説明

空気入りタイヤ

【課題】タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部を大きくすることなく、タイヤサイド部の変形による凹部の過度な変形を抑制すること。
【解決手段】タイヤサイド部24に形成され表面24Aからの深さで該タイヤサイド部24の摩耗状態を示す凹部30と、凹部30内に配設され該凹部30の互いに対向する側壁部同士を連結する連結部40と、をタイヤ10が有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤサイド部に、タイヤサイド部の表面からの深さで該タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部を形成した空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやバスなどに用いられる空気入りタイヤの中には、タイヤサイド部に、表面からの深さで該タイヤサイド部の摩耗状態(摩耗の進行度合い)を示す凹部を形成したものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、タイヤサイド部にリング状の凹部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−129808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空気入りタイヤでは、タイヤサイド部に形成する凹部をリング状にして該凹部の曲率半径を大きくしている。これにより、タイヤ転動時にタイヤサイド部の変形によって生じる凹部への応力集中が緩和され、凹部の過度な変形が抑制されている。しかし、凹部の曲率半径を大きくし過ぎると、凹部が大型となり、タイヤサイド部の美観が損なわれ、タイヤサイド部表面の意匠の設計自由度が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部を大きくすることなく、タイヤサイド部の変形による凹部の過度な変形を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の空気入りタイヤは、タイヤサイド部に形成され、前記タイヤサイド部の表面からの深さで前記タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部と、前記凹部内に配設され、前記凹部の互いに対向する側壁部同士を連結する連結部と、を有する。
【0008】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、タイヤサイド部の摩耗が進行すると、凹部の深さが浅くなるため、タイヤサイド部の摩耗状態(摩耗の進行度合い)を把握することができる。
【0009】
また、タイヤ転動時には、タイヤサイド部のタイヤ接地部分に対応する部位が変形する。このタイヤサイド部の変形にともない凹部も変形しようとするが、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、凹部の互いに対向する側壁部同士を連結部で連結していることから、この連結部が補強となり、凹部の変形が抑制される。これにより、上記空気入りタイヤは、例えば、凹部に連結部を配設しないものと比べて、タイヤサイド部の変形による凹部の過度な変形を抑制することができる。
【0010】
以上、請求項1に記載の空気入りタイヤによれば、凹部を大きくすることなく、タイヤサイド部の変形にともなう凹部の過度な変形を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の空気入りタイヤは、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、前記凹部の開口縁部よりも低い位置に配置されている。
【0012】
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、連結部を凹部の開口縁部よりも低い位置に配置していることから、使用初期の段階で、連結部が例えば、縁石などの路面上の突起物に接触して不具合を生じるのを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の空気入りタイヤは、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、前記凹部の互いに対向するタイヤ径方向内側の側壁部とタイヤ径方向外側の側壁部とを連結する。
【0014】
ところで、タイヤ転動時には、荷重によりタイヤ接地部分が路面に沿ってタイヤ前後方向(タイヤ進行方向の前後)に広がるように変形する。このとき、タイヤサイド部は、リムに組み付けられるビード側(タイヤ径方向内側)に対してトレッド側(タイヤ径方向外側)がタイヤ前後方向に広がり、タイヤ径方向内側とタイヤ径方向外側とがタイヤ前後方向に互いに逆向きにずれるように変形(せん断変形)する。
このタイヤサイド部の変形にともない凹部もタイヤ径方向内側の側壁部とタイヤ径方向外側の側壁部がタイヤ前後方向に互いに逆向きにずれようとするが、請求項3に記載の空気入りタイヤでは、タイヤサイド部のタイヤ径方向内側の側壁部とタイヤ径方向外側の側壁部とを連結部で連結していることから、この連結部が補強となり、凹部の変形が抑制される。
【0015】
本発明の請求項4に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、前記凹部の底部及び前記側壁部にそれぞれ接続固定されている。
【0016】
請求項4に記載の空気入りタイヤでは、連結部を凹部の底部及び凹部の側壁部にそれぞれ接続固定(接続すると共に固定)していることから、例えば、凹部の底部及び凹部の側壁部にそれぞれ接続固定していないものと比べて、連結部の剛性が上昇し、連結部による凹部の変形を抑制する効果が向上する。
【0017】
本発明の請求項5に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部と前記側壁部との接続部の少なくとも一部が、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って延びて前記凹部の中心を通る直線に対して±30度で傾斜する一対の傾斜線で囲まれる領域内に配置されている。
【0018】
請求項5に記載の空気入りタイヤでは、連結部と側壁部との接続部の少なくとも一部を、タイヤ側面視で上記一対の傾斜線で囲まれる領域内に配置していることから、例えば、上記接続部全体を一対の傾斜線で囲まれる領域の外に配置するものと比べて、連結部による凹部の変形を抑制する効果がさらに向上する。
【0019】
本発明の請求項6に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、タイヤ側面視で直線状に延びている。
【0020】
請求項6に記載の空気入りタイヤでは、タイヤ側面視で連結部を直線状に延ばしていることから、例えば、連結部を湾曲させながら延ばしているものと比べて、連結部の延在方向の剛性を向上させることができる。これにより、連結部による凹部の変形を抑制する効果がさらに向上する。
【0021】
本発明の請求項7に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って前記凹部の中心を通る直線に対して左右対称となるように複数配設されている。
【0022】
請求項7に記載の空気入りタイヤでは、連結部を、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って凹部の中心を通る直線に対して左右対称となるように複数配設していることから、例えば、連結部を上記直線に対して片側のみに配設するものや、連結部を上記直線に対して左右対称とならないように複数配設したものと比べて、タイヤの前進及び後進時における凹部の変形を同じ様に抑制することができる。
【0023】
本発明の請求項8に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って前記凹部の中心を通る直線に対して互いに逆向きに傾斜し且つ交差するように一対配設されている。
【0024】
請求項8に記載の空気入りタイヤでは、連結部を、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って凹部の中心を通る直線に対して互いに逆向きに傾斜し且つ交差するように一対配設していることから、上記直線に対して傾斜する方向の入力(主に引張力)に対してどちらか一方の連結部の補強効果が高まるため、連結部による凹部の変形を抑制する効果がさらに向上する。
【0025】
本発明の請求項9に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部は、前記凹部の底部に向って幅が次第に広くなっている。
【0026】
請求項9に記載の空気入りタイヤでは、連結部の幅を凹部の底面に向って次第に広くしていることから、タイヤサイド部と共に連結部が摩耗すると、該連結部の幅が広くなり、連結部の剛性が向上する。これにより、摩耗の進行により厚みが薄くなって変形し易くなるタイヤサイド部に対して凹部の変形を効果的に抑制しつづけることができる。
なお、ここでいう「連結部の幅」とは、連結部の延在方向に対して直交する方向の長さである。
【0027】
本発明の請求項10に記載の空気入りタイヤは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記連結部の上面は、前記凹部の深さの半分の位置または該位置よりも高い位置に配置されている。
【0028】
請求項10に記載の空気入りタイヤでは、連結部の上面を凹部の深さの半分の位置または該位置よりも高い位置に配置していることから、例えば、半分の位置よりも低い位置に配置したものと比べて、凹部の開口縁部の変形を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明は、タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部を大きくすることなく、タイヤサイド部の変形による凹部の過度な変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)第1実施形態の空気入りタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面の半部を示す半部断面図である。(B)図1(A)の矢印1B近傍の拡大図である。
【図2】第1実施形態の空気入りタイヤの側面図である。
【図3】図2の空気入りタイヤが車両の重量を支持して接地部分及びその周辺が変形している状態を示す、空気入りタイヤの側面図である。
【図4】矢印4X近傍を展開し拡大した展開平面図である。
【図5】第1実施形態の空気入りタイヤのタイヤサイド部に形成された凹部の斜視図である。
【図6】図5の凹部周辺を示す、タイヤサイド部表面の展開平面図である。
【図7】図6の7X−7X線断面図である。
【図8】図6の8X−8X線断面図である。
【図9】第2実施形態の空気入りタイヤのタイヤサイド部に形成された凹部の斜視図である。
【図10】図9の凹部周辺を示す、タイヤサイド部表面の展開平面図である。
【図11】図10の11X−11X線断面図である。
【図12】図10の12X−12X線断面図である。
【図13】第3実施形態の空気入りタイヤのタイヤサイド部に形成された凹部の斜視図である。
【図14】図13の凹部周辺を示す、タイヤサイド部表面の展開平面図である。
【図15】図14の15X−15X線断面図である。
【図16】図14の16X−16X線断面図である。
【図17】第3実施形態の連結部の変形例を示し、この変形例の凹部周辺を示す、タイヤサイド部表面の展開平面図である。
【図18】第1実施形態の連結部の変形例を示す、凹部のタイヤ幅方向に沿った断面図である。
【図19】第4実施形態の空気入りタイヤのタイヤサイド部に形成された連結部を延在方向と直交する方向に沿って切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤについて図1〜図8を参照しながら説明する。なお、第1実施形態に係る空気入りタイヤは、主にトラックやバスなどに用いられる重荷重用の空気入りタイヤである。なお、図中の矢印Wはタイヤ幅方向を示し、符号CLはタイヤ赤道面を示している。
【0032】
図1(A)に示すように、第1実施形態に係る空気入りタイヤ10(以下、単に「タイヤ10」と記載する。)は、従来一般の空気入りタイヤと同様に、左右一対のビード部12(図1(A)では、片側のビード部12のみ図示)と、これら一対のビード部12内にそれぞれ埋設された一対のビードコア14と、一対のビードコア14間をトロイド状に延びるカーカス層16と、このカーカス層16のタイヤ径方向外側に設けられるベルト層18と、このベルト層18のタイヤ径方向外側に設けられるトレッド部20と、ビード部12とトレッド部20とを連結するタイヤサイド部24と、を備えている。
【0033】
カーカス層16は、1枚または複数枚のカーカスプライによって構成されている。このカーカスプライは、複数本のコード(例えば、有機繊維コードや金属コードなど)を被覆ゴムで被覆して形成され、端部側がビードコア14周りにタイヤ内側からタイヤ外側へ折り返されている。
【0034】
ベルト層18は、1枚または複数枚のベルトプライによって構成されている。このベルトプライは、複数本のコード(例えば、有機繊維コードや金属コードなど)を被覆ゴムで被覆して形成されている。
【0035】
トレッド部20には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝22が形成されている。また、図示しないが、トレッド部20には、タイヤ周方向に対して交差する方向に延びる溝が複数形成されている。
【0036】
図1(A)に示すように、タイヤサイド部24には、タイヤ内側に向って凹む凹部30が形成されている。この凹部30は、タイヤサイド部24の表面24Aに開口し、該表面24Aからの深さでタイヤサイド部24の摩耗状態(摩耗の進行度合い)を示すものである。なお、凹部30は、カーカスプライのコードからタイヤサイド部24の表面24Aまでのゴム厚みを示すものであると言い換えることもできる。このため、本実施形態では、図1(B)に示すタイヤ幅方向断面において、凹部30を、カーカスプライのコードに立てた垂線PL上に凹部30の開口30Aの中心及び最深部30Dが位置するように形成している。
【0037】
また、図1(B)に示すように、凹部30の深さ方向(図1(B)及び図7の矢印Dで示される方向)は、開口30Aの中心から垂線PLに沿って最深部30Dに向う方向である。
【0038】
なお、本実施形態では、凹部30の最深部30Dの位置をタイヤサイド部24の摩耗限界に設定している。
【0039】
図6に示すように、凹部30の開口30Aの形状(以下、適宜「開口形状」と記載する。)は、タイヤサイド部24の表面24Aの展開平面(以下では、単に「サイド展開平面」と記載する。)において、タイヤ径方向に沿って凹部30の中心CPを通る直線XLに対して左右対称で且つ、中心CP上で直線XLに対して直交する直交線YLに対して左右対称となる形状とされている。
【0040】
本実施形態では、凹部30の開口形状を円形としている。しかし、本発明の凹部の開口形状は、円形に限定されるものではなく、サイド展開平面において直線XLに対して左右対称で且つ直交線YLに対して左右対称であれば、どのような形状でもよく、例えば、楕円形や角部が円弧状に湾曲した多角形などとしてもよい。
【0041】
なお、タイヤサイド部24に形成された凹部30の中心CPは、タイヤ側面視においてもサイド展開平面においても同じ中心位置となる。このため、本実施形態の説明では、サイド展開平面を用いるが、タイヤ側面視と言い換えても構わない。
【0042】
また、凹部30の開口30Aの面積(開口面積)は、100〜600mmに設定することが好ましい。これは、開口30Aの面積が、100mmよりも小さいと、凹部30の視認性が低下する傾向があり、600mmを超えると、例えば、縁石の角や、路面上の突起物の先端などが開口30Aを通り抜けて底部34に衝突しやすくなり、底部34が損傷する懸念があるからである。
【0043】
また、図5に示すように、凹部30は半球状に形成されている。すなわち、図7、図8に示すように、凹部30は、側壁部32と底部34とが深さ方向に向って連続して湾曲した湾曲部によって構成されている。この湾曲部は、凹部30の開口30A上の中心CPを中心として曲率半径が一定とされている。
ここで、本実施形態では、上記湾曲部を、凹部30の深さ方向の半分の位置HPより下側を底部34とし、位置HPから開口30Aの縁部(以下、適宜「開口縁部」と記載する。)までを側壁部32としている。
なお、凹部30の内側においては、凹部30の深さ方向の浅い側を上側(高い側)、深い側を下側(低い側)として説明する。
【0044】
図7、図8に示すように、本実施形態では、凹部30の開口30Aの縁部を、上側に向って開口面積が広がるように円弧状に湾曲させている。これにより、後述するタイヤサイド部24の変形による凹部30の開口縁部への応力集中を緩和することができる。
なお、凹部30の開口縁部は、上側に向って開口面積が広がるように直線状に傾斜させても上記のように開口縁部への応力集中を緩和する効果が得られる。
【0045】
図1(A)に示すように、凹部30の開口30Aの少なくとも一部は、トレッド端20Eからタイヤ最大幅部26までの領域S1内に配置されている。この構成により、タイヤサイド部24の例えば、縁石などと接触しやすい領域S1の摩耗状態を精度よく把握することができる。
【0046】
なお、前記した「トレッド端20E」とは、トレッド部20の表面(所謂、トレッド踏面)のタイヤ幅方向外側の端部を指している。
また、前記した「タイヤ最大幅部」とは、JATMAに規定されたリムに組付けられ、内圧がJATMAに規定された規定内圧に設定されたタイヤ10の、無負荷時においてタイヤ幅方向に沿って計測した距離が最大となる部分を指している。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
【0047】
また、凹部30の開口30Aは、ベルト層18を構成する最内層のベルトプライ18Aの端部からタイヤ幅方向に沿って延ばした延長線EL(図1(A)では一点鎖線で示す)と表面24Aとの交点Mからタイヤ最大幅部26までの領域S2内に配置されることが好ましい。これは、タイヤサイド部24の領域S2内は、カーカスプライのコードからのゴム厚みがトレッド部20側と比べて薄いため、この領域S2内に開口するように凹部30を形成することでタイヤサイド部24の摩耗状態を精度よく把握することができ、適切な時期にタイヤ10の交換または更生を行うことができるようになるためである。
【0048】
なお、本実施形態の凹部30は、図1(A)に示すように、タイヤサイド部24に形成され、領域S2内に開口している。
【0049】
図2に示すように、凹部30は、タイヤ周方向に間隔(本実施形態では、一定間隔)をあけて複数(本実施形態では4つ、好ましくは3〜4つ)形成されている。なお、凹部30は、タイヤサイド部24に一つのみ形成する構成であってもよいが、タイヤサイド部24にタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成する構成とすることで、タイヤサイド部24のタイヤ周方向の摩耗状態を把握することができる。
【0050】
図1(B)及び図5に示すように、凹部30内には、本発明の連結部の一例としてのタイバーである連結部40が配設されている。この連結部40は、凹部30の互いに対向するタイヤ径方向内側の内側壁部32Aとタイヤ径方向外側の外側壁部32Bとを連結している。
【0051】
具体的に説明すると、連結部40は、サイド展開平面において、凹部30の中心CPを通る前述の直交線YLを境界としてタイヤ径方向内側の側壁部32である内側壁部32Aからタイヤ径方向外側の側壁部32である外側壁部32Bへ延びて両側壁部を連結している。
なお、本発明はこの構成に限定されず、例えば、連結部40が直交線YLに沿って延びて互いに対向する一方の側壁部32と他方の側壁部32とを連結する構成であってもよい。
【0052】
また、連結部40は、底部34と側壁部32(内側壁部32A及び外側壁部32B)にそれぞれ接続固定されている。
【0053】
また、連結部40を構成するゴムは、タイヤサイド部24を構成するゴムと同じゴム、またはタイヤサイド部24よりも摩耗しやすいゴムを用いることが好ましい。このように連結部40を構成するゴムを設定することで、タイヤサイド部24の摩耗に合せて連結部40を摩耗させることができる。これにより、タイヤサイド部24が連結部40よりも先に摩耗して残った連結部40が開口30Aからタイヤ外側に張り出し、例えば、縁石などとの接触により連結部40が損傷するなどの不具合が生じるのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、連結部40を構成するゴムとタイヤサイド部24を構成するゴムを同じゴムとしている。
【0054】
また、連結部40は、タイヤ10の加硫工程において、凹部30と共にタイヤサイド部24に一体形成されている。なお、本発明はこの構成に限定されず、連結部40は、凹部30内に配設されれば、どのような方法で形成されてもよい。例えば、タイヤ10の加硫工程において、タイヤサイド部24に凹部30を成形し、その後、別部材として成形した連結部40を、両端部40Aを凹部30の内側壁部32A及び外側壁部32Bにそれぞれ接着剤で接着、または加硫接着して、凹部30内に連結部40を配設する構成としてもよい。この場合には、図18に示すように、別部材として成形したゴム製(連結部40と同じゴム)の連結部90(本発明の連結部の一例)を内側壁部32Aから外側壁部32Bへ掛け渡すように両端部90Aを各凹壁部にそれぞれ接着剤で接着または加硫接着して、連結部90と底部34との間に隙間を形成した状態で凹部30内に連結部90を配設することができる。また、連結部90は、タイヤサイド部24のゴムと同じ摩耗速度またはタイヤサイド部24のゴムよりも摩耗しやすければ、ゴム以外の弾性材料(例えば、熱可塑性エラストマーなど)で形成してもよい
【0055】
図6に示すように、連結部40は、サイド展開平面において、側壁部32との接続部(すなわち、連結部40の延在方向の端部40A)の少なくとも一部が、直線XLに対して±30度で傾斜する一対の傾斜線KLで囲まれる領域T内に配置されている。
【0056】
また、図6に示すように、連結部40は、サイド展開平面において、直線XLに沿って直線状に延びている。なお、本実施形態では、凹部30内に連結部40が一本のみ配設されている。
【0057】
図7、図8に示すように、連結部40の上面40Bは、凹部30の深さの半分の位置HPまたは位置HPよりも高い位置に配置されている。また、本実施形態では、連結部40の上面40Bは、凹部30の開口30Aの縁部よりも低い位置に配置されている。
なお、本発明はこの構成に限定されず、連結部40の上面40Bは、凹部30の開口縁部と同じ高さ(同じ位置)、言い換えれば、表面24Aから連続する構成としてもよい。
【0058】
図5、図6に示すように、連結部40は、幅W1が延在方向に一定且つ深さ方向に一定とされている。この幅W1は、凹部30の開口30Aの最大幅(直径)W2の13〜34%に設定されている。例えば、幅W1が幅W2の13%未満の場合には、連結部40の後述する凹部30の変形を抑制する効果が十分に得られない虞があり、34%を超えている場合には、凹部30の摩耗状態を目視で把握し難くなる、すなわち、凹部30の視認性が低下する虞がある。従って、連結部40の幅W1は、開口30Aの最大幅W2の13〜34%に設定することが好ましい。
【0059】
次に、タイヤ10の作用効果について説明する。
タイヤ10では、タイヤサイド部24の摩耗が進行すると、凹部30の深さが浅くなるため、タイヤサイド部24の摩耗状態(摩耗の進行度合い)を把握することができる。また、タイヤサイド部24の領域S1に凹部30の開口30Aの少なくとも一部を配置していることから、タイヤサイド部24の他の部位よりも摩耗しやすい部分の摩耗状態を精度よく把握することができる。
さらに、本実施形態では、タイヤサイド部24の領域S2内に凹部30の開口30Aを配置していることから、タイヤサイド部24の中でも摩耗状態の把握が重要視される部分の摩耗状態を精度よく把握することができ、適切な時期にタイヤ10の交換や更生を行なうことができる。
【0060】
また、タイヤ転動時には、タイヤサイド部24のタイヤ接地部分に対応する部位が変形する。このタイヤサイド部24の変形にともない凹部30も変形しようとするが、タイヤ10では、凹部30の互いに対向する内側壁部32Aと外側壁部32B同士を連結部40で連結していることから、この連結部40が補強となり、凹部30の変形が抑制される。このようにして、タイヤ10は、タイヤサイド部24の変形による凹部30の過度な変形を抑制することができる。
【0061】
さらに、具体的に説明すると、図3に示すように、荷重作用時(例えば、タイヤ転動時など)には、タイヤ10の接地部分が路面に沿ってタイヤ前後方向(タイヤ進行方向の前後)に広がるように変形する。特に、本実施形態のタイヤ10は、トラックやバスなどに用いられるため、乗用車用のタイヤなどと比べて、作用する荷重が大きく、上記接地部分がタイヤ前後方向に広がりやすい。このとき、タイヤサイド部24は、リムに組み付けられて拘束されるビード部12側(タイヤ径方向内側)に対して路面に接地するトレッド部20側(タイヤ径方向外側)がタイヤ前後方向に広がり、タイヤ径方向内側とタイヤ径方向外側がタイヤ前後方向に互いに逆向きにずれるように変形(せん断変形)する。
このタイヤサイド部24の変形にともない凹部30の内側壁部32Aと外側壁部32Bがタイヤ前後方向に互いに逆向きにずれようとするが、タイヤ10では、内側壁部32Aと内側壁部32Aとを連結部40で連結していることから、この連結部40が補強となり凹部30の変形が抑制される(図4参照)。
【0062】
これにより、凹部30の開口30Aを大きくすることなく、タイヤサイド部24の変形による凹部30の過度な変形を抑制することができる。また、凹部30の開口30Aを大きくする必要がないため、タイヤサイド部24の美観が損なわれず、タイヤサイド部24の表面24Aの意匠の設計自由度の低下が抑制される。
【0063】
また、タイヤ10では、連結部40と側壁部32との接続部(連結部40の端部40A)の少なくとも一部を、サイド展開平面において、中心CPから直線XLに対して±30度で傾斜する一対の傾斜線KLで囲まれる領域T内に配置している。これにより、連結部40による凹部30の変形を抑制する効果がさらに向上する。
【0064】
一方、本実施形態のタイヤ10では、連結部40を構成するゴムを、タイヤサイド部24を構成するゴムと同じゴムとしていることから、上記引張力に対して連結部40が多少の変形をするため、連結部40と側壁部32及び底部34との間(接続部分)に応力が集中するのを抑制することができる。
【0065】
また、タイヤ10では、連結部40を凹部30の開口縁部よりも低い位置に配置していることから、使用初期の段階で、連結部40が例えば、縁石などの路面上の突起物に接触して不具合を生じるのを抑制することができる。これにより、タイヤサイド部24の摩耗初期から連結部40が損傷するのを防止することができる。
【0066】
また、連結部40を、凹部30の底部34及び凹部30の側壁部32にそれぞれ接続固定(接続すると共に固定)していることから、連結部40の剛性(延在方向に対する曲げ剛性や、延在方向の引張及び圧縮に対する剛性など)が上昇し、連結部40による凹部30の変形を抑制する効果が向上する。
【0067】
さらに、タイヤ10では、サイド展開平面において、連結部40を直線状に延ばしていることから、連結部40の延在方向の剛性(延在方向の引張及び圧縮に対する剛性など)を上昇させることができる。これにより、連結部40による凹部30の変形を抑制する効果がさらに向上する。
【0068】
そしてタイヤ10では、連結部40の上面40Bを凹部30の深さの半分の位置HPまたは位置HPよりも高い位置に配置していることから、凹部30の開口縁部の変形を効果的に抑制することができる。
【0069】
以上、本実施形態のタイヤ10によれば、凹部30の開口30Aを大きくすることなく、タイヤサイド部24の変形による凹部30の過度な変形を抑制することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の空気入りタイヤについて図9〜12を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
図9、図10に示すように、本実施形態のタイヤ50は、凹部52及び本発明の連結部の一例としての連結部58の構成以外は第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、凹部52及び連結部40の構成についてのみ説明する。
【0072】
図11、図12に示すように、本実施形態の凹部52は、側壁部54が深さ方向(矢印Dで示す方向)に傾斜する傾斜壁とされ、底部56が平坦状の平坦部とされている構成以外は、第1実施形態の凹部30と同一の構成であり、同一の定義が適用される。
具体的に説明すると、側壁部54は、凹部52の中心CPを通る垂線PL上の最深部52Dに向って開口面積が狭くなるように深さ方向に傾斜している。また、底部56は、図示しないカーカス層16のカーカスプライのコードに平行となるように延びている、すなわち、底部56からカーカスプライのコードまでのゴム厚みがほぼ一定となっている。
また、側壁部54の下端部は垂線PL側に湾曲して底部56の端部に連結している。
なお、図10で示される符号54Aは、側壁部54のタイヤ径方向内側の内側壁部を指し、符号54Bは、側壁部54のタイヤ径方向外側の外側壁部を指している。
【0073】
図10に示すように、本実施形態では、連結部58を、サイド展開平面において、タイヤ径方向に沿って凹部52の中心CPを通る直線XLに対して左右対称かつ、延在方向が直線XLに対して平行となるように複数(本実施形態では2つ)配設している。
なお、連結部58は、凹部52内に上記のように平行に複数配設される構成以外は、第1実施形態の凹部30と同一の構成であり、同一の定義が適用される。
【0074】
次に、第2実施形態のタイヤ50の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
【0075】
タイヤ50では、サイド展開平面において、連結部58を直線XLに対して平行でかつ直線XLに対して左右対称に複数配設していることから、凹部52の直線XLに沿った圧縮力や引張力に対して複数本の平行な連結部58が補強となるため、タイヤサイド部24の変形にともなう凹部52の過度な変形を効果的に抑制することができる。
具体的には、上記引張力は、タイヤサイド部24の位置によって作用する方向が異なるが、引張方向(主歪方向)はサイド展開平面において中心CPから直線XLに対して±45度の範囲内の方向とされているため、領域T内に両端部58Aが配設されるように連結部58を直線XLに対して平行でかつ直線XLに対して左右対称に複数配設することで、タイヤサイド部24の変形にともなう凹部52の過度な変形を効果的に抑制することができる。
【0076】
なお、本実施形態の連結部58の、サイド展開平面において、タイヤ径方向に沿って凹部52の中心CPを通る直線XLに対して左右対称かつ、延在方向が直線XLに対して平行となるように複数(本実施形態では2つ)配設する構成を、第1実施形態の連結部90(図18参照)に適用してもよい。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の空気入りタイヤについて図13〜16を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0078】
図13、図14に示すように、本実施形態のタイヤ60は、本発明の連結部の一例としての連結部62の構成以外は、第2実施形態のタイヤ50と同一の構成である。このため、以下では、連結部62の構成についてのみ説明する。
【0079】
図14に示すように、本実施形態では、連結部62を、サイド展開平面において、タイヤ径方向に沿って凹部52の中心CPを通る直線XLに対して互いに逆向きに傾斜し且つ中心CP上で交差するように一対配設している。また、一対の連結部62は、中心CP上の交差部64で連結されて一体となっている。なお、連結部62は、凹部52内に上記のように互いに交差して配設される構成以外は、第1実施形態の凹部30と同一の構成であり、同一の定義が適用される。
【0080】
次に、第3実施形態のタイヤ60の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
【0081】
タイヤ60では、サイド展開平面において、連結部62を直線XLに対して互いに逆向きに傾斜し且つ交差するように一対配設していることから、直線XLに対して傾斜する方向の引張力及び圧縮力に対してどちらか一方の連結部62の補強効果が高まるため、連結部40による凹部30の変形を抑制する効果がさらに向上する。
また、一対の連結部62を、交差部64で連結させて一体としていることから、各々の連結部62同士が互いを支え合うため、連結部62による補強効果がさらに高まる。これにより、タイヤサイド部24の変形にともなう凹部52の変形を効果的に抑制することができる。
【0082】
第3実施形態では、連結部62を凹部52の中心CP上の交差部64で交差させて一体としているが、本発明はこの構成に限定されず、連結部62を中心CP以外の位置で交差させて連結し一体とする構成としてもよい。例えば、図17に示す、変形例の連結部66のように、サイド展開平面において、直線XLに対して左右対称に一対配設された連結部66の端部66A同士を交差させて連結し一体とする構成としてもよい。なお、一対の連結部66は、サイド展開平面において、略V形状となる。
【0083】
なお、本実施形態の連結部62を、サイド展開平面において、タイヤ径方向に沿って凹部52の中心CPを通る直線XLに対して互いに逆向きに傾斜すると共に中心CP上で交差するように一対配設する構成を、第1実施形態の連結部90(図18参照)に適用してもよい。また、本実施形態の一対の連結部62を、凹部52の中心CP上の交差部64で連結させて一体とする構成を第1実施形態の連結部90(図18参照)に適用してもよい。
【0084】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の空気入りタイヤについて図19を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
図19に示すように、本実施形態のタイヤ70は、本発明の連結部の一例としての連結部72の構成以外は、第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、連結部72の構成についてのみ説明する。
【0086】
図19に示すように、本実施形態の連結部72は、凹部30の底部34に向って幅W1が次第に広くなっている。具体的には、連結部72の側壁72Aが底部34に向って幅W1が次第に広くなるように直線状に傾斜している。なお、連結部72のその他の構成は、第1実施形態の連結部40と同一の構成である。
【0087】
次に、第4実施形態のタイヤ70の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
【0088】
タイヤ70では、連結部72の幅W1を凹部30の底部34に向って次第に広くしていることから、タイヤサイド部24と共に連結部72が摩耗すると、該連結部72の幅W1が広くなり、連結部72の剛性が向上する。これにより、摩耗の進行によりゴム厚みが薄くなって変形しやすくなるタイヤサイド部24に対して凹部30の変形を効果的に抑制しつづけることができる。
また、本実施形態では、連結部72の側壁72Aが底部34に向って幅W1が次第に広くなるように直線状に傾斜させる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、連結部72の側壁72Aが底部34に向って幅W1が次第に広くなればどのように傾斜しても構わず、例えば、側壁72Aが湾曲しながら傾斜しても、階段状(または波形状)に傾斜していてもよい。
【0089】
なお、第4実施形態の連結部72の幅W1を凹部30の深さ方向で変化させる構成を、第2実施形態の連結部58及び第3実施形態の連結部62、66にそれぞれ適用してもよい。
【0090】
(その他の実施形態)
第1実施形態及び第4実施形態では、凹部30の開口30Aのすべてが領域S1内に配置される構成としているが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、開口30Aの一部が領域S1を跨いでビード部12側に配置される構成としてもよい。なお、開口30Aの一部が領域S1を跨いでビード部12側に配置される構成については、第2実施形態及び第3実施形態のタイヤに適用してもよい。
【0091】
第1実施形態では、トラックやバスなどに用いられる重荷重用の空気入りタイヤのタイヤサイド部24に凹部30及び連結部40を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、乗用車用、航空機用、及び、建築車両用の空気入りタイヤのタイヤサイド部に上記凹部30及び連結部40を形成してもよい。なお、第2〜第4実施形態も同様に、乗用車用、航空機用、及び、建築車両用の空気入りタイヤのタイヤサイド部に各々の凹部及び連結部を形成してもよい。
【0092】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0093】
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、本発明に含まれる空気入りタイヤを2種類(以下の実施例1、2)、本発明に含まれない比較例のタイヤを1種類(以下の比較例1)用意して以下の試験を実施した。
【0094】
次に、試験に用いた実施例のタイヤ及び比較例のタイヤについて説明する。なお、試験に用いたタイヤは、トラックバス用のタイヤであり、サイズは275/70R22.5である。
実施例1:第2実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。
実施例2:第3実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。
比較例:第2実施形態のタイヤから連結部を削除したタイヤ。
【0095】
また、各供試タイヤは、凹部の開口形状が円形であり、開口の最大幅(直径)が15mm、開口中心から最深部までの距離(深さ)が5mmであった。
【0096】
以下に試験の内容について説明する。
試験1:新品時の各供試タイヤをETRTO規格に準拠したリムに組み付け、内圧を900kPaに設定した後、ドラム試験機に取り付け、荷重33.98kNを作用させた状態で、ドラムを回転させて各供試タイヤを10000km走行させた後、凹部の開口縁部における故障の発生の有無を評価した。なお、評価については、表1に示した。
【0097】
試験2:新品時の各供試タイヤをETRTO規格に準拠したリムに組み付け、内圧を900kPaに設定した後、車重12000kg(平均値)のバスに取り付け、実地にて棄却されるまで使用した後、凹部の開口縁部における故障の発生の有無を評価した。なお、評価については、表1に示した。
【0098】
【表1】

【0099】
表1に示すように、タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部内に連結部を配設した実施例1、2のタイヤは、タイヤサイド部の変形にともなう凹部の過度な変形を連結部で抑制することができるため、凹部内に連結部を配設しない比較例のタイヤと比べて、凹部の開口縁部への過度な応力集中が抑制され、結果として、凹部の故障の発生が抑制されたことが分かる。
【符号の説明】
【0100】
10 タイヤ(空気入りタイヤ)
24 タイヤサイド部
24A 表面
30 凹部
30A 開口
32 側壁部
32A 内側壁部(凹部のタイヤ径方向内側の側壁部)
32B 外側壁部(凹部のタイヤ径方向外側の側壁部)
34 底部
40 連結部
40A 端部(接続部)
40B 上面
50 タイヤ
52 凹部
54 側壁部
54A 内側壁部(凹部のタイヤ径方向内側の側壁部)
54B 外側壁部(凹部のタイヤ径方向外側の側壁部)
58 連結部
58A 端部(接続部)
60 タイヤ
62 連結部
64 交差部
66 連結部
66A 端部
70 タイヤ
72 連結部
90 連結部
90A 端部
T 領域
CP 中心(凹部の中心)
HP 位置(凹部の深さの半分の位置)
XL 直線
KL 傾斜線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤサイド部に形成され、前記タイヤサイド部の表面からの深さで前記タイヤサイド部の摩耗状態を示す凹部と、
前記凹部内に配設され、前記凹部の互いに対向する側壁部同士を連結する連結部と、
を有する空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記連結部は、前記凹部の開口縁部よりも低い位置に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記連結部は、前記凹部の互いに対向するタイヤ径方向内側の側壁部とタイヤ径方向外側の側壁部とを連結する、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記連結部は、前記凹部の底部及び前記側壁部にそれぞれ接続固定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記連結部と前記側壁部との接続部の少なくとも一部が、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って延びて前記凹部の中心を通る直線に対して±30度で傾斜する一対の傾斜線で囲まれる領域内に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記連結部は、タイヤ側面視で直線状に延びている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記連結部は、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って前記凹部の中心を通る直線に対して左右対称となるように複数配設されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記連結部は、タイヤ側面視でタイヤ径方向に沿って前記凹部の中心を通る直線に対して互いに逆向きに傾斜し且つ交差するように一対配設されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記連結部は、前記凹部の底部に向って幅が次第に広くなっている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記連結部の上面は、前記凹部の深さの半分の位置または該位置よりも高い位置に配置されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−107549(P2013−107549A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255420(P2011−255420)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)