説明

空気流調節を有する吸入器

【課題】ユーザが吸入する所定物質を放出するべく使用される呼吸デリバリシステム(例えば吸入器)を提供する。
【解決手段】吸入器を通って流れる所定流量を、ユーザの吸入の大きさとは独立して達成/維持できる空気流調節アセンブリ(228)を備える。空気流調節アセンブリ(228)は、バッフル(232)を含む。バッフル(232)は、吸入力の変化に応じて通路(208)の大きさを調節するべくテーパ部(208)内を移動する。これにより、一定の空気流量が維持される。呼吸デリバリシステムはまた、所定物質を放出する複数のアクチュエータを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、適切な物質を、典型的には吸気中にユーザに配送する吸入器の分野に関し、より詳細には、一定の流量を得るため/維持するために空気流路の大きさを調節する吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸デリバリシステム(respiratory delivery system)、例えば、定量吸入器、ドライパウダー吸入器、及び、ネブライザーは、概して、物質を身体の肺組織に、通常簡単な吸入により取り込むことを可能にする。定量吸入器は、概して、薬剤と噴射剤とを、弁を備えた加圧エアロゾル容器中で混合し、それにより、容器の作動時に、一定量のエアロゾルを、吸入される空気流中に放出させる。ドライパウダー吸入器は、通常、粉末状の投与薬剤を、吸気の噴射を用いて流動化し、これらの粉末状の投与薬剤を気道に引き込む。ネブライザーは、概して、吸入されることができる実質的に連続的なキャリアガス流中に、薬剤を噴霧化することによりエアロゾルを形成する。
【0003】
用いられる呼吸デリバリシステムに関係なく、人間の身体の肺組織への従来の薬剤導入は、選択された/予め決められた量の薬剤を、個人の肺組織に、その個人の呼吸器系の相対的な強さ/弱さに関係なく好都合に配送することにおいて、改善すべき点が多い。例えば、現在用いられている定量吸入器は、概して、弁作動とユーザの吸入との少なくとも幾らかの同期を必要とする(或るユーザにとってはこれが困難であることが証明されている)。定量吸入器は、概して、ユーザによる最小閾値吸入に依存するため、この最小閾値よりも吸入が小さいと、肺組織への到達に成功する薬剤の量が、必要な薬剤量に満たないことがある。従って、吸入中空気流の量を「感知」し、かつ、分与される薬剤量を吸入流量に基づいて変化させる定量吸入器を開発するために、様々な試みがなされてきた。換言すれば、二人の個人が、このような「センサ」を備えた定量吸入器を用いる例示的な状態において、第1の個人(第2の個人よりも吸入できる強度が弱い)には、毎回の作動につき、第2の個人が得る濃度より高い濃度の薬剤が分与されるであろう。しかし、ユーザの吸入強度に応じて薬剤の量を調節するこのような試みでは、成功の程度が変化し、これらの全てが消費者にとって相当の価格となる傾向がある。
【0004】
ドライパウダー吸入器は、少なくとも、概して、定量吸入器の同期問題を回避する傾向がある。しかし、ドライパウダー吸入器も、吸入の大きさがユーザ間で異なり、また、(同じユーザでも)状況に応じて異なるという問題を解決できない。すなわち、個人は、粉末状薬剤の全量を「流動化」して吸い込むための十分な力を有する吸入を行うことができないかもしれない。従って、粉末状薬剤の、実際に肺組織に達する投与量は、吸入力に基づいて変化する傾向がある。
【0005】
ネブライザーに関しては、吸入は、概して、ネブライザーノズルでの圧力を低減させる傾向がある。従って、望ましい薬剤投与は、概して、ユーザの吸入の継続時間及び強度により影響を受ける。多くのネブライザーが、「蒸気の連続流」をベースに機能するが、噴霧ガス流をネブライザーから「保持チャンバ」(このチャンバからユーザがチャージ(“charge”)を引き出し得る)に向けさせる制御システムが用いられてきた。しかし、これらの「チャージ」も、概して、気化された薬剤の全量を保持チャンバからユーザが吸入できることに依存する。従って、比較的弱い吸入能力を有するユーザが、薬剤の「チャージ」の全部を受け入れないことがある。従って、分与される薬剤の量を、ユーザの吸入強度に関して制御しようとするネブライザーに関しても、成功の程度が変化することが観察される。
【0006】
要約すると、従来の呼吸デリバリシステムにおける投薬デリバリの正確性は、不都合に不正確である。先に論じたシステムの各々において、目的とされる肺組織に配送されるべき薬剤の望ましい量は、概して、ユーザの吸入強度に(少なくとも或る程度)依存し、概して、投与ごとに、及び/又は、個人間で変化する。すなわち、ユーザの呼吸能力の不足(又は変動)と、そのユーザが、十分な量、処方された量、及び/又は望ましい量の薬剤を一貫して受け入れることの不足(又は変動)との間に相関関係が存在することが認められている。従って、改良された呼吸デリバリシステムであって、不変量の分与薬剤を空気流中に効率的に取り込み、かつ、このような不変量の分与薬剤をターゲット肺組織に良好に配送することを示す呼吸デリバリシステムを開発することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
本特許出願における特許請求の範囲は、概して、本特許出願の詳細な説明の章の序文にて論じられる第1の実施形態の群に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、吸入器の一実施形態の断面図である。
【図2】図2は、図1の吸入器の側面図である。
【図3】図3Aは、図1の吸入器により用いられる液滴噴出装置の端面図であり、図3Bは、図1の液滴噴出装置の、図1の線3B−3Bに沿った断面図であり、図3Cは、図1の吸入器により用いられ得る液滴噴出の一実施形態の、図3Aの線3C−3Cで示された断面による断面図である。
【図4】図4は、吸入器の別の実施形態の側面図である。
【図5】図5は、吸入器により用いられ得る空気流調節アセンブリの一実施形態の側方断面図である。
【図6】図6は、吸入器のコントローラアセンブリと空気流調節アセンブリとの動作的相互接続を用いる、吸入器の別の実施形態の概略図である。
【図7】図7は、コントローラアセンブリを有する吸入器の一実施形態の概略図であり、このコントローラアセンブリは、吸入器に有用な複数の噴出アクチュエータへの、1以上の信号の送信を制御するための動作テストモジュール及び投与行為実行モジュールの両方を有し、このコントローラアセンブリは、また、投与行為の様々なパラメータを確立するための投与行為セットアップモジュールを含む。
【図8】図8は、図7の吸入器のための製造プロトコルの一実施形態である。
【図9】図9は、図7の吸入器の動作テストモジュールにより用いられ得る、吸入器アクチュエータの動作テストプロトコルの一実施形態である。
【図10】図10は、図7の吸入器の投与行為セットアップモジュールにより用いられ得る投与行為セットアッププロトコルの一実施形態である。
【図11】図11は、図7の吸入器の投与行為セットアップモジュールにより用いられ得る投与行為セットアッププロトコルの別の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(序文)
本発明の様々な実施形態の群への概説として、経口吸入及び経鼻吸入が、概して本発明に包含される。本発明の吸入器により、分与、放出、又は他の方法で噴出され得る一つの一般的な物質は、液体薬剤であり、液体薬剤は、複数の個々の不連続の液滴の形態で、典型的には、吸入器を通って流れる空気流中に、吸入器の放出出口の上流のいずれかの場所に噴出されることができる。しかし、本発明は、吸入器により噴出されるいずれの特定のタイプの物質にも限定されず、また、この物質が吸入器から噴出され得るいずれの特定の形態にも限定されない。
【0010】
本発明の実施形態の第1群は、概して、適切な物質を、ユーザにより吸入されるよう放出するために用いられる吸入器に関する。この第1群の実施形態の第1の態様は、少なくとも一つの空気流入口、少なくとも一つの出口(例えば、マウスピース、鼻マスク)、及び、空気流入口と出口との間に延在する少なくとも一つの空気流路を含む吸入器により具体化される。吸入器は、また、少なくとも一つの噴出アクチュエータ及び空気流調節アセンブリを含む。概して、噴出アクチュエータは、適切な物質を空気流中に放出し、その間に、空気流調節アセンブリは、空気流の全てを方向付ける通路の大きさを、吸入器内を通って流れる一定の流量を達成/維持するように調節する。
【0011】
第1群の実施形態の第1態様に関する上記の特徴に、様々な改良点が存在する。さらなる特徴も、第1群の実施形態の第1態様に組み込まれ得る。これらの改良点及びさらなる特徴は、個々に、又は任意の組合せで存在し得る。任意のタイプの噴出アクチュエータが、第1態様の吸入器により用いられ得る。複数の噴出アクチュエータも用いられ得る。これらの複数の噴出アクチュエータは独立に作動可能であり得る。これらの複数の噴出アクチュエータは、また、複数のグループに離隔されることができ、噴出アクチュエータの個々のグループの各々が独立に作動可能である。
【0012】
一実施形態において、空気流調節アセンブリは、一定長さを有する流れ調節ポートを含み、このポートは、ポートの長さにわたって変化する内径を有する。例えば、流れ調節ポートは、ポート内を通って流れる空気流の方向に、少なくとも概して収束する。空気流の全てが、この流れ調節ポートを通して方向付けられる。バッフル、ピストンなどが、前記空気取り入れ(inlet port)ポート内に移動可能に配置され、かつ、空気取り入れポートの長さの少なくとも一部にわたり、空気取り入れポートの内壁に対して離隔されている。流れを絞る(“flow-throttling”)任意の構造が用いられ得る。バッフルの、流れ調節ポートに対する移動が、バッフルと流れ調節ポートの内壁との間隔の大きさを変化させる。
【0013】
バッフルと流れ調節ポートの内壁との間隔の大きさの上記の変化は、吸入器内を通って流れる空気流の一定の流量を実現するために用いられ得る。吸入される物質の配送を増大するために、一定の流量の空気が吸入器内に引き込まれていることが好ましいであろう。より詳細には、吸入される物質の配送は、吸入器内に引き込まれている空気の流量と、物質(例えば薬剤)が空気流中に噴出又は放出される速度との間に何らかの関係を設けることにより増大され得る。ユーザが、少なくとも一定の閾値レベルの吸入力を発生できると仮定すると、バッフルは、流れ調節ポートに対して、ユーザにより発生されている吸入力に関係なく、吸入器内を流れる一定の流量を実現するように配置され得る。
【0014】
上記のバッフルの移動は、純粋に機械的なシステムにより実現され得る。例えば、付勢部材(例えばコイルばね)が、バッフルに、バッフルに加えられている吸入力に対抗するように作用し得る。すなわち、バッフルは「上流」方向に付勢され得る。一定のレベルよりも低い吸入力は、付勢部材を、バッフルと上記の収束する流れ調節ポートの内壁との最大間隔を維持するように圧縮しない。しかし、吸入力が一定のレベルを超えたならば、付勢部材は、バッフルと空気取り入れポートの内壁との間隔を低減するように圧縮を開始する。従って、全ての空気流が通過するはずである空気流路の大きさをこのように低減することは、吸入器内を通過する一定の最大流量のみを可能にすることになる。吸入力がさらに増大すると、バッフルと上記の収束する流れ調節ポートの内壁との間隔は、吸入器内を通過する流量が少なくとも実質的に上記一定の最大流量に維持されるようにさらに低減されることになる。すなわち、吸入力が一定の閾値を超えている限りにおいて、ユーザによる吸入力は、全ての空気流が方向付けられる空気流路の大きさを変更させる(例えば、収束する流れ調節ポート内でバッフルの位置を変えることにより)結果として、吸入器を通じて少なくとも実質的に同じ流量を生じることになる。全ての空気流を方向付ける空気流路の大きさを、純粋に機械的なシステムにより調節するための、他の方法もあり得、これらの方法は、この第1群の実施形態の第1態様の範囲内にある。しかし、本文中に記載された構造も、その独特の設計に基づいた1以上の利益又は利点をもたらし得る。
【0015】
上記バッフルの上記流れ調節ポートに対する移動は、また、或るタイプの信号に応答して達成され得る。例えば、上記の第1態様は、さらに、吸入器の少なくとも一部を通る流量の決定を可能にする空気流監視アセンブリを含み得る。流量の情報が、バッフルと上記の収束する流れ調節ポートの内壁との間隔の大きさを決定するために用いられ得る。1以上の信号が、適切な駆動部に送信され得る。この信号は、上記バッフルを、バッフルと流れ調節ポートとの間隔の「導き出された」又は「計算された」大きさを実現するための位置に移動するための信号である。この場合、任意の適切なタイプの駆動部が用いられ得る。さらに、これらの「信号ベースの」(“signal-based”)空気流調節原理は、全ての空気流を方向付ける空気流路の大きさを調節するために信号に応答して移動することができる任意のタイプの流れ調節構造と共に用いられることができ、これにより、少なくとも実質的に均一の流量を、吸入器のユーザにより発生されている吸入力に関係なく(この場合も、吸入力は、少なくとも一定の閾値を超える値である限りにおいて)もたらすことができる。
【0016】
本発明の実施形態の第2の群は、概して、適切な物質を噴出又は放出させるために吸入器に用いられるアクチュエータの動作テスト能力を備えた吸入器に関する。この第2群の実施形態の第1の態様は、吸入器により具体化され、この吸入器において、テスト信号が、好ましくは、少なくとも、現在吸入器により用いられている(例えば、吸入器の制御論理により現在作動可能な)各アクチュエータ又はアクチュエータグループに、物質を吸入器から噴出又は放出するために送信される。「アクチュエータグループ」(“actuator group”)は、単一の共通の信号により作動される複数の噴出アクチュエータであり、吸入器は、複数のこれらのアクチュエータグループを、これらのアクチュエータグループの各々が独立に作動可能な状態で含み得る。この第1態様のテスト信号は、好ましくは、吸入器からの物質の放出を全く生じさせず、従って、好ましくは、吸入器からの放出を生じさせる作動信号(例えば、作動信号を「機能している」(“working”)噴出アクチュエータに送信すると、吸入器からの放出を生じさせる)とは、少なくとも幾つかの点において異なる。各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの、第1態様に関するテスト信号に対する応答は、例えば、アクチュエータの動作可能性を評価するために、何らかの方法で評価される。
【0017】
第2群の実施形態の第1態様に関する上記の特徴に、様々な改良点が存在する。第2群の実施形態の第1態様に、さらなる特徴も組み込まれ得る。これらの改良点及びさらなる特徴は、個々に、又は任意の組合せで存在し得る。噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの、第1態様に関するテスト信号に対する応答の評価は、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの電気性能を評価することを必要とし得る。各噴出アクチュエータが、吸入器により用いられる噴出信号に対して比較的一定の抵抗を有する抵抗器である(任意の所与のアクチュエータグループも同様)場合を考えられたい。この抵抗は、R=V/Iの関係を用いて計算され得る。この式において、知られた電圧(V)又は電流(I)の電気信号が、特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信され、電圧(V)又は電流(I)の他方は測定され得る。第1態様に関するテスト信号に従って決定される、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの抵抗(R)の、予め決められた量より多くの変化のいずれもが、特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに関する何らかのタイプの失格を示し、又は、それと同等と見なされ得る。アクチュエータグループの場合、「失格した状態」(“failed condition”)(グループ中の1個のアクチュエータのみが失格した場合を含む)を規定するための任意の適切な基準が用いられ得る。しかし、より典型的には、第1態様は、所与のアクチュエータグループ内の予め決められた複数の噴出アクチュエータが、第1態様に従ってアクチュエータグループが失格した状態であると見なされる前に失格した状態になることを可能にするように実行され得る。他のタイプのアクチュエータ、例えば、圧電性物質ベースのアクチュエータも、アクチュエータの電気特性により評価され得ることが理解されよう。
【0018】
上記テスト信号へのアクチュエータの応答の評価に関して「失格である」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに関して第1態様を実行するための一つの方法は、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを、次の投与行為に関して何らかの方法で機能を無効にすることであろう。又は、吸入器の制御論理に、少なくとも、第1態様に関するセルフテストに「失格した」これらの噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの存在に関する入力をもたらすことであろう。これは、特に、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが独立に作動可能である場合、かつ、少なくとも実質的に、予め決められた量の材料が、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループにより、予め決められた作動信号に応答して放出される場合に関係がある。噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを無効にすることは、このようなアクチュエータ又はアクチュエータグループの全てが、吸入器による以後のデリバリ動作又は「投与行為」(“dosing event”)での使用に対して有効でないことを意味する。吸入器が何らかの方法で「コンピュータ制御」される(例えば、吸入器の動作を、作動信号が吸入器の噴出アクチュエータにもたらされる方法に少なくとも関連して制御するための、プログラム可能なメモリを含むことにより)場合を考えられたい。「投与行為」は、同じ作動信号を、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの各々に、一定時間にわたって複数回(例えば、2秒間に8パルス)送信することを必要とし得るが、1以上の作動信号を1以上の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに配信するための予め決められた任意のプロトコルを含む。第1態様に従うセルフテストに失格した全ての噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを無効にすることは、全て、第1態様の吸入器の制御論理により認識/対処されることができ、また、特定の投与行為の実行を修正又は調節するために、この制御論理により用いられ得る。一つの方法は、特定の投与行為のために「無効にされた」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信されるはずであった個々の各作動信号が、第1態様のセルフテストを「パスした」(“passed”)噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信されることである。これは、様々な方法で行われ得る。例えば、1以上の作動信号を、最初の投与行為の「最後」(“end”)に(すなわち、変更される前に)加えることにより行われる。こうして、吸入器内の1以上の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが動作不能である(又は、上記の無効機能により全体的に動作不能にされる)としても、吸入器は、なお、第2群の実施形態の第1態様の結果として、少なくとも実質的に同一の予め決められた放出量を、所与の投与行為のために正確に配送することができるであろう。
【0019】
第1態様に従って「失格した」特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに対処することにおいて実行され得る別の方法は、吸入器に用いられる制御論理に関して一時的に無効にされている吸入器の任意の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを「再びアクティブにする」(“re-activate”)ことである。すなわち、第1態様に関する吸入器は、実際、任意の1回における吸入器のための実際に望ましい/必要な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの個数より多くの数の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを含み得る。これにより、第1態様の吸入器の制御論理は、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの幾つかのみを用いるように「プログラミング」されることができ、現在必要ないアクチュエータは、一時的に無効にされ得る(例えば、制御論理は、現在必要ないアクチュエータに、投与行為の全体にわたり、作動信号を送信しないようにプログラミングされる)。第1態様に従って「失格した」、およびその様に識別された噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループは、1対1の関係で、吸入器の対応する「余剰の」(“excess”)噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループと交換され得る。すなわち、吸入器の制御論理は、第1態様に従って「失格した」或る噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを用いずに、余剰の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの一つを優先して用いるように再プログラミングされ得る。このような「余剰の」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループは、好ましくは、実際の投与行為に関与する前に、動作能力に関して(第1態様に従うテストを含む)最初にテストされる。
【0020】
第1態様は、吸入器が呼吸デリバリ操作に用いられるために配布される前のテスト手順の一部として実行され得る。しかし、好ましくは、第1態様は、第1態様のセルフテストが、吸入器が吸入器のユーザへの配布のために販売された後に実行されることを少なくとも可能にするために行われる。これは、ユーザが第1態様のセルフテストの手動開始を行うことによるユーザの判断に委ねられ得る。又は、セルフテストは、第1態様のセルフテストが何らかの原理で自動的に実施されるように吸入器の制御論理のプログラムに組み込まれることもできる。後者の場合、第1態様のセルフテストを、各投与行為が吸入器により実行される前に、又は、少なくとも何らかのタイプの周期で実行することが望ましいであろう。
【0021】
第2群の実施形態の第2態様は、上記の第1態様に、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの性能を監視することが加えられる。これは、実際の作動信号、すなわち、吸入器からの放出をもたらす信号を用いて、かつ、第1態様及び第1態様の「テスト信号」に関して先に論じた方法と、少なくとも概して同じ方法で行われる。すなわち、第2態様における各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの性能は、実際の投与行為にてアクチュエータに送信された実際の信号に基づいて、典型的に、アクチュエータの動作性能に関して監視/評価される。
【0022】
第2群の実施形態の第2態様に関する上記の特徴に、様々な改良点が存在する。さらなる特徴も、第2群の実施形態の第2態様に組み込まれ得る。これらの改良点及びさらなる特徴は、個々に、又は任意の組合せで存在し得る。初めに、先に述べたように、第1態様に関して論じた基本原理が第2態様にも同等に適用可能である。しかし、第2態様に関する特定の議論を是認する多くの領域がある。第2態様に関して失格したと識別される任意の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが、多数の方法で対処され得る。一つの方法は、「失格した」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに最初に送信された各作動信号を、第2態様に従って「失格」しなかった別の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに再送信することであろう。これは、「リアルタイム」ベースでの実行、又は、所与の投与行為中の実行が困難であろう。より可能な実行は、吸入器のユーザに、「失格した」投与行為に関する何らかの通知をもたらし、次の投与行為のために失格を改善することである。これは、先に記載した方法のいずれかを用いて行われる(例えば、評価を「パスした」既存の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを用いて、先の投与行為にて「失格した」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信された作動信号数と等しい数の追加の作動信号を受信すること;失格の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを交換するために、「余剰」の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを、所与の「投与行為」のために吸入器に有用な「アクティブな」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに「追加する」ことによる)。
【0023】
上記の内容に関する別の可能性は、ユーザに、補充(“make-up”)投与行為が実行されるべきであることを知らせることと、補充投与行為が実行されるべき時間もおそらく知らせることであろう。これは、第2態様の吸入器により、多数の因子に基づいて可能である。独立に作動可能な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを有することが、所与の投与行為にて吸入器により放出される物質の量の非常に正確な制御を可能にする。信号に関して(与えられる信号の数に関しても)、正確な制御が行われるため、また、さらに、単一のアクチュエータ又はアクチュエータグループが、一定の信号に応答して一定の量を分与するため、所与の投与行為において第2態様の吸入器により放出される物質の量は、正確に決定されることができる。第2態様の吸入器は、所与の投与行為に関して失格であった特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを既に決定しているであろう。さらに、第2態様の吸入器は、どれだけの数の作動信号が、これらの噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに、アクチュエータが「失格」状態であるときに送信されたかを追跡記録するように構成され得る。従って、第2態様の吸入器は、「補充」投与行為を以下のように規定するように構成され得る。すなわち、「補充」投与行為は、新しい作動信号を、直前の投与行為において動作可能であった、又は、その他の動作可能な1以上の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループ(例えば、「余剰」アクチュエータ)に送信することとして規定され、これらの新しい作動信号の数は、第2態様に従う、直前の投与行為にて「失格した」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信された作動信号の数と等しい。
【0024】
本発明の実施形態の第3群は、概して、適切な物質をユーザが放出させるために用いられる吸入器に関する。第3群の実施形態の第1の態様は、複数の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを含む吸入器により具体化される。このような複数のアクチュエータグループは、いずれも、単一の共通の信号により同時に作動される、少なくとも一つの、典型的には複数のアクチュエータを含む。好ましくは、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループは、吸入器の制御論理としてみなされ得るものにより、独立に作動可能かつ処理可能である。すなわち、作動信号(又は、作動のための任意の信号、例えば、セルフテスト信号)が、任意の指定された噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信され得る。これらの噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループは、共通の噴出ヘッドなどに取り付けられ、又は、これらのヘッドに存在し得る。或いは、吸入器は、多数の独立の噴出ヘッドを含むことができ、それらの各々が、少なくとも一つの、より典型的には複数の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを含む。いずれの場合においても、現在「アクティブな」噴出アクチュエータの数は、吸入器のために存在する噴出アクチュエータの総数よりも少ない。すなわち、吸入器は、どのようなときも、所与の投与行為を達成するために噴出アクチュエータの全部は用いない。すなわち、吸入器のために存在する噴出アクチュエータの少なくとも幾つかが、物質を吸入器から、少なくとも現時点で放出することができないように、一時的又は永久的に無効にされる。
【0025】
第3群の実施形態の第1の態様に関する上記の特徴に、様々な改良点が存在する。さらなる特徴も、第3群の実施形態の第1態様に組み込まれ得る。これらの改良点及びさらなる特徴は、個々に、又は任意の組合せで存在し得る。第1態様を特徴付ける一つの方法は、上記の吸入器を製造するための方法であって、所望の/必要な数よりも多数の噴出アクチュエータが、吸入器のために設置される方法である。この場合、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの、少なくとも幾つか、より好ましくは全てを、吸入器にアクチュエータを設置する前、又は設置後に、かつ、ユーザへの配布のために吸入器を販売する前に、テストが行われ得る。吸入器が、「x」個の動作可能な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを有するように設計されると仮定する。「x」個より多くの噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが製造され、吸入器に設置される。吸入器の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループをテストすることは、少なくとも「x」個の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが適切に動作可能であると決定されたときに終了され得る。しかし、好ましくは、全ての噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが、動作可能性に関してテストされる。これは、余剰の動作可能な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが存在するかどうかを決定又は確認するため、又は他の目的のため(例えば、最初に動作可能であった噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループのいずれかが後に動作しなくなり、本文中に記載されたセルフテストプロトコルに従って失格と決定されるならば、「再びアクティブにする」ため)である。
【0026】
様々な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループをテストすることは、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの動作可能性を個別に決定することと見なされ得る。個々の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの動作可能性のテストは、第3群の実施形態の第1態様のために、任意の適切な方法で達成され得る。例えば、光学テスト技術が、以下のことを決定するために用いられ得る。すなわち、代表的な作動信号が特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信されるときに所与の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが適切な放出をもたらしているかどうかを決定するために、光学テスト技術が用いられ得る(例えば、特定の噴出アクチュエータが吸入器から物質を放出するときに物質が通るノズル、又は、特定の噴出アクチュエータグループが吸入器から物質を放出するときに物質が通るノズルを光学的に検査することにより)。別の方法は、特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの電気性能を評価することであろう。電気性能の評価は、実際の作動信号又は噴出信号を用いることを必ずしも必要とせず、その代わりに、所与の投与行為のために吸入器により用いられる作動信号とは異なるテスト信号を用い得る。例えば、テスト信号は、このテスト信号を受信する特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループによる放出を生じさせる必要が全くない。様々な噴出アクチュエータの各々が、吸入器により共通に用いられる噴出信号に関して比較的一定の抵抗を有する抵抗器である場合を考えられたい。この抵抗は、R=V/Iの関係を用いて計算され得る。この式において、知られた電圧(V)又は電流(I)の電気信号が、特定の噴出アクチュエータに送信されることができ、電圧(V)又は電流(I)の他方は測定され得る。第1態様のこの変型に関するテスト信号に従って決定される、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの抵抗(R)のどのような変化も、特定の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに関する何らかのタイプの失格を示し得る。他のタイプのアクチュエータ、例えば、圧電性物質ベースのアクチュエータも、アクチュエータの電気特性により評価され得る。
【0027】
第1態様の上記の変型を実行するための一つの方法は、上記動作テストに応答する評価に関して「失格である」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを、吸入器の制御論理に関して永久的に又は一時的に無効にすることであろう。これは、特に、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが独立に作動可能である場合、かつ、予め決められた量の材料が、各噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループにより、予め決められた作動信号に応答して放出される場合に関係がある。噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの機能を無効にすることは、このようなアクチュエータ又はアクチュエータグループの全てが、吸入器による以後のデリバリ操作又は「投与行為」での使用に対して、少なくとも、吸入器の制御論理の現在の状態では有効でないことを意味する。「投与行為」は、同じ作動信号を、一定の個数の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに、一定の時間にわたって複数回(例えば、2秒間に8パルス)送信することを必要とし得るが、1以上の作動信号を1以上の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに配信するための予め決められた任意のプロトコルを含む。第1態様に従って、アクチュエータの動作可能性に関して少なくとも或る不備が確認されたことにより噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの全てを無効にすることは、これらの噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが、吸入器の制御論理の現在の状態に基づいた全ての投与行為に関与しないことを意味する。
【0028】
所与の吸入器のための1以上の噴出アクチュエータ又は1以上のアクチュエータグループを無効にすることは、永久的に又は一時的に行われ得る。噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループをこのように無効にすることも、全て、第1態様に従って、予め決められた数の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループが吸入器のために動作可能であると決定された後に行われる。1以上の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを永久的に無効にすることは、おそらく、一定の信号を所望の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信することにより(例えば、高電流を、抵抗ベースのアクチュエータに流すことにより)達成され得る。任意の余剰の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを無効にするこの方法は、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループのいずれもの無効状態を「知る」ために、吸入器の制御論理を必要としない。すなわち、吸入器の制御論理が、なお、信号を、吸入器のために設置された噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの各々に送信しても、無効にされた噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループは、このような作動信号のいずれにも、放出をもたらすようには反応しない。別の方法は、吸入器の制御論理を以下のように「プログラミング」することであろう。すなわち、いずれの投与行為に関しても、「無効にされた」噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループには、作動信号を全く送信しないように制御論理をプログラミングする。後者のプログラミングの利点は、特に、吸入器が携帯用として構成され、かつ「オンボード」電源を含む場合に、吸入器のための電力を節約することであろう。
【0029】
本発明の実施形態の第4群は、概して、吸入器が、投与行為を実行する(適切な物質が吸入器から噴出され、又は他の方法で分与される)方法を制御することに関する。第4群の実施形態の第1の態様は、概して、吸入器の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの少なくとも一つの、より好ましくは各々の動作可能性が、少なくとも時々(投与行為の前、投与行為中、又は投与行為後に)決定される吸入器において具体化される。「アクチュエータグループ」は、単一の共通の信号により、又は、他の或る予め決められた方法で同時に作動される、複数の噴出アクチュエータである。吸入器は、これらの複数のアクチュエータグループを含むことができ、これらのアクチュエータグループの各々が、独立に作動可能である。吸入器のための所与の投与行為の実行を制御する1以上のパラメータ(本文以下、投与行為に関する「投与行為制御論理」)は、少なくとも何らかの方法で、吸入器により、噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの少なくとも幾つかの動作可能性に関するこの情報に基づいて、第1態様の原理に従って、確立又は規定される。
【0030】
第4群の実施形態の第1の態様に関する上記の特徴に、様々な改良点が存在する。さらなる特徴も、第4群の実施形態の第1態様に組み込まれ得る。これらの改良点及びさらなる特徴が、個々に、又は任意の組合せで存在し得る。「投与行為」は、同じ作動信号を、1以上の個々の噴出アクチュエータに、若しくは、1以上のアクチュエータグループに、又は、アクチュエータの何らかの組合せに、一定の時間にわたって複数回送信することを必要とし得るが、1以上の作動信号を、1以上の噴出アクチュエータに、若しくは1以上のアクチュエータグループに、又は、アクチュエータの何らかの組合せに配信するための、予め決められた任意のプロトコルを含む。典型的に、作動信号のパターンが複数回繰り返され、パターンの実行の各々が、投与行為サイクル、投与行為制御論理サイクル、噴出アクチュエータ/アクチュエータグループ噴射サイクルなどと見なされ得る。幾つかの場合において、所与の投与行為の1サイクルにおける最後の作動信号の時刻と、同じ投与行為の次の(next-in-time)サイクルにおける第1の作動信号の時刻との間に遅れが生じることがあり、この遅れを、「デッドタイム」と見なし得る。デッドタイムは、第4群の実施形態に従う吸入器により実行可能な全ての投与行為に必ず存在するとは限らないであろう。
【0031】
第4群の実施形態に従う吸入器による投与行為の実行の各々により、比較的一定量の所与の物質が噴出又は放出される(例えば、投与量の変化は、同じ投与行為の各実行にて配送される総投与量に、ほとんど又は全く変化がないように、許容可能な比較的小さい範囲内である)。第4群の実施形態に従う吸入器に組み込まれ得る、投与量配送制御の基本的な前提は、決定可能かつ固定された量の所与の物質が、吸入器の所与の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループにより、所与の作動信号に対して噴出されることである。これは、もちろん、所与の投与行為に用いられる噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループの各々が動作可能であることを前提としてのことである。噴出アクチュエータ、アクチュエータグループ、又は、噴出アクチュエータ及びアクチュエータグループの両方の動作可能性を、第4群の実施形態に従って決定することにより、この第4群の実施形態に従う吸入器が、所与の投与行為の実行を制御することを可能にし、この制御は、所与の投与行為制御論理の各実行にて吸入器により分与される物質の総量の一貫性を少なくとも改善するように行われる。すなわち、第4群の実施形態の吸入器は、所与の投与行為制御論理の、時間の経過における変更を、この投与行為制御論理の各実行にて吸入器により配送される総投与量の変化が少なくとも低減されるように可能にし得る。
【0032】
以下に、第4群の実施形態を、個々の噴出アクチュエータのみを用いる投与行為制御論理に関して論じる。しかし、以下の論議は、アクチュエータグループのみ、又は、個々の噴出アクチュエータとアクチュエータグループの何らかの組合せを用いる任意の投与行為制御論理にも等しく適用可能である。
【0033】
第4群の実施形態は、投与行為制御論理を、投与行為の次の実行のために、この投与行為制御論理に基づいて変更するために用いられ得る。論点となる、第1の構成を有する投与行為制御論理が一定の個数の噴出アクチュエータを用いる場合、及び、これらの噴出アクチュエータの1以上が動作可能でないという決定がなされた場合を考えられたい。第4群の実施形態の吸入器は、最初に、動作不可能な全ての噴出アクチュエータが第1構成の投与行為制御論理にて受信するように予定される作動信号の数を決定し得る。その後、投与行為制御論理を、第1構成から第2の構成に変更することができ、この変更により、これらの作動信号を、第1構成の投与行為制御論理により用いられるように指定されていた1以上の動作可能な噴出アクチュエータに送信する。別の方法は、単に、第1構成の投与行為制御論理により用いられるように指定されている、動作可能でない噴出アクチュエータを識別し、そして、投与行為制御論理を、第1構成から第2の構成に変更することであり、これにより、これらの噴出アクチュエータの各々を、動作可能であると決定された、かつ、第1構成の投与行為制御論理によって用いられるように指定されなかった噴出アクチュエータに取り替えることである。
【0034】
上記の内容に基づいて、第4群の実施形態に関する吸入器は、実際、吸入器に有用な所与の投与行為制御論理により用いられる噴出アクチュエータの数よりも多くの数の噴出アクチュエータを含み得る。これにより、第4群の実施形態に従う吸入器の投与行為制御論理は、噴出アクチュエータの幾つかのみを用いるように「構成される」ことができ、また、現在の形態の投与行為制御論理によっては現時点では用いられない噴出アクチュエータは、一時的に無効にされ得る(例えば、投与行為制御論理を、この投与行為制御論理に基づいた投与行為の実行中に作動信号を噴出アクチュエータに送信しないように構成することにより)。第4群の実施形態に従って動作可能でないと決定され、かつそのように確認された噴出アクチュエータは、吸入器の対応する「余剰の」噴出アクチュエータにより、1対1の関係で取替えられ得る。すなわち、第4群の実施形態に従う吸入器の投与行為制御論理は、動作不能と決定された或る噴出アクチュエータを用いずに、「余剰の」噴出アクチュエータを優先し、かつ、第4群の実施形態に従って、再構成され得る。このような「余剰の」噴出アクチュエータは、いずれも、好ましくは、対象の投与行為制御論理に組み込まれる前に、アクチュエータの動作可能性に関して最初にテストされる。
【0035】
投与行為制御論理を変更し、後に、その投与行為制御論理に従って任意の投与行為を実行するための別の方法は、投与行為制御論理を、現在の形態又は第1の構成で読み出し、その後、動作可能で、かつこの第1構成の投与行為制御論理により現在用いられていない噴出アクチュエータがあるかどうかを決定することを含み得る。これらのステップは任意の順序で実行され得る。第1構成の投与行為制御論理により現在用いられていない1以上の動作可能な噴出アクチュエータがある場合に、投与行為制御論理を第2の構成に変更するための多くの方法がある。余剰の噴出アクチュエータがある場合に、第4群の実施形態に従う投与行為制御論理を第1の構成から第2の構成に変更するための一つの方法は、動作可能な余剰の噴出アクチュエータを、第1の構成の投与行為制御論理の隣り合うサイクル間の任意のデッドタイムに組み込むことであろう。これは、1アクチュエータあたりの噴射頻度を、第2の構成の投与行為制御論理に従って実行される投与行為に関して同一に維持するであろうが、このような投与行為を完全に実行するために必要とされる全時間は減少させることになる。なぜなら、噴出信号がより多くなり、それにより、より多くの物質が、投与行為の各サイクルにおいて配送されるであろうからである。すなわち、上記の場合、関連する投与行為制御論理を変更することにより、追加の噴出アクチュエータが、投与行為の各サイクルに組み込まれることができ、これは、投与行為の各サイクルの実行に必要とされる全時間を延長させることはない。この第2の構成の投与行為制御論理に従う投与行為の実行を完了するために必要とされるサイクルは、より少なくてよく、また、関連する投与行為のための所望の全投与量をもたらすためにサイクルの実行部分のみを含むことが理解されよう。
【0036】
投与行為制御論理を第1構成から第2構成に変更することにより、投与行為の各サイクルを実行するのに必要な全時間を延長せずに、動作可能な余剰の噴出アクチュエータの全てを投与行為の各サイクルに組み込むことは可能ではないかも知れない(すなわち、1噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループあたりの噴射頻度は、実際、投与行為制御論理を第1構成から第2構成に変更するときに低減し得る)。しかし、第4群の実施形態は、投与行為制御論理を第1構成から第2構成に、投与行為の各サイクルを延長するように変更することを含み、これは、少なくとも一つの追加の動作可能な噴出アクチュエータを各サイクルに用いることにより行われる。先に述べたように、第2構成の投与行為制御論理に従う投与行為の実行を完了するために必要とされるサイクルは、より少なくなり得る。
【0037】
第4群の実施形態は、また、投与行為制御論理を、動作可能な噴出アクチュエータを識別することに基づいて確立又は規定するものとして見なされ得る。この場合、第4群の実施形態に従って投与行為制御論理を規定するために必要とされる情報は、現在規定されている投与行為制御論理に従って実行される投与行為で配送されることが必要とされる全投与量と、動作可能な各噴出アクチュエータにより1作動信号につき配送されると少なくとも見なされる投与量とを含むであろう。例えば、代表的な個数の噴出アクチュエータが、或る予め決められた作動信号に基づいてアクチュエータから放出される物質の量を決定するために評価され得る。このようなアクチュエータの各々からの平均放出量が、第4群の実施形態により用いられ得る。いずれの場合においても、対象とされる投与行為のための所望の総投与量を、1作動信号につき1噴出アクチュエータにより配送される投与量で割ることにより、対応する投与行為制御論理により用いられるために必要とされる作動信号の総数がもたらされる。そして、作動信号の総数を動作可能な噴出アクチュエータの総数で割ると、投与行為制御論理により用いられるべきサイクルの数が決定する。そして、各サイクル内の噴射パターンが、任意の適切な方法により確立され得る。
【0038】
第4群の実施形態は、所与の投与行為に、その投与行為の制御論理により用いられるように指定された噴出アクチュエータの1以上が、実際には、対象の投与行為に、対象の投与行為制御論理により必要とされる範囲まで関与しなかったことを決定し得る(例えば、所与の投与行為に用いられように指定された特定の噴出アクチュエータ動作可能性が、投与行為の実行中に評価され得る)。この状況に対処するための多数の方法がある。一つの方法は、対象の投与行為を、その投与行為制御論理に従って実行している間に、動作可能でない噴出アクチュエータに送信された作動信号の総数を実際に決定することと、次いで、この同じ数の作動信号を、1以上の動作可能な噴出アクチュエータに送信することであろう。これは、第4群の実施形態に含まれるが、「リアルタイム」ベースでの実行、すなわち、対象の投与行為を、その投与行為制御論理に従って実行している間に実行することが困難であろう。より可能な実行は、吸入器のユーザに、「失格した」投与行為に関する何らかの通知をもたらし、この失格を、次の投与行為のために改善することである。これは、先に記載した方法のいずれかを用いて行われる(例えば、動作可能であると決定された既存の噴出アクチュエータを用いて、対象の投与行為の先の実行にて動作不能の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信された作動信号数と等しい数の追加の作動信号を受信すること;失格の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを交換するために、「余剰」の噴出アクチュエータを、所与の「投与行為」のために、吸入器に有用な「アクティブな」噴出アクチュエータに「追加する」ことによる)。
【0039】
上記の内容に関する別の可能性は、ユーザに、「補充」(“make-up”)投与行為が実行されるべきであることを知らせることと、「補充」投与行為が実行されるべき時間もおそらく知らせることであろう。これは、第4群の実施形態の吸入器により、多数の因子に基づいて可能である。独立に作動可能な噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループを有することが、所与の投与行為にて吸入器により放出される物質の量の非常に正確な制御を可能にする。信号に関して(与えられる信号の数に関しても)、正確な制御が行われるため、また、さらに、単一の噴出アクチュエータが、一定の作動信号に応答して一定の量を分与するため、第4群の実施形態の吸入器により所与の投与行為において放出される物質の量は、比較的正確に決定されることができる。第4群の実施形態の吸入器は、所与の投与行為の実行に関して失格であった特定の噴出アクチュエータを既に決定しているであろう。さらに、第4群の実施形態の吸入器には、どれだけの数の作動信号が、これらの噴出アクチュエータに、アクチュエータが「失格」又は動作不能状態であるときに送信されたかを追跡記録するように構成され得る。従って、第4群の実施形態の吸入器は、「補充」投与行為を以下のように規定するように構成され得る。すなわち、「補充」投与行為は、新しい作動信号を、直前の対象の投与行為の実行において動作可能であった、又は、その他の動作可能な(例えば、「余剰」アクチュエータ)1以上の噴出アクチュエータに送信することとして規定され、これらの新しい作動信号の数は、第4群の実施形態に従えば、直前の投与行為にて「失格」又は動作不能状態の噴出アクチュエータ又はアクチュエータグループに送信された作動信号の数と等しい。
【0040】
(実施形態の説明)
ここで本発明を、本発明に関する様々な特徴を示すことを少なくとも補助する添付図面を参照しつつ説明する。呼吸用のデリバリシステム(respiratory delivery system)の一実施形態であるシステム10が、図1〜図3Cに示されている。デリバリシステム10は、例示された実施形態において、ポータブル吸入器14の形態である。吸入器14は携帯可能であり、かつ、任意のタイプの流動可能な物質を個人に経口的に配送する。最も一般的には、この物質は、液体の形態で吸入器14内に貯蔵される或るタイプの薬剤であろう。本文以下、呼吸デリバリシステム10を、このような薬剤の適用に関して説明する。しかし、ガス状物質も、吸入器14を用いて配送されることができ、また、非薬剤物質も、液体又は気体の両方の形態で、そして、懸濁液中の粉体の形態で配送されることが可能である。さらに、吸入器14は、これらのタイプの物質の局所的又は経鼻配送のためにも用いられことができる。
【0041】
2つの基本的なアセンブリ(組立体)が吸入器14を画成している。一方は、ハンドピース16であり、他方はカートリッジアセンブリ28である。概して、ハンドピース16は、吸入器14の動作を制御するための、また、吸入器14の使用に関する情報を記録するための幾つかの電子素子を含む。一方、カートリッジアセンブリ28は、薬剤の供給部、及び、薬剤が吸入器14から液滴の形態で放出されるときに通される一種の「ヘッド」を含む。
【0042】
吸入器14のハンドピース16の一つの部品は、少なくともほぼ円筒状のハウジング18である。例示された実施形態は、吸入器のハウジング18の全体にわたり円筒形状であるが、異なる形状も考えられ得る。吸入器14からの放出は、放出出口を画成するハウジング18の端部22を通して行われる。一般に、ハウジング18の放出端22は、吸入器14を用いている個人の口に挿入される。必要であれば、吸入器14の放出端22に、マウスピースなども形成され得る(図示せず)。吸入器ハウジング18の反対端は参照符号26を付して示す。
【0043】
好ましくは、幾つかの電気部品が吸入器14に用いられる。これらの電気部品を通る空気流が、電気部品の動作に有害な影響をもたらす可能性がある。従って、一実施形態において、吸入器ハウジング18の端部26は閉鎖されている。空気は、むしろ、吸入器14を用いている個人が吸入するための複数の液滴をハウジング18内に導入するためにハウジング18内に引き込まれる。この方法は、以下に、より詳細に説明する。空気は、複数の空気取り入れ(吸気)スロット82を通して引き込まれる。吸気スロット82は、図2に示されているように吸入器ハウジング18内に延在し、各々が、吸入器入口を画成している。概して、先に述べた電気部品は、吸入器ハウジング18の吸気スロット82と閉鎖端26との間の、吸入器ハウジング18内の或る場所に配置されており、従って、吸入器14を用いている個人の吸入中に、吸入による空気流が電気部品に向けられない。スロット82がこのような利点を有するであろうことに関わらず、1以上の空気取り入れオリフィスを、吸入器ハウジング18の端部26に、又は、吸入器ハウジング18の他の適切な場所に配置することも可能である。さらに、これらのスロット82の形状は、矩形であるように示されているが、スロット82の形状は、空気が吸入器ハウジング18内に流れ込むことを可能にする任意の形状であることができる。
【0044】
カートリッジアセンブリ28は、ハンドピース16の吸入器ハウジング18に着脱可能に相互連結され、これにより、一つのカートリッジアセンブリ28が吸入器ハウジング18から個人により取り外されて、構造的に類似のカートリッジアセンブリ29に取り替えられ得る。カートリッジアセンブリ28と吸入器ハウジング18との「スナップ嵌め」による相互連結が用いられ得る(図示せず)。カートリッジアセンブリ28を吸入器ハウジング18内から取り外すために、又は「スナップ嵌め」による相互連結を外すために、適切なボタン又は他の機構が用いられ得る。カートリッジアセンブリ28の挿入及び取り外しは、共に吸入器ハウジング18の放出端22を通して行われ得るが、カートリッジアセンブリ28の挿入及び取り外し(図示せず)をもたらすために、吸入器ハウジング18が、複数の着脱可能な相互連結された(例えば、ねじによる相互連結)部品から形成されることも可能である。いずれの場合にも、容易に着脱可能なカートリッジアセンブリ28を設ける理由は、個人が同じ吸入器14を用いて複数の薬剤を放出することを可能にするためである。二人以上の個人が、同じ吸入器14を用いて、或る個人が所有する1以上のカートリッジアセンブリ28に収容されている1以上の薬剤を放出することもできる。
【0045】
カートリッジアセンブリ28は、一定の薬剤の供給部を収容する薬剤容器46を含む。必要に応じて複数の薬剤を同時に放出し、又は任意の一つの薬剤を放出するために、カートリッジアセンブリ28に複数の薬剤容器46を用いることもできる(図示せず)。この薬剤及び/又はこの特定の薬剤の容器46に関する様々なタイプの情報がチップ48に電子的に記憶される。チップ48は、薬剤容器46に取り付けられ、又は、薬剤容器46と一体的に形成される。チップ48に含まれ得る情報は、以下のものである。すなわち、1)薬剤容器46内の特定の薬剤の同一性;2)この特定の薬剤の種類;3)この特定の薬剤の濃度;4)この特定の薬剤の、個人への放出が未だ全く行われていない状態での、薬剤容器46内に最初に含まれる全容量;5)薬剤容器46内に貯蔵されている薬剤を使用するために指定される個人の同一性;6)薬剤容器46内に貯蔵される薬剤の使用に関する制約(例えば、別のカートリッジアセンブリ28に収容されて同じ吸入器14から放出され得る異なる薬剤を、一定の時間内に投与するように用いられるべきでないこと):7)薬剤容器46からの薬剤の放出を制御するためのプロトコル(例えば、作動信号、吸入器14からの1回又は所定回数の放出である各「投与行為」間の必要な時間間隔);8)吸入器14が特定のカートリッジアセンブリ28を用いて動作可能であるように入力されなければならないアクセスコード;及び、9)薬剤の分与及び/又は薬剤の分与量が変更されるとしたら、どのように変更されるべきか(患者の要求条件に基づいて、又は他の方法で)に関する「プロトコル」である。カートリッジアセンブリ28の使用に関するデータも、チップ48に、適切なデータベース構造などで記憶され得る(例えば、チップ48は、1以上の電子メモリも含み得る)。例えば、吸入器14からの各「投与行為」又は各1回の放出の時間及び日付が、チップ48に、今後の使用/評価のために記録され得る。さらに、吸入器14により用いられる液滴噴出装置30の任意のアクチュエータ42の動作可能性に関する情報もチップ48に記憶され得る。吸入器14により用いられる液滴噴出装置30の、「動作されなかった」ことを、図8及び図9に関して後に論じるプロトコルのいずれかに従って決定された全てのアクチュエータの数及び配置に関する情報もチップ48に記憶され得る。
【0046】
薬剤容器46から出た薬剤は、ポータブル吸入器14から、好ましくは、複数の液滴の形態で放出され、これらの液滴は、吸入流により/吸入流が流れている間に、吸入器ハウジング18の放出端22を通って送出される。この点に関し、吸入器14のためのカートリッジアセンブリ28の各々が、液滴噴出装置30も含み、液滴噴出装置30は、対応する容器46と、適切な流体相互接続部54により、互いに流体接続されている。液滴噴出装置30と薬剤容器46とを互いに流体接続するいずれの方法も用いられ得る。液滴噴出装置30は、吸入器14内に装填されたとき、吸入器ハウジング18の放出端22に向って、少なくともほぼ突出している。
【0047】
様々なタイプのデリバリ又は噴出技術/構成部品を吸入器14に用いることができ、これらの技術/部品は、1999年4月20日に発行された、フォーゲス(Voges)に付与された米国特許第5,894,841号に示されているものを含み、この特許を援用して本文の記載の一部とする。液滴噴出装置30の一実施形態の詳細が図3A〜図3Cに示されている。液滴噴出装置30は、複数の液滴噴出アセンブリ32を含む。液滴噴出アセンブリ32は、各々、アクチュエータ42を含み、アクチュエータ42は、対応する放出オリフィス34と位置合わせされ、かつ、これらのオリフィス34から空間38により隔てられている。薬剤容器46から出た薬剤が少なくとも放出直前にはこの空間38内に配置される(例えば、薬剤は継続的に空間38に存在し得る;特定の液滴噴出アセンブリ32に関連する、空間38内の薬剤の全て又は実質的に全てが、液滴噴出アセンブリ32の作動時に放出されることができ、その後、このような作動後に再び液滴が補充され得る)。ポータブル吸入器14の作動により、作動信号を受ける各アクチュエータ42が、薬剤を、対応する放出オリフィス34を通して、一つの液滴、及び、典型的には複数の液滴の形態で放出する。アクチュエータ42の全てが同時に作動されることもでき、又は、複数のアクチュエータ42が、或るタイプの順序又は噴射パターンで作動され得る。好ましくは、各アクチュエータ42は、独立に作動可能である。例示された実施形態は、アクチュエータ42と放出オリフィス34との1対1の関係を示すが、一つの共通の放出オリフィス34から放出させる複数のアクチュエータ42があってよく、又は、所与のアクチュエータ42が複数の放出オリフィス34から放出させ得る(図示せず)。
【0048】
一実施形態において、アクチュエータ42は抵抗器であり、この抵抗器にもたらされる作動信号が、このような信号を受信するアクチュエータ42の温度を急速に上昇させるように作用する。「活性化」されたアクチュエータ42の各々の、この急速な温度上昇は、泡をアクチュエータ42に直接接触して形成/生成する。この泡が、対応する放出オリフィス34の方向に、急速な温度上昇により膨張することが、泡と、対応する放出オリフィス34との間に配置された薬剤の移動を促進させ、薬剤を、放出オリフィス34を通して放出させる。
【0049】
液滴噴出装置30の液滴噴出アセンブリ32の作動が、吸入器14のハンドピース16の一部であるコントローラアセンブリ62により達成され得る。この点に関し、適切な動作相互接続部70が、液滴噴出装置30とコントローラアセンブリ62との間に延在し、液滴噴出装置30とコントローラアセンブリ62とを相互接続している。また、別の動作相互接続部72が、薬剤容器46のチップ48とコントローラアセンブリ62との間に延在し、チップ48とコントローラアセンブリ62とを相互接続している。ハンドピース16のコントローラアセンブリ62とカートリッジアセンブリ28との動作を適切に相互接続する任意の方法が用いられ得る。実際、「電子素子」又はコントローラアセンブリ62の1以上の態様を、液滴噴出装置30の構造に実際に組み込むことが可能である。いずれの場合においても、コントローラアセンブリ62は、1以上のマイクロプロセッサ、プログラム可能な論理制御部、電子メモリ、及び1以上のクロックを含み得る。概して、コントローラアセンブリ62は、カートリッジアセンブリ28のチップ48に記憶された動作プロトコルを読み取り、カートリッジアセンブリ28の液滴噴出装置30をこのプロトコル(例えば、「投与行為」を規定する放出回数、個々の放出の間に必要とされる経過時間、投与行為間に必要とされる経過時間)に従って動作させることができる。様々なタイプのデータも、好ましくは、コントローラアセンブリ62に/コントローラアセンブリ62を介して記憶され得る。例えば、吸入器14の各動作の時間及び日付が、今後の使用/評価のために記録/保持され得る。さらに、ポータブル吸入器14へのアクセス(例えばセキュリティ)を制御するための情報、又は吸入器14に関する情報が、吸入器14の動作制御に関する情報と同様に、コントローラアセンブリ62に/コントローラアセンブリ62介して記憶され得る。
【0050】
コントローラアセンブリ62の構成部品は、これらの構成部品と動作的に/電気的に相互接続されるオンボード電源74(例えば充電式バッテリ)により電力供給され、この電源もハンドピース16の一部である。吸入器14の他の構成部品も電源74と電気的に相互接続され得る。吸入器14の作動は、適切なセンサ58(例えば、空気流、圧力)を介して自動化され得る。センサ58はコントローラアセンブリ62と動作的に相互接続され、それにより、コントローラアセンブリ62を介して電源74と接続されている。センサ58もハンドピース16の一部である。吸入器ハウジング18内に一定の空気流が検知されることにより、センサ58にコントローラアセンブリ62へ信号を送信させることができ、次いで、コントローラアセンブリ62は、作動信号(例えば、単一のパルス又は一連の所定のパルス)を、動作相互接続部70を介して液滴噴出装置30に送信し得る。次いで、薬剤の液滴が、先に記載した方法で液滴噴出装置30から放出され得る。ハンドピース16の作動スイッチ86を吸入器ハウジング18の外側部分に含むことにより、吸入器14を手動操作することが可能にされる。作動スイッチ86は、コントローラアセンブリ62と動作的に相互接続され、それにより電源74と相互接続される。スイッチ86を作動させると、信号がコントローラアセンブリ62に送信され、コントローラアセンブリ62は、作動信号(例えば、単一のパルス又は一連の所定のパルス)を、動作相互接続部70を介して液滴噴出装置30に送信する。次いで、流動可能な物質の液滴が、先に記載した方法で液滴噴出装置30から放出され得る。センサ58及び作動スイッチ86の一方又は両方が、吸入器14の設計に用いられ得る。
【0051】
別の実施形態が、図4に、吸入器100の形態で示されている。吸入器100は、概して、好ましくは着脱可能にハンドピース132に相互連結されたカートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102を含む。適切な相互接続部124が、カートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102とハンドピース132とを動作的に相互接続し、これにより、1以上の信号(例えば電気信号)がサブアセンブリ102とハンドピース132との間で交換されることを可能にする。カートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102は、概して、任意の適切な形状のハウジング106を含み、ハウジング106は、少なくとも一つの空気流路130をその内部に画成している。空気は、ハウジング106上の適切な位置に配置された吸気アセンブリ104(例えば、1以上の吸気口)を通して空気流路130に引き込まれる。例示された実施形態において、空気取り入れアセンブリ104は、カートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102の一端に配置される。空気流路130が空気流を放出アセンブリ128(例えば、マウスピース)に向けさせる。放出アセンブリ128も、ハウジング106上の適切な位置に配置されている。例示された実施形態において、放出アセンブリ128は、吸気アセンブリ104に対して、カートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102の反対端に配置されている。
【0052】
カートリッジ/マウスピースサブアセンブリ102内に、噴出アセンブリ112が配置されている。噴出アセンブリ112の構成部品は、1以上の噴出アクチュエータを有するヘッド116を含み、噴出アクチュエータは、吸入のための適切な物質を、空気流(空気流路130を通って、少なくとも概して放出アセンブリ128に向う方向に進行している)中に噴出させる。噴出アクチュエータと、それらに対応する放出オリフィスとの間に1対1の関係があり得る。又は、複数のアクチュエータが共通の放出オリフィスから放出させ得る。又は、所与の噴出アクチュエータが複数の放出オリフィスから放出させ得る。空気流路130を通る空気流に対して、噴出ヘッド116からの任意の放出方向が用いられ得る(例えば、物質は、ヘッド116により、空気流に対して平行に方向付けられ得る;又は、物質は、ヘッド116により、空気流に対して垂直に方向付けられ得る)。上記の物質の供給分が、噴出アセンブリ112のタンク120内に貯蔵される。従って、タンク120と噴出ヘッド116との間に、適切な流体相互接続が存在する。噴出されている一定の量の物質が噴出ヘッド116内に貯蔵されることができ、タンク120を介して補充され得る。また、ヘッド116は、物質をタンク120から直接噴出させるように構成されることもできる。
【0053】
ハンドピース132は、概して、吸入器100の動作を制御するための電子素子又はコントローラアセンブリ136を含み、また、噴出アセンブリ112を含む。一実施形態において、コントローラアセンブリ136は、少なくとも一つの事項に関してプログラミング可能である。ハンドピース132の他の構成部品は、適切なディスプレイ140、電源144(例えば、充電式バッテリ)、及び、1以上のスイッチ148を含む。スイッチ148は、噴出アセンブリ112の手動作動を可能にし、少なくとも幾つかの種類のデータ入力を可能にし、及び/又は、他のユーザによる入力を可能にし得る。吸入器100による投与行為の開始は、空気流路130を通る流量を監視する1以上のセンサ108(例えば圧力トランスデューサ)から受けられた情報を介して自動的に(例えば、特定の流量に達したとき)達成されることもできる。これらのセンサ108は、好ましくは、ハンドピース132に取り付けられ、空気流路130を通る空気流の少なくとも一部と接触し、かつ、コントローラアセンブリ136と動作的に相互接続される。
【0054】
吸入器内を流れる空気流の流量と、吸入物質がこの空気流中に放出される速度との間に、所与の投与行為の効率を高めるための(例えば、吸入される物質が、所望の場所に、より効率的に配送されるための)何らかの関係があると考えられる。吸入器内を流れる空気流を、純粋に機械的な方法で制御する(すなわち、空気流を制御/調節するための電子素子を全く必要とせず、いずれのタイプのコントローラアセンブリとも、動作的相互接続の必要が全くない)ための一実施形態が、図5に、空気流調節アセンブリ228の形態で示されている。空気流調節アセンブリ228は、図1〜図3Bの吸入器14、及び図4の吸入器100を含む任意の吸入器設計に用いられ得る。
【0055】
吸入器は、空気流導管204を含む。この空気流導管204内に、空気流調節アセンブリ228の流れ調節ポート又はスロート208が配置されており、このポート又はスロートを通して、吸入器のための実質的に全ての空気流が方向付けられる。この流れ調節ポート208を、少なくとも実質的に吸入器の入口に配置することが望ましいであろうが、吸入器の中間部付近に配置することも可能であろう。いずれの場合においても、流れ調節ポート208は側壁212により画成され、側壁212は、空気流導管204内を流れる空気流の方向(矢印「A」で示す)に少なくともほぼ収束する。すなわち、空気取り入れポート208の第1端部216は、空気取り入れポート208の、長手方向に離隔されて配置された第2端部220より大きい内径を有する。例示された実施形態において、収束は線状である。
【0056】
空気流調節アセンブリ228は、さらに、流れ調節ポート208内に移動可能に配置されたバッフル232を含む。バッフル232は、概して、ヘッド236及びシャフト240を含む。バッフル232は、上流方向に(矢印「A」で示された方向と反対の方向)に、適切な付勢部材244、例えばコイルばねにより付勢されている。コイルばね244は、バッフル232のヘッド236の、吸入器のユーザの吸入中に空気流導管204内に引き込まれている空気と接触する側に対して反対の側に作用する。ばね244の反対端は、空気流導管204に適切に固定された適切な迫台(abutment)224に位置している。迫台224は、空気流が迫台224を通過して矢印「A」の方向に流れることを可能にするように構成され、さらに、バッフル232のシャフト240を移動可能に受けるためのガイドを含み得る。ガイドは、さらに、バッフル232を流れ調節ポート208内に支持する。バッフル232が流れ調節ポート208に対して移動するように支持する任意の方法が用いられ得る。
【0057】
空気流調節アセンブリ228が用いられている吸入器のユーザにより吸入が行われると、流れ調節ポート208及び空気流導管204を通って流れる、概して矢印「A」の方向の空気流が形成される。この吸入により、バッフル232のヘッド236に、矢印「A」の方向の力も加えられる。しかし、ばね244がこれらの力に抵抗する。基本的に、バッフル232のヘッド236の大きさ、流れ調節ポート208の大きさ/外形、及び、ばね244によりもたらされる付勢力が、吸入器の空気流導管204を通って流れる望ましい流量を自動的にもたらすように選択され、これは、ユーザが発生させる吸入の程度(所定の閾値を超えても)に関係ない。少なくとも一定の量の吸入力が、ばね244を少なくとも幾らか圧縮させることになる。バッフル232の移動によりばね244が矢印「A」の方向に圧縮することにより、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔が減少する。バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔が減少することにより、結局、空気流導管204を通過する空気流の流量が減少する。従って、空気流調節アセンブリ228を含む吸入器のユーザが発生している吸入力の量と、バッフル232の、流れ調節ポート208に対する位置との間に、何らかの関係があり、この位置が、吸入器を通る空気流の流量を制御する。概して、吸入力が増大して、吸入力の一定の閾値を超えると、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔が減少する。
【0058】
吸入空気流調節アセンブリ228の動作を、異なる3人のユーザに関して考えると、さらに、空気流調節アセンブリ228の動作原理が示される。ユーザAが発生することができる空気流がバッフル232のヘッド236に加える力は、ばね244によりヘッド236に加えられている付勢力と等しいと仮定する。これにより、バッフル232は、バッフル232の「静止」位置を、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔が可能な最大の状態で維持する。空気流導管204を通る空気流の流量をF1とする。
【0059】
ここで、ユーザBが、ユーザAよりも大きい吸入力を発生できると仮定する。この結果、バッフル232は、ばね244により加えられている付勢力に抗して移動し、それにより、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔を減少させることになる。より詳細には、バッフル232は、流れ調節ポート204に対して相対的な位置に移動し、この位置において、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔は、空気流導管204内を流れるF1と少なくとも実質的に等しい流量を、少なくとも実質的に生成する(ユーザAにより実現された、空気流導管204を流れる流量は、この例の流量と同じであるが、吸入能力はユーザBよりも低い)。
【0060】
最後に、ユーザCが、ユーザBよりも大きい吸入力を発生することができると仮定する。この結果、バッフル232は、ばね244により加えられる付勢力に抗して移動し、それにより、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔をさらに減少させることになる。より詳細には、バッフル232は、ユーザCの場合、空気取り入れポート204に対して相対的な位置に移動し、この位置において、バッフル232のヘッド236と流れ調節ポート208の内壁との間隔は、空気流導管204内を流れるF1と少なくとも実質的に等しい流量を、少なくとも実質的に生成する(ユーザA及びユーザBの両方により実現された、空気流導管204を流れる流量は、この例の流量と同じであるが、吸入能力はユーザCよりも低い)。
【0061】
図5の空気流調節アセンブリ228は、ユーザが発生する吸入力のみにより自動的に「作動」及び「駆動」される。すなわち、図5の空気流調節アセンブリ228は、純粋に機械的なシステムである。空気流調節アセンブリ228の原理を、より精巧な(例えば、電子又は電気機械的)システムで実行することが可能であり、これを、以下に、図6に概略的に示された吸入器160に関して説明する。吸入器160は、概して、空気流アセンブリ164を含み、空気流アセンブリ164は、空気取り入れアセンブリ168(例えば、1以上の空気取り入れ口)、放出アセンブリ172(例えば、マウスピース、鼻を覆うもの、すなわちマスク)、及び、空気取り入れアセンブリと放出アセンブリの間に延在する、少なくとも一つの空気流導管170を含む。任意の適切な物質(例えば薬剤)が、空気流アセンブリ164内に引き込まれている空気流中に、噴出アクチュエータアセンブリ180により導入され得る。任意のタイプの噴出アクチュエータ設計(単一の噴出アクチュエータのみを有する設計、及び、複数の噴出アクチュエータを有する設計を含む)が、噴出アクチュエータアセンブリ180により用いられ得る。典型的に、噴出アクチュエータアセンブリ180は、所望の物質を、放出アセンブリ172より上流のいずれかの位置にて空気流中に導入する。噴出アクチュエータアセンブリ180は、実際、空気流導管170中に配置され得るが、噴出アクチュエータアセンブリ180は、空気流導管170の外側に配置されてもよい。ただしこの場合、噴出アクチュエータアセンブリ180は、所望の物質を空気流中に導入するために空気流導管170と流体的に相互接続され、又は少なくとも流体的に相互接続可能である。
【0062】
吸入器160は、また、吸入器160の動作を少なくとも一つの事項に関して制御するためのコントローラアセンブリ176を含む。例えば、コントローラアセンブリ176は、噴出アクチュエータアセンブリ180と動作的に相互接続され得る(例えば、所与の投与行為において、噴出アクチュエータアセンブリ180の各噴出アクチュエータの噴射シーケンスを制御するために)。しかし、これは、吸入器160内を流れる空気流の調節のためには必要とされない。この点に関し、吸入器160のコントローラアセンブリ176は、また、空気流監視アセンブリ184及び空気流調節アセンブリ188と動作的に相互接続される。概して、空気流監視アセンブリ184は、空気流導管204の少なくとも一部を通って流れる空気流を、対応する流量の決定を可能にするために監視する。この目的のために、任意の適切なセンサ(例えば、圧力トランスデューサ)が、空気流監視アセンブリ184により用いられ得る。実際の流量の決定は、空気流監視アセンブリ184によりもたらされた入力に基づいて、コントローラアセンブリ176による(例えば、マイクロプロセッサを介する)ことを含む任意の方法で達成され得る。
【0063】
この吸入器においても、空気流アセンブリ164内に引き込まれている空気流の流量と、所望の物質が噴出アクチュエータアセンブリ180から放出される速度との間に、所与の投与行為の効率を高めるための何らかの関係があると考えられる。従って、上記のように吸入器160内を流れる所定の流量をもたらすことが望ましいと考えられ、これは、空気流の全てを方向付ける(典型的に、入口にて、又は入口付近にて)流れ調節ポートの大きさを調節することにより実現され得る。吸入器160の場合、この調節は、コントローラアセンブリ176と空気流調節アセンブリ188との動作的相互接続によりもたらされる。概して、コントローラアセンブリ176は、信号又は1組の信号を空気流調節アセンブリ188に送信する。この信号が、空気流調節アセンブリ188の流量調節部を、空気流の全てを方向付ける流れ調節ポートの大きさを調節するための一定の位置に移動させる。この流れ調節ポートの大きさの調節が、空気流アセンブリ164を通って流れる空気流の一定の望ましい流量を、吸気空気流調節アセンブリ228に関して先に論じた方法と概して同じ方法でもたらす。
【0064】
任意の構造が、空気流調節アセンブリ188の流量調節部に用いられ得る。例えば、空気流調節アセンブリ188は、図5の空気流調節アセンブリ228により用いられたバッフル232及び空気取り入れポート208を用いることが可能である。バッフル232を移動させるための吸入力を用いる代わりに、空気流調節アセンブリ188は、バッフル232を移動させるための幾つかのタイプの装置を、コントローラアセンブリ176からの信号に応答して、予め決められた方法/量用いる。また、吸入器160内の空気流調節アセンブリ188の流量調節部を移動させるのに適したいずれのタイプの装置も用いられることができよう。最後に、いずれのタイプの流れ調節ポートも、空気流調節アセンブリ188に用いられることができよう。空気流調節アセンブリ188に関して重要なことは、全ての空気流が通過する空気流路の大きさを調節し、それにより、吸入器160内に引き込まれている空気流の流量を、ユーザにより発生される吸入力に関係なく(この場合も、これらの吸入力が一定の閾値より上であると仮定する)、少なくとも実質的に一定のレベルに維持することである。
【0065】
図7に「コンピュータ制御式」吸入器の別の実施形態である吸入器320の概略が示されている。吸入器320は、吸入器320の動作を制御する吸入器コントローラアセンブリ310を含む。吸入器コントローラアセンブリ310の一つの構成要素は、動作テストモジュール312である。吸入器コントローラアセンブリ310の別の構成要素は、投与行為実行モジュール314である。動作テストモジュール312と投与行為実行モジュール314は、共に、吸入器320により用いられる噴出アクチュエータ316の一つ以上、又は、1以上のアクチュエータグループに信号を送信し、これにより、これらのアクチュエータから、物質を吸入器放出アセンブリ318(例えば、経口デリバリのためのマウスピース、経鼻デリバリのためのマスク)を通して放出させる。噴出アクチュエータ316と、これらに対応する放出オリフィスとの間に1対1の関係があり得、若しくは、共通の放出オリフィスから放出させる複数のアクチュエータ316があり得、又は、所与のアクチュエータ316が複数の放出オリフィスから放出させ得る。吸入器320は、4つの噴出アクチュエータ316a〜dを用いることを示すが、複数のグループの噴出アクチュエータ316を含む任意の数の噴出アクチュエータ316が用いることができ、これらのグループの各々が、独立に作動可能であり、所与のグループ内の噴出アクチュエータ316の各々が、単一の共通の信号により同時に作動可能である。吸入器320に関して重要なことは、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々が、吸入器コントローラアセンブリ310の動作テストモジュール312、及び投与行為実行モジュール314の両方により独立に作動可能であり得ることである(例えば、複数の噴出アクチュエータ316が、複数のグループに離隔されることができ、各グループが、複数の噴出アクチュエータ316を有し、噴出アクチュエータ316のグループの各々が、吸入器コントローラアセンブリ310の動作テストモジュール312及び投与行為実行モジュール314の両方により、独立に作動可能であり、かつ、所与のグループの各噴出アクチュエータ316が、単一の共通の信号により作動される)。以下の内容を参照した後、動作テストモジュール312、投与行為実行モジュール314、又はこれらのモジュールの両方を、吸入器コントローラアセンブリ310と、任意の数の方法で一体化することが可能であり、吸入器コントローラアセンブリ310の一部として考えられることを必ずしも必要としないことが理解されるべきである。
【0066】
概して、図7の吸入器320の動作テストモジュール312は、信号又は一連の信号を、好ましくは、噴出アクチュエータ316の各々に、又は、各アクチュエータグループにもたらし、それによりアクチュエータの性能を何らかの方法で評価する。一実施形態において、この信号は、吸入器放出アセンブリ318を通して物質を全く放出させず、この場合、信号は、テスト信号とみなされ得る。しかし、物質を放出させる信号も、動作テストモジュール312により用いられ得る。この場合、信号は、投与行為に適した作動信号として特徴付けられ得る。一方、投与行為実行モジュール314は、作動信号又は一連の作動信号を、噴出アクチュエータ316の1以上に、又は、1以上のアクチュエータグループに、予め決められた方法で送信し、これにより、好ましくは、予め決められた量の所望の物質を、吸入器放出アセンブリ318を通して提供する(「投与行為」(“dosing event”))。独立に作動され得る任意のタイプのアクチュエータ(例えば、抵抗器ベース、圧電性物質ベース)が噴出アクチュエータ316として用いられ得ることが理解されるべきである。さらに、動作テストモジュール312及び投与行為実行モジュール314の機能を組み込む任意の方法が、吸入器コントローラアセンブリ310により用いられ得る。
【0067】
典型的に、吸入器320は、かなり多数の噴出アクチュエータ316を含むであろう。一実施形態において、吸入器320は、独立に作動可能な少なくとも10個の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを含む。所与の投与行為のために、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが吸入器320により利用可能である必要はない。吸入器320が余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを有する理由の一つは、吸入器320のための噴出アクチュエータ316の生産に関する収益を増大するためである。典型的に、複数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが共通の構造物に取り付けられ、図7に示されているような噴出ヘッド330を画成する。図7に示されている吸入器320に関しては、一つの噴出ヘッド330のみが確認される。吸入器320に関し、共通の構造物に複数の噴出ヘッド330を取り付けることも実行され得る。いずれの場合においても、必要な数より多数の噴出アクチュエータ316を吸入器320の設計に組み込むことは、所与の噴出ヘッド330上の噴出アクチュエータ316(又はアクチュエータグループ)の全てが、噴出ヘッド330が吸入器320の使用に有用であるように動作可能である必要はないことを意味する。
【0068】
余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを有する吸入器320を製造するための方法の一実施形態が、図8に、吸入器製造プロトコル430の形態で示されている。プロトコル430は、ステップ422から開始し、このステップ422において、吸入器320のための所望の数の動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループ、又は、少なくとも最小数の動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが指定される。プロトコル430のステップ424は、所望の数/最小数よりも多数の動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、吸入器320内に含まれるように実際に製造されることを示す。これは、典型的に、吸入器320のための噴出ヘッド330を、吸入器320に含まれる噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの総数が、プロトコル430のステップ422に示されている所望の/必要な量よりも多くなるように製造する形態になる(噴出ヘッド330が一つでも、2つ以上であっても)。動作可能な噴出アクチュエータ316の所望の個数が90個であり、一つの噴出ヘッド330が、これらの噴出アクチュエータ316を100個含むように製造され得る例を仮定する。吸入器320に用いるためには90個の噴出アクチュエータ316のみが望ましい/必要であるが、それにも関わらず、100個の噴出アクチュエータ316を有する噴出ヘッド330が吸入器320に内に設置される。
【0069】
所与の噴出ヘッド330が吸入器320内に物理的に設置される前、又は後に、噴出ヘッド330の少なくとも幾つか(より好ましくは全て)の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、製造プロトコル430のステップ426に示されているようにテストされる。様々な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの動作能力をテストするための任意の適切な方法が用いられ得る。所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの動作能力を評価するための一つの方法は、アクチュエータの電気的性能の評価による。噴出アクチュエータ316が、図1〜図3Cの吸入器14に関して先に論じたタイプの抵抗器であると仮定する。この場合の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの電気的性能を何らかの方法で評価する任意の信号が、プロトコル430のステップ426により用いられ得る。別の方法は、電気信号を抵抗器ベースの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々に送信し、それにより、抵抗器ベースの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのいずれかの抵抗が、先に知られた値から変化したかどうかを決定することである(例えば、V=IRの原理を用いて)。予め決められた一定の量より多く変化した抵抗値はいずれも、プロトコル430のステップ426の実行に関連づけられ得る。噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループの電気性能を評価するための他の方法もあり得る。これは、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループが、抵抗ベース以外(例えば圧電性物質ベース)であることを含む。また、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループの全体の性能を評価するためのその他の方法もあり、これは、プロトコル430のステップ426の範囲内にある。噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループの性能を評価するための別の方法は、光学テスト技術を用いて、以下のことを決定することである。すなわち、作動信号を所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループに送信したときに、吸入器320からの放出が、この特定の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータのグループから実際にあったかどうかを、光学テスト技術を用いて決定する(例えば、特定の噴出アクチュエータ316に関連したノズルからの、又は、特定のアクチュエータグループに関連したノズルからの放出があったかどうかを決定する)。
【0070】
吸入器320の構造内に組み込まれた噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てがプロトコル430のステップ426の実行によりテストされる必要はない。例えば、所与の吸入器320内に含まれた、又は含まれるべき噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの、製造プロトコル430のステップ426の実行によるテストは、少なくとも、プロトコル430のステップ422にて指定された個数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、プロトコル430のステップ426に関連したテストを「パスした」ときに終了され得る。しかし、より好ましくは、吸入器320に設置されるべき、又は最初に設置された、各噴出ヘッド330上の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが、プロトコル430のステップ426の実行による実際にテストされる。この理由を、図9の噴出アクチュエータ動作テストプロトコル500に関して以下に説明する。
【0071】
図8の製造プロトコル430は、ステップ428にて終了する。ステップ428は、吸入器320が少なくとも最初に利用可能されるべき噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを指定するためのステップである(このようなアクチュエータ316又はアクチュエータグループは吸入器320内に設置されている)。この「指定」が実行され得る様々な方法がある。例えば、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループ(すなわち、ステップ422にて指定された動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループより多数の動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループ)が永久的に無効にされ得る。「過剰な」電気信号(例えば、吸入器320からの放出を達成するための典型的な作動信号よりも高い電圧又は電流)を送信することにより、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが永久的に動作不能にされ得る。これは、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々が、好ましくは独立に作動可能であるため、可能である。別の方法は、単に、吸入器コントローラアセンブリ310を、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの幾つかのみを投与行為のために用いるようにプログラミングすることである。この方法の一つの利点は、「アクティブな」(“active”)噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの一つ以上が吸入器320の寿命期間における或る時点で無効になった場合、プロトコル430のステップ426に関連したテストをパスした余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのいずれもが、吸入器コントローラアセンブリ310のために、動作テストモジュール312を介して「起動」され得ることである。
【0072】
動作テストモジュール312により用いられ得る吸入器アクチュエータ動作テストプロトコル500の一実施形態が図9に示されている。プロトコル500は、少なくとも一つの、より好ましくは複数の、独立に作動可能な装置又は装置のグループ(所与のグループ内の各装置が、単一の共通の信号により同時に作動される)を用いる任意の吸入器設計に適しており、これらの装置は、任意の物質(例えば複数の液滴)を関連する吸入器から放出するための装置である。従って、プロトコル500は、先に論じた図1の呼吸デリバリシステム10により用いられ得る(このシステムにおいても、独立に作動可能な複数の抵抗器42が用いられる)。しかし、プロトコル500は、独立に作動可能な複数の圧電性物質ベースの吸入器噴出アクチュエータを用いる吸入器にも用いられ得る。
【0073】
図9の動作テストプロトコル500を、図7の吸入器に関連して説明する。プロトコル500は、ステップ502を含み、このステップにおいて、信号が、動作テストモジュール312により/動作テストモジュール312を介して、吸入器320の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの少なくとも各々に送信される。これらのアクチュエータは、吸入器コントローラアセンブリ310に関して現在「アクティブ」である(すなわち、吸入器コントローラアセンブリ310により制御される投与行為の関与に有用である)。吸入器320に設置された噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てがテストされることもできる。典型的に、これは、所望の投与を変化させないように、信号が、吸入器320からの放出を生じないテスト信号である場合に限定される。いずれの場合においても、このような噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々の、対応する信号に対する反応が、プロトコル500のステップ504の実行により/実行を介して評価される。テストに失格である噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのいずれもが、プロトコル500のステップ506の実行を介して何らかの方法で識別される。次いで、「失格した」(“failed”)噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てに関する動作テストモジュール312からの入力が、投与行為実行モジュール314に、プロトコル500のステップ508の実行を介してもたらされる。
【0074】
所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの性能を評価するのに適した任意の信号が、図9の吸入器噴出アクチュエータ動作テストプロトコル500のステップ502により用いられ得る。所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの性能を評価するための一つの方法は、アクチュエータの電気性能を評価することによる。噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、図1〜図3Cの吸入器14に関して先に論じたタイプの抵抗器であると考えられたい。この場合、アクチュエータ316又はアクチュエータグループの電気性能を何らかの方法で評価する任意の信号が、プロトコル500により用いられ得る。別の方法は、抵抗器ベースの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々に電気信号を送信し、それにより、抵抗器ベースの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのいずれかの抵抗が、先に知られている値から変化したかどうかを決定することであろう(例えば、R=V/Iの関係を用いて)。予め決められた一定の量より大きい抵抗の変化は、いずれも、プロトコル500のステップ506の実行における評価の「失格」と関連づけられることができる。噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの電気性能を評価するための他の方法があり得る。これは、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、抵抗器ベース以外(例えば、圧電性物質ベース)のアクチュエータである場合を含む。また、アクチュエータ316又はアクチュエータグループの性能を評価するためのその他の方法があり、これは、プロトコル500のステップ504の範囲内にある。
【0075】
図9の動作テストプロトコル500のステップ502の実行により与えられる信号に関して「失格した」任意の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを識別することが、「失格した」アクチュエータ316又はアクチュエータグループをそれ以上動作できないようにするために用いられ得る。すなわち、動作テストモジュール312により、投与行為実行モジュール314に、プロトコル500のステップ508の実行を介してもたらされる入力により、投与行為実行モジュール314は、「失格した」アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが、それ以上使用されることを完全に中止し得る(すなわち、プロトコル500のステップ502〜506の実行を介して識別が行われたならば、「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループには、もはや、投与行為にて放出を達成するための作動信号が、投与行為実行モジュール314により送信されない)。最小限、好ましくは、投与行為実行モジュール314は、プロトコル500のステップ502〜506の実行を介して「失格である」と識別された噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々に、投与行為実行モジュール314を介して開始/制御される後の投与行為において対処するであろう。
【0076】
投与行為実行モジュール314が、図9の動作テストプロトコル500によりもたらされる入力に対処し得る様々な方法がある。プロトコル500のステップ502の信号が、吸入器320からの放出を全くもたらさないテスト信号である場合を考えられたい。一つの方法は、吸入器コントローラアセンブリ310を、以下のような作動信号を送信するように「プログラミング」することである。すなわち、所与の投与行為に関して「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信されるはずであった作動信号を、図9のプロトコル500のステップ502〜506により検討される評価を「パスした」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信する。これは、投与行為実行モジュール314を介して開始/制御される、後の全ての投与行為で行われる。別の方法は、図8の吸入器製造プロトコル430による余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの一つを、図9の動作テストプロトコル500を失格した噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々のために「アクティブにする」(“activate”)ことであろう。これは、図8の吸入器製造プロトコル430のステップ422にて特定された量を超えた噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを永久的に無効に又は不能にすることが望ましくないとも考えられるからである。
【0077】
ここで、図9の動作テストプロトコル500のステップ502の信号が、吸入器320からの放出をもたらすように少なくとも意図された実際の作動信号である場合を考える。投与行為実行モジュール314が、失格であるいずれのアクチュエータ316又はアクチュエータグループの識別(この場合は、ステップ508によりもたらされる入力の結果として)に対処し得る多くの方法がある。一つの方法は、投与行為実行モジュール314が、「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに最初に送信された各作動信号を、プロトコル500のステップ502〜506の実行に従って「失格」しなかった別の噴出アクチュエータ316に再び送信することである。これは、「リアルタイム」(“real time”)ベースでの実行、又は、所与の投与行為中の実行が困難であることがある。すなわち、実際の投与行為中に、「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを識別し、同じ投与行為におけるこの失格にどのように対処するかを決定し、そして、この失格に、対象の投与行為の終了前に対処する「追加の」放出を達成することは困難であろう。より可能な実行は、吸入器320のユーザに、「失格した」投与行為に関する何らかの通知をもたらし、次の投与行為のために失格を改善することである。これは、先に記載した方法のいずれかを用いて行われる(例えば、ステップ504の評価を「パスした」既存の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを用いて、先の投与行為にて「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信された作動信号数と等しい数の追加の作動信号を受けること;失格した噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを交換するために、「余剰」の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを、所与の「投与行為」のために吸入器320に有用な「アクティブな」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに「追加する」ことによる)。
【0078】
投与行為実行モジュール314が図9のプロトコル500のステップ508の主題である入力にどのように対処し得るかに関するさらなる別の可能性は、ユーザに、補充(“make-up”)投与行為が実行されるべきであることを知らせることと、補充投与行為が実行されるべき時間もおそらく知らせることであろう。これは、吸入器32により、多数の因子に基づいて可能にされる。独立に作動可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを有することが、所与の投与行為において吸入器320により放出される物質の量の非常に正確な制御を可能にする。作動信号に関して(与えられる作動信号の数に関しても)、正確な制御が行われるため、また、さらに、単一のアクチュエータ316又はアクチュエータグループが、一定の作動信号に応答して一定の量を分与するため、所与の投与行為において吸入器320により放出される物質の量は正確に決定されることができる。吸入器320は、プロトコル500のステップ502及びステップ504の実行により所与の投与行為に関して失格であった特定の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを既に決定しているであろう。さらに、吸入器320のコントローラアセンブリ310は、どれだけの数の作動信号が、これらの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに、アクチュエータが「失格」状態であるときに送信されたかを追跡記録するように構成され得る。従って、吸入器320は、「補充」投与行為を以下のように規定するように構成され得る。すなわち、「補充」投与行為は、新しい作動信号を、直前の投与行為において動作可能であった、又は、その他の動作可能な(例えば、「余剰」アクチュエータ316)1以上の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信することとして規定され、これらの新しい作動信号の数は、直前の投与行為における、ステップ502及びステップ504に従って決定された「失格した」噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信された作動信号の数と等しい。
【0079】
図9の噴出アクチュエータ動作テストプロトコル500は、呼吸デリバリ操作に用いるための吸入器320の配布より前のテスト手順の一部として実行され得る。しかし、好ましくは、プロトコル500は、吸入器320が、吸入器のユーザへの配布のために販売された後に、プロトコル500が1回以上実行されることを可能にするように実施される。図9のプロトコル500のステップ502の信号がテスト信号である場合、プロトコル500の実行は、ユーザの判断で動作テストプロトコル500の手動開始を行うことに委ねられる。別の方法は、動作テストプロトコル500を、予め決められた幾つかの基準に基づいて自動的に実行させることであろう。例えば、動作テストプロトコル500を、投与行為実行モジュール314により開始/制御される各投与行為の実行前に実行することが望ましいであろう。また、動作テストプロトコル500を或る周期に基づいて実行することが望ましいであろう。
【0080】
図8の製造プロトコル430及び図9の動作テストプロトコル500の両方において、アクチュエータグループに関する「失格した状態」(“failed condition”)を規定する(グループ内の一つの噴出アクチュエータのみが失格であった場合を含む)ための任意の適切な基準が用いられ得る。しかし、より典型的には、製造プロトコル430及び動作テストプロトコル500の両方が、これらのプロトコル430、500のいずれかに従ってアクチュエータグループが失格した状態であるとみなされる前に、所与のアクチュエータグループ内の予め決められた複数の噴出アクチュエータが失格した状態になることを可能にするように実行される。
【0081】
投与行為実行モジュール314が、図9のプロトコル500のステップ508の主題である入力に対処し得る、先に記載した方法は、図7の吸入器320の投与行為セットアップモジュール328を介してもたらされ得る。概して、投与行為セットアップモジュール328は、図7の吸入器320に電子投与デリバリ制御能力をもたらすとみなされる。先に論じた方法以外の電子投薬デリバリ制御方法も、投与行為セットアップモジュール328を介して用いられ得る。図10に示されている、図7の吸入器320の投与行為セットアップモジュール328により用いられ得る投与行為セットアッププロトコル600について考察する。投与行為セットアッププロトコル600は、投与行為制御論理を読み出すステップ602を含む。複数の投与行為制御論理が、図7の吸入器320の投与行為実行ジュール314に利用され得ることが理解されよう。この場合、プロトコル600は、所望の投与行為制御論理を読み出すための適切なステップ又は方法を含むであろう。
【0082】
プロトコル600のステップ602にて読み出される投与行為制御論理は、いずれの特定の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、投与行為制御論理により用いられるために現在指定されているか、又は、第1の構成において、これらの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々に送信されるように現在指定されている作動信号の数、及び、この第1の構成においてこれらの作動信号がこれらの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信される方法(例えば、一つの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループあたりの作動信号の周波数)を認識することを含み得る。1回の投与行為において、作動信号の一つのパターン又は組が、関連する投与行為制御論理に従って複数回繰り返されるであろう。これらの繰り返しの各々が「サイクル」(“cycle”)と見なされ得る。所与の投与行為論理により用いられる各噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、任意の所与の完全サイクルにて、同じ完全サイクルにおけるこの同じ投与行為論理により用いられる他の全ての噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループと同数の作動信号を受ける。一実施形態において、1サイクルあたり、一つの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに作動信号が一つだけあるが、これは必須ではない。所与の投与行為制御論理により用いられるための現在指定されている噴出アクチュエータ316が200個ある場合を考えられたい。一つの「サイクル」は、同じ作動信号を、これらの200個の噴出アクチュエータ316に連続的に送信することを含み得る。従って、作動信号が第1の噴出アクチュエータ316に送信される時と、第200の噴出アクチュエータ316に送信される時との間の時間が一つのサイクルを構成することになる。同じ作動信号が噴出アクチュエータ316のグループに連続的に送信されることが可能であり、これにより、作動信号が噴出アクチュエータ316の第1グループに送信された時刻と、噴出アクチュエータ316の最終グループに送信された時刻との間の時間も一つのサイクルを構成することを理解されたい。実際、1以上の個々の噴出アクチュエータ316、噴出アクチュエータ316の1以上のグループ、又は、これらの両方に送信される作動信号の任意の組合せが、所与の投与行為制御論理にて一つのサイクルを構成し得る。
【0083】
吸入器320は、ステップ602に関する投与行為制御論理により現在用いられているよりも多くの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループを有し得る。すなわち、ステップ602に関する投与行為制御論理は、投与行為の実行のために、或る限定された数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのみに用いられ得る。プロトコル600のステップ604は、ステップ602に関する投与行為制御論理により現在用いられているよりも多くの、吸入器のための噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループがあるかどうかを決定する。これが行われ得る一つの方法は、図9の動作テストプロトコル500の実行による。動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの数が、ステップ602に関する投与行為制御論理により用いられるために指定された噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの数以下であるならば、プロトコル600は、ステップ604〜ステップ606を続行する。ステップ606は、単に、プロトコル600の終了機能をもたらす。
【0084】
投与行為セットアッププロトコル600は、ステップ602に関する投与行為制御論理により現在用いられているよりも多数の動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループがあるならば、ステップ604〜ステップ608まで進む。ステップ608は、「デッドタイム」(“dead time”)に関するステップである。作動信号が、一つのサイクルにおける最後の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信される時刻と、作動信号が、ステップ602に関する投与行為制御論理の次の(next-in-time)サイクルにおける第1の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信される時刻との間に遅れが生じ得る。これが、「デッドタイム」と見なされ得る。デッドタイムは、ステップ602に関する投与行為制御論理に従う投与行為の実行において、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが、次の作動信号サイクルのために完全に「再充電される」(“recharged”)ことを可能にするために必要とされ得る。投与行為の隣り合うサイクル間にデッドタイムが設けられる他の理由もあり得る。いずれの場合においても、投与行為セットアッププロトコル600のステップ608は、ステップ602に関する投与行為論理の隣り合うサイクル間にデッドタイムがあるかどうかを質問する。
【0085】
投与行為セットアッププロトコル600は、ステップ602に関する投与行為制御論理の隣り合うサイクル間にデッドタイムがあれば、ステップ614を実行し、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの少なくとも幾つかをこのデッドタイムに加える。これが、ステップ602に関する投与行為制御論理を変更させる。所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが投与行為の実行中に実際の信号を受ける頻度を変えずにデッドタイムに加えられ得る余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの実際の個数には限界があり得る。例えば、投与行為の所与のサイクルにおいて同時に作動されることができる最大数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが存在し得ることが可能である。従って、現在のサイクル時間と、それにより、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの噴射頻度とを維持することが望ましい場合には、ステップ604に関する余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのうち、限られた個数のみを、ステップ602に関する投与行為制御論理に加えて、投与行為制御論理を変更することが可能であろう。しかし、ステップ602に関する投与行為制御論理の全実行時間は、ステップ602に関する投与行為制御論理がこのように変更されると、その後、減少されることになる。すなわち、ステップ602に関する投与行為制御論理に従う投与行為の実行の各々により、少なくとも相対的に同じ総投与量が配送される(すなわち、投与行為間の変化は比較的少なく、好ましくは小さい範囲内にある)。噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々は、所与の作動信号に対して、決定可能な一定の量の望ましい物質を配送する。ステップ602に関する投与行為制御論理に関連する投与行為のための所望の総投与量を配送するのに必要な作動信号の総数は、投与行為のための所望の総投与量を、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが1作動信号あたり配送する投与量で割ることにより導き出され得る。1サイクルあたり、より多くの作動信号が、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに送信されているため、ステップ602に関する投与行為制御論理の、先に述べた方法による変更により、必要とされるサイクル(サイクルの部分を含む)は、より少なくなるであろう。
【0086】
デッドタイムがあり、かつ、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが、ステップ602に関する投与行為制御論理に加えられるとそのサイクルの各々の時間を延長させることになる場合、それでもなお、ステップ614の論理は、ステップ602に関する投与行為制御論理が、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てをそのサイクルの各々に加えることにより変更されることになることを示し得る。これにより、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの噴射頻度は、今変更された現時点での、ステップ602に関する投与行為制御論理に関して低減し得る。これは、隣り合うサイクル間にて所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに与えられる作動信号の間に、より多くの遅れが生じるであろうからである。しかし、投与行為の全時間は減少されるはずである。なぜなら、上記の方法に従って、1サイクルあたり、より多くの作動信号が与えられ、そしてそれにより、噴射サイクル全体も短くなるからである。
【0087】
ここで、ステップ602に関する投与行為制御論理においてアクチュエータ噴射サイクル間にデッドタイムがない場合を考える。この場合、図10の投与行為セットアッププロトコル600はステップ610を実行する。ステップ610は、動作可能な余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの少なくとも幾つかが、ステップ602に関する投与行為制御論理の噴射サイクルに加えられることをもたらす。この場合も、所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループが投与行為全体を通じて噴出信号を受ける頻度を変えずに所与の噴射サイクルに加えられ得る余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの実際の数には限界があり得る。例えば、所与のサイクルにおいて同時に作動されることができる最大限度数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループがあり得る。従って、現在のサイクル時間と、それにより、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの噴射頻度とを維持することが望ましい場合には、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループのうち、限られた個数のみを、ステップ602に関する投与行為制御論理に加え、それにより投与行為制御論理を変更することが可能であろう。しかし、今変更されたこの投与行為制御論理に従う、投与行為のための全実行時間は、この場合、上記の方法に従って減少されるであろう。
【0088】
デッドタイムがなく、かつ、余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが、ステップ602に関する投与行為制御論理に組み込まれると、そのサイクルの各々の時間を延長させることになる場合、プロトコル600のステップ610の論理は、それでもなお余剰の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの全てが、ステップ602に関する投与行為制御論理の各サイクルに組み込まれることを示し得る。これにより、噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの噴射頻度は、今変更された、ステップ602に関する投与行為制御論理に関して減少し得る。これは、隣り合うサイクル間における、所与の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループに与えられる作動信号の間に、より多くの遅れが生じるからである。しかし、投与行為の全時間は減少されるであろう。なぜなら、上記の方法に従って、1サイクルあたり、より多くの作動信号が与えられ、そしてそれにより、噴射サイクル全体が短くなるからである。
【0089】
図7の吸入器320の投与行為セットアップモジュール328により用いられ得る別のプロトコルが、図11に、投与行為セットアッププロトコル718の形態で示されている。概して、プロトコル718は、所与の投与行為のための投与行為制御論理を確立すると見なされ得る。プロトコル718のステップ720,724、及び726は、本質的に準備段階であり、任意の順番で実行され得る。プロトコル718のステップ720の実行により、吸入器320の、現在動作可能な噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの個数が決定される。これが行われ得る一つの方法は、図9の動作テストプロトコル500の実行による。プロトコル718のステップ724の実行により、その投与行為制御論理が現在規定されている投与行為のための、所望の/必要な全投与量が決定される。典型的に、この情報は、主治医などにより特定されるであろうが、任意の適切な方法で吸入器320に入力され得る。投与行為セットアッププロトコル718のステップ726の実行により、一つの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータ316の1グループあたりの1作動信号に対して配送されると少なくとも見なされる物質の容量が決定される。これが行われ得る一つの方法は、作動信号を噴出アクチュエータ316に、又は噴出アクチュエータ316のグループに同時にもたらし、このような作動信号により分与された重量を測定し、それにより、分与された容量を決定できることである。別の方法は、液滴の大きさを測定し、かつ液滴の数をカウントすることであろう。一つの噴出アクチュエータ316又は噴出アクチュエータ316の1グループあたりの放出量は、任意のヘッド330における噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループの各々に関して測定され、一つの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループごとに記録され得るが、より適当な方法は、統計的に有意な個数の噴出アクチュエータ316又はアクチュエータグループ316を評価し、他のアクチュエータも同様に動作していると仮定することであろう。すなわち、評価後、対象の作動信号に関する噴出アクチュエータ316の各々又は噴出アクチュエータ316のグループの各々に、平均値が関連付けられる。いずれの場合においても、所望の放出情報が、ルックアップテーブルなどに、又は、吸入器320の制御論理に、数として記憶されることができ、この数は、一つの作動信号あたりの、一つの噴出アクチュエータ316又はアクチュエータ316のグループあたりの噴出量を同定する数である。ルックアップテーブル、又は記憶された数は、投与行為セットアッププロトコル718をプログラミングする時に生成されることができ、又は、各セルフテストが完了し、かつ、動作可能な噴出アクチュエータ316又は噴出アクチュエータ316のグループが確認された後に更新されることができる。
【0090】
ステップ720,724及び726の実行により決定され、又は他の方法でもたらされた情報は、少なくとも一部が、投与行為制御論理を規定するために用いられる。ステップ728の実行は、投与行為のために必要とされるであろう作動信号の数を決定する。この決定が行われる得る一つの方法は、ステップ728の実行により決定された作動信号の数を、ステップ720の実行により決定された動作可能な噴出アクチュエータ316の数で割ることである。規定されている現在の投与行為に必要なサイクルの総数が、1サイクルの一部を用い得ることが理解されるであろう。
【0091】
図11のプロトコル718により現在規定されている投与行為制御論理の最後のパラメータは、この投与行為の各サイクルのための噴出アクチュエータ316の噴射頻度を、ステップ732の実行により確立することを含む。これは、任意の適切な方法で行われる得る。例えば、動作可能な噴出アクチュエータ316が1度に連続的に噴射され、噴出アクチュエータ316のグループが1度に連続的に噴射され、又は、これらの組合せが行われ得る。この場合も、所与の噴出アクチュエータ316の連続噴射間の最小時間が存在し得る。そして、これが、実行される噴射の頻度に影響を与えるであろう。
【0092】
当業者は、例示された実施形態に関して本文中に開示された装置及び方法に、幾つかの変更が、本発明の精神から逸脱せずに行われることができることを理解するであろう。また、本発明は、好ましい実施形態に関して以上に記載されているが、本発明が、様々な構成変更、修正及び改変に適合されること、そして、このような構成、修正及び変更が、添付された特許請求の範囲内にあることが意図されていることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物質を肺組織に導入することを少なくとも補助するための呼吸デリバリシステムであって、
少なくとも一つの空気流入口と、
少なくとも一つの出口と、
前記少なくとも一つの空気流入口と前記少なくとも一つの出口との間に延在する少なくとも一つの空気流路と、
少なくとも一つの噴出アクチュエータと、
少なくとも一つの空気流調節アセンブリであって、空気流が方向付けられる通路の大きさを、吸入の大きさに実質的に関係なく一つの空気流量が得られるように調節できるように適合された少なくとも一つの空気流調節アセンブリと
を含む呼吸デリバリシステム。
【請求項2】
前記呼吸デリバリシステムは、経口吸入器及び経鼻吸入器から本質的に成る群から選択される請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項3】
前記第1物質は、液体薬剤及び粉体薬剤から本質的に成る群から選択される請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの前記噴出アクチュエータは、前記第1物質を前記空気流中に放出することを少なくとも補助するように適合されている請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの前記噴出アクチュエータは、複数の前記噴出アクチュエータを含む請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項6】
前記噴出アクチュエータは、各々、独立に作動可能である請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの前記噴出アクチュエータは、前記噴出アクチュエータの第1のグループ及び第2のグループを含み、前記第1のグループ及び第2のグループの各々が複数の前記噴出アクチュエータを含み、前記第1のグループが前記第2のグループに対して独立に作動可能である請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの前記空気流調節システムは、前記空気流導管の前記少なくとも一つの前記空気流入口に、又は当該空気流入口付近に配置されている請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの前記空気流路が流れ調節ポートを含み、前記少なくとも一つの前記空気流入口に向けて配置された前記流れ調節ポートの第1の内径が、前記少なくとも一つの出口に向けて配置された前記流れ調節ポートの第2の内径よりも大きい請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの前記空気流路の側壁は、前記少なくとも一つの前記出口に向かう前記空気流の方向に線状に収束している請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項11】
前記空気流調節アセンブリの各々はバッフルを含み、
前記バッフルは、前記空気流の方向に対して実質的に垂直に配置された第1の主要面及び第2の主要面、並びに外周部を含み、
前記バッフルが、前記少なくとも一つの前記空気流入口に向って配置された第1の位置にあるときに、前記バッフルの前記外周部が前記側壁から第1の距離離隔され、
前記バッフルが、前記少なくとも一つの前記出口に向って配置された第2の位置にあるときに、前記バッフルの前記外周部が、前記側壁から、前記第1の距離よりも小さい第2の距離離隔される請求項10に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項12】
前記空気流調節アセンブリの各々はバッフルを含み、
前記バッフルは、前記空気流の方向に対して実質的に垂直に配置された第1の主要面及び第2の主要面を含む請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項13】
第1の吸入力に応答した前記バッフルの第1の位置が、前記バッフルが前記少なくとも一つの前記出口から第1の距離だけ離隔されることにより画定され、
前記第1吸入力よりも大きい第2の吸入力に応答した前記バッフルの第2の位置が、前記バッフルが前記少なくとも一つの前記出口から、前記第1の距離より小さい第2の距離だけ離隔されることにより画定される請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項14】
第1の吸入力に応答した前記バッフルの第1の位置が、前記バッフルが前記少なくとも一つの空気流入口から第1の距離だけ離隔されることにより画定され、
前記第1の吸入力よりも大きい第2の吸入力に応答した前記バッフルの第2の位置が、前記バッフルが前記空気流入口から前記第1の距離より大きい第2の距離だけ離隔されることにより画定される請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項15】
前記バッフルは、前記少なくとも一つの前記空気流入口に向けて配置された第1の位置において、前記空気流の抑制を回避し、
前記バッフルは、前記少なくとも一つの前記出口に向けて配置された第2の位置において、前記空気流を少なくとも部分的に抑制する請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項16】
前記バッフルは穴を有さない請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項17】
前記空気流調節アセンブリは、各々、第1端部及び第2端部を含む付勢部材を含み、
前記第1端部は前記バッフルと接触して配置され、
前記第2端部は、前記少なくとも一つの前記空気流路に対して固定された位置に配置され、かつ、前記付勢部材が前記バッフルに、前記空気流の方向とは実質的に反対の方向に付勢力を加える請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項18】
ユーザの最小吸入力の大きさが、前記付勢部材により前記バッフルに加えられる前記付勢力の大きさと実質的に等しい請求項12に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項19】
前記ユーザの正常な吸入力が、前記ユーザの前記最小吸入力よりも大きく、前記バッフルは、前記正常な吸入力の作用下にあるときに前記ユーザに向って移動される請求項18に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項20】
前記付勢部材がばねである請求項17に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項21】
流量データを監視するように適合された少なくとも一つの空気流監視アセンブリをさらに含む請求項1に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項22】
前記少なくとも一つの前記空気流監視アセンブリは、前記少なくとも一つの前記空気流調節アセンブリと伝達的に相互接続されており、前記少なくとも一つの空気流監視アセンブリが、前記少なくとも一つの空気流調節アセンブリに、前記流量データに関する信号を送信する請求項21に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項23】
前記少なくとも一つの前記空気流調節アセンブリは、少なくとも一つの通路調節部を含み、
前記少なくとも一つの前記通路調節部は、前記少なくとも一つの前記空気流路の大きさを、前記信号に応答して調節する請求項22に記載の呼吸デリバリシステム。
【請求項24】
呼吸デリバリシステムにおける空気流を制御する方法であって、
前記呼吸デリバリシステムの空気流路のテーパ部内に、移動可能なバッフルを配置するステップと、
前記バッフルを、前記呼吸デリバリシステムのバッフルの前記空気流出口から遠ざける方向に付勢するステップと、
前記空気流路の前記テーパ部の流路サイズを、前記付勢するステップに示される付勢力の方向に対して反対の方向に作用する吸入力を用いて調節するステップと
を含み、
前記空気流路の前記テーパ部は、前記呼吸デリバリシステムの空気流出口に向って収束し、
前記流路サイズは、前記空気流路の前記テーパ部の内壁と、前記バッフルの外周部との距離により画定される方法。
【請求項25】
前記吸入力が前記付勢力より小さく、又は前記付勢力と実質的に等しいとき、前記流路サイズが事実上変化しない請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記吸入力が前記付勢力より大きいときに前記流路サイズが低減される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記吸入力が前記付勢力より小さいとき、又は前記付勢力と実質的に等しいときに、前記流路サイズが前記吸入力と実質的に無関係である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記吸入力が前記付勢力よりも大きいときに前記流路サイズが前記吸入力に反比例する請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記呼吸デリバリシステムの空気流データを監視することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記監視ステップ中に発生した信号に応答して前記調節ステップを実行することさらにを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
予め決められた量の第1の物質を肺組織に配送することを促進する方法であって、
個人のための吸入力の範囲を決定するステップであって、前記吸入力の範囲が、前記個人の最小呼吸機能及び正常な吸入力を少なくとも概して示す最小吸入力を含むステップと、
移動可能なバッフルを呼吸デリバリシステムの空気流路内に含む呼吸デリバリシステムを提供するステップと、
前記正常な吸入力が前記最小吸入力と実質的に等しいときに前記空気流路の閉塞を有効に回避するステップと、
前記正常な吸入力が、前記最小吸入力より大きい少なくとも或る程度の大きさであるときに、前記空気流路を少なくとも部分的に遮断するステップと
を含む方法。
【請求項32】
付勢部材を用いて、前記移動可能なバッフルを、前記吸入力の方向とは実質的に反対の方向に付勢する力をもたらすことを含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記有効に回避するステップの前記最小吸入力の大きさが、前記付勢部材により前記移動可能なバッフルに加えられる前記付勢力と実質的に等しい大きさである請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも部分的に遮断するステップの前記正常な吸入力の大きさが、前記付勢部材により前記移動可能なバッフルに加えられる前記付勢力の大きさよりも大きく、前記バッフルを前記通常吸入力の方向に移動させる請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記呼吸デリバリシステムの空気流データを監視することをさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記有効に回避するステップと前記少なくとも部分的に遮断するステップとの一方を、前記監視ステップ中に発生した信号に応答して実行することをさらに含む請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−246946(P2010−246946A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−131992(P2010−131992)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【分割の表示】特願2005−508831(P2005−508831)の分割
【原出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【出願人】(503336383)インジェット デジタル エアロソルズ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Injet Digital Aerosols Limited