィス空気圧比は、おおよそ、次のとおりである。
【0021】
beforeorifice(オリフィス前の圧力)/Pafterorifice(オリフィス後の圧力)=1.90
【0022】
1.90よりも大きい比は、音速を越えるオリフィス速度を生じせしめることができない。したがって、当業者には認識することができるように、圧縮空気は上記比が安全の適当な余裕だけ越えることを許すような圧力でオリフィス空気に供給される。
【0023】
図3に示されているように、検出装置49のスリーブ50は圧縮空気導管54を収容する。圧縮空気導管54は、スリーブ50の第1の端50aから第2の端50bにまで延び、ノズル52を通して第2の端50bに接続されている。圧縮空気導管54は、圧縮空気のジェット又は流れをスリーブ50の第1の端50aにおける空気源51からスリーブ50の第2の端50bにさし向ける。図3に示されているように、圧縮空気のジェットはノズル52を通してフランジ56にさし向けさせられる。一実施形態において、圧縮空気のジェットは圧縮空気導管54を通して一定の連続する流量でさし向けられる。他の実施形態において、圧縮空気のジェットは断続的とすることができる。一実施形態において、検出中における圧縮空気導管を通しての圧縮空気の流量は1分につき約50標準立方フート(50scfm)である。一実施形態において、50scfmでの空気の連続供給が行われる。他の実施形態において、圧力タップからの断続的又は連続的なパージングが行われ、これにより、ノズル52及び圧縮空気導管54が汚染物質、例えばフライアッシュによって詰まることがなくなる。
【0024】
図2及び図3に示されているように、検出装置49は非接触式位置検出を行うようにフランジ56と相互作用する。フランジ56は、ロータ14の頂部及び底部、すなわち、ホットエンド面30及びコールドエンド面44に沿ってそれぞれロータ14のまわりを周方向に延びている。フランジ56、セクタ板28、ロータ14及び検出装置49間の関係は図3、図4及び図4Aにより一層詳細に示されている。
【0025】
図3及び図4Aに示されているように、検出装置49はセクタ板28に例えばセンサ取付けブラケット58により取り付けられている。検出装置49は、フランジ56、セクタ46又は仕切板48のいずれの部分にも接触していない。検出装置49とフランジ56との接触の軽減又は排除は、空気予熱器10のこの部分において生じられる摩耗及び裂け傷を減少又は実質的に排除せしめ、これにより、空気予熱器10に必要とされるメンテナンスの量を減少せしめる。一実施形態において、図4に示されているように、検出装置49は第1のセンサ60と第2のセンサ70とを包含する。これらのセンサは、例えば、限定されるものではないが、圧力変換器又は同種の変換器、例えば、差圧変換器(DPT)及び絶対圧変換器(APT)から成る。図4に示されているように、第1のセンサ60及び第2のセンサ70は、これらのセンサ及び後述する支持ハードウエアを過酷な作動状態、例えば、高温及び/又は汚染物質、例えばフライアッシュから保護するために、検出装置49のスリーブ50及びノズル52から遠く離して配置することができる。
【0026】
図4に示されているように、第1のセンサ60及び第2のセンサ70は複数の圧力タップからの静圧信号を受ける。すなわち、第1の圧力タップ72は、圧縮空気源51からの圧縮空気を運ぶ導管に設けられている。第1の圧力タップ72は、流量制御オリフィス80の上流に設けられている。上述したように、流量制御オリフィス80は、圧縮空気が圧縮空気源51から検出装置49へ通過するときの圧縮空気の流量を制御する(例えば、上述した最小オリフィス空気圧力比を維持する)。第1の圧力タップ72の出力は、第2のセンサ70に供給される。温度センサ(TE)74が、第1の圧力タップ72の付近に設けられている。第2のセンサ70及び温度センサ74の出力信号は、コントローラ、例えばプログラマブル論理コントローラ(PLC)90に供給される。PLC90は、第2のセンサ70及び温度センサ74からの出力から圧縮空気の流量を計算する。第2の圧力タップ76は、センサスリーブ50の第2の端50bにおけるノズル52の近くでスリーブ50に設けられて、圧縮空気導管54内の圧力を測定する。第3の圧力タップ78は、ダクト、例えば空気出口ダクト34(図1)の外壁に設けられて、検出装置49と同じ側(すなわち、ホット側又はコールド側)の内部ダクト圧を測定する。第2の圧力タップ76及び第3の圧力タップ78からの出力信号は、第1のセンサ60に供給される。第1のセンサ60は、センサスリーブ50の圧縮空気導管54内の圧縮空気と空気出口ダクト34(図1)内の圧力との間の圧力差を検出する。第1のセンサ60の出力は、PLC90へ供給される。PLC90は、センサスリーブ50の圧縮空気導管54内の圧縮空気と空気出口ダクト34内の圧力との間の圧力差に基づいてロータ14の位置を決める。
【0027】
圧縮空気導管54及びノズル52からフランジ56にさし向けられた空気流れの一部分は、この空気流れがフランジ56の一部分に衝突した後に、圧縮空気導管54内に偏向して戻る(これは、しばしば、“背圧”と称されている)ことを認識すべきである。セクタ板28とフランジ56との間の距離が変化(すなわち、増大又は減少)すると、フランジ56から圧縮空気導管54内に偏向して戻る空気の量は変化する。すなわち、フランジ56とセクタ板28との間の距離が増大したときには、第2の圧力タップ76により測定される背圧は減少する。逆に、フランジ56とセクタ板28との間の距離が減少したときには、第2の圧力タップ76により測定される背圧は増大する。したがって、セクタ板28とフランジ56との間の距離は、センサスリーブ50の圧縮空気導管54内の圧力測定と空気出口ダクト34内の圧力測定との間の圧力差に関連させられる。これらの圧力測定は、フランジ56に関してのセクタ板28の位置を決定するための非接触式センサとして利用される。
【0028】
例えば、一実施形態において、PLC90は、圧力差を判断して位置情報を決め、それから、漏洩隙間及び/又はロータ密封角度100を調節して半径方向密封漏洩を最少にするためにセクタ板駆動装置(図示せず)に適当な命令を与える。
【0029】
以上本発明を種々の例示的な実施形態でもって詳述してきたけれども、当業者にとっては、本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の変形を行うことができると共に、種々の等価物をその要素に代えることができることを理解されよう。更に、多くの変形が、本発明の本質的な範囲を逸脱することなしに、本発明の教示に対して特定の形態を工夫するために行うことができるものである。したがって、本発明は、本発明を実施するように意図した最良の形態として述べた特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲の記載の範囲内にあるすべての実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式空気予熱器において、
固定ハウジングであって、その中に設けた回転可能なロータを有し、前記ロータが気体の流入及び流出を許す、対向する両端を有し、かつ前記ロータが複数の半径方向に延びている仕切板により複数のセクションに分割されている、固定ハウジングと、
複数のセクタ板であって、そのひとつのセクタ板が前記ロータの前記対向する両端の一方に関して密封関係である、複数のセクタ板と、
前記ロータに固着されて、前記ロータの前記対向する両端の少なくとも一方のまわりを周方向に延びているフランジと、
前記複数のセクタ板の少なくともひとつに取り付けられて、前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離を検出する検出装置と、
を包含し、前記検出装置が、
圧縮空気のジェットを前記フランジにさし向ける圧縮空気導管と、
前記検出装置の内側の地点の圧力を検出する第1のセンサと、
前記検出装置の外側の地点の圧力を検出する第2のセンサと、
を包含し、前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離が前記第1のセンサと前記第2のセンサとの圧力測定の差により決められるようにした回転式空気予熱器。
【請求項2】
請求項1記載の回転式空気予熱器において、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが前記検出装置から遠く離れて配置されて、複数の圧力タップからの静圧信号を受けるようにした回転式空気予熱器。
【請求項3】
請求項2記載の回転式空気予熱器において、前記複数の圧力タップが、圧縮空気を圧縮空気源から前記検出装置へ運ぶ外部の圧縮空気導管に設けられている第1の圧力タップと、前記圧縮空気のジェットが前記フランジに放出される地点の付近で前記検出装置の前記圧縮空気導管に設けられている第2の圧力タップと、内部ダクト圧を測定するダクトの壁に設けられている第3の圧力タップとを包含している回転式空気予熱器。
【請求項4】
請求項3記載の回転式空気予熱器において、更に、前記第1の圧力タップの付近に設けられている温度センサを包含し、前記第1の圧力タップの出力が前記第2のセンサに供給され、また前記温度センサ及び前記第2のセンサの出力が圧縮空気の流量を計算するためにコントローラに供給されるようにした回転式空気予熱器。
【請求項5】
請求項4記載の回転式空気予熱器において、前記第2の圧力タップ及び前記第3の圧力タップの出力が前記第1のセンサに供給され、前記第1のセンサが前記検出装置の前記圧縮空気導管内の前記圧縮空気と前記ダクト内の前記圧力との間の圧力差を検出し、前記第1のセンサの前記出力が前記検出装置の前記圧縮空気導管内の前記圧縮空気と前記ダクト内の前記圧力との間の圧力差に基づいて前記ロータの位置を計算するために前記コントローラに供給されるようにした回転式空気予熱器。
【請求項6】
請求項1記載の回転式空気予熱器において、前記検出装置が更に前記圧縮空気導管に接続されているノズルを包含している回転式空気予熱器。
【請求項7】
請求項6記載の回転式空気予熱器において、前記第2の圧力タップが前記圧縮空気導管内の背圧を検出するために前記ノズルの付近に設けられている回転式空気予熱器。
【請求項8】
請求項1記載の回転式空気予熱器において、前記第1のセンサが差圧変換器から成っている回転式空気予熱器。
【請求項9】
請求項1記載の回転式空気予熱器において、前記第2のセンサが絶対圧変換器から成っている回転式空気予熱器。
【請求項10】
回転式空気予熱器内の2つの地点間の距離を決める方法において、
圧縮空気のジェットを、ロータに固着されて前記ロータの対向する両端の少なくとも一方のまわりに周方向に延びているフランジにさし向けること、
検出装置の内側の地点の第1の圧力を測定すること、
前記検出装置の外側の地点の第2の圧力を測定すること、及び
前記フランジと前記回転式空気予熱器の複数のセクタ板の少なくともひとつとの間の距離を決めること、
を包含し、前記少なくともひとつのセクタ板と前記フランジとの間の距離が前記第1の圧力の測定と前記第2の圧力の測定との差により決められるようにした方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記圧縮空気のジェットが連続して前記フランジにさし向けられるようにした方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、前記圧縮空気のジェットが断続的に前記フランジにさし向けられるようにした方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、前記第1の圧力が少なくとも前記検出装置内にて測定される背圧である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【公表番号】特表2013−504738(P2013−504738A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528799(P2012−528799)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044260
【国際公開番号】WO2011/031393
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】