説明

空気加熱装置

【課題】 加熱装置内部に復水を滞留することのない空気加熱装置を得ること。
【解決手段】 熱交換器1の入口ヘッダ8に蒸気供給管2を接続する。蒸気供給管2には蒸気エゼクタ4を介在する。フィンチューブ6内に、フロート14とオリフィスプレート15からなる簡易スチームトラップ7を配置する。熱交換器1の出口ヘッダ9に復水溜め容器10とスチームトラップ5を接続する。
フィンチューブ6内の復水は、蒸気エゼクタ4で形成される圧力勾配によって、復水溜め容器10内へ速やかに流下して、熱交換器1の内部に滞留することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を熱源として空気を加熱する空気加熱装置に関し、特に、加熱装置内部に蒸気の凝縮水としての復水を滞留することがないものに関する。
【背景技術】
【0002】
フィンチューブ型の空気加熱装置は、加熱装置への蒸気の供給量を調整弁で制御すると共に、加熱装置に逆止弁と熱動弁を併用して、加熱装置内部が真空になると逆止弁が開弁して加熱装置内へ外気を吸入することによって、復水を外部へ排出できなくなることを防止するものである。
【0003】
この空気加熱装置においては、加熱装置内部の復水を完全に排出することができない問題があった。すなわち、加熱装置内部が真空になると外気を吸入して、復水を排出するためのスチームトラップの入口側と出口側の差圧が負圧になることは防止できるが、スチームトラップの入口側と出口側の圧力は共に大気圧で実質的な差圧はゼロのままであり、加熱装置内部の凹部や細管部に滞留している復水を外部へ確実に排出することができないためである。
【0004】
加熱装置内部に復水を滞留すると、次回の加熱装置の運転時まで滞留し続けることとなり、加熱装置内部を腐食させ、場合によってはフィンチューブに孔を開けて損傷させてしまう。
【特許文献1】特公昭51−31998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、加熱装置内部に復水を滞留することのない空気加熱装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱交換器を通過する空気を、蒸気供給管を介して供給する加熱用の蒸気で加熱して、蒸気が熱を奪われて凝縮した復水をスチームトラップから外部へ排出するものにおいて、蒸気供給管に蒸気エゼクタを取り付けて、当該蒸気エゼクタの吸引室を熱交換器の出口側と連通したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気加熱装置は、蒸気供給管に蒸気エゼクタを取り付けて、この蒸気エゼクタの吸引室を熱交換器の出口側と連通したことにより、熱交換器の出口側において、復水が再蒸発した再蒸発蒸気を、蒸気エゼクタで吸引することによって、熱交換器の入口側と出口側に所定の圧力勾配を形成することができ、加熱装置内部の残留復水を確実に外部へ排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、蒸気供給管に蒸気エゼクタを取り付けるものであるが、本来の蒸気供給管に並行するバイパス蒸気供給管を配置して、このバイパス蒸気供給管に蒸気エゼクタを取り付けることもできる。
【実施例1】
【0009】
本実施例においては、通過する空気を加熱する熱交換器1と、熱交換器1へ蒸気を供給する蒸気供給管2と、蒸気供給管2に取り付けた制御弁3及び蒸気エゼクタ4と、熱交換器1の出口側に接続したスチームトラップ5とで空気加熱装置を構成する。
【0010】
熱交換器1の上部に入口ヘッダ8を配置して蒸気供給管2と接続すると共に、下部に出口ヘッダ9を配置してスチームトラップ5と接続する。出口ヘッダ9とスチームトラップ5の間には、出口ヘッダ9から流下してくる復水を一旦溜め置く復水溜め容器10を配置する。復水溜め容器10の左側上部に管路11を接続して、その上端部を蒸気エゼクタ4の吸引室12と接続する。
【0011】
蒸気供給管2から供給される蒸気は、蒸気エゼクタ4と入口ヘッダ8から熱交換器1内のフィンチューブ6を通過して、矢印13方向に通過する空気と熱交換して復水となり、出口ヘッダ9から復水溜め容器10とスチームトラップ5を通って外部へ排出される。
【0012】
熱交換器1のフィンチューブ6内に、球状のフロート14を自由状態で配置すると共に、フロート14の直下に貫通孔を設けたオリフィスプレート15を配置する。フィンチューブ6内に復水が溜まると、フロート14が自身の浮力で浮上して、オリフィスプレート15の貫通孔から離れて開孔することによって、復水を出口ヘッダ9に流下させるものである。本実施例においては、フロート14とオリフィスプレート15とで簡易スチームトラップ7を構成する。
【0013】
熱交換器1で空気を加熱する場合、蒸気供給管2と入口ヘッダ8からフィンチューブ6内へ供給される所定圧力の蒸気によって、熱交換器1を矢印13方向に流下する空気を加熱する。加熱によって熱を奪われた蒸気は復水となり簡易スチームトラップ7から出口ヘッダ9へと流下し、更に、復水溜め容器10とスチームトラップ5から外部へ排除される。
【0014】
復水溜め容器10内では、流下してきた復水の一部が再蒸発して再蒸発蒸気となって、容器10の上方に溜まり、蒸気エゼクタ4の吸引室12へと吸引されることによって、熱交換器1の入口ヘッダ8と復水溜め容器10の間に所定の圧力勾配が形成されて、熱交換器1内の復水は復水溜め容器10内へ確実に流下することで、熱交換器1内に復水を残留することはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の空気加熱装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0016】
1 熱交換器
2 蒸気供給管
3 制御弁
4 蒸気エゼクタ
5 スチームトラップ
6 フィンチューブ
7 簡易スチームトラップ
8 入口ヘッダ
9 出口ヘッダ
10 復水溜め容器
12 吸引室
14 フロート
15 オリフィスプレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を通過する空気を、蒸気供給管を介して供給する加熱用の蒸気で加熱して、蒸気が熱を奪われて凝縮した復水をスチームトラップから外部へ排出するものにおいて、蒸気供給管に蒸気エゼクタを取り付けて、当該蒸気エゼクタの吸引室を熱交換器の出口側と連通したことを特徴とする空気加熱装置。


【図1】
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【公開番号】特開2009−222284(P2009−222284A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66162(P2008−66162)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】