説明

空気処理装置

【課題】拡散荷電方式を採用した空気処理装置(30)において、塵埃の捕集効率を高めることにより、部屋の汚れを防止するとともに、十分な集塵性能を得られるようにする。
【解決手段】被処理空気中の塵埃を帯電させる荷電部(20)と、帯電した塵埃を捕集する集塵部(30)とが空気通路(13)に配置された空気処理装置(30)において、荷電部(20)を放電電極(25)と対向電極(26)を有して拡散荷電を行う構成にし、この荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理空気中の塵埃を帯電させて捕集する空気処理装置に関し、特に、塵埃の捕集効率を高めるための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気処理装置として、特許文献1には、電気集塵部を有する本体と荷電部を有する荷電ユニットとが着脱自在に構成された空気浄化装置が開示されている。この空気浄化装置では、荷電ユニットで生成したイオンを室内に放出して空気中に浮遊する塵埃と接触させることで塵埃を帯電させ、この塵埃を空気浄化装置の本体にファンで吸い込んで電気集塵部で捕集するようにしている。
【特許文献1】特開2006−116492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の装置では、室内空間で塵埃をイオン化させるようにしているので、装置の電気集塵部に取り込む前に部屋の壁などに塵埃が付着して壁が汚れるおそれがある。これは、塵埃の捕集効率が低いことが原因である。
【0004】
また、この特許文献1のようにイオンを室内で拡散させて塵埃を帯電させる方式では、帯電した塵埃をすべてケーシング内に取り込むことはできず、やはり塵埃の捕集効率が低くなって十分な集塵性能を得られないおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷電部で発生させたイオンを拡散させる方式を採用した空気処理装置において、塵埃の捕集効率を高めることにより、部屋の汚れを防止するとともに十分な集塵性能を得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、被処理空気中の塵埃を帯電させる荷電部(20)と、帯電した塵埃を捕集する集塵部(30)とが空気通路(13)に配置された空気処理装置を前提としている。
【0007】
そして、この空気処理装置は、上記荷電部(20)が放電電極(25)と対向電極(26)を有して拡散荷電を行う荷電部(20)により構成され、上記荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)が設けられていることを特徴としている。
【0008】
この第1の発明では、荷電部(20)の放電電極(25)と対向電極(26)の間で発生したイオンが拡散空間(13a)で拡散しながら被処理空気中の塵埃に結合してその塵埃を帯電させる。拡散空間(13a)を設けたことにより、塵埃とイオンとがこの拡散空間(13a)で混合されることになり、効率的に塵埃が帯電する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記拡散空間(13a)に、イオンを空気中に拡散させるための拡散部材(13b)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
この第2の発明では、拡散空間(13a)において空気が拡散部材(13b)を通過する際にイオンと塵埃が併走する形で流れるため、その際にイオンと塵埃とが混ぜ合わされ、効率よく塵埃が帯電する。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記荷電部(20)を通過した気流が集塵部(30)に至るまでの間に屈曲通路が設けられていることを特徴としている。
【0012】
この第3の発明では、荷電部(20)を通過した後の気流が集塵部(30)に至るまでの間に屈曲通路を通過する。この屈曲通路を空気が通過するときに、イオンと塵埃が撹拌される形で混合され、塵埃が効率よく帯電する。
【0013】
第4の発明は、第1の発明において、上記荷電部(20)における被処理空気の通風速度が上記空気通路(13)の主要部における通風速度よりも大きくなるように構成されていることを特徴としている。
【0014】
この第4の発明では、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなるようにしているので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅いため、効率よく塵埃を捕集できる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、上記荷電部(20)における被処理空気の通風速度を上記空気通路(13)の主要部における通風速度よりも大きくする流路制御部材(35)を備えていることを特徴としている。
【0016】
この第5の発明では、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなるうえ、そのときに乱流も発生するので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅いため、効率よく塵埃を捕集できる。
【0017】
第6の発明は、第4の発明において、上記空気通路(13)の空気吸込口(12a)の開口面積が上記空気通路(13)の主要部の開口面積よりも小さく設定され、上記荷電部(20)が上記空気吸込口(12a)に設けられていることを特徴としている。
【0018】
この第6の発明では、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなるうえ、拡散空間(13a)を最も長くできるようにしているので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅いため、効率よく塵埃を捕集できる。
【0019】
第7の発明は、第1から第6の発明の何れか1つにおいて、上記空気通路(13)の空気吸込口(12a)が、該空気通路(13)の側面に設けられていることを特徴としている。
【0020】
この第7の発明では、空気通路(13)の側面に空気吸込口(12a)が設けられているため、空気吸込口(12a)から空気通路(13)に取り込まれた空気の流れが屈曲する。したがって、空気吸込口(12a)の近傍に荷電部(20)を設けておくことにより、空気の流れが屈曲するときにイオンが拡散し、高い拡散効果を得ることができる。このことにより、イオンと塵埃とが結合しやすくなり、集塵効果が高められる。
【0021】
第8の発明は、第1から第7の発明の何れか1つにおいて、上記集塵部(30)が電気的集塵部材により構成されていることを特徴としている。
【0022】
この第8の発明では、荷電部(20)を通過してから拡散空間(13a)でイオンと結合して帯電した塵埃が電気的集塵部(30)によってクーロン力で捕捉される。このことにより集塵効率を高められる。
【0023】
第9の発明は、第1から第8の発明の何れか1つにおいて、上記放電電極(25)を流れる電流をI1とし、対向電極(26)を流れる電流をI2とすると、両電極には、拡散荷電電流(I1−I2)が流れるように構成されていることを特徴としている。
【0024】
この第9の発明では、放電電極(25)を流れる電流よりも対向電極(26)を流れる電流の方が小さければ、それが荷電部(20)における拡散荷電電流(I1−I2)となる。つまり、この拡散荷電電流が存在すれば、拡散荷電が起こっていることになる。
【0025】
第10の発明は、第1から第9の発明の何れか1つにおいて、上記放電電極(25)が針状電極により構成されていることを特徴としている。
【0026】
この第10の発明では、拡散荷電方式の荷電部(20)の放電電極(25)に針状電極を用いているので、放電電極(25)の先端に電界が集中してイオンが飛び出しやすくなる。
【0027】
第11の発明は、第1から第9の発明の何れか1つにおいて、上記放電電極(25)が鋸歯状電極により構成されていることを特徴としている。
【0028】
この第11の発明では、拡散荷電方式の荷電部(20)の放電電極(25)に鋸歯状電極を用いており、鋸歯状電極の先端を尖らせて針状電極に近い形状にすることで、放電電極(25)の先端に電界が集中してイオンが飛び出しやすくなる。
【0029】
第12の発明は、第10または第11の発明において、上記対向電極(26)が、上記放電電極(25)の放電方向から偏倚した位置に配置されていることを特徴としている。
【0030】
この第12の発明では、荷電部(20)の放電電極(25)からイオンが飛び出す方向に対してずれた位置に対向電極(26)を設けるようにしているので、イオンが対向電極(26)に到達しにくくなる。したがって、イオンが空気中に拡散しやすくなる。
【0031】
第13の発明は、第1から第12の発明の何れか1つにおいて、被処理空気の流れ方向に対して上流側に衝突荷電方式の第1荷電部(20a)が配置され、下流側に拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が配置されていることを特徴としている。
【0032】
この第13の発明では、被処理空気はまず第1荷電部(20a)を通過し、次に第2荷電部(20b)を通過する。ここで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電部(20)の第2荷電部(20b)を比べると、荷電量は、荷電時間が短い場合は衝突荷電が有利であるのに対して荷電時間が長くなると拡散荷電が有利になる。そのため、上流側を衝突荷電方式にして下流側を拡散荷電方式にすると、十分な荷電量を得やすくなる。
【0033】
第14の発明は、第13の発明において、上記第1荷電部(20a)の放電電極(25)と上記第2荷電部(20b)の放電電極(25)が一体型放電電極(25)により構成され、上記放電電極(25)に対して気流上流側に上記第1荷電部(20a)の対向電極(26)が配置され、気流下流側に上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)が配置されていることを特徴としている。
【0034】
この第14の発明では、第1荷電部(20a)の放電電極(25)と第2荷電部(20b)の放電電極(25)を一体型にして、第1荷電部(20a)側を第2荷電部(20b)側よりも上流側に配置しているので、放電電極(25)の構成を簡単にしつつ、十分な荷電量を得ることができる。
【0035】
第15の発明は、第14の発明において、上記一体型放電電極(25)が上記第1荷電部(20a)の放電電極(25)を構成する第1放電部(25a)と上記第2荷電部(20b)の放電電極(25)を構成する第2放電部(25b)とを備え、上記第1荷電部(20a)の対向電極(26)と上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)が一体型対向電極(26)により構成されて、該一体型対向電極(26)が第2放電部(25b)よりも第1放電部(25a)の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0036】
この第15の発明では、対向電極(26)を一体化して、被処理空気の流れ方向の下流側に位置する第2放電部(25b)よりも上流側に位置する第1放電部(25a)の近傍に該対向電極(26)を配置しているので、構成を簡単にすることが可能でありながら、第1放電部(25a)と対向電極(26)の間では衝突荷電が起こりやすく、第2放電部(25b)と対向電極(26)の間では拡散荷電が起こりやすくなる。
【0037】
第16の発明は、第1から第15の発明の何れか1つにおいて、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が、頂点角度が鈍角になった断面多角形の棒状電極により構成されていることを特徴としている。
【0038】
第17の発明は、第1から第15の発明の何れか1つにおいて、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が、断面円形の棒状電極により構成されていることを特徴としている。
【0039】
この第16,第17の発明では、対向電極(26)において電界がエッジに集中しないため、イオンが拡散しやすくなる。
【0040】
第18の発明は、第16または第17の発明において、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)は、対角寸法または直径寸法が、放電電極(25)と対向電極(26)間の寸法の1/5以下でゼロ(mm)より大きいことを特徴としている。
【0041】
この第18の発明では、放電電極(25)と対向電極(26)の間の寸法に対して十分小さい寸法に対向電極(26)の径寸法ないし対角寸法を設定しているため、対向電極(26)の表面積が小さくなり、イオンの吸収が抑えられる。
【0042】
第19の発明は、第16から第18の発明の何れか1つにおいて、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)に対して放電電極(25)と反対側に空間(S1)が設けられていることを特徴としている。
【0043】
この第19の発明では、放電電極(25)と対向電極(26)の間で、対向電極(26)の裏側(放電電極(25)と反対の空間(S1)側)に回り込む電気力線が形成される。イオンは放電電極(25)と対向電極(26)の間の直線的な電気力線に沿って飛ぶと対向電極(26)に吸収されやすいが、対向電極(26)の裏側に回り込む電気力線に沿って飛ぶと対向電極(26)に吸収されにくくなる。そのため、この空間(S1)でイオンの拡散成分が発生し、拡散荷電が行われる。
【0044】
第20の発明は、第16から第18の発明の何れか1つにおいて、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)の外周全域に空間(S1)が設けられていることを特徴としている。
【0045】
この第20の発明では、第19の発明と同様に、対向電極(26)の裏側に回り込む電気力線も形成されるので、その空間(S1)でイオンの拡散成分が発生し、拡散荷電が行われる。
【0046】
第21の発明は、第19または第20の発明において、拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が被処理空気の流れる空気流路内に配置されていることを特徴としている。
【0047】
この第21の発明では、第2荷電部(20b)の対向電極(26)が被処理空気の流れる空気流路内に配置されているので、第2荷電部(20b)の放電電極(25)から飛び出して対向電極(26)に入射するべきイオンが気流の影響を受け、対向電極(26)に飛び込まずに空気中に拡散しやすくなる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、荷電部(20)が放電電極(25)と対向電極(26)を有して拡散荷電を行う荷電部(20)により構成され、上記荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)が設けられているので、荷電部(20)の放電電極(25)と対向電極(26)の間で発生したイオンが拡散空間(13a)で拡散しながら被処理空気中の塵埃に結合してその塵埃が帯電する。拡散空間(13a)を設けたことにより、塵埃とイオンとがこの拡散空間(13a)で混合されることになり、効率的に塵埃が帯電するから、十分な集塵性能を得ることができる。また、装置内で塵埃を帯電させて捕集するため、部屋の壁が汚れるのを防止できる。
【0049】
上記第2の発明によれば、拡散空間(13a)に空気の流れ方向を規制する拡散部材(13b)を設けたことにより、拡散空間(13a)において空気が拡散部材(13b)を通過する際にイオン空気中で拡散し、その際にイオンと塵埃とが混ぜ合わされて、効率よく塵埃が帯電するので、装置の集塵性能を高めることができる。また、この構成においてもイオンを機外に放出しないので部屋の汚れも防止できる。
【0050】
上記第3の発明によれば、荷電部(20)を通過した後の気流が集塵部(30)に至るまでの間に屈曲通路を通過する。この屈曲通路を空気が通過するときに、イオンと塵埃が撹拌される形で混合され、塵埃が効率よく帯電するので、装置の集塵性能を高めることができるとともに、イオンを機外に放出しないので部屋の汚れも防止できる。
【0051】
上記第4の発明によれば、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなるようにしているので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅い。両方の風速を最適化することにより、コンパクトな構成で効率よく塵埃を捕集できる。
【0052】
上記第5の発明によれば、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなり、そのときに乱流も発生するので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅い。両方の風速を最適化することにより、コンパクトな構成で効率よく塵埃を捕集できる。
【0053】
上記第6の発明によれば、荷電部(20)における被処理空気の通風速度が大きくなるうえ、拡散空間(13a)を最も長くできるようにしているので、イオンの拡散量が多くなる。一方、集塵部(30)では通過風速が速いほど集塵効率が低下するが、集塵部(30)は上記主流部に配置されていて流速が遅い。両方の風速を最適化することにより、コンパクトな構成で効率よく塵埃を捕集できる。
【0054】
上記第7の発明によれば、空気通路(13)の側面に空気吸込口(12a)が設けられているため、空気吸込口(12a)から空気通路(13)に取り込まれた空気の流れが屈曲する。したがって、空気吸込口(12a)の近傍に荷電部(20)を設けておくことにより、空気の流れが屈曲するときにイオンが拡散し、高い拡散効果を得ることができる。このことにより、イオンと塵埃とが結合しやすくなり、集塵効果が高められる。
【0055】
上記第8の発明によれば、荷電部(20)を通過してから拡散空間(13a)でイオンと結合して帯電した塵埃が電気的集塵部(30)によってクーロン力で捕捉される。このことにより集塵効率を高められる。
【0056】
上記第9の発明によれば、放電電極(25)を流れる電流よりも対向電極(26)を流れる電流の方が小さければ、それが荷電部(20)における拡散荷電電流(I1−I2)となる。つまり、この拡散荷電電流が存在すれば、拡散荷電が確実に起こっていることになる。
【0057】
上記第10の発明によれば、拡散荷電方式の荷電部(20)の放電電極(25)に針状電極を用いているので、放電電極(25)の先端に電界が集中してイオンが飛び出しやすくなる。したがって、拡散荷電部(20)の放電効率を高められる。その結果、装置を小型化できる。
【0058】
上記第11の発明によれば、拡散荷電方式の荷電部(20)の放電電極(25)に鋸歯状電極を用いており、鋸歯状電極の先端を尖らせて針状電極に近い形状にすることで、放電電極(25)の先端に電界が集中してイオンが飛び出しやすくなる。したがって、拡散荷電部(20)の放電効率を高められる。その結果、装置を小型化できる。
【0059】
上記第12の発明によれば、荷電部(20)の放電電極(25)からイオンが飛び出す方向に対してずれた位置に対向電極(26)を設けるようにしているので、イオンが対向電極(26)に到達しにくくなる。したがって、イオンが空気中に拡散しやすくなる。つまり、対向電極(26)でのイオンの吸収を抑えて放電した全イオン中の拡散成分を増やすことができる。
【0060】
上記第13の発明によれば、被処理空気の流れ方向に対して上流側に上記第1荷電部(20a)を配置し、下流側に上記第2荷電部(20b)を配置しているので、被処理空気はまず第1荷電部(20a)を通過し、次に第2荷電部(20b)を通過する。ここで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電部(20)の第2荷電部(20b)を比べると、荷電量は、荷電時間が短い場合は衝突荷電が有利であるのに対して荷電時間が長くなると拡散荷電が有利になる。そのため、上流側を衝突荷電方式にして下流側を拡散荷電方式にすると、十分な荷電量を得やすくなり、荷電部(20)全体としての効率が向上する。
【0061】
上記第14の発明によれば、第1荷電部(20a)の放電電極(25)と第2荷電部(20b)の放電電極(25)を一体型にして、第1荷電部(20a)側を第2荷電部(20b)側よりも上流側に配置しているので、放電電極(25)の構成を簡単にすることができるうえ、十分な荷電量を得ることで荷電部(20)全体の効率を高められる。
【0062】
上記第15の発明によれば、対向電極(26)を一体化して、被処理空気の流れ方向の下流側に位置する第2放電部(25b)よりも上流側に位置する第1放電部(25a)の近傍に該対向電極(26)を配置しているので、構成を簡単にすることが可能であり、しかも、上流側の第1放電部(25a)と対向電極(26)の間では衝突荷電が起こりやすく、下流側の第2放電部(25b)と対向電極(26)の間では拡散荷電が起こりやすくなるので、荷電部(20)全体としての効率も高められる。
【0063】
上記第16,第17の発明によれば、第2荷電部(20b)の対向電極(26)を、頂点角度が鈍角になった断面多角形の棒状電極や、断面円形の棒状電極により構成しているので、対向電極(26)において電界がエッジに集中しないため、イオンが拡散しやすくなる。したがって、拡散荷電の効率が向上する。
【0064】
上記第18の発明によれば、放電電極(25)と対向電極(26)の間の寸法に対して十分小さい寸法に対向電極(26)の径寸法ないし対角寸法を設定しているため、対向電極(26)の表面積が小さくなり、イオンの吸収が抑えられる。したがって、第2荷電部(20b)で発生するイオン全体のうちの核酸成分を増やすことができるから、サブミクロンオーダー(1μm未満)の粒子を効率よく帯電させることが可能となる。
【0065】
上記第19の発明によれば、放電電極(25)と対向電極(26)の間で、対向電極(26)の裏側(放電電極(25)と反対の空間(S1)側)に回り込む電気力線が形成される。イオンは放電電極(25)と対向電極(26)の間の直線的な電気力線に沿って飛ぶと対向電極(26)に吸収されやすいが、対向電極(26)の裏側に回り込む電気力線に沿って飛ぶと対向電極(26)に吸収されにくくなる。そのため、この空間(S1)でイオンの拡散成分が発生し、拡散荷電が行われる。したがって、拡散荷電の効率を高められる。
【0066】
上記第20の発明によれば、第19の発明と同様に、対向電極(26)の裏側に回り込む電気力線も形成されるので、その空間(S1)でイオンの拡散成分が発生し、拡散荷電が行われる。したがって、拡散荷電の効率を高められる。
【0067】
上記第21の発明によれば、第2荷電部(20b)の対向電極(26)が被処理空気の流れる空気流路内に配置されているので、第2荷電部(20b)の放電電極(25)から飛び出して対向電極(26)に入射するべきイオンが気流の影響を受け、対向電極(26)に飛び込まずに空気中に拡散しやすくなる。したがって、イオンの拡散成分が増えることになり、拡散荷電の効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0069】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0070】
この実施形態1は、本発明に係る空気処理装置としての空気浄化装置(10)に関するものである。図1は、空気浄化装置(10)の概略の内部構造を示す断面図である。
【0071】
この空気浄化装置(10)は直方体で中空のケーシング(11)を備え、このケーシング(11)内に複数の機能部品が収納されている。ケーシング(11)の一つの壁面には空気吸込口(12a)が形成され、この空気吸込口(12a)と対向する壁面には空気吹出口(12b)が形成されている。空気吸込口(12a)には、被処理空気中に含まれる塵埃(浮遊粒子)のうち比較的粒径の大きなものを捕捉するプレフィルタ(14)が設けられている。
【0072】
ケーシング(11)内には、空気吸込口(12a)から空気吹出口(12b)に向かって空気が流れる空気通路(13)が形成されている。この空気通路(13)には、空気の流れ方向の上流側から下流側へ向かって順に、荷電部(20)、集塵部(30)、吸着部材(15)、そしてプロペラファン(16)が配置されている。荷電部(20)と集塵部(30)との間には、荷電部(20)で発生したイオンを拡散させるための拡散空間(13a)が形成されている。
【0073】
荷電部(20)は、互いに同じように構成された2組のものが上下に配置されている。各荷電部(20)は、具体構成を図2及び図3に示すように、放電電極(25)と対向電極(26)とから構成されている。
【0074】
放電電極(25)は、空気の流れ方向と平行に配置された帯板状の電極であり、両縁部には、ほぼ等間隔の位置に、先端が鋭角になった三角形状の突起(25a,25b)(先端には小さなアールを付けてもよい)が形成されている。この突起(25a,25b)により放電部が形成されている。このように、荷電部(20)に設けられる放電電極(25)は、鋸歯状電極により構成されている。放電部には、空気の流れ方向上流側の上流側放電部(25a)(後述する第1荷電部(20a)の放電電極(25))と、空気の流れ方向下流側の下流側放電部(25b)(後述する第2荷電部(20b)の放電電極(25))とが含まれている。
【0075】
対向電極(26)は棒状電極(または柱状電極)であって、放電電極(25)を挟んで上下両側に2本ずつ配置され、それぞれ、空気の流れ方向上流側の対向電極(上流側対向電極)(26a)と、空気の流れ方向下流側の対向電極(下流側対向電極)(26b)とが含まれている。上流側対向電極(26a)は、上流側放電部(25a)の先端ないしほぼ先端を通る仮想鉛直面上に放電電極(25)と平行に配置されている。また、下流側対向電極(26b)は、対向電極(26)の中心線ないしほぼ中心線を通る仮想鉛直面上に放電電極(25)と平行に配置されている。
【0076】
放電電極(25)には放電用の直流高圧電源(27)のマイナス極が接続され、対向電極(26)には該電源(27)のプラス極が接続されている。この高圧電源(27)は、プラス極側が接地されている。
【0077】
この実施形態では、荷電部(20)に、拡散荷電方式だけでなく衝突荷電方式も採用している。そして、上流側放電部(25a)と上流側対向電極(26a)は、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)を構成している。また、下流側放電部(25b)と下流側対向電極(26b)は、拡散荷電方式の第2荷電部(20b)を構成している。つまり、被処理空気の流れ方向で表すと、気流上流側に上記第1荷電部(20a)が配置され、気流下流側に上記第2荷電部(20b)が配置されている。このため、上記放電電極(25)に対しては、気流上流側に上記第1荷電部(20a)の対向電極(26)が配置され、気流下流側に上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)が配置されていることになる。
【0078】
この構成において、上記荷電部(20)は、第1荷電部(20a)の対向電極(26)(上流側対向電極(26a))と第2荷電部(20b)の対向電極(26)(下流側対向電極(26b))を含めた全体が、被処理空気の流れる空気通路(13)内に配置されている。なお、少なくとも上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)を、被処理空気の流れる空気通路(13)内に配置しておくことが好ましい。
【0079】
上記第1荷電部(20a)は、上流側放電部(25a)と上流側対向電極(26a)がほぼ同一面上に配置されているため、図3に示すように、上流側放電部(25a)と上流側対向電極(26a)の間に形成される電気力線の湾曲度合いが小さい。それに比べて、上記第2荷電部(20b)は、下流側放電部(25b)からイオンが放出される方向から偏倚した位置に下流側対向電極(26b)が配置されているため、下流側放電部(25b)と下流側対向電極(26b)との間に形成される電気力線の湾曲度合いが大きくなっている。
【0080】
上記拡散空間(13a)は、荷電部(20)の下流側放電部(25b)と下流側対向電極(26b)との間での放電により空気中に放出されるイオンを拡散させるための空間である。この拡散空間(13a)において、イオンが空気中の塵埃と結合する。
【0081】
集塵部(30)は、集塵用の直流高圧電源(28)のマイナス極が接続された第1電極(31)と、該電源(28)のプラス極が接続された第2電極(32)とを有している。電源(28)のプラス極側は接地されている。第1電極(31)と第2電極(32)は、プレート電極を等間隔で交互に配置したものでもよいし、第2電極(32)を格子状にして各格子内の小さな空間に棒状ないし針状の第1電極(31)を配置したものでもよい。
【0082】
吸着部材(15)は、空気の流れ方向に沿って多数の微細な空気流通孔を有するハニカム状の基材の表面に、臭気成分を吸着するゼオライトなどの吸着剤の微粉末が担持されたものである。この吸着部材(15)には、吸着剤とともに、脱臭触媒の微粉末も担持されている。この吸着部材(15)は、空気中の臭気物質の一部が、集塵部(30)で捕捉されずにすり抜けてきた場合に、その臭気物質を吸着剤で捕捉し、その表面上で脱臭触媒の作用によって分解する。この脱臭触媒には、荷電部(20)の放電によって発生する熱や光,オゾンなどの活性物質等によって活性化して臭気成分の分解反応を促進する熱触媒や光触媒を用いることができる。
【0083】
−運転動作−
この実施形態に係る空気浄化装置(10)を起動すると、プロペラファン(16)が回転を開始し、被処理空気である室内空気が空気吸込口(12a)からケーシング(11)内に吸い込まれる。荷電部(20)では、放電電極(25)と対向電極(26)の間に電位差が与えられていて、放電電極(25)からイオンが飛び出している。放電電極(25)の上流側放電部(25a)から飛び出したイオンは殆どが上流側対向電極(26a)に到達するが、下流側放電部(25b)から飛び出したイオンは殆どが下流側対向電極(26b)に到達せずに空気中に拡散する。
【0084】
衝突荷電方式はミクロンオーダー(1μm以上)の比較的大きな塵埃(浮流粒子)を帯電させやすく、拡散荷電方式はサブミクロンオーダー(1μm未満)の比較的小さな塵埃を帯電させやすい特性を有している。そして、第1荷電部(20a)は衝突荷電方式であって、上流側放電部(25a)から飛び出したイオンは殆どが対向電極(26)に到達する。イオンは上流側放電部(25a)と上流側対向電極(26a)との間で密集しており、この間を被処理空気が流れるときにミクロンオーダーの比較的大きな塵埃が帯電する。一方、第2荷電部(20b)は拡散荷電方式であって、下流側放電部(25b)から飛び出したイオンは殆どが拡散空間(13a)の空気中に放出される。したがって、イオンは殆どが空気中を分散しており、この拡散空間(13a)を被処理空気が流れるときにサブミクロンオーダーの比較的小さな塵埃が帯電する。
【0085】
被処理空気は、小さい粒径の塵埃から大きい粒径の塵埃まで帯電した状態で集塵部(30)へ流入する。集塵部(30)は、マイナスの電荷を帯びた第1電極(31)とプラスの電荷を帯びた第2電極(32)とを有しているので、イオン化された塵埃をクーロン力で捕捉することができる。
【0086】
集塵部(30)を通過することにより被処理空気中の塵埃の殆どは除去されているが、集塵部(30)に捕捉されずに空気吹出口(12b)に向かう塵埃も存在する。このように集塵部(30)を通過してしまった塵埃は、吸着部材(15)によって捕捉される。また、吸着部材(15)は脱臭触媒も担持しており、そこで臭気成分も分解される。
【0087】
そして、塵埃が除去されて臭気成分も分解された被処理空気が空気吹出口(12b)から室内空間へ吹き出される。
【0088】
−実施形態1の効果−
この実施形態1によれば、荷電部(20)に拡散荷電方式を採用し、この荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)を設けているので、荷電部(20)の放電電極(25)と対向電極(26)の間で発生したイオンが拡散空間(13a)で拡散しながら被処理空気中の塵埃に結合してその塵埃が帯電する。拡散空間(13a)を設けたことにより、塵埃とイオンとがこの拡散空間(13a)で混合されることになり、効率的に塵埃が帯電するから、十分な集塵性能を得ることができる。また、装置内で塵埃を帯電させて捕集するため、部屋の壁が汚れるのを防止できる。
【0089】
また、拡散荷電方式だけでなく衝突荷電方式も採用したことにより、空気中の塵埃をサブミクロンオーダーのものからミクロンオーダーのものまで帯電させて除去できる。したがって、除去できる塵埃の粒径が偏ってしまうのを防止できる。
【0090】
−実施形態1の変形例−
(変形例1)
実施形態1の空気浄化装置(10)では、図4に示すように、上記拡散空間(13a)に、イオンを空気中に拡散させるための拡散部材(13b)を設けてもよい。
【0091】
この拡散部材(13b)は、多数の微細孔を有するフィルタ部材(13b)により構成されている。このフィルタ部材(13b)はイオンを空気中に拡散させる機能を有する。したがって、拡散空間(13a)に拡散部材(13b)を設けることにより、この空気浄化装置(10)におけるイオンの拡散効果が高められる。
【0092】
(変形例2)
実施形態2の変形例2は、図5に示すように、放電電極(25)に、第1荷電部(20a)を構成する上流側放電部(25a)(第1放電部(25a))と、第2荷電部(20b)を構成する下流側放電部(25b)(第2放電部(25b))とを有する鋸歯状電極(一体型の放電電極(25))を用いた構成において、第1荷電部(20a)の対向電極(26)と第2荷電部(20b)の対向電極(26)も一体型にした例である。具体的には、この対向電極(26)は、鋸歯状電極を挟んで上下に1本ずつ配置された合計2本の棒状電極により構成されている。この対向電極(26)は、上流側放電部(25a)の先端ないしほぼ先端を通る仮想鉛直面上に放電電極(25)と平行に配置されている。この構成において、上記対向電極(26)は、第2放電部(25b)よりも第1放電部(25a)に近い位置に配置されている。
【0093】
この構成においても、第1荷電部(20a)における放電電極(25)と対向電極(26)の間の電気力線の湾曲度合いに比べて、第2荷電部(20b)における放電電極(25)と対向電極(26)の間の電気力線の湾曲度合いが大きくなる。したがって、第1荷電部(20a)では衝突荷電が発生するのに対して、第2荷電部(20b)では拡散荷電が発生する。
【0094】
このため、この変形例の構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0095】
この変形例2では、図6に示すように、放電電極(25)に電源(27)のマイナス極が接続され、対向電極(26)に該電源(27)のプラス極が接続されている。また、電源(27)のプラス極側は接地されている。
【0096】
ここで、上記放電電極(25)を流れる電流をI1とし、対向電極(26)を流れる電流をI2とすると、両電極には、衝突荷電電流(I2)と、拡散荷電電流(I1−I2)の両方が流れるように構成されている。そして、上記衝突荷電電流と拡散荷電電流の成分比は、1≦(I2)/(I1−I2)≦20に定められている。
【0097】
衝突荷電電流と拡散荷電電流の両方が流れるということは、言い換えると、衝突荷電と拡散荷電の両方が起こるということであり、衝突荷電電流と拡散荷電電流の成分比を上記の範囲内に定めることにより、空気中の塵埃を効率よく帯電させることが可能となる。
【0098】
(変形例3)
変形例3は、図7に示すように、2本の棒状の対向電極(26)を互いに平行になるように上下に1本ずつ配置するとともに、その間に放電電極(25)(鋸歯状電極)を配置した例で、鋸歯状電極の突起(25a,25b)の先端が対向電極(26)を指向する構成にしている。この例では、上側に位置する放電部(25a)と対向電極(26)との間に、この放電部(25a)と対向電極(26)だけで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が構成されている。また、下側に位置する放電部(25b)と対向電極(26)との間にも、この放電部(25b)と対向電極(26)だけで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が構成されている。このように放電部(25a,25b)に対して1つの対向電極(26)だけで第1荷電部(20a)と第2荷電部(20b)を構成するために、この実施形態では、対向電極(26)に対して放電電極(25)と反対側に空間(S1)を設ける構成を採用している。
【0099】
このようにすると、放電部(放電電極(25))と対向電極(26)によって形成される電気力線が、放電電極(25)と対向電極(26)の間の空間にできる湾曲度合いの小さな電気力線と、放電電極(25)と対向電極(26)の間の空間の外側を通って対向電極(26)の裏側に回り込む湾曲度合いの大きな電気力線とを含むことになる。
【0100】
したがって、両電極の間では、湾曲度合いの小さな電気力線に沿ってイオンが対向電極(26)に入射する現象により成立する衝突荷電方式の放電と、湾曲度合いの大きな電気力線から外れてイオンが空気中に放出される現象により成立する拡散荷電方式の放電とが発生する。特に、放電電極(25)から飛び出したイオンは電気力線に沿って対向電極(26)へ向かおうとする性質を有しているが、標的となる対向電極(26)が小さいうえに、気流がイオンの動きに影響を与えるので、イオンが電界を外れてそのまま上記空間(S1)に放出されることで拡散荷電が発生する。また、放電電極(25)から見て対向電極(26)の裏側は電界強度も弱く、イオンが上記空間(S1)へ逃れやすい領域になっている。
【0101】
このように衝突荷電と拡散荷電が生じるので、この変形例の構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。また、対向電極(26)の数を図2,図3の例よりも減らせるため、構成をより簡素化できる。
【0102】
(変形例4)
変形例4は、図8に示すように、2本の棒状の対向電極(26)を互いに平行になるように上下に1本ずつ配置するとともに、その間に放電電極(25)(鋸歯状電極)を配置した例で、鋸歯状電極を、2本の対向電極(26)を通る仮想平面に対して直交するように配置している。この例では、左右の放電部(25a,25b)とその上側に位置する対向電極(26)との間に、この放電部(25a,25b)と対向電極(26)だけで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が構成されている。また、左右の放電部(25a,25b)とその下側に位置する対向電極(26)との間にも、この放電部(25a,25b)と対向電極(26)だけで、衝突荷電方式の第1荷電部(20a)と拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が構成されている。このように放電部(25a,25b)に対して1つの対向電極(26)だけで第1荷電部(20a)と第2荷電部(20b)を構成するために、この実施形態では、対向電極(26)の外周全体に空間(S1)を設ける構成を採用している。
【0103】
このようにすると、放電部(25a,25b)(放電電極(25))と対向電極(26)の間に形成される電気力線が、放電電極(25)と対向電極(26)の間の空間にできる湾曲度合いの小さな電気力線と、放電電極(25)と対向電極(26)の間の空間の外側を通って対向電極(26)の裏側に回り込む湾曲度合いの大きな電気力線とを含むことになる。
【0104】
したがって、両電極の間では、湾曲度合いの小さな電気力線に沿ってイオンが対向電極(26)に入射する現象により成立する衝突荷電方式の放電と、湾曲度合いの大きな電気力線から外れてイオンが空気中に放出される現象により成立する拡散荷電方式の放電とが発生する。
【0105】
このように衝突荷電と拡散荷電が生じるので、この変形例の構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。また、対向電極(26)の数を図2,図3の例よりも減らせるため、構成をより簡素化できる。
【0106】
(変形例5)
変形例5は、放電電極(25)の構成を図2,図3の例とは異なるようにした例である。
【0107】
具体的には、図9に示すように、この放電電極(25)は、導電性の棒状基部(25c)と、その棒状基部(25c)に固定された先端の尖った複数の針状の放電部(25a,25b)とを有している。各放電部(25a,25b)は棒状基部(25c)に直角に固定されている。また、放電部(25a,25b)は、2本を1組として、各組の2本が1直線上に位置するとともに、すべての放電部(25a,25b)が一つの仮想平面に沿うように配置されている。この例においても、図の右側の放電部を上流側放電部(25a)とし、図の左側の放電部を下流側放電部(25b)とする。
【0108】
この放電電極(25)に対して、対向電極(26)は上下に配置されている。対向電極(26)は、上流側放電部(25a)の先端を通る鉛直面に沿って配置されている。各対向電極(26)は、放電部(25a,25b)から等間隔で、互いに平行に配置されている。また、この対向電極(26)としては、仮想線で示す下流側対向電極(26b)を、放電電極(25)の棒状基部(25c)の上下に該棒状基部(25c)と平行に設けてもよい。この下流側対向電極(26b)も上下それぞれが放電電極(25)の棒状基部(25c)から等間隔の位置に配置される。
【0109】
このように構成しても、放電部(25a,25b)(放電電極(25))と対向電極(26)の間には、上流側放電部(25a)と対向電極(26)とによってできる湾曲度合いの小さな電気力線と、下流側放電部(25b)と対向電極(26)とによってできる湾曲度合いの大きな電気力線とが形成される。
【0110】
したがって、両電極の間では、湾曲度合いの小さな電気力線に沿ってイオンが対向電極(26)に入射する現象により成立する衝突荷電方式の放電と、湾曲度合いの大きな電気力線から外れてイオンが空気中に放出される現象により成立する拡散荷電方式の放電とが発生する。そのため、この変形例の構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0111】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
【0112】
この実施形態2は、実施形態1と同様に本発明に係る空気処理装置を空気浄化装置(10)に適用した例であるが、装置の具体構成が実施形態1とは異なっている。図10は、この空気浄化装置(10)の概略の内部構造を示す断面図である。
【0113】
この空気浄化装置(10)は、中空のケーシング(11)を備え、このケーシング(11)内に複数の機能部品が収納されている。このケーシング(11)には、図の上下(または左右)の壁面における図の右側端部に空気吸込口(12a)が形成され、上下(または左右)の一壁面における図の左側端部に空気吹出口(12b)が形成されている。空気吸込口(12a)には、被処理空気中に含まれる塵埃(浮遊粒子)のうち比較的粒径の大きなものを捕捉するプレフィルタ(14)が設けられている。
【0114】
ケーシング(11)内には、空気吸込口(12a)から空気吹出口(12b)に向かって空気が流れる空気通路(13)が形成されている。この空気通路(13)には、空気の流れ方向の上流側から下流側へ向かって順に、荷電部(20)、集塵部(30)、吸着部材(15)、そして遠心ファン(シロッコファン)(17)が配置されている。
【0115】
上記空気通路(13)は、ケーシング(11)に対して上下(または左右)から空気吸込口(12a)に入った後に空気吹出口(12b)の方向へ向かって屈曲し、シロッコファン(17)のところで空気吹出口(12b)の方向へ屈曲するようになっている。そして、荷電部(20)と集塵部(30)の間で気流が屈曲する部分に空間が設けられており、この空間が、イオンの拡散する拡散空間(13a)として構成されている。空気通路(13)は、図の右側から左側へ向かう流れを主流路とすると、上記空気吸込口(12a)は、空気通路(13)の主流路の側面側に設けられている。
【0116】
荷電部(20)は、互いに同じように構成された2組のものが、空気吸込口(12a)に接する状態で上下(または左右)に配置されている。各荷電部(20)は、図1〜図3の実施形態1で説明したものと同様に、放電電極(25)と対向電極(26)とから構成されている。放電電極(25)は、空気の流れ方向と平行に配置された帯板状の電極であり、両縁部には、ほぼ等間隔の位置に、先端が鋭角になった三角形状の突起(25a,25b)(先端には小さなアールを付けてもよい)が形成されている。この突起(25a,25b)により放電部が形成されている。放電部(25a,25b)には、空気の流れ方向上流側の上流側放電部(25a)と、空気の流れ方向下流側の下流側放電部(25b)とが含まれている。
【0117】
対向電極(26)は棒状電極であって、放電電極(25)を挟んで両側に2本ずつ配置され、それぞれ、空気の流れ方向上流側の対向電極(上流側対向電極)(26a)と、空気の流れ方向下流側の対向電極(下流側対向電極)(26b)とが含まれている。上流側対向電極(26a)は、上流側放電部(25a)の先端ないしほぼ先端を通る仮想鉛直面上に放電電極(25)と平行に配置されている。また、下流側対向電極(26b)は、対向電極(26)の中心線ないしほぼ中心線を通る仮想鉛直面上に放電電極(25)と平行に配置されている。
【0118】
被処理空気がこの荷電部(20)を通過した後の位置(拡散空間(13a))で空気通路(13)が屈曲している。空気通路(13)には、集塵部(30)の上流側にフィルタ部材(拡散部材(13b))が配置されている。集塵部(30)は、実施形態1と同様に構成されている。また、空気通路(13)には、集塵部(30)の下流側に、吸着剤と脱臭触媒とを担持した吸着部材(15)が配置されている。
【0119】
吸着部材(15)の下流側には、シロッコファン(17)への空気の流入ガイド部材としてベルマウス(19)が配置されている。このベルマウス(19)によりシロッコファン(17)に導入された空気が、該シロッコファン(17)により流れの向きを変えて空気吹出口(12b)へ向かい、さらに空気吹出口(12b)からケーシング(11)の外へ吹き出されるようになっている。
【0120】
なお、この実施形態において、荷電部(20)と集塵部(30)の電源については図示を省略しているが、各電極に対して実施形態1と同様に接続されている。また、電源のプラス極側が接続された電極が接地されている点も実施形態1と同様である。
【0121】
−運転動作−
この実施形態に係る空気浄化装置(10)を起動すると、シロッコファン(17)が回転を開始し、被処理空気である室内空気が空気吸込口(12a)からケーシング(11)内に吸い込まれる。荷電部(20)では放電電極(25)と対向電極(26)の間に電位差が与えられていて、放電電極(25)からイオンが飛び出している。放電電極(25)の上流側放電部(25a)から飛び出したイオンは殆どが上流側対向電極(26a)に到達するが、下流側放電部(25b)から飛び出したイオンは殆どが下流側対向電極(26b)に到達せずに拡散空間(13a)の空気中に拡散する。その際、空気通路(13)が屈曲しているため拡散効果が高くなる。
【0122】
上流側放電部(25a)から飛び出したイオンは殆どが対向電極(26)に到達し、上流側放電部(25a)と上流側対向電極(26a)との間で密集している。そして、この間を被処理空気が流れるときにミクロンオーダーの比較的大きな塵埃が帯電する。一方、下流側放電部(25b)から飛び出したイオンは殆どが拡散空間(13a)の空気中に放出されるので該空気中で分散しており、この拡散空間(13a)を被処理空気が流れるときにサブミクロンオーダーの比較的小さな塵埃が帯電する。
【0123】
被処理空気は、小さい粒径の塵埃から大きい粒径の塵埃まで帯電した状態で集塵部(30)へ流入する。集塵部(30)は、プラスの電荷を帯びた電極板とマイナスの電荷を帯びた電極板とを有しているので、イオン化された塵埃をクーロン力で捕捉する。
【0124】
集塵部(30)を通過することにより被処理空気中の塵埃の殆どは除去されているが、集塵部(30)に捕捉されずに空気吹出口(12b)に向かって通過する塵埃も存在する。このように集塵部(30)を通過してしまった塵埃は、吸着部材(15)によって捕捉される。また、吸着部材(15)は脱臭触媒も担持しており、臭気成分も分解される。
【0125】
そして、塵埃が除去されて臭気成分も分解された被処理空気が空気吹出口(12b)から室内空間へ吹き出される。
【0126】
−実施形態2の効果−
この実施形態2においても、荷電部(20)に拡散荷電方式を採用し、この荷電部(20)と集塵部(30)との間に空気通路(13)が屈曲する拡散空間(13a)を設けているので、荷電部(20)の放電電極(25)と対向電極(26)の間で発生したイオンが拡散空間(13a)で拡散しながら被処理空気中の塵埃に結合して、その塵埃が帯電する。拡散空間(13a)を設けたことにより、塵埃とイオンとがこの拡散空間(13a)で混合されることになり、効率的に塵埃が帯電するから、十分な集塵性能を得ることができる。また、装置内で塵埃を帯電させて捕集するため、部屋の壁が汚れるのを防止できる。
【0127】
また、拡散荷電方式だけでなく衝突荷電方式も採用したことにより、空気中の塵埃をサブミクロンオーダーのものからミクロンオーダーのものまで帯電させて除去できる。したがって、除去できる塵埃の粒径が偏ってしまうのを防止できる。
【0128】
−実施形態2の変形例−
図10に示した実施形態2の空気浄化装置(10)では、浄化した空気を図の上方へ吹き出すシロッコファン(17)を用いているが、このシロッコファン(17)の代わりに、図11に示すようにプロペラファン(16)を用いてもよい。この例では、ケーシング(11)に上下または左右から吸い込まれた室内空気を電気集塵と脱臭触媒によって浄化した後、ケーシング(11)の背面から室内へ吹き出すために、図の左側面側に空気吹出口(12b)が設けられている。
【0129】
その他の構成は図10の例と同様であり、このようにしても図10の実施形態2と同様の効果を奏することができる。
【0130】
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。
【0131】
本発明の実施形態3は、図12に示すように、実施形態1の変形例において、空気吸込口(12a)に流路制御部材(35)を設けた例である。この流路制御部材(35)は、荷電部(20)を通る空気の流路断面積を絞ることにより、荷電部(20)における被処理空気の通風速度を空気通路(13)の主要部における通風速度よりも速くするものである。
【0132】
流路制御部材(35)は、具体的には、空気通路(13)における空気吸込口(12a)の開口面積を該空気通路(13)における主要部の開口面積よりも小さく設定するように形成されたものである。この流路制御部材(35)は、空気吸込口(12a)から荷電部(20)に向かって空気通路(13)の断面積が小さくなるように傾斜が付けられた案内板(35a)を有している。また、流路制御部材(35)は、案内板(35a)の後端部から逆方向の傾斜が付けられて流路断面積を下流側に向かって広げる傾斜板(35b)を有している。
【0133】
荷電部(20)の下流側には、拡散部材(13b)としてのフィルタ部材が配置された拡散空間(13a)が設けられている。また、拡散空間(13a)の下流側には、図1の例と同様に、集塵部(30)、吸着部材(15)及びプロペラファン(16)が設けられている。そして、ーシング(11)における図の左側の端面には、空気吹出口(12b)が形成されている。
【0134】
−運転動作−
この実施形態3において、空気浄化装置(10)を起動すると、荷電部(20)と集塵部(30)の電極に電圧が印加されるとともに、プロペラファン(16)が回転を開始する。プロペラファン(16)が回転すると、この空気浄化装置(10)が設置された室内の空気がケーシング(11)内に吸い込まれる。ケーシング(11)に吸い込まれた空気は、空気吸込口(12a)から荷電部(20)に向かって流路断面積が小さくなっているため、風速が速くなった状態で荷電部(20)を通過する。このとき、風速が速くなっているため、荷電部(20)で発生したイオンの拡散効果が実施形態1や実施形態2と比べて向上する。
【0135】
一方、案内板(35a)を過ぎると流路断面積が大きくなるため、風速は遅くなる。風速が速いと集塵部(30)での集塵性能が低下するが、この実施形態では風速の遅い空気が集塵部(30)を通過するので、集塵性能は低下せず、高い集塵性能を得ることができる。
【0136】
集塵部(30)を通過した空気は、集塵部(30)の下流側に設けられている吸着部材(15)が有する吸着剤で臭気成分が吸着されるとともに、脱臭触媒によって分解される。そして、以上のようにして塵埃が除去されるとともに臭気成分も除去された清浄な空気が、空気吹出口(12b)から室内へ吹き出される。
【0137】
−実施形態3の効果−
この実施形態3においても、荷電部(20)に拡散荷電方式を採用し、この荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)を設けているので、荷電部(20)の放電電極(25)と対向電極(26)の間で発生したイオンが拡散空間(13a)で拡散しながら被処理空気中の塵埃に結合して、その塵埃が帯電する。拡散空間(13a)を設けたことにより、塵埃とイオンとがこの拡散空間(13a)で混合されることになり、効率的に塵埃が帯電するから、十分な集塵性能を得ることができる。また、装置内で塵埃を帯電させて捕集するため、部屋の壁が汚れるのを防止できる。
【0138】
また、荷電部(20)を通過する空気の風速を流路制御部材(35)で速くする構成を採用しているので、拡散効果が高められる。そして、流路制御部材(35)は、荷電部(20)を通過した後の空気の流速が遅くなるように形成されているため、集塵部(30)での集塵効率が低下するのも防止できる。
【0139】
また、拡散荷電方式だけでなく衝突荷電方式も採用したことにより、空気中の塵埃をサブミクロンオーダーのものからミクロンオーダーのものまで帯電させて除去できる。したがって、除去できる塵埃の粒径が偏ってしまうのを防止できる。
【0140】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0141】
例えば、上記各実施形態では荷電部(20)に拡散荷電方式だけでなく衝突荷電方式も採用しているが、衝突荷電方式は採用せずに拡散荷電方式だけを採用した荷電部(20)を用いてもよい。
【0142】
また、上記実施形態では、第2荷電部(20b)の対向電極に棒状ないし棒状で断面円形のものを用いているが、この対向電極には、図13に示すように、頂点角度が鈍角になった断面多角形のものを用いてもよい。その場合、第2荷電部の対向電極は、対角寸法または直径寸法が、放電電極と対向電極間の寸法(D)の1/5以下でゼロ(mm)より大きくするとよい。
【0143】
さらに、集塵部(30)は、電極板などを用いた方式に限らず、静電フィルタを用いて構成してもよい。また、荷電部(20)や集塵部(30)の電極の極性は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば逆にしてもよい。
【0144】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上説明したように、本発明は、荷電部で発生させたイオンを空気中に拡散させる拡散荷電方式を採用した空気処理装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施形態1に係る空気浄化装置の概略の内部構造を示す断面図である。
【図2】実施形態1の荷電部の具体構成を示す斜視図である。
【図3】実施形態1の荷電部の具体構成を示す側面図である。
【図4】実施形態1の変形例1に係る空気浄化装置の概略の内部構造を示す断面図である。
【図5】実施形態1の変形例2の荷電部を示す図である。
【図6】図5の荷電部に電源を接続した状態の電気回路図である。
【図7】実施形態1の変形例3の荷電部を示す図である。
【図8】実施形態1の変形例4の荷電部を示す図である。
【図9】実施形態1の変形例5の荷電部を示す図である。
【図10】実施形態2に係る空気浄化装置の概略の内部構造を示す断面図である。
【図11】実施形態2の変形例に係る空気浄化装置の断面図である。
【図12】実施形態3に係る空気浄化装置の概略の内部構造を示す断面図である。
【図13】対向電極の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0147】
10 空気浄化装置(空気処理装置)
12a 空気吸込口
13 空気通路
13a 拡散空間
13b 拡散部材
20 荷電部
20a 第1荷電部
20b 第2荷電部
25 放電電極
25a 上流側放電部(第1放電部)
25b 下流側放電部(第2放電部)
26 対向電極
30 集塵部
35 流路制御部材
S1 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理空気中の塵埃を帯電させる荷電部(20)と、帯電した塵埃を捕集する集塵部(30)とが空気通路(13)に配置された空気処理装置であって、
上記荷電部(20)が放電電極(25)と対向電極(26)を有して拡散荷電を行うように構成され、
上記荷電部(20)と集塵部(30)との間に拡散空間(13a)が設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記拡散空間(13a)に、イオンを空気中に拡散させるための拡散部材(13b)が設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記荷電部(20)を通過した気流が集塵部(30)に至るまでの間に屈曲通路が設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記荷電部(20)における被処理空気の通風速度が上記空気通路(13)の主要部における通風速度よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記荷電部(20)における被処理空気の通風速度を上記空気通路(13)の主要部における通風速度よりも大きくする流路制御部材(35)を備えていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項6】
請求項4において、
上記空気通路(13)の空気吸込口(12a)の開口面積が上記空気通路(13)の主要部の開口面積よりも小さく設定され、
上記荷電部(20)が上記空気吸込口(12a)に設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つにおいて、
上記空気通路(13)の空気吸込口(12a)が、該空気通路(13)の側面に設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つにおいて、
上記集塵部(30)が電気的集塵部材により構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1つにおいて、
上記放電電極(25)を流れる電流をI1とし、対向電極(26)を流れる電流をI2とすると、
両電極には、拡散荷電電流(I1−I2)が流れるように構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1つにおいて、
上記放電電極(25)が針状電極により構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項11】
請求項1から9の何れか1つにおいて、
上記放電電極(25)が鋸歯状電極により構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項12】
請求項10または11において、
上記対向電極(26)が、上記放電電極(25)の放電方向から偏倚した位置に配置されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1つにおいて、
被処理空気の流れ方向に対して上流側に衝突荷電方式の第1荷電部(20a)が配置され、下流側に拡散荷電方式の第2荷電部(20b)が配置されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項14】
請求項13において、
上記第1荷電部(20a)の放電電極(25)と上記第2荷電部(20b)の放電電極(25)が一体型放電電極(25)により構成され、
上記放電電極(25)に対して気流上流側に上記第1荷電部(20a)の対向電極(26)が配置され、気流下流側に上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)が配置されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項15】
請求項14において、
上記一体型放電電極(25)が上記第1荷電部(20a)の放電電極(25)を構成する第1放電部(25a)と上記第2荷電部(20b)の放電電極(25)を構成する第2放電部(25b)とを備え、
上記第1荷電部(20a)の対向電極(26)と上記第2荷電部(20b)の対向電極(26)が一体型対向電極(26)により構成されて、該一体型対向電極(26)が第2放電部(25b)よりも第1放電部(25a)の近傍に配置されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項16】
請求項1から15の何れか1つにおいて、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が、頂点角度が鈍角になった断面多角形の棒状電極により構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項17】
請求項1から15の何れか1つにおいて、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が、断面円形の棒状電極により構成されていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項18】
請求項16または17において、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)は、対角寸法または直径寸法が、放電電極(25)と対向電極(26)間の寸法の1/5以下でゼロ(mm)より大きいことを特徴とする空気処理装置。
【請求項19】
請求項16から18の何れか1つにおいて、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)に対して放電電極(25)と反対側に空間(S1)が設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項20】
請求項16から18の何れか1つにおいて、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)の外周全域に空間(S1)が設けられていることを特徴とする空気処理装置。
【請求項21】
請求項19または20において、
拡散荷電を行う荷電部(20)の対向電極(26)が被処理空気の流れる空気流路内に配置されていることを特徴とする空気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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