説明

空気浄化機能を備えた暖房装置

【課題】室内空気に含まれるシックハウスのほとんどの原因物質を長期間にわたって確実に浄化し、その浄化された綺麗な加熱空気で室内を暖房することのできる使い勝手に優れた暖房装置を提供する。
【解決手段】設置状態で下部に空気導入部を備えると共に上部に空気導出部を備えた暖房装置ケーシング1と、暖房装置ケーシング内に配置され、内部下側に加熱源2を設け加熱源で加熱されて当該反応筒内を上昇する加熱空気が接触通過するように白金触媒保持体を内部上側に設けた反応筒3とを有し、暖房装置ケーシングと反応筒との間には室内空気が流れる室内空気上昇空間が形成され、空気導入部から発熱源を介して反応筒内に入って上昇し白金触媒保持体を接触通過した空気が空気導入部から暖房装置ケーシング内の前記室内空気上昇空間内に入った空気を引き込んでこれと合流し前記空気導出部から外部に導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は取り入れた室内空気を加熱して白金触媒に接触させながら通過させ、空気中に含まれるシックハウスの原因物質を浄化した後、加熱されて暖かくなった空気を室内に導出させて暖房に利用する暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中に含まれるシックハウスの原因物質としては、家屋内の建材、家具や接着剤、塗料等から発生するホルムアルデヒド、トルエン等や、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等がある。ホルムアルデヒドは白金触媒に接触させながら通過させることで、加熱しなくても常温で殆ど酸化され無害となることが知られている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
そこで、本出願人は先に、例えば、家屋内の建材、家具や接着剤、塗料等から発生するホルムアルデヒトを長期間に亘って常温で酸化することのできる使い勝手の良いホルムアルデヒド常温酸化除去用白金(Pt)触媒入り収納容器を提案した(特許公報1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3141139号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】出版社;株式会社J.I.P、雑誌名「環境創造」、VOL、7NO、9/September 1977、24頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の開示内容では、ホルムアルデヒドが白金触媒に接触しながら通過することで、加熱しなくても常温で酸化され無害となることは理解できるが、このような白金触媒は、小径の多数の粒状体からなり、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒド、トルエン、一酸化炭素や煙或いは細菌等を効率的に除去するのに有用な使い勝手に優れた装置は知られていない。
【0007】
また、特許文献1に開示されたホルムアルデヒド常温酸化除去用白金触媒入り収納容器では、家屋内の建材、家具や接着剤、塗料等から発生するホルムアルデヒトを長期間に亘って常温で酸化させて無害とすることはできるが、シックハウスの原因物質であるトルエンや空気中に含まれる細菌等の他の原因物質を浄化することができない。
【0008】
また、従来のオゾン発生器は、浄化する有害ガス・悪臭ガスを除去しても残存オゾンが有害となり、広義に使われている空気清浄機は一酸化炭素を除去できない。マイナスイオン発生器は健康に良いと言われるが、空気清浄の効果がどの程度あるのかはっきりしない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、取り入れた室内空気を加熱して白金触媒に接触させながら通過させ、空気中に含まれるシックハウスの原因となるほとんどの原因物質を長期間にわたって確実に浄化し、その浄化された後の綺麗な加熱空気で室内を暖房することのできる使い勝手に優れた暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る空気浄化機能を備えた暖房装置は、
設置状態で下部に空気導入部を備えると共に上部に空気導出部を備えた暖房装置ケーシングと、
前記暖房装置ケーシング内に配置され、内部下側に加熱源を設け内部上側に前記加熱源で加熱されて当該反応筒内を上昇する加熱空気が接触通過するように白金触媒保持体を設けた反応筒とを有し、
前記暖房装置ケーシングと前記反応筒との間には室内空気が流れる室内空気上昇空間が形成され、
前記空気導入部から前記発熱源を介して前記反応筒内に入って上昇し前記白金触媒保持体を接触通過した空気が前記空気導入部から前記暖房装置ケーシング内の前記室内空気上昇空間内に入った空気を引き込んでこれと合流し前記空気導出部から外部に導出することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る空気浄化機能を備えた暖房装置によると、室内の適当な場所に設置しておくことにより、取り入れた空気を加熱して白金触媒を通過させ、この通過時に白金触媒と接触しながら該白金触媒を加熱するので、例えば、空気中に含まれる家屋内の建材、家具や接着剤、塗料等から発生するシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等を酸化させて効果的に除去することができる。
【0012】
また、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等が除去されて綺麗になった加熱空気は、暖房装置ケーシングの内壁面と反応筒との間に形成された空間を加熱されることなく自然対流で上昇した非加熱空気と混合されて暖房に適した温度となった後、室内に放出されて室内を暖房することができる。これによって、適度な温度での局所暖房を可能とし省エネに優れた暖房装置を提供することができる。
【0013】
また、白金触媒は活性炭のようにシックハウスの原因物質を吸収して飽和状態になると使えなくなるようなタイプではないので、長期間に亘って使用することが可能である。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の空気浄化機能を備えた暖房装置は、請求項1の空気浄化機能を備えた暖房装置において、暖房装置ケーシングの上端を密封し、上端周面に空気導出部を形成したことを特徴としている。
【0015】
このように、暖房装置ケーシングの上端を密封し、上端周面に空気導出部を形成したことで、白金触媒に接触しながら通過して上昇した加熱空気と、暖房装置ケーシングの内壁面と反応筒との間に設けられた空間内を上昇した非加熱空気との混合が、ファン等を必要としない簡単な構成により自然対流で効率良く行なわれ、暖房に適した温度となった後、室内に放出されて室内を暖房することができる。また、暖房装置ケーシングの上面を小物等の載置スペースとして活用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、取り入れた室内空気を加熱して白金触媒に接触させながら通過させ、空気中に含まれるシックハウスの原因物質を長期間にわたって確実に浄化し、その浄化された後の綺麗な加熱空気で室内を暖房することのできる使い勝手に優れた暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る空気浄化機能を備えた暖房装置を示す概要図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る空気浄化機能を備えた暖房装置を示す概要図である。
【図3】本発明の空気浄化機能を備えた暖房装置に用いる白金触媒保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施形態に係る空気浄化機能を備えた暖房装置を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る空気浄化機能を備えた暖房装置は、図1に示すように、横断面円形をなし下側が開口し、上側端面が塞がれた暖房装置ケーシング1と、暖房装置ケーシング1の中に同芯状に配置固定された反応筒3とを備えている。そして、反応筒3の内部下側には加熱源2が備わり、内部上側には白金触媒保持体5が備わっている。
【0019】
暖房装置ケーシング1は、下部周面に室内空気上昇空間内への空気導入部11を、上部周面に空気導出部12を備えている。室内空気上昇空間4は、暖房装置ケーシング1と反応筒3との間に形成された室内空気が流れる空間である。
【0020】
図示例は暖房装置ケーシング1の下部及び上部の一部をスリット状に絞り加工して絞り部分に開口部を設けてそれぞれ室内空気上昇空間内への空気導入部11、室内空気上昇空間を上昇した空気と反応筒の上部から出た空気の混合空気の空気導出部12を形成している。室内空気上昇空間内への空気導入部11はそのスリットの山折れ部から谷折れ部に向かう上向き斜面を空気案内面11aとし、谷折れ部に空気導入口11bが一定間隔毎に形成されている。反応筒3の加熱源2へは、暖房装置ケーシング1の下側開口部11cから空気が導入するようになっている。なお、図示を省略したが、空気導出部12も空気導入部11と同様の構成である。より詳細には、図1の全体構成図では詳しく示さないが、図1の左下に示した部分的断面図において示したように、暖房装置ケーシング1の底面の下側開口部11cの周囲に脚11dが所定間隔隔てて少なくとも3本以上設けられている。これによって、同断面図の矢印に示すように、暖房装置周囲の外部空気が暖房装置ケーシング1の底面の隙間から下側開口部11cを介して反応筒3の下部に設けたヒータ2に直接入り込むようになっている。なお、この脚11dと開口部11cを省略して暖房装置ケーシング1の下側のスリット11bからケーシング内に導入した空気がこのケーシング内の底面から上方に位置した反応筒3のヒータ2に入り込むようにしても良い。
【0021】
加熱源2は、反応筒3の底面中央に載置され、図示しない支持体やネジ等の固定治具で反応筒3の底面に固定されている。この加熱源2としては、ガス、灯油等を燃料とするガスバーナ、灯油バーナ等の加熱器、電気を熱源とする電気ヒータ等の電熱器の何れでも良い。これ等、加熱源2はガス、灯油等の供給用の配管、給電用のコード等が必要であるが、図面では省略している。
【0022】
なお、加熱源2として、例えば、野外キャンプ等に用いられる携帯用ガスボンベの使用が一例として考えられる。携帯用ガスコンロ或いはバッテリ式の電熱器を用いた場合は、配管、コード等を必要としないので、使用場所の限定を受けることなく、どのような場所でも使用することができて使い勝手を高めている。
【0023】
反応筒3は、暖房装置ケーシング1との間に空気の流れる室内空気上昇空間4を形成するために暖房装置ケーシング1よりも小径の筒体となっており、暖房装置ケーシング中に同芯状に配置され、加熱源2で加熱された空気が上昇気流となって反応筒3の中に流入するように暖房装置ケーシング1に不図示の支持部材を介して取付けられている。そして、この反応筒3の上部内には、上述のように白金触媒保持体5が設けられている。
【0024】
この白金触媒保持体5は、全体形状が厚さの薄い円板状を有し、ハニカム状のセラミック材の表面に白金を担持させたものである。
【0025】
以下、上記の構成からなる本発明の空気浄化機能を備えた暖房装置の作用について説明する。まず、本発明の空気浄化機能を備えた暖房装置を室内の適所に載置し、電気ヒータ、ガスバーナ、灯油バーナ等の加熱器からなる加熱源2を作動させて反応筒3の下方の空気を加熱する。これによって、暖房装置ケーシング1の空気導入部の一つである下側開口部11cから導入した空気は、反応筒3の下側に設けられた加熱源2を通過する際に加熱され、上昇気流となって反応筒3内を上昇する。この上昇気流に吸引されて、暖房装置ケーシング1の下部周囲の空気が、空気導入部11を構成する空気案内面11aに導かれて空気導入口11bから暖房装置ケーシング1内に導入され、この導入された空気が加熱源2で加熱され、上昇気流となって上昇する。
【0026】
そして、加熱され上昇気流となって上昇した空気は、ハニカム状のセラミック材表面に担持された白金触媒保持体5の中を通過する。この通過時、加熱空気はセラミック材表面に担持された白金触媒と接触し、白金触媒を加熱すると共に、空気中に含まれるシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等が酸化されて効果的に浄化される。
【0027】
この場合、ホルムアルデヒドは加熱しなくても殆ど酸化されて無害となる。また、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素は加熱しなくても酸化されて二酸化炭素なるが、臭いと煙が問題となるので、200度以上に加熱する必要がある。また、トルエンは130度以上で燃えて無害となる。空気中に含まれる細菌は、100度以上にすることで殺菌することができる。従って、暖房装置ケーシング1に取り入れた空気は、250度程度に加熱した後、白金触媒保持体5の中を通過させる。これによって、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等を含んだ空気でもこれらのガスを酸化させて確実に浄化することができる。
【0028】
この場合、白金触媒保持体5の近傍に例えば、サーモスタット等の温度検出センサを設け、この温度検出センサの検出信号に基づいて、電力や配管の弁を制御してガス、灯油等の供給量を調整して加熱温度を250度程度に保持すると良い。
【0029】
そして、白金触媒体5の中を通過した後の加熱空気は、暖房装置ケーシング1と反応筒3との間の室内空気上昇空間4を通って自然対流で上昇した空気と混合して、暖房に適した温度として、暖房装置ケーシング1の上部周囲に形成された空気導出部12から室内に導出され、この導出された綺麗な暖められた空気が拡散して室内を暖房することができる。
【0030】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は本発明の第2の実施形態に係る空気浄化機能を備えた暖房装置を示す概略構成図である。この第2の実施形態は、第1の実施形態において加熱源2として、ガス、灯油等を燃料を用いた炎のあるガスバーナ、灯油バーナ等の加熱器とは異なり、炎の出ない電気ヒータ等の電熱器を加熱源2としたもので、他の全体構成は第1の実施形態と同等であるので、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0031】
第2の実施形態における加熱源2は、通電発熱体として通電コイルを渦巻状に設けた電熱器、或いは通電発熱体として棒状のヒータや放熱板を備えたヒータを設けた電熱器を用いる。この加熱源2としての電熱器は、反応筒3の底面中央に図示しないネジ等の固定治具で固定され、不図示の給電用のコード等を介して電源から給電する。
【0032】
この第2の実施形態は上述した構成を有しているので、通電コイル或いは棒状のヒータや放熱板を備えたヒータに通電して発熱させて、暖房装置ケーシング1の一方の空気導入部である下側開口部から導入し、反応筒3の下方の空気を加熱源2で加熱すると、この加熱された空気は上昇気流となって反応筒3内を上昇する。
【0033】
そして、加熱されて上昇気流となって上昇した空気は、ハニカム状のセラミック材の表面に白金触媒を担持させた白金触媒保持体5の中を通過する。この通過時、加熱空気は白金触媒と接触し、白金触媒を加熱すると共に、空気中に含まれるシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等が酸化されて空気が効果的に浄化される。
【0034】
この上昇空気に引かれて、暖房装置ケーシング1の下部周囲の空気が、空気案内面11aに導かれて空気導入口11bから暖房装置ケーシング1内に導入され、また、暖房装置ケーシング1の下側開口部11cから導入された空気が反応筒3の下側に設けられた加熱源2で加熱されて反応筒内を上昇気流となって上昇する。
【0035】
そして、白金触媒保持体5の中を通過した後の加熱空気は、暖房装置ケーシング1と反応筒3との間の室内空気上昇空間4を自然対流により上昇した非加熱空気と混合されて、暖房に適した温度となり、暖房装置ケーシング1の上部の周囲に形成された空気導出部12から室内に導出され、この浄化した綺麗な空気の拡散によって室内を暖房する。
【0036】
この場合、例えば、600Wの電熱器を使用して0度の空気を250度に加熱した場合は、約6800(リットル/h)の空気量を導出することができ、室内を暖房することができる。室内への送風量を多く必要とするときは、空気の加熱温度を上げて処理速度を増す必要があるが、250度程度でシックハウスの原因物質のほとんど確実に浄化することができることから、空気の加熱温度は250度より極端に高くする必要はない。
【0037】
また、加熱源2が電熱器の場合は、白金触媒保持体5の近傍に例えば、サーモスタット等の温度検出センサを設け、この温度検出センサの検出信号に基づいて、通電量を調節して加熱温度を250度程度に保持すると良い。
【0038】
なお、上述した第1及び第2の実施形態では、白金触媒保持体5として全体形状が厚さの薄い円板状を有し、ハニカム状のセラミック材に白金を担持させたものを例示した。しかしながら、図3に示す白金触媒保持体5の他の構成の白金触媒担体を用いても良い。
【0039】
図3に示す白金触媒保持体5は、全体形状が厚さの薄い円板状をなし、その外形が金属の網体できている収納容器6内に、約2〜4mm程度の粒状体5aで形成され白金触媒を充填し例えば2乃至3層構造になるように収納保持させている。なお、図示の形態では、収納容器6を構成する網体の隙間が通気部としての役割を果たしている。
【0040】
この構成の白金触媒保持体5を、第1及び第2の実施形態と同様に反応筒3内に配設固定する。これにより、加熱源2を作動させて反応筒3の下方の空気を加熱すると、この加熱された空気は反応筒3内を上昇気流となって上昇する。
【0041】
このように加熱されて上昇した空気は、白金触媒保持体5を構成する収納容器6の中を通過する。この通過時、加熱空気は収納容器6内の白金触媒と接触し、白金触媒を加熱すると共に、白金触媒によって空気中に含まれるシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、煙草の喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等を酸化させて浄化する。
【0042】
また、加熱された上昇空気に引かれて外部の空気が、空気案内面11aに導かれて空気導入部11から暖房装置ケーシング1内に導入され、この導入された空気が加熱源2で加熱されて上昇気流となって上昇する。
【0043】
そして、白金触媒保持体5の中を通過した後の加熱空気は、暖房装置ケーシング1と反応筒3との間の室内空気上昇空間4を自然対流により上昇した非加熱空気と混合されて、暖房に適した温度となり、暖房装置ケーシング1の上部の周囲に形成された空気導出部12から室内に導出され、この浄化した綺麗な空気の拡散によって室内を暖房する。
【0044】
ここで、白金触媒保持体5は、図示の構成の他、金属たわし状又は海綿状で通気口を有する金属かセラミックの表面に白金を担持させたものでも良い。
【0045】
なお、図示した第1及び第2の実施形態では、暖房装置ケーシング1内の下部で加熱されて上昇気流となって上昇し、白金触媒保持体5を通過した後の加熱空気と、暖房装置ケーシング1と反応筒3との間の室内空気上昇空間4を通って自然対流で上昇した非加熱空気との混合を良くさせるために、暖房装置ケーシング1の上端は密封し、混合された後の空気を暖房装置ケーシング1の上部周面の空気導出部12から室内に導出させている。しかし、暖房装置ケーシング内の上部付近にファンを設ければ、空気の流れをより良くすることができる。また、ファンによって強制的に空気の混合を行なうことができ、空気の混合もより良く行われると共に、室内への加熱空気の導出が均一に行なわれる。また、このようにファンによって加熱空気と非加熱空気とを混合するようにすれば、暖房装置ケーシング1の上端は必ずしも密封しなくても良いので、暖房装置ケーシング1の上端を密封することなく開放状態とすれば、白金触媒保持体5の交換及び暖房装置ケーシング内部の清掃が容易となり、使い勝手が向上する。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る空気浄化機能を備えた暖房装置は、上述した各実施形態に係る構成を有することで、室内空気に含まれるシックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、トルエンや、たばこの喫煙により発生する一酸化炭素や煙或いは細菌等を酸化させて確実に浄化することができる。そして、シックハウスの原因物質が除去されて綺麗になった加熱空気は、暖房装置ケーシングの内壁面と反応筒との間に設けられた室内空気上昇空間4を加熱されることなく自然対流で上昇した非加熱空気と混合されて適温になった後、室内に放出されて室内を暖房することができる。
【0047】
なお、上述した加熱源2は、ガス、灯油等を燃料とする炎の出るガスバーナ、灯油バーナ等の加熱器、或いは電気を熱源とする炎の出ない電気ヒータ等の電熱器を紹介したが、これ等は燃料を供給するための配管、或いは給電コードを必要とする。そこで、燃料を充填した携帯用ガスボンベを使用する携帯用ガスコンロ、又はバッテリを電源とする携帯用電熱器を加熱源2として使用すれば、配管、或いは給電コードが不要となり、構成を極めて簡略化することができると共に、どのような場所でも手軽に使用することができて便利である。
【0048】
また、図示例では、暖房装置ケーシング1を横断面円形とし、この暖房装置ケーシング1の中に同芯状に反応筒3を配置固定した構成を説明したが、暖房装置ケーシング1の横断面形状は、収納する反応筒3との間に空気の上昇する室内空気上昇空間4が形成できれば、矩形、楕円等の他の形状であっても良い。
【0049】
また、アレルギーを引き起こす空気中の花粉などもこの空気浄化機能を備えた暖房装置を用いて炭化させることが可能と考えられ、アレルギー症状に悩む人たちにも好適に利用可能となっている。
【0050】
また、第1及び第2の実施形態では装置上端面が塞がっていて平面部をなしているので、この平面部が小物載置部を構成して使い勝手を向上させている。
【0051】
なお、上述した実施形態は、暖房装置ケーシング及び反応筒が円筒形状をなしていたが、本発明はこの形状に限定されるものでなく、双方とも断面矩形状をなす四角の筒体も好適に利用可能である。この場合、暖房装置ケーシングの上面に小物を置き易くなるとともに、部屋の中の配置場所の自由度が更に高まるというメリットを有している。
【符号の説明】
【0052】
1 暖房装置ケーシング
2 加熱源
3 反応筒
4 空間
5 白金触媒保持体
6 収納容器
5a 粒状体
11 空気導入部
11a 空気案内面
11b 空気導入口
11c 下側開口部
11d 脚
12 空気導出部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置状態で下部に空気導入部を備えると共に上部に空気導出部を備えた暖房装置ケーシングと、
前記暖房装置ケーシング内に配置され、内部下側に加熱源を設け内部上側に前記加熱源で加熱されて当該反応筒内を上昇する加熱空気が接触通過するように白金触媒保持体を設けた反応筒とを有し、
前記暖房装置ケーシングと前記反応筒との間には室内空気が流れる室内空気上昇空間が形成され、
前記空気導入部から前記発熱源を介して前記反応筒内に入って上昇し前記白金触媒保持体を接触通過した空気が前記空気導入部から前記暖房装置ケーシング内の前記室内空気上昇空間内に入った空気を引き込んでこれと合流し前記空気導出部から外部に導出することを特徴とする空気浄化機能を備えた暖房装置。
【請求項2】
前記暖房装置ケーシングは上端を密封し、上端周面に空気導出部を形成したことを特徴とする請求項1記載の空気浄化機能を備えた暖房装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−197032(P2010−197032A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217907(P2009−217907)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3150279号
【原出願日】平成21年2月22日(2009.2.22)
【出願人】(508040647)ホスビージャパン株式会社 (1)